新製品紹介 「IT Monitor Manager」の開発 齊藤 利夫 Toshio Saitoh 1. まえがき 一 方 、 ク ラ イ ア ン ト は ユ ー ザ へ の GUI ( Graphical User Interface)を担 当 し、サーバ上 のデータベースから各 種 情 近 年 、コンピュータの小 型 ・省 電 力 化 にともない、多 数 の 報 を取 得 し、ユーザへ提 供 する。 コンピュータをラックに搭 載 して運 用 することが一 般 的 となっ た。ラック搭 載 によるシステムは、省 スペースによるメリットを ラック ラック もたらす一 方 、機 器 の発 熱 による誤 動 作 対 策 ならびにセキ IT Monitor (ラックのドアの開 閉、 温度の監視..etc) ュリティ対 策 がこれまでより重 要 となる。 当 社 では、ラック監 視 装 置 として「IT Monitor」(アナログ 入 力 4点 、デジタル入 力 8点 、デジタル出 力 8点 )を販 売 し てきたが、複 数 台 の「IT Monitor」を統 合 監 視 するためには、 サーバなど の機器 市 販 の SNMP(Simple Network Management Protocol)マ LA ネージャを使 用 する必 要 があった。 そこで、ユーザの運 用 性 ・利 便 性 を向 上 させるべく統 合 監 視 ソフトウェア「IT Monitor Manager」を開 発 した。 なお、最 新 バージョンでは、「IT Monitor」だけではなく、 パワーシステム事 業 部 で開 発 した SNMP 対 応 製 品 はすべ て監 視 できる。 ルータ 監視マシン (IT Monitor Manager) ・障害を通知を検出 し、E-mail送信などの アクションを実施する E-mail通知 Network Power Manager ルータ LA パトライト点灯 の概 要 を紹 介 する。 出力制御アクション 2. システム構成 た PC(動 作 OS は WindowsNT/2000/XP)をネットワーク ・温度のしきい値逸脱発生! ・ドアの開閉イベント発生! WAN 本 稿 では、統 合 監 視 ソフトウェア「IT Monitor Manager」 監 視 対 象 装 置 と「IT Monitor Manager」をインストールし ・・・・・・・(ラック群) ・ ・ ・ ・ ・ ・ 図1 システム構 成 例 3. 特長 接 続 すれば基 本 的 なシステム構 成 はできあがる。 システム構 成 例 を図 1に示 す。 3.1 SNMP を使用し、最 大 500 台まで監視が可 能 図 1のシステムでは、ラックに搭 載 された「IT Monitor」が、 ラック内 の温 度 、ドアの開 閉 を監 視 し、温 度 が正 常 範 囲 を 本 製 品 は、ネットワーク機 器 管 理 プロトコルのデファクト・ 逸 脱 した場 合 、またはドアが開 かれた場 合 に SNMP トラップ スタンダードである、SNMP を使 用 し、最 大 500 台 の装 置 を を「IT Monitor Manager」へ通 知 する。それを受 信 した「IT 監 視 できる。500 台 までカバーできることにより、大 規 模 なシ Monitor Manager」は、管 理 者 へ E-mail 通 知 するとともに ステムにも適 用 できる。 「Network Power Manager」の出 力 コンセントを ON とし、パ トライトを点 灯 させ、障 害 発 生 を知 らせる。 3.2 他の SNMP マネージャにはない優れた操作性 「IT Monitor Manager」は、クライアント/サーバ構 成 とな っており、1台 の PC で両 方 を稼 働 させることも、異 なった PC で別 々に稼 働 させることもできる。 本 製 品 は、管 理 プロトコルに SNMP を使 用 した、SNMP マ ネージャである。 サー バは、 ① 装 置 の状 態 を定 期 的 に取 得 し、デー タベ 市 販 の SNMP マネージャは、SNMP の知 識 がないと使 い ースに格 納 する、②装 置 からのトラップを受 信 し、データベ こなすことは難 しく、プロ向 きの製 品 といえる。また、汎 用 的 ースへ格 納 するとともに、必 要 に応 じて E-mail 送 信 などの に作 られているため特 別 にカスタマイズしない限 り、装 置 の アクションを実 施 する、③データベースの定 期 バックアップ 種 類 に関 係 なく画 一 的 な GUI となる。 を実 施 する、などの機 能 がある。 23|SANYO DENKI Technical Report No16 Nov. 2003 これに対 し、本 製 品 は監 視 対 象 装 置 を絞 り込 むことによ り、その装 置 に特 化 した GUI を提 供 することで、一 般 ユーザ 3.3 重要度・ネットワーク負荷を考慮した監視 でも理 解 でき、操 作 しやすい GUI を提 供 している。 本 製 品 の画 面 例 を図 2~図 4に示 す。 各 装 置 を監 視 するために行 うステータス・ポーリングの周 期 は、10 秒 ~数 時 間 の指 定 ができ、また装 置 毎 に指 定 で きる。このため、装 置 の重 要 度 やネットワーク負 荷 を考 慮 し た監 視 ができる。 3.4 多彩な障害通知アクション 装 置 障 害 の発 生 ・復 旧 時 に実 施 するアクションとして、ク ライアントへのポップアップ通 知 の他 に、①E-mail 通 知 、② バッチファイルの実 行 、③他 のコンピュータへのメッセージ 通 知 が指 定 できる。特 に バ ッ チ フ ァ イ ル の 実 行 は 、他 の アプリケーションと連携したアクションを実施でき 図2 装 置 状 態 一 覧 表 示 とポップアップ・メニュー (一 般 のアプリケーションに近 いユーザインタフェース) る た め 、監 視 シ ス テ ム に 柔 軟 性 と 拡 張 性 を 持 た せ る こ とができる。 3.5 スケジュール制御 本 製 品 では、装 置 に対 し随 時 制 御 を行 うことも、スケジュ ール制 御 を行 うこともできる。スケジュール制 御 は、市 販 の SNMP マネージャには見 られない本 製 品 の特 長 であり、監 視 対 象 装 置 の 用 途 を 広 げ る 効 果 が あ る 。 例 え ば 、 「 IT Monitor」 のデ ジタル 出 力 を スケ ジュー ル 制 御 するこ と で、 「IT Monitor」の用 途 を広 げることができる。 3.6 UPS の各種計測 値 の逸脱監視 図3 UPS のリアルタイム状 態 表 示 (装 置 の種 類 に応 じたユーザインタフェース) UPS から取 得 する各 種 計 測 値 の逸 脱 監 視 ができ、計 測 値 が正 常 範 囲 を逸 脱 した場 合 、管 理 者 へ E-mail などのア クションで通 知 できる。この機 能 は、UPS の負 荷 率 を常 時 監 視 し、正 常 範 囲 を超 えた場 合 に管 理 者 へ通 知 したい場 合 などに利 用 できる。 なお、「IT Monitor」を使 用 して計 測 値 の逸 脱 監 視 を行 う 場 合 は、「IT Monitor」に実 装 されている逸 脱 監 視 機 能 を 使 用 すれば E-mail 通 知 を行 うことができる。E-mail 以 外 の 障 害 通 知 ア ク シ ョ ン を 行 い た い 場 合 は 、 「 IT Monitor Manager」の障 害 通 知 アクションを併 用 する。 3.7 状態・計測値履歴の表示・ファイル出力 装 置 から取 得 した状 態 ・計 測 値 データを保 存 し、履 歴 情 図4 システムログ表 示 (一 般 ユーザでも理 解 しやすいログ表 示 ) 報 としてグラフ表 示 (図 5)およびファイル出 力 ができる。ファ イル出 力 形 式 は、CSV 形 式 (Comma Separated Values)の ため、市 販 のアプリケーションで自 由 に加 工 することができ、 計 測 値 のトレンド分 析 に利 用 できる。 SANYO DENKI Technical Report No.16 Nov. 2003|24 齊藤 利夫 1987年 入 社 パワーシステム事 業 部 設 計 第 2部 電 源 機 器 、電 源 管 理 システムの開 発 、設 計 に従 事 。 図5 UPS の状 態 ・計 測 値 履 歴 表 示 4. むすび 以 上 統 合 監 視 ソフトウェア「IT Monitor Manager」の特 徴 を紹 介 した。 本 製 品 によ り、統 合 監 視 を行 う 環 境 は整 ったも のの、ま だまだ改 善 の余 地 がある。 大 容 量 UPS のように SNMP 対 応 されていない装 置 を監 視したい場合、「IT Monitor」を介して「IT Monitor Manager」 で監 視 することはできる。しかし、実 体 の装 置 がユーザには 隠 れてしまうことになる。このようなケースを考 慮 した GUI の 提 供 も検 討 課 題 である。 その他 の改 善 項 目 としては、WEB クライアント対 応 、イベ ント連 携 制 御 機 能 、各 種 レポート作 成 機 能 、SNMPv3 対 応 などが挙 げられる。 今 後 は特 に「IT Monitor」の使 われ方 を理 解 し、ユーザ にとって本 当 に必 要 な機 能 を見 極 め、シンプルでありなが ら十 分 な機 能 を提 供 していく。 25|SANYO DENKI Technical Report No16 Nov. 2003
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