甲子園短期大学紀要 32:57-67.2014. 園芸活動において注意すべき有毒植物について 土 橋 豊* Note on Poisonous Plants in Horticultural Activities Yutaka TSUCHIHASHI* Abstract As a result of organized by the classification system of Mabberley, poisonous plants that are cultivated in Japan were able to narrow the list down to 82 families, 193 genera and 298 taxa. The Leguminosae has the largest genus number of poisonous plants(14 genus), and the Ranunculaceae and Solanaceae have the largest taxa number of poisonous plants(21 taxa). 34 edible plants species were included in these cultivated poisonous plants. These finding were provided the basic information for hazard reduction by the poisonous plants for the horticultural activities including citizen gardening, horticultural therapy, horticulture welfare and horticulture education. 要 旨 マバリーの分類体系により整理した結果、日本で栽培される有毒植物として83科、193属、298分類群が抽出でき た。最も有毒植物を多く含む科は、属数ではマメ科で14属、分類群数ではナス科とキンポウゲ科において21分類群 であった。これらの中には食用植物34種が含まれていた。本報告は、市民園芸、園芸療法、園芸福祉、園芸教育に おける園芸活動において、有毒植物による事故軽減のための基礎的情報となると考えられる。 Key Words : classification system of Mabberley, citizen gardening, horticulture education , horticulture welfare, horticultural therapy, キーワード:マバリーの分類体系、市民園芸、園芸教育、園芸福祉、園芸療法 たび事故が起きるとより強い批判を受ける可能性も否 緒 言 定できない。 園芸活動は、営利目的の生産園芸のみならず、営利 イギリスで出版された園芸学入門書に当たる書籍 を目的としない市民園芸や、医療または福祉を目的と では、病害虫、雑草を扱う同じ章で有毒植物を扱っ した園芸療法、園芸福祉、幼稚園や小学校など教育場 て い る(Ingramら,2007)。 イ ギ リ ス 園 芸 貿 易 協 会 面など、幅広い分野で行われている。園芸活動におけ (The Horticultural Trade Association)は英国王立園 るリスクマネジメントを考える場合、有毒植物の知識 芸協会(Royal Horticultural Society)と協力し、潜在 とその対処法は基本のひとつと言える。園芸療法、園 的な有害植物(potentially harmful plants)として117 芸福祉および教育における実践の場では、医師や看護 の分類群(属、種など)の選定を行い、注意事項別に 師など医療関係者や教育関係者が従事しており、ひと 3タイプに区分してウェブサイトにおいて情報公開し * 本学教授 報告(資料・報告):2013年12月6日受付 本報告の一部は、日本園芸療法学会2012年大会において発表した。 ― 57 ― て い る(potentially harmful plants , http://apps.rhs. 礎的情報を得るために、有毒植物を扱う文献から日 org.uk/schoolgardening/uploads/documents/HTA_ 本で栽培されるものを抽出し、新分類体系のひとつ poisonous_plants_600.pdf,2013年11月3日 ) 。 ま た、 ア であるマバリーの分類体系(Mabberley, 2008;大場, メリカ毒管理センター(American Association of Poison 2009)により整理した。 Control Centers)では、毎年、200頁を超える年報を公 材料および方法 開 し て い る(Annual Reports , http://www.aapcc.org/ annual-reports/, 2013年11月3日) 。 有毒植物を扱う海外文献(Dauncey, 2010;Nelson 一方、日本の生産園芸の現場において、キクやチュー ら,2007;Spoerke・Smolinske, 1990)および国内文献 リップ、アルストロメリアの生産農家では激しい手の の栽培種を扱う章(佐竹,2012)をマバリーの分類体 皮膚炎が問題になっているが、大学などで生産園芸学 系で整理し、その中から日本において栽培されるもの の教科書として利用されている書籍においても、有毒 を文献(安藤ら,2007;佐竹,2012)および一般に栽 植物に関する記述はない。日本の場合、園芸学の書籍 培されると著者が判断したものを抽出した。 には有毒植物の情報は皆無といえるが、園芸療法や社 結果および考察 会園芸学(松尾,2005;田崎,2006;土橋,2011)、子 ども教育(小林,2008)を扱った文献で扱われている。 マバリーの分類体系により整理した結果、日本で栽 日本における有毒植物に関するウェブサイト上の 培される有毒植物は83科、193属、298分類群(種、交 情報公開として、厚生労働省は自然毒のリスクプロ 雑種および園芸品種)が抽出できた(第1表) 。最も有 ファイルとして、高等植物では22分類群を示している 毒植物を含む科は、属数ではマメ科で14属あり、分類 (自然毒のリスクプロファイル,http://www.mhlw. 群数ではナス科とキンポウゲ科において21分類群で go.jp/topics/syokuchu/poison//, 2012年7月31日)が、 あった。 このうち山菜と間違って摂食したケースを除き、園芸 これらの中には、食用植物として扱われるモロヘ 活動で利用される可能性があるものとしては16分類群 イヤ(アオイ科) 、アラビアコーヒー(アカネ科) 、イ で、欧米に比べるとその情報量は少ない。日本におけ チョウ(イチョウ科)、ゴーヤ(ウリ科)、ゲッケイジュ る中毒に関する専門機関である日本中毒情報センター (クスノキ科)、イチジク(クワ科)、サトイモ(サトイ では保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報データベー モ科)、セロリ(セリ科)、ルバーブ(タデ科)、トウガ スをウェブサイト上(保健師・薬剤師・看護師向け中 ラシ・トマト・ジャガイモ(ナス科)、タマネギ(ネギ 毒情報データベース,http://www.j-poison-ic.or.jp/ 科) 、パイナップル(パイナップル科) 、アンズ・カリ homepage.nsf/, 2013年11月3日)で公開しており、青 ン・ウメ・モモ・スモモ(バラ科)、ダイズ・ベニバナ 梅、ギンナン、シキミ、ジャガイモ、シュウ酸塩(可 インゲン(マメ科)、ヘンルーダ―(ミカン科)、ザクロ 溶性)を含む植物、シュウ酸塩(不溶性)を含む植物、 (ミソハギ科)など34種が含まれ(第1表、第3表)、食用 トリカブト、バイケイソウ、ヒガンバナ科植物、抗コ 植物といえども正しい取扱いを知らないと事故に繋が リン作用植物、ジギタリス、トウダイグサ科植物、有 る危険性があることを示している。笠原(2010)によ 毒な木の実・草の実、無毒の植物の項目が示されるの ると、厚生労働省のウェブサイトに掲載されている食 みで、年報としての公開はしていない。 中毒発生事例(平成12〜21年)に基づく有毒植物によ 以上のように、日本においては、園芸活動を行う上 る食中毒患者数では、ジャガイモが最も多いとし、こ で最低限度必要な有毒植物の情報ですら、十分に提供 れは小・中学校など学校環境で発生しており、有毒植 されているとは言えないのが現状である。笠原(2010) 物に対する知識不足に起因していると報告している。 は今後の課題のひとつとして、園芸植物、観賞用植物 食用部に有毒成分が含む場合は、適切な栽培法、収穫 の毒性については知識や情報が不足しており、販売時 適期、調理法、保存法、摂取量等の情報について、園芸 に適切な情報提供が必要であると指摘している。 活動を行う団体および個人に周知させる必要がある。 一方、1990年代以降からDNA解析による分子系統 厚生労働省のウェブサイト自然毒のリスクプロファ 学の発展により、その成果に基づく新分類体系が発表 イ ル( 自 然 毒 の リ ス ク プ ロ フ ァ イ ル,http://www. されている。 mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison//, 2012年7月31 そこで、園芸活動におけるリスクマネジメントの基 日)では、園芸活動で利用される可能性があるものと ― 58 ― してはわずかに16種のみが示されているに過ぎず、日 細野幸江・宮田正信・木村正則.2010.東京近郊にお 本で栽培されていると思われる有毒植物298分類群の ける草笛の会の実態と愛好家の意識.人間植物関 5.4%であり、海外からの情報も的確に収集する必要が 係学会雑誌.10(1):15-23. あると考えられる。なお、スパティフィラムは観葉植 Ingram, D. S., D. Vince-Prue and P. J. Gregory. 2007. 物として知られ、食用とすることはないが、草笛でよ Science and the Garden. p.221-237. Blackwell く用いられることが報告されており(細野ら,2010)、 Publishing. West Sussex. 口に含む可能性があることから、注意を喚起する必要 笠原義正.2010.有毒植物による食中毒の最近の動向 がある(土橋,2011) 。 と今後の課題.食衛誌.50(6):311-318. 第1図に、今回の調査対象とした文献および厚生労 小林正明.2008.草花遊びの図鑑.p.103-111.全国農 働省のウェブサイト上で情報公開している自然毒の リスクプロファイル(自然毒のリスクプロファイル, 村教育協会.東京. 厚生労働省.自然毒のリスクプロファイル.http:// http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison//, www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/poison/. 2012年7月31日)を参考に、特に重大な事故例につながっ 2012.7.31. た代表的な植物について、24分類群を写真で示した。 Mabberley, D. J. 2008. Mabberley’s plant - book. 942p. 生物に対して生理作用ないしは薬理作用を発現する 生物活性物質の内、人の生命活動に好ましい影響を及 Cambridge University Press, New York. 松尾英輔.2005.社会園芸学のすすめ.p.216-226.農 ぼす物質を「薬」、好ましくない影響を及ぼす物質を 文協.東京. 「毒」と称し、毒と薬との間に一線を引くことはできな Nelson, L. S., D. S. Richard and J. B. Michael. 2007. い(船山,2012)とされる。園芸植物の中にはアサガ Handbook of poisonous and injurious plants. オやジギタリスなどのように、導入当初は薬用植物と 340p. Springer, New York. . して日本に紹介されたものが多い。また、近年では、 日本中毒情報センター.保健師・薬剤師・看護師向け ニチニチソウが、抗腫瘍薬や抗ガン剤の原料として最 中毒情報データベース.http://www.j-poison-ic. も有望視されている(Roepkeら,2010)事例もある。 or.jp/homepage.nsf.2013.11.3. 一方、第1表で有毒植物として示すものでも、通常の園 大場秀章(編).2009.植物分類表.513p.アボック 芸活動においては全く問題とならない潜在的な有毒植 社.鎌倉. 物も多く含まれている。なによりも大切なことは、こ Roepke, J., V. Salim, M. Wu, A. M. Thamm, J. れらの有毒植物とされる園芸植物を園芸活動の場面か Murata, K. Ploss and V. D. Luca. 2010. Vinca らすべて排除することではなく、人間とこれらの植物 drug components accumulate exclusively in leaf との適切な関係を築くことにあると考える。 exudates of Madagascar periwinkle. Proceedings 本報告は、市民園芸、園芸療法、園芸福祉、園芸教 of the National Academy of Sciences, 107: 育における園芸活動において、有毒植物による事故軽 15287-15292. 減のための基礎的情報となると考えられる。 佐竹元吉(監).2012.日本の有毒植物.pp.104-200. 学研.東京. 引用文献 Spoerke, G. and C. Smolinske. 1990. Toxicity of houseplants. 244p, CRC Press, Florida. American Association of Poison Control Centers. Annual Reports. http://www.aapcc.org/annual- 田崎史江.2006.園芸療法.p.58-62.金芳堂.京都. reports/ 2013.11.3. The Horticultural Trade Association . potentially harmful plants . htt p://a pps.rhs.org.uk/ 安藤敏夫・小笠原亮・長岡 求.2007.日本花名鑑④. schoolgardening/uploads/documents/HTA_ 553p.アボック社.鎌倉. poisonous_plants_600.pdf. 2013.11.3. Dauncey, E. A. 2010. Poisonous plants - A guide for parents & childcare provider. 180p. Kew, 土橋 豊.2011.園芸療法・園芸福祉を担う人材養成 の教育プログラム.p.243-251.農村漁村文化協 Richmond. 船山信次.2012.毒草・薬草事典.238p.ソフトバン ク クリエイティブ株式会社.東京. ― 59 ― 会編.最新農業技術花卉vol.3.農文協.東京. 第1-1表 園芸において注意すべき科別有毒植物一覧 科 名 アオイ科 アカネ科 アカバナ科 アサ科 アジサイ科 アブラナ科 アヤメ科 イソマツ科 イチイ科 イチョウ科 イヌサフラン科 イラクサ科 イワタバコ科 ウコギ科 ウリ科 ウルシ科 オオバコ科 オシロイバナ科 オトギリソウ科 カタバミ科 ガリア科 キキョウ科 キク科 キジカクシ科 学 名 Abutilon × hybridum Corchorus olitorius Coffea arabica Morinda citrina Fuchsia × hybrida Cannabis sativa Hydrangea macrophylla Brassica juncea Iris × germanica Iris ensata Iris laevigata Iris pseudacorus Plumbago auriculata Plumbago indica Taxus baccata Taxus cuspidata Ginkgo biloba Colchicum autumnale Gloriosa superba Pilea cadierei Saintpaulia ionantha Fatsia japonica Hedera canariensis Hedera helix Polyscias filicifolia Polyscias fruticosa Polyscias guilfoylei Schefflera actinophylla Schefflera arboricola Lagenaria siceraria Momordica charantia Toxicodendron vernicifluum Digitalis purpurea Mirabilis jalapa Hypericum perforatum Oxalis bowiei Oxalis brasiliensis Aucuba japonica Hippobroma longiflora Isotoma axillaris Lobelia cardinalis Lobelia erinus Lobelia inflata Chrysanthemum morifolium Dahlia pinnata Leucanthemum vulgare Pericallis hybrida Senecio macroglossus Tagetes erecta Tagetes patula Agave americana Asparagus densiflorus Convallaria majalis Hyacinthoides hispanica Hyacinthoides non-scripta Hyacinthus orientalis Ornithogalum saundersiae Ornithogalum thyrsoides Ornithogalum umbellatum Rohdea japonica 植物名 アブチロン モロヘイヤ アラビアコーヒー ヤエヤマアオキ フクシア アサ アジサイ カラシナ ジャーマンアイリス ハナショウブ カキツバタ キショウブ ルリマツリ アカマツリ セイヨウイチイ イチイ イチョウ イヌサフラン グロリオサ アサバソウ セントポーリア ヤツデ カナリーキヅタ セイヨウキヅタ キレハアラリア ホソバアラリア オオバアラリア フカノキ ヤドリフカノキ ユウガオ (ヒョウタンを含む) ゴーヤ ウルシ ジギタリス オシロイバナ セイヨウオトギリソウ ハナカタバミ ベニカタバミ アオキ ホシアザミ イソトマ ベニバナサワギキョウ ルリチョウソウ ロベリアソウ イエギク テンジクボタン フランスギク サイネリア ワックス・アイビー アフリカン・マリーゴールド フレンチ・マリーゴールド アオノリュウゼツラン スギノハカズラ ドイツスズラン ツリガネズイセン イングリッシュ・ブルーベル ヒアシンス オーニソガラム・サンデルシー オーニソガラム・ティルソイデス オオアマナ オモト ― 60 ― 食 用z ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 第1-2表 園芸において注意すべき科別有毒植物一覧 科 名 キジカクシ科 キョウチクトウ科 キンポウゲ科 クスノキ科 クマツヅラ科 クワ科 ケシ科 ゲルセミウム科 コショウ科 サクラソウ科 サトイモ科 学 名 Sansevieria trifasciata Scilla hyacinthoides Scilla peruviana Scilla siberica Scilla verna Adenium obesum Allamanda cathartica Allamanda schottii Asclepias curassavica Catharanthus roseus Nerium oleander Tabernaemontana divaricata Trachelospermum asiaticum Vinca major Aconitum columbianum Aconitum lycoctonum Aconitum napellus Aconitum reclinatum Aconitum uncinatum Adonis ramosa Anemone coronaria Anemone hupehensis var. japonica Anemone pulsatilla Aquilegia flabellata Clematis cvs. Clematis florida Clematis heracleifolia Clematis patens Clematis texensis Consolida ajacis Delphnium Belladonna Group Helleborus foetidus Helleborus niger Helleborus orientalis Ranunculus asiaticus Laurus nobilis Duranta erecta Lantana camara Ficus benjamina Ficus carica Ficus elastica Ficus pumila Corydalis yanhusuo Dicentra spectabilis Eschscholzia californica Glaucium flavum Papaver rhoeas Papaver somniferum Papaver somniferum subsp. setigerum Gelsemium sempervirens Peperomia obtusifolia Cyclamen persicum Primula malacoides Primula obconica Primula × polyantha Aglaonema cvs. Aglaonema modestum Alocasia × amazonica Alocasia cucullata Anthurium andraeanum ― 61 ― 植物名 アツバチトセラン シラー・ヒアキントイデス オオツルボ シラー・シベリカ シラー・ベルナ アデニウム アリアケカズラ ヒメアリアケカズラ トウワタ ニチニチソウ キョウチクトウ サンユウカ テイカカズラ ツルニチニチソウ アコニツム・コルンビアヌム アコニツム・リコクトヌム ヨウシュトリカブト アコニツム・レクリナツム アコニツム・ウンキナツム フクジュソウ アネモネ シュウメイギク ヨウシュオキナグサ オダマキ クレマティス テッセン クレマティス・ヘラクレイフォリア カザグルマ クレマティス・テキセンシス チドリソウ デルフィニウム ヘレボルス・フォエティドゥス クリスマスローズ レンテンローズ ラナンキュラス ゲッケイジュ ドゥランタ ランタナ ベンジャミンゴムノキ イチジク インドゴムノキ オオイタビ エンゴサク ケマンソウ ハナビシソウ ツノゲシ ヒナゲシ ケシ アツミゲシ カロライナジャスミン ペペロミア・オブツシフォリア シクラメン オトメザクラ トキワザクラ プリムラ・ポリアンタ アグラオネマ属の園芸品種 アグラオネマ・モデスツム アロカシア・アマゾニカ シマクワズイモ オオバベニウチワ 食 用z ○ ○ 第1-3表 園芸において注意すべき科別有毒植物一覧 科 名 サトイモ科 サボテン科 ザミア科 シソ科 シュウカイドウ科 ジンチョウゲ科 スイカズラ科 セリ科 センダン科 ソテツ科 タデ科 ツゲ科 ツツジ科 ツユクサ科 ツリフネソウ科 ツルシダ科 ツルボラン科 トウダイグサ科 学 名 植物名 Caladium bicolor Colocasia esculenta Dieffenbachia amoena Dieffenbachia cvs. Dieffenbachia seguine Epipremnum aureum Monstera deliciosa Philodendron bipinnatifidum Philodendron hederaceum var. oxycardium Spathiphyllum cvs. Syngonium podophyllum Zantedeschia aethiopica Zantedeschia elliottiana Zantedeschia rehmannii Opuntia microdasys Zamia pumila Plectranthus scutellarioides Vitex agnus-castus Begonia grandis subsp. grandis Begonia Semperflorens-cultorum Group Begonia × tuberhybrida Daphne genkwa Daphne odora Edgeworthia papyrifera Lonicera periclymenum Lonicera tatarica Symphoricarpos albus Apium graveolens Cryptotaenia japonica Melia azedarach Cycas revoluta Rheum rhabarbarum Buxus microphylla Buxus sempervirens Gaultheria mucronata Kalmia latifolia Pieris japonica Rhododendron Belgian Indian Group Rhododendron cvs. Rhododendron obtusum Tradescantia cerinthoides Tradescantia fluminensis Tradescantia spathacea Tradescantia virginiana Impatiens balsamina Impatiens textori Impatiens walleriana Nephrolepis exaltata Aloe arborescens Aloe vera Acalypha hispida Acalypha wilkesiana Codiaeum variegatum Croton tiglium Euphorbia marginata Euphorbia milii Euphorbia pulcherrima Euphorbia tirucalli Euphorbia tithymaloides Jatropha curcas ― 62 ― カラジウム サトイモ ディフェンバキア・アモエナ ディフェンバキア属の園芸品種 ディフェンバキア・セグイネ ポトス モンステラ ヒトデカズラ ヒメカズラ スパティフィラム属の園芸品種 シンゴニウム オランダカイウ キバナカイウ モモイロカイウ キンエボシ ヒロハザミア コリウス セイヨウニンジンボク シュウカイドウ 四季咲きベゴニア 球根ベゴニア フジモドキ ジンチョウゲ ミツマタ ニオイニンドウ アルタイヒョウタンボク セッコウボク セロリ ミツバ センダン ソテツ ルバーブ ヒメツゲ ボックスウッド シンジュノキ カルミア アセビ アザレア ツツジ属の園芸品種 キリシマツツジ トラデスカンティア・セリントイデス トキワツユクサ ムラサキオモト オオムラサキツユクサ ホウセンカ ツリフネソウ アフリカホウセンカ セイヨウタマシダ キダチアロエ アロエ・ベラ ベニヒモノキ アカリファ クロトン ハズ ハツユキソウ ハナキリン ポインセチア ミドリサンゴ ギンリュウ ナンヨウアブラギリ 食 用z ○ ○ ○ ○ ○ 第1-4表 園芸において注意すべき科別有毒植物一覧 科 名 トウダイグサ科 トケイソウ科 ナス科 ナデシコ科 ニクズク科 ネギ科 ノウゼンカズラ科 パイナップル科 バラ科 ヒガンバナ科 学 名 Jatropha integerrima Manihot esculenta Ricinus communis Triadica sebifera Vernicia cordata Vernicia fordii Passiflora caerulea Brugmansia arborea Brugmansia × insignis Brugmansia sanguinea Brugmansia suaveolens Brunfelsia pauciflora Capsicum annuum Cestrum nocturnum Datura innoxia Datura metel Datura stramonium Lycianthes rantonnei Nicotiana × sanderae Nicotiana tabacum Physalis alkekengi Solandra maxima Solanum aviculare Solanum lycopersicum Solanum mammosum Solanum pseudocapsicum Solanum seaforthianum Solanum tuberosum Agrostemma githago Dianthus caryophyllus Dianthus chinensis Gypsophila paniculata Myristica fragrans Allium cepa Allium sativum Campsis grandiflora Ananas comosus Chaenomeles sinensis Eriobotrya japonica Prunus armeniaca Prunus laurocerasus Prunus mume Prunus pendula var. ascendens Prunus persica Prunus salicina Rhodotypos scandens Amaryllis belladonna Clivia miniata Crinum asiaticum Galanthus nivalis Hippeastrum cvs. Hymenocallis caribaea Hymenocallis littoralis Lycoris radiata Lycoris squamigera Narcissus bulbocodium Narcissus cvs. Narcissus jonquilla Narcissus poeticus Narcissus pseudonarcissus 植物名 ナンヨウサクラ キャッサバ トウゴマ ナンキンハゼ アブラギリ オオアブラギリ トケイソウ コダチチョウセンアサガオ ブルグマンシア・インシグニス アカバナチョウセンアサガオ キダチチョウセンアサガオ ブルンフェルシア・パウキフロラ トウガラシ ヤコウボク ケチョウセンアサガオ チョウセンアサガオ ヨウシュチョウセンアサガオ ブルー・ポテト・ブッシュ ハナタバコ タバコ ヨウシュホウズキ ソランドラ・マキシマ ソタヌム・アウィクラレ トマト ツノナス フユサンゴ ルリイロツルナス ジャガイモ ムギナデシコ カーネーション セキチク シュッコンカスミソウ ナツメグ タマネギ ニンニク ノウゼンカズラ パイナップル カリン ビワ アンズ セイヨウバクチノキ ウメ エドヒガン モモ スモモ シロヤマブキ ホンアマリリス クンシラン ハマユウ スノードロップ アマリリス ヒメノカリス・カリバエア ヒメノカリス・リットラリス ヒガンバナ ナツズイセン ペチコート・スイセン スイセン属の園芸品種 キズイセン クチベニズイセン ラッパズイセン ― 63 ― 食 用z ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 第1-5表 園芸において注意すべき科別有毒植物一覧 科 名 ヒガンバナ科 ヒノキ科 ヒルガオ科 フウロソウ科 フトモモ科 ベンケイソウ科 マメ科 ミカン科 ミズキ科 ミソハギ科 ムクロジ科 ムラサキ科 ムラサキクンシラン科 メギ科 モクセイ科 モチノキ科 ヤシ科 ヤマゴボウ科 ヤマノイモ科 ヤマモガシ科 ユキノシタ科 ユリ科 ユリズイセン科 ロウバイ科 z 学 名 Narcissus tazetta Scadoxus multiflorus Zephyranthes candida × Cuprocyparis leylandii Ipomoea nil Ipomoea purpurea Ipomoea tricolor Pelargonium crispum Pelargonium × domesticum Pelargonium × hortorum Pelargonium peltatum Eucalyptus cinerea Crassula ovata Kalanchoe blossfeldiana Caesalpinia pulcherrima Canavalia gladiata Clitoria ternatea Cytisus scoparius Glycine max Laburnum anagyroides Lathyrus odoratus Lupinus regalis Mimosa pudica Phaseolus coccineus Robinia pseudoacacia Sophora microphylla Spartium junceum Wisteria floribunda Wisteria sinensis Ruta graveolens Cornus florida Cuphea hyssopifolia Cuphea ignea Punica granatum Aesculus × carnea Aesculus hippocastanum Aesculus pavia Cardiospermum halicacabum Symphytum officinale Symphytum × uplandicum Agapanthus praecox subsp. orientalis Nandina domestica Ligustrum japonicum Ligustrum lucidum Ligustrum ovalifolium Ligustrum vulgare Ilex aquifolium Caryota urens Phytolacca americana Rivina humilis Dioscorea polystachya Grevillea banksii Grevillea robusta Tolmiea menziesii Tulipa cvs. Alstroemeria aurea Alstroemeria cvs. Calycanthus floridus 野菜、果樹、ハーブ、スパイスなどで食用とする植物は○で示した. ― 64 ― 植物名 フサザキズイセン センコウハナビ タマスダレ レイランドヒノキ アサガオ マルバアサガオ ソライロアサガオ レモンゼラニウム ペラルゴニウム ゼラニウム アイビー・ゼラニウム ギンマルバユーカリ カゲツ カランコエ オオコチョウ ナタマメ チョウマメ エニシダ ダイズ キングサリ スイートピー ラッセルルピナス オジギソウ ベニバナインゲン ハリエンジュ、ニセアカシア ソフォラ・ミクロフィラ レダマ フジ シナフジ ヘンルーダ、ルー ハナミズキ メキシコハナヤナギ タバコソウ ザクロ ベニバナトチノキ セイヨウトチノキ アカバナアメリカトチノキ フウセンカズラ ヒレハリソウ ロシアンコンフリー アガパンサス ナンテン ネズミモチ トウネズミモチ オオバイボタ セイヨウイボタ セイヨウヒイラギ クジャクヤシ ヨウシュヤマゴボウ ジュズサンゴ ナガイモ グレビレア・バンクシー シノブノキ ピギーバックプランツ チューリップ アルストロメリア・アウレア アルストロメリア クロバナロウバイ 食 用z ○ ○ ○ ○ ○ ○ 第2表 有毒植物の科別属数と分類群数 科名 マメ科 サトイモ科 ナス科 ヒガンバナ科 キンポウゲ科 キジカクシ科 トウダイグサ科 キョウチクトウ科 バラ科 キク科 ケシ科 ウコギ科 ツツジ科 キキョウ科 ナデシコ科 サクラソウ科 ムクロジ科 ジンチョウゲ科 スイカズラ科 ミソハギ科 アオイ科 アカネ科 イヌサフラン科 ウリ科 クマツヅラ科 シソ科 セリ科 ベンケイソウ科 z 属数 14 12 10 10 9 9 9 8 5 6 5 4 4 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 2 分類群数z 15 19 21 17 21 15 16 9 9 7 7 8 6 5 4 4 4 3 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 科名 ヤマゴボウ科 アヤメ科 クワ科 ツユクサ科 フウロソウ科 モクセイ科 シュウカイドウ科 ツリフネソウ科 ヒルガオ科 イソマツ科 カタバミ科 イチイ科 ツゲ科 ツルボラン科 ネギ科 ムラサキ科 ヤマモガシ科 ユリズイセン科 アカバナ科 アサ科 アジサイ科 アブラナ科 イチョウ科 イラクサ科 イワタバコ科 ウルシ科 オオバコ科 オシロイバナ科 属数 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 分類群数z 2 4 4 4 4 4 3 3 3 2 2 2 2 2 2 2 2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 科名 オトギリソウ科 ガリア科 クスノキ科 ゲルセミウム科 コショウ科 サボテン科 ザミア科 センダン科 ソテツ科 タデ科 ツルシダ科 トケイソウ科 ニクズク科 ノウゼンカズラ科 パイナップル科 ヒノキ科 フトモモ科 ミカン科 ミズキ科 ムラサキクンシラン科 メギ科 モチノキ科 ヤシ科 ヤマノイモ科 ユキノシタ科 ユリ科 ロウバイ科 合計 属数 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 193 園芸品種群 (cvs.) は1分類群とした 第3表 食用植物における有毒植物と有毒部位による分類 植物名 食用部が有毒 アラビアコーヒー アロエ・ベラ アンズ イチジク イチョウ ウメ カラシナ カリン キャッサバ ゲッケイジュ サトイモ ジャガイモ スモモ セロリ ダイズ タマネギ トウガラシ トマト ナガイモ ナタマメ ナツメグ ニンニク パイナップル ビワ ヘンルーダ、ルー ミツバ モモ ヤエヤマアオキ ユウガオ 食用部以外が有毒 イチョウ ゴーヤ ザクロ ジャガイモ トマト モロヘイヤ ルバーブ 有 毒 情 報 種子にカフェインを含むとともに、生豆を大量に扱う際はアレルゲンになる可能性がある 葉にバルバロインのほか、様々なアントラキノン配糖体を含む 未熟果、種子に青酸配糖体アミグダリンを含む 光毒性作用を有する化学物質フロクマリンを含む 食用とする仁に食中毒の原因物質ギンコトキシンを含む 未熟果、種子に青酸配糖体アミグダリンを含む 葉や種子に含まれるカラシ油配糖体が、体内で刺激性の強い成分に変化する 未熟果、種子に青酸配糖体アミグダリンを含む イモに青酸配糖体を含む 葉にテルペンを含む揮発性のローレルオイルを含む シュウ酸カルシウムの針状結晶を含み、汁液による接触性皮膚炎を起こすことがある イモの光が当たって緑色部になった部分、芽の周辺にソラニンなどのアルカロイドを含む 未熟果、種子に青酸配糖体アミグダリンを含む 特に腐った部位に光毒性作用を有する化学物質フロクマリンを含む 種子にトリプシンインヒビター(タンパク質分解阻害酵素)を含む N-プロピルスルフィド、メチルジスルフィド、アリルジスルフィドを含むが大量に摂取する以外は問題ない 果実と種子に粘膜刺激性のあるカプサイシンを含む 果実にステロイドアルカイド配糖体のトマチンを含む シュウ酸カルシウムの針状結晶を含み、汁液による接触性皮膚炎を起こすことがある 種子にアミノ酸類カナバニン、その他コンカナバリンAなどを含む 種子、仮種皮にミリスチシン(仮種皮に多く含まれる)、エレミシンを含む N-プロピルスルフィド、メチルジスルフィド、アリルジスルフィドを含むが大量に摂取する以外は問題ない 果実中にタンパク質消化酵素ブロメリンと針状結晶と含む 未熟果、種子に青酸配糖体アミグダリンを含む 光毒性作用を有する化学物質フロクマリンを含む 未知のアレルゲンを含み、大量に扱う際に接触性皮膚炎を起こすことがある 未熟果、種子に青酸配糖体アミグダリンを含む 種子にカプリン酸を主とする中鎖脂肪酸を含む 果実に苦味成分ククルビタンを含み、食用として選抜していないスイカなどの台木に結実した果実は注意する 葉にアレルギー惹起物質のギンコール酸を含む 種子および塾果の外果皮にモモルディンを含む。種子の周りの赤い仮種皮は有毒ではない。 樹皮、根皮に揮発性アルカロイドのペレチエリン、イソペレリエリンなどを含む 地下茎の先の小さなイモはアルカロイド含量が多く、まれに結実する果実もアルカロイドを含む 葉、茎、根にステロイドアルカイド配糖体のトマチンを含む 茎、果実、種子にストロファンチジンを含む 葉身部にシュウ酸カルシウムを含む ― 65 ― 分類群数z 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 298 ①アジサイ 事例:料理に添えられた葉を食べることによる 食中毒 ②イチョウ 事例:幼児の銀杏の食べ過ぎによる食中毒 ③コルチカム 事例:葉をギョウジャニンニク、球根をタマネ ギと誤食することによる食中毒 ④グロリオサ 事例:球根をヤマノイモと誤食することによる 食中毒。死亡例あり ⑤ユウガオ 事例:スイカ台木のユウガオに結実した果実を 食べることによる食中毒。同種のヒョウ タンも同様 ⑥ジギタリス 事例:葉をコンフリーの誤食による食中毒 (付記:コンフリーも有毒) ⑦イソトマ 事例:汁液が皮膚や目につくことによる炎症 ⑧ドイツスズラン 事例:活けていた花瓶の水の誤飲による中毒 ⑨トウワタ 事例:誤食による食中毒 ⑩キョウチクトウ 事例:キョウチクトウの枝を串にしたバーベ キューで中毒。餌にしたことによる乳牛 の死亡例 ⑪ヨウショトリカブト 事例:誤食による食中毒死。トリカブト類は、 山菜のニリンソウと間違うことによる誤食 ⑫フクジュソウ 事例:芽の状態をフキノトウと間違う誤食によ る食中毒。死亡例がある 第1-1図 園芸における代表的な有毒植物とその事例 ― 66 ― ⑬ランタナ 事例:緑色の未熟果は有毒で、誤食により食中 毒 ⑭カロライナジャスミン 事例:ジャスミンの名から、ジャスミンティー に利用することによる食中毒 ⑮プリムラ・オブコニカ 事例:葉や茎の腺毛による接触皮膚炎 ⑯ディフェンバキア 事例:誤食による舌の口唇のしびれ。同科のポ トス、スパティフィラムも同様 ⑰トウゴマ 事例:種子の誤食による食中毒 ⑱キダチチョウセンアサガオ 事例:誤食による食中毒 ⑲ケチョウセンアサガオ 事例:蕾をオクラと、根をゴボウと間違えるこ とによる誤食 ⑳ジャガイモ 事例:栽培または保管中に光が当たり緑色に なったものや、芽の周辺をたべることに よる食中毒 ㉑スイセン 事例:葉をニラに、球根をノビルやタマネギに 間違えて食べることによる食中毒 ㉒タマスダレ 事例:葉をニラに、球根をノビルに間違えて食 べることによる食中毒 ㉓ナンテン 事例:果実の誤食による食中毒 ㉔ヨウシュヤマゴボウ 事例:果実、根の誤食による食中毒。 「ヤマゴボ ウの漬物」はモリアザミの根である 第1-2図 園芸における代表的な有毒植物とその事例 ― 67 ―
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