建築廃材 - バイオマス賦存量・利用可能量の推計

建築廃材
1)賦存量
(1)概要
建築物※1 の解体にともない発生した木材を、賦存量(乾燥重量【DW-t/年】)とし推計した。
(2)推計式
市町村別賦存量【DW-t/年】
=都道府県別賦存量【DW-t/年】
×(当該市町村別建築着工床延面積【m2/年】*1/当該都道府県別建築着工床延面積【m2/年】*1)
都道府県別賦存量【DW-t/年】
=木造建築解体木材量【DW-t/年】+鉄骨鉄筋コンクリート造築解体木材量【DW-t/年】
+ 鉄骨鉄筋コンクリート造以外の築解体木材量【DW-t/年】
構造別建築解体木材量【DW-t/年】
= {H20 年構造別建築着工床延面積*1【m3/年】-(H20 年構造別床延面積*3【m3/年】-H19 年構造別床延面積*2【m3/年】 )}
×構造別建築廃材木材発生係数【t/m3】×(100【%】-含水率【%】)
(3)推計方法
①市町村別賦存量
都道府県別賦存量を当該市町村別建築着工床延面積にて按分した。
②都道府県別賦存量
都道府県別賦存量は、構造別に建築解体木材量を算出し都道府県単位で合計した。
③構造別建築解体木材量
建替は滅失した床延面積※2 の補充であり、総床延面積の増加にはつながらない。このこ
とを踏まえ、構造別※3 に当年の建築着工床延面積から、前年と当年の総床延面積の差(一年
間に増加した床延面積)を差し引き解体床延面積をもとめ、構造別建築廃材木材発生係数※4
(木造:0.1*4、鉄筋鉄鋼コンクリート造:0.005*5、鉄筋鉄鋼コンクリート造以外:0.008*5)
を乗じることで行った。これに含水率 12*6【%】を適用し乾燥重量とした。
なお、推計に用いた、固定資産の価値等の概要調書(家屋)※5 は、非課税の公官庁などの
建築物は含まれないことから、建築着工床延面積から公務用建築物、学校の校舎、病院・
診療所の面積を除いた。
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(4)用語の説明
※1 建築物
居住専用、事務所、店舗、工場及び作業場、倉庫を対象とした。
※2床延面積
延床面積とは、建物の各階の床面積を合計した面積のこと。
※3構造別
建築の構造は、木造、鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造、
コンクリートブロック造、その他に分類される。
木造:柱・梁などの主要構造部が木造のもの
鉄骨鉄筋コンクリート造:
柱・梁などの骨組を鉄骨で組み、鉄筋コンクリートをかぶせたて一体構造
鉄筋コンクリート造:
柱・梁などの主要構造部が型枠の中に鉄筋を組みコンクリートを打込んで一体構造
鉄骨造:
柱・梁などの骨組が鉄骨又はその他の金属で組まれた構造
コンクリートブロック造:
鉄筋で補強されたコンクリートブロック構造
その他:
石造、煉瓦造、無筋コンクリート造等
※4構造別建築廃材木材発生係数
構造別の延床面積に対する解体後の木材廃棄物発生量の割合
※5固定資産の価値等の概要調書
固定資産税を非課税とされるものを除いた納税義務者、棟数、床面積、決定価格及
び単位当たり価格に関する調書
(5)引用・参考文献
①統計データ等
*1 財団法人建設物価調査会(2010)建築統計年報 平成 21 年度版
*2 総務省自治税務局固定資産税課・資産評価室(2008)
平成 19 年度固定資産の価値等の概要調書(家屋)(都道府県別表)
*3 総務省自治税務局固定資産税課・資産評価室(2009)
平成 20 年度固定資産の価値等の概要調書(家屋)(都道府県別表)
②推計方法等
*4 建設副産物の状況. 建設副産物排出量の将来予測.国土交通省リサイクルのページ
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/fukusanbutsu/genjo/index.htm
*5 財団法人建築業協会(2004)建築物の解体に伴う廃棄物の原単位調査報告書
2
*6 社団法人 日本有機資源協会(2004)
平成 15 年度バイオ生分解素材開発・利用評価事業報告書
*7 橋本征二・寺島秦(2000)建築物解体廃棄物の発生予測.
廃棄物学会論文誌.VOL.11.No.5.pp41-49
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2)有効利用可能量
(1)概要
賦存量のうち、再資源化量※1 を除く量を利用可能量とし推計した。
(2)推計式
市町村別有効利用可能量【DW-t/年】
=都道府県別有効利用可能量【DW-t/年】
×(当該市町村別建築着工床延面積*1【m2/年】/当該都道府県別建築着工床延面積*1【m2/年】)
都道府県別有効利用可能量【DW-t/年】
=木造構造別建築解体木材有効利用可能量【DW-t/年】+非木造構造別建築解体木材有効利用可能量
構造別建築解体木材有効利用可能量【DW-t/年】
= 構造別建築解体木材量【DW-t/年】 ×構造別減量化(縮減)・最終処分率*2
(3)推計方法
①市町村別有効利用可能量
都道府県別賦存量を当該市町村別建築着工床延面積にて按分した。
②都道府県別有効利用可能量
都道府県別有効利用可能量は、構造別の建築解体木材有効利用可能量を都道府県単位で
合計した。
③構造別建築解体木材有効利用可能量
構造別建築解体木材量に表 2-1 に示す構造別建設解体発生木材の減量化(縮減)※2・最終処
分※3 率を乗じて行った。
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表 2-1.構造別建設解体発生木材減量化・最終処分率
都道府県名
木造
非木造
都道府県名
木造
非木造
全国計
0.21
0.22 三重県
0.40
0.05
北海道
0.05
0.02 滋賀県
0.00
0.08
青森県
0.44
0.02 京都府
0.07
0.02
岩手県
0.09
0.13 大阪府
0.04
0.13
宮城県
0.27
0.56 兵庫県
0.17
0.40
秋田県
0.01
0.83 奈良県
0.09
0.08
山形県
0.34
0.60 和歌山県
0.09
0.05
福島県
0.51
0.72 鳥取県
0.51
0.01
茨城県
0.03
0.04 島根県
0.17
0.18
栃木県
0.46
0.55 岡山県
0.36
0.15
群馬県
0.19
0.11 広島県
0.25
0.15
埼玉県
0.43
0.66 山口県
0.16
0.91
千葉県
0.13
0.02 徳島県
0.31
0.52
東京都
0.21
0.11 香川県
0.44
0.74
神奈川県
0.11
0.48 愛媛県
0.19
0.39
新潟県
0.27
0.19 高知県
0.46
0.07
富山県
0.37
0.35 福岡県
0.06
0.13
石川県
0.21
0.49 佐賀県
0.20
0.64
福井県
0.24
0.52 長崎県
0.05
0.02
山梨県
0.36
0.58 熊本県
0.37
0.53
長野県
0.33
0.18 大分県
0.37
0.02
岐阜県
0.26
0.15 宮崎県
0.18
0.15
静岡県
0.26
0.11 鹿児島県
0.22
0.12
愛知県
0.18
0.02 沖縄県
0.99
0.94
出典:国土交通省平成20年度建設副産物実態調査結果詳細データ(建設廃棄物)
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(4)用語の説明
※1再資源化量
建築物を解体した際に発生した木材を回収し、利用しやすいように処理して、新しい
製品の材料もしくは原料として使用した量。
※2減量化(縮減)
木材チップとして木質ボード、紙パルプ、燃料用等に利用できない品質が劣る解体木
材を焼却処分等し容積と重量を減らすこと。
※3最終処分
解体木材のうちリユース(再利用)、リサイクル(再資源化、サーマルリサイクルを
含む)が困難なものを、ごみ埋立地に処分すること。
(5)引用・参考文献
①統計データ等
*1 財団法人建設物価調査会(2010)建築統計年報 平成 21 年度版
②推計方法等
*2 国土交通省平成20年度建設副産物実態調査結果詳細データ(建設廃棄物)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/fukusanbutsu/jittaichousa/index01.htm
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3) 熱量
(1)概要
建築廃材を燃焼利用する場合の熱量を推計した。
(2)推計式
市町村別賦存熱量【GJ/年】=
市町村別賦存量【DW-t/年】×低位発熱量*1【GJ/t】
市町村別有効利用可能熱量【GJ/年】=
市町村別有効利用可能量【DW-t/年】×低位発熱量*1【GJ/t】
(3)推計方法
賦存量、利用可能量に低位発熱量※118.1*1【GJ/t】を乗じて算出した。なお、エネルギー利
用を想定する場合はボイラ効率等を考慮する必要がある。
(4)用語の説明
※1低位発熱量
燃焼時に水分が蒸気のまま(気体)でいる場合の発熱量。
※2ボイラ効率
ボイラ効率とは蒸気に吸収された熱量と供給燃料の燃焼熱量との比をいう。
(5)引用参考文献
*1 山本博巳(2005)
バイオマスバランス表の改良とわが国地域別のバイオマスエネルギー供給可能量
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