第4部 食物アレルギー対応マニュアル 目 次 1.食物アレルギーの定義 (1)食物アレルギーとは ・・・・・・・・・・・・・・・・P1 ※食物アレルギーと間違えやすい病気 (2)食物アレルギーの症状・・・・・・・・・・・・・・・・P2 ※重症のショック症状 (3)食物アレルギーの原因物質・・・・・・・・・・・・・・P2 2.食物アレルギーへの対応区分・・・・・・・・・・・・・・P3 3.食物アレルギーの予防策 (1)学校給食センターの予防策・・・・・・・・・・・・・・P4 (2)学校の予防策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P4 (3)教育委員会の予防策・・・・・・・・・・・・・・・・・P4 4.食物アレルギー発生時の対応策 (1)緊急時の学校の対応・・・・・・・・・・・・・・・・・P5 ※アドレナリン自己注射薬(エピペン)について (2)緊急時の教育委員会の対応・・・・・・・・・・・・・・P5 5.緊急事態発生時の対応フロー・・・・・・・・・・・・・・P6 6.宇佐市立学校給食アレルギー発生時対策本部設置要領・・・P7 1.食物アレルギーの定義 (1)食物アレルギーとは 私たちの体には、細菌やウィルスなどの侵入から体を守る「免疫」という働 きがあります。ところがこの免疫が、病原体ではなく、本来無害なはずの食物 や花粉に過敏に反応して私たち自身を傷つけることがあり、これを「アレルギ ー反応」と呼びます。食物アレルギーは食物を食べたり、触ったり、吸い込ん だりした時に体に有害な症状が出る反応です。 食物アレルギーの種類 アナフィラキ 臨 床 型 発症年齢 頻度の高い食物 耐性獲得 シーショック の可能性 即時型症状 (じんまし 乳幼児~ ん、アナフ 成人期 ィラキシー など) 【乳児~幼児】 鶏卵、牛乳、小麦、そ ば、魚類、落花生など 【学童~成人】 甲殻類、魚類、小麦、 果物類、そば、落花生 など 鶏卵、牛乳、小麦、 大豆などは耐性 獲得しやすく、そ の他は耐性獲得 しにくい 高い 食物依存性 運 動 誘 発 ア 学童期~ ナ フ ィ ラ キ 成人期 シー 小麦、エビ、カニなど 耐性獲得しにくい とても高い 口 腔 ア レ ル 幼児期~ ギー症候群 成人期 果物、野菜など 耐性獲得しにくい とても高い (厚生労働科学研究班「食物アレルギーの診療の手引き2011」) ※食物アレルギーと間違えやすい病気 食物が引き起こす有害な反応でも、食物不耐性や食中毒は免疫反応ではないため、食物アレ ルギーではありません。 ◇食物不耐性:体質的に食物を消化できない (例) 乳糖を消化できず牛乳を飲むと下痢 ◇食中毒:食物中の病原体や毒素で発生 (例) ノロウィルス汚染されたカキによる下痢 ◇仮性アレルゲン:食物中の化学物質が原因でアレルギー様症状を起こす (例) 鮮度の落ちた青魚によるじんましん 1 (2)食物アレルギーの症状 食物アレルギーでは全身に多様な症状がおこります。もっとも頻度が高いの は皮膚症状ですが、重症のショック症状も1割ほど発生しています。 ① 皮膚の症状 かゆみ じんましん 発赤 湿疹 ② 目の症状 結膜の充血 かゆみ 涙 まぶたの腫れ ③ 口、のどの症状 口の中の違和感 腫れ のどのかゆみ イガイガ感 ④ 鼻の症状 くしゃみ 鼻汁 鼻づまり ⑤ 呼吸器の症状 息が苦しい 咳 ゼイゼイする のどのつまり 声がれ ⑥ 消化器の症状 腹痛 吐き気 嘔吐 下痢 血便 ⑦ 循環器の症状 脈がはやくなる 血圧低下 手足が冷たい 蒼白 ⑧ 神経症状 頭痛 元気がない ぐったり 意識障害 ※重症のショック症状 重症のショック症状であるアナフィラキシーは、食物、薬物、ハチ毒などが原因で起こる即時 型食物アレルギー反応の1つです。即時型食物アレルギー反応の中でも、一つの臓器に留まらず、 皮膚、呼吸器、消化器など多臓器に重い症状が現れます。時に血圧低下や意識喪失などを引き起 こし、こうした生命をおびやかす危険な状態を「アナフィラキシーショック」と呼びます。 アナフィラキシーの状態になったら早急に医療機関を受診させる必要があります。 また、医師からアドレナリン自己注射薬(エピペン)を処方されている場合にはその場で注射 することも大切です。(P5参照) (3)食物アレルギーの原因物質 食物アレルギーを発症させないためには、“原因食物の除去”が唯一の予防 法です。個々の児童生徒の食物アレルギー原因食物を、学校と学校給食センタ ーが把握することが必要となります。 食物アレルギーは、あらゆる食物が原因となりますが、卵、乳、小麦は患者 2 数が多く、三大アレルゲンと呼ばれています。また、そばや落花生は重篤な患 者が多いので、食品への表示義務があります。 ≪全年齢における発生原因の食物の割合≫ 鶏卵 38.7% 牛乳 20.9% 小麦 12.1% 落花生 4.8% 魚卵 4.3% その他 19.2% (厚生労働科学研究班「食物アレルギーの診療の手引き2011」) 2.食物アレルギーへの対応区分 食物アレルギーへの対応レベルは、以下のとおりに大別されます。 【レベル1】 詳細な献立表による対応 献立に使用される食材料について、アレルギー食品表示制度に準拠して、アレ ルゲン成分含有の情報を保護者に伝えます。 保護者は、それに基づいて献立の中から取り除いて食べるもの、または、食べ る献立と食べない献立を決めます。 食べない献立の代わりに一部弁当持参(レベル2)をすることもあります。 【レベル2】 弁当対応 給食を全く食べない「完全弁当持参」と、食べられない一部の献立の代りに弁 当を持ってくる「一部弁当持参」があります。 除去食、代替食をされていても、時には一部弁当が必要な場合があります。 【レベル3】 除去食対応 給食センターでの調理の過程で、アレルゲン食品を加えない給食を提供するこ とをいいます。単品の牛乳や果物を除くのも該当します。 【レベル4】 代替食対応 給食センターで除去した食材に対して、代わりの食材を加えたり、調理法を変 えたりして献立を提供することをいいます。 (財団法人 日本学校保健会 「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」) 3 現在、施設及び提供する給食数の違いから宇佐学校給食センターでは、レベル 1の詳細な献立表による対応を行い(牛乳については除去食対応)、南部学校給 食センターでは、レベル3の除去食対応もしくはレベル4の代替食対応を行って いますが、宇佐学校給食センターもレベル3やレベル4のアレルギー対応食開始 に向け、準備を始めています。 3.食物アレルギーの予防策 (1)学校給食センターの予防策 ① 学校と連絡を取り合い、児童生徒のアレルギーの情報を把握し、学校別の名 簿を作成します。 ② 毎月の献立表にアレルギー物質の成分表を添付し、学校、児童生徒及び保護 者に配布します。また、学校と密接に連絡を取り合い、アレルギーを発症し ないよう指導します。 (2)学校の予防策 ① 食物アレルギー対応の際の校内体制の確立 食物アレルギーのある児童生徒に対しては、その児童生徒の情報をしっか り収集し、万が一のときにすべての関係者が理解し対応できる体制をとり ます。 ② 食物アレルギーを有する児童生徒に対しての確認事項 原則として医師の正しい診断に基づき、特定の原因物質の除去が必要なも のは保護者に「学校生活管理指導表」を提出して頂きます。 ③ 食物アレルギーにおける教職員の体制 ア 学校給食センターと献立について密接に連絡を取り合います。 イ 校内の関係教職員は密接に連絡を取り合い、情報を共有します。 ウ 主治医や校医と密接に連絡を取り合い、指示事項等を台帳に記録します。 エ 近隣の医療機関、消防署などの関係機関と常に連絡を図ることで、緊 急時に備えます。 (3)教育委員会の予防策 ① 学校の食物アレルギー対応の体制整備や取り組みが進むよう、支援します。 ② 各学校の食物アレルギー疾患のある児童生徒を把握し、緊急時に備えて消 防署等と連携を図ります。 ③ 食物アレルギーに関して、必要に応じて学校や保護者からの相談を受けま す。 ④ 食物アレルギーの研修会を実施します。又は各学校の研修会を支援します。 4 4.食物アレルギー発生時の対応策 (1)緊急時の学校の対応 ① 必要に応じて、エピペンの使用、救急車の要請 ② 教育委員会(学校給食課、学校教育課)に連絡 ③ 保護者へ対応 ④ 他の児童への対応 ⑤ 児童の症状を記録 ⑥ その他必要な措置を講ずる (2)緊急時の教育委員会の対応 ① 職員の現地への派遣 ② 学校給食アレルギー発生時対策本部(以下「本部」という)を設置 ③ 本部は学校給食課を通して学校への指示 ④ 本部は中津教育事務所及び教育庁体育保健課に報告 ⑤ 本部は状況に応じて報道関係に公表 ⑥ 本部はその他必要な措置を講ずる ※アドレナリン自己注射薬(エピペン)について アナフィラキシー状態になった場合の有効な治療薬は、アドレナリン自己注射薬(エピ ペン)です。 エピペンとは、緊急時に対処するため患者や保護者が自ら注射する自己注射薬です。患 者が注射できないときは代りに学校職員が注射してもよく、法律に抵触しません。 5 6 宇佐市立学校給食アレルギー発生時対策本部設置要領 (設置) 第1条 学校におけるアレルギー発生時の救急医療体制の確保を図り、患者に対して迅速かつ 適切な措置に万全を期するため、宇佐市立学校給食アレルギー発生時対策本部(以下「本部」 という。)を設置する。 (職務) 第2条 本部は、学校給食に起因すると思われる食物アレルギーが発生した場合、次に掲げる 事項について留意し、速やかに対策を審議し、適切な措置に当たる。 (1)学校・保護者と連携し、児童・生徒等の安全確保に関すること。 (2)医師会等と連携し、患者の輸送、入院治療等に関すること。 (3)その他本部長が必要と認める事項 (組織) 第3条 本部は、下記の委員で構成する。 2 教育長、教育次長、学校教育課長、学校給食課長 3 教育長を本部長とする。 (本部の開催) 第4条 本部会議は、本部長が招集する。 2 本部長は、必要があると認められるときは、委員以外の者の出席を求めて意見を聴くこと や資料の提出を求めることができるものとする。 (事務局) 第5条 本部に関する庶務は、宇佐市教育委員会学校給食課に事務局をおいて処理する。 (附則) 第6条 この要領は、平成26年11月14日から施行する。 7
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