支援員に求められる倫理・基本姿勢 特定非営利活動法人 ぎふNPOセンター 志水 正二 自己紹介をします 氏名 志水 正二 昭和23年1月2日生まれ 1948年 生産地:愛知県名古屋市 養生地:富山県上新川郡(現富山市) 1977年 正電テクノロジー株式会社創業 2009年 岡崎おいでんクラブ(若サポ)立上 南知多自立塾マネージャー 南知多町おこしプロジェクトマネージャー 2011年 パーソナルサポート事業(当初週2程度)に参加 その後、困窮者自立支援モ 事業に継続して参加 2011年 尾張旭市に多機能型障害者施設(ムーンワーカー)立上 2012年 アンド・アイ・ディ活動開始 (現在、非営利活動一般社団法人アンド・アイ・ディ 設立) えんハウス(多治見)ポジティブ(瀬戸) 2015年 絶滅危惧種に近いが生息中 デル キャリアコンサルタント・ジョブコーチ・職業紹介責任者・SV研修・困難を有する子ども支援研修・ アウトリーチ研修 等 基本倫理:権利擁護の視点 自ら支援を求める事をしない、できない状況に置かれている 視点その1:複合的な困難を抱える人の生活全体を捉える。 視点その2:積極的なアウトリーチを展開する。 視点その3:本人と支援方針や内容を常に対等の立場で評価・点検する。 権利擁護にかかわる法制度等や事業等 ● 成年後見人制度 ● 児童虐待の防止等に関する法律 ● 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律 ● 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律 ● 障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律 ● 日常生活支援事業 フォーマル支援の例 演習事例1 概要 年齢59歳 男性 家族 既婚の娘30歳代の家に同居 離婚した元妻の再婚相手の父親80歳代 相談経路 介護ヘルパーからで養護放棄された状態の人がいると相談 概要:高齢福祉課から、80歳代の介護ヘルパーに行っているお宅で、養護放棄された状態の人 がいると情報提供があった。本人が支援を求めているということで、電話連絡の後、自宅訪問。 *1年以上前に脳内出血があり、それ以降、会社は休んでいる。娘夫婦宅に居候している状態 で、レトルト品か菓子・パン類が適当に用意してあるくらいで、まともな食事はしていない。炊事場 も使用しているような形跡は乏しい。屋敷内(室内)も散らかり放題である。 *傷病手当金は書類が来るたびに娘が手続きをしている。受給している金額はわからない。通 帳・印鑑は娘が管理?手元にない。傷病手当金申請時だけ医者にかかっている模様。リハビリも 含め治療は行っていない。 *娘が幼児の時に離婚し、脳内出血で入院した時に、血縁者ということで引き取りをさせられた 為、仕方なく面倒を見ているが、義理も責任もないし、出て行ってほしいと言っている。娘も離婚 をして、関東方面へ引っ越しを予定しているという。 *本人は傷病手当を確実に受け取り、それを元に賃貸へ引越を希望。傷病手当金の受け取り 履歴と会社雇用実態を確認することとした。併せて、年金加入歴の確認を急ぐこととした。 *会社訪問、雇用関係、傷病手当金の申請確認。定年を確認、雇用継続の意向確認。 演習事例1 参考 参考:傷病手当は雇用保険、傷病手当金は健康保険から支給される全く別ものです <傷病手当金> 健康保険加入者が対象です。病気やケガで就業できないため給与が支払わ れなかったり減額された場合に支給されます。ただし、減額された給与額が傷病手当金以下の 場合になります。 ・支給額:本人の標準報酬日額の100分の60相当額です。一部給与が支払われるときは、[傷病 手当金-給与などの手当額]が支給されます。 ・支給期間:最長1年6ヶ月までです。 ・申請:傷病手当金支給申請書に医師の意見と企業の証明を記載して、社会保険事務所や健 康保険組合に提出します。 <傷病手当> 離職後、病気やケガにより再就職活動ができない場合に支給されるもので、指 定日にハローワークへ行けない場合も含みます。 ・支給額:失業保険の基本日額と同額です。 ・支給期間:失業手当支給期間が限度。すでに支給された失業保険日数は差し引かれます。た だし、失業保険に関しては受給期間の延長も可能です。詳しくはハローワークで確認することを おすすめします。 ・申請:傷病手当支給申請書に医師の証明をもらい、ハローワークへ提出します。(各個人で行 なう) 演習事例2 概要 年齢51歳 男性 家族 父81歳 母75歳 相談経路 人材チャレンジセンターの紹介 概要:人材チャレンジセンターとハローワークより、就労支援だけではない状況にあるのではとの懸 念から紹介された。中学卒業後、転職を繰り返してきたが全て自らが選び応募、採用されてきた。 面談時に会話がうまく成立しないことや早口で話されるため、傾聴に神経を使った。 当初は就職活動の中で履歴書の添削指導と、面接時の注意点や応募先業種の仕事内容の説明 などの指導を行ってきた。 *真面目に就職活動に取り組み就職につながったが、暫くすると、職場でのトラブルが多くなり昼 休みや終業後電話相談や来所相談が始まった。相談内容は、職場での作業指示や同僚、上司の 話の仕方、同僚の作業の進め方などが納得できないとか、頭ごなしに怒鳴られるなどの内容がほと んどであった。その都度、傾聴を重ね、時には精神的な落ち着きを取り戻すまで時間をかけて話を した。その後、約2年半、週1,2のペースで、電話相談、来所での相談を続け、コミュニケーションの 取り方や、怒りの沈め方などを話しながら、短気を起こして退職しないように諭してきたで、一度心 療内科でのメンタルケアを受けることを提案した。職場での同僚との関係がうまく作れず、辛抱でき ず職場同僚に手を挙げた模様で雇用延長されず解雇となった。 *その後、失業給付を受け取りながら就活をし、約3ヶ月後に再就職をした。就労後は以前と同様 に週1,2のペースで、電話相談、来所での相談を続けが、再び、就労5ヶ月で解雇通告があった。 そこで、支援員が雇用先へ出向き本人を交え解雇理由を尋ね、雇用延長を願い出た。 解雇理由としては「勤務態度は良く、真面目であることは認めるが、職場でのコミュニケーションに 難があることと、ライン作業ペースについて行けない」からということであったが、勤務態度の高評価 から失業給付がもらえるまでの条件で期間延長されて、会社都合技能不足で解雇となった。 事例1の現在 最初の面談から4ヶ月経過 娘との面談、意向を確認 傷病休業中の勤務先へ同行、退職について相談 傷病手当金の残りを申請と年金確認の為、年金事務所へ同行 ネグレクト?避難のため、賃貸探し、契約支援 定年退職し、ハローワークに届けた → 失業給付手続き 転居先で日常生活支援、介護支援の相談のため、地域包括支援センターへ相談、引継ぎ 体調悪化(貧血?内臓出血?)のため入院。介護サービス利用。 就労不可状態になり、傷病手当(失業給付)の手続きを予定 現住居地のケアマネジャーが介護サービス等を提案、一時的には生活後も視野に支援 を継続している。 事例2の現在 最初の面談から4年経過 両親との面談 心療精神内科の診察同行 更生相談所で療育手帳申請の診断を受けた 手帳取得をハローワークに届けた → 失業給付の延長 生活・就労支援センターの利用 → 本人のペースでの支援がなかった為本人拒否 A・B型作業所の見学 障害者年金の申請の準備 → 申請済み。認定待ち。 小学・中学と特殊学級であった。中学卒業後、障害者職業訓練校に入学の事実が 分かった。 障害者可の雇用先へ応募 配属部署決定まで3回の面談と職場見学を重ね雇用決定 産業保健師(カウンセラー)・人事担当に特性理解を伝えた。 雇用先から要請もあり、職場と上司決定まで同行支援をした。 運 命 が 変 わ れ ば 展 望 が 開 く 人 格 が 変 わ れ ば 運 命 が 変 わ る 習 慣 が 変 わ れ ば 人 格 が 変 わ る 行 動 が 変 わ れ ば 習 慣 が 変 わ る 心 が 変 わ れ ば 行 動 が 変 わ る 意 識 が 変 わ れ ば 心 が 変 わ る 意 識 を 変 え よ う 支援員に求められる倫理・基本姿勢 第2日 事例から学ぶ 特定非営利活動法人 ぎふNPOセンター 志水 正二 みてますか、みえてますか? • • • • セブンイレブンのロゴマーク ローソンのロゴマーク ファミマのロゴマーク さーくるKのロゴマーク 見ているようで見えていない事実 【事例:1】 夫の暴力で一時保護施設に入っていると、A市人権擁護から連絡が入った。 インテーク:今までのいきさつを聴いた。本人の希望は家を出て、住み込みの仕事に就 きたいという。 *夫の転勤で関西から転居してきた。その後、関東にいた長女も離婚して、A市に移った 。 夫の暴力は結婚当初からで、8年前から警察、市役所に相談に行き、一時保護も5回に わたる。今回も8月28日に暴力を受け、2泊ビジネスホテルで泊まった。所持金がな く、市役所に助けを求めた。ご本人は家を出る気持ちが強いが、家族はあまり心配はし ていない模様。探すこともないと思われる。 インテーク時の相談員の所感:初回面談は、十分お話が聞けず市役所担当者からの情報 で判断している ので、ご本人の気持ちを含めもう少しインテークする必要がある。 一時保護施設には長くいられないこともあり、今後の道筋を考えなくてはならない。 環境:家族:夫(サラリーマン。46歳)、相談者の母親(88才) 同じ市内にひとり暮らしをしている長女(35歳)、また長男(36歳)は既婚で県外 (関西)に住んでいる。現夫とは9年前に再婚。前夫は相談者の実父と折り合いが悪く 子供が1歳と2歳の時に離婚している。 【事例:2】 インテーク時:<生活環境>統合失調症で通院中(30歳頃~現在まで)弟も同じく統合 失調症(19歳~)家族は両親含め4人。妹がいたが死亡。家計は収入が本人と弟の障害者 年金(ともに障害2級)及び両親の国民年金を合わせて月25万円ほど。光熱水費、食費及 び借金返済で生活は苦しい。 生活が苦しいので、アルバイトでいいから働いて、月額10万円ほどの収入を得たい。 ふれあいプラザの企画でジョブステを知って訪問したが、終業間近であったので相談で きず、PSを紹介された。借金について尋ねると月1.6万円の返済があり、兄名義で残高 2万円、弟名義で同じく25万円、かんぽから保険を担保に10万円の借金があるという。 自家用車保有(中古カローラ)ガソリン代の負担もある。おおまかな収支から考えると 、極度に正解が苦しいとは思えないが、月10万円くらいは不足するとのこと。 *何か話に出てこない原因があると推察できる。 ハローワークで求職票を発行してもらっているので、当面、そこを利用して、就職活動 (アルバイト先)を探すことに必要の応じて同行する。 まずは、次週初回訪問に同行することとした。 通勤範囲も特にこだわらないということなので、広範囲に検討していく。 インテーク時の相談員の所感:就労を中心に支援していくが、家計の収支から生活の仕 方やお金の使い方にも問題があると思われる。また、就職にあたっても、本人が気づい て改めていったほうが好ましい要素も見受けられるので、必要があればその点の支援も していく。
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