チェコ共和国への投資における税制・法制上の検討事項

チェコ共和国への投資における
法制・税制上の検討事項
2016年9月16日
チェコ共和国進出に際してのキーワード
政治・治安の
安定
日本に対して
友好的・協力的
充実した日本人
コミュニティ基盤
地理的
優位性
技術・生産性の
高い労働力
中小規模投資
が容易
拡張投資
の増加
生産能力の
増強
欧州顧客
の獲得
事前FS
の徹底
労働力不足
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Brexit
2
経済概況
経済指標
経済指標
名目GDP (USD billion)
名目一人当たりGDP (USD)
実質GDP成長率(%)
(ドイツ)実質GDP成長率(%)
インフレーション(%)
2011
2012
2013
2014
2015
227,313
206,442
208,328
205,270
181,585 185.269
21,676
2.0
3.7
1.9
19,650
-0.9
0.6
3.3
19,810
-0.5
0.4
1,4
19,526
2.0
1.6
0.3
17,256
4.2
1.5
0.3
17,543
2.5
1.5
1.0
39.8
44.6
45.1
42.7
40.9
41.2
6.7
24.6
17.6
7.0
25.1
19.5
7.0
25.9
19.5
6.1
27.5
20.7
5.0
27.2
24.6
4.7
27.0*
24.2*
政府総債務(GDP比)
平均失業率(%)
チェコ概要
対ユーロ為替レート (年平均)
対米ドル為替レート(年平均)
2016f

首都: プラハ(127万人)

人口: 1,055万人

通貨: チェココルナ(CZK)

民族:チェコ人約95.5%

言語:チェコ語

宗教:無信仰34.3%、カトリック
10.3%
— 2015年経済成長を支えたのは内需。主にEU基金の効果的利用を要因とする国内総固定資本構成が増
加。また労働市場改善と、原油価格低下を主要因とする低インフレの状況が個人消費の改善を促した

政体:議院内閣制(二院制)
内政:社会民主党(CSSD)のソボ
トカ元首を首相とする連立内閣
(CSSD、ANO2011、キリスト教民主
同盟人民党)が2013年10月発足。
上院・下院の「ねじれ」は解消
— 物価安定を目的とする金融政策を実行


二国間関係は良好

在留邦人:1791(2015年10月1
日現在)
(出典:IMF、チェコ国立銀行)(*8月末時点)
— 2014年及び2015年は、ユーロ圏の景気回復に伴い、チェコ最大の貿易相手国であるドイツを始めEU諸国
へ輸出が増加したことと内需拡大の後押しで、2012・2013年の2年連続のマイナス成長を脱し、2年連続
プラス成長(それぞれ2.0%・4.2%)
 経済成長を支えるための為替政策としてチェコ国立銀行(CNB)が2013年11月から無制限の為替介
入を開始し、現在は対1ユーロ27CZKで安定している。チェコ国立銀行は、無制限の為替介入を2016
年内は継続し、2017年半ばまでは維持することを表明
 ユーロ導入の見込みは不透明(2015年11月CNB総裁は早くても2020年以降になるとのコメントがあ
るものの、CNBと財務省はターゲット日を設けないことを推奨している
— チェコの失業率はEU内でも最も低い水準(EU平均失業率は約9%)
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3
目次
会社の種類と手続き
5
投資インセンティブ
9
イミグレーション手続
17
会計・税務の概要
22
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会社の種類と設立手続
会社の種類と設立手続
チェコにおける事業形態
会社法においては下記の法人形態を定めており、いずれも商業登記が必要となる。


株式会社 (akciová společnost: Joint-stock Companies)

有限会社 (společnost s ručením omezeným: Limited Liability Companies)

ゼネラルパートナーシップ (General Commercial Partnerships)

リミテッドパートナーシップ (Limited Partnerships)

組合 (Co-operatives)

欧州会社 (Societas Europaea, SE)

欧州経済利益グルーピング (European Economic Interest Grouping, EEIG)

上記に加え、外国法人はチェコにおいて支店 (organizační složka zahraniční osoby: Branch) を設立することが可能。支店は法
人ではないが、商業登記が必要。

現時点では駐在員事務所という事業形態はチェコの法律上は存在しない。その代わりとして、営業活動を行なわない支店を設立する
場合には、登記時にその旨を明記する必要がある。この場合でも、会計・税務上はチェコ語による会計記録の作成及び法人税の申
告が必要となる。

日系企業は多くの場合、有限会社または支店の形態により進出している。
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6
会社の種類と設立手続
事業形態の比較
支店
活動内容
最低資本金
出資者責任
持分証券の発
行
株式会社
登記した活動のみ
本社と一致した活動
登記した活動のみ
定款に記載した活動のみ
不要
1CZK
2百万CZK(約8百万円)
公募設立では20百万CZK(約80百万円)
法人ではないため、本店株
主と同様の責任を負う
有限責任:出資を超えて会社負債及び
債務に責任を負わない。未払いの資本金
については連帯責任を負う
有限責任:出資を超えて、会社の負債及び債
務に責任を負わない
持分証券を発行することができる
記名株式の場合、株券を発行することができる
(無記名株式の場合株券は発行できない)
法人でなく、該当しない
原則:出資者への譲渡は自由。第3者に
譲渡する場合は、General meetingによ
る承認が必要
例外:定款により任意で譲渡要件を設け
ることも可能
無記名株式の場合、無制限で譲渡可能。
記名株式の場合、譲渡制限を設けることができ
る。
-
出資者総会(最低1名、上限無し)
取締役(最低1名)
監査役会(任意)
株主総会(最低1名、上限無し)
下記の選択:
a) 取締役会と監査役会(最低1名ずつ)
b) 執行役と委員会(一人で兼務可能)
販売拠点
サービス拠点
駐在員事務所
製造拠点
M&Aで既存企業を取得する場合のみ(新規
設立なし)
法人でなく、該当しない
持分の譲渡
会社の機関
日系企業の
進出形態例
有限会社
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7
会社の種類と設立手続
事業形態の比較
支店
必要な手続き
支店設置の決議
支店の登録事務所の設置
営業許可証の取得・登録
支店の商業登記
有限会社
株式会社
営業許可の取得・登録
登録事務所の設置
設立証書の作成(公正証書が必要)
登録資本の払込証明
法定機関の選任
商業登記
営業許可の取得・登録
登録事務所の設置
付属定款の作成(公正証書が必要)
登録資本の払込証明
法定機関の選任
商業登記
必要書類
本店の実在証明
支店設置の決議書面
営業許可証
登録事務所に関する資料
支店長の任命決議
宣誓書
支店長の無犯罪証明書
出資者情報
(現在事項全部証明書等)
創立証書(公正証書)
登録事務所に関する資料
取締役の宣誓書及び無犯罪証明書
資本の払込証明
出資者情報
(現在事項全部証明書等)
創立証書(公正証書)
登録事務所に関する資料
取締役の宣誓書及び無犯罪証明書
資本の払込証明
設立に要する期
間
約1ヶ月~2ヶ月
約2ヶ月~3ヶ月
約2ヶ月~3ヶ月
法人所得課税
原則)法人同様
例外)簡便的な課税方法
が容認されることあり
税務収入から税務費用を控除して算出
税務収入から税務費用を控除して算出
決算書の作成
必要
必要
必要
法定監査
一定要件を満たした時
同左
同左
進出形態や必要手続(設立・入国)に関する事前調査等について、現地専門家の活用が不可欠
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投資インセンティブ
投資インセンティブ
インセンティブ概要
投資優遇措置
EU基金
研究開発費控除(法人税)
法人税免除(10年間)・現金助成
現金助成
損金算入

法人税の免税:最高10年間

現金による補助

特定地域における雇用創出・維持、従業

支援対象活動が多様:革新的製品の製

員の教育・再訓練に対する現金助成
造、研究開発・イノベーションセンターの設立
支援対象活動

製造設備の新規設立又は拡張、生
産の多角化、製造工程に関する基礎
的な変更

技術センター及びビジネスサポートセン
ターの新規設立又は拡張
、研究開発・イノベーション活動、製造・建

助成の基礎的水準は適格資産の25%

戦略的(大規模)投資プロジェクト(製
造業と技術センター)の場合、現金による
優遇範囲が拡大

供給業者を選定する競争入札は不要

権限付与を受けた場合でもペナルティーなし
でやめることが可能
比較的大規模な投資に適している(新規投
資・拡張投資)


研究開発の実施に関連するコスト(全額
)税務上2回損金計上が可能

前課税対象期間の研究開発費を超える額
については110%の税額控除が可能
設におけるエネルギー節約、従業員訓練、

研究開発費用の最大19%の節税
他

研究開発の要件を満たす必要あり
発プロジェクトの評価における不確実性)
申請を限定された期間に実施する必要があ
る(通常数ヶ月)

供給業者を競争入札する必要あり

助成水準は適格資産の25-65%(プログ
(開

3年間繰越可能
ラムにより異なる)

プログラムにより助成金の額及び適用要件
が異なる

特に大規模会社に充てられる予算が制限さ
れている
プロジェクトがプログラムの対象となるかプログラム
公表都度検討が推奨される
研究開発に該当するか検討が推奨される
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10
投資インセンティブ
投資優遇措置の支援対象活動と主要要件
製造業

新規製造工場の建設、既存工場の拡張

有形固定資産および無形固定資産に対す
る最低投資額が100百万CZK(約4億円)

技術センター

新規技術センターの建設、既存技術センタ
ビジネスサポートセンター

ーの拡張

ビジネスサポートセンターの新設、既存施設
の拡張
有形固定資産および無形固定資産に対す

新規雇用の創出
であること。特定地域では50百万CZK(約2
る最低投資額が10百万CZK(約4千万円)
-ソフトウェア開発センター:20名以上
億円)に減額
であること。特定地域では5百万CZK(約2
-カスタマーサポートセンター:500名以上
上記の投資のうち半分の50百万CZK(また
千万円)に減額
-その他のサポートセンター:70名以上
は25百万CZK)は機械装置であること(購入

前2年以内に製造され、新品であること)
投資額の半分は機械装置であること(購入
前2年以内に製造され、新品であること)

投資金額は5年間維持

投資金額は5年間維持

20名以上の新規雇用の創出

20名以上の新規雇用の創出
共通の要件

プロジェクトがチェコにおける環境基準を満たしていること

プロジェクトにかかわる活動(建設作業を含む資産の購入、発注等)がチェコ投資庁による投資優遇措置申請の受領前に行われていないこと

各支援対象の一般要件を、投資優遇措置の承認を受けた日より3年以内に満たすこと
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投資インセンティブ
投資優遇措置法一般要件
製造業
固定資産への最低投資額:
50/100百万CZK(約2/4億円)
+新機械装置へ50%
技術センター
ビジネスサポートセンター
固定資産への最低投資額:
10百万CZK(約50百万円)
+新機械装置へ50%
クロスボーダー取引:
例)センターが提供するサービスが、チェコの他
戦略的投資の要件:
少なくとも2カ国以上の国境を越える必要があ
戦略的投資の要件:
最低投資:500百万CZK(約20億円)+ 最低投資:200百万CZK(約10億円)+ る
新機械装置へ50%
新機械装置へ50%
500
最低雇用創出:
人
最低雇用創出:100
最低雇用創出数:20人
最低雇用創出数:20 人
最低雇用創出数:
SW 開発・データセンター:20人
シェアドサービスセンター/ハイテク修理センー:
70人
カスタマーサポートセンター:500人
上記要件を3年以内に満たす必要がある
(自己資金要件は2014年改正により廃止)
•大規模企業の助成水準:適格コストの25%(投資額50百万ユーロを超える部分については12.5%)
•特定地域における従業員教育・再訓練については、追加の現金助成(訓練費用の25%又は50%)
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投資インセンティブ
投資優遇措置にかかるその他の留意点
(申請~認可)
 申請書類提出後に投資不適格と判断されることを避けるため、提出前の事前調査を行う必要がある。
(認可~投資優遇期間前)
 投資優遇措置の認可後より3年以内に、プロジェクトにかかる一般要件を満たす必要がある(前ページ参照)。
 投資優遇期間の開始は、認可後より3年後であり、さらにその2年以内に全ての設備を稼動させる必要がある。
(投資優遇期間中)
 優遇措置の対象は事業所得であり、金利所得に対しては適用されない。
 拡張投資の場合は免税対象は投資前と投資後でそれぞれ計算した免税額の差分のみが対象となる。
 投資優遇措置を受けている期間中は、課税所得が最小になるように計算する必要がある。
 投資優遇期間中に関連者間取引を使って課税所得を増加させることは認められない。
 実務上、投資優遇期間中に親子会社間での移転価格の取り決めを変更する際に留意が必要。
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投資インセンティブ
投資優遇措置-申請プロセス(新規投資:申請者≠受領者)
申請書類準備
—
投資を行う意思のある
もの(親会社)による
趣意書の提出
プロジェクトにかかわる資
産の発注・購入は、対象
資産として認められず、ま
た新規雇用を開始しては
いけない
申請書類受領
—
投資者がチェコ投資
庁に投資優遇申請を
提出
プロジェクトに関する資産
発注・購入、従業員雇
用の開始
投資優遇の提案
—
産業貿易省による投
資優遇措置の提案
—
受領から提案までの
期間は約4か月
提案の受け入れ
—
実際に投資優遇
措置を受ける事業
体(設立されたチェ
コ子会社等)が提
案受領後3か月以
内に投資優遇措置
権限付与申請書
類を提出することに
より、提案を受け入
れ
投資優遇
権限付与の決定
—
産業貿易相
による投資優
遇の権限付与
の決定
—
一般要件充
足期間の開始
欧州委員会の承認が必要な場合には、承認プ
ロセスの期間が延長される
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14
投資インセンティブ
投資優遇措置-法人税の免除
投資優遇
権限付与の承認
2017 — 産業貿易相による投
資優遇の権限付与の
決定
投資優遇期間の開始
適格資産発生最終年度
2020 — 権限付与の決定がされてから 2022 — 適格資産に対する投資は、権限付
3年で投資優遇の要請を開
始
—
与日から起算して5年以内に完了す
る必要あり
税務上の繰越欠損金がある
場合、欠損金利用終了後に
法人税の免税を要請可能
一般要件充足期間:2017- 2020
適格資産への投資期間 2017-2022
投資優遇による法人税の免税期間10年: 2020-2029
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投資インセンティブ
投資優遇措置-インセンティブの計算方法
(前提)
 2017年に投資優遇の認可
 2020年に一般要件充足 → 投資優遇期間は2020年-2029年
 投資金額は350百万CZK
- 建物 200百万CZK
- 機械 150百万CZK
(投資優遇金額の計算)
項目
金額(百万CZK)
建物
200,00
機械
150,00
合計
350,00
投資優遇適格コスト*
300,00
国家補助(優遇対象金額) ×25%
75,00
*建物の優遇対象金額は機械の金額が上限
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イミグレーション手続
イミグレーション手続
申請プロセスと期間
通常のケース
Step 3
Step 1 & 2
必要書類の
発送・提出*
必要書類の収集
約2ヶ月
約2週間
Step 5 & 6
Step 4
承認期間
2又は3ヶ月*
*employee cardの申請は、 *家族のビザも同時申請
必ずチェコ国外のチェコ大使
する場合等
館で行なう必要がある。
Welcome Package
Step 3
Step 1 & 2
必要書類*の収集
約2ヶ月
必要書類の
発送・提出
約1週間
ビザの受取及
び生体データ
登録*
Step 7
必要な期間
業務開始
約6ヶ月
Step 7
必要な期間
業務開始
約4ヶ月
約2週間
* employee cardを取得
した者は、チェコ入国後3
営業日以内に生体データ
(指紋等)を内務省へ提
供し、はじめて就労可能と
なる。
Step 5 & 6
Step 4
承認期間
30日~40日
ビザの受取及
び生体データ
登録
約1週間
(Welcome Package とは?)
2013年7月よりチェコインベストにより導入された、新規進出企業に対して、有能な外国人従業員の入国・雇用を迅速化するため、居住・労働といった必要な許可を短
期間で取得するためのプロジェクト。対象となるのは新設企業の管理職・主要技術者で、一定の条件*を満たすと労働許可・長期ビザ・社員証の取得が大幅に短縮化。
*従業員要件がある(製造業・ビジネスサポート:3年以内に50人以上を雇用、IT/SW:3年以内に20人以上)。また、非居住用でない土地の購入、リース取引の
契約書コピーをチェコインベストに提出する必要がある。
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イミグレーション手続
イミグレーション手続にかかるQ&A
Q1.日本で申請した労働許可証(work permit)及び滞在許可(employee card)はどこで受取るのか?
A1. work permitは雇用主(チェコの現地法人)が受取る。日本にいる駐在員に送付可能。 employee cardは本人の生体データを
チェコ国内にて提供後に受け取り可能。なお、employee cardの取得が可能となった者には、エントリーVISAが在日チェコ大使館より発行
されるので、これをチェコ入国後に提示する
Q2.日本で帯同家族のVISAを申請した場合、チェコ到着後に受け取り可能か?
A2.日本で申請した帯同家族のVISAは日本国内で受取る必要がある。チェコ国内では発行されない
Q3. チェコ入国後よりイミグレーション手続を開始できるか?
A3. 日本国内で取得が必要な書類が揃っていれば可。ただし、パスポートでの滞在は3ヶ月以内となるため、その期間に在留許可を取得
できない可能性がある場合は、別途、シェンゲン・ワークVISAを取得する必要がある。なお、この場合、 employee cardとシェンゲン・ワーク
VISAは同時に申請する必要があり、かつ、work permitのみ先に取得しこれを申請時に提示・コピーを提出する必要がある
Q4. 企業の経営者がイミグレーション手続を行う場合は?
A4. 企業の経営者はwork permit 及びemployee cardではなく、ビジネスVISAを取得する必要がある。ほとんどの書類は駐在員の場合
と同じであるが、assignment letter (駐在員派遣レター)が不要である代わりに、mandate contract(委任契約)を提示する必要があ
る等若干異なる。手続も自国(日本)の大使館で完結させる必要がある(チェコでの申請は不可)。また、社会保障協定も第7条で
はなく第10条が適用されるケースがあるなど、幾つかの点で注意が必要
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19
イミグレーション手続
イミグレーションにかかるその他留意点
 空きポストの通知・現地人の雇用義務
チェコ国内の雇用者は、空きポストができた場合、その旨及び労務の性質を労働局に通知する義務がある。外
国人の就労対象となるポストは、労働局に空きが報告されてから30日以内に埋まらないものに限られる
 書類の公証人認証及びチェコ語への翻訳
書類のうち、チェコ語でないものについては、チェコ語への翻訳及び公証人認証(アポスティーユ)が必要になる。
英語で作成されたものでもチェコ語訳が必要。また、無犯罪証明等取得からアポスティーユまでに時間がかかるも
のは、それが申請プロセスのボトルネックになるので、早めの準備が必要
 保険の書類「J/CZ 101」
日本・チェコ間では社会保障協定があり、保険契約書の提出が免除されている代わりに、自国の公的保険に加
入していることの証明書「J/CZ 101」の提出が必要であるが、当該書類の取得を期日までに用意できない場合
は、高額の保険に加入することになるため、留意が必要
 チェコ国内に住居が確保されていることの証明の取得
住居の賃貸契約にはVISAは必要ないが、不動産会社(エージェント)によっては求められるケースもあるので、
事前に確認してからエージェントを決めること
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20
イミグレーション手続
査証取得のための申請書類
日本から派遣される駐在員は、労働許可証と在留許可をそれぞれ申請する必要がある。
労働許可証(work permit)→企業の所在する労働局
在留許可 → 各国のチェコ大使館
(必要提出書類 – 駐在員)
(employee card)
1. パスポートの写し(個人データ記載のページ)
1. パスポート+写し(個人データ記載のページ)
2. 資格(学歴)取得証明
2. カラー写真2枚(3.5cm ×4.5cm 縦長)
3. 雇用者の当該外国人雇用宣誓書
3. チェコ国内に住居が確保されていることの証明
4. 申請手数料(500コルナ分の収入印紙)
4. 就労カード申請用紙(フォームはダウンロード可)
5. その他関連書類
5. 日本の無犯罪証明
6. 委任状(第三者が代理申請する場合)
6. 派遣元企業の「駐在員派遣レター」***
7. 日本での勤務証明またはローカル雇用契約書(必用に応じて)
7. 保険の書類****
8. 労働許可証(発行前の場合は、申請番号等を提出)
(必要提出書類 – 雇用者)
(帯同家族VISA:1~5までは本人分と同じ)
1. 申請書(フォームはダウンロード可)
6. 生活費支払能力の証明書類(預金残高証明)
2. 日本及びチェコの商業登記
7. 戸籍謄本(従業員との関係を示すもの)
3. 要請に応じて他の資料の提出を求められる。
8. 国際的に通用するクレジットカード
4. 申請手数料(500コルナ)
9. 駐在員本人の労働許可証のコピー
10. 保険の書類****
*全ての書類は、労働許可証は3ヶ月以内、在留許可は180日以内に発行されたものであり、かつ、オリジナルもしくは公証人の認証を受けたコピーであることが必要。
**外国語の書類は、アポスティーユ(公証人証明)・チェコ語訳が必要。
***賃金が最低賃金を上回ること、1週間当たりの労働時間が15時間以上であることを証明するものであることが必要。
****本人は、「チェコで就労する被用者/自営業者のための日本国公的年金および公的医療保険各法の適用に関する証明書(J/CZ 101)」、家族は、日本の公的健康保険に加
入している旨の証明(在チェコ日本大使館が発行)及び前述の証明書( J/CZ 101)を提出することが必要。
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会計・税務の概要
会計・税務の概要
チェコの会計・税務の主な特徴
概要
会計基準
 会計基準:上場会社はIFRS。非上場会社はチェコ会計基準(一定の下IFRS認容)
会計処理の
主な特徴
(対IFRS)
 機能通貨:全ての会計記録および財務諸表表示はチェココルナ(CZK)で行う
 リース会計:ファイナンスリースの借手はオペレーティング処理が原則
 従業員給付:確定給付制度は実用されておらず、会計制度で規定がない
法人税




移転価格税制
 移転価格税制に関する文書化義務明文規定ないが、文書化を前提として税務調査が行われるため、実務的には事前
に文書化を行うことが強く推奨される
個人所得税
 15%の均一税率
 社会保険料算定基礎上限額(約1.2百万CZKを超える部分に対しては、7%の連帯附加税が課せられる(2015年ま
での時限措置)
源泉税
 標準税率15%(租税情報交換に関する協定がなく、チェコと租税条約を締結していない国の居住者に対する税率は
35%)
 配当、利息、ロイヤルティに租税条約の適用あり(EU経済領域は0%)
 日本への配当源泉税率は15%または10%(25%以上の持分を有する会社からの配当)
VAT


社会保障協定
2009年6月1日締結。チェコに派遣されている日本人駐在員については、一定要件を満たすことを原則として、チェコ社会・健
康保険料の納付義務が免除される
税率:19%(適格投資年金基金等所得には5%の軽減税率)
繰越欠損金の利用は5年間
過少資本税制あり
研究開発費の要件満たす場合、支出額の2倍を損金算入可
標準税率21%、軽減税率15/10%
原則月次申告。一定要件を満たす場合には四半期毎の申告が可能
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会計・税務の概要
最近の主な改正
会計
(会計)

会計主体の分類
⁻


⁻
2016年より、資産/売上/従業員数で会計主体を、マ
イクロ会社、小規模会社、中規模会社、大規模会社に
区分(株式会社の場合)
中規模会社以上(①資産100百万CZK超、②売上
200百万CZK超、③平均従業員50人のうち2要件を連
続する2会計年度末で充たす会社)及び特定会社は、
キャッシュフロー計算書を作成しなくてはならない
監査要件
⁻

税務
関連者間取引に関する書類の添付義務
財務諸表の範囲
⁻

(税務)
確定申告において、一定規模( ①資産40百万CZK超、
②売上80百万CZK超、③平均従業員50人超)のうち
1つを満たす場合には、関連者間取引に関する書類の
添付が義務付けられた。これは、移転価格調査の対象
会社を選別することを目的としている。
付加価値税申告の添付書類
⁻
2016年1月のVAT申告より、VAT元帳報告書の添付が
義務化。これは、VATの不正を防止することを目的とし、
税務調査の対象会社を選別することを目的としている。
大規模会社及び中規模会社は強制、小規模会社は
連続する2年間において、下記の条件のうち1つを満た
す場合、他の形態(有限会社や支店)は連続する2
年間において、下記の条件のうち2つを満たす場合
①資産40百万CZK超(約1.6億円)
②売上80百万CZK超(約3.2億円)
③平均従業員50人
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あずさ監査法人
カントリーデスク 中東欧担当
パートナー
小宮 祐二
T: 03-3548-5555(内線3076)
E: [email protected]
あずさ監査法人
カントリーデスク 中東欧担当
シニアマネジャー
渡邊 敏郎
T: 03-3548-5555(内線4775)
E: [email protected]
KPMGチェコ プラハ事務所
シニアマネジャー
加治 孝幸
T: +420 222 123 120
E: [email protected]
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りますが、情報を受け取られた時点及びそれ以降においての正確さは保証の限りではありません。何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショナルが特定
の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断ください。
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