米国の金利シナリオに関するリスクは小さくなっているが

2007 年 1 月
(2007 年 2 月 6 日発行)
米国の金利シナリオに関するリスクは小さくなっているが、
方向性については注意深く見守る必要がある
米国では、過去数ヶ月間インフレ率が米連邦準備制度理事会(FRB)の目標水準に近づいてきたため、債
券市場は比較的堅調に推移してきました。
2007年の米国の金利は安定的に推移し、米国経済の成長率は緩やかに下がるものと引き続き予想しています。し
かしながら、より顕著な成長率の鈍化も視野に入れる必要があります。
金融市場
2006年の金融市場は堅調に推移、特に株式は史上最高値レベルに、市場金利は史上最低レベルを更新しました。
2007年に関しても2006年ほどではないかもしれませんが、引き続き堅調に推移すると考えられます。
グローバル・シナリオ
2006年、ブラジルでは金利の低下だけでは強力な経済成長は不可能であることが証明されました。これは肥大化し
た公共部門等、構造的な問題にメスを入れる必要があることを示唆しています
(1)当資料は、HSBC 投信株式会社(以下、当社)が情報提供を目的として作成したものであり、証券取引法に基づく情報開示資料ではありません。し
たがって勧誘行為を構成するものではありません。 (2)当資料の内容は、当社が信頼に足ると判断する情報に基づき作成していますが、その正確さ
を保証するものではありません。(3)掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいたものであり、個別銘柄
の売買の推奨を意図したものではなく、当社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。(4)当資料における見解等は、あくま
でも作成時点のものであり、今後予告なしに変更される場合があります。また、当社は、当資料に含まれている情報について更新する義務を一切負
いません。
1
米国経済
利上げ懸念は遠のきましたが、生産活動を注視する必要があります
ここ数ヶ月間の米国のコアインフレ率は 0.0%から 0.2%の範囲で推移しています。この結果、12 ヶ月間のコアインフレ
率は 2.4%から 2.2%に落ち着き、FRB にとっての 2007 年の「安全な」水準に近づきつつあります。今後、数四半期
間以内に、インフレ率はFRBの中期目標水準である 1.0%から 2.0%レベルに収斂すると考えられます。米国経済の
減速と、原油価格の下落によるインフレ懸念の後退がこのシナリオを支えています。
この観点から FRB が利上げを実施するリスクは相当に低下しました。このため、現在 5.25%である政策金利は 2007
年も安定的に推移すると改めて考えています。
2006 年中にも強調したように、米国の経済成長はそれ程減速しないと考えています。市場において、将来の金利の
不透明さが少なくなっていることがこのシナリオを裏付けしています。しかしながら、不動産価格の下落や製造業の鈍
化などによる、予想以上の速度での景気減速のリスクは払拭しきれていません。
不動産市場は経済全体に影響する可能性がありますが、明らかに同市場の上昇率が鈍化しており、引き続き主要な
リスク要因となっています。しかし、我々は GDP の予想成長率の 2.3%程度と予想していますが、今後暫くは、不動
産関連の主要指標の動向も、この予想成長率に沿ったものになると考えています。
また、最近の製造業の動向にも注視する必要があります。製造業は当初予想より多少早く冷え込みを見せており、や
や懸念すべき材料です。もっとも、生産活動の鈍化は、米国の自動車メーカーの不振による影響が大きかったことや、
米国経済における製造業の地位がサービス業に劣後していることによるという事実もありますが、引き続き製造業の
動向には注意を払う必要があると思われます。
結論としては、2007 年のシナリオの前提条件に関して変更はありません。すなわち、インフレ率は低下傾向、金利は
比較的安定推移のなかで、経済成長率は若干速度が落ちると思われます。金利シナリオのリスクは低いものの、成
長の見通しについてはまだ不透明要因があります。即ち、グローバルな経済シナリオは引き続き注意を要するという
ことです。
(1)当資料は、HSBC 投信株式会社(以下、当社)が情報提供を目的として作成したものであり、証券取引法に基づく情報開示資料ではありません。し
たがって勧誘行為を構成するものではありません。 (2)当資料の内容は、当社が信頼に足ると判断する情報に基づき作成していますが、その正確さ
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でも作成時点のものであり、今後予告なしに変更される場合があります。また、当社は、当資料に含まれている情報について更新する義務を一切負
いません。
2
ブラジル経済見通し・今後の財政政策
堅固な経済成長を実現させるためには、金利を引き下げれば良いという概念は 2006 年に否定されました。成長方程式は金利
だけでは説明がつかないということが明らかとなりました。我々の予想では、ブラジルの 2006 年の実質経済成長率は 2.8%近辺
であったと考えております。これは、例えば、主要産業への投資を促進するような法体系の未整備や質の低い初等教育等、ブラ
ジルの低成長率の原因となる構造的な問題を解決しなければならないことが明らかになりました。
もうひとつの重要な点は、重い税負担や、投資効率の悪さ(政府による効率は民間セクターに劣ります)に見られるように公共セ
クターが大きすぎるということです。
更に、より責任ある財政政策により、公的セクターに支払能力があるという認識を向上させることが可能になるでしょう。こういった
政策はブラジル国債が投資適格になるための条件の一つでしょう。投資適格となれば、ブラジル投資の魅力が上がり、結果金
利低下余地が生じるでしょう。これらは総て経済成長にとってプラスの要因です。
ルーラ大統領が再選されて以来、経済成長とこれらの障害を取り除くことの関係について多くの議論がされています。(我々の
意見としては、)現在のところ政府による大胆な政策をとる様子はなく、特に 2006 年以降では、歳入以上に歳出が増加していま
す。この点においては、財政の構造的問題点の一つである年金債務の増加に歯止めがかかる可能性はかなり低いものと考えら
れます。
財政の課題は山積みですが、公的セクターの支払い能力が(少なくとも短期的には)深刻な状況になる可能性は低いと考えま
す。なぜならば、プライマリー収支が縮小する可能性があるにもかかわらず、今後数年間は金利の低下により債務の対 GDP 比
率が低下するからです。
いかなる状況下であれ、正しい政策運営がなされない場合: 金利引下げが(引き下げ可能レベルに比し)十分でない ⇒ 経
済成長は引き続き十分でない ⇒ ブラジルのカントリーリスクの改善は小さいものとなり、結果としてブラジルにとって良くないも
のになります。最後に、例えば、国際的な経済環境が若干でも悪化するような折には、財政に関わる問題のために海外の投資
家がブラジルに対して不安感を持つことにもなりかねないからです。
ブラジルの経済環境
ブラジルの主要経済指標
GDP成長率
拡大消費者物価指数(IPCA)
消費者物価指数(IGP-M)
為替レート(USD/BRL、年末)
名目金利(年間平均値)*
貿易収支
公的部門のネット財政債務(GDP比)
*Selic
2003
0.6
9.3
8.7
2.89
23.3
24.8
57.2
2004
4.9
7.6
12.4
2.65
16.3
33.7
51.7
2005
2.3
5.7
1.2
2.34
19.1
44.8
51.6
(年率%、10億ドル)
2006f
2007f
2.8
3.0
3.2
3.9
3.8
3.6
2.15
2.15
15.1
12.2
46.1
39.0
50.4
49.5
(1)当資料は、HSBC 投信株式会社(以下、当社)が情報提供を目的として作成したものであり、証券取引法に基づく情報開示資料ではありません。し
たがって勧誘行為を構成するものではありません。 (2)当資料の内容は、当社が信頼に足ると判断する情報に基づき作成していますが、その正確さ
を保証するものではありません。(3)掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいたものであり、個別銘柄
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いません。
3
2007 年の市場概況はどのような展開になるのでしょうか
過去 4 年間はエマージング市場、特にブラジルにとっては良好な投資環境となりました。主要国の金利低下による
流動性の増加や、グローバルな投資家のリスク選好度が高まったことから、株式市場は史上最高値を更新しました。
また、1 月 23 日―24 日の金融政策決定会合では、基準金利(Selic)が、(世界的な金利水準との比較では依然高
いものの)過去最低水準の 13.00%まで引き下げられました。
ブラジルの金利水準(%)
(2007年1月Selic:13.00%、12月IPCA:3.14%)
30
25
20
15
10
5
0
00
01
02
政策金利(Selic)
03
04
05
拡大消費者物価指数(IPCA)
06
07
実質金利
出所:ブラジル中央銀行、IBGE、ブルームバーグ
2007 年の市場は、昨年ほどではないにせよ、堅調に推移すると考えられます。2007 年の世界経済は、国際市況が
高値圏で推移していることや、投資家のリスク選好度が高まっていることなどを背景に堅調に推移すると考えられま
す。更に、ブラジル経済は、海外環境の悪化に対する抵抗力が堅調に高まり、経済ファンダメンタルズが改善した結
果、海外投資家の投資意欲が高まってきています。そして、ブラジルには、公共支出に関する問題など、解決すべき
課題が山積みですが、金利の低下により既に多少の改善は見られます。
このような定性的評価に基づけば、2007 年末までにはボベスパ指数は 54,000 ポイントと約 20%程度の上昇余地が
あると考えられます。また、Selic 金利は 2007 年末までには 11.75%まで低下すると考えられ、為替は 1 米ドル=2.15
レアル近辺で安定推移すると思われます。
(1)当資料は、HSBC 投信株式会社(以下、当社)が情報提供を目的として作成したものであり、証券取引法に基づく情報開示資料ではありません。し
たがって勧誘行為を構成するものではありません。 (2)当資料の内容は、当社が信頼に足ると判断する情報に基づき作成していますが、その正確さ
を保証するものではありません。(3)掲載された企業につきましては、あくまで直近のトピックとしてご紹介させていただいたものであり、個別銘柄
の売買の推奨を意図したものではなく、当社が運用を行う投資信託への組入れを示唆するものでもありません。(4)当資料における見解等は、あくま
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株式市場
2006 年 10 月―12 月の株式市場が堅調に推移したことを背景に株価水準は妥当なレベルに達したと考えています。
中長期的な展望は引き続き良好ですが、一時的な市場の調整も考えられます。この見通しは、堅調な企業収益と世
界経済の堅実な成長をもとに立てられたもので、投資家にとっては良好な環境であるといえるでしょう。
ただし、米国経済が予想以上の減速を見せた場合には、短期的に値動きの激しい相場展開になることも考えられま
す。
外国為替市場
海外機関投資家のリスク選好度が高まっていることや、ブラジルの貿易黒字が増加していることなどを背景に、外貨
の流入が続いており、レアル高・ドル安傾向にあります。一方、中央銀行は市場で米ドルの買い介入を続けており、
2007 年の為替レートは 1 米ドル=2.15 レアル近辺で安定的に推移すると考えられます。
(1)当資料は、HSBC 投信株式会社(以下、当社)が情報提供を目的として作成したものであり、証券取引法に基づく情報開示資料ではありません。し
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