20043 日本建築学会大会学術講演梗概集 (中国) 2008年 9 月 金属パネル天井の耐震性に関する研究 (その4)防振天井の静的水平加力実験 実験概要 正会員 大迫 勝彦*2 正会員 九野 修司 *1 正会員 吉田 宏一*3 正会員 小林 俊夫*4 正会員 渡辺 恵介*3 正会員 荒井 智一*5 正会員 荻原 健二*6 正会員 キーワード:金属パネル天井、防振天井、静的水平加力試験 正会員 ○星川 努*1 野曽原 瑞樹 *6 1.はじめに 大規模空間の耐震天井は剛接合として構造的に固めることを基本 吊りボルト 吊りボルト として開発を進めて来た文献1。一方、建築物の吊り天井や吊り下げ 防振ハンガー 設備の防振対策としては、吊り型防振ゴムを吊りボルトの中間に設 ブレース 置する工法が一般的である。しかし、図 1(b)の様に、構造体への 防振ハンガー △天井面 △天井面 剛接合を目的としたブレースを設置した場合、防振効果が阻害され a. ブレース無し る事が考えられる。 b. ブレース設置 図 1 吊り型防振ゴム(防振ハンガー)設置例 高架下等での耐震天井の導入の際に、列車振動を遮る防振性能の 900 確保が求められることから、耐震天井下地にも対応する防振部材を 900 900 インサートピッチ 開発し、防振部材(吊り型防振ゴム等)を用いた従来型防振天井と 吊りボルト 9φ 新たに開発した防振部材を用いた耐震型防振天井の力学的性能を 1,500 把握する為、静的水平加力試験を行い組み上げた天井の挙動に着目 既存防振ハンガー (MSF-30-S) した。 2.試験概要 野縁受け CC-19 ハンガー 試験体は、在来鋼製天井下地材を用いた 2,100mm×2,700mm の実 野縁 CS-19 加力方向 物部分天井とした(写真 1 参照)。表1に各試験の天井仕様を示す。 仕上げ材 アルミスパンドレル 2,700 900 吊りピッチ 仕上げ材は働き幅 105mm のアルミスパンドレル(0.8mm)を使用 し、ネジ径 3mm のビスにより固定した。油圧シリンダーにC型鋼 900 野縁 CS-19 @300 900 野縁受けピッチ シングルクリップ CS-19クリップ 変位計(東側) 設置位置 900 を接続し、アルミスパンドレルの4点に対し一様に加力した。荷重 レベルはロードセルで測定し、変位は変位計で測定した。 加力方向 2,100 2−1.従来型防振天井 変位計(中央) 設置位置 900 図 2 に試験体概要を示す。防振ハ ンガーは昭和電線デバイステクノロ ジー株式会社(以下 SWCC)製、 加力点 MSF-30-S を用い、吊りボルトの中間 野縁受け CC-19 @900 部に設置した。天井材には JIS19 形を 図2 変位計(西側) 設置位置 試験体概要 使用した。また、変位正側 100mm、 負側 50mm を制限とし 1 サイクルの 写真 1 試験体全景 ※1) SWCC 製吊り型防振ハンガー名称 みの正負繰り返し載荷とした。 (従来型防振天井) ※2) AS-40:C-40×20×7×1.0(リップ付チャンネル) 表1 試験体 0 A-1 A-2 A-3 B-1 B-2 B-3 C-1 C-2 C-3 部材A1 部材A1 部材A2 部材B 部材B 部材B 部材C 部材C1 部材C 試験体一覧 防振部材 加力方向 ブレース ブレース受け 備考 MSF-30S 野縁 − − 従来型防振天井 MSF-30※1用防振ゴム 野縁 AS-40※2 AS-40 MSF-30用防振ゴム 野縁 AS-40 AS-40 MSF-22※1用防振ゴム 野縁 AS-40 AS-40 補強座金及び補強アングル設置 − 野縁 AS-40 AS-40 − 野縁 □-40×20×1.6 AS-40 − 野縁 □-40×20×1.6 □-40×20×1.6 防振ゴム無し 野縁 AS-40 AS-40 クリアランス(がた)分片寄せ 硬度60°4mm×2枚 野縁 AS-40 AS-40 防振ゴム無し 野縁 AS-40 AS-40 クリアランス(がた)分片寄せ HOSHIKAWA Tsutomu, KUNO Syuji, OSAKO Katsuhiko, YOSHIDA Koichi, WATANABE Keisuke, KOBAYASHI Toshio, ARAI Tomokazu and OGIHARA Kenji, NOSOHARA Mizuki (Part 4) General Description of Static Lateral Loading Test for Isolation Ceiling Study on Aseismic Ceiling with Aluminum Panel ―85― 2,700 2−2.防振型耐震天井 900 吊りピッチ 防振部材を使用した試験体概要を図 3∼5 に、天井面の 共通仕様を図 6 に示す。防振部材詳細を写真 2 に示す。 900 野縁 CW-25 @300 900 野縁受けピッチ ダブルクリップ CW-25クリップ 変位計(東側) 設置位置 900 (1)試験A 部材 A は躯体面に接するように取付ける防振部材であ ハンガー補強(2ヶ所) (ブレース金具JI) 加力方向 2,100 る。又、部材 A2 は軽い天井に対しても防振効果を期待 できるよう、部材 A1 よりも柔らかいゴムを使用し、さ 900 クリップ補強(4ヶ所) (RP-Wクリップ) らにゴムの変形を抑制する補強座金及びハンガー全体 の変形を抑制する補強アングルを追加したものである。 900 900 900 加力点 変位計(西側) 設置位置 インサートピッチ 部材A 野縁受け CC-25 @900 図6 ブレース 変位計(中央) 設置位置 天井面の共通仕様 吊りボルト 9φ 1,500 部材 A1 ハンガー補強 野縁受け CC-25 ハンガー ブレース受け 野縁 CW-25 加力方向 図3 試験体A 仕上げ材 アルミスパン 部材 A2 (2)試験B 部材 B 部材 B はブレース材の中間部でブレース材を上下に分 け、上側ブレースが金具内でスライドすることにより防 振性能を発揮する。各試験体、ブレース材とブレース受 けの部材を変えて試験を行った。 900 900 900 インサートピッチ 吊りボルト 9φ 写真 2 防振部材詳細 3.結果(従来型防振天井) 1,500 既存防振ハンガー 部材 C 図 7 に在来形防振天井試験の荷重−変位関係を示す。 150 部材B ハンガー補強 ブレース受け 100 野縁 CW-25 図4 試験体B 仕上げ材 アルミスパン (3)試験C 部材 C はゴムを取付けたブレース下部取付金具である。 荷重(N) 加力方向 50 0 -50 試験体 C-1、C-3 はゴム無しとし、クリアランス(がた) -100 分片側に寄せた状態から加力した。 900 900 900 -100 -50 インサートピッチ 図7 0 50 変位(mm) 100 150 荷重−変位関係 4.まとめ(従来型防振天井) 吊りボルト 9φ 従来型の防振天井では、約 1N/mm の剛性であり、天井 1,500 既存防振ハンガー 面は地震による慣性力で大きく移動すると考えられる。 <参考文献> 部材C ハンガー補強 ブレース受け 1)「金属パネル天井の耐震性に関する研究(その1)(その2)(その3)」、 大迫勝彦、吉田宏一、渡辺恵介、星川努、九野修司、小林俊夫、荻 野縁 CW-25 加力方向 図5 試験体C 仕上げ材 アルミスパン 原健二、荒井智一、日本建築学会大会梗概集、2007 年 9 月 *1 東日本旅客鉄道 東京工事事務所 東日本旅客鉄道 建設工事部 博士(工学) *3 東日本旅客鉄道 建設工事部 *4 桐井製作所 工学博士 *5 桐井製作所 修士(工学) *6 桐井製作所 Tokyo Construction Office, East Japan Railway Company Construction Dept, East Japan Railway Company, Dr.Eng. Construction Dept, East Japan Railway Company Kirii Construction Materials Co., Ltd, Dr.Eng. Kirii Construction Materials Co., Ltd, M Eng. Kirii Construction Materials Co., Ltd. *2 ―86―
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