医薬品インタビューフォーム - 日本メジフィジックス株式会社

2013年10月改訂*(第4版)
日本標準商品分類番号
874300
医薬品インタビューフォーム
日本病院薬剤師会のIF記載要領2008に準拠して作成
放射性医薬品 ・ 脳疾患診断薬
放射性医薬品基準イオマゼニル(123I)注射液
Benzodine® Injectable
剤
形
注射剤
製剤の規制区分
劇薬,処方せん医薬品
1mL中,イオマゼニル(123I)(検定日時において)
規 格 ・ 含 量
一
般
(注意-医師等の処方せんにより使用すること)
和名:イオマゼニル(123I),イオマゼニル(123I)注射液
名
洋名:Iomazenil(123I),Iomazenil(123I)Injection
製造販売承認年月日
製 造 販 売 承 認 年 月 日:2 0 0 4 年 4 月 2 3 日
薬 価 基 準 収 載 ・
薬 価 基 準 収 載 年 月 日:2 0 0 4 年 6 月 1 8 日
発
発
売
年
月
日
開発・製造発売(輸入)・
提 携 ・販 売 会 社 名
医 薬 情 報 担 当 者 の
連
絡
問 い合 わせ窓 口
111MBq
先
売
年
製造販売元
月
日:2 0 0 4 年 6 月 2 8 日
日本メジフィジックス株式会社
日本メジフィジックス株式会社 担当〔
〕
TEL〔
FAX〔
〕
〕
日本メジフィジックス株式会社 製品問い合わせ専用フリーダイヤル
0120-07-6941
医療関係者専用ホームページ https://www.nmp.co.jp/member/index.html
:登録商標
本IFは2013年9月改訂の添付文書の記載に基づき改訂した。
最新の添付文書情報は,医薬品医療機器情報提供ホームページhttp://www.info.pmda.go.jp/ にてご確認ください。
IF利用の手引きの概要
~日本病院薬剤師会~
1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯
医療用医薬品の基本的な要約情報として医療用医薬品添付文書(以下,添付文書と略す)がある。
医療現場で医師・薬剤師等の医療従事者が日常業務に必要な医薬品の適正使用情報を活用する際に
は,添付文書に記載された情報を裏付ける更に詳細な情報が必要な場合がある。
医療現場では,当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者等に情報の追加請求や質疑をして情
報を補完して対処してきている。この際に必要な情報を網羅的に入手するための情報リストとして
インタビューフォームが誕生した。
昭和63年日本病院薬剤師会(以下,日病薬と略す)学術第2小委員会が「医薬品インタビューフォ
ーム」(以下,IFと略す)の位置付け並びにIF記載様式を策定した。その後,医療従事者向け並
びに患者向け医薬品情報ニーズの変化を受けて,平成10年9月に日病薬学術第3小委員会において
IF記載要領の改訂が行われた。
更に10年が経過した現在,医薬品情報の創り手である製薬企業,使い手である医療現場の薬剤師,
双方にとって薬事・医療環境は大きく変化したことを受けて,平成20年9月に日病薬医薬情報委員
会において新たなIF記載要領が策定された。
2.IF とは
IFは「添付文書等の情報を補完し,薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な,医薬品の
品質管理のための情報,処方設計のための情報,調剤のための情報,医薬品の適正使用のための情
報,薬学的な患者ケアのための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説書として,日病薬が
記載要領を策定し,薬剤師等のために当該医薬品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資
料」と位置付けられる。
ただし,薬事法・製薬企業機密等に関わるもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師
自らが評価・判断・提供すべき事項等はIFの記載事項とはならない。言い換えると,製薬企業か
ら提供されたIFは,薬剤師自らが評価・判断・臨床適応するとともに,必要な補完をするものと
いう認識を持つことを前提としている。
[IFの様式]
①規格はA4版,横書きとし,原則として9ポイント以上の字体(図表は除く)で記載し,一色
刷りとする。ただし,添付文書で赤枠・赤字を用いた場合には,電子媒体ではこれに従うもの
とする。
②IF記載要領に基づき作成し,各項目名はゴシック体で記載する。
③表紙の記載は統一し,表紙に続けて日病薬作成の「IF利用の手引きの概要」の全文を記載す
るものとし,2頁にまとめる。
[IFの作成]
①IFは原則として製剤の投与経路別(内用剤,注射剤,外用剤)に作成される。
②IFに記載する項目及び配列は日病薬が策定したIF記載要領に準拠する。
③添付文書の内容を補完するとのIFの主旨に沿って必要な情報が記載される。
④製薬企業の機密等に関するもの,製薬企業の製剤努力を無効にするもの及び薬剤師をはじめ
医療従事者自らが評価・判断・提供すべき事項については記載されない。
⑤「医薬品インタビューフォーム記載要領2008」(以下,「IF記載要領2008」と略す)によ
り作成されたIFは,電子媒体での提供を基本とし,必要に応じて薬剤師が電子媒体(PD
F)から印刷して使用する。企業での製本は必須ではない。
[IFの発行]
①「IF記載要領2008」は,平成21年4月以降に承認された新医薬品から適用となる。
②上記以外の医薬品については,「IF記載要領2008」による作成・提供は強制されるもの
ではない。
③使用上の注意の改訂,再審査結果又は再評価結果(臨床再評価)が公表された時点並びに
適応症の拡大等がなされ,記載すべき内容が大きく変わった場合にはIFが改訂される。
3.IFの利用にあたって
「IF記載要領2008」においては,従来の主にMRによる紙媒体での提供に替え,PDFファ
イルによる電子媒体での提供を基本としている。情報を利用する薬剤師は,電子媒体から印刷し
て利用することが原則で,医療機関でのIT環境によっては必要に応じてMRに印刷物での提供
を依頼してもよいこととした。
電子媒体のIFについては,医薬品医療機器総合機構の医薬品医療機器情報提供ホームページ
に掲載場所が設定されている。
製薬企業は「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」に従って作成・提供するが,IFの
原点を踏まえ,医療現場に不足している情報やIF作成時に記載し難い情報等については製薬企
業のMR等へのインタビューにより薬剤師等自らが内容を充実させ,IFの利用性を高める必要
がある。また,随時改訂される使用上の注意等に関する事項に関しては,IFが改訂されるまで
の間は,当該医薬品の製薬企業が提供する添付文書やお知らせ文書等,あるいは医薬品医療機器
情報配信サービス等により薬剤師等自らが整備するとともに,IFの使用にあたっては,最新の
添付文書を医薬品医療機器情報提供ホームページで確認する。
なお,適正使用や安全性の確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発売状
況」に関する項目等は承認事項に関わることがあり,その取扱いには十分留意すべきである。
4.利用に際しての留意点
IFを薬剤師等の日常業務において欠かすことができない医薬品情報源として活用して頂きた
い。しかし,薬事法や医療用医薬品プロモーションコード等による規制により,製薬企業が医薬
品情報として提供できる範囲には自ずと限界がある。IFは日病薬の記載要領を受けて,当該医
薬品の製薬企業が作成・提供するものであることから,記載・表現には制約を受けざるを得ない
ことを認識しておかなければならない。
また製薬企業は,IFがあくまでも添付文書を補完する情報資材であり,今後インターネット
での公開等も踏まえ,薬事法上の広告規制に抵触しないよう留意し作成されていることを理解し
て情報を活用する必要がある。
(2008 年9月)
目
Ⅰ.概要に関する項目 ················ 1
次
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 ··· 18
1.開発の経緯
1.警告内容とその理由
2.製品の治療(診断)学的・製剤学的特性
2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
Ⅱ.名称に関する項目 ················ 2
1.販売名
2.一般名
3.構造式又は示性式
4.分子式及び分子量
5.化学名(命名法)
6.慣用名,別名,略号,記号番号
7.CAS登録番号
Ⅲ.有効成分に関する項目 ············ 3
3.効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由
4.用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由
5.慎重投与内容とその理由
6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法
7.相互作用
8.副作用
9.高齢者への投与
10.妊婦,産婦,授乳婦等への投与
11.小児等への投与
12.臨床検査結果に及ぼす影響
1.物理化学的性質
13.過量投与
2.有効成分の各種条件下における安定性
14. 適用上の注意
3.有効成分の確認試験法
15. その他の注意
4.有効成分の定量法
16. その他
Ⅳ.製剤に関する項目 ················ 4
Ⅸ.非臨床試験に関する項目 ················· 23
1.剤形
1.薬理試験
2.製剤の組成
2.毒性試験
3.注射剤の調製法
4.懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意
5.製剤の各種条件下における安定性
6.溶解後の安定性
7.他剤との配合変化(物理化学的変化)
8.生物学的試験法
9.製剤中の有効成分の確認試験法
10.製剤中の有効成分の定量法
11.力価
12.混入する可能性のある夾雑物
13.治療上注意が必要な容器に関する情報
14.その他
Ⅴ.治療(診断)に関する項目 ········ 8
1.効能又は効果
Ⅹ.管理的事項に関する項目 ················· 24
1.規制区分
2.有効期間又は使用期限
3.貯法・保存条件
4.薬剤取扱い上の注意点
5.承認条件等
6.包装
7.容器の材質
8.同一成分・同効薬
9.国際誕生年月日
10.製造販売承認年月日及び承認番号
11.薬価基準収載年月日
12.効能又は効果追加,用法及び用量変更追加等の年月日
及びその内容
2.用法及び用量
13.再審査結果,再評価結果公表年月日及びその内容
3.臨床成績
14.再審査期間
Ⅵ.薬効薬理に関する項目 ············ 11
15.投薬期間制限医薬品に関する情報
1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群
16.各種コード
2.薬理作用
17.保険給付上の注意
Ⅶ.薬物動態に関する項目 ············ 12
Ⅹ
Ⅰ.文献 ··································· 26
1.血中濃度の推移・測定法
1.引用文献
2.薬物速度論的パラメータ
2.その他の参考文献
3.吸収
ⅩⅡ.参考資料 ······························· 27
4.分布
1.主な外国での発売状況
5.代謝
2.海外における臨床支援情報
6.排泄
7.透析等による除去率
ⅩⅢ.備考 ··································· 27
その他の関連資料
Ⅰ.概要に関する項目
Ⅰ.概要に関する項目
1.開発の経緯
*
イオマゼニル(123I)注射液は,中枢性ベンゾジアゼピン受容体(以下,中枢性BZR)に高い親和性で
結合するイオマゼニル(123I)(以下,本薬)を本体とし,シングルフォトンエミッションコンピュー
テッドトモグラフィ(以下,SPECT)を用いて中枢性BZRの局所脳内分布を画像化する放射性診断薬
剤として,1990年にBeerらによって開発された1)。
中枢性BZRは,てんかん焦点において減少することが知られている2)。抗てんかん薬治療で発作抑
制が困難な難治部分てんかん患者においては,外科的治療の適応の有無,術式及び脳切除部位の
決定のため,てんかん焦点部位を正確に把握することが極めて重要であるが,その焦点同定が困
難な場合は少なくない。
以上の背景から,当社はこのイオマゼニル(123I)注射液を製剤化し,2004年4月に「ベンゾダイン®
注」(以下,本剤)の販売名で,「外科的治療が考慮される部分てんかん患者におけるてんかん焦
点の診断」を効能・効果とした製造承認を取得した。1729例の使用成績調査を実施し,2013 年
9月に薬事法第14 条第2項第3号イからハまで(承認拒否事由)のいずれにも該当しないとの
再審査結果を得た。
2.製品の治療(診断)学的・製剤学的特性
1.本剤は,脳内における中枢性BZRの分布を,SPECTを用いて画像化するために開発され
た放射性医薬品である1)。
2.静脈内投与後,早期には局所脳血流に従って脳内に分布し,脳への高い集積(投与後10
~20分で約12%)を示す3)。
3.投与後3時間における脳への集積率は約7%であり,その脳内放射能分布は中枢性BZR
への特異的結合を反映する3),4)。
4.発作間欠期における検査で,てんかん焦点の局在診断に有効な情報が得られる6)。
5.本剤中のヨウ素-123は159keVのγ線を放出するためシンチグラムを描くのに適してお
り,また,半減期(13.27時間)が短くβ線を放出しないため被検者の被曝も少ない
という利点を有している。
6.本剤はシリンジタイプで供給されるため,術者の被曝をより軽減することができ,操
作も簡便に行える。
-1-
Ⅱ.名称に関する項目
Ⅱ.名称に関する項目
1.販売名
(1)和名
ベンゾダイン®注
(2)洋名
Benzodine® Injectable
(3)名称の由来
ベンゾジアゼピン(Benzodiazepine)受容体イメージング用製剤であること,及び標識核種であ
る123IのIodineから命名
2.一般名
(1)和名(命名法)
イオマゼニル(123I) (JAN),イオマゼニル(123I)注射液
(2)洋名(命名法)
Iomazenil(123I) (JAN, INN),Iomazenil(123I) Injection
(3)ステム
該当しない
3.構造式又は示性式
O
N
C
N
O
CH3
N
123
I
CH3
O
4.分子式及び分子量
分子式:C15H14123IN3O3
分子量:407.20(123I標識体についての理論値)
5.化学名(命名法)
Ethyl 5,6-dihydro-7-iodo-123I-5-methyl-6-oxo-4H -imidazo[1,5-a][1,4]benzodiazepine-3
-carboxylate (CA INDEX NAME)
6.慣用名,別名,略号,記号番号
123
I-IMZ,123I-iomazenil,NMA16,Ro 16-0154
7.CAS登録番号
CAS-127396-36-5
-2-
Ⅲ.有効成分に関する項目
Ⅲ.有効成分に関する項目
1.物理化学的性質
(1)外観・性状
(2)溶解性
(3)吸湿性
(4)融点(分解点),沸点,凝固点
(5)酸塩基解離定数
(6)分配係数
(1)~(6):放射性標識化合物であり微量のため該当資料なし
(7)その他の主な示性値
〔核物理学的特性〕
123
Iとして
1.物理的半減期:13.27時間
2.主γ線エネルギー:159keV(83.3%)
3.減衰表
検定日当日(時)
減衰係数
検定日翌日(時)
減衰係数
9:00
1.17
09:00
0.33
10:00
1.11
10:00
0.32
11:00
1.05
11:00
0.30
12:00
1.00
12:00
0.29
13:00
0.95
14:00
0.90
15:00
0.85
16:00
0.81
17:00
0.77
2.有効成分の各種条件下における安定性
放射性標識化合物であり微量のため該当資料なし
3.有効成分の確認試験法
p.5〈Ⅳ.製剤に関する項目〉-〈9.製剤中の有効成分の確認試験法〉の項参照
4.有効成分の定量法
p.5〈Ⅳ.製剤に関する項目〉-〈10.製剤中の有効成分の定量法〉の項参照
-3-
Ⅳ.製剤に関する項目
Ⅳ.製剤に関する項目
1.剤形
(1)剤形の区別,規格及び性状
区別:注射剤(溶液)
規格:1mL中,111MBq
(検定日時において)
ガラス製シリンジ型バイアル
性状:無色澄明の液
(2)溶液及び溶解時のpH,浸透圧比,粘度,比重,安定なpH域等
pH:4.8~5.2
浸透圧比:約1(生理食塩液に対する比)
粘度,比重,安定な pH 域等:該当資料なし
(3)注射剤の容器中の特殊な気体の有無及び種類
なし
2.製剤の組成
(1)有効成分(活性成分)の含量
本剤は,シリンジ型バイアルに充てんされ,放射線遮へい用鉛容器(コンテナ)に収められた水
性の注射剤で,ヨウ素-123をイオマゼニルの形で含む。
1mL中,
イオマゼニル(123I) (検定日時において)
イオマゼニル
111MBq
0.5μg
(2)添加物
1mL中,日本薬局方アスコルビン酸10mg,日本薬局方生理食塩液,pH調整剤2成分
(3)電解質の濃度
該当資料なし
(4)添付溶解液の組成及び容量
該当しない
(5)その他
特になし
3.注射剤の調製法
該当しない
4.懸濁剤,乳剤の分散性に対する注意
該当資料なし
-4-
Ⅳ.製剤に関する項目
5.製剤の各種条件下における安定性
本剤は放射線遮へい用鉛容器に収納されるため,常時遮光されている。
1.長期保存試験による安定性
本剤を製造直後から遮光条件下,室温(25±2℃)にて保存し,試験開始時(検定日時,製
造後20時間),試験開始時から6時間,12時間,18時間及び24時間において試験を行った
結果,いずれの測定点においても規格に適合し,24時間保存後も安定であることが確認さ
れた。
2.苛酷試験による安定性
本剤を製造直後から遮光条件下,60℃にて保存し,試験開始時(検定日時),試験開始時か
ら6時間,12時間及び18時間において試験を行った結果,定量法:ヨウ素-123の項におい
て,シリンジ型バイアル容器への放射能の吸着に起因するものと推測される放射能濃度の
減少が認められた。また,定量法:アスコルビン酸の項及び外観試験の項において,苛酷
条件下でのアスコルビン酸の分解に起因すると考えられるアスコルビン酸量の減少傾向及
び淡黄色の呈色が認められた。その他の試験項目については,60℃保存による変化は認め
られなかった。
6.溶解後の安定性
該当しない
7.他剤との配合変化(物理化学的変化)
p.19〈Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目〉-〈7.相互作用〉
-〈(2)併用注意とその理由〉の項参照
8.生物学的試験法
該当しない
9.製剤中の有効成分の確認試験法
1.ヨウ素-123
放射性医薬品基準一般試験法ガンマ線測定法のガンマ線スペクトロメータによるスペクトル
の測定法により試験を行うとき,0.159MeVにピークを認める。
2.イオマゼニル(123I)
酢酸エチル/アセトン/アンモニア水(28)混液(90:10:1)を展開溶媒として,薄層クロマ
トグラフ法により試験を行うとき,イオマゼニル(123I)のスポットの位置は,イオマゼニル
のクロロホルム溶液(1→100)を上記と同様に展開し,薄層板をヨウ素蒸気にさらしたとき
の呈色の位置に一致する。また,薄層板は薄層クロマトグラフ用シリカゲルを用いて調製す
る。
10.製剤中の有効成分の定量法
適当量について,放射性医薬品基準一般試験法ガンマ線測定法の電離箱による定量法により放射
能を測定する。
-5-
Ⅳ.製剤に関する項目
11.力価
該当しない
12.混入する可能性のある夾雑物
特になし
13.治療上注意が必要な容器に関する情報
*
シリンジタイプの外観及び使用方法
〔内容〕
シールドキャップ
コンテナ
シールド
シリンジ
〔使用方法〕
プランジャー
1
2
3
5
4
針
-6-
Ⅳ.製剤に関する項目
1.コンテナのセイフティバンドを矢印の方向に引っ張って切り取る。
注意:セイフティバンドを上方向には引っ張らないで下さい!
2.上蓋を外す(反時計回りに回すと自然に外れます)。
注意:上蓋を上方に引っ張って外さないで下さい!
3.プランジャーを取り付ける。
4.コンテナから取り出す(シールドキャップを持って取り出せます)。
5.先端のゴムキャップを取り,針等(両刃針,ルアーアダプタ,他)を取り付ける。
6.患者に投与する。
〔取扱い上の注意〕
1.プランジャーをねじ込む前に,針等を取り付けないで下さい。
2.針等を取り付ける時に,プランジャーを押し込まないようにして下さい。
3.プランジャーは真っ直ぐに挿し込み,軽くねじ込めば取り付けられます。斜め方向に無理に
押し込んだ場合,ガスケットが変形し薬液が漏れる恐れがありますので,ご注意ください。
4.シリンジ中にごくわずか気泡が含まれている場合があります。注射液を患者に投与してもこ
の気泡はシリンジ中に残り,患者に投与されることはありませんが,気泡の位置に注意しな
がら投与して下さい。
〔使用後の廃棄方法〕
1.誤刺に注意して,針等を外す。
2.プランジャーは取り付け時と反対の方向(反時計方向)に回して取り外す。
3.シールドキャップを回して取り外し,シールドからシリンジを抜き取り廃棄する。
14.その他
特になし
-7-
Ⅴ.治療(診断)に関する項目
Ⅴ.治療(診断)に関する項目
1.効能又は効果
外科的治療が考慮される部分てんかん患者におけるてんかん焦点の診断
2.用法及び用量
通常,成人には本剤167MBqを静脈内投与し,投与後約3時間に頭部のシンチグラムを得る。
投与量は,年齢,体重により適宜増減するが,最大222MBqまでとする。
3.臨床成績
(1)臨床データパッケージ(2009年4月以降承認品目)
該当しない
(2)臨床効果5)
外科的治療が考慮される部分てんかん症例(発作症状,発作間欠期脳波所見及びMRI所見により
局在性の焦点診断が確定的でない患者)を対象とした非盲検非対照試験(追加第Ⅲ相臨床試験)
において,本剤SPECT像又は発作間欠期脳血流SPECT像を加味して判定したてんかん診断体系へ
の貢献度の検討(78例)の結果,本剤SPECT像と発作間欠期脳血流SPECT像には相補的な関係が成
立し,かつ,本剤SPECT像は脳血流像に比して貢献度が高かった(p=0.001)。
症
例
数
てんかん診断体系における貢献度(追加第Ⅲ相臨床試験)
貢献度※
1
2
3
本剤SPECT像
13例
41例
24例
発作間欠期脳血流SPECT像
4例
26例
48例
評価対象
78
検定結果(Wilcoxonの符号付き
順位和検定)
貢献度:
本剤SPECT像>発作間欠期
脳血流SPECT像
p=0.001
※貢献度1:焦点部位がほぼ特定され,特殊検査の省略も可能であると判断された
貢献度2:焦点部位がある程度絞り込まれ,特殊検査を実施する上で有効な情報が得られた
貢献度3:焦点部位の特定が不十分であり,特殊検査が必要であると判断された
また,患者背景等を非開示としたブラインド読影の結果,発作間欠期脳血流SPECT像の方が本剤
SPECT像よりも特異度が高かった(p<0.05)。本剤SPECT像の異常所見がてんかん焦点部位と一致
しなかった症例,即ち偽陽性例は73例中15例であり,このうち11例が側頭葉外てんかんであっ
た。以上のことから,特に側頭葉外てんかんにおいて,患者の臨床的背景が開示されない条件
下では,本剤SPECT像は偽陽性所見を示す可能性が高いことが示され,診断上注意を要するもの
と考えられた。
-8-
Ⅴ.治療(診断)に関する項目
症
例
数
ブラインド読影※による焦点診断能※※(追加第Ⅲ相臨床試験)
診断能
評価対象
感度
検定結果
特異度 精度※※※
本剤SPECT像
27.4%
79.5%
27.4%
発作間欠期脳血流SPECT像
26.0%
95.9%
26.0%
(McNemar検定)
特異度:
73
※
※※
発作間欠期脳血流SPECT像
>本剤SPECT像
p<0.05
ブラインド読影:患者背景等を非開示とした読影
参照基準に対する診断能(参照基準:発作症状,間欠期脳波,MRI,発作時CBF-SPECT,
FDG-PET,発作時頭皮上脳波検査,特殊誘導による脳波検査,脳磁図,頭蓋内電極によ
る脳波検査,術中所見及び病理所見等を基に総合的に設定した基準。)
※※※ 焦点部位で真陽性かつ非焦点部位で真陰性である症例の割合
(3)臨床薬理試験:忍容性試験
本剤投与前5時間は絶食とし,投与前日及び投与日にヨウ化カリウムを内服させ,甲状腺ブロ
ックを行った健常成人男性6例を対象に,本剤111MBqを単回静脈内投与した結果,いずれの被
験者においても,本剤との因果関係が疑われる自・他覚症状,理学的所見の変化あるいは臨床
検査値の異常変動はみられなかった。
注) 本剤の成人に対して承認されている用法・用量は167MBq,静脈内投与である。(用量は年
齢,体重により適宜増減するが,最大222MBqまでとする。)
(4)探索的試験:用量反応探索試験
第Ⅱ相臨床試験において,本剤投与前日及び当日にヨウ化カリウムを内服させるなどの方法に
より甲状腺ブロックを行った部分てんかん患者78例(男性49例,女性29例)を対象に,本剤
111MBq(1例),167MBq(54例),222MBq(23例)を単回静脈内投与した。その結果,本剤の安全性
について問題となる点は認められず,また,本剤111~222MBqの投与量で有効性について良好な
成績が得られたことから,167MBqを中心とする111~222MBqが本剤の投与量として適当であると
考えられた。
注) 本剤の成人に対して承認されている用法・用量は167MBq,静脈内投与である。(用量は年
齢,体重により適宜増減するが,最大222MBqまでとする。)
(5)検証的試験
1)無作為化並行用量反応試験
該当資料なし
2)比較試験
該当資料なし
3)安全性試験
該当資料なし
4)患者・病態別試験
該当資料なし
-9-
Ⅴ.治療(診断)に関する項目
(6)治療的使用
*
1) 使用成績調査・特定使用成績調査(特別調査)・製造販売後臨床試験(市販後臨床試験)
使用成績調査1729例において2例3件の副作用が報告され、副作用発現率は0.12%(2例/1729例)
であった。発現した症状は、浮動性めまい、異常感、悪心各1件であった(再審査終了時)
2)承認条件として実施予定の内容又は実施した試験の概要
該当しない
-10-
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
Ⅵ.薬効薬理に関する項目
1.薬理学的に関連ある化合物又は化合物群
該当しない
2.薬理作用
(1)作用(集積)部位・作用(集積)機序
1)原理
部分てんかん発作は,興奮系及び抑制系神経伝達の不均衡によって生じる神経細胞の過剰興
奮状態である 6)。抑制系神経伝達の主要な部分をになうγ-アミノ酪酸 A(GABAA)受容体と複合体
を形成している中枢性BZRは,てんかん焦点において減少することが知られている 2)。
2)集積機序
本薬は,脳内に広く分布する中枢性BZRに高い親和性を示し7),選択的に結合する性質を有する8)。
投与後早期には局所脳血流に従って脳内に分布し,その後3時間までの分布は脳血流の影響を
受けることが知られている4)。したがって,投与後約3時間に撮像した脳SPECT像は中枢性BZR
に結合した本薬の分布を反映し,本剤を用いた検査により局所脳内中枢性BZR分布を評価するこ
とができる。
(2)薬効を裏付ける試験成績
p.15〈Ⅶ.薬物動態に関する項目〉-〈4.分布〉-〈(5)その他の組織への移行性〉の項参照
(3)作用発現時間・持続時間
該当しない
-11-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
Ⅶ.薬物動態に関する項目
1.血中濃度の推移・測定法
(1)治療上有効な血中濃度
該当しない
(2)最高血中濃度到達時間
該当しない
(3)臨床試験で確認された血中濃度3)
健常成人男性6例に本剤 111MBq を静脈内投与し,動脈採血は投与後2時間まで,静脈採血は投
与後 24 時間まで経時的に行い,動静脈血中の放射能を測定した(図1)。
動脈血中放射能は速やかに消失し,投与後5分で 18.1±2.2%投与量,30 分で 9.3±1.3%投与
量,120 分で 3.5±0.8%投与量であった。静脈血中放射能も速やかに消失し,投与後5分で 14.2
±3.6%投与量,30 分で 9.5±1.3%投与量,120 分で 4.0±0.8%投与量,投与後 24 時間では
0.2±0.1%投与量であった。動脈血中及び静脈血中放射能は投与後 30 分でほぼ同じ値となり,
その後は経時的に同じ様相で減少した。
25
20
%投与量
動脈血
静脈血
15
10
5
0
0
30
60
90
120
時間(分)
図1
動脈及び静脈血中放射能の経時変化(5分~120分,n=6)
(4)中毒域
該当資料なし
(5)食事・併用薬の影響
p.18〈Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目〉-〈7.相互作用〉の項参照
(6)母集団(ポピュレーション)解析により判明した薬物体内動態変動要因
該当資料なし
-12-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
2.薬物速度論的パラメータ
(1)コンパートメントモデル
該当資料なし
(2)吸収速度定数
該当しない
(3)バイオアベイラビリティ
該当資料なし
(4)消失速度定数
該当資料なし
(5)クリアランス
該当資料なし
(6)分布容積
該当資料なし
(7)血漿蛋白結合率
該当資料なし
3.吸収
該当しない
4.分布
(1)血液-脳関門通過性9)
〔参考:ラットにおける検討〕
イオマゼニルを投与したラットの脳に集積した放射能の化学形は,静脈内投与後3時間にお
いて97%以上が未変化体であり,構造類似体であるフルマゼニルの主たる代謝物である脱エ
ステル体は脳に集積しないとされていることから10),
本薬の代謝物として認められる123I-R-COOH,
123
I-R'-CH2COOH,123I-R-COOH-Glc及び123I-はいずれの動物種においても脳へ移行せず,未変化
体である本薬のみが血液-脳関門を通過し,脳へ移行するものと考えられた。
(2)血液-胎盤関門通過性
該当資料なし
-13-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(3)乳汁への移行性
〔参考:ラットにおける検討〕
分娩後 10 日の授乳ラットにイオマゼニル(125I)溶液約 4.5MBq/0.1mL/kg を静脈内投与し,
5分,3時間及び 24 時間における乳汁中の放射能濃度を測定したところ,投与後5分で
0.27%投与量/mL を,3時間で最高値 0.36%投与量/mL を示した。この後,乳汁中放射能
濃度は減少し,投与後 24 時間で 0.18%投与量/mL となった。乳汁中の放射化学的成分は,
主として 125I-IMZ,125I-R-COOH 及び 125 I - であり,その他 125I-R'-CH2COOH,125I-R''-OH 及び未
同定の放射化学的成分も少量認められた。この未同定の放射化学的成分は,ラットにおけ
る本剤を用いた薬物動態試験の結果から,125I-R-COOH-Glc であると推測された。
また,125I-IMZ
の割合の経時的な減少に伴い,125I-R-COOH 及び
125 -
I の割合は増加した。以上のことから,
ラットの血漿中において認められる代謝産物はすべて乳汁中へ移行することが判明した。
(4)髄液への移行性
該当資料なし
-14-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
(5)その他の組織への移行性3)
第Ⅰ相臨床試験において健常成人男性6例に本剤111MBqを静脈内投与し,シンチレーションカ
メラを用いて,脳SPECT像及び全身像を撮像し,関心領域(ROI)を設定することにより脳及び主
要臓器における放射能を測定した。
全脳の放射能は,本剤投与後10~20分でピーク(11.7±1.6%投与量)を示し,60~70分,110~
120分,180~210分及び375~405分において,それぞれ10.6±1.1%投与量,9.0±0.9%投与量,
6.6±0.5%投与量及び2.9±0.3%投与量と徐々に減少した(図2)。
14
%投与量
12
10
8
6
4
2
0
0
65
130
195
260
325
390
時間(分)
図2
全脳放射能の経時変化(n=6)
腹部(腸管及び腹部軟部組織)の放射能分布は投与後3時間,6時間及び24時間でそれぞれ3.7
±0.4%投与量,3.1±0.4%投与量及び2.1±0.5%投与量であった(図3)。胆のうの放射能分布
は投与後3時間で0.9±0.4%投与量と低値であった。また,甲状腺,肝臓及び腎臓における分
布はいずれも投与後3時間でそれぞれ0.4±0.1%投与量,1.4±0.4%投与量及び1.3±0.4%投
与量であった。24時間像では大腸のわずかな描出がみられたのみであった。
以上のように,本剤は脳に特異的に集積することが示された。
また,投与後早期の体内分布を確認するために,肝腎機能の正常な被験者4例(第Ⅱ相及び第Ⅲ
相臨床試験においてそれぞれ2例)を対象に,本剤投与後約40分における全身像を撮像し,主要
臓器における放射能分布を検討した。その結果を図3に40分値として示した。
6
1)n=4(Phase 2及び3)の平均値
腎臓
2)n=6(Phase 1)の平均値
4
%投与量
腹部
2
甲状腺
肝臓
胆のう
0
40
1)
180
2)
2)
360
540
720
900
1080
1260
時間(分)
図3
主要臓器における放射能の経時変化(n=6)
-15-
2)
1440
Ⅶ.薬物動態に関する項目
5.代謝
(1)代謝部位及び代謝経路9)
本薬(123I-IMZ)は肝臓で代謝を受け,主な代謝物は,本薬の脱エステル体,脱エステル体のグ
ルクロン酸抱合体と推定される成分及び遊離のヨウ素イオン(123I-)であった。
推定される主な代謝経路のフローチャートを図4に示す。
N
COOC2 H5
N
N
123
I
CH3
O
123
I-IMZ
N
COOH
N
123 -
I
N
CH3
123
I
123
O
I-R-COOH
COOH
N
COO
N
O
OH
OH
N
OH
CH3
123
I
O
123
I-R-COOH-Glc
図4
推定される主な代謝経路のフローチャート
(2)代謝に関与する酵素(CYP450等)の分子種
該当資料なし
(3)初回通過効果の有無及びその割合
該当資料なし
(4)代謝物の活性の有無及び比率
該当資料なし
(5)活性代謝物の速度論的パラメータ
該当資料なし
-16-
Ⅶ.薬物動態に関する項目
6.排泄
(1)排泄部位及び経路3),9)
健常成人男性6例に本剤111MBqを静脈内投与し,投与後24時間まで経時的に尿中放射能を測定
した。
主要排泄経路は腎・尿路系であり,投与後24時間で93%が尿中へ排泄された。
累積尿中排泄率を図5に示す。
%投与量
100
50
0
0
6
図5
12
時間(時間)
18
累積尿中排泄率(n=6)
(2)排泄率
前項〈(1)排泄部位及び排泄率〉を参照
(3)排泄速度
前項〈(1)排泄部位及び経路〉を参照
7.透析等による除去率
該当資料なし
-17-
24
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
1.警告内容とその理由
特になし
2.禁忌内容とその理由(原則禁忌を含む)
特になし
3.効能又は効果に関連する使用上の注意とその理由
特になし
4.用法及び用量に関連する使用上の注意とその理由
特になし
5.慎重投与内容とその理由
(1) 重篤な肝機能障害のある患者[血中に滞留することがある。]
(2) 重篤な腎機能障害のある患者[血中に滞留することがある。]
(3) 排尿障害のある患者[膀胱部の被曝が増加することがある。]
動物を用いた試験及び国内における臨床試験の結果から,本剤は静脈内投与後速やかに脱エステ
ル体及び脱エステル体のグルクロン酸抱合体に代謝され,主に尿中に排泄されることが示された。
よって,本剤は肝臓で代謝されるので,“重篤な肝機能障害のある患者”に投与すると血中に滞
留する可能性が考えられる。また,主な排泄経路は腎及び尿路系であることから,“重篤な腎機
能障害のある患者”については排泄が遅延し血中に滞留する可能性が考えられる。
また,本剤投与後の吸収線量は膀胱壁で最も高いことから,
“排尿障害のある患者”については,
膀胱部の被曝が増加する可能性が考えられる。
6.重要な基本的注意とその理由及び処置方法
診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投与することとし,投
与量は最少限度にとどめること。
7.相互作用
(1)併用禁忌とその理由
特になし
-18-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
(2)併用注意とその理由
薬剤名等
臨床症状・措置方法
機序・危険因子
ベンゾジアゼピン系薬剤 画像が劣化する原因となる可能性 本剤の脳内薬物動態が影響
がある。可能であれば投与前数日 を受ける場合がある。
間の休薬を行うこと。
効力を裏付ける試験において,本剤は中枢性BZRに選択的に高い親和性で結合することが示され
ている。また,海外の添付文書より,BZRに作用するベンゾジアゼピン系薬剤(以下,BZD)の
投与により,本剤の画像が劣化する可能性が示唆されている。さらに,サルを用いた試験の結
果より,123I-IMZの脳への特異的な放射能集積はBZD負荷により減少することが示され,123I-IMZ
の脳内放射能集積を50%に減少させるBZD負荷量(ED50,静脈内投与)は,下表のとおりだった
(各BZDの臨床における投与量及びED50との比併記)。
ED50
臨床における投与量
ED50/臨床投与量
nmol/kg
μg/kg
μg/kg*
フルマゼニル
52.8
16
3~17
5~1
クロナゼパム
1330
420
33~100(経口)
13~4
アルプラゾラム
2800
865
7~40(経口)
124~22
ジアゼパム
10700
3047
167
18
* ヒトの体重を60kgとして計算
ここで,アルプラゾラムについては,ED50と臨床における投与量(注:経口投与量)に十分な開
きがあるため(ED50:臨床投与量=124~22:1),123I-IMZの脳集積に与える影響は少ないもの
と推測された。一方,フルマゼニル,クロナゼパム及びジアゼパムについては,用量によって
は123I-IMZの脳集積が影響を受ける可能性が考えられた。したがって,患者がBZDを服用中の場
合,本剤のSPECT像の解釈には注意を要する場合があると考えられる。
しかし,各BZDにより本剤の脳内動態に与える影響が異なるため,薬剤名は記載していない。ま
た,休薬の期間については海外の添付文書に従い「投与前数日間」と記載した。
以上のことから,併用注意として可能であれば投与前数日間の休薬を行う旨を記載している。
8.副作用
*
(1)副作用の概要
*
国内における臨床試験(追加第Ⅲ相臨床試験)及び市販後の使用成績調査において総症例数
1809 例中 15 例(0.8%)17 件の副作用が認められた。主な副作用は,嗅覚錯誤6件(0.3%),
疼痛(注射部位等)3件(0.2%)等であった。また,主な臨床検査値異常としては,尿 pH
上昇9件(0.5%),好中球百分率減少3件(0.2%),血中カルシウム減少2件(0.1%)等
が認められた(再審査終了時)。
-19-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
(2)重大な副作用と初期症状
特になし
(3)その他の副作用
*
0.2%以上
0.2%未満
過敏症
注射部位紅斑
呼吸器
肝
臓
腎
臓
血
頻度不明 ※
息詰まり感
AST(GOT),ALT(GPT),
Al-P,γ-GTP,LDH 上昇
尿 pH 上昇
液
乏尿,尿意切迫,尿潜血
白血球数減少,好酸球百
白血球数増加,好塩基球
分率増加,好中球百分率
百分率増加
増加又は減少,リンパ球
百分率減少
嗅覚錯誤
その他
疼痛(注射部位等),ほて
血中尿酸増加,尿糖陽性
り,筋攣縮,血中カリウ
ム増加,血中カルシウム
減少,血清総蛋白減少
※第Ⅰ相~第Ⅲ相臨床試験における副作用は,評価基準が異なるため頻度不明とした。
(4)項目別副作用発現頻度及び臨床検査値異常一覧
副作用発現頻度:前項〈(1)副作用の概要〉を参照
臨床検査異常値:前項〈(1)副作用の概要〉を参照
(5)基礎疾患,合併症,重症度及び手術の有無等背景別の副作用発現頻度
該当資料なし
(6)薬物アレルギーに対する注意及び試験法
該当資料なし
9. 高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与
すること。
国内の臨床試験における安全性の解析対象940例のうち,65歳以上の高齢者は242例(25.7%)で,
これらの症例において安全性に問題となる点はみられなかった。しかしながら,高齢者では腎機
能,肝機能の生理機能が低下していることが多く,医薬品の副作用が発現しやすい傾向にあり,
一般的に医薬品の投与にあたっては常に注意が必要である。したがって,本剤の投与にも十分な
注意が必要であると考えられることから,既存の放射性医薬品と同様に記載している。
-20-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
10.妊婦,産婦,授乳婦等への投与
(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人及び授乳中の婦人には,原則として投与しないこ
とが望ましいが,診断上の有益性が被曝による不利益を上回ると判断される場合にのみ投
与すること。
(2) 動物実験(ラット)で乳汁移行性が認められているので,授乳中の婦人には授乳を避けさせ
ること。
(1) 放射性医薬品を妊婦又は授乳婦へ投与することは十分に注意する必要があると考えられるこ
とから,既存の放射性医薬品と同様に記載している。
(2) 分娩後10日の授乳ラットに125I-IMZ溶液 約4.5MBq/kgを静脈内投与した結果,投与後3時間に
乳汁中放射能濃度は最高値0.36%投与量/mLを示した。血漿に対する乳汁中の放射能濃度と
の比は,乳汁中で最大放射能となった投与後3時間で20となり,乳汁移行性が認められた。
よって,乳汁中の婦人には授乳を避けさせる旨記載している。
11.小児等への投与
低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児に対する安全性は確立していない(現在までのとこ
ろ,使用経験がない)。
国内の臨床試験における安全性の解析対象940例のうち,18歳未満の症例は3例(15歳,16歳及
び17歳がそれぞれ1例,0.3%)で,これらの症例において安全性に問題はなかった。しかしな
がら,十分な臨床成績が得られていないことから記載している。
12.臨床検査結果に及ぼす影響
該当資料なし
13.過量投与
該当資料なし
-21-
Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目
14.適用上の注意
(1) 投与前後:本剤を投与するにあたっては,放射性ヨウ素が甲状腺に摂取されることを防
止するため,投与前から試験後も数日無機ヨウ素 1 日 20mg 以上を投与し,甲状腺ヨウ素
摂取能を抑制しておくことが望ましい。ただし,無機ヨウ素の投与に際しては,ヨウ素
過敏症の患者が禁忌とされているため,使用するヨウ素製剤の添付文書に従うこと。
(2) 診断時:本剤 SPECT 像によるてんかん焦点の診断は,患者背景及びその他の検査等の情
報も併せて実施すること。
(1) 本剤は放射化学的異物として遊離の放射性ヨウ素イオン(123I-)(以下,123I-)が
6%(規格限度値)含まれることがある。また,健常人における本剤の薬物動態の検
討の結果,血漿中の放射化学的成分として 123I-が投与後1時間で約12%認められた。
123 -
I は甲状腺に取り込まれる性質が知られている。
国内の臨床試験において,甲状腺ブロックが行われなかった症例においても,甲状腺
機能に関する臨床検査結果等で特に問題は認められなかった。しかしながら,甲状腺
ブロックを実施することにより,患者の甲状腺の被曝を軽減させることができること
から記載している。
(2)本剤SPECT像によるてんかん焦点の診断は,患者背景やその他の検査等の情報も併せ
て実施することにより,より高い診断能が得られることから記載している。
15.その他の注意
特になし
16.その他
〔吸収線量〕
(MIRD法により算出)
吸収線量(mGy/37MBq)
脳
0.44
膀胱壁
7.5
臓
0.16
脾
0.11
胆のう
0.69
小
0.47
卵
巣
0.46
大腸上部壁
0.84
精
巣
0.22
大腸下部壁
1.1
甲状腺
1.4
0.33
全
0.17
肝
腎
腸
臓
臓
赤色骨髄
身
0.20
(4.8時間ごとに排尿した場合)
-22-
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
Ⅸ.非臨床試験に関する項目
1.薬理試験
(1)薬効薬理試験(「Ⅵ.薬効薬理に関する項目」参照)
(2)副次的薬理試験
該当資料なし
(3)安全性薬理試験
〔中枢神経系に対する作用〕
動物実験(マウス)で本薬10μg/kg(臨床最大投与量である222MBq包装品に含まれる量の600倍※)
とペンテトラゾールとの併用において,痙攣誘発作用が認められた11)。
※ヒトの体重を60kgとして換算
(4)その他の薬理試験
該当資料なし
2.毒性試験
(1)単回投与毒性試験
雌雄ラット(用量:10μg/kg 及び 100μg/kg)及び雄ビーグル犬(用量:40μg/kg)にイオマゼニル
を静脈内単回投与し,投与後 14 日間観察して毒性について検討した。その結果,それぞれの試
験において,イオマゼニル 0.75μg/60kg(臨床予定投与量である 167MBq 包装品に含まれる量の
8000 倍及び 3200 倍に相当)を投与しても,毒性徴候が認められないことを確認した。最小致死
量は雌雄ラットで 100μg/kg 以上,雄ビーグル犬で 40μg/kg 以上と推定された。
(2)反復投与毒性試験
該当資料なし
(3)生殖発生毒性試験
該当資料なし
(4)その他の特殊毒性
該当資料なし
-23-
Ⅹ.管理的事項に関する項目
Ⅹ.管理的事項に関する項目
1.規制区分
(1)劇薬
(2)処方せん医薬品
注意―医師等の処方せんにより使用すること
2.有効期間又は使用期限
有効期間:検定日時から18時間
3.貯法・保存条件
室温,遮光保存
4.薬剤取扱い上の注意点
(1)薬局での取り扱いについて
該当しない
(2)薬剤交付時の注意(患者等に留意すべき必須事項等)
該当しない
5.承認条件等
特になし
6.包装
167MBq(1.5mL)/シリンジ
1本
222MBq(2mL)/シリンジ
1本
7.容器の材質
ガラス製シリンジ型バイアル
放射線遮へい用鉛容器
8.同一成分・同効薬
なし
9.国際誕生年月日
1991年9月27日
10.製造販売承認年月日及び承認番号
製造承認年月日:2004 年4月 23 日
承
認
番
号:21600AMZ00434000
11.薬価基準収載年月日
2004年6月18日(2004年6月18日付厚生労働省告示第250号)
-24-
Ⅹ.管理的事項に関する項目
12.効能又は効果追加,用法及び用量変更追加等の年月日及びその内容
なし
13.再審査結果,再評価結果公表年月日及びその内容
*
2013年9月26日付厚生労働省発薬食0926第75号
薬事法第14条第2項第3号イからハまで(承認拒否事由)のいずれにも該当しない
14.再審査期間
*
2004年4月23日~2012年4月22日(終了)
15.投与期間制限医薬品に関する情報
該当しない
16.各種コ-ド
販売名
HOT(9桁)番号
厚生労働省薬価基準収載
医薬品コード
レセプト電算コード
ベンゾダイン®注 167MBq
116254701
4300447A1022
620001921
ベンゾダイン®注 222MBq
116254701
4300447A1022
620001921
17.保険給付上の注意
特になし
-25-
ⅩI.文献
ⅩⅠ.文献
1.引用文献
1)Beer HF, et al:J Nucl Med 31:1007-1014, 1990
2)Sata Y, et al:Epilepsia 43:1039-1048, 2002
3)米倉義晴, 他:核医学 32:87-97, 1995
4)Onishi Y, et al:Eur J Nucl Med 23:1491-1497, 1996
5)申請資料概要,2004
6)During MJ, et al:Lancet 341:1607-1610, 1993
7)申請資料概要,2004
8)申請資料概要,2004
9)吉村弘一,他:核医学 32:1037-1043,1995
10)Persson A, et al:Hum Psychopharmacol 4:215-220,1989
11)山口和政,他:応用薬理 50:223-234,1995
2. その他の参考文献
-26-
ⅩⅡ.参考資料/ⅩⅢ.備考
ⅩⅡ.参考資料
1.主な外国での発売情報
なし(2011年12月現在)
2.海外における臨床支援情報
特になし
ⅩⅢ.備考
その他の関連資料
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