分子環境学特論I 大学院環境科学院 開講科目 2007年度後期 毎週金曜日第1校時(08:45─10:15) 研究院C-104号室 大谷文章(おおたにぶんしょう) 001-0021 札幌市北区北21条西10丁目 創成科学研究棟03-311-2号室 北海道大学・触媒化学研究センター 011-706-9132(ダイヤルイン)・011-706-9133(ファクシミリ) [email protected]・http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~k15391/ 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 1 講義日程 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 2007年10月2日 2007年10月19日 2007年10月26日 2007年11月2日 2007年11月9日 2007年11月16日 2007年11月23日 2007年11月30日 2007年12月7日 2007年12月14日 2007年12月21日 2008年1月11日 2008年1月18日 2008年2月1日 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 2 題材 ■ 燃料電池-報道と科学論文,解説:科学表現とは何か ■ 電子レンジ-インターネット上の情報と科学 ■ ダイオキシン-報道と科学 ■ 物質とはなにか/環境とはなにか/科学の視点 ■ 物質の同定-科学的な方法とはなにか ■ エベレスト登頂-科学的な方法とはなにか ■ 科学の三冠王-科学者はなにをめざすのか ■ 電車の混雑-科学におけるオリジナリティ ■ ダイエットチラシ-データの捏造と粉飾:科学倫理 ■ キラリティ-化学におけるかたちと対称性 ■ 光化学反応-環境と物質とエネルギー ■ リサイクル-環境と物質とエネルギー 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 3 授業の目標と内容 ●授業の目標等: 『化学物質と環境』を軸にして、科学研究における「読み書き算盤(そろば ん)」を身につける ●授業の内容・計画等: 化学物質を取り扱う環境物質科学専攻の一員として、化学物質と環境に ついて科学の立場にたってきちんと考えてみよう、というのがこの講義の目 的である。そのためには、「読む」(マスメディアや学術論文などの情報を客 観的に読みとる技術)、「書く」(科学の立場にたった表現を行う技術)と、 「算盤」(科学あるいは化学の基礎にたって情報やデータを分析する技術) を身につける必要がある。本講義では、各回ごとに資料を使った演習を通 じてこの技術を習得し、科学研究についての理解を深めることを目的とす る。また、受講者の調査・発表をも含めたオープンな雰囲気のゼミ形式で行 い、状況の応じて臨機応変に対処する予定である。なお、2006年度の内 容はウェブ(http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~k15391/j13.html )に公 開されている。 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 4 おぼえておいてほしいこと ■ 知識はえられません: 化学のそのものは教えませんので,知 識(分子環境学)をえることを期待しないでください. ■ じぶんで考える: じぶんで考えるためのヒントをしめします ■ 柔軟な考えを: これまでの感想を見ると「考え方,ものの見 方が変わった」というものがほとんどです.変わる(変える)こ とに対しての柔軟性が必要です. 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 5 授業のすすめ方 ■ 各回数題出題されるクイズに答えることによって「化学と科学とはなにか」 を学ぶ.答えの内容は「何か書かれているかぎり」評価しないが,統計情報 として利用,公開されることがある.《毎回数題のクイズ/質問》 ■ 受講者は,「化学や環境科学を理解するのに役に立つクイズ」を作成・発 表して受講者どうしのディスカッションを行う. 《最後の1~2回》 ■ 各講義の最後に提出する「感想と意見」は(ニックネームつきで)公開とし, 次回に講評と討論を行う.受講者はニックネームを設定する.担当者に対 する最低1つの質問を含めること.次回に質問と答えのそれぞれについて 投票してランキング《毎回》 ■ 科学的な視点と方法の基礎を身につける =「研究者」になる 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 6 Q: 前回の質問/回答に投票してください ■ 配布した「感想/質問と回答」をみて いいと思った質問 いいと思った回答 をそれぞれニックネームで投票してください.集計結果は次回 に発表します. 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 7 同定: 物質の構造の決定 Q どうやったら生成物を決定できますか ■ ある化学物質を合成したことを証明するにはどうしたらよいか ■ ある化学物質の純度が(ほぼ)100%であることをしめすにはど うしたらよいか ■ 標品(純品)の構造はどうやってきめるのか 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 8 光触媒による有機合成の報告例(同定の問題) ナフタレンを原料とする光触媒反応(酸化チタン) 元素分析なし・ガスクロマトグラフで標品と一致 有機化学では元素分析結果が0.3 %以内で一致することが必須 最初の報告 後の報告 CHO OH OH CHO どちらの化合物も組成式:C10H8O2 = 160.05 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 9 必要条件と十分条件 ■ ある物質の構造を特定する 十分条件 はなく,あるのは 必要条件 だけ(いくつ必要条件があるのか不明). ■ 「もしこの物質が目的物質なら」 ・実験結果Aが得られるはず・・・得られた ・実験結果Bが得られるはず・・・得られた ・実験結果Cが得られるはず・・・得られた ・実験結果Dが得られるはず・・・得られた ...だから(経験的に) 例:NMR 例:分子量 例:赤外吸収 例:元素分析 「この物質は目的物質である可能性がきわめて高い」 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 10 Q: ノートをとってください ■ いまから,新聞の記事(2006年7月16日・毎日新聞「時代の 風」同志社大学教授・浜矩子)を読みますので,ノートをとって ください. 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 11 Q: ノートをとってください ■ いまから,新聞の記事(2006年7月16日・毎日新聞「時代の 風」同志社大学教授・浜矩子)を読みますので,ノートをとって ください.ただし,このあとで,そのノートを見てヨーロッパと北 アフリカの地図を書いてもらいます.そのことを意識してノート をとってください.さきほどのQのノートを見てもかまいません. 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 12 Q: 地図を描いてください ■ ノートを見て,ヨーロッパと北アフリカの地図を書いてください. 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 13 ヨーロッパ 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 14 北アフリカ スペイン 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 15 論理を組み立てる ・イタリア: 長靴型/かかとごしにうしろにアルバニア(間に海) ・フランス: 下(地中海ごし)にアルジェリア ・ドイツ: 振り向く(東欧なので右)とポーランド/チェコ ・ポルトガル: スペインとしか接していない(スペインとポルトガル の2国がイベリア半島) ・スペイン: ピレネー山脈を介してフランス,反対側にポルトガル ・モロッコ: ジブラルタル海峡をはさんでイベリア半島の南 ・スイス: ドイツ/フランス/イタリアと接する ・ウクライナ: 背中の向こうがロシア ・デンマーク: 下にドイツ/左手(ひとさし指[先にノルウェー]と親 指[先にスウェーデン])型(海をはさんで) ・オランダ: 下にドイツ/振り向けば北海でその先がイギリス 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 16 必要な情報 ・アルバニアは東欧=イタリアの長靴は左向き ・ポルトガルがユーラシア大陸(ヨーロッパ)の西端 ・ロシアが東側にある ・ウクライナ: ロシアとポーランドと接する ・イタリア: スイス/フランス(オーストリア/スロベニア/ モナコ?/バチカン/サンマリノ)と接する 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 17 必要条件と十分条件 ■ ある物質の構造を特定する 十分条件 はなく,あるのは 必要条件 だけ(いくつ必要条件があるのか不明). ■ 「もしこの物質が目的物質なら」 ・実験結果Aが得られるはず・・・得られた ・実験結果Bが得られるはず・・・得られた ・実験結果Cが得られるはず・・・得られた ・実験結果Dが得られるはず・・・得られた ...だから(経験的に) 例:NMR 例:分子量 例:赤外吸収 例:元素分析 「この物質は目的物質である可能性がきわめて高い」 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 18 必要条件の集積 ■ 必要条件が1つでも成立しなければ,仮説は否定される. ■ ある仮説に対して ・必要条件Aが成立 ・必要条件Bが成立 ・必要条件Cが成立 ・必要条件Dが成立 ・必要条件Eが成立 ...だから(経験的に) 「この仮説が正しい」可能性が高い 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 19 必要条件の集積 ■ 必要条件が1つでも成立しなければ,仮説は否定される. ■ ある仮説に対して ・必要条件Aが成立 ・必要条件Bが成立 ・必要条件Cが成立 ・必要条件Dが成立 ・必要条件Eが成立 ...だから(論理的に) 「この仮説は正しくない」 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 20 記録として残すべきもの=実験ノート ・イタリア: 長靴型/かかとごしにうしろにアルバニア(間に海) ・フランス: 下(地中海ごし)にアルジェリア ・ドイツ: 振り向く(東欧なので右)とポーランド/チェコ ・ポルトガル: スペインとしか接していない(スペインとポルトガル の2国がイベリア半島) ・スペイン: ピレネー山脈を介してフランス,反対側にポルトガル ・モロッコ: ジブラルタル海峡をはさんでイベリア半島の南 ・スイス: ドイツ/フランス/イタリアと接する ・ウクライナ: 背中の向こうがロシア ・デンマーク: 下にドイツ/左手(ひとさし指[先にノルウェー]と親 指[先にスウェーデン])型(海をはさんで) ・オランダ: 下にドイツ/振り向けば北海でその先がイギリス 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 21 質問... Q Q Q あなたのニックネームは何ですか 質問は何ですか(すくなくとも1つ) 今回の講義の感想・意見 講義のウェブページ http://www.hucc.hokudai.ac.jp/~k15391/ 北大 大谷研 検索 連絡先 [email protected]/011-706-9132 2007/11/02─ 2007/11/02─分子環境学特論I 分子環境学特論I・第4 ・第4回 22
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