会議発表資料 - 大阪大学レーザーエネルギー学研究センター

第2回 パワーレーザーコミュニティ会議
1.会議に先立ち
日本原子力研究開発機構組織の変更について
2.前回まとめ
3.学術会議シンポジウム報告
4.申請案の説明
5.今後のあり方
6.その他
レーザー学会共催 第2回 パワーレーザーコミュニティ会議 2016年3月29日 大阪大学最先端医療イノベーションセンター
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2.前回まとめと今回議事内容
前回のまとめ
• 2015年12月24日大阪大学銀杏会館にてパワーレーザーに関
するコミュニティ会議が開催された。
• 本会議は、延べ1000名に案内が流され約80名の参加があった。
• 3組織(原子力機構関西研、阪大レーザー研、阪大光科学セン
ター)によるワーキングからマスタープラン2104の2計画統合の
提案があり、コミュニティ会議で認められた。
• 事務局を阪大レーザー研とし会議内容を公表することが認め
られ、web上に会議資料が公開された。
今回の議事
• 日本学術会議シンポジウム「物性物理学・一般物理学分野の
展開と大型研究計画」(2016.3.11) 報告
• マスタープラン2017申請書案の説明と議論
• 申請書案提出後のコミュニティ会議について
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会議報告まとめ
日本学術会議シンポジウム「物性物理学・一般物理学分野の展開と大型研究計画」 2016年3月11日 学術会議講堂 について
 マスタープラン2014におけるパワーレーザーに関係する2つの計
画案を統合(計画案の進化)
•パワーレーザーとプラズマの独自技術を駆使した先鋭性と多様性を備えた競争力
あるユニークな大型装置:J‐EPoCH(3種類の光量子ビームを有す)提案
•真空量子光学など新たな学術を創成するとともに、先進プロセス工学、超高圧物
質・材料科学、惑星物理学、核融合科学、量子ビーム科学、プラズマ物理学、宇宙
物理学などに関係する学際的な高エネルギー密度科学(物質‐光‐真空)を開拓
 既存プロジェクトによるレーザーおよびレーザー量子ビーム技術
の進歩
•レーザー加速器技術、PWレーザー技術、繰り返し高出力レーザー技術の進展によ
りシステム構築の技術的準備は、ほぼ整った。
 議論の深化と連携体制強化(コミュニティ活動の深化)
•コミュニティ会議により2提案の統合
•学会などによる技術調査
•国内外機関との連携強化
J-EPoCH:Japan Establishment for a Power-laser Community Harvest
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光量子­ビーム技術の進歩
J-EPoCHシステム構築の準備はほぼ整った
①
光・量子
ビーム
レーザー加速電子ビーム
レーザー加速XFEL
②
高繰り返しPWレーザー
③
kJ励起用繰り返しセラミックパワーレーザー
30PWレーザー
国際競争力あるパワーレーザー(3種類の光量子ビーム)
①レーザー加速器技術
独自のプラズマフォトニックデバイスを活
用することで世界で最も安定なレーザー
加速電子ビームを実現(2014)
ImPACT事業でレーザー加速器実用化予
定(2017)
 プラズマ制御とプラズマフォトニックデバイス
• JST-CRESTプラズマフォトニクス(2006-2011)
• JST-CRESTレーザー加速電子源(2009-2014)
 レーザー加速器(システム化)と放射光開発
• 内閣府ImPACT事業(2014-2018)
②超高強度レーザー技術
世界最高レベルのPW超高強度レーザー
を実現(2015)
 世界最高出力(>2kJ)のペタワットレーザー
(2015.7)
(LFEXレーザー:大阪大学レーザーエネル
ギー学研究センター)
 世界最高品質のペタワッとレーザー(2015)
(J-KAREN-P:日本原子力研究開発機構関
西光科学研究所)
③繰り返し高出力レーザー技術
レーザー用大型セラミック(我が国の技術)
により、繰り返しかつ従来の大きさを1/5
以下に小型化を実現し (2015)、サブkJを
目指す(2016)
 大口径セラミックレーザー
• 文科省光拠点事業(2009-2018)
• 文科省大学改革基盤強化促進事業(2014,2015)
 波形整形ファイバーレーザー
• 文科省光拠点事業(2009-2018)
• NEDOレーザー加工基盤技術開発事業(20142015)
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学術会議
マスタープラン2017申請にあたり
位置づけ:基本的にマスタープラン2017はマスタープラン
2014の小改定とし、大幅改定は3年後予定
スケジュール(予定)
2016年2月頃 学術大型研究計画の公募開始
2016年3月頃 学術大型研究計画の公募締め切り
2016年6月頃 学術大型研究計画の策定
2016年10月頃 重点大型研究計画の策定
2016年12月頃 科学者委員会の審議
2017年1月頃 幹事会の審議
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学術会議
マスタープラン2017申請書概要
1. マスタープラン2014からの更新点
2. 計画の概要
3. 目的と実施内容
4. 学術的な意義
5. 国内外の研究動向と当該計画の位置付け
6. 実施機関と実施体制
7. 科学者コミュニティの合意状況など
8. 所要経費
9. 年次計画
10. 準備状況
11. 共同利用体制
12. 社会的価値
13. 国家としての戦略性、緊急性
14. 国際協力・国際共同
15. 説明補足資料
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パワーレーザーによる高エネルギー密度科学
グランドアライアンス研究計画概要(案)
Grand Alliance Project for High Energy Density Science with High Power Lasers (GAP-HEDS)
申請領域:物性物理学・一般物理学(主領域)
理学・工学融合領域(副領域)
マスタープラン2014からの更新点
• マスタープラン2014の2計画を統合(コミュニティ会議)
• 施設の集約、施設整備体制と利用体制の明確化(後述)
• 日本学術会議小委員会や、レーザー学会技術専門委員会などの活動などを含
めたココミュニティの議論の進展
• 本計画で推進する次世代大型システム構築のための技術的進展
計画の概要(800字以内)798
• 次世代パワーレーザーを開発・活用し、オールジャパンの体制で学術創成から産
業イノベーションにつながる高エネルギー密度科学の開拓を推進
• 3種類の光量子ビームを有する国際競争力ある多機能レシステムを構築
• 推進体制としてレーザー施設整備中核機関、関係する研究機関が連携協力し計
画推進にあたり、学術から産業にわたる多様なユーザーの利用に供する。
• 既存のネットワークを活用・発展させ、国際的な頭脳循環を駆動するともに光科
学・物質科学の新領域を担う人材を育成する国際拠点機能を構築する。
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パワーレーザーによる高エネルギー密度科学
グランドアライアンス研究計画概要(案)
Grand Alliance Project for High Energy Density Science with High Power Lasers (GAP-HEDS)
目的と実施内容
• 高エネルギー密度科学開拓を我が国が主導することを目指す。
• 独自の手法と技術により多機能パワーレーザーシステムを構築する。これは高出
力レーザー(10kJ/ 0.1Hz)、超高強度レーザー (30PW/0.1Hz)ならびにレーザー加
速電子ビーム・放射光の3種類のビームラインから構成される。
• 実施期間は10年間とし、前半5年間でシステムを構築し、実験系の最適化およ
びユーザー提案による新領域開拓を目指した実験を開始。後半5年間は、真空
量子光学に関する本格的な実験を行うとともに多様なユーザー実験を推進する。
学術的な意義
• わが国のパワーレーザー技術の向上だけでなく、新たな光量子ピームよる物質
科学の新領域開拓をはじめ学術の創成から産業創出に渡る幅広い観点で新た
な価値を創出できる高エネルギー密度科学を開拓できる。
• 真空光散乱など量子電磁力学(QED)における真空非線形過程の測定が期待さ
れるとともに、さらなる非線形QED開拓に新たな展開をもたらす可能性がある。
• 極限的環境を利用した宇宙・天文・惑星物理、物性物理に関連した領域の開拓
や先進非破壊検査用小型量子ビーム、新重元素創成のための中性子源、イオン
源などの量子ビーム科学、超高密度・超高温プラズマによる核融合科学、さらに
物質材料科学やプロセス工学に多くのインパクトある成果が期待できる。
真空量子光学にとどめるか光量子真空物理学にするか? コミュニテイ会議の結果
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パワーレーザーによる高エネルギー密度科学
グランドアライアンス研究計画概要(案)
Grand Alliance Project for High Energy Density Science with High Power Lasers (GAP-HEDS)
実施機関と体制(重要) *あくまで案です
• レーザー施設整備中核機関(大阪大学、量子科学技術研究開発機構)と国内協
力機関の連携
• 次世代パワーレーザー複合大型システム開発体制
阪大(レーザー研、光科学センター)、量子機構(関西研)、電通大(レーザー
センター)、理研(放射光科学センター)、高エネ研(物構研)、長岡技大(工)、京
大(化学研究所)
・学術とイノベーションの協奏と結合を実現する高エネルギー密度科学推進体制
東京大学、東工大学、電気通信大学、京都大学、大阪大学、広島大学、岡山
大学、愛媛大学、光産業創成大学院大学、核融合科学研究所、量子科学技
術研究開発機構 理化学研究所、高エネルギー加速器研究機構、物質材料
研究機構
オープンサイエンス、オープンイノベーションの場を構築
理論・シミュレーションとの連携により研究開発の加速
・国際連携体制
既存の国際ネットワーク(英6機関、米7機関、仏6機関、独5機関、露国、中国、
韓国、台湾など)を活用し、国際共同研究を推進するのみならず国際的な頭
脳循環の駆動と新領域を担う人材を育成する国際拠点機能を強化(構築?)。
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パワーレーザーによる高エネルギー密度科学
グランドアライアンス研究計画概要(案)
Grand Alliance Project for High Energy Density Science with High Power Lasers (GAP-HEDS)
所要経費
• 2計画(140億円+185億円=325億円)を統合した設計計画(合計210億円)
• 装置建設経費(1-5年度)小計 180億円
高出力レーザーライン:10kJ/12ビーム/>0.1Hz/セラミック増幅器/パルス波形整形
10PW超高強度レーザーライン:10PWx3ビーム/励起光源は高出力レーザーライン一部利用
レーザー加速電子放射光ビームライン:2本のレーザー加速電子ビーム/励起光源は超高強度レー
ザーの一部利用/放射光発生用マイクロアンジュレーター
実験チャンバー群:学術研究から産業展開にわたる多様なユーザー利用に対応
• 研究経費 小計 30億円
モジュール実験経費(1-4年度)
装置運転経費(5-10年度)
データネットワークシステム
大型計算機料(1–10年度)
国内外の研究動向と当該計画の位置付け
• わが国では、2PW/PWレーザーが開発、使えるレーザープラズマ電子加速器の
開発、真空の非線形性に関する理論研究
• 国外では、東欧3カ国でELI、仏国で10PWレーザー建設、米国では、ロチェスター
大学の75 PWレーザーシステム設計予算化。韓国で4PWレーザー稼働を開始。
• 世界的に発展が著しい高エネルギー密度科学の新たな深化の先導となる。
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パワーレーザーによる高エネルギー密度科学
グランドアライアンス研究計画概要(案)
Grand Alliance Project for High Energy Density Science with High Power Lasers (GAP-HEDS)
年次計画
・研究継続期間:10年間(2016~2025年度)
2016-2018年度
・実験最適化、実験チャンバーの最終設計
・レーザーシステム試作と最終システムの詳細設計
・上流部に相当する高平均出力レーザーシステムの応用展開
2018-2020年度
・本格的システムの建設を開始。
・1-5GeVの電子ビームならびに放射光ビームを実現。
・高出力レーザーの一部単独利用による高エネルギー密度科学実験開始。
2021-2025年度
・システ本格的な利用研究の展開と光真空量子物理学の体系化。
・コミュニティ・ユーザーズ会議
2016-2018 年度コミュニティ会議より、装置ならびに実験に関する意見を集約し
装置設計ならびに実験体制に反映させる。
2017-2020年度国内外に開かれたユーザーズ会議を開催し実験提案を議論する。
また一部運用を開始した装置に関して選考された提案実験を開始する。
2021年度より本格的な利用実験に関する定期的なユーザーズ会議を行う。
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パワーレーザーによる高エネルギー密度科学
グランドアライアンス研究計画概要(案)
Grand Alliance Project for High Energy Density Science with High Power Lasers (GAP-HEDS)
準備状況
• 2計画の統合と技術調査委員会活動による議論の進捗
• より詳細なシステム設計と物理課題の検討を学会、コミュニティ会議により本計
画の一部として開始する。
• システム構築のための技術的準備は競争的資金、交付金等のプロジェクト研究
により進められている。
• 連携推進のために2014年度、理研放射光センター内に阪大光科学連携センター
設置、2016年度には阪大レーザー研ならびに量子機構関西研の双方に分室を
設置予定。
共同利用体制
• 多くの分野の研究者が参画する大規模連携研究により、真空量子光学をはじめ
高エネルギー密度物質科学などに新領域を拓く。また産業に変革をもたらす量子
ビーム開発など各分野の専門家の主導により推進する。
• 本装置は多目的共同利用施設として、大学、研究機関、企業など広範囲の分野
の研究者・技術者の利用に供すると共に、人材育成の場としても活用する。
• 国内外の研究機関、産業界から1000人規模の現実的かつ効率的な共同利用体
制を構築する。コミュニティ会議による意見集約と装置への反映。装置整備の終
盤よりユーザーズ会議を開催し実験提案を議論する。装置利用は公募として国
際選考委員会により選定する。
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パワーレーザーによる高エネルギー密度科学
グランドアライアンス研究計画概要
マスタープラン2014の2計画:「パワーレーザー
による真空量子光学開拓大規模連携研究」お
よび「高エネルギー密度科学推進計画」の統合
 日本の強みを活かした世界最高性能の次世代パ
ワーレーザー複合大型システム(30PWレーザー)
次世代パワーレーザー複合大型システムを構築し、これを利用
した「光量子真空物理学」の開拓を推進するとともに、物理学や
天文学あるいは地球物理学といった既存の学理体系に不連続
な革新を誘起するきっかけを創るとともに、人類社会の発展に
資する産業イノベーションを切り拓く広範な新技術の源泉として、
高エネルギー密度科学開拓を我が国が主導することを目指す。
 次世代パワーレーザー複合大型システム開発体制
中核機関:大阪大学、量子科学技術研究機構
協力機関:電気通信大学、京都大学、長岡技術大学、理
化学研究所、高エネルギー加速器研究機構
 高エネルギー密度科学推進体制
主要機関:東京大学、東工大学、電気通信大学、京都大学、
大阪大学、広島大学、岡山大学、愛媛大学、光
産業創成大学院大学、量子科学技術研究開発
機構 核融合科学研究所、理化学研究所、高エ
ネルギー加速器研究機構、物質材料研究機構
 国際連携体制
既存の国際ネットワーク(英国、米国、仏国、独国、露国、
中国、韓国、台湾など)を活用し、国際共同研究推進、頭
脳循環を駆動、人材を育成する国際拠点機能を構築
「物質‐光‐真空」を扱う高エネルギー密度科学の探求
で、学術とイノベーションの協奏と結合を実現
パワーレーザーによる高エネルギー密度科学
グランドアライアンス研究計画スケジュール
2021
2017
コミュニテイ・ユーザーズ会議
理論・シミュレーションによる実験最適化
2025 FY
相互作用実験
・真空分極(QED、摂動論)
検証
散乱光、高次高調波など、
真空分極直接プローブ(電磁場、磁場)
新しい学
術の開拓
光量子真空
物理学の開拓
・真空破壊(非線形QED、非摂動論)
チャレンジ
Breit Wheeler過程、動的Schwinger効果など
・低エネルギー・極微弱相互作用粒子観測の可能性
(暗黒場探索)
レーザー加速電子ビーム
光・量子
ビーム
高繰り返しPWレーザー
レーザー加速XFEL
30PWレーザー
kJ励起用繰り返しセラミックパワーレーザー
真空をプローブするX線、ガンマ線
 真空破壊を誘起するガンマ線、電子ビーム
k
 対生成できる超高電磁場下の真空
 10Kテスラーを超える超高磁場下の真空
量子真空の世界を理解
深化する高エネルギー密度科学
レーザープロセス工学
• 深層レーザーフォージング
• 先進レーザー加工・
• 極短パルスレーザーによ
る超非平衡材料プロセス
• 非加熱精密レーザー加工
超高圧物質材料科学、惑星物理
核融合科学
• 系外大型惑星(スーパーアース)内
物質探査をはじめとした惑星科学
• 超高圧構造相転移やスーパーダイ
ヤモンドなど1000万気圧の超高圧
新物質創生や超高圧固体物性
• 超高圧化学反応場
• 超高密度・超高温核融合プラズマ
レーザー量子ビーム科学・核科学 宇宙物理学・
真空物理学
• 高エネルギー粒子加速器
• 医療用量子ビーム
• レーザー加速電子高輝度コヒーレ
ント光源(THz、EUV, X線)
• 先進非破壊検査技術
• 新重元素創成(中性子源、イオン
減)
• 核変換、核破砕
• 真空量子ゆらぎの探索
• 暗黒場(sub‐eV質量の暗
黒物質・源)の探索
• 宇宙の起源
申請書案提出後のコミュニティ会議について
今後の課題
• レーザーに関するTDR(詳細な概念設計と実施設計)
• 物理実験に関するTDR(海外機関との連携)
方法
• レーザー学会専門員会を利用したワーキング
• 本パワーレーザーコミュニティ会議の定例化と進捗報告
と合意形成
• ホームページによる進捗報告とパブリックコメント集約
• 学会等での報告
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