Ⅱ 風水思想 風水の対象

Ⅱ 風水思想
• 実存空間の続き
• より高度な知識体系を駆使し、かなり意識的な
介入が建造環境の造営に行われる
• 西洋的な環境認識とは異なる東洋独自の経験
的な科学
• 吉地(風水の良いところ)を求める思想
地気の流れ、その集散を見極める
竜脈重視派(贛州学派)と方位重視派(福建学
派)
→ のちに習合
山局の図
• 地脈=龍
• 地脈の生気を結ぶところ
=穴
• 穴の周囲の山・丘=砂
風水の対象
• 陽基・・・集落の立地
→ 地形ユニット
• 陽宅・・・集落内部の構成要素
→ 家・屋敷・道路・植樹環境・水路など
• 陰宅・・・墓
山の形や水路の形にも意味がある
• 相生と相剋
木・火・土・金・水(陰陽五行)
• 相生(良い相性)
木→火→土→金→水→木
• 相剋(悪い相性)
水→火→金→木→土→水
地形ユニットのパターン
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朝鮮/韓半島の龍脈
大東輿地図 順天付近
陽宅風水(沖縄の村落風水)
• 王府の政策の一環(農村の生産性の維持)
• 風水師の諸村への派遣・・・場合によっては村落を移動させた
• 風水の善し悪しの判断と処方の指示
→ その具体例
沖縄本島北部:『久米村神山里之子親雲上様弐ヶ村風水御見
分日記』(1857)他
名護市稲嶺・真喜屋の両村から風水師に検分を依頼
八重山群島:『北木山風水記』(1864)
王府から派遣された久米村与儀通事親雲上鄭良佐による
久米島:『上江洲家家記』
上江洲家(地方役人クラス)が墓新築の際に風水師を依頼
『北木山風水記』
• 同治3(1864)年
• 久米村与儀通事親雲上鄭良佐
• 波照間、与那国を除く八重山群島の全村落
の風水をみた。
• 小浜島の例
→ 実際の処方をみる(工字路・四周路)
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風水思想関連文献
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村山智順『朝鮮の風水』朝鮮総督府、1931
(国書刊行会より復刊。風水解説書としてこれ以上のものはない・・・?)
窪徳忠編『沖縄の風水』平河出版社、1990
→「沖縄風水関連記事年表」と「沖縄本島北部の風水資料」は貴重
町田宗博・都築晶子「風水の村」序論−『北木山風水記』について−、琉球大学法文学部
紀要 史学・地理学篇36、1993
沖縄県地域誌協議会編『シンポジウム 南東の墓:沖縄の葬制・墓制』沖縄出版、1989
→ 沖縄の墓に関するリストは貴重
野崎充彦『韓国の風水師たち』人文書院、1994
→ 断脈説や総督府に関するエセー所収
崔昌祚『韓国の風水思想』人文書院、1997(原著は韓国語1984)
渡邊欣雄『風水思想と東アジア』人文書院、1990
三浦国雄『中国人のトポス』平凡社、1988
アイテル、E.『風水:欲望のランドスケープ』青土社、1999(原著1873)
デ・ホロート『中国の風水思想』第一書房、1986(原著1892-1910)
→ この二冊の原著出版年次に注目!
荒俣宏『風水先生』集英社文庫、1994
→ 気持ちは分かるけど解釈はちょっと強引か? 手軽な読み物としてはお勧めできる。
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