バイオリズム Bio‐rhythm たとえば血圧を測っているとわかることがあるし、精神状態に関してもそうなのだが、人間には、１日の中でも好不調とかテンションが高い低いがあるが、何週間あるいは何ヶ月間かの大きな波もあるようである。周囲の状況に関わりなく、個人のリズムがあるようなのである。これを、バイオリズム Biorhythm とか、固有の周期性と表現する。最近はあまり言わないようで、それよりも、星占いなんかにその座を奪われてしまった感があるが、ゲーテでさえバイオリズムにふりまわされていたらしい。彼の日記に、「私は、もっと注意して、私自身の体内におこる好い日と悪い日とを区別しなければならないと思います。情熱も愛情も、欲望や礼節、創造力、行動力、真実さや楽しさ、スタミナや疲れ、頑固さや柔和さなど、どれもみんな、ぐるぐると軌道を描いてまわっているようです。しかも、私という生命のこの回転を妨げるものは、何もありはしないですよ。・・・だからこそ、私をまわす時間の法則を見つけなくてはなりません。」ゲーテは、多少躁鬱病の気があったらしいが、元気な日とそうでない日が、ある一定の周期で現れてくることを漠然と知っていたらしい。（星占いは当たる、といえば当たっているが、はずれといえば、はずれている。誰が判断するかによっても変わる。試みに朝のテレビを見ればわかる。今日の運勢のコーナーで、生まれた星座の運不運を放送しているが、かなりのバラつきがあり、自分の都合のいい番組のを信用しているらしい。ある番組では最悪といい、他の番組ではツキに恵まれるなど。それなら、平安時代の陰陽道や方違えのようなことを笑えない。）バイオリズムとは、その人がもって生まれた好・不調が周期的に生じていることをいう。ＰＳＩ曲線といって P は Physical 体力、 S は Sensitivity 感情・感受性、 I は Intelligence 知力のことをいう。そして、生まれた日から正弦曲線を描き、基本の線と交わる日を要注意日、という。（星占いよりは信じられそうである。理由は最後に書きます。）この PSI 曲線は、100 年も前から唱えられていて、４０年くらい前に、田多井吉之介博士が日本で広めた。P は２３日周期、S は２８日周期、I は３３日周期であるという。 P は 23 日 S は 28 日 I は 33 日いろんなことに応用されてきたのだが、ボクシングの世界戦をあとから解説している部分もある。かつて、ブラジルのエデル・ジョフレは、5 年間、バンタム級の世界王者に君臨していた。その間、数々の強者が挑戦してきたが全てその強打で退けてきた。５～６年ほど前だったか、メキシコのジョー・メデルが 61 歳で亡くなったが、この人は全盛期がジョフレの全盛期と重なったため、ついにチャンピオンになれなかった。一度など、あと１秒立っていたら勝っていたのに、ということもあった。メデルは、技術体力ともに超一流で、矢尾板貞雄も勝てなかったし、ファイティング原田は、ロープの反動を利用したクロスカウンターでＫＯ負けしている。ものすごく強い選手だった。それでもジョフレに勝てなかった。このジョフレのあまりの強さに、ブラジル人が「黄金のバンタム」という尊称を与えたのであるが、今のアナウンサーは意味もわからずに「バンタム級が黄金のクラス」と勘違いしているのまでいる。（中南米はともかく米国では、やはり花形はヘビー級である。）で、挑戦者の日本のファイティング原田が勝つ可能性は１０％もないといわれていたがジョフレに勝ってチャンピオンになり、再度戦って、再び勝った。ジョフレは結局、生涯で原田に負けたのみであった。この最初の世界戦で、ジョフレは、PSI 曲線の P について、危険日だったというのである。チャンピオンというのは現役だから富も栄誉も手にすることができる。「元」というのは通用しない。だから、どうしても勝たねばならない。そのために減量や過酷な練習を課すのである。それでも、ジョフレは調子は悪くないのになぜか力がはいらなかった、というのである。これが事実であっても原田に力がなければ、勝てなかったはずではあるが。以下は、聞いた話。ある歯科医がこの PSI 曲線で危険日を計算し、抜歯などの際に患者のＰＳＩ曲線を確かめておくと、患者ともめることがない。ずっと問題がなかったのだが、ある患者ともめたことがあった。なぜだろう、といろいろ調べてみたら、自分（歯科医）の危険日に抜歯していたからである、ということがわかった。・・・・・爆笑でした。 2007.02.08.