『女性情報ファイル』No.112(2012年12月)

一
「関西 女 性 作 家 を読 む 会 」
十
吉サ
1佳英子
ななかでくサ ン ドとも親 しかつたアシ ジ ・
ラ トゥー シュ との 間には子供 をも うけて い
る。そ の後の結婚 で も うけた 4人 の子供や 、
一
唯 の弟、友 人遵すべ てに先 立たれた後、
1359年 に逝去。
開催 日 i ll月23日 (金)14∼ 16時 30分
マルス リ‐ヌ :デ ボル
発表者 :村 田京子 「
ド=ヴ ァルモール 『ある画家 のア トジエ』
村 田京 子氏 は 、今 回、 これ まで あま り
取 り上 げ られ て こなか った彼女 の小説 に焦
にお ける女性画家像」
場所 :大 阪府立大学なかもず キャンパスA
15棟 8階 演 習室 324
点を当てた。1833年 に出版された 『ある画
家のア トジエ』は彼女の最高作とみなされ、
副題には 「
私生活情景」とい うタイ トルが
ついている。 これはバルザックの 『
私生活
マルス リーヌ ・デボル ド=ブ ナルモール
Marcoline Desbordes VaLEOre(17861859)は 、ジ ョノ
レジュ ・サ ン ドより 18年
情景』を連想 させる。従って画家を扱った
バルザックの同時期の作品と比較す ること
は有意義な ことである。
まずバルザジクの 『ラ ・ブェンデ ッタ』
におけるア トリエ‐
の描写の検証、次いでデ
ー
主
ボル ド ブァルモ ルの 『ある画家のア ト
ジエ』におけるナ トジェの検証と比較、さ
らには 『ある画家のア トリエ』の主人公で
ある女性画家オシデ ィーメを取 り上げると
ともに、彼女が理想 の女性画家としてかか
げたオルタンネ ・レスコーにも言及 した。
発表ではア トジエ風景の画像や、女性
画家の自画像などが豊富に紹介されるとと
もに、英米の批評を視野に収めつつ、│ジェ
ー
点か ら斬新に分析が試みられた。
ィダ の観″
=ヴ
デボル ド
ァルモ‐ルの詩のテクス トの
分析も試みられ、ラ ・マルチーヌと交わし
た詩のテクス トの分析は具体的であり、彼
女の作風、また当時の女性詩人の受容の様
子もうかが うことができた。発表後の質疑
応答は活発 でく研究会参加者たちのこの分
野における関心の高さも実感できた。美術
と文学の交錯する地点へのジェンダー とい
う視点か らのアプローチは、今後 さらに幅
広 く展開されるとのことで、大いに楽しみ
である。
│
早 くこの世に生 を受けた 19世 紀 ロマ ン主
義時代に詩人 として生 きた女性で、恋愛の
悲 しみを歌 つたエ レジエな ど、愛の詩を数
エ レジー とロマ
多 く著 したも処女詩集 は 「
ンス」 (1819)。
作家 バルザ ンクや批評 家サ ン ト=ブ こ
ブに高 く評価 されたが、世間一般によく知
られていたわけではなかったよ うだ。彼女
の死後、詩人ボー ドレール に発見 され、有
名 となった。「
レンーヌ
女の手紙」は、ヴニメ
「
に最 、優れた作品と評価 されている(『
/tわ
ー
ニ
れた詩人たち』
)。デボル ド ヴァルモ ル
は、当時の女性作家たちが 「
ブルエス トッ
キング」 と呼ばれて男性作家の批判の対象
となったの とは対照約に、多くの男性詩人
に 「
偉大な詩人」として高く評価 されたも
詩の他t=も、1821年 の 中編小説 『アンテ
ィル諸島の通夜』など、クレォール を蓮材
とした作品も残 してい る。またく彼女は女
優 の卵 として ジ■ルの劇団の舞台にも立つ
た。
1832年 か らは演劇活動を停止 しく書 くこ
とに専念。叙情性に富む作風 と大胆な表現
は注 目を集 め、い くつかの貿 も受賞 した。
子 ども向けの コン トも手がけている。そん
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