余白 2cm 〈和文原稿例〉 イメージングプレートと写真フィルムの特性 九州大学理学部 1.序 マイクロデンシトメーターを用いて測定した.測定結果を 電子顕微鏡像の記録媒体として使用されている写真フ 第1図に示す.フィルムの動作範囲を光学的濃度で ィルムは分解能が高い反面,感度が低い,動作範囲が 0.5-2.0 とすると三菱 MEM では 2 x 10-12 – 3 x 10-11 狭い,また,入力信号と出力(黒化度)の関係が直線的 C/cm2,コダック製の SO-163 では 6 x 10-12 – 3 x 10-11 では無いなどの欠点を持っている.それらの欠点を克 C/cm2 ,また,フジ FG では 6 x 10-11 – 5 x 10-10 C/cm2 で 服した新しい放射線画像記録方式であるイメージング ある.この結果から三菱MEMフィルムがもっとも高感度 プレート(IP)が最近非常に注目されている. であることがわかる.これは,フジのカタログなどに記載 IP は医療用デジタル画像診断システムのX線検出・記 されているフィルムの感度よりも 1.5 桁程度高いことにな 録媒体(X線ラジオグラフィー)として富士写真フィルム る.また,一般的に述べられているように電子線量の入 (株)により開発された高感度記録装置である 1), 2) .この IP は電子線に対しても高い感度,広い動作範囲(ダイ 力に対してその出力は IP では線形であり,一方,フィル ムでは非線形であることもよく分かる. ナミックレンジ),出力濃度の直線性などの優れた特性 3) 余白 上原誠一郎 次に IP で撮影した像を検討するために, 3.3 pA/cm2 を持つといわれている .感度は IP (FDL5000)で 2 x の電流量を用いて 0.1 秒と 1 秒で撮影した.その IP の出 10-14 - 2 x 10-9 C/cm2 であり,一方,写真フィルムでは 2 x 力例を第 2, 3 図に示す. 電子線量はそれぞれ 3.3 x 1.5cm 10 -11 -9 2 – 2 x 10 C/cm とされており,単純に考えるとフィル 10-13 ,3.3 x 10-12 C/cm2 に対応する.IP の画像処理用 ムに比べると 1000 倍ほど IP の感度が高いことになる.し のソフトを用いて平均出力を調べると 4.8 x 10-13,3.8 x かし,記録媒体の分解能が IP では画素サイズが 25 µm 10-12 C/cm2 である.この入力と出力の違いは入力した で分解能は 50-100 µm と考えられる.写真フィルムの分 電子線量に 1-2 x 10-13 程度のノイズが加わっているため 解能は 10 µm 程度であるので,IP を実際に使用する際 か,あるいは電顕付属の電流計の誤差,露光時間の誤 の感度は 25-10 倍程度に落ちると思われる. 差などによると考えられる.また,第2図に示したように 1995 年 3 月に九州大学超高圧電子顕微鏡室に IP 中心(A)と上部(B)にノイズが含まれる.A のノイズは 顕微鏡用写真フィルムの特性を比較検討した. direct beam の消去不良とも考えられるが, B は電子顕 2.IP と写真フィルムの特性 微鏡の鏡筒内で発生した X 線がカメラ室に入ってくるた めであろう. フィルムの特性を調べた.制限視野絞りを用い,露光時 文献 間を変化させて照射電子線量を変化させた.電子線量 [1] 宮 原 諄 二 , 加 藤 久 豊 (1984) , 応 用 物 理 , は電顕に付属している電流計で読み取った.また,電 53,884-890. 顕フィルムは三菱製の MEM とコダック製の SO-163 を使 用した.九大超高圧電顕室では富士写真フィルムの FG を使用していないので富士写真フィルムの FDL5000 の カタログに記載してある値を用いた.電顕フィルムの現 1.5cm 低電子線量ではバックグラウンドの強度が不均質であり, システム (FDL5000)が納入され,今回,その特性と電子 JEM-4000EX を使用して加速電圧 400 kV で IP と写真 余白 [2] 宮原諄二,雨宮慶幸,松下正 (1990).日本物理学 会誌, 45, 398-1990. [3] Hayakawa, S., Ichihara, S., Hoshino, M., Yamaguchi, H., Sakuma, S., Hanaichi, T., Kamiya, Y. and Arai, T.(1987). Jour. Electron Microscopy. 36, 1-8. 像処理は標準的なものと現像時間を伸ばして増感処理 したものを用意した.得られたフィルムの光学的濃度は Characteristics of Imaging plate and photographic film. Seiichiro UEHARA Department of Earth and Planetary Sciences, Faculty of Science, Kyushu University. ※図表の説明文も英文でお願いします。 余白 2cm コメント [HVEM1]: ①英文タイ トル,著者を記入②図表説明文も 英文で記入
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