アサヒビールの KM 探訪 参加記 —全社ポータルの活用が凄い!-

<KM 先進企業訪問
アサヒビール(株)編>
アサヒビールの KM 探訪 参加記 —全社ポータルの活用が凄い!-報告者: 企業評価部会 松本 優
日時:
2007 年 10 月 18 日 13 :00- 15:00
訪問者:企業評価部会メンバーを主体に13名
対応者:奥山 博 理事 業務システム部長、他
松田様、岩間様、鷲森様
内容: 会議室でプレゼンテーションと質疑応答
概要:
KM 学会の活動の一環として、KM の進んだ企
業を訪問調査していますが、今回はアサヒビー
ル(株)さんを訪問しました。
はじめに奥山理事より会社の紹介、背景、KM
システムの概要説明があり、ついで松田様から
全社ポータルについて詳細の紹介があった。続
いて営業ポータルについて担当の岩間様、鷲森様より説明があり、その後再び奥山理事から補足
とその他の KM 推進状況のお話があった。
さいごは活発な質疑応答で終了。
以下一部詳しく一部簡単に筆者の独断的感想も交えて参加記とします。
■1.会社紹介 KM 導入の背景
グループ会社も含めた全社の KM を推進統括されている奥山理事より
簡単な会社紹介の後 KM 導入の背景について話された。
★なぜ全社的KMの推進に取り組んだか
従来、継続的努力により直接原価を低減して販促に投入してきたが、
原材料の高騰など環境状況の変化により直接原価の低減が難しくなり、一方で顧客の趣向(ニー
ズ)の多様化と競争激化で販促費の投入も増え、営業利益率の低下が懸念される状況になった。
また、市場では Web2.0 の時代になり、情報発信源が顧客側に移り、顧客の要望の汲み取りとす
ばやい対応が重要になってきた。
そこで
顧客側の提起する課題を社員が感じる(アンテナ)感度を上げる必要があり、社員のレベルを上げ
る必要性に迫られた。
ただ、いっぽうで顧客ニーズをすばやくくみ上げ対応するだけではなく、画期的な技術革新で顧
客が想像もつかない「感動」や「驚き」を与える商品やサービスを作っていく必要も認識してお
り、
考え方としては、全体平均を引きあげる取り組みと、革新的な新しい価値創造の取り組みを同時
に進めたい。その考えをベースに全社的KMの推進に取り組んだ。
■2.全社ポータルの活用
松田様より全社ポータルについて詳細の
説明があった。
◆全社ポータルまでの話 イントラネッ
ト展開の歴史
1995 年
ASN(アサヒスーパーネット)構
築
2001 年
ASN メール(Outlook)展開
2004 年
経営層向けポータル「経営情報
コックピット」展開
2006 年
「Asahi ポータル」展開
◆.全社ポータルに至る前の問題点、背景
各部門で色々やってきたが全体としては以下のような問題点があった、出てきた。
*社内の情報(売上情報、新商品情報、お客様情報…etc.)が散在、活用しにくい
*イントラネット=膨大なリンク集になってしまった
*売上情報・会社の状況に対する感度の低下
*転送メールでメールボックスがパンク
*メールサーバーダウンによる業務への影響
*ナレッジマネジメントがまわっていない
◆全社ポータル導入の方針
*社内外の基本情報は集約して見える化
*プッシュ型でスピーディな情報伝達
*ポータルとメールを分離
◆全社ポータル「Asahi ポータル」とは その概要
★このシステムの狙い
社内外の基本情報は全社員で共有しよう。それがベースにあって各部門を越えた円滑なコミュニ
ケーションにより、組織のベクトルを一つにし、一致団結してがんばってもらおうというもの。
☆基本情報とは会社のビジョン、理念、社長の想い、中長期の目標、自社の業界の中での位置づ
け、どんな商品があり、何に力を入れているのか、どんな新製品が出るのか、市場やお客様の動
向は? 競合他社状況、売上の状況は? どんな広告、どんなイベントをやっているかなどどの部門
にいても社員として知っておくべき情報のこと。
★マイクロソフトの SharePoint Portal Server を活用
Internet Explorer 起動で最初に全社ポータルが現れる、全員ここを通らないと次の業務に移れ
ない仕組み。否応無しに全員毎日ポータルの画面を見る。
●ここが筆者が思う成功の大きなポイント。後は魅力あるコンテンツで読ませる努力をすればい
い。多くの他社は全社ポータルへの呼び込みに苦労している。
★ ポータル画面の紹介
筆者たちは画面を見せられたのですが、皆さんには画面をお見せできないのは残念です。想像を
たくましくしてください。(^_^;)
画面は横4列(画面の縦に 4 本線が入っている感じで 4 分割、実際には線は無い)構成で盛沢山、
10 数項目程度を Z 配置(左上から右上、斜めに降りて左下から右下へと重要な順に配置)で表示。
●画面の印象はある種の感動と驚き(筆者の感想)
このポータル画面、見たい場所へ案内する見出しが中心の画面ですが、アイコンや写真や英字は
少なく文字での表示がほとんどで、見た目は平凡で美しくはない(失礼(^_^))がこれが極めて使い
やすい。(筆者のオジサンはここに感動、高く評価します)年寄りもいますよね、格好よさよりま
ず使いやすさ。全員参加を意識した優しさの配慮がうれしい。なれたところでカラーの配合など
工夫し、使いやすさも美しさも追求すればいいでしょう。(^_^)
●もう 1 つの驚きは毎日の売上実績や支店別の売上情報などを全従業員に公開している点。情報
セキュリティシステムだ、内部統制だとうるさい中(ビビッて正社員だけとか特定の部署の人だけ
とか制限しているところも多い)でこれは英断だと思う。売上情報や方針など漏れるリスクより、
社員を信用して心をひとつに全社員一丸になることが大切!という考えがよく出ている。すばら
しい。
◆運営体制
*企画全体管理----業務システム部
*各コンテンツ運営---営業統括部、広報部、お客様相談室、総務部
コンテンツのコンセプト、オーナーの責任を明確にした
◆導入効果
*全社の状況が俯瞰的に把握できるようになった
*営業部門以外でも売上状況等が簡単に見られる
*時間が無くても社内情報、動きが分かる
*お客様の声に以前より敏感になった
*アンケートでは 2/3 以上の人がポータルのコンテンツに満足している(やや不満+不満は 10%未
満)であったとのこと
また、操作性・使い勝手については 55%程度がほぼ満足以上、どちらともいえないが少し多かっ
たとのこと。
まずは順調な滑り出しといえますね。
◆今後の課題
*操作性・利便性の更なる向上
*チームサイトの活用による情報共有の更なる進化
*双方向コミュニケーション、グループ全体での活用
■3.営業ポータル/営業情報玉手箱の紹介
アサヒビールさんの営業部門には実質的な営業のポータルサイトともいえる「営業情報玉手箱」
(情報カードから発展し営業情報を集めたリンク集)が既に発展していた。それが全社ポータルと
統合してさらに進化した姿を岩間様と鷲森様が語ってくれた。
◆営業ポータルサイトの構築について
★玉手箱からポータルサイトへの歴史
* 1999 年に「営業情報玉手箱」を立上げ、2001 年に地域別ページ構築
(この間改善を重ね完成度を高めた)
* 2006 年に見直し→現行の Asahi ポータルの中に統合
★目的は
全員が同じ情報を参照することで一体感を醸成できる環境作り。自己の課題解決の糸口となるべ
く、タイムリーに把握できる環境作り。
★第二画面から営業部門のポータル
全社ポータルのナビゲーションバーから「営業ポータル」に入り、ここで営業活動上必要な「売
上実績・施策情報、活動方針や、営業の人が使う各種の情報やツールのナビ(案内)などが詰まっ
ている。
●情報が社内のいろいろなところ(システム/DB)に散在している課題に対して、串刺し検索、全
文検索など検索性能のアップとか検索のしやすさに取り組まないで、検索しなくても一箇所で見
える、知らず知らずのうちに活用するよう導く(ナビゲートする)という仕組みを目指したことが
素晴しいところです。(筆者の持論と合致、拍手。必要なプロセスの画面に参照情報が出てくる、
あるいはリンク先が示されているとなおうれしいですね)
★その他の課題に対しても
☆.情報更新不足の改善→役割の明確化とルール作り
☆方針展開の改善→施策 DB の構築等の対策を打ち改善しているとのこと。
☆KM で解決したい課題マップ作って推進しており、それを使って展開状況を説明してくれた。
★最近の「情報カード」
情報カードのシステムは初期の頃に KM 学会でも注目しお話を聴いたことがあったがさらに進
化していた。地区別のページも用意されていた。
情報カードではコメントを入れるところが「コメントを入れる」 「役に立つ!」 「感動した!」と 3 つ
のボタンに分かれていた。
これは後で「役に立つ情報ベスト 20」とか「感動ポイント獲得数トップ 20」とかを表示したり、
表彰したりする時も便利になり、興味付け、動機付けもしやすくなっていた。
今回、情報カードの中から感動ポイント 1 位の情報に対する多くの人の感動・感情の共有の模様
や、新人営業マンの初受注成功の報告に対する先輩や同僚から寄ってたかっての暖かいお祝いメ
ッセージや励ましのコメントが飛び交う状況を紹介してくれた。
●筆者には「感動した!」ボタンがあるのが新鮮だった。感動情報が結構多いということですね、
素晴しい。
■4.その他の KM 推進
最初の奥山理事の話の中で出た、アサヒビール全体での KM 推進のうち、今回は全社ポータルの
話を中心に聞いたが、最後に奥山理事よりその他の KM 活動についても「KMの場作りに熱心な
こと」と「新商品開発 KM システムについて」
、「グループ展開」についてもチラッと聞いた。
●KM の場作りのお話の中で「ダイレクトコミュニケーション」に力を入れているが、自社の商
品であるビールを媒介とした「飲みニケーション」重視の方針(?自然にできた風土かな)で非常に
スムーズに行われている点が特筆される。これがあっての IT 活用ですね。
■5.質疑応答
KM 学会の参加者にはKMに自論を持った論客もいて、説明の区切りごとに活発な質問やアドバ
イスもあり時間をかなりオーバー、最後の質問タイムには、司会より発言の無かった参加者全員
に感想・質問を促した。こちらも全員参加をしたわけですが(^_^)、皆、満足した様子のコメン
ト・感想で終りました。ありがとうございました。
■余談、お礼の意味も込めて
アサヒビールさんは大変環境問題に熱心に取り組んでいる様子がよくわかりました。
1 階のショールームには、社の歴史などと共に大きなスペースを割いて環境のコーナーがあり多
くの取り組み事例などが展示されていました。
また、我々は昼休み時が集合時間だったのですが、昼休み時間に会社の周辺のごみ拾いをやって
いるのに出会いました。後でショールームを見て、なるほど有言実行、(リコーOBの筆者は)「さ
すが、アサヒビールさんも、やってますね」と感心ました。
●アサヒビールのご対応いただいた皆様ありがとうございました。m(__)m m(__)m