井芹ポジペ - WACATE (ソフトウェアテストワークショップ)

 「モデリング手法の背景や目的を学ぶ価値」
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井芹 洋輝
@goyoki
WACATE 実行委員
組み込み
今回の WACATE では、日本でやや無名なテスト技法、Classification Tree Method(以
下 CTM)のセッションを担当します。CTM は同値分割を分類木モデルで表現する、言うなれば同値
分割のモデリング手法の一種です。
なおこの CTM のセッションでは、時間制約で厳しいかもしれませんが、やり方だけでなく、モデリ
ング手法の背景や目的も触れられればと感じています。そうしたものを理解してこそ、CTM のモデ
ルの良し悪しがわかり、モデリング対象の良し悪しの理解も深まると感じるためです。
ところでモデリング手法の背景や目的とはなんでしょうか?当然として様々なものがあります。
例えばクラス図は、(基本設計に限定すると)要求実現のキーとなる問題解決・理想実現の手段
を、的確に構造レベルに具体化することをしばしば目的とします。そしてその目的達成のアプロー
チとして、OO や UML の方法論をルールとして取り入れ、設計やコミュニケーションを支援します。
また別例として、他のセッションで扱うモデル検査のモデリングは、モデル検査による正確性の
確保が主目的の一つです。その目的達成手段として、モデル検査器で検査可能なレベルにする
形式化を要求します。
こうしたモデリング手法の目的や目的達成アプローチは、モデルやモデリング対象について知見
を深めてくれます。例えばクラス図ならば、極論すれば「良いモデルや良いソースコードとは、優れ
た OO 設計に立脚するもの」といった知見を、手法の背景を知ることで読み取れるようになります。
ちなみに CTM の目的はというと、漏れ・ダブりなくテストの十分性を確保する事、とよく説明されて
います。仕様との合致性検証に限定すると、ソフトウェアテストの設計は、テスト要求やテスト目的
で求められたテスト空間を網羅していく行為です。CTM はそこで「個々のテスト空間の和集合が網
羅すべきテスト空間と合致」「個々のテスト空間の積が空」を理想としてテスト空間を分割し、無駄
なく網羅することを目的にします。そしてその目的達成のため、ツリー表現で抽象度の切り替えや
漏れ・ダブリのチェックを容易にする、といったルールを取り入れています。
なお今回の WACATE では、CTM 以外にもいくつかのモデリング手法が扱われる予定です。良い
モデリングや良いモデルについて知見を深めるためにも、モデリング手法を学ぶ際はその目的や
背景に目を向けて見ると、更に学べるものがあるかもしれません。
Position Paper for WACATE2014 Winter
Dec 06 – Dec 07, 2014 @ Maholova-Minds
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