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大統領の陰謀

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大統領の陰謀
鈴木
泉
『大統領の陰謀―ニクソンを追いつめた300日』
ボブ・ウッドワード、カール・バーンスタイン著
文春文庫
『大統領の陰謀』
アラン・J・パクラ監督
ワーナー・ホーム・ビデオ
ニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件を、ワシントンポス
ト紙の2人の若い記者(ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタイン)が明る
みにしてゆく過程を克明に描いた長編小説。理工系の学生に薦める本をというこ
とですが、この本を特に挙げたのは、地道な調査の積み重ねという点では理工系
の(とは限らずあらゆる)調査・研究の過程に通じるところがあるからと、
(後述
する)
、自身が長岡技大に来るきっかけになったことです。聞き込みや電話取材で
あからさまに拒否されても、あくまで真実を追及しようと試行錯誤を積み重ねる
2人の姿と、2人の若い記者を信用して調査を続行させる編集長の姿勢が、研究
室の教授と学生が困難な研究課題に取り組む姿に重なって見えます。
この小説は映画化されており、実は、映画のほうを先にご覧になることをお勧
めします。というのは、小説がかなり長編であることと、私自身、実は映画で初
めて見て、その後で小説は斜め読みでしか読んでいないからです。斜め読みをし
たのには理由があり、初めにこの映画を知ったのは、テレビの深夜番組の時間帯
にこれが放映されているのを偶然見たことでした。若いロバート・レッドフォー
ド演ずる Woodward と、ダスティン・ホフマン演ずる Bernstein が実に格好良い。
ポスト紙の大きなフロアーはそのままセットとして再現したそうで、散らかった
ままの机、電話でのやり取り、ミーティングルームでの立ち話、… 全てがリアル
に再現されています。派手なアクションこそありませんが、最後まで2人の記者
になり切り、画面に引き込まれました。元になる小説があることを知り、さっそ
く読んでみようと書店に問い合わせたところ、既に絶版とかで、入手は困難と言
われました。インターネットで書籍を購入するのがまだあまり一般的ではなかっ
たので、とりあえず古本屋を探し回ったのですが、結局見つからず、あきらめて
しまいました。(公立の図書館を探せばあったかも。)ところが数年経ってから、
学会発表で早稲田大学に行ったとき、近くの古本屋に置いてあるのを、これまた
偶然見つけました。しかし、こうしてようやく本が手に入ったときには、読みた
いという熱が既に冷めており、本の厚さを考えると、結局斜め読みで済ませてし
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まったのでした。
そのような訳で、本の紹介でありながら映画のほうを薦めるのですが、その場
合、可能であれば日本語吹き替え版をお勧めします。私はいつも、吹き替えでは
もとの映画の価値が半減してしまうとか言っているのですが、この作品は別です。
電話での微妙なやり取りや、登場人物の表情やボディーランゲージが良いところ
なので、字幕を目で追っていたのでは十分にこれらを体感できません。また、字
幕には字数の制約があるので、言っていることが全部表現されているわけでもあ
りません。テレビで放送されていた吹き替え版は良く出来ているのですが、多少
のシーンがカットされていました。やはりベストは英語で聞き取れるようになる
ことです。
最近も、記者に情報を提供していた人物(彼らの間ではディープスロート deep
throat とあだ名されていた)は、実は、というか、やはり FBI のある高官であっ
たことがニュースになるなど、今でも話題には事欠きません。その deep throat の
映画でのセリフ:(ある特定の情報を求める Woodward に対し)
“ I can’
t tell you
that. You tell me what you know, and now I confirm. I’
ll keep you the right
direction, that all. Just follow the money.”
「それは言えない。君たちで調べるんだ。
そうすれば、それが正しいかどうかは教えてやる。金の流れを追え。
」
2人の記者は、この deep throat に育てられたといっても言い過ぎではないしょ
う。冒頭で述べた「長岡技大に来るきっかけになった」ことについてですが、当
時、理学部から工学部に移るかどうか迷っていました。そんな時、しばらく前に
見たこの映画のことを思い出し、
「元気」が出た私は、名前だけ知っていたある先
生のところへ思い切って電話をかけたのでした。その先生というのが、現在所属
している研究室の教授(大里先生)です。
執筆者紹介
鈴木 泉
本学助教。専門領域は、知的システム。新潟大学で数学を学んでいたが、工学部で学
ぶことを決意し、本学の研究生に転身。その後、博士号取得に挑戦しながら助手の仕
事を務めてきた。学生の兄貴分のように慕われている。社交ダンスやパラグライダー
など多彩なカッコいい趣味の持ち主でもある。
『書名』 著者名(翻訳者名) 出版社または文庫・シリーズ名 出版年 税込み価格
『大統領の陰謀』 新装版ボブ・ウッドワード、カール・バーンスタイン著(常盤新平訳)
文春文庫 2005年 880円
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