タブレット端末の特徴を生かした建築構造解析アプリケーション Structural

OS10-02
タブレット端末の特徴を生かした建築構造解析アプリケーション
Structural analysis application using mobile terminal devices
藤田
皓平(京都大・工)
山川 誠(東京電機大・未来科学) 鈴木琢也
Kohei FUJITA, Kyoto University
Makoto YAMAKAWA, Tokyo Denki University
Takuya SUZUKI, Takenaka Corporation
FAX: 075-383-3297, E-mail: [email protected]
(竹中工務店)
According to the progressing in computational technology, high-performance mobile terminal devices such as
smartphone and tablet are widely spread. These devices are generally installed touch-screen interface and
various sensors, which may affect the relationship between users and computers. As for the architectural
and structural engineering, more sophisticated methods are studied where these new generation portable
devices and advanced information technology resources can be utilized to enhance mutual understanding
between architectural engineers and end users. This paper presents the development of structural analysis
application using those features of information technology, and investigates the applicability of the developed
application.
1.はじめに
コンピューターの演算能力が著しく向上した現代におい
ては,プロセッサの小型化に伴い高性能・高機能な携帯型
情報端末(スマートフォン,タブレットなど,以下ではこ
れらのデバイスを「スマートデバイス」と呼称する)が広
く普及してきている。スマートデバイスは,タッチパネル
による直感的なインターフェースや,種々のセンサーを有
していることが特徴であり,従来のコンピューターの在り
方とは一線を画いたデバイスである。アプリケーションの
開発も成熟しつつあり,多種多様なアプリケーションを活
用することで,人と計算機としてのコンピューターの関わ
り方にも変化が生じてきているといえる。
建築分野については,専門技術者である意匠設計者や構
造解析者の相互コミュニケーションや,技術者と建築物の
エンドユーザーである一般の人々を結びつけるためにこれ
らのスマートデバイスや先進的な情報技術のリソースの活
用法が模索されている段階である。本稿では,構造性能や
耐震安全性といった専門性の高い情報を,より広く一般の
人々に周知することを目的として,スマートデバイスの特
徴を生かした建築構造解析アプリケーションを開発し,そ
の適用性について検討する。
2.スマートデバイスの特徴
現在普及しているタブレット型端末は,そのほとんどが
タッチパネルを搭載しており,ユーザーからの入力は画面
へのタッチ操作で行う。また,技術向上に伴って,最大で
10 点を同時認識するマルチタッチを有するパネルが一般
的になってきている。これらのインターフェース,特にマ
ルチタッチを利用した操作方法は,従来のコンピューター
へのユーザー入力(マウスとキーボード)とは全く異なる
ものであり,アプリケーションの開発において,特に留意
すべき点といえる。
また,スマートデバイスは,様々なセンサー(例えば,
加速度,ジャイロ,地磁気,環境光など)を備えており,
アプリケーション側からこれらのセンサーにアクセスして,
これらのセンサーのデータをリアルタイムで利用すること
ができる。例えば,デバイスの物理的な向きを検知して,
仮想的な空間上の 1 人称視点と同期させる VR 技術(VR:
Virtual Reality)は,アプリケーションにも実用化されている
(例えば,VRuno®)。この事例では,ユーザーの視点をデ
バイスの傾きや動きに合わせて仮想の建築空間を体験する
ことができる。VR 技術では,センサー単体での生のデー
タを利用するだけでなく,センサーの反応性やノイズの影
響を除去するために,それぞれのセンサーの特徴を生かし
たセンサーヒュージョン(センサー融合)技術によりデバイ
スの傾きの検知精度を向上している。
図 1 センサーヒュージョンによる VR 技術を利用したア
プリケーション例 (VRuno®)
3.タブレット端末向けのアプリケーションの開発環境
現在,タブレット端末の OS(Operating System)は,長
らく,iOS と Android が主流であったが,これに加えて,
Windows8 も 選 択 肢 と し て 挙 げ ら れ る ( 表 1 ) 。 特 に ,
Windows8 を搭載したタブレット端末は,Windows の膨大
なソフトウェアを活用できる点が特徴であり,キーボード
を取り外すことができるデタッチャブル型や,画面を回転
させてタブレットとしても利用できるコンバーチブル型な
ど従来のパソコンからの延長線上にあることから,ビジネ
スや ICT 教育での活用が期待されている。開発者側の立場
からすれば,アプリケーションの開発においては,クロス
プラットフォームに対応して,いずれの OS でもソースを
共有できることが望ましい。
iOS
長
所
短
所
表 1 端末別の長短所
Android
高いタッチ感度
高い安定性
アプリケーション
が豊富
外部入力端子(SD
カードスロット
等)が乏しい
Windows8
機種が豊富
外部入力端子が多
い
Windows 用ソフト
ウェアを利用可
古い機種では,動
作が不安定なもの
もある
タブレット用アプ
リケーションがま
だ少ない
第 63 回理論応用力学講演会 平成 26 年 9 月 The 63rd Nat. Cong. of Theoretical & Applied Mechanics 2014
本研究では,アプリケーションの開発環境として,次の
2つについて検討している。
(1) HTML5 & Javascript &WebGL
(2) Unity ®
前者の方法は,Web アプリケーションをベースにしたも
ので,対応したブラウザ(パソコン:Internet Explorer 11,
Google Chrome 9 等, モバイル端末:Google Chrome for
Android 30 等) での動作を想定している。端末の OS に依
存することなく,クロスプラットフォームでアプリケーシ
ョンを利用することが可能である。HTML と Javascript は
広く認知されており,豊富なライブラリーを利用して容易
にプログラミングが可能である。また,WebGL は,OpenGL
をベースに Javascript をバインディングしたもので,ハード
ウェアアクセラレターを利用した 3D グラフィックスを構
築することが可能である。HTML と Javascript をベースに
したアプリケーションは,Windows アプリの開発環境であ
る WindowsSDK でも対応しており,ソースコードを簡単に
移植することで,Windows のネイティブアプリケーション
としても利用することができるため,高い汎用性がある。
図 2 は,現在開発中のアプリケーションの画面である。
本アプリケーションは,
画面上の特定の領域をタッチして,
入力波形を生成し,ユーザーの入力に対して建物の振動の
様子をリアルタイムで提示する。
建物モデルの質量,
剛性,
減衰を自由に変更することが可能で,建物の動特性と入力
波形の関係性の理解を深めることを目的としている。
一方,後者の Unity®は,豊富なレンダラ―や物理エンジ
ンや搭載した3D グラフィックスを対象としたアプリケー
ションの統合開発環境である。主にゲームを制作するため
のツールであるが,スマートデバイスのインターフェース
を活用したアプリケーションの開発という点では,ソリュ
ーションの選択肢といえる。Unity の最大の特徴は,クロ
スプラットフォームに対応しており,対象とする様々な端
末に応じてコンパイラにより実行ファイル(もしくはイン
ストーラー)が自動生成されることである。
4.アプリケーションの開発方針
開発するアプリケーションは,タッチパネル,加速度セ
ンサー等の従来の端末が有していない機能を利用したもの
とする。また,端末のもつ直感性を利用し,建築系の大学
院生の教育に適用可能なものとなるようにする。
まとめた。アプリケーションの適用についてはこれからの
課題となるが,今後は,アプリケーションのソースコード
をオープンにしたうえで,技術者と建築系の学生や一般の
方との相互理解を深めるためのインターフェースの構築を
促していきたい。
備考
本稿は,建築学会特別研究委員会[若手奨励] “次世代の構造
解析インターフェース”の成果の一部です。
参考文献
1) 中貴俊,遠藤守,山田雅之,岩崎公弥子,安田孝美,
スマートデバイスによる 3DCG を用いた電子教材の提
示 ・ 操 作 に 関す る 研 究 , 情報 文 化 学 会 誌 Vol.20(2)
pp19-26, 2013.
2) 佐藤瞳,柴田義孝,内田法彦,GIS を利用したリアル
タイムハザードマップシステム,全国大会講演論文集
2012(1), pp597-599, 2012.
図 2 開発中アプリケーション
(HTML &Javascript & WebGL)
http://takewaki-lab.archi.kyoto-u.ac.jp/NGIproject/sampl
e/webGL/sample17c.html
Deformation
・タッチ入力および加速度センサーからの入力を用いた動
的構造解析アプリケーション(Fig.2)
・タッチ入力を用いた静的構造解析アプリケーション
(Fig.3)
Input Disp.
by “Touch”
制作したアプリケーションの適用については,建築系の
大学院生を対象として,アプリケーションを実際に使用し
てもらい,フィードバッグを得たいと考えている。本稿執
筆時においては,運用段階にまだなく,講演時にアプリケ
ーションの適用事例について紹介する予定である。
5.結び
本稿では,従来のパソコンとは異なる画期的なインター
フェースを有した次世代型の携帯端末を対象として,建築
分野における構造解析,振動解析といった専門性の高い分
野について,建築分野に限らず一般の人でも理解されやす
いようなアプリケーションの開発とその環境についてとり
Draw Deformation &
Bending Moment
Bending Moment
Fig.3 Sample of Static Analysis Application
(Unity, under development)