池田市民文化会館の開館当時から、長年ファンを魅了し続けてきたバロック コンサート。今回の聴きどころは・・!? 日本テレマン協会代表の中野順哉 さんに、お話をうかがいました。 ‡今回のサブタイトルに「時代の寵児」という言葉がありますが? これは作曲家テレマンのことですか? その通りです。作曲家テレマンは当時バッハやヘンデルが足元にも 及ばないほどの人気を博していた音楽家でしたから。ただ、実は もう一つ裏の意味があるんです。我々 < テレマン >(日本テレマン 協会)の活動がスタートした頃、新聞各紙では創設者・延原武春の ことを「時代の寵児」と呼んでいました。 テレマンに憧れて活動をはじめた彼の思い ―― それが今の我々の 演奏の原点でもあり、二つの意味をダブらせてつけたんです。重要 なレパートリーであるバッハを、作曲家テレマンの作品と対比させ つつ、延原を主体とした音楽家の創造力がどのように描いてゆくの か…そんな意味のタイトルです。 日本テレマン協会代表 中野順哉さん ‡今回の公演の具体的な内容について お聞かせください。 近年の活動を通して確信した「この奏者のこれ!今、これを一番聞いてほしい!」という内容を お届けしたいと考えました。まず「ブランデンブルク協奏曲」に関しては、昨年から「毎年全 曲を大阪で演奏する」と宣言し、ブランデンブルク州首相から歓迎のメッセージをもらった わけですが、その時の公演でももっとも内容が充実し、ソリストの独自性を強く光らせていた のが5番でした。< テレマン > の「強打者」高田 (cem)、浅井 (vn)、森本 (fl) の共演はなんと いっても今回最大の聞き所といって良いでしょう。 また、高田のフランス風序曲はリサイタルで一度披露したものではありますが、その完成度に 延原をはじめ、皆が驚嘆した作品。池田のお客様にもお聞きいただきたい内容です。 そしてテレマン作曲の協奏曲は…説明抜きで「ああ、なんて美しい曲なんだろう」とひき込ま れる名曲です。延原 (ob)・姜 (va)・森本 (fl) が生み出す独特の世界観にひたっていただければ。 ‡高田泰治さんは「世界屈指の奏者だ」という評価を得ているそうですね。 昨年リリースしたフォルテピアノのCDに評論家の澤谷夏樹さ んが書いてくださった言葉です。「フォルテピアノ奏者という ジャンルがあるのであるならば、高田は間違いなく世界の五本の 指に入る」と。その言葉を裏切らない結果を、フォルテピアノ においては勿論、チェンバロにおいても打ち出していると言え るでしょう。それは今回のフランス風序曲やブランデンブルク 協奏曲の第5番を聞いていただければ、実感していただけると 思います。 また2月にもCDがリリースされました。ライブ録音ですが、 ベートーヴェンの「月光」などを収録した内容です。ソロのサ ロンコンサートシリーズも京都、神戸に出来上がり、まさに < テレマン > の音楽的支柱として、 今、そして将来を築いてゆく演奏家であると言っても過言ではないでしょう。 ‡< テレマン > さんはベッドタウンなど、大都市周辺での演奏会を重視されているそうですね。 池田の公演もそういった位置づけにあるのだとか。その理由はなんですか? 演奏会を通して、経済活動ではフォロー出来ない「社会づくり」のお手伝いをしたいというのが < テレマン > 代表としての私の視点です。なかでも今一番急務だと考えているのが、ベッドタ ウンでどう「暮らす」 のかという点ではないかと。 「住む町」が単に寝起きする場を意味するなら、「暮らす町」はその場を活用して楽しむ場。特 に老後の男性に元気が無い人が多いと言われていますが、男性にとって長年「暮らし」てきた のが職場のある都市であり、ベッドタウンは「住ん」できた町。楽しみが見いだせない人も 少なからずいるのでは…であれば、ベッドタウンで「暮らす」というお手伝いをしたいなと いうのが < テレマン > の姿勢です。 その一つのきっかけとして、 「集いあって聞く室内楽」は有効ではないかと考えています。この 公演にも常連さんがいたり、一見さんがいたり…でも演奏会のトークや、休憩時間のコーヒー タイム * を通して、交じり合う。その結果「ああ、楽しかった」と多くのお客さんが感じてく ださっているように思います。継続していきたいですね。 (* 池田公演でも休憩時、会場内にドリンク販売コーナーを設けます。どうぞご歓談ください。) ‡お客様にひとことお願いします。 題名に馴染みのない曲もあるかもしれませんが、来ていただければ必ず満足していただける 内容です。バロックは初めてという方も、愛好家の方も、ともに楽しめるけれど、それは やはり「一期一会」。二度とない夏のひと時。皆さんとぜひごいっしょ出来れば。お待ちして おります! ‡ありがとうございました。
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