クラウド・SDN時代の人材育成

Okinawa OpenDays 2015
クラウド・SDN時代の人材育成
ざっくばらんにお話ししましょうか
北陸先端科学技術大学院大学
高信頼ネットワークイノベーションセンター
篠田陽一
「クラウド・SDN時代の人材」ってなんだ?
•  そもそも「〜の人材」って・・・
•  量が足りないので増やそう
•  質を向上させよう
•  必要なスキル
•  クラウド・SDNって専門技術者を育成するような「分
野」なのか?
人材育成に関するパーソナルな雑感
•  どんな分野でも人材育成が話題になっている。
•  ここ2〜3日で目耳にしたものだけでも
•  サイバーセキュリティ
•  IoT・CPS (人工知能の技術者!!!)
•  クラウド・SDN
•  少しわがままじゃないか?
•  思考停止の気配が・・・
いきなり結論
•  クラウド・SDN時代の人材とは
ソフトウェアシステムを
企画・立案・設計・実現・展開
できるひと
いまどきの学生
•  「ネットワークの教育を受けた」というひとにありがちなこと(抜粋)
•  一般工学・ネットワーク工学上の重要な基本知識の欠落が散見される。
•  重要な概念の再発明をしたりする(Max Flowとか)。
•  問題の一般化・抽象化と基本問題への帰着ができない。
•  概念説明の絵を描かせると、箱と線しか使えない(ノードとリンクの人生)。 •  入れ子になった箱がなかなか描けない・フラットな印象の絵を描く(階層概
• 
• 
• 
• 
念の欠落)。
図の中の字の大きさがすべて同じ。
パーザーの知識なしに設定記述言語の設計と記述の解析プログラムを書
いたりする(inf病)。
半端な高級スクリプト言語に慣れすぎていて、効率的なプログラムという概
念がない。
アルゴリズムの直採用・アルゴリズムの適用の違い;ときにはアルゴリズム
に合わせて問題を変形してしまったりする。
指導哲学(のようなもの)
ž 
知識の習得よりも知恵の作り方(モノの考え方)を
—  ネットワーク情報システムの分野は難しい
○  究極の応用科学・総合科学
○  とてつもない勢いで知識が拡がり続けている (Dog Year)
—  しかしながら求められているのはネットワーク情報システ
ムが扱える人材でもある
す
ま
い
て
っ
思
)
と
粋
い
抜
な
ら
け
か
わ
し
料
申
資
は
明
に
説
生
の
学
時
属
配
室
(研究
必要・適切な知識をどう与えるか:π型教育(理想)
JAIST has always been an innovator.
•  There are many concepts advocated by the JAIST
and later became the standards among Japanese
graduate education:
Depth of expertise
‒  Importance of coursework
in graduate education.
‒  Comprehensive syllabi.
‒  The ‘Inverse-Pi’ concept for
area of specialty.
Different Areas of Study
副領域
π型教育(インプリ)
専門領域
専門領域の
基礎知識
底辺の幅広い知識
基幹科目
(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)の
5領域から
4領域5科目10単位
基幹・専門・先端講義
から
3科目6単位
任意科目
4単位
副テーマ
2単位
通常コース
(修士研究)
任意科目
4単位
副テーマ
2単位
1目盛2単位
修士研究
8単位
計30単位
通常コース
(課題研究)
基幹科目
(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)の5領域から
4領域11科目22単位
標準講義科目
ITSECコース科目
副テーマ
課題研究
2単位
コース専門科目
計30単位
修士研究・課題研究
(2012年度入学学生の修士修了要件を図式化したもの)
ちなみに情報セキュリティコースだと
計30単位
修士研究
8単位
(コース課題研究充当可)
計30単位
任意科目
4単位
任意科目
4単位
課題研究
2単位
修士研究
8単位
任意科目
4単位
計30単位
任意科目
4単位
課題研究 2単位
(コース課題研究充当可)
副テーマ
2単位
基幹・専門・先端講義
から
3科目6単位
副テーマ
2単位
基幹科目
(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)の
5領域から
4領域5科目10単位
副テーマ 2単位
(コース課題研究充当可)
通常コース
(修士研究)
副テーマ 2単位
(コース課題研究充当可)
1目盛2単位
計30単位
コース専門科目
ITSECコース
(修士研究)
コース
基幹科目
基礎科目
(イ)(ウ)(オ)
(ア)(エ)領域
の3領域から
相当から
2領域2科目
2分野2科目
4単位
4単位
コース
先進科目
2科目
4単位
コース
実践科目
2科目*
4単位
2科目* : 単位計算上の科目数としては2科目であるが、実際は4科目。
基幹科目
(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)の5領域から
4領域11科目22単位
通常コース
(課題研究)
コース専門科目
ITSECコース
(課題研究)
基幹科目
(イ)(ウ)(オ)の3分野から
2領域5科目10単位
コース
基礎科目
(ア)(エ)分野
相当から
2領域2科目
4単位
コース
先進科目
2科目
4単位
コース
実践科目
2科目*
4単位
2科目* : 単位計算上の科目数としては2科目であるが、実際は4科目。
標準講義科目
ITSECコース科目
副テーマ
修士研究・課題研究
π型教育(現実)
•  表面的には成功
•  学生の追跡調査でも良好。
•  就職先企業から高い評価を受けることもある。
•  薄く分散し過ぎている(個人的印象)
•  修了要件の最低単位数が少なすぎる、あるいは・・・
•  多くの学生が修了要件ギリギリの単位を修得する。
•  専門科目にシバリが無いため、単位を取りやすい講義で
処理してしまう。
•  副テーマに当てられる時間が少ない。
ここに問題が
副領域
π型教育(インプリ)
専門領域
専門領域の
基礎知識
底辺の幅広い知識
ここに問題が
基幹科目
(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)の
5領域から
4領域5科目10単位
基幹・専門・先端講義
から
3科目6単位
任意科目
4単位
副テーマ
2単位
通常コース
(修士研究)
任意科目
4単位
副テーマ
2単位
1目盛2単位
修士研究
8単位
計30単位
通常コース
(課題研究)
基幹科目
(ア)(イ)(ウ)(エ)(オ)の5領域から
4領域11科目22単位
標準講義科目
ITSECコース科目
副テーマ
課題研究
2単位
コース専門科目
計30単位
修士研究・課題研究
(2012年度入学学生の修士修了要件を図式化したもの)
基本スキル(個人的に重視していること)
•  ソフトウェアの作り方に関する知識と経験
•  プロジェクト形式でトレーニングするべき
•  「プログラミング演習」にとどまらない
•  概念形成・操作力
•  概念を理解させ、さらに説明させる
•  表現力
•  ぱわぽ病の治療
•  お絵かきツールの禁止
•  図一枚で1時間しゃべらせる
•  思考実験
•  What if の問いかけを繰り返す
何ができないといけないか
ž 
アイデアを形にし、他人に理解させる(あ
るいは逆)
—  常に手が動く(e.g.: プログラムを書く, システ
ムをいじる)
—  ポンチ絵が上手に書ける
—  素早い思考実験・思考による組み合わせ
—  わからないことを放置しない
—  取り替えひっかえして「もの」を動かさない
—  遊びと研究のバランス
(研究室配属時の説明資料から抜粋)
クラウド・SDNのトップガンは可能か
•  トップガンは 「育成」 よりも 「発掘」が課題だ
(宮本久仁男@NTTデータ)
•  セキュリティ分野では「セキュリティキャンプ」ががんばって
おり、見つけにくいと思われたトップガン候補が見つかりは
じめている(10年来の取組・大小の取組)。
•  一般的なプログラミングの分野では、いわゆる「プロコン」や
「オリンピック」系列が存在するし、大学レベルでの取組は
「ITスペシャリスト・enPIT」がある。
ネットワークソフトウェアのトップガン?
•  門林雄基 准教授@奈良先端らによる幾つかの試み
•  Cloud Computing Competition (2010・2011)
•  Open Router Competition (2012・2013)
•  個人の趣味の域を出なかった。
•  トップガンが必要なら業界が引き取って10年のスパンで継
続的に実施すべき。
まとめ(にかえて反省)
•  アイコン・カリスマ不在
•  おもしろ味を潰してきた業界体質がある。
•  ↓を読んで考えるべし