魅力あふれる学校づくりを目指して

事例
☆本事例の中心
新潟県
魅力あふれる学校づくりを目指して
新潟の国公私立大学等
~新潟県大学魅力アップ支援プロジェクト~
を図ることを位置付け、19 年度から「大学魅
力アップ支援プロジェクト」で具体的な支援
に取り組んでいる。
事例内容
【背景】
新潟県では、全国低位にあった大学進学率
の向上や地域における高等教育の充実を図
るため、昭和 61 年から平成 15 年まで、大学
の新設や学部・学科の新増設に対して助成を
行ってきた。この結果、現在では 17 校の 4
年制大を含む 26 校の高等教育機関が設置さ
れている。これは県内高校生が少ない経済負
担で高等教育を受けられる機会を増やし、進
学率の増加と地域社会全体としての人材育
成機能の向上を目指したものである。
しかし、少子化や経済状況の悪化により、
地方の高等教育機関を取り巻く状況は厳し
いものとなり、特に新潟県の 18 歳人口は新
幹線開通等のストロー効果により首都圏に
転出している現状がある。しかも、卒業後に
も新潟県に戻ってこない状況は、地域社会の
将来にとっても問題であり、県全体の活力低
下も懸念されている。今後は、県内高等教育
機関が県内外の若者から選ばれる教育機関
となるよう転換を図っていくことが重要な
課題である。
◆ 大学の魅力とは(例示)
個性・イメージ ・歴史がある
・知名度が高い(誰に言ってもわかる)
・スポーツ(野球、駅伝)が強いなど、核となるイメージ
・校風や学問以外の学生文化(サークル、学園祭) など
教育・研究
・最先端、社会の役に立つなど、興味を引く研究
・教育、研究施設が充実している
・有名教員の存在(権威、メディアへの露出) など
周辺環境
・キャンパス内の施設が充実(学生寮、福利厚生施設等)
・学内に活気、他県出身者や近隣の大学との交流が盛ん
・所在都市の魅力(首都圏等流行や情報発信源、文化、遊び)
・学問に適した周辺環境(自然が多い) など
就職
・資格試験に有利(過去の合格者数等)
・有名、優良企業への就職に有利、実績がある
・就職指導が充実しており、就職率が高い
・起業するために必要な教育や支援 など
【取組内容】
大学の魅力は、①個性・イメージ、②教育・
研究、③周辺環境、④就職など大学そのもの
に直接関わらない要因を含む様々な要素を含
んでいることから、新潟県では「大学魅力ア
ップ支援プロジェクト」の一環として、19年
度に県内外の有識者による「大学魅力アップ
有識者検討会議」を設置し、県内高等教育機
関の現状や課題を踏まえた幅広い魅力向上策
を検討した。【図1】
魅力アップの前提は大学の自主改革であり、
経営感覚の養成と主体的な自己点検を進めて
いくことが重要との認識のもと、①学生の満
足度、付加価値を高めること、②高校との関
係を強化すること、③地域貢献により地域か
らの評価を高めることの三つの基本方向と、
それに基づく取組内容が提言された。併せて、
個々の大学による取組を基本としながら、大
学間連携によるメリットを享受することや行
【概要】
これらのことを踏まえ、新潟県は、県内大
学が教育内容や経営の改革・改善をより一層
進め、県内外から選ばれる大学となるための
魅力を向上させることが重要と考え、大学等
新増設による量の整備から、個々の大学の質
の向上への支援に転換を図ることとした。18
年度に策定した最上位計画である「新潟県
『夢おこし』政策プラン」において、県内高
等教育機関の教育内容の充実等により、魅力
向上を図り、県内高等教育機関への進学を促
進することにより人口の流入促進・流出防止
-1-
政はサポート役として支援すべきであること
などが取組の進め方として示された。
新潟県では、有識者検討会議の提言を基本
に、取組の主体は大学、県はサポート役と位
置付けた中で「大学魅力アップ支援事業」を
展開している。【図2】
具体的には、大学の個性等を確立する改
革・改善の気運醸成を図るため、『大学トッ
プ向け改革セミナー』の開催、意欲ある大学
の『改革・改善ロードマップ』作成への専門
家派遣(20~21年度、日本私立学校振興・共
済事業団に事業委託【図3~6】)を実施する
とともに、学生確保のため県内大学が合同で
取り組む高校生向けPR冊子の作成(県内高
校2年生に配布)や合同説明会の開催など大学
の特色等を効果的にPRする取組を支援した。
また、高度な教育・研究機能を大学の魅力
とするため、大学による中高生向け公開講座
を開催し、大学と高校の連携強化に取り組ん
だほか、大学が行う地域貢献事業を通じて、
地域における大学の認知度や評価向上につな
がる調査研究を支援した。
さらに、大学の魅力の一つである就職力向
上のため、懇談会による具体策の検討を進め、
22年度から大学での人材育成の具体化にもつ
ながるよう、学生のキャリア意識の早期醸成
やモラトリアム解消を目的とした取組を県内
大学と企業が連携して実施している。
23年度の「大学魅力アップ支援事業」は、
①大学魅力アップ成功事例づくり、②取組基
盤の強化、③大学が合同した取組への支援と
いう3つの方向性で実施した。
①は、改革意欲ある大学が、魅力アップに
向けたノウハウを学ぶための調査活動や具体
の実践方針策定等を支援するものである。
②は、県と大学との連携の場づくりに向け
てワーキンググループを設置し、連携の在り
方や取組の方向性等を検討した。24年度以降
「高等教育コンソーシアムにいがた」を軸に、
高大接続、就職面での県内企業との連携によ
る仕掛け、大学の地域貢献活性化の実現に向
けた取組を、県と大学双方の実務レベルを中
心に進めていく方針である。また、大学の改
-2-
革意識醸成のため、大学トップ(理事長・学
長等)とミドル(管理職レベル)を対象とし
たセミナーをそれぞれ開催した。なお、講師
の選定、講師と参加者の意見交換会のコーデ
ィネートについて私学事業団の協力を得た。
トップセミナーでは視点をガバナンスと教職
員を活かす大学経営に置き、講師に金沢工業
大学 学園長・総長の黒田壽二氏を迎えて行
った。スタッフリーダーズセミナーでは、教
職員一丸となった改革の重要性を視点に、立
命館アジア太平洋大学 副学長の本間政雄氏
を講師に迎えて行った。
③については、大学協働によるスケールメ
リットを生かし、県内大学の認知度向上、学
生の意欲向上、企業や自治体との連携強化に
つながる取組を支援するための助成金の仕組
みを作った。
○支援事業におけるセミナー等の実施状況
(敬称略:所属等は当時のもの)
【平成 19 年度】
『大学魅力アップ有識者検討会議』
(4回開催)
<委員>
伊藤 忠雄:新潟大学理事・副学長
大竹 静男:新潟県高等学校長協会大学入
試専門委員長
親松 茂 :新潟日報社学芸部長
小林しおり:キャリアプロ・コンサルタント代表取締役
西井 泰彦:日本私立学校振興・共済事業
団私学経営相談センター長
船戸 高樹:桜美林大学大学院教授
山岸 駿介:教育ジャーナリスト、多摩大学客員
教授
【平成 20 年度】
『大学改革セミナー』
第一回(平成 20 年 7 月 22 日)
「改めて「大学改革」を問う」
野田 一夫:日本総合研究所理事長、
多摩大学名誉学長
第二回(平成 20 年 11 月 10 日)
「地方大学の役割と存在意義」
小倉 宗彦:松本大学副学長・大学事務局長
「現場から始めた教育力の向上」
大学がそれぞれの強みを活かして特色ある
教育・研究の充実を図り、県内外の受験生か
ら選ばれる大学となるため、引き続き関係機
関と連携しながら大学魅力アップの取組を
支援していく予定である。
岩倉 信弥:多摩美術大学教授
第三回(平成 21 年 2 月 16 日)
「大学の魅力アップと情報発信力」
小林 浩 :リクルート「カレッジマネジメント」編集長
【平成 21 年度】
『大学改革セミナー』
第一回(平成 21 年 8 月 4 日)
「大学改革について」
澤
昭裕:(社)日本経済団体連合会、
21 世紀政策研究所研究主幹
第二回(平成 21 年 11 月 30 日)
「地方に根ざした大学経営について」
大坪 檀 :静岡産業大学学長、
第二静岡学園副理事長
「学校における中長期計画の策定方法」
池田 輝政:名城大学副学長・理事
【平成 23 年度】
『大学改革セミナー』
トップセミナー(平成 23 年 10 月 27 日)
「学校法人が果たすべき役割と責任」
黒田 壽二:金沢工業大学学園長・総長
スタッフリーダーズセミナー(平成 24 年 2 月 17 日)
「『ガラパゴス化』する日本の大学…今何をす
べきか」
本間 政雄:立命館アジア太平洋大学副学長
大学魅力アップ支援事業 参加大学
【国立大学】
新潟大学、長岡技術科学大学、上越教育大学
【公立大学】
新潟県立看護大学、新潟県立大学、新潟県立
女子短期大学
【私立大学】
日本歯科大学新潟生命歯学部、新潟薬科大学、
新潟産業大学、敬和学園大学、新潟国際情報
大学、長岡造形大学、新潟経営大学、新潟工
科大学、新潟青陵大学、長岡大学、新潟医療
福祉大学、新潟リハビリテーション大学、新潟青陵大
学短期大学部、新潟工業短期大学、新潟中央
短期大学、日本歯科大学新潟短期大学、明倫
短期大学
【大学院大学】
国際大学、事業創造大学院大学
【高等専門学校】
長岡工業高等専門学校
★今後の課題
☆成功のポイント
新潟県での進学による若者の県外流出超
過の実数は、減少傾向にあるものの依然とし
て厳しい状況にあり、少子化の進展等により、
県内の大学進学者の実数が減少に転じるこ
とが予測される中で、県内大学はさらなる魅
力アップが必要になってくると考えられる。
これまでの取組みを活かしながら、大学が
より一層魅力を向上させていくためには、建
学の精神あふれる私学、国立大学法人等が大
学間で連携しながら効果的な取組を進める
ほか、大学と行政、大学と企業との連携を強
化し、大学が研究を通じて行政の政策立案や
企業の新商品開発に対して協力することで、
地域貢献機能を発揮していくことも重要な
視点であると考えている。県としても、県内
-3-
少子化や経済状況など、地方の高等教育機関
を取り巻く環境を、個々の学校の問題と捉える
のではなく、将来の地域社会においての大きな
課題と考え、県と高等教育機関が危機感を共有
できたことがここまで事業が継続できた要因
である。
◎今後の方向性、他への応用等
県内の各高等教育機関が魅力を向上させ、県
内外から選ばれる高等教育機関となることを
検討することは実践されてきた。今後、この支
援事業を通じての活性化への取組が引き続き
継続され、更なる大学等の魅力アップにつなが
ることを期待したい。
【図 1】
◆ 大学魅力アップ有識者検討会議による提言
◇魅力アップの前提は大学の自主改革
◇魅力アップに向けた具体的方策【取組の3本柱】
○経営感覚の養成と主体的な自己点検
①大学への「満足度」、学生の「付加価値」の向上
●理事長、学長などトップの経営感覚強
化と主体的な自己点検
●目標達成に至るロードマップの作成に
よる確実な改革・改善の推進
②高校との関係強化
●学生視点に立った教育内容や生活支援プログラムの改革・改善
●「教育内容・研究活動」の特色を打ち出し、教養教育や産業界と
の連携による 「就職への強さ」向上
●マーケットである高校生のニーズを的確に把握し、ターゲット(高
生、保護者、進路指導担当教員)に対する効果的な情報発信
●これらを円滑に実施するため高校と大学の連携強化
◇取組主体
●取組の主体は大学自身(個々の大学に
よる取組を基本に、大学間連携により
メリット享受)
●行政はサポート役
③地域貢献による地域からの評価向上
●地域の「知の拠点」として地元企業や行政との連携推進等
●地域貢献による大学の存在価値を高め「知名度・認知度」向上
●質の高い専門人材を育成し、県内企業等へ供給
【図 2】
◆ 大学魅力アップ支援プロジェクトの取組(H19~23)
H19実施事業
●魅力アップ有識者検討会議
●魅力向上・発信支援
高校生向けPR冊子の作成支援
●「教育機能」活用
中高校生を対象に理科技術系
講座
●知の財産活用
県の行政課題に関する調査研
究助成
H20実施事業
H21実施事業
H22実施事業
●「魅力アップ・PR」支援
・県内大学合同説明会
・合同パンフ改訂・増刷
●「改革・改善」支援
・大学改革セミナー開催
・改革ロードマップ作成支援
・県内大学就職力向上に関する
懇談会
●「地域貢献機能」活用
・地域貢献機能活用支援
地域課題に対する地域貢献事業
支援
・知の財産活用
県の行政課題に関する調査研究
委託
・理科・技術力向上機能活用
中高生向け理科系講座を委託
●大学自身による改革支援
・大学改革セミナー
・改革・改善ロードマップ作成支援
●大学と高校の連携支援
・教育・研究機能活用
中高生向け公開講座(文系拡大)
●大学と企業の連携支援
・「県内大学・企業の就職における
連携に関する懇談会」開催
大学と地域の連携を支援
●地域貢献機能活用支援
国際的・地域課題に対する地域
貢献事業(調査研究)助成
●大学自身による改革支援
・大学改革セミナー
(東日本大震災により中止)
●PR力向上支援
・総合的なPR力向上を支援
広報力向上のための専門家派遣
●就職力向上支援
・大学と県内企業が連携して行う
取組を支援(企業トップのキャリ
ア講座、人事担当と連携したグ
ループワーク研修)
●地域連携支援
・具体的な地域ニーズを掘り起こ
し、地域の団体等と連携して行
う研究テーマを支援
H23実施事業
●取組基盤の強化
・県と大学との連携の場づくり
・大学トップの改革意識醸成
トップセミナー、スタッフリーダ
ーズセミナー
・大学改革に役立つ情報提供
県内高校生意識調査
●大学合同の取組支援(補助)
・高等教育コンソーシアムにいが
たが実施する大学共同の取組
を支援
●大学魅力アップの成功事例
づくり(補助)
・改革意欲ある私立大学等が魅
力アップに向けて行う事例調
査、実践方針策定を支援
<魅力アップのためのロードマップ参考>
【図 3】
新潟県大学「改革・改善」支援事業 魅力アップのためのロードマップ(例) ○○学園 △△大学(シミュレーション)
A 学生ニーズを把握し教育内容を充実するための取り組み
【1】授業評価
学部・教員双方による全学的な授業評価体制の整備
(自己分析・改善方策)
学生評価のみ実施している→教員相互評価も実施する
B学部み実施している→全学部で実施したいが、学部
の自治が強いため、先にB学部を整備し成果を確認し
た後、他学部でも実施する
①教授方法の問題点を整理
②授業内容の問題点を整理
③カリキュラムの問題点を整理
【2】FD
全学的FD活動の展開
(自己分析・改善方策)
A学部のみで実施しており、他学部教員と
の間に熱意の温度差がある→全学的な制度
として整備する
フィードバック
①教授方法の問題点の検討・改善
②授業内容の問題点の検討・改善
③カリキュラムの問題点の検討・改善
【3】SD
地域(高校・住民・企業) からの評価、地
域のニーズを把握・検証できる職員の育成
(自己分析・改善方策)
各部署のOJTに任されており、組織
としての取り組みがない→まず管理職
研修から実施し、一般職員へ拡大する
フィードバック
地域のニーズに基づいた教育内容
の提示、現状のカリキュラムへの
提言
①教授方法の充実…(改革方策)eラーニング・遠隔授業の導入
②授業内容の充実…(改革方策)実践的科目の導入、地域振興科目の導入
③カリキュラム改革…(改革方策)必修・選択の見直し、コース制の導入、単位計算の見直し
④新たな学部・学科の新設…(改革方策)地域の要請が高い○×学部の新設
学生の満足度アップ 付加価値の向上
自己点検・自己評価 ①計画実施後の効果の検証・分析 ②修正点、改善点の認識
⇒ さらなる向上への取り組み(事後調査の実施等)
大学の知名度アップ
ブランド力の構築・上昇
-4-
【図 4】
新潟県大学「改革・改善」支援事業 魅力アップのためのロードマップ例 ○○学園 △△大学(シミュレーション)
B 高校との関係を強化するための取り組み
【1】高校訪問
高校訪問の充実による入学者増加
(自己分析・改善方策)
高校訪問が入学者の確保に結びついていない
【改善点】
・訪問校の選定、訪問実施方法の検討
・説明会の開催方法の見直し
・訪問スタッフの人員構成の見直し
【改善の具体的取り組み】
・進路担当高校教諭限定の進学説明会開催
・1日大学見学(高校単位でのオープンキャンパス)
・HPに応募のあった高校へ訪問し、説明会を開催
・他部署からの訪問スタッフの選定と育成
【2】オープンキャンパス
企画内容の刷新、オープンキャンパスへの参加者増
(自己分析・改善方策)
在学生有志によるイベントを開催しているが、開催内容
が最近マンネリ化している
【改善点】
・イベント内容の問題点を整理
・運営方法の問題点を整理
・オープンキャンパスの日程・回数について検討
【3】広報活動
ホームページの内容充実化による情報発信の強化
(自己分析・改善方策)
ホームページを大学広報・情報公開の面で強化することが必要
【改善点】
・ホームページのコンセプトを策定
・コンテンツ内容を整理
・情報の公開方法を整理
【改善の具体的取り組み】
・学部学科単位での教員・学生の参加
・高校からの要望・HP閲覧数の多いテーマでイベントを開催
・来場者へのサービスの充実化
・来場者がリピーターとなる年間イベンスケジュールの策定
【改善の具体的取り組み】
・オープンキャンパス、学内イベント関連の情報更新の早期化
・学内サークル・教職員の紹介(専用ページ・ブログ)
・高校訪問、オープンキャンパスで行うアンケートの結果の反映
・出張授業の過去の実施内容を公開→出張希望校を募集
フィードバックによる改善
①自己点検・自己評価
②計画実施後の効果の検証・分析
③修正点、改善点の認識
オープンキャンパス参加者数の増加
ホームページ閲覧者の増加
志願者の増加
【4】高大連携
高校生の教育力向上・大学進学の動機付けになる取り組み策定
(自己分析・改善方策)
高校との交流、連携事業の策定
【改善点】
・大学の講義を高校で展開
・高校-大学間の連携事業・学生交流を検討
・大学施設の利用の促進
入学者の増加
大学の知名度アップ ブランド力の構築・上昇
【改善の具体的取り組み】
・高校生に対して専門科目または一般教養の講義の実施
・高校生の科目履修生の受け入れ
・高校と大学による共同研究または調査の実施
(高校生と大学生・院生の参加)
・教育実習に大学のインターンシップの活用
・高校の部活動の指導
【図 5】
新潟県大学「改革・改善」支援事業 魅力アップのためのロードマップ(例) ○○学園 △△大学(シミュレーション)
C 地域貢献、地域からの評価を高める取り組み
産 学 連 携
地 域 貢 献
【1】大学所在地域の産業(企業)の把握
(自己分析)金型製造業が盛んである。伝統的な中小企業が多い。
【2】大学所在地域の特徴や地域性の把握
(自己分析)過疎化による高齢化が進んでいる。文化遺産が点在している。
【シーズの把握】
企業の課題解決のため、大学が提
供できる人的物的資源は何か
①教員の研究内容・ネットワーク
②学内の研究施設・設備
③情報収集や調査を行うための学
生力
【ニーズの把握】
大学の教育研究力向上のために、
企業に求めるものは何か
①企業の人材開発能力
②学生の企業現場での職業体験
【地域のニーズの把握】
地域の課題解決のため、大学が提
供できる人的物的資源は何か
①教員の研究内容・ネットワーク
②学内の研究施設・設備
③情報収集や調査を行うための学
生力
【大学のニーズの把握】
大学の教育研究力向上のために、
地域に求めるものは何か
①芸術・文化・歴史の研究
②フィールドワークの場提供
③街づくりへの参画
(自己分析・改善方策)
①工業試薬の研究実績があるが共
同研究の実績なし
→△△分野の共同研究を推進
②実験設備は全て学内実習用であ
る→○×装置を開放
③□□商店街へ学生スタッフ派遣
(自己分析・改善方策)
①地元産業技術者との繋がりがな
い→**鉄工所の寄附講座開講
②地域の特色ある産業を活かした
キャリア教育が不十分である
→金型製造業のインターンシッ
プを実施
(自己分析・改善方策)
①一般市民の学びの場が不足して
いる→公開講座の実施
②図書館のみ平日開放している
→教室や体育施設の開放、施設
の休日開放の実現
③高齢者支援ボランティアの推進
(自己分析・改善方策)
①地域研究の実績が乏しい
→地元の文化遺産研究の奨励
②実体験を伴う授業が不足してい
る→実践科目・課外科目の充実
③自治体と連携した学園祭の企画
地域・地元産業界からの大学の評価の上昇 地元の学生募集力の向上 地元企業等への就職力の向上
学生の満足度アップ 付加価値の向上
自己点検・自己評価 ①計画実施後の効果の検証・分析 ②修正点、改善点の認識
↓
さらなる向上への取り組み(事後調査の実施等)
大学の知名度アップ ブランド力の構築・上昇
-5-
【図 6】
新潟県「大学自身による改革」支援事業
魅力アップロードマップ作成
【事前準備段階1】
○大学自身での現状把握 SWOT分析等
学校法人であっても他の企業と同じように現状の強み・弱みを認識することは重要である。そのためにはSWOT分析を利用して判断す
ることは有効である。大学自身でこの分析をすることにより、問題を認識する材料にもなり、今後の再建計画もはっきりしてくる。SWOT分
析とは、取り巻く環境を内部環境と外部環境に区分し、内部環境である経営資源を「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」に分類し、外
部環境を「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」に分類して把握・分析する手法である。
○意識調査(アンケート等)
現在大学で行っている意識調査や今後実施すべき調査の結果をどのようにフィードバックさせるかを検討する。
◆調査対象 在学生、受験生、教職員、保護者、高等学校等の先生、地元企業etc
◆調査項目 ①教育内容(大学の教科、科目)②学生サービス(学習、生活支援)③キャリア教育(進学相談、就職支援)
④組織について(問題点、改善案)⑤大学に対するイメージ⑥学生募集 等
○学内での共通認識
ロードマップを作成し、今後の大学経営に活かすためには、理事長、学長、事務局長など学校経営のトップと教職員の認識が共通の
ものでなければいけない。SWOT分析等、意識調査(アンケート等)を踏まえ、これから大学の歩むべき方向性や目標を具体的に掲げ、
大学全体として把握しておく必要がある。
【事前準備段階2】
上記を踏まえ、具体的相談内容を検討し選択(複数可)する。
「魅力アップロードマップ」を作成し、「経営改革」・「主体的な自己点検等」への試みに方向性を持たせるために、どのような取り組みをし
ていくのか検討する内容を下記より選択する。
①学生ニーズを把握し教育内容を充
実するための取り組み
②高校との関係を強化するため
の取り組み
③地域貢献、地域から評価を
高める取り組み
(上記3つは、有識者検討会議 魅力アップの取り組み3つの「柱」より)
④管理運営、組織の活性化
⑥財務の分析・比較
⑤教育条件の改善
⑦人事政策・人件費の見直し
⑨その他の課題
⑧収入の確保
-6-
PDCAの内容は一例です。各大学によっ
て問題点は異なると思いますので、これを
参考に検討してください。
私学事業団が財務情報から経営状況を把握し、現地調査を経て
のロードマップ作成や経営改革、主体的な自己点検などの「改革・
改善」への試み等について助言をします。
ロードマップ作成
・中長期的計画を含み具体的なPlanとする。
・PDCAを通して、一貫した実現可能な目標を決める。
・「改革・改善」のねらいが教職員全体に浸透するように、Planに名称をつける。
・目標達成の期限を明確にする。
・意識調査(アンケート等)の結果を考慮し、作成する。
・作成において、学内から広く意見を求め、各セクションの課題を明らかにする。
A 学生ニーズを把握し教育内容を充実するための取り組み
A 学生ニーズを把握し教育内容を充実するための取り組み
A 学生ニーズを把握し教育内容を充実するための取り組み
【1】授業評価
学部・教員双方による全学的な授業評価体制の整備
(自己分析・改善方策)
学生評価のみ実施している→教員相互評価も実施する
B学部み実施している→全学部で実施したいが、学部
の自治が強いため、先にB学部を整備し成果を確認し
た後、他学部でも実施する
①教授方法の問題点を整理
②授業内容の問題点を整理
③カリキュラムの問題点を整理
フィードバック
【1】授業評価
学部・教員双方による全学的な授業評価体制の整備
(自己分析・改善方策)
学生評価のみ実施している→教員相互評価も実施する
B学部み実施している→全学部で実施したいが、学部
の自治が強いため、先にB学部を整備し成果を確認し
た後、他学部でも実施する
【1】授業評価
学部・教員双方による全学的な授業評価体制の整備
(自己分析・改善方策)
学生評価のみ実施している→教員相互評価も実施する
B学部み実施している→全学部で実施したいが、学部
の自治が強いため、先にB学部を整備し成果を確認し
た後、他学部でも実施する
【2】FD
全学的FD活動の展開
(自己分析・改善方策)
A学部のみで実施しており、他学部教員と
の間に熱意の温度差がある→全学的な制度
として整備する
【3】SD
地域(高校・住民・企業) からの評価、地
域のニーズを把握・検証できる職員の育成
(自己分析・改善方策)
各部署のOJTに任されており、組織
としての取り組みがない→まず管理職
研修から実施し、一般職員へ拡大する
【2】FD ①教授方法の問題点を整理
②授業内容の問題点を整理
全学的FD活動の展開
③カリキュラムの問題点を整理
(自己分析・改善方策)
A学部のみで実施しており、他学部教員と
の間に熱意の温度差がある→全学的な制度
として整備する
【3】SD
①教授方法の問題点の検討・改善
地域のニーズに基づいた教育内容
フィードバック の提示、現状のカリキュラムへの
地域(高校・住民・企業) からの評価、地
フィードバック
②授業内容の問題点の検討・改善
域のニーズを把握・検証できる職員の育成
③カリキュラムの問題点の検討・改善
提言
(自己分析・改善方策)
各部署のOJTに任されており、組織
としての取り組みがない→まず管理職
研修から実施し、一般職員へ拡大する
①教授方法の充実…(改革方策)eラーニング・遠隔授業の導入
②授業内容の充実…(改革方策)実践的科目の導入、地域振興科目の導入
③カリキュラム改革…(改革方策)必修・選択の見直し、コース制の導入、単位計算の見直し
地域のニーズに基づいた教育内容
④新たな学部・学科の新設…(改革方策)地域の要請が高い○×学部の新設
フィードバック の提示、現状のカリキュラムへの
提言
①教授方法の問題点を整理
①教授方法の問題点の検討・改善
②授業内容の問題点を整理
フィードバック
②授業内容の問題点の検討・改善
③カリキュラムの問題点を整理
③カリキュラムの問題点の検討・改善
【2】FD
【3】SD
全学的FD活動の展開
地域(高校・住民・企業) からの評価、地
(自己分析・改善方策)
域のニーズを把握・検証できる職員の育成
学生の満足度アップ 付加価値の向上
A学部のみで実施しており、他学部教員と
(自己分析・改善方策)
の間に熱意の温度差がある→全学的な制度①教授方法の充実…(改革方策)eラーニング・遠隔授業の導入
各部署のOJTに任されており、組織
②授業内容の充実…(改革方策)実践的科目の導入、地域振興科目の導入
として整備する
としての取り組みがない→まず管理職
③カリキュラム改革…(改革方策)必修・選択の見直し、コース制の導入、単位計算の見直し
研修から実施し、一般職員へ拡大する
④新たな学部・学科の新設… (改革方策)地域の要請が高い○×学部の新設
自己点検・自己評価 ①計画実施後の効果の検証・分析 ②修正点、改善点の認識
①教授方法の問題点の検討・改善
⇒ さらなる向上への取り組み(事後調査の実施等)
地域のニーズに基づいた教育内容
フィードバック の提示、現状のカリキュラムへの
②授業内容の問題点の検討・改善
③カリキュラムの問題点の検討・改善
提言
学生の満足度アップ 付加価値の向上
①教授方法の充実…(改革方策)eラーニング・遠隔授業の導入
自己点検・自己評価 ①計画実施後の効果の検証・分析 ②修正点、改善点の認識
②授業内容の充実…(改革方策)実践的科目の導入、地域振興科目の導入
③カリキュラム改革…(改革方策)必修・選択の見直し、コース制の導入、単位計算の見直し
⇒ さらなる向上への取り組み(事後調査の実施等)
④新たな学部・学科の新設…(改革方策)地域の要請が高い○×学部の新設
大学 の知名 度ア ップ ブ ラン ド力 の構 築・ 上昇
学生の満足度アップ 付加価値の向上
大 学の 知名 度アッ プ ブラ ンド力 の構 築・ 上昇
自己点検・自己評価 ①計画実施後の効果の検証・分析 ②修正点、改善点の認識
⇒ さらなる向上への取り組み(事後調査の実施等)
大学 の知名 度ア ップ ブ ラン ド力の 構築 ・上 昇
Check結果をもとに処置・改善
ロードマップを実行
・ロードマップで立てた計画と目標を、広く周知する。
・教職員全員がPlanに関われるように、各セクションの指標を明確
にする。
・担当部署の長が責任を持って実行する。
・定期的に実施状況を責任者に報告する。
・Planに不具合が生じているところに処置・改善をする。
・不具合が再発しないようにロードマップを見直し、防止策を実施す
る。
ロードマップのDoを確認
・定めた期間ごとに、ロードマップの実施状況と目標達成度をチェックする。
・実施報告をもとに、担当部署の長とともに問題点を洗い出す(自己点検)。
・計画に対する問題点、改善策を教職員に周知する。
・教職員へのヒアリング(アンケート等)を行い、現状を把握する。
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