SNS 市場について - 第56回全九州学生商経ゼミナール熊本学園大学大会

SNS 市場について
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各 SNS の特徴とそのマーケティング法
大分大学大崎ゼミナール
丸山
後郷
友貴
伊東
有香
友岡
あかね
小野
紗里以
芳成
渡辺
大輔
目次
1.SNS について
P.1~
(1)SNS とは(基本的な概念)
(2)SNS の歴史
(3)近年の SNS の現状
2.各 SNS の特徴とそれを利用した企業のマーケティング P.3~
(1)Facebook
(2)モバゲー
(3)Twitter
(4)GREE
(5)mixi
(6)LINE
3.SNS が引き起こす社会問題 P.9~
4.まとめ P.9~
5.参考文献 P.11~
―
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1.SNS について
(1)SNS とは
SNS とは、Social Networking Service の略であり、人と人とのつながりを目指すコミュ
5
ニティ型の Web サイトである。友人や知人間のコミュニケーションをとる場の提供、居住
地域、趣味、出身校、あるいは「友人の友人」といったつながりを通じて新たな人間関係
を構築する場を提供する、会員制のサービスのことである。既存の参加者からの招待がな
いと参加できないものや近年では誰も自由に登録できるものが多数ある。
SNS には、自分のプロフィールや写真を会員に公開する機能や、友人に別の友人を紹介
10
する機能、公開範囲を制限できる日記機能、趣味や地域、出身校などテーマを決めて掲示
板などで交流できるコミュニティ機能、予定や友人の誕生日などを書き込めるカレンダー
などの機能、互いのメールアドレスを知られること無く別の会員にメッセージを送る機能
が主である。有料のサービスもあるが、多くは無料のサービスである。
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(2)SNS の歴史
SNS とは、社会的ネットワークの構築の出来るサービスやウェブサイトという意味であ
ったが、現在は、ユーザーが友人を発見し、管理出来るものだと考えられている。これは、
2002 年に登場したアメリカの Friendster により本格的に普及し、ネットの主流の一角を
占めるようになった。日本で火付け役となったのは、2004 年に登場したアメリカの Orkut
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である。それにわずかに遅れ、mixi や GREE という二つの純日本製 SNS が開始された。日
記やコミュニティが中心の mixi に対して、友人の紹介文が中心の GREE というコンセプト
が異なる SNS の登場は、サービス内の対応言語が英語のみであったなど不満を持っていた
Orkut のユーザーに受け入れられ、10 万人規模のユーザーを獲得した。また、2006 年には
モバゲーがサービスを開始し、2007 年にはユーザー数 500 万人を突破した。その後、2010
25
年には mixi のユーザー数が 2000 万人を超えている。2008 年には Facebook の日本語版が
登場した。しかし、日本と海外との人間関係の数が少ないことが原因で進出当時は普及し
なかったが、
日本国内での利用者数が 2010 年には 300 万人、
2011 年には 1000 万人を超え、
今や最大規模の SNS である。また、2009 年には Twitter などのミニブログサービスも登場
している。最近では、LINE というアプリもスマートフォンの普及によりユーザー数を増や
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している。LINE とは通信キャリアの垣根を越えて利用できるグループコミュニケーション
アプリであり、違うキャリア同士でも無料で音声通話やメッセージのやり取りができる。
現在は様々なバラエティのソーシャルネットワーキングモデルが登場し、SNS は 200 サイ
ト以上に増え一般に認知されるようになった。
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(3)近年の SNS の現状
SNS の登録数は、2011 年度末時点で 1 億件を突破し、1 億 0720 件になった。国内 3 大サ
ービスである「mixi」
、
「モバゲー」
、
「GREE」が登録数を伸ばしたことに加え、「Facebook」
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や「Google+」などのグローバル展開サービスも国内の登録数が増加している。SNS 各社
の売上は①課金②広告宣伝から構成されており、携帯課金という仕組みを持っていない
mixi は、その売上がほとんど②広告に依存している。課金売上は利益率の高いビジネスで、
売上の伸びがダイレクトに利益に繋がる。また、総資産の大きい順に、DeNA、GREE、mixi
5
となっている。
近代では SNS が大学の講義に取り入れられることもある。大分大学の「高度情報化と社
会生活」という講義では、ソーシャル・サービスの実践的な利用を通して、現代社会の生
活面における情報技術の活用状況を実感し、情報化における諸課題への理解を深めること
を目的としている。講義内容をまとめたブログを書く課題や、講義中に Twitter でつぶや
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くことが認められている。講義を欠席した者を対象とし、講義内容を動画サイトにアップ
していつでも見られるようにしている。また、大分大学では、大学自身がアカウントを持
っており台風や地震災害時などの危険呼びかけやボランティアの募集、休講情報などの情
報を学生に流している。
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2.各 SNS の特徴とそれを利用した企業のマーケティング
(1)Facebook
①Facebook の特徴
Facebook は、全世界での登録ユーザー数は 10 億人を突破し、日本では 1000 万人以上が
登録しており、世界最大規模の SNS である。Facebook は、13 歳以上であれば無料で参加で
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きる。実名登録制であり、mail アドレス、住所、学歴、趣味、宗教、家族構成など細かな
設定を求められる。これにおいて、プライバシーを全世界に晒す危険性が懸念されるが、
セキュリティー設定で公開・非公開の範囲を細かく設定することができるため、安全性も
確保されている。主な特徴として、Mail、カレンダー共有、写真共有、アプリゲーム、ブ
ックマーク共有、ミニブログ、ノート共有、チャットなど豊富な機能を持っている。特に
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人気の機能はお気に入りのブックマーク共有である。これにより、店のクーポンやセール
情報も入ってくるため便利である。Facebook の場合、ニュースフィードが流通情報となる。
イイネ!ボタンやコメント、シェアと言ったアクションを行うことで、他のユーザーとそ
の情報をシェアし、TL 上にハイライトとして残し続けると言ったことができる。
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②Facebook を活用したマーケティングとその事例
消費者はソーシャルメディア上で企業に「割引」を求めている。しかし、企業がもっと
も伝えたくない情報は「割引」であろう。一方、企業は「新製品についての理解」
「会員の
一員になってほしい」という情報を伝えたがっているが、消費者はあまり望んでいない。
そのため、企業側は「割引」といったクーポンやセール情報で消費者を引き寄せ、関心を
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持ってもらうことを第一に考えている。そこで活躍するのが Facebook 上のファンページで
ある。ファンページは、企業や著名人などがファンのために作成する公式ファンページと、
好きなブランドやアーティストの為にファンがつくって応援やコミュニケーションをした
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りできるコミュニティページの二種類がある。これは mixi で言うコミュニティのようなも
のである。日本企業の主な事例として、無印良品、ユニクロ、ローソンなどがあげられる。
無印良品は 2010 年 10 月 1 日に公式ファンページをオープンしたことで、生活や社会を
観察する立場から気づくさまざまな視点をコラムとして構成し、感想や意見を顧客から募
5
集する他、アンケートを実施している。また、グローバルサイト「MUJI Global」は、海外
で展開している各国の現地ウェブサイトとの連携も視野に入れ、
Facebook を活用している。
ユニクロは、Facebook 連動の着こなし投稿サイト「UNIQLOOKS」では、ユーザーからの
投稿を写真とともに紹介している。また、2010 年秋冬コレクションを閲覧できるカタログ
型アプリの配信を開始した。専用アプリを開発し、スマートフォンとの親和性を高めたこ
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ともあり、多くのアクセスを集めた。新しいメディアにいち早く取り組んで、先進的なブ
ランドイメージを訴求している。ユニクロは、ファンページを通じて、
「グローバルに店舗
オープンや商品、キャンペーンに関する最新の情報を、動画や画像とともにタイムリーに
発信します」としており、キャンペーンを中心に、新商品や新店のオープン告知を行なっ
ている。
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ローソンは基本的には全てのつぶやきをツイッターから発信している。その中で、
Facebook との相性が良く好評なものを、頻度を減らしてフェイスブックでも展開し、多方
面から消費者へ情報を発信している。リアルタイムで投稿するというのではなく、毎週火
曜日に 17 媒体の投稿スケジュールを組むというシステムを取っている。主に、商品や店舗
の情報、テレビ CM の動画、公式アプリのキャンペーン情報などを告知している。閲覧者か
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らのコメントなどフィードバックも受け付けている。ページには、基本データ・写真の基
本メニュー以外に、店舗検索・キャンペーン、YouTube、4 コマ漫画などの独自メニューが
用意されている。
3 社を比較すると、無印良品は、顧客とのコミュニケーションを重視したブランディン
グと顧客参加型の商品開発、ユニクロは、キャンペーンやテーマ商品の訴求による販売促
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進、ローソンは、日常の頻繁な情報発信によるクチコミ醸成というように、ブランドや業
態、さらにはマーケティング手法の違いによって、ファンページの内容や運営方法が異な
っている。
(2)モバゲー
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①モバゲーの特徴
モバゲーとはモバゲータウンの略であり、2006 年 2 月にディー・エヌ・エー(DeNA)が開
始した携帯電話専用ゲームのポータルサイトである。ゲームを楽しむ人たちの交流を目的
とした SNS サイトも兼ねている。モバゲーは携帯電話事業者の公式サイトではなく、勝手
サイトの一種である。携帯電話専用のサービスのためパソコンや PHS からはアクセスでき
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ない。サービスを利用するには会員登録する必要があるが、対応機種を持っているユーザ
ーであれば無料で誰でも登録できる。モバゲータウンの中でのみ通用する仮想通貨「モバ
ゴールド」を使って各種サービスを利用することができ、数多くのミニゲームやネット対
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戦ゲームを無料でダウンロードしてプレイすることができる。また、日記やメッセージ送
受信、アバター機能などを利用して他のユーザーと交流することができる。
②モバゲーを活用したマーケティング
DeNA とフェリカネットワークスは、2010 年 4 月、おサイフケータイを活用して「モバゲ
5
ータウン」のユーザーを実店舗に誘導するアフィリエイト広告サービスの実証実験を始め
た。仮想通貨をインセンティブとして活用することで送客効果が見込める上、来店実績を
おサイフケータイを使って把握できるため、実際の来客に基づく効果的な広告出稿が可能
になるとしている。モバゲータウンに出稿した広告経由でユーザーが実際に来店したり、
商品を購入すると、
店舗に設置した FeliCa リーダー/ライターにユーザーのおサイフケー
10
タイをかざすことで、モバゲータウンで使える仮想通貨「モバゴールド」が付与される仕
組みである。読み取った携帯の ID は DeNA に送られ、来店・購買実績データとして集計し、
店舗がマーケティングに活用できる。広告料金も実績に基づいて計算するため、成果報酬
型の来店プロモーションが可能になるとしている。これは、
「レストラン・カラオケ シダ
ックス」や「東急ハンズ」などがサービスを開始している。また、
「タワーレコード」では、
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昨年4月の実験段階から広告を出しており、1 カ月当たり約 2300 人が店頭で同サービスを
利用しポイントを獲得している。
(3)Twitter
①Twitter とは
20
2006 年 7 月にアメリカの Obvious 社(現 Twitter 社)が開始した SNS である。ユーザー
は 1 度に 140 文字以内で文章を投稿することができ、不特定多数のユーザーと共有するこ
とができる。またユーザー同士での会話も容易にできる。
②Twitter を活用したマーケティング方法とその事例
企業・ブランドが Twitter を利用するにおいて活用方法を分類することができる。
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a.顧客コミュニケーション・タイプ
顧客と対話する際にオープンメッセージ機能とダイレクトメッセージ機能をケースによ
って使い分けてコミュニケーションするタイプである。DM 機能は、個別商談や注文、また
強いクレームなどに活用する場合が多い。ただし DM 機能は双方向にフォローしあっている
ユーザー同志でしか利用できないため、フォローされた相手をフォローし返す必要がある。
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ユーザーからフォローされた場合、片方のフォローだけだと一方的な情報配信となり、互
いがフォローしあうことで初めて双方向の交流がおこなわれ、SNS における友人関係にな
る。フォロワー数とフォロー数が近い企業・ブランドは、積極的に顧客との交流を心がけ
ている。その事例として Starbucks(フォロー207552,フォロワー316102)が挙げられる。
顧客との直接コミュニケーションで顧客との関係性強化をねらう。その際の顧客とのコミ
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ュニケーション手段として、Twitter を活用している。また、規模に関わらず小売業やサ
ービス業が目立っている。
b.情報配信タイプ
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企業・ブランドがユーザーをフォローしないで情報配信をおこなう。顧客と対話する際
にオープンメッセージ機能(@で相手先を指定するが、ツイートは全フォロワーに公開され
る)を用いるタイプ。フォローしたユーザーに対してフォロー返しはしない。ただしツイ
ートに URL を入れることで自社サイトへと招くことができるため、単純の一方通行なコミ
5
ュニケーションとは少し異なる。
その実例として朝日新聞社は、同社が運営する「asahi.com」
に掲載している記事のヘッドラインと URL を機械的に流しており、フォロワーは約 38 万人
に及んでいる。
c.BOT を活用した自動返信によるコミュニケーション
自ら自社関連の Tweet をサーチし,能動的にコンタクトする。ユーザーが一定の文法に
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従って Twitter アカウントにメッセージを送信すると、自社データベースと照合され、情
報が自動返信されるものである。その成功事例として Pepsi が挙げられる。Pepsi は顧客
との信頼の絆を高めるために積極的に Twitter を活用しており、対話率も高い。Twitter
をリアルタイム消費者リサーチに活用しているため、”How many Pepsis do you drink a day?”
のように気軽な質問をフォロワーに問いかけている。通常はオープンメッセージで顧客対
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話しているが,発言がネガティブになるケースなどでは DM 機能を活用している。
(4)GREE
①GREE とは
GREE はグリー株式会社が運営する SNS である。登録には携帯電話のメールアドレスが必
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要であり、無料で登録することができる。モバゲーとともに、基本無料の携帯電話向けブ
ラウザゲームを全面に押し出した SNS として知られている。ユーザーが自身のプロフィー
ル画像(顔写真や似顔絵)を登録し、公開することが可能である。また、日記を書くこと
ができ、基本的な使い方はブログに似ている。日記の本文には、画像や動画の紹介、レビ
ューの紹介、連携した各種サービスのコンテンツの紹介などが行える。また、コミュニテ
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ィと呼ばれる掲示板のような機能や、メール機能で交流することができる。グリーの最大
の特徴は、グリゲーと呼ばれる携帯ゲームである。基本的には無料で楽しむことができる
が、ゲームをやりこむためにはアイテム課金が必要である。このため、児童がオプション
のアイテムを購入し、親が予想外の請求を受けたことが社会問題になった。
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②GREE と企業、その実例
2011 年の時点での GREE 会員数は約 2700 万人となっており、多くの人々が利用している。
そこで、GREE と提携し人気を出そうとする企業も数多くある。
a. GREE Ads
GREE の広告サービスであり、アプリ内に広告枠を設置し、広告収益を獲得できる。
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GREE では、Amazon で取り扱っている商品のレビューを書くことができる。また、GREE プ
レミアム会員のページを経由して Amazon で商品が購入された場合、経由されたプレミアム
会員に Amazon から紹介料が支払われる。
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b. メディア、出版社との提携
フジテレビでは、共同でソーシャルメディア分野で新たなコンテンツとエンタテイメン
ト体験を創出し、魅力的なサービスをユーザーに提供することに取り組んでいる。具体的
5
には、フジテレビが企画、制作するテレビ番組をモチーフに、GREE のソーシャルゲーム開
発、運営分野でのノウハウを活用、モバイル向けの新規ソーシャルコンテンツを創出して
いく。
(例:人気アイドルグループ「アイドリング!!!」
「SUPER☆GiRLS」などが登場するカ
ードゲーム「IDOL☆J@M」の提供)
また、角川グループは、GREE のソーシャル性を活用した、電子書籍サービスの提供を行
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う。角川グループの電子書籍プラットフォーム「BOOK☆WALKER」と GREE を融合し、ソーシ
ャル電子書籍アプリを「GREE Platform」で提供する。また、両者のサービス・メディア
を連携させた共同プロモーションの展開を目指しており、新たな相互送客モデルを確立し
ようとしている。(例:リアル書店での書籍の商品オビや販促物に二次元コードを付記し、
そこにアクセスすることでソーシャルアプリ限定アイテムを付与するなど)
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(5)mixi
①mixi の特徴
mixi とは、2004 年 2 月にサービス開始、同時期に開始した GREE と並び、日本では最も
早い時期からサービスを展開している SNS の 1 つである。
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SNS としてのサービスは充実しており、主には「友人・日記・コミュニティ・mixi アプ
リ・mixi ページ・ボイス・足跡機能(訪問者)」などがあげられる。日記の場合は、個人
で書いて楽しむものだけはない。ここの場の日記とは、まるで交換日記のようだと、よく
比喩される。自分の日記を公開できることや、その日記を見た人が、その場で書き込みで
き、その書き込みに対して、日記の作者がお返しのコメントをつけられるなどの機能があ
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るため、日記の書き込みを通して、参加者間でコミュニケーションを取れる。コミュニテ
ィの場合も同じである。mixi で自分と同じ趣味を持つユーザーを探すとき、とても役立つ
のが「コミュニティ」だ。あるコミュニティに参加すれば全員が「共通の趣味」の持ち主
であり、普段はできないような濃い会話、情報交換などが可能になる。このように、様々
な人々とコミュニケーションを取ることができる。
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②mixi を活用したマーケティング
mixi を活用したマーケティングでは、「mixi ページ」の活用があげられる。この mixi
ページとは、2011 年 8 月末に発表され、個人や企業、タレントなど、誰でも開設できるペ
ージである。mixi の個人アカウントや mixi コミュニティとは違い mixi サイト内以外でも
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検索エンジンにひっかかるため、企業からの情報発信などにも適していると言える。
a. mixi × ラジオ
mixi が 2011 年の夏に実施していた、人気ラジオ番組「SCHOOL OF LOCK!」と連動したコ
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ーナー(mixi から同コーナーにログインすると、聴取者同士がおしゃべりする感覚で番組
の各種企画に参加することができるもの。
)では、最終的に 130 万人にのぼったと発表され
た。さらに、期間中に「SCHOOL OF LOCK! サマースクール presented by AXE」に参加する
とローソンが展開するクーポンのプレゼントがもらえるキャンペーンを実施したところ、
5
ローソン店頭の端末におけるクーポン引き換え枚数は約 42 万枚にのぼり、ローソンが実施
したクーポンキャンペーンの中で過去最大規模の結果を残すことができた。
b.mixi × 楽天市場
楽 天 市 場 公 式 mixi ペ ー ジ で は 『 お 買 い 物 部 』 に 入 部 す れ ば 、 楽 天 市 場 の お 得
な情報が得られることや、ポイントが貰えることなどの特典がある。
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(6)LINE
① LINE とは
LINE とは、2011 年 6 月に NAVER JAPAN(NHN Japan)が発表したメッセンジャーソフト
である。無料で IP 電話やチャットができ、現在 231 ヶ国 6,600 万人が利用している。主な
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特徴としては、OPEN ではなく CLOSED なサービスであること、リアルな関係性を重視した
ネットワークであることがあげられる。Twitter 等の SNS では、多くの情報の取得が可能
という長所もあるが、多人数での高頻度のコミュニケーションにソーシャル疲れを引き起
こしやすく、また、親密なコミュニケーションが取りにくいという点もある。これに対し
て、LINE は必要度の高い人と CLOSED な世界でコミュニケーションを取れる仕組みになっ
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ている点が、登録ユーザーを大きく伸ばしたと考えられる。
② LINE のマーケティング機能
LINE のマーケティング機能は、主に 2 つある。1 つ目は、企業が LINE をマーケティング
媒体として活用するために開始された「公式アカウント」だ。スマートフォンの常時接続
25
によって、クーポンなどが来店誘導につかえる他、ユーザーと企業のコミュニケーション
も可能になる。内容は、キャンペーンや割引クーポン、新商品・サービス情報などシンプル
な広告宣伝が多い。2 つ目は企業のブランドやキャラクターを活かしたオリジナルの「ス
ポンサードスタンプ」だ。スタンプを通じて、友だち同士の会話の中で自然にブランディ
ングすることが可能になる。320 万人の「友だち」を獲得したローソンには、他の SNS ア
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カウントもあるが、Twitter(18 万人)、Facebook(36 万人)と比較してもマーケット規模は
大きく、行使率も高いため有効な宣伝といえる。だが、利用料金は初期費用 200 万円、月
額 150 万円~。
スタンプは 1000 万円~、と高額なため中小企業には進出が難しいとされる。
LINE をマーケティングに活用した企業は多数ある。
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a. 映画「アメージングスパイダーマン」
公式アカウントは 5 月末に開始し、2 週間で 100 万人の登録。スタンプは 2 週間で 200
万ダウンロード、6 月末までに 350 万ダウンロードに達した。これは 1 日平均 100 万回使
われたことになり、認知拡大に大きく貢献したと考えられる。招待券プレゼントには約 17
万人の応募があった。
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b. コンビニエンスストア ローソン
ローソンでは公式アカウントからクーポンを配信し、それを店頭端末ロッピーで引き換
え、割引で商品が購入できるというキャンペーンを実施した。開始から 2 週間で 100 万人
が登録。通常のキャンペーンと比べて 3 倍の利用があり、ほかの商品購入の誘発にもつな
5
がった。
c. 日本コカ・コーラ
日本コカ・コーラは、 ロンドンオリンピックを応援するためのアカウントとして開設し
た。
「オリンピック」の名称はスポンサーでないと利用できないため、公式スポンサーであ
る企業だからこそ展開できるマーケティングだと言える。内容はオリンピック関連のキャ
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ンペーンやイベント情報、その他大会に関連する話題の提供だった。
3.SNS が引き起こす社会問題
日本で最もネットが見られている時間は 24 時~25 時というデータがある。仕事帰りや
飲酒後等、一人になってからネットを始める時間帯に増えている。SNS が浸透し、SNS 中毒
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に陥る人も少なくない。mixi の例では、マイミクが多ければ多いほど日記を書く度にコメ
ントが多くつけられる。それに対して返信をすると会話が途切れることなく延々と続いて
しまう。マイミクの人数が数百人となれば、24 時間ほぼ誰かが見ている状態になる。また
相手の日記に対してもコメントを入れることでさらに会話が繰り返される。最終的には起
きている時は常に mixi が気になって仕方がない状況になる。オンラインゲームと違い完全
20
に無料で利用できることが、中毒に拍車をかけているようだ。さらに、ブログに乗せてい
る情報をもとに居場所を特定できることから、ストーカー被害も問題となっている。海外
ではブログストーカーと呼ばれ、小学生を狙う悪質なパターンも多いため、子どもがブロ
グなどを利用している場合は親の監視も必要となる。
また、SNS が引き起こした事件としてウェスティンホテル事件やアディダス事件が挙げら
25
れる。2 件で共通しているのは、ウェスティンホテル東京もアディダスも、きちんと顧客
情報の守秘義務に関する研修や誓約書の提出といった、一般にコンプライアンス上必要と
される施策をきちんと実施していたということ。しかし、両事件の社員 2 人にとっての「つ
ぶやき」は、単なる友人への報告であり、このように情報が伝達・拡散するなど予想すら
しておらず、研修や誓約書によって禁止された違法な行為とは認識されていなかった。SNS
30
が引き起こす事件の最大の特徴は、情報の伝播速度が従来のメディアをはるかに超えて瞬
く間に分散拡大するという点、従前の企業不祥事における従業員の多くが、悪いと知りつ
つ違法な行為を行っていたのと異なり、実行者(ツイッターで言えば発信者)に悪いこと
をしているという自覚が全くないという点である。
35
4.まとめ
「mixi」や「GREE」のサービスが始まった 04 年には、SNS がこれだけ流行すると予想し
た人はいなかった。ところが、わずか 2 年のうちに SNS はブログと並んで、日本における
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インターネットサービスの大きな柱になろうとしている。その理由はとして、日本には携
帯メールや出会い系サイトなど、コミュニケーションを活性化させるツールが支持を得る
という土壌の存在が挙げられる。そこでまず流行したのがブログである。ブログを利用す
れば、誰でも自分の意見や作品を世界中に発信し、コメントなどを通して多くの人と交流
5
することが可能になる。ところが、ブログはインターネットに接続さえしていれば誰でも
閲覧できるので、ネガティブなコメントなど、好ましくない交流をしなければならない可
能性もでてくる。このような欠点を克服することができるのが SNS である。SNS は自らが
認めた友人だけに向けて日記を書くことができ、特定の話題についてのみ話すことができ
るコミュニティを利用して、気のあう友人を簡単に探すことができるようになっている。
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ブログに不満を持っている人や、ブログにはあまり興味を示さなかったライトユーザーに
も SNS は魅力的であった。
SNS の浸透ぶりから見るとその影響力には無視できないものがある。人間関係だけでは
なく、企業、政界にも様々な影響をもたらしている。IT 情報サイトエンタープライズが 2010
年 7 月 2 日 07 時 32 分に更新したニュースによると、SNS 禁止の企業が 2 年前と比べ、減
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少したということが分かった。その背景には SNS のユーザーが SNS に参加している企業に
好感を持つといった理由があるという。そして、2010 年 4 日に Twitter 専門ニュースサイ
トが発表したニュースによると、イギリスでは SNS をネット選挙のために利用する政治家
もいるという。企業は、SNS から発信される情報が購買行動に与える影響が見逃せない威
力をもっていると気付き始め、
ユーザーが情報発信する口コミサイトや Q&A コミュニティ
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サイト等を、商品やサービスのマーケティングに活用しようとした。
SNS をマーケティングとして利用する場合、何らかの方法で企業(ブランド)が自分の
アイデンティティーをはっきり証明することによって、発信源の明らかな信用のおける情
報を発信できるようになる。そして情報自身に高い信用性を持たせる事で、消費者などの
通常ユーザーが半匿名性を保ったまま共有する事が出来るようになる。ネット上の情報は
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雑多で不確実でソースが不明なものが多く、情報自身の信用性は非常に大きな付加価値に
なる。この高価値の情報を企業商品宣伝と絡めつつ企業のブランドコントロール下(例:
Facebook 等)で発信する事でファンが集まり、結果的にそのファンが企業の出したい情報
を広めてくれる。ファンが広めた情報にも十分価値があれば、さらにその先にまで広まる
ことになる。つまり、SNS を活用したマーケティングでは、話題作り、拡散、ファン獲得、
30
拡散というサイクルを実現できる。さらに、SNS を介した情報の流布は非常に早いこと、
投資額が低いことがメリットとして挙げられる。
しかし、このマーケティングには大きなデメリットも存在する。それは、マイナスなイ
メージを持たせる口コミやコメントも SNS を通じて急速に広まるということである。
「届い
た商品がイメージと違った」
「ダイエットサプリは効果がでなかった」など個人の意見がそ
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の商品のイメージとして流布してしまい、商品のイメージダウンを与えてしまうこともあ
る。また、企業の業内個人が、
「個人」の目線で発言することで消費者から共感を得るのが
ソーシャルメディアの特徴とされてきた。ところが個性が際立てば際立つほどに、おのず
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と「舌禍」リスクも高まるというジレンマがある。ソーシャルメディアに参加しつつ、不
規則発言をどう防ぐか。各社とも対応に苦慮しており、企業の SNS 疲れを引き起こしがち
である。企業は SNS の特徴を理解した上で SNS を活用したマーケティングを行わなければ
ならない。
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5.参考文献
・株式会社 NTT データ 経営研究所 http://www.keieiken.co.jp/monthly/index.html
・企業に広がる「SNS 疲れ」
:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110915/222656/
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・ミクシィ、初の「ソーシャルラジオ」の実施結果を発表 -- 約 130 万人が参加、約 42
万枚のクーポンを発行 http://japan.internet.com/wmnews/20111012/3.html
・楽天市場 http://event.rakuten.co.jp/campaign/mixi/201109/
・DeNA は無料ゲーム「モバゲータウン」でどう収益をあげている
http://diamond.jp/articles/-/8370?page=3
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・LINE http://line.naver.jp/ja/
・mixi http://mixi.jp/
・SMMlab http://smmlab.aainc.co.jp/?p=9879
(2012/9/13)
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