2 JAが組合員のための事業とし て行う場合 J Aが組合員のための事業として 売電に取組む場合としては、次のよ うなケースが考えられる。 ①組合員の事業又は生活に必要な 共同利用施設︵農協法第十条第 一項第 号︶ 組合員が発電・売電事業を行お うとする場合に、個々の組合員で は事業化が困難である。このこと から、J Aが組合員に代わって売 電 契 約 を 電 力 会 社 と 結 び、 発 電 機材等の整備や保険の提供等を 行 い、 組 合 員 が 一 定 の 利 用 料 を 負担した上で売電収入の一部を 受 け 取 っ て い る 場 合 に は、J A は、組合員が発電・売電事業を行 うのに必要な施設を設置し組合員 に利用させているものと評価でき る た め、﹁ 組 合 員 の 事 業 又 は 生 活 に必要な共同利用施設﹂に該当す る。 ギーを活用した売電に取組むことの 可否については、組合員のための事 業として行う場合と、それ以外とに 分けて考える。 JAが再生可能エネルギーを 活用して行う発電・売電事業 去る平成二十三年三月に発生した 東日本大震災による東京電力福島第 一原子力発電所の深刻な原子力災害 により、未だに被害に苦しむ人々の ため、被災地の復旧・復興にむけた 取組みが続いている。 先に開催された﹁第二十六回J A 全国大会﹂において、将来的な脱原 発にむけた再生エネルギーの利用促 進を決議し、J A全中は今後、自然 エネルギー発電やバイオマス資源の 活用への取組みを進めることとして いる。 このような中、発電・売電事業に 関して農協法に規定するJ Aの事業 との関係について農水省との協議に より次のとおり整理されたので、そ の内容を紹介する。 1 基本的考え方 J Aは、その行う事業によって組 合員のために最大の奉仕をすること を目的としており、再生可能エネル ギーを活用して行う発電・売電事業 についても、組合員のための事業と して行うことが基本となる。 しかし、それ以外であっても、農 協法の趣旨との関係で、J Aが保有 する資産を活用して附帯的に実施で きる場合も考えられる。 このため、J Aが再生可能エネル ②農村工業に関する施設︵農協法 第十条第一項第九号︶ J Aが、発電に必要な機材等を 整備し、電力会社と売電契約を結 んで発電・売電事業を行う場合に おいて、施設の運営などが主とし て組合員の労働力によって行われ る 場 合 は、﹁ 農 村 工 業 に 関 す る 施 設﹂に該当する。 3 2以外の場合 1︶ J Aが 保 有 す る 資 産 を 活 用 ( して自ら行う場合 J Aが、自ら保有する施設等︵共 同利用施設の屋根、遊休地等の資 産︶に発電に必要となる機材を整 備し、電力会社と売電契約を結ん で発電・売電事業を行う場合には、 組合員のためにする事業の遂行を 妨げない限度において、自らの保 有資産の有効活用と評価できるこ とから、J A自ら行えるものとす る。 J Aが他の事業者と共同して売 電を行う場合も、同様の趣旨から 行えるものとする。 ︵ 2︶ J Aが 保 有 す る 資 産 を 他 の 発電・売電事業者に貸与する場 合 J Aが、業務用資産の余剰部分 ︵共同利用施設の屋根等︶を他の 売電事業者に貸与することについ ては、①当該施設が組合員に利用 されており、②当該スペース自体 は組合員が利用していないもので あることから、組合員のためにす る事業の遂行を妨げない限度にお いて、行えるものとする。 また、業務外の土地等の不稼働 資産については、処分することが 原則であり、将来の売却等を想定 した一時的な貸与等を除き、貸与 取組内容 実施の可否 組合員・会員のための事業 として行う場合 ○ (共同利用施設、農村工業等) JAが保有する資産を活用 して、組合員のためにする 事業の遂行を妨げない限度 において自ら行う場合 ○ ○ JAの資産を 業務用資産 (施設が組合員に利用されており、 他の売電事業 の余剰部分 当該スペース自体は組合員が利用 者に貸与する していないものである場合) 場合 不稼働資産 × することが不動産賃貸業に該当す ることとなるので、不稼働資産を 他の発電・売電事業者に貸与する ことはできない。 【JAが行う再生可能エネルギーを活用した 発電・売電事業の実施の可否】 他県の事例では、自然エネルギー 発 電 と し て、 千 kw 未 満 の 小 水 力 発 電 所 をJ A が 運 営 し て い る ケ ー ス︵中国地方で四十四発電所をJ A が運営︶や、県域で、遊休農地を利 用した大規模な太陽光発電システム の導入を検討しているケース︵茨城 県、愛知県のJ Aグループ︶がある。 このような取組みを後押しするよう に平成二十四年七月より電力の固定 価格買取制度が導入され、J Aの事 業として法的な位置づけが明確化し たことにより、再生エネルギーを活 用して行う売電について具体的な検 討が全国的にさらに進むと考えられ る。 ︵中央会経営対策部︶ 19 絆 2013.2 5
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