WTO紛争解決関係等2011年7月のニュース 中国‐鉱物資源輸出規制

International Trade & Commerce
Tokyo
Newsletter
August 2011
WTO 紛争解決関係等 2011 年 7 月のニュース
中国‐鉱物資源輸出規制(DS394, DS395, DS398)
パネル報告書発出等
2011 年 7 月 28 日
EU-留め具 AD(中国)(DS397) 報告書採択
2011 年 7 月 28 日(ジュネーブ時間)、紛争解決機関(DSB)の会合において、
EU-留め具に対するアンチ・ダンピング措置(DS397)の報告書(2011 年 7 月
15 日回章)が採択されました(上級委報告書の内容については、7 月 15 日の
項をご参照ください。)。
2011 年 7 月 27 日
米国-大型民間航空機に対する措置(EU)(DS353)上
級委員会口頭聴聞公開登録開始
2011 年 7 月 27 日(ジュネーブ時間)、当事国である EU と米国の要請により、
上級委員会は、2011 年 8 月 23 日に開催される米国-大型民間航空機に対する
措置(EU)(DS353)の口頭聴聞を公開することを決定しました。
2011 年 7 月 25 日
EU、X 線安全検査装置に対するアンチ・ダンピング税
に関し、中国に対して協議要請(DS425)
2011 年 7 月 25 日(ジュネーブ時間)、EU は中国に対して、中国が EU から
の X 線安全検査装置の輸入に対して賦課しているアンチ・ダンピング税に関
し、WTO 協定違反を主張して協議要請を行いました。
EU が主張している協定違反は、アンチ・ダンピング協定第 6.1、6.2、6.4 及
び 6.5 条(秘密情報ではない情報につき利害関係人に適時閲覧の機会を与え
なかった)、同第 6.5.1 条(秘密情報関する秘密扱いではない部分の要約の提
供を欠いたこと、あるいは理解するのに詳細さが不十分であること)、同 6.9
条(利害関係人に対して重要事実についての情報の提供を欠いたこと)、同
12.2.2 条(ダンピング・マージン及び損害の決定についての説明を欠いたこ
と)、同 2.4 条及び 1994 年ガット第 6 条 1(輸出価格と正常価格との公正な
比較を怠ったこと)、同 3.1 及び 3.2 条(輸入価格と類似製品の国内価格との
比較において客観的な検討を怠ったこと)、同第 3.1 及び 3.4 条(ダンピング
された輸入品の国内類似製品の価格に与える影響、当該製品の国内生産者に
与える影響につき、積極的な証拠に基づく客観的な検討を怠ったこと)、同
第 3.5 条及び 1994 年ガット第 6 条 6(a)(ダンピング製品の輸入が損害を生ぜ
しめていることについてあらゆる関連証拠に基づく客観的な決定を怠ったこ
と、因果関係の決定はそれ自体積極的な証拠による客観的な検討に基づかな
い EU の輸入による価格下落に起因するものであり誤っていること、国内産
業や国内価格に影響を与える関連要素を考慮していないこと、また対象製品
の区別が不十分であること(EU から中国への輸出実績がない 300KeV を上回
る高エネルギーレベルの X 線安全調査機器までをも調査対象に含めているの
で、これらに関する損害は EU からの輸入によるものとすることができず、
また、低エネルギー・レベルの機器においても自動爆発物検査システム・ス
キャナー(EDS スキャナー)を調査対象に含めているが、これらは他の低エネ
ルギー・スキャナーとも異なり、EU から中国に輸出されているが中国では生
産されていないにもかかわらず、中国の因果関係の決定ではスキャナーの2
つのタイプを区別しておらず、また低エネルギー・スキャナーの中でも EDS
スキャナーとその他の低エネルギースキャナーを区別していない))の各違
反です。
2011 年 7 月 20 日
2つのパネル設置-カナダの太陽光発電設備の州産品
割合要求(日本)(DS412)、及びウクライナのモルドバ
産酒類に対する税金(モルドバ共和国)(DS423)
2011 年 7 月 20 日(ジュネーブ時間)、DSB 定例会合において、2つの新し
いパネルが設置されました。
1つ目は、日本がカナダに対して申立を行った太陽光発電設備の州産品割合
要求の件(DS412)です。
本件は、2010 年 9 月 13 日に、日本がカナダに対して協議要請を行っていまし
たが、解決に至らなかったので、今般パネル設置要請に至ったものです。
2011 年 6 月 17 日の第 1 回目の設置要請に続く 2 回目の要請で設置に至りまし
た。
日本政府の主張によれば、カナダのオンタリオ州が、再生可能エネルギー生
産設備の生産において同州産品が一定割合含まれる場合、価格を長期間保証
する規定を定めていることにより、日本産の再生可能エネルギー設備がカナ
ダのオンタリオ州の市場において、原産地のみを理由として差別的取り扱い
を受けており、これがWTO協定 1 に違反していると主張しています 2 。
これに対してカナダは、当該措置は WTO 協定整合的であると主張していま
す。
____________________
1
具体的には、補助金協定第 3.1(b)条、3.2 条(禁止補助金)、1994 年ガット第 3 条 4
(内国民待遇)、及び貿易関連投資措置協定第 2.1 条(内国民待遇)。内国民待遇と
は、輸入品に適用される待遇は、国境措置である関税を除き、同種の国内産品に対す
るものと差別的であってはならない、という原則です。
2
パネル設置要請書は以下のリンクでご覧になることができます。
http://docsonline.wto.org/DDFDocuments/t/WT/DS/412-5.doc
2
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本件については、自国の環境保護産業を推進するための措置が同時に貿易の
制限につながる場合に、WTO 協定との整合性につきどのような判断が行われ
るかが注目されます。
本件には、オーストラリア、台湾、ノルウェー、中国、EU、韓国、ホンジュ
ラス及び米国が第三国として参加しています。
2 件目は、モルドバ共和国がウクライナに対して申立を行ったモルドバ産輸
入酒に対する税金の見直し要請(DS423)です。
本件は、2011 年 3 月 2 日に、モルドバ共和国がウクライナに対して協議要請
を行っていましたが、解決されなかったので、2011 年 6 月 17 日に引き続き今
般の 2 回目の設置要請でパネル設置に至ったものです。
モルドバの主張は、ウクライナが「コニャック」といわれる国内蒸留酒に他
の輸入蒸留酒よりも低い税率を適用していることは、1994 年ガット第 3 条 2
項第 1 文 3 に違反し、モルドバの利益の無効化又は侵害をもたらしているとい
うものです。また、モルドバは、同国の「酒類」に該当する飲料がウクライ
ナ産の「コニャック」との関係で 1994 年ガット第 3 条 2 項第 1 文にいうとこ
ろの「同種の国内産品」には該当しないとパネルが仮に判断したとしても、
ウクライナが「コニャック」に対して、その競合する又は代替する蒸留酒よ
りも低い税率を適用していることは、1994 年ガット第 3 条 2 項第 2 文 4 に違反
し、モルドバの利益の無効化又は侵害をもたらしていると主張しています 5 。
本件には、中国、EU、コロンビア及び米国が第三国として参加しています。
2011 年 7 月 20 日
EU、IT 製品に対する関税措置につき、履行状況を
説明(DS375, DS376, DS377)
2011 年 7 月 20 日(ジュネーブ時間)、DSB定例会合において、IT製品に対す
る関税措置につき、EUが勧告又は裁定の実施の進展についての状況に関する
報告 6 を行いました。
本件は、EU がプリンターやファックスなど様々な機能を持つデジタル複合機
に 6%、パソコン用液晶モニターに 14%、セット・トップ・ボックスに 13.9%
____________________
3
1994 年ガット第 3 条 2 項第 1 文「いずれかの締約国の領域の産品で他の締約国の領
域に輸入されるものは、同種の国内産品に直接又は間接に課せられるいかなる種類の
内国税その他の内国課徴金をこえる内国税その他の内国課徴金も、直接であると間接
であるとを問わず、課せられることはない。」
4
1994 年ガット第 3 条 2 項第 2 文「さらに、締約国は、前項に定める原則に反するそ
の他の方法で内国税その他の内国課徴金を輸入産品又は国内産品に課してはならな
い。」
5
パネル設置要請書は以下のリンクでご覧になることができます。
http://docsonline.wto.org/DDFDocuments/t/WT/DS/423-4.doc
6
3
紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(DSU)第 21 条 6 項。
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の関税を賦課していることについて、日本、米国及び台湾が WTO 協定違反
を主張して申立を行った案件で、申立国側の主張が全面的に認められ、2010
年 9 月 21 日に確定したものです。
WTO の勧告を受け、EU はパソコン用液晶モニター、セット・トップ・ボッ
クス、及び複合機のうちプリンター、スキャナー、ファックスを主な機能と
する製品については 6%の関税を撤廃する見通しを示したものの、最近主流
のデジタル式コピー機能を主な機能とする製品は「その他機械」とし、2.2%
の関税を課す方向です。
申立国は、履行のための合理的な期間内に EU が是正措置を採ったことを評
価しつつも、これを完全履行であるとは認められず、パソコン用液晶モニ
ターには依然として関税が賦課されていること、デジタル式コピー機能を主
な機能とする複合機に 2.2%の関税が賦課されること、EU 加盟国に対して関
税ゼロの対応をするような明確なガイドラインが提示されていないこと等に
つき、さらなる是正を求めるとともに今後も注視していくことを述べました。
2011 年 7 月 15 日
タイ-フィリピン産たばこに対する税関・財政措置
(フィリピン)(DS371)報告書採択
2011 年 7 月 15 日(ジュネーブ時間)、タイ-たばこに対する税関・財政措置
(フィリピン)(DS371)の報告書が、DSB 会合にて採択されました。
本件は、フィリピンが、フィリピンから輸入されるタバコに対するタイの税
関措置及び財政措置を争ったもので、タイの措置のWTO協定違反(関税評価
協定第1条1項、1条2項(a)、16条、5条、及び7条、1994年ガット第3条、10条1
項、3項(a)(b))が確定されたものです。
パネル報告書及び上級委報告書の内容については、Newsletter7月号にて紹介
しておりますので、ご参照ください 7 。
2011 年 7 月 15 日
EC-中国産留め具に対する反ダンピング措置(中国)
(DS397)上級委報告書発出
2011 年 7 月 15 日(ジュネーブ時間)、上級委員会は、EC-中国産留め具に
対する反ダンピング措置(中国)(DS397)の報告書を発出しました。
<協議要請>
本件は、2009 年 7 月 31 日、中国が、EC の理事会規則 384/96(Council
Regulation(EC)No.384/96)(以下「基本規則」といいます。)の第 9(5)条が非
市場経済国からの輸入に関して関税を輸出者ごとではなく輸出国ごとに決定
し、個別の関税は同条項に規定されている条件を充たすことを立証した場合
にのみ決定されると規定していることが、WTO 協定第 16 条 4(自国の法令
等を WTO 協定に適合させる義務)GATT 1994 第 1 条 1(一般的最恵国待遇)、
____________________
7
4
http://www.taalo-bakernet.com/j/newsletters/pdf/2011/Newsletter_201107_Tokyo_ITC.pdf
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6 条 1(ダンピング防止税・相殺関税)及び 10 条 3(a)(法令等の公平かつ合
理的実施)、並びにアンチ・ダンピング協定(以下「AD 協定」といいま
す。)第 6.10(ダンピング・マージンの個別決定)、9.2(個別のダンピング
防止税の賦課)、9.3(相当額のダンピング防止税)、9.4(正常価格)、
12.2.2(公告)及び 18.4 条(加盟にあたっての個別的措置)に違反するとし
て、協議要請を行った案件です。中国はまた、中国産鉄製あるいはスチール
製留め具の輸入にアンチ・ダンピング税を賦課する EC 理事会規則
91/2009(Council Regulation(EC) No91/2009)についても協議要請を行い、当該ア
ンチ・ダンピング税の賦課は、GATT1994 第 6 条(ダンピング防止税及び相
殺関税)及び 10 条 3(a)(法令等の公平かつ合理的実施)、AD 協定第 1(原
則)、2.1(ダンピングの決定)、2.2(ダンピング・マージンの決定)、2.4
(正常価格との比較)、2.6(同種の産品)、3.1(損害の決定)、3.2(ダン
ピング輸入の量)、3.4(国内産業への影響)、3.5(損害の立証)、4.1(国
内産業の定義)、5.4(調査の開始)、6.1(調査についての通知)、6.2(利
益擁護の機会)、6.4(情報の閲覧)、6.5(秘密)、6.10(個別決定)、9.2
(個別のダンピング防止税の賦課)、9.4(正常価格)及び 17.6(i)条、中国加
盟議定書 Part I、 パラ 15 に違反すると主張しました。さらに、中国は、基本
規則 9(5)の適用を通して、EC は AD 協定の様々な規定に違反していると主張
しました。
<パネル設置>
2009 年 10 月 23 日、パネルが設置され、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビ
ア、インド、日本、ノルウェー、台湾、タイ、トルコ及び米国が第三国とし
て参加しました。
<パネル報告書>
パネル報告書の概要は以下のとおりです。
5
•
基本規則 9(5)は、ダンピング・マージンの個別計算と個別適用に条件を
課すものであり、AD 協定第 6.10、9.2 及び 18.4 条、1994 年ガット第 1 条
1、並びに WTO 協定第 16 条 4 に違反する。
•
留め具の調査に基本規則 9(5)を適用することは、AD 協定第 6.10 及び 9.2
条に違反する。
•
EC の調査当局は、ダンピングした輸入額の検討に関して AD 協定第 3.1
及び 3.5 条に、因果関係の分析に関して同 3.1 及び 3.5 条に、通常価格の
決定に関して同 6.4 及び 6.2 条に、欧州の生産者2社の質問に対する回答
の非秘密版について同 6.5.1 条に、インドの生産者の質問に対する回答の
秘密扱いについて同 6.5 条に違反する。
•
当事者適格(AD 協定 5.4 条)、国内産業の定義(同 4.1、3.1 条)、対象
となる産品(同 2.1、2.6 条)、ダンピングの決定(同 2.4 条)、価格が
下回ることの決定(同 3.1、3.2 条)、非サンプル生産者からの輸入産品
の扱い(同 3.1、3.2、3.4、3.5 条)、国内産業におけるダンピング輸入の
影響(同 3.1、3.4 条)、調査の申立者及び申立支持者の非公開(同 6.5、
6.4、6.2 条)、留め具の EU の生産についての Eurostat データの秘密扱い
(同 6.2 条、6.4 条)、国内産業定義に関する手続き的側面(同 6.2、6.4
条)、情報提供依頼への回答の期間(同 6.1.1 条)等については、中国の
申立を退けた。
•
類似の産品(AD 協定 2.6 条)、正常価格の決定に関する局面の非公開
(同 6.9 条)、国内産業の定義の手続的局面(同 6.9 条)については、パ
ネルの審査対象外であるとして判断を避けた。
•
基本規則に関する中国の申立の中には、訴訟経済を理由に判断されな
かったものもある。
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<上訴>
2011 年 3 月 25 日、EU が上訴しました。
EU は上訴通知書において、以下のような主張を行っています。
1.
EC の理事会規則 1225/2009 (Council Regulation(EC)No.1225/2009)(基本規
則)について
(a) 基本規則 9(5)条がアンチ・ダンピング税の賦課だけでなく、ダンピン
グ・マージンの計算についても規定しているとしてアンチ・ダンピング
協定(以下「AD 協定」という。)第 6.10 条を適用したことは誤っている。
基本規則 9(5)条の範囲について誤った解釈をすることにより、パネルは
基本規則 9(5)条それ自体が AD 協定第 6.10 条に違反していると結論づけ
ている。
(b) 基本規則 9(5)が非市場経済国からの生産者の個別マージンに対する計算
に条件をつけていることは、それ自体、AD 協定第 6.10 条に違反してい
るとする点において、パネルは AD 協定第 6.10 条の解釈及び適用を誤っ
ており、かつ DSU 第 11 条に違反している。
(c) 基本規則の 9(5)条がそれ自体、非市場経済国を含む調査において一国全
体のアンチ・ダンピング税を賦課することを認めていない AD 協定第 9.2
条に違反しているとするパネルの認定は、AD 協定第 9.2 条の解釈及び適
用を誤っており、かつ DSU 第 11 条に違反している。
(d) 基本規則 9(5)条が 1994 年ガット第 1 条 1 の最恵国待遇に違反していると
いうパネルの認定は、同条項の解釈及び適用を誤っており、かつ DSU 第
11 条に違反している。AD 協定が基本規則第 9(5)条に規定するような非
市場経済国からの輸入について異なる取扱いをすることを認めていない
というパネルの結論は誤っている。
(e) EU の法令、規則及び行政手続きを関連協定と調和させることなく EU が
WTO 協定第 16 条 4 および AD 協定第 18.4 条に違反しているというパネ
ルの認定は誤っている。
2.
EC 理事会規則 91/2009(Council Regulation(EC) No91/2009)について
(a) 基本規則第 9(5)条はそれ自体、AD 協定第 6.10 条及び第 9.2 条に違反して
いるというパネルの認定は、これら条項の解釈及び適用を誤っており、
留め具の調査におけるその適用は、これらの条項に違反している。
(b) EU が、中国の生産者に通常価格の根拠になっている産品のタイプ、ケー
スについての関連情報を適時に見る機会を与えなかったことにより、AD
協定第 6.2 条及び第 6.4 条に違反したというパネルの認定は、これら条項
の解釈及び適用を誤っており、かつ DSU 第 11 条に違反している。
(c) Agarati と Fontana Luigi という調査対象企業である EU の生産者が AD 協
定第 6.5.1 条の要求を遵守しているかを確認していない点において、欧州
の調査当局が同条項に違反しているというパネルの認定は、同条項の解
釈及び適用を誤っている。
(d) Pooja Forge(調査対象企業であるインドの生産者)との関係で AD 協定
第 6.5 条に基づく中国の申立を実質上検討した点において、パネルは
DSU 第 6.2 条、7.1 条及び 11 条に違反している。
6
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(e) 「十分な理由」も示さずに、EU の調査当局が Pooja Forge によって提出
された情報を秘密扱いにする権限はないと考えた点において、パネルは
AD 協定第 6.5 条の解釈及び適用を誤っている。
(f) AD 協定第 6.2 条及び 6.4 条に関する中国の申立について、「申立人と支
持者の同一性」に関する問題は中国のパネル設置要請書に特定されてい
ると考えた点において、パネルは DSU 第 6.2 条に違反している。
<反上訴>
2011 年 3 月 30 日、中国は、反上訴の通知を行いました。
中国は、反上訴通知において、以下の点について上級委員会による見直しを
要請しています。
7
1.
EU が国内産業の定義から調査の申立を支持していない生産者を除外した
ことは AD 協定第 4.1 条及び第 3.1 条に違反するという中国の申立に関し、
パネルは DSU 第 11 条及び AD 協定第 17.6 条に違反している。また、調
査開始の通知から 15 日以内に申し出なかった生産者を国内産業から除外
したことは、DS 協定第 4.1 条の解釈を誤っており、DSU 第 11 条が規定す
る「客観的評価」(objective assessment)を行っていない。15 日という期
間は合理的でも十分でもない。15 日以内に申し出なかった生産者及び調
査の申立を支持していない生産者を国内産業から除外したことは AD 協
定第 3.1 条に違反するという EU の申立を却下したことは誤っている。
2.
同種の産品の全体的な生産高が国内生産の大部分を占めるような国内生
産者を EU が定義する国内産業に含めていないことは、AD 協定第 4.1 条
及び第 3.1 条に違反するという中国の申立に関し、パネルは「大部分」
(major portion)という用語の解釈を誤っており、EC が推定のみに依存
していることだけでは国内産業の定義が AD 協定第 4.1 条違反とするには
不十分であると結論づけたこと、及び中国が提起した非定量的要素は本
件でも一般的にも関連性がないと結論付けたことは誤っている。
3.
EU が代表的ではない生産者のサンプルに関して損害を決定したことは
AD 協定第 3.1 条及び第 4.1 条に違反するという中国の主張に関し、パネ
ルが「統計的に意味のあるサンプルのみが損害の決定にあたって十分に
全体を代表しているという主張は受け入れることができない」と結論づ
けたこと、及び中国は EU の調査当局がその自ら定義した国内産業に関し
て損害の調査を行うことができたはずである、もしくは少なくともサン
プルにより多くの生産者を含めることができたはずであることを示して
いないと結論づけたことは、誤っている。
4.
EU が留め具の調査におけるダンピング決定に関して AD 協定第 2.4 条に
違反している、という中国の主張に関して、パネルが、公平な比較を行
うためにどのような情報が必要かを利害関係者に示さず価格の比較可能
性に影響を与える相違を調整する機会を与えなかったことは AD 協定第
2.4 条に違反する、という中国の申立を検討しなかったことは DSU 第 11
条及び AD 協定第 17.6 条に違反し、AD 協定第 2.4 条の解釈を誤っている。
産品管理番号にて特定されている特徴が価格比較可能性に影響を与える
か、及び物理的な特徴における相違の調整が保証されているかについて
評価を行わなかったことにより EU は AD 協定第 2.4 条に違反していると
いう中国の主張を拒絶したことについて、パネルは AD 協定第 2.4 条の解
釈を誤っている。中国は産品管理番号の特徴は価格比較可能性に影響を
与える相違を示すという結論を支える証拠を何ら示さなかったと結論づ
けた点について、DSU 第 11 条及び AD 協定第 17.6 条が要求する「客観的
WTO 紛争解決関係等 2011 年 7 月のニュース ⎜August 2011
評価」(objective assessment)を行っていない。パネルは定性的相違に必
要な調整を行っていないことにより AD 協定第 2.4 条に違反しているとい
う中国の申立を拒絶したことにおいて、AD 協定第 2.4 条の解釈を誤って
いる。
5.
EU が申立人及び申立の支持者の特定を非公開とすることに関し AD 協定
第 6.5 条、第 6.4 条及び第 6.2 条に違反しているという中国の主張に関し、
パネルは認定を誤っている。
6.
EU は、MET/IT(市場経済テスト/個別取扱い)の申立を提出する期間
を調査開始の通知から 15 日に限定したことは、AD 協定第 6.1.1 条に違反
しているという中国の主張に関し、パネルは同条項の「質問書」の解釈
を誤っており、認定を誤っている。
<上級委員会報告書>
上級委員会報告書の内容は以下のとおりです。
1.Basic AD Regulation 第 9(5)条について
1994 年ガット第 I:1 条の最恵国待遇(MFN)義務違反を争いの意味がなく
(moot)法的意味をもたない、とした点を除いて、一部理由が異なるものの、
パネルの判断を支持し、ほとんど中国の主張が認められる結果となった。
2.AD 協定第 4.2 及び 3.1 条について
EU 全体の留め具生産の 27 パーセントを占める生産者を国内生産の「主要な
部分」を代表するとして国内産業と定義しようとすることは AD 協定第 4.1 条
に違反しないとしたパネルの判断は誤っているとして、同条違反を認めた。
損害決定の目的で国内産業のサンプル選定に関して AD 協定第 3.1 条違反の主
張が不十分であること、申立とは異なる見解を有する生産者や 15 日以内に手
続を行わない生産者を含めないという事実のみをもって AD 協定第 4.1 条及び
3.1 条違反を示すものではないという点について、パネルの判断を支持し、
EU の主張が認められた。
3.留め具の調査におけるダンピング決定の局面について
本件の関連事実及びAD協定第 6.4 条における認定に関し、AD協定第 2.4 条の
最後の文 8 を考慮に入れなかったことは同条項の適用をパネルが誤っており、
製品のタイプについての情報を適時開示しなかったことでEUは公正な比較を
確保するためにどのような情報が必要かということを当事国に示すことを
怠っておりAD協定第 2.4 条に違反する。
その他についてはパネルの判断を支持し、一部中国の主張を認め、一部 EU
の主張を認めた。
____________________
8
The authorities shall indicate to the parties in question what information is necessary to ensure
a fair comparison and shall not impose an unreasonable burden of proof on those parties.
(当局は、関係当事者に対して、公正な比較を確保するためにいかなる情報が必要であ
るかを示すものとし、また、不合理な立証責任を課してはならない。)
8
WTO 紛争解決関係等 2011 年 7 月のニュース ⎜August 2011
4.AD 協定第 6.5 条及び第 6.5.1 条について
秘密情報の取扱いについての AD 協定第 6.5 条違反のパネルの認定を覆したも
のの、他の認定は支持し、反上訴の範囲外とされた主張もあった。
5.申立人の特定についての情報を公開しなかったことに関する AD 協定第
6.2 条及び 6.4 条違反の主張が、DSU 第 6.2 条の元でパネルの審判対象内であ
るというパネルの認定を覆し、EU が申立人と支持者を開示しなかったことは
AD 協定第 6.2 条及び 6.4 条違反ではないとしたパネルの認定を意味がないも
のと(moot)宣言した。
6.AD 協定第 6.1.1.条に関し、"Market Economy Treatment and/or Individual
Treatment claim form"は AD 協定第 6.1.1 条の「質問書」(questionnaire)では
なく、その回答期間として 30 日を設けなかったことは、同条項違反ではない
としたパネルの認定を支持した。
本件に関する、DSU 第 11 条及び AD 協定第 17.6 条違反の主張は、反上訴の
範囲外であるとして判断を行わなかった。
上級委員会は紛争解決機関(DSB)に、EU に対し、協定非整合な措置を整合
的にするように勧告することを提言した。
2011 年 7 月 11 日
米国-えびに対する AD 措置(ゼロイング)
(ベトナム)(DS404)パネル報告書発出
2011 年 7 月 11 日(ジュネーブ時間)、米国-ベトナム産えびに対する AD 措
置(ゼロイング)(ベトナム)(DS404)のパネル報告書が発出されました。
本件は、2010 年 2 月 1 日、ベトナムが米国に対し、その冷凍温水えびに対す
るアンチ・ダンピング措置の WTO 協定違法性を問題にして協議要請を行っ
た事案です。行政見直し、新規事業者見直しに加えて、米国法、規制、ゼロ
イングを含む行政手続の協定整合性が問題になりました。
パネル報告書 9 の概要は以下のとおりです。
(a) 「問題になっている慣行の継続的利用」("continued use of challenged
practices")で構成される措置は、パネルの審判対象外である。
(b) ゼロイング措置 10 の適用は、AD協定第 2.4 条違反。AD協定第 9.3 条、同
2.1 条及び 2.4.2 条並びに 1994 年ガット第 6 条 2 違反のベトナムの主張には訴
訟経済を適用する。
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9
パネル報告書は以下のリンクでご覧になることができます。
http://www.wto.org/english/tratop_e/dispu_e/404r_e.pdf
10
ゼロイング措置とは、最終的なマージンとなる平均値をとる際、マイナスのマージ
ンをゼロとみなす手法をいいます。
9
WTO 紛争解決関係等 2011 年 7 月のニュース ⎜August 2011
(c) 行政見直しのシンプル・ゼロイング 11 に関連する、ゼロイング措置そのも
のについては、AD協定第 9.3 条及び 1994 年ガット第 6 条 2 に違反する。
(d) USDOC の決定が、第 2 及び第 3 の行政見直しの調査に限定されいている
ことは、AD 協定第 6.10、9.3、11.1、及び 11.3 条に違反するというベトナム
の主張・立証は不十分。
(e) 第 2 及び第 3 の行政見直しにおいて米国の AD 協定第 6.10.2 条違反がある
というベトナムの主張は、主張・立証不十分。
(f) 問題となっている行政見直しにおいて米国は AD 協定第 6.10.2 条第 2 文に
違反しているというベトナムの主張は、主張・立証不十分。
(g) ゼロイングを用いて計算されたマージンに基づいて決定された「その他」
("all others")レートを、第 2 及び第 3 の行政見直しで米国商務省(USDOC)が
用いたことにより、米国は、AD 協定第 9.4 条に違反している。AD 協定第 9.3
条、2.4.2 条及び 2.4 条違反のベトナムの主張については、訴訟経済を行使す
る。
(h) 「その他」("all other")レートに関する AD 協定第 17.6(i)条違反のベトナ
ムの主張は、パネルの審判対象外である。
(i) 第 2 及び第 3 の行政見直しにおいて、「その他」("all other")レートをベ
トナム全域の主体に適用しなかったことは AD 協定第 9.4 条に違反する。
(j) USDOC が第 2 の行政見直しにおいて、「知ることができた事実」(facts
available)をベトナム全域に適用するレートとして指示したこと、及び第 3 の
行政見直しにおいて用いられた実質上「知ることができた事実」に基づく
レートは、AD 協定第 6.8 条に違反する。
(k) ベトナム全域に適用するよう指示されたレートに関する AD 協定第 17.6 条
(i)違反の主張は、パネルの審判対象外。
(l) これに続く、ベトナムの AD 協定第 9.3 条、11.1 条及び 11.3 条違反の主張
は、パネルの審判対象外。
DSU 第 3.8 条により、ベトナムは利益の無効化又は侵害が認められる。
DSU19.1 条に基づき、米国に AD 協定及び 1994 年ガット違反の措置を是正す
ることを勧告する。
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11
シンプル・ゼロイングとは、輸入取引ごとに比較がなされる個々の取引同士の比較
方法及び加重平均と個々の取引との比較方法でのゼロイング手続を指します。これに
対し、モデルごとに比較がされる加重平均同士の比較方法でのゼロイングを「モデル
ゼロイング」といいます。
10
WTO 紛争解決関係等 2011 年 7 月のニュース ⎜August 2011
2011 年 7 月 6 日
武器輸出三原則見直しを提言
防衛省研究会
2011 年 7 月 6 日、防衛省の防衛生産・技術基盤研究会において、中間報告が
とりまとめられ、座長の白石隆氏(政策研究大学院大学学長)から、国際共
同開発や生産に参加するための武器輸出三原則の見直し等の提言が行われま
した。同研究会は、来年 2 月までに最終報告書をまとめる予定です。
2011 年 7 月 5 日
中国-鉱物資源輸出規制(米国、EU、メキシコ)
(DS394, 395, 398)パネル報告書発出
2011 年 7 月 5 日(ジュネーブ時間)、中国-鉱物資源輸出規制(米国、EU、
メキシコ)(DS394, 395, 398)のパネル報告書が発出されました。
本件は、2009 年 6 月 23 日、米国が中国に対し、その様々な鉱物資源の輸出規
制に関して 1994 年ガット及び中国加盟議定書違反を主張して協議要請を行っ
たことに端を発する案件です。同年 7 月 2 日に EU が、同月 6 日にカナダ、メ
キシコ及びトルコが、協議への参加を要請しました。
2009 年 12 月 21 日、DSB は、米国、EU、及びメキシコのパネル設置要請を受
けて、単一のパネルを設置しました。アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チ
リ、コロンビア、エクアドル、EU、インド、日本、韓国、メキシコ、ノル
ウェー、台湾、トルコ及びサウジアラビアが第三者参加を行いました。
パネル報告書 12 の概要は以下のとおりです。
本件は、中国からの鉱物資源の輸入に関して採られている 4 つの型の輸出規
制に関するものである。これら鉱物資源は、ボーキサイト(bauxite)、コー
クス(coke)、ホタル石(fluorspar)、マグネシウム(magnesium)、マンガ
ン(manganese)、シリコン・カーバイド(silicon carbide)、シリコン・メタ
ル(silicon metal)、黄リン(yellow phosphorus)、及び亜鉛(zinc)である。
中国はいずれの鉱物資源についても主要生産者である。
申立国は、本件輸出規制により、供給不足を招き、グローバル市場において
鉱物資源の価格高騰を招いていると主張した。これに加え、中国の国内産業
は、鉱物資源の十分な供給と、より低価格でかつより安定した価格によって
有利な立場に立っていると主張した。
WTO に加盟することにより、中国は、加盟議定書の附属書に挙げられている
多くの製品を除く全ての製品の関税を撤廃することを約束した。また、同議
定書において、輸出割当も行わないことを約束している。
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12
パネル報告書は、以下のリンクでご覧になることができます。
http://www.wto.org/english/tratop_e/dispu_e/394_395_398r_e.doc
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WTO 紛争解決関係等 2011 年 7 月のニュース ⎜August 2011
パネルは、輸出税は中国加盟議定書(パラ 11.3)に違反していると認定した。
また、輸出割当は、WTO 協定(1994 年ガット XI:1 条)に違反していると認
定した。
さらに、パネルは、輸出税は、1994 年ガット第 20 条の一般例外(20 条(g), 20
条(b))にも該当しないと認定した。また、パネルは、仮に中国が輸出税規制
の例外のいずれかを主張しうるとしても、本件ではその要件を充足していな
いとした。
中国は、輸出税及び輸出割当に関連し、枯渇しつつある鉱物資源については、
枯渇天然資源の保護のためであると主張した(1994 年ガット第 20 条(g))。
しかしながら、中国は、その輸出税及び輸出割当が、天然資源保護のために
行われていることを関連づけることができなかった。パネルは、WTO のルー
ルの下で、輸出割当を正当化する枠組の採用について中国が正しい方向に向
かっていることを認識しつつも、同じ枠組みが国内生産者にも適用される必
要があるので、当該枠組みが WTO 協定整合的であるには至っていないと判
断した。
その他の鉱物資源について中国は、輸出割当と輸出税は市民の健康を維持す
るために必要であると主張した(1994 年ガット第 20 条(b))。しかしながら、
中国は、輸出税と輸出割当が、短期及び長期的にみて公害の減少につながり
国民の健康を増進することに貢献するということを立証することができな
かった。
中国は、通商権(right to trade)(WTO において認められている市場アクセ
ス及び非差別の規定に並行して中国政府から企業に対して与えられる権利)
に対するいかなる制限も取り除くことを約束している。申立国は、その通商
権の主張のほとんどについて主張を認められた。
輸出割当の管理及び割当に関し、中国は、米国及びメキシコからの申立に関
しては一部防御に成功したが、EUからの申立に関しては防御できなかった 13 。
パネルはまた、対象製品の一部に適用されている輸出ライセンス規制につい
ても、鉱物資源輸出の制限になっており、WTO協定違反であると認定した 14 。
最低限輸出価格要請についても、1994 年ガット違反(6 条 1, 10 条 1)を認定し
た。
本件は、中国の鉱物資源輸出規制により鉱物資源が品薄になっていたところ、
協議では解決せずに、必要に迫られて申立に至ったケースで、参加第三国の
数に表象されるように、多くの関心を集めました。日本も、鉱物資源の多く
を中国に大きく依存していることが明らかとなり、調達先について企業が対
策をとる契機ともなりました。中国は、希少資源保護や市民の健康増進を理
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13
中国加盟議定書パラ 1.2、5.1、5.2、Working Party Report パラ 83(a)、83(b)、84(a)、
84(b)、1994 年ガット第 X:3(a)、X:1 条。
14
1994 年ガット第 XI:1 条、中国加盟議定書パラ 1.2、Working Party Report パラ 162、
165。
12
WTO 紛争解決関係等 2011 年 7 月のニュース ⎜August 2011
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由に防御をしたものの、その主張・立証は成功しませんでしたが、将来の規
制の方法によっては、これが認められる可能性も含む判断になっていると考
えられます。
本ニュースレターに関する
お問い合わせ先
本件については、2011 年 8 月 31 日に中国が、同 9 月 6 日に米国が、上訴しま
した。
弁護士 末冨 純子
+ 81 3 5157 2954
[email protected]
2011 年 7 月 1 日
韓国・EU 自由貿易協定(FTA)発効
東京青山・青木・狛法律事務所
ベーカー&マッケンジー外国法
事務弁護士事務所
(外国法共同事業)
2011 年 7 月 1 日、韓国と欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)が発効し
ました。相互に貿易品目の 99%超で関税を撤廃する高い水準の FTA で、欧州
市場で存在感を高めている韓国自動車メーカーや電機メーカーにとって追い
風になると考えられます。
〒100-0014
東京都千代田区永田町 2-13-10
プルデンシャルタワー
Tel + 81 3 5157 2700
Fax + 81 3 5157 2900
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(了)
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ファームです。専門的知識に基づくサービスを提供する組織体において共通して使用されている用語例に従い、「パートナー」とは、法律事務所におけるパートナーである者またはこれと同等の者を指しま
す。同じく、「オフィス」とは、かかるいずれかの法律事務所のオフィスを指します。
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