近接センサの種類―原理の分類

「センサひとくち講座」
近接センサの種類―原理の分類―
(2003.04.05)センサ工房ねっと
1センサの原理一般
近接センサの原理方式を考える前に、一般的なセンサの原理に付いて考えて見ましょう。
センサは物体の有無や位置の検出あるいは対象物体や場所空間の状態など“知りたい状態 ”を検出するための
手段ですが、センサは検出の対象となる物体や空間の状態によって変化する何らかの物理現象が存在し、それ
を直接あるいは間接的に利用して“知りたい状態”を抽出しています。
そこで、検出のプロセスをもう少し詳細に表現すると図1のように表せます。すなわち
①検出の対象となる物体や空間において“知りたい状態”は何らかの物理現象を発生している
②その物理現象は検出媒体となるエネルギーに何らかの変化を与える
③トランスデューサで検出媒体となるエネルギーを作り出し、その変化を電気信号に変換する。
④検出アルゴリズム(Algorithm)に基づいて電気信号から“知りたい状況”を検知する(何をどのような方法
で抽出するか)。
従って、センサの 原理方式を理解するためには、物理現象、検出媒体(エネルギー)、トランスデューサ、検出
アルゴリズムの4つを理解する事が重要です。
* Algorithm: A prescribed set of well-defined rules or processes for the solution of problems in a finite
number of steps .(IEEE Standard Dictionary of Electrical and Electronics Terms)
検出の対象となる物体や空間の知りたい状況
センサ
出力
物理現象
媒体エネルギー
電気信号変換
検出のアルゴリズム
(トランスデューサ)
図1 センサの検出プロセス
検出媒体となるエネルギーは検出対象 となる物体や空間から放出されていてそれを利用できる場合もあります
が、多くの場合はセンサ自身が作り出 し対象物や空間に当てる必要があります。前者がパッシブ形、後者がア
クティブ形のセンサという事になります。
センサとしてはニーズにこたえて何を 検出したいかによって着目する物理現象が違ってきます。新しい物理現
象が発見されるというよりも、ニーズが多様化する事によって、新しいセンサが生まれるきっかけがあります。
またトランスデユーサにおいては近年半導体や強磁性体といった材料面での目覚しい進歩 があり新しいセンサ
の可能性が開かれています。着目する 物理現象とトランスデユーサが決まればどのようにして“知りたいもの
を”抽出するという事になりますが、 この部分では高速で安価なマイコンやDSPの出現 で大きく可能性が広
がっているといえます。
2 近接センサ(広義)の原理方式
ここでは近接センサを「物体の接近 や位置を無接触で検出するセンサ」と広義に考えてどのような方式が有
るか表1に整理してみました。
表1 近接センサ(広義)の原理方式
検出の媒体
静磁界
交流磁界
物理現象
トランスデュー
発生
磁気誘導による
磁石または電磁石
磁性体近傍の 磁場
の変化
・ホークコイル
励磁コイル
電界
検出
リードスイッチ
磁気抵抗素子
ホール素子
ウイガンドワイヤ
磁化異方性材料
フラックスゲート
MR素子
MI素子
SQUID
電磁誘導による
・シングルコイル
金属体表面の 渦電
(励磁・検出兼用)
流による 磁界 の発
生
・ダブルコイルの
検出コイル
検出コイル
・差動コイルの
励磁コイル
電磁波
検出のアルゴリズム
電磁波の反射
・マイクロ波
発振ダイオード
金属 や誘電体 によ 電極
る電界分布の変化
検出コイル
検出コイル
・マイクロ波
検波ダイオード
超音波
物体の表面での
超音波の反射
光
熱源 からの赤外線
放射
光の透過
超音波振動子(送受兼用)
超音波振動子
超音波振動子
送波器
受波器
検出体自身の熱
焦電素子
PD
LED
PD
光の反射
LED
PD
磁気吸引力
半導体の抵抗変化
ホール電圧変化
パルス電圧の発生
励起周波数の倍周波発生
インダクタンスの変化
インピーダンス変化
インピーダンス変化
超電導効果
コイルインピーダンスの変化
・高周波発振方式
・フイルター方式
インピーダンスブリッジ
・基準コイルインピーダンス
との比較
渦電流磁界の変化
・検出コイル誘起電圧の振幅
と位相の変化
透過係数の変化
・検出コイル誘起電圧の振幅
と位相の変化
反射波の帰還時間変化
反射波の干渉
検出電極の静電容量の変化
・発振回路の周波数変化
周波数弁別
発振振幅変化
・CR時定数の変化
反射波の帰還時間変化
受光光量の変化
透過光量の変化
透過光の偏向
反射光量の変化
反射光の偏向
反射光の色変化
3 近接センサ(狭義)の原理方式
一般に「近接センサ」といわれているものは狭義の近接センサであり、「磁気を検出媒体として物体の有無
や位置を検出するセンサ」のことです。表1では直流静磁界、交流磁界を検出媒体とする物にあたります。
近接センサとして実際に採用されたもの及び今後採用の可能性のある原理方式を抜き出し て表2にまとめてみ
ました。
センサの感度としてはどこまで微弱な 磁気変化を検出できるかという事になります、図2 は現在知られている
各種の磁気センシング技術を感度の点 で比較したものです。実際に近接センサとして利用 できるかどうかは価
格、大きさ、電気的環境特性(電気的ノイズ)、使用温度、振動、衝撃などセンサとしての要求条件を満たす必
要がありますので、これらすべてが採用可能というわけでは有りません。
表2 近接センサに応用される磁気センシング原理
磁界 トランスデユーサ
直 流 メカニカル
磁界 半導体磁気素子
強磁性磁気材料
交 番 シングルコイル
磁界
マルチコイル
検出回路構成
リードスイッチ
磁気抵抗素子
ホール素子
フラックスゲート
磁化異方性材料
MR
MI
高周波発振形
フィルタ形
ダブルコイル形
差動コイル型
フォークコイル
接点の開閉
抵抗変化検出
ホール電圧検出
インピーダンス検出
倍周波数電圧検出
抵抗変化検出
インピーダンス検出
発振振幅検出
発振周波数検出
インピーダンス検出
ブリッジ不平衡電圧検出
ブリッジ発振形
差動コイル不平衡電圧検出
差動コイル発振形
透過係数検出
フォークコイル発振形
(1)リードスイッチ
リードスイッチは薄い磁性片の可動電極と固定電極 (リード)を対向に配置し、不活性ガスを封入したガス管に
固定したものです。これを磁界の中に 入れると磁気誘導によって可動電極と固定電極に磁 極が発生し吸引力が
発生し電極が接触する構造になっています。
これを動作させるには磁石や 電磁石など一般的には直流静磁界が必要です。磁 石そのものを検出対象(検出体)
とする場合と鉄などの磁性体を検出体 とする場合がありますが、後者の場合はリードスイッチにバイアス磁界
をかけて磁性体が接近する事によってバイアス磁界が変化するようにしなければなりません。
例えば、バイアス磁界のかけ方としては次のような方法が有ります
①1本の棒状磁石(バイアス磁石)とリードスイッチを平行に配置しリードスイッチを閉じておき、その間に検出
体が入って、バイアス磁石を遮断しリードスイッチを開くようにする。
②2本の棒磁石を逆極性、平行に配置 しその間の磁界が打ち消されたところにリードスイッチを配置し、片方
の磁石に磁性体を接近させると磁束の打ち 消しが崩れてリードスイッチが動作します。
構造が簡単で安価なために磁石を検出する簡単な用途(窓センサ、パチンコ台、ゲーム機など)には良く使用さ
れています。
動作する磁束密度は数10ガウス以上必要であり、他の磁気センサと比較すると大きな磁束密度が必要です。
スイッチとしてのヒステリシスはリードが変位する事による磁路の変形によって発生していますので比較的大
きなヒステリシスをもっています。
メカスイッチであるので接点バウンス は避けられませんが、接点バウンスをなくす為に水 銀を使ったウエット
接点タイプのも有ります。
リードスイッチの接点が磁力で吸引しているので振動や衝撃で接点が開く危険性が有ります(耐振動、耐衝撃に
注意)。接点圧も小さく復帰力も弱いので過渡電流による接点溶着に注意が必要です(電圧や配線する距離にも注
意が必要です)。
(2)半導体磁気センサ
半導体中を移動する電子や正孔など 荷電キャリヤが磁界中におかれると、運動方向に対 して垂直な方向にロ
ーレンツ力を受けて半導体中の移動方向が変化します。これが原因となってホール効果、 磁気抵抗効果、形状
効果といった効果が発生します。この 効果を積極的に利用したものがホール素子であり、 磁気抵抗素子といわ
れるものです。その他にも3端子方向性磁電素子(3端子ホール素子)、4端子方向性磁電素子、磁気ダイオー
ドなどがあります。
①磁気抵抗素子
磁気抵抗素子は磁気抵抗効果と形状効果が関係していますが前 者の効果はせいぜい数1 0%程度、後者の影
響は10∼20倍になります。磁気抵抗素子はホール素子よりも感度が高いけれど、温 度の影響が大きい為
に素子を直列に接続して分圧比を取り出したり、ブリッジ構成などげ何らかの温度保証の対策が必要です。
最小検出磁界は0.1Oe、応答周波数は100KHz程度です。
②ホール素子
ホール素子はホール効果を利用して 、磁界に比例したホール電 圧を検出して磁界を検出 します。ホール電圧
は小さい為に素子単体では非常に使 いにくい素子ですが、現在 はホール電圧を発生させる検出部分とホール
電圧を増幅する増幅回路、コンパレータなどが同一シリコンウェハ上に構成されたホールICがあります。
最小検出磁界は0.5Oe,応答周波数は10KHz程度です。
(3)強磁性体磁気センサ
強磁性体を利用して磁気を検出する センサとしては、磁性材料をコイルのコアーとして 利用しその飽和特性
や磁化異方性を利用するものと磁性材 料自身を導電路として利用し、その抵抗(MR)や インピーダンス(M
I)の変化を利用するものがあります 。いずれにしても磁性材料に磁界が作用したときに 磁性材料の透磁率が
変化する事を利用しています。
①フラックスゲート:FG(Fluxgate)
磁気飽和特性の急峻な磁性材料にコイルを巻きBHカーブの飽和点近くまでバイアス交流電流で励磁し、外
部の直流静磁界が加算される事により励磁が飽和領域に入るようにしておき、外部磁界 がかかると励磁交流
のピーク点あたりで磁性体が飽和し てコイルのインピーダンスが急減しコイル電圧が変 化する のでこれを検
出するというものです。最小検出磁界は10−6Oe、応答周波数は数KHz。
検出素子としては棒状のアモルファスにコイルを巻いたものがGSPの方位センサーとして良く使用されて
います。
②磁化異方性材料(アステロイド磁化曲線形磁気センサ)
これは非磁性導電線の周りに磁性薄膜を被着し、その磁化容易方向を導電線の円周方向 とし、長さ方向にそ
の磁化困難方向を配した磁性線を用 います。磁性線の周囲には 検出コイルを巻きこれと 平衡にコンデンサー
を接続して共振回路を作ります。磁性線には前記共振回路の共振周波数の1/2の周波 数の励磁電流を流し
ます。
この状態で外部からの磁界がなければ検出コイルには誘起出力電圧は発生しませんが、 磁性線の長さ方向に
磁界をかけると検出コイルに励磁電流の2倍の周波数の検出電圧が得られます。
このセンサは開発当初話題になりましたがその後具体的なアプリケーションはみられていません。
③MR(Magneto−Resisutive)
強磁性薄膜、一軸異方性強磁性薄膜 を短冊形の導電路として長辺方向に電流を流し薄膜 の厚み方向で電流に
垂直の磁界をかけると抵抗が変化するというものです。
最小検出磁界10 −2Oe、応答 周波数1MHz。
これは現在パソコンのハードディスクやフロピーディスクの回転位置センサのヘッドに使用されています。
④MI(Magneto−Impedance)
磁気インピーダンス効果を利用したもので、短い単線の導体に 高周波電流を流し、その インピーダンスの変
化を検出するものです。磁性材料としてはアモルファス繊維(ユニチカ)、…薄膜(MITEC)が有ります。
最小検出磁界10 −6Oe、応答周波数1MHz。MRよりもかなり高感度です。
この素材自身はまだ新しく実際に使用された例は少ないと思います。
(4)高周波発振形
交流電源からコイルに一定の交流電流を流し金属体に交流磁場を与えると電磁誘導の法 則により金属体に渦
電流が発生します。この電流も磁界を 生じその磁束の一部がコイルにも鎖交します。結局 コイルには交流電源
で流した電流による磁束に金属体に流 れた渦電流による磁束が加算され、これらの磁束によってコイルに誘起
電圧が発生する事になります。コイル に流した電流に対してコイルに生じた電圧の比がコイルのインピーダン
スですから結果的にコイルに金属体を接近させるとコイルのインピーダンスが変化するという事になります。
このようにインピーダンス変化を検出 する方法は一つのコイルが金属体に交流磁界を与え る励磁コイルとして
の機能と同時に金属体から発生した渦電流磁界を検出する検出コイルとしての機能をあわせ持っていると考え
れば良いと思います。
検出コイルのインピーダンス変化を検 出する方法は色々と考えられますが、この高周波発振形は最も巧妙な方
法であると思います。
高周波発振形では検出コイルを発振回路の一部に組み込みそのインピーダンス変化に応じ て発振振幅や発振周
波数の変化を検出しています。前者は 主として検出コイルの損失変化、後者はインダクタンス変化を検出して
おりそれぞれ検出しているインピーダンスの要素が異なります。その結果として前者は主 に磁性金属検出にて
きしており、後者は非磁性金属検出やオールメタル検出に適しているという事になります。
高感度、高安定という相矛盾する目的 を達成する為に過去いろいろな発振回路が検討されましたが結局は現在
のような2端子の検出コイルをもつLC発振回路(負性コンダクタンス発振回路、コルピッツ形発振回路な ど)
に落ち着いております。
LC発振回路のなかにもハートレイ発振回路のように検出コイルから中間タップをとるものも有り、シングル
コイルのように検出コイルのインピーダンス変化だけでなく、タップのところで2分されたコイル間の相互イ
ンピーダンスも金属体で変化しているために何らかの違いが出てくる事が考えられます。
(4)フイルタ形
検出コイルをLCまたはLRのフイルター回路の一部に組み込 み検出コイルのインピーダンス変化によって
フイルター特性が変化する事を利用し た方式で“極めて素直な方法”です。従来は信号源 となる発振回路の振
幅や周波数の安定性、そして検出回路 の精度や安定性が不十分であり、回路構成も複雑になる為にあまり採用
されていません。しかし今ではその辺 の事情が変わってきておりその“素直な性格”をもう一度見直すべきか
もしれません。
フイルターとしてもLCの共振回路がよく使用されます。これはQの高いLC共振特性が 非常に感度の高いフ
イルターとして有効であるからですが 高周波発振回路においてもLCの共振回路を使っている事と何らかの関
連が有るように思われます。
(5)ダブルコイル
コイルのインピーダンスを検出するという点ではシングルコイルと同じですが、同じ構 造のコイルを2つ用
意して一方を検出コイルとして金属体 に接近させ、他方を基準コイルにして金属体の影響 を受けない配置にし
ます。こうして2つのコイルを同じ条 件で励磁して誘起電圧の比較をするというものです 。検出コイルの方は
金属体の接近の影響を受けますから両者の誘起電圧の差が金属体の接近によるものだという事になります。
このように基準コイルとの比較をする目的は検出信号のS/N比を上げる事です。
検出に必要コイル電圧は金属体に発生 した渦電流が作る磁束によるコイル誘起電圧(S) であり、励磁電流に
よるコイル誘起電圧は本来検出には必 要のない成分(N)です。シングルコイルでは圧倒的に大きな励磁電流
によるコイル誘起電圧の上にわずかに 加算された渦電流が作る磁束による誘起電圧を検出 しなければなりませ
ん。その上にコイルのインピーダンスは温度により変化しますのでこの影響をもろに受ける事になります。
そこで、何とか「励磁電流による誘起電圧分をキャンセルして渦電流が作る磁束によるコイル誘起電圧だけを
取り出す」事はできないものかと考えたわけです。この課題は近接センサの高感度化、長距離化には避けられ
ない課題となります。その一つの解決策がダブルコイルだという事です。
ダブルコイルは2つのコイルが励磁電流において同じ特性である事を前提にその誘起電圧 の差を取り出しこれ
を金属体の接近によるインピーダンス 変化としたわけです。この事自身は理論的にも極め て明快な方法である
と思います。
検出回路の方式としては、2つの検出 コイルでインピーダンスブリッジを構成し固定発振器で励磁し不平衡電
圧の振幅や励磁電流に対する位相を検出する方法が一般的です。
その他にブリッジ回路から得られた不平衡電圧を増幅しブリッジ回路の励磁側に帰還し回 路を発振させ発振振
幅を検出するタイプが有りました。こ の方法が上記の方法と比較して開発当時どんなメリットが有ったのか定
かでは有りませんが、シングルコイル のフイルタ形に対する高周波発振形と良く似た関係 にある事が分かりま
す。
(6)差動コイル
「励磁電流によるコイル誘起電圧分 をキャンセルして渦電流が 作る磁束による誘起電圧 だけを取り出す」と
いう基本的な思想はダブルコイルと同 じです。一般的な差動コイルは励磁コイルの両側に 同じ検出コイルを対
称の位置に配置し、検出コイルの端子 を直列逆極性に接続し検出出力端とします。この結果励磁磁束は検出コ
イルに等しい誘起電圧を発生するため、出力端には励磁磁束による誘起電圧はキャンセルされて現れません。
金属体を検出コイルの片方だけに接近 することで金属体の渦電流磁束による誘起電圧は、 近い方の検出コイル
には大きく、遠い方の検出コイルには 小さく現れるのでその差が検出端に現れる事になります。要するに金属
体に接近する方が検出コイルであり、反対側が基準コイルという事です。
あとはダブルコイルと同様に、検出コイル端子の出力電圧の振幅と位相を検出すれば良い事になります。
また、検出コイル端子の電圧を増幅して励磁コイルに帰還して発振させる事も可能です。
差動コイルの特長は検出コイルに発生 する励磁コイルからの誘起電圧はコイル間の静電的 な結合を無視すれば
磁気結合だけであり励磁電流にのみ依 存しています、したがって検出コイルの平衡状態は 励磁コイルの自己イ
ンピーダンスには関わりが有りません 。ダブルコイルの場合は2つのコイルそれぞれの自 己インピーダンスに
バラツキ(温度変化も含めて)が有れ ば不平衡電圧が発生し金属体の接近による不平衡電圧と区別が付かなく
なります。このあたりが差動コイル方式の有利な点といえるでしょう。
(7)ホークコイル
励磁コイルと検出コイルを対向配置 し磁気結合を作っておき、 その間に主にシート状の 金属体を挿入する事
によって検出コイルに生じた誘起電圧 の振幅や位相の変化を検出する方式です。この方式 の特徴は励磁磁束が
金属体を突き抜けてくる間に受ける変化を検出しますので、金属体の厚みや材質(透磁率、導電率)の影響を反映
しやすくなります。この特徴を生かしてコインの判別などに利用したものが有ります。
検出コイルの電圧を増幅し励磁コイル に帰還して発振回路の構成にしたものが有りますがこれは励磁コイルと
検出コイルの相互インダクタンスを金属体の挿入で変化させる高周波発振形の一種という事になります。