2015 サモア学生ボランティア派遣事業実施報告書

サモア独立国
平成 27 年度 学生ボランティア派遣事業
実施報告書
平成 28 年 3 月
国立大学法人 北海道教育大学
はじめに
本学生ボランティア派遣は本学が取り組んでいる JICA 草の根技術協力事業「サモア独立
国初等理数科教育における問題解決型授業の展開」に関わるものとして,また,北海道教育
大学国際交流・協力センター国際協力部門が関わるものとして,今回初めて企画されたもの
である。大学生がサモアを訪れ,現地の小学校や大学を訪問し,小学生,大学生,教員,青
年海外協力隊(JOCV)との交流を通じて,サモア国内の教育の現状や,JOCV の活動,本
学の国際協力活動を把握・理解してもらい,国際社会の一員としての意識を高めてもらうこ
と,彼らが得た知見や事業に関する意見を本学の国際交流・協力事業の活動に活かすことを
目的として行った。また本学の国際協力事業の内容を学生,市民等に広める活動への協力,
青年海外協力隊等の国際協力活動に興味・関心をもってもらうことや各自の将来の職業や
活動に本事業の経験が活用されることを期待し実施したものである。
これまで本学国際交流・協力センター国際協力部門では,海外から研修員が参加する初等
理数科教授法において学生が研修の一部を見学する機会などはあったものの,海外での展
開が主体である草の根事業では学生が関わる機会は皆無であった。さらに国外での学生の
国際協力活動も初であり,本学にとっては新たな試みであった。サモアに学生を派遣するこ
とに対して上述のような様々な期待を抱くとともに,途上国への派遣ということで大学,セ
ンター,指導教員がもつ不安もあった。サモアは南太平洋の国々の中でも危険度の低い国で
あることは知られているが,安全面への配慮を十分に行い学生の安全を確保するために,本
事業の準備段階で平川伸明プロジェクトマネージャー,サモアに長期滞在している水口美
知子サブプロジェクトマネージャーに詳細な調査を行っていただき,小学校実習校,ホーム
ステイの実施場所,宿泊先などの選択を行っていただいた。また実施日程中も,平川,水口
両氏の協力により,問題なく安全に活動を終え,帰国することができた。この場を借りて,
両氏に厚く御礼申し上げる次第である。現地での小学校実習は,JOCV の方々の協力がなけ
ればなし得なかった。サモアの教育の現状を説明していただくとともに授業の様子を見学
させていただいたが,児童・先生方からの歓待も受け,素晴らしい環境で実習を行うことが
できた。JOCV の方々の細やかな心遣いに深く感謝している。本学の国際協力アドバイザー
でありサモアでの滞在経験が豊富な作原逸郎先生,高山賢吉先生,本多彰先生からは,機会
のある度にサモアでの教育事情や滞在のための有益な情報をいただき,深く感謝している。
最後に,学生ボランティア派遣という新たな企画を進めるにあたり,蛇穴治夫学長,大津和
子副学長(国際交流・協力担当)には,ひとかたならずお世話になり,無事に終了すること
ができた。厚く御礼申し上げる次第である。
以下に活動の日程,内容等を簡単に報告する。本報告書が今後の同様の企画の際の参考に
なれば幸いである。
北海道教育大学札幌校
教授 高久 元
目
次
はじめに
目次
第1章
学生ボランティア派遣事業の概要
1
1-1
団員
1
1-2
実施期間
1
1-3
実施場所
1
1-4
表敬訪問先
1-5
ワークショップ実施校
1
1-6
学校実習実施校
1
1-7
日程
1
活動内容
2
第2章
2-1
JICA サモア支所表敬訪問
2
2-2
地元新聞社 Samoa Observer への訪問
2
2-3
小学校実習
3
2-4
ワークショップ補助
5
2-5
サモア国立大学日本語学科学生との交流
5
2-6
サモア生活文化体験(ホームステイ)
6
2-7
反省会(振返り)
8
9
最後に
付属資料
1.日程表
11
2.サモア全図(小学校配置図)
13
3.学生報告書
15
4.学生アンケート結果
25
5. サモア学生ボランティア画像集
31
6-1. Samoa Observer 記事
39
6-2. 函館新聞記事
40
6-3. 北海道新聞記事
41
7. (参考)実施要領
43
第1章
学生ボランティア派遣事業の概要
1-1 団員
氏名
髙久
元
役職
団長
TAKAKU, GEN
尾芝 望海
団員
団員
KOMORI, KANOKO
相澤 琢郎
団員
AIZAWA, TAKURO
木戸 寿樹
団員
KIDO, TOSHIKI
殿山 真吾
北海道教育大学
活動内容
団員引率,総括
札幌校
OSHIBA, NOZOMI
小森袈乃子
所属
団員
DONOYAMA, SHINGO
北海道教育大学
小学校実習(レウルモエガ小学校),ワ
札幌校
ークショップ補助,サモア国立大学日本
北海道教育大学
語学科学生との交流,サモア生活文化体
札幌校
験(ホームステイ)
北海道教育大学
同上
函館校
(小学校実習:ファガリイ小学校)
北海道教育大学
同上
函館校
(小学校実習:アフェガ小学校)
北海道教育大学
同上
函館校
(小学校実習:サオルアファタ小学校)
1-2 実施期間:2016(平成 28)年 2 月 20 日(日)~29 日(火)
(10 日間)
1-3 実施場所:サモア独立国
1-4 表敬訪問先:
JICA サモア支所,
,
MESC(Ministry of Education, Science, and Culture:サモア教育・スポーツ・文化省)
Samoa Observer(地元新聞社)
1-5 ワークショップ実施校:
ファレフィツ小学校,バイガガ小学校(ウポル島)
,サライルア小学校(サバイイ島)
1-6 学校実習実施校:
ファガリイ小学校,サオルアファタ小学校,レウルモエガ小学校,
アフェガ小学校,サモア国立大学(いずれもウポル島)
1-7 日程:
付属資料1「日程」参照
1
第2章
2-1
活動内容
JICA サモア支所表敬訪問
JICA サモア支所の鈴木秀幸所長,
中曽根徹治調整員,
木下史夫調整員の 3 名にお会いし,
今回の学生ボランティアの団員紹介,内容説明の後,所長から草の根技術協力事業「サモア
初等理数科教育における問題解決型授業の展開」についての説明をいただいた。子ども達の
基礎学力が低く,九九ができない子がいる現状や,サモア国立大学でも数学や理科の成績が
低いことなどがあり,本学の草の根事業が注目されているとのことであった。学生ボランテ
ィアには,サモアの学校の様子を見て,サモアの初等理数科における問題点を見出すことを
期待しているとのことだった。なお,サモア近海の海流は非常に速いため,浜辺から 20m
ほどのサンゴ礁から外へ出ることは大変危険であり,過去にも事故が起こっているので十
分注意するようにとのことであった。
中曽根調整員からはサモアにおける ODA 事業に関しての説明があった。ODA 事業には
有償資金協力,無償資金協力,技術協力の 3 つがあること,無償資金協力については港湾改
修,護岸事業など,有償資金協力については太陽光発電など,技術協力については,現地に
根付いた事業として今回の草の根事業,廃棄物処理に関する事業,浄水に関する事業などが
行われていることの説明があった。
最後に木下調整員から JOCV についての説明があった。目的は海外での様々な面での支
援協力であることはもちろんだが,友好親善,相互理解の大切さや活動で得たことの社会還
元も大事であることを強調されていた。
2-2 地元新聞社 Samoa Observer への訪問
草の根事業,学生ボランティアの活動を地元新聞社に記事として取り上げてもらうため
に,平川氏,水口氏,石井洋先生(函館校),樋渡剛志先生(附属札幌小学校)
,小野晴子先
生(附属旭川小学校教諭)
,学生 5 名,高久の計 11 名で Samoa Observer を訪問した。草
の根事業で,サモアの初等理数科のレベル向上ための問題解決型授業の研修,ワークショッ
プなどに取り組んでいること,今回は学生ボランティアも同行し,小学校実習,サモア国立
大学との文化交流などを行う予定であることなどを平川氏,水口氏,石井先生から紹介され
た。写真撮影,取材などを経て新聞掲載する旨の回答を得,新聞社内で全員の集合写真を撮
影してもらい,新聞社を後にした。その後,我々のサモア滞在中に 3 回に渡って,草の根事
業,ワークショップ,学生ボランティアに関する記事が写真とともに掲載された(付属資料
6-1)
。これまで新聞に取り上げられる機会が少なかったが,今回の記事により,初等理数科
教育に関する日本の取り組みの知名度がサモア国内で高まることが期待された。
2
2-3 小学校実習
私(髙久)は札幌校の指導学生 2 名(尾芝,小森)の実習校であるレウルモエガ小学校に
のみ同行したため,レウルモエガ小学校での実習に絞って報告する。レウルモエガ小学校は,
首都アピアから西へ車で 1 時間ほど進んだ,ファレオロ国際空港手前にある生徒数 80 名ほ
どの比較的小規模の小学校である。小学校には JOCV の酒井隊員が勤務しており,他に 5
名の先生が勤務されていた。校門を入ると小学校の敷地中央に芝の校庭が広がり,教室が右
手側に並び,奥には大きなファレ(サモアの伝統的な建物。多数の柱で支えられた屋根はあ
るが,壁,窓,扉はなく,高床で風通しがよい)がある。
9 時に始業の鐘が鳴り(掲揚ポールを石でたたいて知らせる)
,ファレに先生,子ども達
が集まり学年ごとに整列して朝会が始まる。酒井隊員の話では毎日あるわけではなく,むし
ろ珍しいようだ。朝会では歌やお祈りなどがあり,その後,日本側から簡単に英語で自己紹
介を行った。我々も子ども達も多少緊張していたためか,反応がやや弱く,事前にサモア語
での自己紹介を少しでも覚えて話してみるとよかったと反省した。その後,酒井隊員からカ
リキュラム,時間割,教科書などに関して説明があった。指導要領があり,それに従って先
生各自が考えて授業を行っているものの統一された教科書はないこと,英語力の問題で指
導要領を読みこなせない先生もいること,時間割はあるものの時間は厳密ではないこと,日
本のように系統性のあるカリキュラムが組まれているわけではないこと,研究授業をやる
ように言われているものの,実際には年 1 回程度しか行われていないなどサモアの初等教
育の現状を聞き,日本の教育システムとの隔たりを知った。また,優秀な子,裕福な家庭の
子はミッション系の私立学校に入ることが多く,教育格差もあるようだ。
実際に 1 年生から 8 年生(日本では幼稚園年長または小学校 1 年から中学校 1,2年ま
で)のクラスの授業を見させていただいた。普段の授業を見せていただけるよう,酒井隊員
にはご配慮いただいた。7,8 年生の理科では生物の分類の単元で,節足動物を例に説明さ
れていた。内容は日本の中学校・高等学校レベルに近く,板書中心・知識教授型の授業であ
り,小学校よりも大学の授業に近いと感じられた。1,2 年生のクラスでは突然,担任の先
生に授業を頼まれ,急遽酒井隊員が英語の授業(様々な色の英単語を学ぶ)を行い,学生が
その補助に回った。また,学生たちが主体になって折り紙の授業を行うなどもした。折り紙
の授業では子どもたちは学生の手元を見ながら自分たちで折ったり,他の子が折っている
様子を見てまねたり,あるいは学生たちに手伝ってもらいながら,紙風船を完成させて遊ん
でいた。その後は 3,4 年生の算数の授業の補助も行ったが,13-5 などの筆算ができない
子が少なくないことを目の当たりにし,サモアの教育の現状を知ることができた。筆算のや
り方を理解させるために,酒井隊員が考案した卵のケースやキャップを使った指導の補助
も行い,低コスト教材について考えるよい機会になった。
午前の授業が終わり,日本では給食の時間となるが,サモアの子ども達は昼食を食べに家
に帰る,または,買い食いをするとのことで,実際に袋入りの菓子を買って食べている子も
3
いた。我々は先生方と一緒にファレで,タロイモ,鶏肉と茄子の煮物,地鶏のスープ,ココ
サモア(カカオを溶かした飲み物)などサモアの料理をいただいた。いずれも美味しかった
ものの食べきれない量で,酒井隊員の話では,ゲスト向けに量を多めに出しているとのこと
だった。昼食の準備,片付けなど(その他の校内の雑用など)は家事が上手な子どもが担当
しているとのことで,授業時間でも行っていた。サモアでは習慣となっており,文化として
認めなければならないことではあるが,日本では均等に与えられる教育の機会が,サモアで
はそうでない子もいることに心が痛んだ。学生も文化と認めながらも複雑な思いでいたよ
うだ。昼食後,また子ども達はファレに集まり,歌や踊りを披露してくれた。また最近体育
で学んだ活動も披露してくれた。最後に子ども達と写真を撮り,先生方に挨拶をし,校舎を
後にした。
今回の小学校実習では,予定外のことではあったが,子ども達に折り紙を教え,授業の補
助も行うなど,学生が子ども達と活動できる機会を作っていただいたことや,普段の授業を
見学させていただき,先生の教え方,子ども達の学ぶ姿勢を見せていただいたことでサモア
の教育を直接知ることができ,大変ありがたかった。学生たちも,サモアの学校はゆったり
とした雰囲気の中にあるが,子ども達は積極的に授業に参加していること,朝会での礼儀正
しい様子,日本と同じように小学校から英語教育がなされているが,サモアの子ども達の方
が英語をよく話せることなど,サモアの教育,子ども達の良さも知ることができたようだ。
なお,小学校実習終了後 MESC に集まり,函館校,札幌校の学生ボランティア,協力隊
員で反省会を行い,学生たちからは,以下のような感想や反省が出された。
・サモアの小学校で見ることすべてが刺激的だった。
・英語とサモア語の両方を使った授業が新鮮だった。
・大らかで,授業の時間や座席などが特に決まっていなかったことに驚いた。
・子ども達の発言が積極的であり,パワーも感じられた。
・子ども達は表情豊かに表現していた。
・子ども達が学校を楽しんでいる様子がよくわかった。
・英語,サモア語ができず,伝えたいことが伝えられなかった。
・日本の文化を伝えることができるように語学力を上げる必要があると痛感した。
今回の小学校実習では,JOCV の酒井隊員,江草隊員,萩尾隊員,渡辺隊員に大変お世話
になり,授業や学校の様子を見せていただくことができた。また先生,子ども達と触れ合う
時間や食事まで用意していただくなど,細やかな配慮をいただいた。この場を借りて,厚く
御礼申し上げる。
4
2-4 ワークショップ補助
JICA 草の根技術協力事業「サモア独立国初等理数科教育における問題解決型授業の展開」
の 2015 年度第 2 次短期専門家派遣として,北海道教育大学附属札幌小学校の樋渡剛志先
生,附属旭川小学校の小野晴子先生がサモアのパイロット校 3 校で教員対象ワークショッ
プを行い,その補助として学生たちが活動した。ファレフィツ小学校では,尾芝,小森,木
戸の 3 名,バイガガ小学校では相澤,殿山の 2 名,サライルア小学校では 5 名全員が補助
に入った。ワークショップでは,主に,以下の 3 点で補助を行った。
・先生方の活動の様子の記録(デジタルカメラ,ビデオでの撮影)
・プリントや教材の配布
・説明の補助(現地の先生方からの質問への対応)
ワークショップは小学校のファレか教室で行われた。暑い中,2 時間超におよぶワークシ
ョップでは,附属小の先生方も学生たちもほぼ立ったままでの活動で肉体的に大変だった
ことと思う。それでも,学生にとっては附属小学校の先生方が海外で授業をする様子を見る
貴重な機会となった。附属小学校の先生方の算数・理科に関する熟慮された教材,授業の進
め方や,生徒役の現地の先生方とコミュニケーションをとりながら授業を進めていく様子,
通訳を介さずに英語で説明する様子,躓きがちなところを反省しながら次のワークショッ
プでは改善してスムーズに進めていく様子など,学生たちにとって刺激になること,将来の
教職で参考になることなどが多々あった。また,現地の先生方が子どものように楽しんでワ
ークショップに取り組んでいる様子や,苦労しながらも教材(ペットボトル顕微鏡)を完成
させ,喜んで標本を見ている様子など,学生にとっては新鮮に感じたに違いない。一方,現
地の先生方の教材作りを手伝う際や,個別の質問に英語で説明することの難しさも感じた
だろう。言葉の面では,英語での説明が伝わりにくく,日本語から英語,英語からサモア語
と通訳してもらう場面があり,先生の間でも英語の能力に違いがあるということがわかっ
た点も驚きであっただろう。このように考えると,ワークショップの補助業務は,補助的活
動をしながら,附属小学校,現地の先生方から教育に関わる多くのことを学びとることがで
きる貴重な時間であったと思われる。
2-5 サモア国立大学日本語学科学生との交流
サモア国立大学教育学部日本語学科の日本語教師であるミネルバ先生にお会いし,日本
語を学ぶサモアの学生 24 名と交流の機会を持つことができた。なお,日本側からは学生 5
名,高久の他に,平川氏,水口氏,樋渡先生,小野先生,現地 JOCV の萩尾氏,横山氏の
計 12 名が参加した。
まず日本側から日本語と英語で簡単に自己紹介(JOCV はサモア語で自己紹介)を行っ
た。次にサモアの学生が自己紹介を行い,挨拶(おはようございます,ありがとうございま
5
す)
,自分の名前,年齢,日本語を勉強していることを,流暢な日本語で紹介していただい
た。次に 2 班(12 名ずつ)に分けて,1 班へは日本のおもちゃや遊びを紹介し,もう 1 班
へは北海道の自然,食文化,祭りなどを紹介し,15 分後に班を交代して再度紹介すること
とした。日本のおもちゃや遊びについての紹介は,函館校の学生(相澤,木戸,殿山)の 3
名が担当し,剣玉,万華鏡,独楽の遊び方を実際に示しながら説明し,サモアの学生にも実
践してもらった。箸,扇子なども見せて使い方を紹介した。北海道の自然,食文化,祭りな
どに関しては札幌校の学生(尾芝,小森)の 2 名が担当し,北海道内の様々な観光地,積雪
や除雪,雪まつりなど雪に関すること,ラーメンなど人気の食べ物をタブレットで画像を示
しながら紹介した。日本の遊び紹介は双方の学生が交流を楽しみながら紹介できており,笑
顔や歓声が絶えない時間だった。北海道の紹介は,初めて見る画像が多かったようで,関心
を持って,真面目に見ていた。2 班の紹介を終えた後,折り紙で紙飛行機を教え,皆で一緒
に飛ばしたが,折り方が上手で短時間で完成し,きれいに飛ばしていた。日本語だけでなく,
折り紙も含めて日本文化についても多少学んでいるように感じられた。
サモア側からは,お礼のあいさつと歌のプレゼント(幸せなら手を叩こう,Are you
sleeping brother John?の日本語の歌詞)があり,上手な日本語で披露してくれた。日本側
からは,卒業式の袴のカタログ,北海道のガイドブック,剣玉,万華鏡,ひな人形,風呂敷,
菓子などをプレゼントし,ミネルバ先生,学生の皆さんに大変喜んでもらえた。最後に教室
の外に出て集合写真を撮影し,ミネルバ先生にお礼を述べ,大学を後にした。今回の企画は
時間が限られていてできることも少なかったが,サモアの学生と交流しながら日本,北海道
の文化を伝えることができていたように思われる。学生も画像の収集や英語での説明など
入念に準備して臨み,その真摯な姿勢はサモアの学生にも理解してもらえたようで,学生た
ちの反応も良かった。
日本語学科の学生は日本語への興味が高く,彼らのサインの求めに応じて漢字やひらが
なで名前を記入すると大変喜んでくれた。英語での説明もしながら,単語や短いフレーズな
ど日本語もできるだけ使ったり,黒板に平仮名と英語で書いたりすると,双方の語学の勉強
になるだろう。そのためには,やはりある程度時間が必要であるが,今回の交流がサモア国
立大学日本語学科の講義の 1 コマ分と考えると 1 時間半ほどの時間での活動は適当であっ
たのかもしれない。
2-6 サモア生活文化体験(ホームステイ)
学生ボランティアの主要な企画の 1 つとして,サモア生活文化体験(ホームステイ)が実
施された。現地の生活を実際に体験し,サモアの実生活,文化などについて理解するために,
5 名の学生がサバイイ島の 3 軒の家庭でお世話になった。普段大学で行っている研修やフォ
ローアップなどでは現地の方の自宅に泊まる機会はなく,実生活については文献から見聞
きする情報や,JICA 現地事務所の方や JOCV から聞く情報だけであった。勿論,これらか
らでも間接的に人々の暮らしを知ることはできるが,実際に自らが現地の生活を体験し肌
6
で感じ,人々とコミュニケーションをとることで文化や生活を深く理解できるであろうこ
とは想像に難くない。また自分が体験したことほど,鮮明に記憶され,実感を交えて人に説
明できる。将来教員となる学生には,学生の時期に様々な実体験を積み重ねて欲しいと常々
思っているが,今回のホームステイは,その実体験であり,しかも普段の旅行ではまず経験
できない貴重な体験である。同じ時期にワークショップのために同行した附属小学校の先
生は,学生からホームステイの様子を聞き,
「今度は是非自分がホームステイに……」と思
うほど,魅力的な経験になったようだ。
尾芝,小森の両名はサライルア小学校前校長のレツーサさんのご自宅にお世話になった。
レツーサさんの自宅はサライルア小学校から車で 3 分ほどの非常に近いところにあり,大
きなファレが印象的である。今回のホームステイでは,最もサモアの伝統的,典型的な生活
に近かったようだ。学生たちは,日焼けすることを忘れて子ども達と海での釣りや水遊びに
熱中したり,ファレでの一家団欒の時間を楽しんだり,サモアの衣装やアクセサリーをいた
だいたりなど,語り尽くせないほどの経験をしたようである。両名とも前日から腹痛に悩ま
されていたこともあり,食事には配慮していただいた。ご飯,ラーメン,魚のココナッツ煮,
パンの実,卵料理など様々なものを用意していただき,食べられるものをいただくという形
であったとのことで,ご配慮に深く感謝している。お陰でホームステイ中は,腹痛のことは
全く気にならないほど楽しんだようだ。
相澤,木戸の両名は現地 JOCV の松浦隊員がお世話になっている,サレラバル小学校近
くのスアリイさんの自宅にお世話になった。彼らは一般的な扉,窓のある住宅とその近くの
海沿いにあるファレで生活し,食事や団欒は住宅で,寝る際はファレに移動して蚊帳を張っ
たファレの中で一晩を過ごしたとのことだった。きれいな海が目の前に広がる良い環境で,
現地の新鮮な海の幸を堪能したり,現地の人たちとバレーボールを夜遅くまで楽しんだり
と,あっという間に時間が過ぎたようである。
殿山は現地 JOCV の池下隊員がお世話になっているイバ小学校近くのフィツさんの自宅
にお世話になった。村長ということで,住居は 2 階建てで部屋数も多く立派な建物で,挨拶
に伺った際には既にベッドルームなども用意していただいており,歓待を受けたようだ。こ
ちらもたくさんの現地の伝統料理(タロイモやココナッツを使った料理,フルーツなど)で
もてなしを受けたり,村の中を散歩して道で会う人から挨拶されるのがごく普通のことで
あることに新鮮な感動を覚えたり,サモアと日本の文化の違いを肌で感じる貴重な機会に
なったようだ。
彼らのホームステイ体験を聞いていると,昔の古き良き日本の生活と似ている点がいく
つもあり,今の日本で失われているものがこちらでは残っていることを感じる。そのことは
現代の学生にとって新鮮な驚きでもあり,感動でもあったようだ。サモアの伝統的な暮らし,
サモアの方々の大らかさ,優しさを感じ,サモアの自然,文化に触れる機会を提供いただい
たホームステイ先のご家族の皆様,JOCV の池下隊員,松浦隊員にはこの場を借りて厚く御
礼申し上げる次第である。
7
2-7.反省会(振返り)
サモア出国当日の 2 月 28 日に,これまでの活動を簡単に振り返って,感想,反省などを
学生たちから述べてもらった。印象に残った学生たちの言葉を以下にまとめる。なお,本報
告書とは別に学生が作成した報告書(付属資料 3)があり,詳細に関してはそちらに譲る。
・小学校での体験はすべてが刺激的であった。
・JOCV の方々と接し,協力隊の魅力を感じた。
・今回の経験を,今後日本で活かせるように考えていきたい,
・サモアの人たち,JOCV の方々,今回のメンバーや附属の先生方との出会いは,自分にと
ってとても大きな出会いであった。
・ワークショップでは,日本でやっていること(日本の教育,問題解決型授業)が世界で活
用できることを知った。今後,日本で自信をもって自分の将来の道に進んでいきたい。
・ホームステイで現地の文化,生活を経験することができた。同時に,小学校のことを知る
前に,まず現地の人がどのような生活をしているかを知らなければならないということも
実感した(小学校の中にサモアの文化が根付いている部分もあるため)。
・サモアに来るまでは不安なこともあったが,ホームステイで文化を体験できたことは大き
かった。
8
最 後 に
正味 6 日間という短いサモア滞在ではあったが,学生たちは一般的な旅行では経験でき
ないことを数多く経験した。20 代前半の活動力,吸収力のある時期に,海外の小学生,大
学生,先生方,JOCV と触れ合い,普段の授業を見学し,言葉を交わし,文化を理解すると
いった,非常に中身の濃い活動をした。このことは彼らの今後の人生に少なからず影響を与
えるだろう。ある者は,途上国での支援に携わりたいと感じ,将来,青年海外協力隊員とし
て活躍するかもしれない。ある者は,日本での教育に携わりながら,子ども達にサモアの教
育事情やサモアの子ども達の様子を紹介するかもしれない。また,ある者は海外の教育に興
味を持ち,様々な国の教育を見て回るかもしれない。そのような思いを沸き立たせ,そして
実際に将来そのような仕事に従事するようであれば,今回の学生ボランティアが与えた影
響,果たした役割は大きかったと言えるだろう。勿論,その成果が出るのはまだしばらく先
のことかもしれない。
学生ボランティア派遣では,準備の段階から平川氏,水口氏に多大なご尽力をいただき,
実施までたどり着いた。また現地では JICA サモア支所の方々,MESC 職員,JOCV の隊
員の方々,小学校の先生方や子ども達,大学の先生,学生など,数多くの方々の協力なくし
ては,現地で活動することは難しかった。皆様方の並々ならぬ努力,協力のおかげで,活動
を終えられたことに深く感謝している。参加した学生たちにも,数多くの有形無形の協力の
おかげで自分たちが貴重な経験をし,無事に活動し帰国できていることを理解し,多くの
方々への感謝の念を持ち続けてもらいたい。そして,今回得た貴重な経験を,これからの生
活の中で活かす機会をできるだけ作っていくことで,お世話になった方々へ報いて欲しい。
活かす機会は,大学や市民向けの報告会でサモアでの活動を報告することや,報告書の作成
にとどまらず,学校現場で児童・生徒に話す機会などもあるかもしれない。それらのことは
本学の国際協力事業の理解や発展に寄与するとともに,学生自身の成長にもつながるもの
と期待している。
予算,準備等で大変な点が多いことは重々承知しているが,今後,同様の学生ボランティ
ア事業が企画され,国際協力事業や途上国の教育などに高い関心をもつ学生が育っていく
こと,そして国際協力に貢献できる若い人材が育っていくことを祈念している。
9
10
付属資料1 日程表(サモア独立国 学生ボランティア派遣)
学生ボランティア
月日
曜
時間
尾芝 望海
2月21日
日
14:00
新千歳空港発(NZ4102/NH2154)
15:50
成田空港着
18:30
成田空港発(NZ90)
09:15
オークランド空港着
15:50
オークランド空港発(NZ992)
20:45
アピア空港着
22:30頃
10:00
2月22日
月
12:20頃
2月23日
火
高久
平川
水口
石井
樋渡
小野
機内
Hotel
Millenia
Samoa
○
○
○
○
Hotel Millenia Samoa チェックイン
○
○
○
○
JICA(独立行政法人国際協力機構:Japan International Cooperation Agency)サモア支所表敬訪問
Hotel
Millenia
Samoa
MESC(サモア教育・スポーツ・文化省:Ministry of Education, Sports and Culture)表敬訪問
地元新聞社訪問
夕方
Hotel Millenia Samoa 帰着
09:30
パイロット校(ファレフィツ小学校)ワークショップ補助
16:00頃
宿泊先
○
15:30
14:00
殿山 真吾
羽田空港着【移動:羽田空港⇒(京急・京成等)⇒成田空港】
14:10
土
木戸 寿樹
函館空港発(NH554)
12:40
2月20日
プロジェクト関係者
団長
相澤 琢郎
小森 袈乃子
反省会(振返り)
○
○
同 左
○
○
○
○
○
Hotel Millenia Samoa 帰着
08:30
JICA青年海外協力隊配属校実習(日本文化紹介・協力隊活動補助等)
15:00
ファガリイ小学校(萩尾JV)
反省会(振返り)(萩尾・江草JV同席)
サオルアファタ小学校(江草JV)
Hotel
Millenia
Samoa
○
Hotel Millenia Samoa 帰着
16:00頃
自主学習
8:00
14:00
11
2月24日
水
16:00頃
Hotel Millenia Samoa 玄関集合
JICA青年海外協力隊配属校実習(日本文化紹介・協力隊活動補助等)
同左
レウルモエガ小学校(酒井JV)
アフェガ小学校(渡邊JV)
反省会(振返り)(渡辺・酒井JV同席)
同左
Hotel Millenia Samoa 帰着
同左
09:30
パイロット校(バイガガ小学校)ワークショップ補助
15:00
反省会(振返り)
16:30頃
○
○
Hotel
Millenia
Samoa
○
○
自主学習
2月25日
木
○
○
Hotel Millenia Samoa 帰着
帰国
10:00
サモア国立大学日本語学科学生(約30名)との意見交換・交流(担当:Ms.ミネルバ先生)
12:00
MESC(サモア教育・スポーツ・文化省:Ministry of Education, Sports and Culture)訪問
14:00
【移動:サモア国立大学⇒(借上車)⇒フェリー乗り場(ウポル)⇒(フェリー:Lady Samoa II)⇒サバイイ島】
17:00
サバイイ島到着
Jet Over
Hotel
○
○
○
○
○
○
○
○
Hotel
Millenia
Samoa
○
○
○
○
機内
○
○
○
○
Jet Over Hotel チェックイン
2月26日
2月27日
金
土
9:30
パイロット校(サライルア小学校)ワークショップ補助
13:30
サモア生活文化体験(ホームステイ)
HF:Mrs.Letusa Amituanai
HF:Mr.Sualii Lapi
HF:Mr.Fitu Woon Soon
(前:サライルア小学校長)(@サライルア)
(松浦JVのHF)(@サレラバル)
(池下JVのHF)(@イバ)
11:30
Lusia's Lagoon Chalets集合(藤原JV合流)
14:00
【移動:フェリー乗り場(サバイイ)⇒(フェリー:Lady Samoa III)⇒ウポル島⇒(借上車)⇒Hotel Millenia Samoa】(松浦JV同行)
15:00
ウポル島到着
Hotel Millenia Samoa チェックイン
Home
Stay
自主学習
帰国準備・最終反省会(振返り)
2月28日
2月29日
日
月
18:30
Hotel Millenia Samoa チェックアウト
21:45
アピア空港発(NZ997)
00:45
オークランド空港着
09:55
オークランド空港発(NZ99)
16:55
成田空港着
17:55
成田空港発(NH2155)
19:40
新千歳空港着
【移動:成田空港⇒(京成・京急)⇒蒲田】 チサンイン蒲田 チェックイン
3月1日
火
10:30
羽田空港発(NH553)
11:50
函館空港着
蒲田
○
○
○
12
付属資料 2 サモア全図
Savai’I Island
2/26 パイロット校 WS
2/24 尾芝・小森実習校
2/23 木戸実習校
2/24 パイロット校 WS
2/23 殿山実習校
Upolu Island
APIA Urban Area 内
・Falefitu 2/23 パイロット校 WS
・Fagali 2/23 相澤実習校
13
14
付属資料 3
サモア独立国への学生ボランティア派遣
学生報告書(その 1)
北海道教育大学札幌校
教員養成課程基礎学修開発専攻
4 年 尾芝 望海
1.サモアでの活動について
本プログラムでは、短期専門家のワークショッ
プ補助や JICA 青年海外協力隊の方が勤務してい
るサモアの小学校訪問、さらにサモア国立大学に
おいて日本語を学んでいる学生との交流の場が設
けられていました。
ワークショップにおいては、現地の先生方が算
数・理科の問題解決型授業の教授法に関心を持っ
て取り組む姿が見られ、教育のメソッドが不十分
であることが教育現場における問題点の 1 つであ
ると感じました。さらに、母国語のサモア語ではな
図 1:ファレフィツ小学校でのワークショ
ップ(算数)の様子
く英語に訳して進行していた為、先生方の理解度が英語の理解力に左右されてしまったり、算
数や理科の教授内容について根本から理解できていなかったりと、先生方の学習能力によって
効果に大きな差が生じている印象を受けました。しかし、理解が難しい状況においても、多く
の先生が新しいメソッドに興味を抱き、今後の教育に取り入れようとする姿勢を拝見し、子供
たちの将来に繋がる可能性を感じました。
小学校訪問においては、日本とサモアの学校の様子の違いに驚きを隠せず、文化や価値観の
違いが大きく影響していることを肌で感じると共に、児童の実態を知ることができました。ま
た、勤務しておられる JICA 青年海外協力隊の方から、物資などの援助は足りているが、
“人
材”が不足していることを聞き、支援の難しさを知ることができました。
2.サモアの教育について
サモアの教育は、カリキュラムに沿って
行われていますが、各先生方の采配や能力
が大きく影響しており、中にはカリキュラ
ムの内容を理解できていないまま授業を進
めている先生もいると聞きました。また、学
校ごとに授業時間やコマ数は決められてい
ましたが、サモア国民の多くが時間をあま
り気にしない気質である為、多くの学校が
図 2:レウルモエガ小学校を訪問した際の集合写真
それを順守しておらず、児童に十分な学習量を与えることができていない状況でした。加えて、
年功序列を重んじ、おもてなしの文化が根強い為、ワークショップや訪問となると、もてなす
ための準備を児童が行い、授業に参加できなかったり、学校が急遽午前で休みになったりと、
15
現在の日本では考えられない状況を目の当たりにしました。しかし、これらはサモア独自の尊
重すべき文化や慣習と結びついており、文化と教育の共存をどのようにして確立していくこと
が最善であるのかを考える良い機会となりました。
3.サモアでの生活体験について
サモアでの生活で最も印象に残っているものは、
ファレと呼ばれる伝統的な建物です。ファレは、図 3
にあるように床から数本の柱を立てて屋根を支えて
いる為、壁がなく、暑いサモアでも快適に過ごせる
空間を創り出しています。ファレは、サモアの人々
にとっては欠かせない建物で、ミーティングやお祈
り、憩いの場や住居など様々な形で活用されていま
した。本プログラムにおいても、ワークショップや児童
図 3:MESC のファレ
たちとの交流の場として活用されており、サモアの人々
の生活の中心にあると感じました。
本プログラムにおいて私たち学生は、ホームステイを
する機会をいただき、サモアでの日常を体験することが
できました。この経験から、サモアの人々は村の絆や人
との繋がりを大切にし、年功序列を重んじながらも、愛
情を持って子供に接していることを学びました。も
し、ホームステイを経験することなく、本プログラム
図 4:サライルアのホストファミリー
を終えていれば、サモアの文化に対する正しい理解が得られず、子供たちが恵まれていないと
感じていたかもしれません。しかし、ホストファミリーの温かい歓迎や子供たちの日常を見る
ことができたおかげで、彼らの文化を正しく理解すると共に、それを尊重することが大切であ
ると感じることができました。
4.本学の国際協力事業について
私は、本プログラムへの参加が決まり、初めて本学の国際協力事業について知りました。サ
モア以外の事業の詳細については調べきることはできませんでしたが、本学の取り組みが思っ
ていたよりも充実していたことを知ることができました。また、今回学生ボランティアとして
参加させていただけたことで、本学の技術支援が有意義なものであると身をもって感じること
ができ、より多くの学生に国際協力事業に関心を持ってほしいと思いました。学生ボランティ
ア派遣の実施は簡単なものではないと思いますが、学生にとっては非常に貴重な経験となるの
で、今後も継続的に実施されることを願っています。
(以 上)
16
サモア独立国への学生ボランティア派遣
学生報告書(その 2)
北海道教育大学札幌校
教員養成課程総合学習開発専攻
4 年 小森 袈乃子
1.サモアの教育
短期専門家の樋渡先生、小野先生の補助として、ワークショップに参加させていただきま
した。事前に、サモアでは、理数科目について十分に理解しておらず、自分の苦手な分野に
ついては授業で扱わない教師も多いと聞いていました。ワークショップでは、現地の先生方
は生徒のように楽しみながら、確率や自然を扱う教材について学んでいましたが、先生方の
ノートのメモや作業の様子から、やはり、内容について十分に理解されていないと見受けら
れる先生もいらっしゃいました。
現地の小学校で実際に行われている授業を参観した時も、チョウの生活環を扱っていたの
ですが、内容に誤りがあったり、指導要領の様な本を見てそのまま黒板に写し、それを生徒
がノートに写すだけであったりと、先生のその分野への理解が不十分であると感じました。
算数の授業においては、10 になる組み合わせの足し算(1+9=10、2+8=10、…)を九九のよう
に繰り返し言って暗記させていましたが、少し応用して 13-5=?等の問題を出すと子ども達
は混乱しており、理解というよりは暗記が主流になっているように感じられました。
図 1.ファレフィツ小学校でのワークショップ(左:理科;右:算数)の様子
しかし、サモアではほとんどの人が難なく英語を使っていました。後から文法の学習は日
本と同じくらいのレベルであると聞きましたが、英会話力は日本と比較にならないほど身に
ついています。また、日本の学校に比べて授業時間が決まっておらず 1 回の授業が短いこと
もありますが、子ども達はすべての教科で授業への集中力が高く、与えられた作業や教材に
全員が真剣に取り組んでいました。サモアの子ども達は学習にとても熱心であると知り、今
回のプロジェクトにより現地の先生方の理数科目への理解が深まっていけば、サモア全体の
教育レベルは向上していくのではないかと感じました。
図 2.ラウルモエガ小学校での授業の様子(左:理科の授業;右:JOCV 酒井隊員による英語の授業)
17
2.サモア国立大学日本語学科学生への日本の紹介
サモア国立大学で私たちは、日本の建造物や、北海道の行事、食文化などについて写真を
用いて紹介しました。日本語を専門に勉強している学生だと聞いていましたが、実際には日
本の文化について詳しく知らない学生が多く、特に雪を見たことがないサモアの学生たちは
雪祭りの写真への反応が良かったです。サモアの街中を歩いていると、中国人と間違われ、
「ニーハオ!」と声をかけられることが多かったのですが、日本や日本語について学んでい
る学生もいるのだと知り、純粋に嬉しく感じました。
日本の写真を見せる中で一つだけ、日本の有名なアニメを知っているという学生が何人か
いました。日本のアニメ文化は世界で人気ですが、アニメ以外の文化や各国で行っている事
業などについても理解が深まるように,今回のようなプロジェクトを行って紹介していくべ
きではないかと感じました。
3.サモアでの生活
私たちが訪れた 2 月は雨季とのことで湿度が高く、サモアに着いて飛行機から降りた瞬間
肌がベタベタするほどでした。晴れている日が多く、気温も暖かく半袖で過ごすことができ
ましたが、雨の日は雨の量が多くて強く、日本であまり経験したことのない土砂降りの中歩
くこともありました。首都アピアがあるウポル島と、もう一つの島、サバイイ島の両方に訪
れましたが、ウポル島に比べ、サバイイ島の方が、海が綺麗であったり、非常に高さのある
ヤシの木がたくさん生えていたりと、自然が豊かであると感じました。
サモアの人々は全員と言っていいほどフレンドリーで、こちらが車で通りすぎる一瞬に目
が合っただけでも、他人の私たちに笑顔で手を振ってくれるほどでした。また、小学校やホ
ームステイなど、どこに行っても手厚くもてなしてくれました。
サモアにはファレという、柱と屋根だけの建物が多くの家庭や学校にあり、ホームステイ
の時も、まず初めにそこで家族と挨拶や自己紹介をしました。サモアでは,ファレは家族団
欒ができるリビングルームのような存在です。朝は早くから、夜は遅くまで起きているサモ
アの人々ですが、いつも誰かがファレにいて団欒を楽しんでいます。ホームステイではホス
トファミリーに近所を案内してもらい教会に行ったり、子ども達と釣りをしたりして過ごし
ました。娯楽として、村の人たちが集まってビンゴゲームもよく行われているようで、私も
参加させてもらいました。
「あなたのしたいことを、好きな時に、なんでもしていいよ」とホストファミリーに言わ
れましたが、彼らもその言葉通りに、暑かったら海に行き、お腹がすいたら家に帰り、とい
った生活していて、サモアの人々はその毎日の生活にとても満足しているように感じました。
図 3.サライルアのホストファミリーのファレにて
(以 上)
18
サモア独立国への学生ボランティア派遣
学生報告書(その 3)
北海道教育大学函館校
国際地域学科地域教育専攻
2 年 相澤 琢郎
「サモアで掴んだ切符」
今回の「サモア独立国学生ボランティア派遣」を経て、私は“外から見た日本”を多少なり
とも、理解することができたと思います。今回の派遣以前は、私は海外に出たことがなく、日
本の習慣や文化のみが体に染みついていました。しかし、実際にサモアで過ごした日々は、自
分が考えていた“当たり前”を変える体験ばかりでした。
サモアでは、現地の小学校を訪問、サモア国立大学での学生との交流、現地の先生方に向け
た、附属小の先生方によるワークショップ、ホームステイや JICA 青年海外協力隊の活動に参
加するなど、非常に興味深い体験をさせていただきました。どの活動でも現地の方々、今回の
派遣を共にした附属小の先生方、札幌校の学生、青年海外協力隊の方々等と関わることができ、
多くのことを学ばせていただきました。
私は今回のボランティア派遣で、特に印象に残ったものが二つあります。この二つから、サ
モアの「教育」と「文化」を肌で感じることができました。
一つ目は、青年海外協力隊の方々が配属されている小学校を訪問したことです。私が訪問し
た小学校は、ファガリイ小学校というところでした。ここでは、実際に教室に入り、授業の見
学やサモアの小学生、先生方と交流することができました。小学校という、一つの教育現場も、
国が違えば雰囲気や学習環境が全く違うものだと知りました。そこで特に、驚いたことは教科
書がなく、学習の柱立てがないことです。日本では、文部科学省が学習指導要領を作成し、そ
れに基づいて学習の目標や教育内容が定められています。しかし、サモアではそういったカリ
キュラムが定着されていない中で、授業が行われています。授業時間も、時間割は存在します
が、その通りに進められておらず、授業の始まりと終わりが毎授業で異なります。また、担当
する先生の教科の得意不得意でも授業時間に影響することがあるようです。サモア人は、時間
におおらかなので、そのことが教育現場にも反映されていることを目の当たりにしました。
一方、授業中の児童たちの様子は、活発に学習をしている印象でした。授業中に、臆せず挙
手をして、
「ぜひ自分を指名して」
「私に答えさせて」という姿勢を多くの子どもたちからうか
がい知ることができました。この姿勢は日本では、あまり見られないものだと思います。これ
はサモアに見習うべき点であり、こういった雰囲気を日本の学級でも作ることができると、よ
り良い学びができるのではないかと考えました。そのため、サモアの教育課程がより充実した
ものとなれば、子どもたちの意欲と絡み合い、サモアの学力が向上するのではないかとも感じ
ました。授業外では、サモアの子どもたちが校庭で走り回り、友だちと楽しそうに遊んでいる
様子を見ました。とてもいい笑顔を見せながら近寄ってきてくれたり、どんどん向こうから話
しかけてくれたりして、楽しく交流することができました。
二つ目に印象に残っていることは、ホームステイをしたことです。サモアで活動を行う中で、
様々な現地の方と交流することはありましたが、ホームステイをすることで、一つの家庭に入
19
り、現地の方がどんな生活をしているのかを自分の目で見ることができました。今回お世話し
ていただいたホストファミリーは、8 人家族で私をとてもあたたかく迎えてくださいました。
その中に、高校生くらいの男の子と 4 歳くらいの男の子がいて、ラグビーボールを使って遊ん
だり、海に行って遊んだりしました。夕暮れまで遊んだ後は、夕飯をいただきました。ホスト
ファミリーのお父さんが漁師なので、魚料理をいただきました。ホストファミリーは、ごちそ
うを用意してくださって、サモアでよく食べられている白米とココナッツクリームを合わせた
ものや昼間に一緒に採ってきたココナッツの実のジュースなど、現地の家庭料理を堪能するこ
とができました。
また、夕飯をごちそうになった後、近所でバレーをやっていると聞き、そこでバレーをした
り、子どもたちと触れ合いました。このバレーでは、近所の子どもから大人まで多くの人が参
加しており、近所の方とこのように関わる機会はめったにない日本との違いを感じました。サ
モアではご近所づきあいがあって、家族ではない人とも親しく触れ合っていました。サモア人
は、本当にあたたかく、フレンドリーに接してくれます。今回、ホームステイをしたことで、
そのことを強く実感しました。
以上のように、サモアの日本とは違う「教育」と「文化」を知り、それを経験できたと思い
ます。一方で、日本と同じように教育を受けるべき年頃で学校に通っていたり、
「家庭」が生活
の基本、そして安らぎになっていたりと日本と同様の点があることも見ることができました。
他国を見ると、日本と異なる点に目を奪われがちになりますが、日本と同じようにしている所
もあり、その点を含めて“外から見た日本”を再認識することができました。
北海道教育大学では、今回のプロジェクトを含めて様々な国際協力事業を行っています。そ
の中で今回の私たちのように学生を派遣していただくことは、学生にとって非常に良い経験に
なると思います。ぜひ、今後も今回のような派遣に学生を参加させていただきたいと感じまし
た。私自身、今回の経験が今後の進路、そして将来に向けての大きな切符になると確信してい
ます。
小学校の授業の様子
小学校の黒板
(以 上)
20
サモア独立国への学生ボランティア派遣
学生報告書(その 4)
北海道教育大学函館校
国際地域学科地域教育専攻
2 年 木戸 寿樹
1.ワークショップについて
私は、この派遣期間に 2 回のワークショップに同行させ
ていただき、附属小学校の 2 人の先生の授業を手伝わせて
いただきました。この 2 日間は、附属小学校の先生の授業
を間近で見ることができました。附属小学校の先生方はサ
モアの先生方にとても丁寧に、まるで日本で子どもたちに
授業しているかのように授業を展開していました。先生た
ちの一言一言がとても分かりやすく、サモアの先生方にも
(ワークショップの様子)
伝えたい内容がきちんと伝わっていた印象があります。また、サモアの先生方の算数や理
科に取り組む姿を見ることができたことも貴重な経験になりました。日本にいても附属小
学校の先生方となかなか交流する機会がないので、とても価値のある活動になりました。
2.青年海外協力隊の活動について
私は、青年海外協力隊の渡辺さんが配属されているアフ
ェガ小学校に 2 日お世話になりました。そこでの活動は、
算数授業の補助をすることでした。学年が異なる 2 つのク
ラスを訪れましたが、とても規模の大きな学校だったた
め、1 クラス 40~50 人の子どもたちがいました。日本の
子どもたちと比べて、授業への積極性が高く、とても元気
でよく手を挙げていた印象があります。渡辺さんが、
(アフェガ小学校の子どもたち)
「この問題わかる人。
」と尋ねると、ほぼクラスの全員が手を挙げていました。日本の小学
校の低学年なら、見られる光景ですが、高学年になるとこのような光景はあまり見られま
せん。日本の子どもたちも、学年が上がっても積極的な姿勢で授業に参加するべきだと思
いました。
また、子どもたちの中には、授業に参加せずに先生方のお手伝いをしている子どもがい
ました。日本ではありえない状況だったため、私もそのような子どもたちの姿を見たとき
は戸惑いました。ただ、子どもたちは嫌々仕事をしているようには見えず、どこか誇りを
もって仕事に取り組んでいるように見えました。そのため、学ぶことが全てではないこと
を子どもたちの姿から感じました。アフェガ小学校で学んだことを忘れずに多くの人にこ
の経験を伝えていきたいと思います。
21
3.ホームステイについて
サバイイ島の 2 日目は青年海外協力隊の松浦さんがホ
ームステイしているサモア人の家庭に泊めていただき
ました。ここでの体験は私にとって全てが新鮮で、刺激
的でした。まず、言葉が全く通じませんでした。ホーム
ステイ先の家族の会話は全てサモア語で行われていた
ため、何を話しているのかほとんどわかりませんでし
た。何とか雰囲気を読み取ったり、ジェスチャーなどを
(集会場の子どもたち)
使ってコミュニケーションを取りましたが、それでも伝わらない時があるため、その時
は松浦さんに助けてもらいました。またそこで出していただいた食べ物はホテルやお店で
食べていたものとは異なり、サモアの伝統的な料理でした。特に印象に残っている料理は、
魚の頭を切り落とし、胴体に十字に切り込みを入れたものです。ホームステイ先の父の職
業が漁師だったため、私たちを歓迎しようと用意してくれたようで、サモアでは魚の刺身
はご馳走だそうです。他には漁をするための専用のボートに乗せてもらって沖の方に行っ
たり、集会場に出向き子どもたちや大人と触れ合ったり、一緒にバレーボールをやったり
しました。このような日常的な生活を通して現地の人と触れ合うことができたことが私に
とって一番貴重な経験となりました。
4.将来に生かしたいこと
今回のボランティア派遣に参加したことで、世界観が変わったことを実感しています。
今回は大学側の大きなサポートがあったためサモアという日本から遠く離れた国に行くこ
とができました。このような機会を与えていただき本当にありがとうございました。次は
自力でボランティアにいきたいと思います。そして、いつになるかはわかりませんが、青
年海外協力隊に入りたいと思っています。
最後に今後もできれば学生にチャンスを与え続けていただきたいと思っています。なぜ
なら私のように意識が変わる学生は他にたくさんいると思うからです。よろしくお願いし
ます。
(以 上)
22
サモア独立国への学生ボランティア派遣
学生報告書(その 5)
北海道教育大学函館校
国際地域学科地域教育専攻
2 年 殿山 真吾
「サモア体験記」
“サモア人は、サモアよりもあたたかい”
今回のボランティア派遣で、私が感じたサモアの印象です。サモアは南太平洋の島国で、気
温は常に 30 度近くあり、季節は一年中夏でとても暑いです。しかし、それ以上にサモア人の
温かさを感じる出来事がいくつもありました。ここで、私が驚いた、サモア人の温かさを感じ
るエピソードを紹介したいと思います。
これは、マーケットに行くためのバスに乗っていた時の話です。当時、車内が混んできてい
て、入ってきた年配の方が座れなさそうな状況でした。その時、一人の大人がそのことに気づ
き、見知らぬ子どもを自分の膝の上に乗せ始めたのです。これは、サモアでは一般的な話で、
多くの人が席に座れるように配慮しているそうです。日本では、まず見られない光景だったの
でサモア人の優しさを感じるとともに、日本でも見習うべき思いやりだと思いました。
2 月 21 日から 28 日まで、サモア国を訪問し、ワークショップ補助やサモアの小学校訪問、
サモア国立大学の学生との交流、ホームステイなど様々な体験をしてきました。中でも特に印
象に残っている小学校訪問のことを報告したいと思います。
<サオルアファタ小学校訪問>
この体験では、サモアに派遣されている青年海
外協力隊の配属校である小学校に入り、授業の雰
囲気や子どもたちの様子などを観察しました。実
際に小学校の中へ入ってみると、日本とは“違う”
ものばかりで、とても刺激的でした。
一つは、学校が開放的なところで、どの席も自
由で、机を使うのも自由な環境でした。日本の小
学校のように椅子に座る子もいましたし、床で一
生懸命に字を書く子もいました。こういった自由
な雰囲気が子どもたちの積極的な活動につながっているのかもしれないと思いました。
また、サモアの小学校には正確な時間割表や、教科書がありませんでした。これは、日本の
小学校のように教育の体系がしっかりと確立されていないのが原因だと考えられます。今まで
は、当たり前だと思っていた日本の教育制度も、外の国の状況を知ることで、とても恵まれて
いたのだと考えられるようになりました。
しかし、海外へ行くと“違い”にばかり目を奪われてしまいますが、日本と“同じ”部分も
見つけることができました。それは、教師の働きかけによって子どもたちの成長が変わってく
23
るという学びのプロセスです。日本にいても、サモアにいても、子どもたちは学びを求めて、
前のめりに、目を輝かせながら教師の話を聞きます。そんな子どもたちの未来をつくっていく
教師という職業の魅力を改めて感じました。
<得たもの>
① 生きるエネルギー ② 広い視野 ③ 青年海外協力隊の魅力
一つ目は、
「生きるエネルギー」です。純粋に、サモアの子どもたちからパワーをもらいまし
た。先生の話を前のめりになって目を輝かせて聞く姿勢、積極的に挙手し発言する姿勢、体育
での負けず嫌いな様子、キラキラした笑顔。全てが愛おしく、こんな子どもたちの未来を共に
つくっていきたいと思うようになりました。もともと、小学校の教員志望でしたが、今回の体
験でより一層その思いが強くなりました。
二つ目は、
「広い視野」です。今までは、日本の外のことをあまり意識していませんでしたが、
外に出てみて初めて気づくことがたくさんありました。教育制度であったり、授業の工夫であ
ったり、人の温かさであったり、海外と比べることで、初めて日本の教育や文化の良さ、悪さ
を考えることができました。今回の経験が全てではないですが、サモアから見た日本という一
つの異なる視点を持てたことはとても大きな成果だと思います。
三つ目は、
「青年海外協力隊の魅力」です。私は今まで、日本の小学校の教員志望で、それ以
外の道は考えていなかったのですが、サモアの小学校で、英語やサモア語を使いながら、自分
の経験などを子どもたちに伝えている青年海外協力隊の姿や、彼らが外で学んだことを日本で
還元するという話を聞いて、とても魅力的に感じました。そして、新卒や現職での参加など、
様々なタイミングで協力隊に入れることを知り、私の将来の道が開けたのも今回の収穫の一つ
です。
最後に、今回のボランティア派遣に
よって、本当に多くの出会いと貴重な
経験をさせていただきました。将来、教
員を目指す上でも、この経験は大きな
財産となると思います。関係者の皆様
には、本当に感謝しております。ありが
とうございました。
(以 上)
24
付属資料 4
「サモア国学生ボランティア派遣」
学生アンケート結果
回答者:尾芝 望海、小森 袈乃子、相澤 琢郎、木戸 寿樹、殿山 真吾
回答時期:帰国後、3 週間以内
1.
時期・期間について
① 派遣時期(2 月中旬~2 月下旬)は適当でしたか?
はい→5 名
いいえ→0 名
「はい」の理由:
・雨期ではありましたが、気温が程良いため。
・春休みなどの長期休暇であれば良い。
・春休みを利用できたため。
(講義の遅れなどの心配がない)
② 派遣期間(約 2 週間)は適当でしたか?
はい→4 名
いいえ→1 名
「はい」の理由:
・2 週間以上になると、せっかくの長期休暇がこれだけになってしまうと思うか
ら。
・様々なことを経験でき、体力的にも適当だと思った。
「いいえ」の理由:
・文化や習慣に触れる時間が少なかったため。
2.
派遣内容について
① 今回のボランティア派遣で一番印象に残ったものは何ですか?
・ サモアの人々のあたたかさ、ホームステイを通して学んだ現地の文化
・ 現地での小学校訪問、どのように教育が行われているのかを知り、日本の教育を
見つめ直す機会となった。
・ 小学校訪問
・ ホームステイ
・ 小学校体験(サオルアファラ小学校)です。実際に中に入って、子ども達の生の
様子を見られたことが一番印象に残っています。
25
②
サモアの小学校訪問で何を得ましたか?
・ 他国の文化を尊重することの大切さ。言葉だけでなく、表情などで伝える表現力
の大切さ。
・ 子ども達の学ぶ姿勢をみて、日本の学校で学ぶ子ども達よりも集中しているよう
に見えた。この違いはなぜなのかについて考えることができた。
・ 自分の目標である“小学校教員”を国内ではなく国外で見ることができたのは大
きい。日本と外国の教育の違いを知ることができた。
・ 日本との異なる教育
・ 子ども達から生きるエネルギーをもらいました。純粋に、素直に感情を表す姿を
見て、教師になって子ども達の未来をつくっていきたい、と目標が明確になりま
した。また、日本との教育・文化の違いが見え、別の視点から日本を考えること
ができました。
③ サモア国立大学訪問で何を得ましたか?
・ 日本アニメが人気で、そこから興味をいただいてくれる人がいることを学んだ。雪
や氷など、珍しいものには関心が強いことを知れた。
・ サモアにおいても、一部の日本文化(アニメ等)について知られていたこと。また、
限られた時間の中で、日本の文化を説明することが難しく、自分自身日本について
知るべきことがあると感じた。
・ 住む国がちがう自分と同じ大学生がどんなことをしているか知ることができた。日
本の文化を紹介することができ、自分が住む日本について再確認できた。
・ 日本のことを知ろうとしてくれる、大学生の気持ち、意識。
・ 国際交流の良さを感じました。まず、多少英語が通じなくても伝えられること、わ
かることの楽しさ、そして、そのコミュニケーションを通して、サモア人の雰囲気
や人柄を感じられたことが良かったです。
④ 青年海外協力隊の活動をどのように思いますか?
・ 現地の文化を受け入れるところが大変ではあるが、そこで日本の良さを発揮して
いることがすごいと思った。
・ 日本とは違った環境の中で、生き生きと活動していらっしゃる姿をみて、国や言
葉に関係なく、よりよい教育を目指す熱意を感じ、日本の教育現場にも必要なも
のだと感じた。また、協力隊の活動はその後の自分にとって活かせる貴重な経験
になるのだと感じた。
・ 外国で国際協力をすることはとてもすばらしいことだと思えた。日本人が国を出
て、外国で人の力になること感動しました。
26
・ 自分もいつか参加してみたいと思っています。
・ 今までは漠然としたイメージしか持っていなかったが、今回協力隊の方の生の声
を沢山聞けて、実際に見て現実的に協力隊参加を考えるようになりました。外に
出て異文化の中で生活すること、草の根として、現地で活躍することに魅力を感
じました。
⑤
将来、
(現職参加も含め)青年海外協力隊に参加したいと思いますか?
はい→3 名
いいえ→2 名
「いいえ」の理由:
・違ったかたちで、世界に貢献したいと思う。
・今は他に目指している目標があるため。
⑥ ホームステイでの生活体験は有意義でしたか?
はい→5 名
いいえ→0 名
・全てが刺激的な体験でした。
⑦
今回の派遣をこれからどのように生かしていくことができると思いますか?
・ 他国の文化を受け入れることは、簡単ではないと知りましたが、互いに理解する
心を持つことが第一歩になると思いました。この学びは、私生活においても活か
せるものだと思うので、常に相手を知ろうとする心を大切にしたいと思います。
・ 日本の教育のレベルは高い、と言われる中で大学 4 年間学んできましたが、今
回、現地での教育を見て、そこから学び取り入れていくべきことはまだまだたく
さんあると感じました。これから大学院に進学し、さらに教育について学ぶにあ
たって、日本の教育を、客観的にみつめ直すために、今回の経験を生かしていこ
うと考えています。
・ 今回の派遣は自分の大きな原動力になるように思います。これからの学習におい
て、特に、英語をがんばろうと思うきっかけになりました。また、教員になるた
めにより一層努力したいと思うようになりました。
・ 日本と全然違う生活をしている人が多くいることを忘れないようにし、日々の日
常に生かしていきたいです。
・ 視野が広がり、外へ出ていくことの大切さを知ったので、これから海外にも積極
的にいき、様々な経験を積みたいと思いました。日本とサモアの比較により、日
本の文化、教育の良さ、悪さを見直すことができたので、その点を考えながら今
後の日本の教育を学ぶことができると思いました。また、英語でのコミュニケー
ションの(学習意欲につながる)動機づけがされました。
27
⑧
プログラムの中で、来年度以降も継続したらよいもの、来年度以降は廃止したら
良いもの
継続したらよいもの:小学校訪問、ホームステイ【全員同回答】
理由:
・ホームステイでは文化を、小学校訪問では子どもの実態を見られるため。
・両者とも日本と教育や文化の比較ができる。
・実際の生の文化を知れ、とても良い体験ができたため。
廃止したらよいもの:特になし
⑨
より有意義な派遣にするためには、これらの活動以外にどのようなものがあれば
いいと思いますか?
・ 自由に街を探索する時間があるとより良いと思いました。今回は日曜日にその時
間が設けられていましたが、日曜日では現地の方々の普段の生活が見えづらく、
得られるものが少なく感じたからです。
・ 学校現場の教育をみる機会がもう少しほしかった。先生や学校、生徒によって環
境や雰囲気は異なると思うので、複数の学校について訪問できれば良いと思う。
・ 小学校やワークショップに入るだけでなく、その国の雰囲気や文化を知るために
も、街の中に入っていったり、予めその国を知ることができるようなものがある
とよいと思います。
・ ホームステイをもう一日増やすと良いと思います。
・ ホームステイの日数をもっと増やせたらより良かったと思います。
⑩
本学が実施する国際協力事業について、どのような感想を持っていますか?また、
今後どのように国際協力事業を展開すればよいと思いますか?
・ 本プログラムを通して、実際に目にすることでとても意味のある事業だと実感し
ました。しかし、こちらが伝えたいことが充分に伝わっているとは思えない時も
あったので、相手側をさらに深く理解してから進める必要があると感じました。
・ 本学が行っている取り組みについて、サモアのプロジェクト以外については詳し
く知らないが、そのような取り組みが行われているという広報を行うとよいので
はないだろうか。
・ 今回のボランティア派遣、とても良いものでした。この活動はもっと力を入れる
べきだと思いました。学生(できれば1・2年生)にとってこのような体験は、
これからの学生生活を見つめる良いきっかけになると思います。ぜひ、このよう
な活動は継続していただきたいと思います。
・ とても価値のある経験をさせていただきました。このままの形で展開していくべ
28
きだと思います。
・ 教育という目には見えないものを伝える取り組みはとても大切なことで良いと
思いました。一時的なものではなく、長期的に教育を改善できる展開となれば最
高だと思います。
3.
その他
この派遣を通して、意見・改善点、また来年度以降、同様のプログラムがある場合、参
加する後輩へのアドバイス等がありましたらご記入ください。
・ 初めに今回このような貴重な経験を私たち学生に与えてくださり、本当にありあ
りがとうございました。とても学びの多い内容で、たくさん考えることがあるプロ
グラムでした。もし可能であれば、あと 1 週間長くステイできると、より有意義
なものになると感じました。特にホームステイと、小学校訪問にもう少し時間が欲
しいと思いました。
・ 想定していたよりも、水や食費がかかったため、あらかじめかかる金額を粗方設定
していただけるとありがたいと感じた。また、その日の予定をもう少し細かく教え
て頂けると、空いた時間で、街中を散策したり、翌日以降の準備をしたりできるの
かなと感じた。ホームステイや小学校の訪問は、現地の子ども、先生、家族と触れ
あい、文化を知る良い機会であるので継続、できれば機会を増やすと良いかなと感
じた。アドバイスとしては、言葉や異なる文化に戸惑う場面が多いとは思うけれど
も、恐れたり、恥ずかしがったりせず、積極的に人々と関わるべきだと伝えたい。
・ 意見としては、もう少し自由時間があっても良かったと思います。毎晩、毎昼全員
で食事をとるよりは、実際に街の中を歩いてコミュニケーションをとりながら食
べたりした方が現地の中身を知れるのかなと思いました。アドバイスとしては、私
は全然準備不足だったと思いますが、それでもいろいろな良い経験ができました。
行く前の準備として、英語で自分のことを話せるようにすること(最低限)
、サモ
アでどんなことを学びたいのか、知りたいのか、自分の中で具体的に考えておく
と、目的意識を持ってすごすことができると思います。あとは、現地に行ったと
き、何でも積極的に、経験できることは全部やっておくと帰ってきてからにも生か
せると思います。最後になりましたが、関係者の皆様、本当にありがとうございま
した。
以
29
上
30
付属資料 5:サモア学生ボランティア画像集
学生ボランティア団員。左から殿山真吾, アピア滞在はホテルミレニアサモア。タク
木戸寿樹,尾芝望海,小森袈乃子,相澤琢郎 シー乗り場,マーケット,繁華街が近く便
の 5 名。
利です。目の前には青い海,空が広がって
います。
初日は JICA サモア支所,MESC(教育ス
JICA サモア支所で,有償資金協力,無償資
ポーツ文化省)
,新聞社(Samoa Observer) 金協力,技術協力プロジェクトなどの事業
などへ表敬訪問に向かいます。
に関して講義を受けました。
講義終了後 JICA サモア支所の鈴木所長(前
MESC で附属小の先生方のワークショップ
列右)
,中曽根調整員(後列右端)
,木下調整
(ウポル島 2 校,サバイイ島 1 校で実施)
員(後列右から 2 番目)とともに集合写真。 の資料準備などを行っているところです。
31
ファレフィツ小学校でのワークショップは
樋渡先生の「数の合成」の授業。サイコロを
ファレ(サモアの伝統的な建物。高床で,
使って楽しく数の合成に取り組める工夫が
壁,窓がなく風通しのよい建物)で行いま
なされていました。
した。
学生たちは,資料や必要な道具の配布,先 サモアの先生方からの質問に英語で対応す
生方の活動の様子をカメラやビデオで撮影 るなどの補助も適宜行いました。
するなどの作業を分担して行いました。
小野先生の「ペットボトル顕微鏡」の授業 サモアの先生にもペットボトル顕微鏡を作
にはサモアの校長先生方も興味津々でし
ってもらいました。学生たちのサポートも
た。顕微鏡を覗いて歓声をあげていました。 あって,何とか完成し,見ることができま
した。
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小学校実習校のレウルモエガ小学校。サモ
ファレでの朝会の風景です。学年ごとに並
アの小学校の校庭は芝生。右側が校舎,左
んでいます。9 時に鐘が鳴り,朝の挨拶,お
奥がファレになっています。
祈りなどをします(定例ではないようで
す)
。
左からレウルモエガ小の先生,小森さん,
控室で JOCV の酒井隊員からカリキュラム
尾芝さん。朝会の中で日本側の自己紹介を などに関して説明を受けました。スピーカ
しました。
ー,顕微鏡などの備品,教材がありました。
レウルモエガ小では,各教科の週当たりの
掲示物の中にはサモアのアルファベットの
時間数や時間割を決めていますが,実際は
説明もありました。英語の 26 文字に比べて
その通り進めるのは難しいようです。
少ないのがわかります。
33
急きょ授業をすることになり,酒井隊員が 学生たちも折り紙の授業をすることにな
英語の授業を行い,学生たちはそれをお手 り,子ども達と紙風船を作りました。日本
伝いすることになりました。
から持ってきた折り紙が役に立ちました。
子ども達は写真に写るのが大好きです。カ 女子も男子も皆,笑顔がとても素敵です。
メラを構えると,必ず笑顔でポーズをとっ 折り紙も,とても気に入ってくれ,先生の
てくれます。
説明を真剣に聞いて折る姿が印象的でし
た。
難しいところは先生が個別に説明したり, 酒井隊員による算数の授業です。1+9,2+8,
手伝ったりしながら,何とか紙風船を完成 3+7 など,足して 10 になる数の組合せを皆
させました。
で声を合わせて読んで覚えていました。
34
同じく酒井隊員による算数の授業です。何 酒井隊員は,自作の卵ケースとビンのキャ
人かの子どもは 13-5 の筆算に苦労してい ップを使った教材で,13-5 の計算を考え
ました。
させていました。
お昼はサモアの伝統的な料理(タロイモ, 昼食後は子ども達の踊りや体育の活動など
鶏肉と茄子の煮物,地鶏のスープなど)を
を見せていただきました。ファレ全体に笑
たくさんいただきました。
い声や歓声が響くくらい元気でした。
学校を後にする時には,子ども達が自然に
写真好きは学校の先生方も同じでした。先
集まってきて,写真撮影会のようになりま
生方も子ども達も皆さんとにかく明るく活
した。
発で,圧倒されました。
35
サモア国立大学日本語学科の学生たちとの
日本語学科講師のミネルバ先生です。大変
交流のため,大学を訪問しました。建物も
流暢な日本語を話される先生で,今回の交
芝生もきれいに整備されている大学でし
流の司会を務めていただきました。
た。
函館校の学生たちは日本文化の紹介という サモアの学生たちも剣玉に挑戦しました。
ことで,剣玉,万華鏡,独楽などのおもちゃ 日本の子ども達のように,とても楽しそう
や,箸,扇子などを紹介しました。
に遊んでいます。
札幌校の学生は北海道の自然,雪,食など
サモア国立大学の学生からは,日本語の歌
をタブレットで紹介しました。初めて見る
のプレゼントがありました。しっかり練習
画像が多いせいか,真剣に見ていました。
したようで,きれいな日本語でした。
36
同年代の学生たちは仲良くなるのも早いよ 最後は皆さんで集合写真を撮影。サモアの
うです。交流が終わると写真撮影会になり 学生たちは,この後すぐ日本語の講義の時
ました。
間となり,あっという間の 2 時間でした。
サバイイ島に移動し,サライルア小学校で
ワークショップも 3 回目とあって,学生た
ワークショップの補助を行いました。ワー
ちは補助業務に慣れ,てきぱきと動けるよ
クショップもこの日が最終日です。
うになってきました。
英語でうまく伝わらないときは,シオネ先 理科の小野先生のワークショップでは通訳
生(バイガガ小学校・校長)がサモア語に通 を必要としないほどの英語力で進めてい
訳してわかりやすく説明してくれます。
て,学生たちは憧れのまなざし見ていまし
た。
37
ワークショップ終了後の集合写真です。附 最後はボリューム満点のお弁当をいただき
属小学校の先生方の仕事も無事に終わり, ました。他にもタロイモや肉料理,ココナ
皆さんいい笑顔です。
ッツを使った料理などもありました。
ワークショップ後,学生たちはホームステ サバイイ島での最終日,ホームステイを終
イ先で 1 泊お世話になりました。写真はレ え,お世話になった JOCV の皆さんとの集
ツーサ先生のご家族と札幌校学生(尾芝, 合写真。
小森)
。
サバイイ島での朝焼けの様子。朝は 7 時半 夜が明けると青い海,空が広がります。サ
頃に日の出を迎えます。雨季とは言え,朝 モアでもゴミ処理問題はあるようですが,
晩は涼しく,快適でした。
美しい風景が保全されることを祈ります。
38
39
付属資料6-1
付属資料 6-2
40
付属資料 6-3
41
42
付属資料 7(参考)
【サモア独立国への学生ボランティア派遣】
実施要領
平成 27 年 11 月 24 日
北海道教育大学
国際交流・協力センター
1.目的
現在、本学で実施している「サモア独立国初等理数科教育における問題解決型授業の展
開」プロジェクトに本学学生を派遣し、以下のプログラムに参加することで、開発途上国
でのボランティアを含む国際教育協力活動を体験し、国際社会の一員としての意識を高め
ることを目的とする。
現時点で予定されているプログラムは次の通り。
①プロジェクト短期専門家(附属小学校教諭)が実施するワークショップでの業務補助
②サモア国内小学校教育現場視察及び教員との意見交換
③サモア国立大学学生との交流
④JICA 青年海外協力隊員との意見交換
⑤サモア関係機関(JICA サモア支所、教育・スポーツ・文化省)への表敬訪問
⑥サモア国内でのホームステイ体験
2.派遣期間:平成 28 年 2 月 20 日(土)~2 月 29 日(月)
(10 日間程度)(予定)
3.派遣国:サモア独立国
4.派遣人数:若干名(最大 5 名)
なお、学生ボランティア派遣は、高久 元教授(理科教育)
(国際協力部門員)を団
長とするチームを結成することとする。
また、ほぼ同時期に、JICA との契約に基づき、以下の 4 名も派遣する。
・平川 伸明 プロジェクト・マネージャー(総括)
・石井 洋
函館校講師(算数教育)
・樋渡 剛志 附属札幌小学校教諭(算数教育)
・小野 晴子 附属旭川小学校教諭(理科教育)
5.プログラム費用:
(1)大学負担:
・最寄空港からアピア国際空港(サモア)までの往復渡航費用
・派遣期間中の宿泊費実費(東京で宿泊が必要な場合その宿泊費用を含む)
・派遣期間中のサモア国内交通費(業務上)
・旅行傷害保険料
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(2)学生自己負担:
・自宅から空港までの交通費
・旅券申請代金(パスポートを有しない者は、12 月 15 日までに取得し、旅券情報
を提供すること)
・食費及び私的な買い物に係る費用
・大学が費用負担する旅行傷害保険とは別に参加者が任意で加入する保険料や予防
接種料
・やむをえない事情による出発前参加取り消しに係る費用、やむをえない事情によ
る途中帰国によって生じる費用
6.参加条件:
・本学学部学生または大学院生であること。
・自身の指導教員の推薦があること。
・心身ともに健康であること。
・日本国籍を有する者または日本に居住し日本の永住権を有する者
・本学が実施する国際協力事業に強い興味、関心があり、サモアでの様々な活動に積極
的に参加し、コミュニケーションをとることができること。
・派遣修了後、定められた期間内に、報告書(別途連絡)を提出することができるこ
と。
・規律ある団体行動ができること。
・ある程度の英語力を有すること。
7.本件担当:
北海道教育大学国際交流・協力センター
国際交流コーディネーター 平川
(サモア独立国初等理数科教育における問題解決型授業の展開」プロジェクトプロジェ
クトマネージャー)
以
44
上
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