11. May. 2016 Vol.48/16 スポーツカーへの情熱から生まれる品質 ポルシェの生産における品質への独自の取り組み ポルシェ AG(本社:ドイツ、シュトゥットガルト 社長:Dr.オリバー・ブルーメ)にとって、 最高レベルの品質を保つことはポルシェのブランドアイデンティティの本質です。車とお客様 とのあらゆる関わりを対象に、徹底的な品質基準の管理が実践されています。技術、パフォー マンス、サウンド、製造、および長期間の品質保持と共に、デザイン、さわり心地の良さ、精 巧さ、およびディテールへのこだわりもあります。ポルシェの車両開発は、このブランドアイ デンティティに基づいており、これは生産体制にも反映されています。カスタマーセンターに おけるお客様への対応やサービスセンターの品質も、そのプロセスの一部です。これらが完璧 に調整された相互作用の結果、つい最近 718 ボクスターと 718 ケイマンにおいて具現化された ように、開発当初から完成された最高レベルの製品が生み出されます。 ポルシェ AG の生産およびロジスティック担当取締役のアルブレヒト・ライモルドは次のよう に語っています。「全てのポルシェ車は、生産や開発に限らず、ポルシェのあらゆる企業部門 にわたる包括的な品質基準の証明です。全従業員は、ポルシェが誇る極めて高い品質をお客様 に届けるべく、毎日手際よく働いています。私達が生産する車両の一台一台には、その寿命の 全段階を通じてこの品質が保たれています」。多くの場合、この寿命は非常に長期間です。こ れまでに生産された全てのポルシェ車の 3 分の 2 以上が、現在も走り続けています。これも、 ポルシェ品質の典型的な特性です。 ポルシェ品質の 4 つの柱 品質に関する顧客の期待は多面的です。それゆえ、ポルシェの企業品質担当副社長フランク・ モーサーは、品質を 4 つの柱(エモーション、機能、イメージ、サービス)の観点から定義し ています。「お客様とブランドとの個々の相互作用は、4 つの全ての柱で計ることができます」 とモーサーは述べています。さらに、それぞれの柱の下には、多くの細分化された側面があり ます。この複雑なマトリクス全体が全ての厳格な基準を満たし、完全性を達成するまでは、優 れた品質は実現しません。「それぞれの柱は、継続的かつ持続的によりいっそう最適化されな くてはなりません。私達がすでに達成したことは、私達にとって決して十分ではありません」 エモーションは、デザイン、パフォーマンス、およびサウンドの多層的な組み合わせ から定義されます。感情品質は、ポルシェにとって極めて重要な特性であり、顧客に とっては購入の決め手になります。 機能は、何よりもまず、車がいつでも完璧に作動するという期待を満たさなくてはな りません。機能品質を構成する要素は、信頼性、使い勝手、および実用性です。 心地よさ、精巧さ、外観、ディテールへのこだわりといったキーワードが、イメージ を説明します。イメージとは、完璧な見た目に非の打ちどころのない外観、つまりポ ルシェを完璧にしているものです。 優れたポルシェの品質は、お客様とのやりとりにおける優れたサービスによって完成 します。 集中管理、分散実施 自動車産業においてポルシェ独自の特徴となっているのが、集中的に管理されながら個々の部 門や事業単位ごとに分散的に実施されている品質プロセスです。例えば、企業品質の主管部門 に加えて、調達、開発、生産、および営業部門にもそれぞれ個別の品質部門があります。「品 質競争力は、こうして会社全体を通じて具現化します。各部門は、できる限り最高の品質を達 成するという高い目標を掲げています。ポルシェでは、それぞれの各担当者に対して、完全性 や品質にもっと注意を払うように促す必要がありません」と、モーサーは述べています。 継続的な課題は、それぞれのニューモデルについて品質をさらに高めることです。モーサーは 次のように述べています。「新しい技術が導入され、製品の複雑さが大幅に増大しているにも かかわらず、私達は高い品質レベルを達成していますが、単にそれを維持するだけではなく、 ニューモデルごとに品質をよりいっそう高めることが課題です。クレームや保証費用などに関 する正確な統計の作成など、品質を測定して透明化するための様々な主要指標があります。ま た、長期的品質のための統計もあります。その一例が、2016 年度 TÜV 報告書です。この報告 書では、7 年、9 年、および 11 年の 3 つの車齢カテゴリーにおいて、ポルシェ 911 が最も不具 合の少ないモデルとして最高位にランクされました。さらに、J.D.パワーの国際的な品質評価 においても、ポルシェ 911 は長年にわたり最優秀の評価を受け続けています。 アルブレヒト・ライモルド:「こうした最も高い領域における継続的な取り組みは、私達が品 質面でスポーツカーを製造するということを深く理解していることを示しています。全てのア スリートは、競技における自分の能力を測定値と主要指標によって評価します。ポルシェも、 まさに同じやり方でスポーツカーを製造しています。品質解析センターはもちろん、作業準備 においても組立ラインにおいても、生産に携わる全ての従業員はこの課題を意識しています。 この課題に日々新たに立ち向かうことに喜びと同時に緊張感を感じています」。 ポルシェの生産における品質手法 ツッフェンハウゼン工場とライプツィヒ工場にある品質解析センターと最終検査場は、ポルシ ェにおける品質プロセス全体の主要な要素です。これらの施設は、生産のエキスパートが様々 な部品の詳細な不具合の原因解析を実施することを可能にします。品質解析センターは、特に ニューモデルの生産立ち上げにおいて重要な出発点です。ここでは、車のイメージが、最初か ら入念に最適化されます。目標は、完成した当初から最大限の完成度で量産を進めることです。 これに加え、エキスパートは、そのモデルが退役するまで必要とされるコンタクトパーソンで あり、重要な品質問題を解決する必要がある場合には常に関与します。「ポルシェにおいて、 品質は、精力的な取り組みの結果です。その動機となるのは、あらゆる段階と局面における完 璧なスポーツカーへのこだわりです。品質のテーマに関して、私達は、その本質に通じるどの ような小さなことも研究します。それが、ポルシェを際立たせているのです」と、アルブレヒ ト・ライモルドは述べています。 入念な品質への取り組みを示す 3 つの革新的手法が、キュービング、エクステリアマスター治 具、およびボディ・イン・ブラックです。 キュービングでは、無垢のアルミニウムから実物大の車のボディが削り出されます。 あるモデルの生産開始時において、これが組立部品の最適化と品質認定のための基準 となり、後付け部品の機能解析に役立てられます。また、社内の皮革工房で仕立てら れたレザー仕上げのコックピットのチェックや、ヘッドライトなどのコンポーネント の正確な嵌まり具合、継ぎ目の品質、外観の品質及びチェックに使うことができます。 誤差は、10 分の 1 ミリの精度で見つけられます。 エクステリアマスター治具は、シートメタルと後付け部品の機能解析のために精密測 定装置と共に使用されます。ここでの注目すべき点は、ボディ全体の精度を極限まで 高めることです。すなわち、様々な部品が個々の寸法公差に準拠している場合でも、 それらがどれくらい正確に組み合っているかを調べることが、ここでの解析領域のひ とつです。等高線や継ぎ目などの特性も、キュービングと同じく 10 分の 1 ミリの精度 で検査されます。 シートメタル部品の表面測定に関する「ボディ・イン・ブラック」は、表層部分の正 確な測定を可能にします。表面に関係する最新の内装部品と外装部品で作られ、特に 生産開始時に先立つパイロット生産において、所定の求められる製造品質からの如何 なる誤差も見逃しません。 新たな品質課題 ポルシェにとって、未来はすでに始まっています。課題は、デジタル化、スマートモビリティ、 E モビリティなどの新技術との統合と同時に、製品の品質をさらに高めることです。ここで、 ポルシェは単に統合作業を実施しているのではなく、どうすれば全てのディテールをブランド と各モデルによりいっそうの融合を図れるのかを考えています。このことは、アプリ、インタ ーネットサービス、コネクティビティーにも当てはまります。「ディスプレイにカラフルな画 像を表示させるだけの問題ではありません。ここで私達は、高品質なコンセプトを保証し、品 質を再考する必要があります」と、フランク・モーサーは述べています。 ツッフェンハウゼンとライプツィヒのポルシェ品質解析センター 目標:パイロット生産から生産終了に至るまで、不具合の原因を解析し、部品の品質 認定を行うこと。初期段階における品質管理を最適化するための予防的解析。 ツッフェンハウゼン ライプツィヒ 開設: 2014 年 7 月 2016 年 6 月 床面積: 約 3,000 平方メートル 約 6,000 平方メートル 従業員数: 30 150 設備: 電気/電子解析を含む 6 台 の解析ステーションを備 える解析工房 6 台の解析ステーションを 備える測定装置エリア。う ち 3 台は極めて高精度な (100 分の 1 ミリ単位)固 定式測定機と、総合車両解 析およびキュービング解 析に用いる移動式測定機。 エクステリアマスター 治具、シームマスター 治具、およびキュービ ングのために 9 台の固 定式三次元測定機と 5 台の移動式測定システ ムを備えるマスター治 具/キュービングセン ター マスター治具/キュー ビングセンターは最大 4 件の並行した生産開 始時に対応可能なレイ アウト パイロット生産車を製 造するためのパイロッ トセンター 重要な品質手法と任務: o キュービング:エクステリアおよびインテリア用後付け部品のパイロット生産 品質認定。 o エクステリアマスター治具:部品の嵌まり具合、継ぎ目、車体と組立部品の適 合に関する車体部品のパイロット生産における品質認定。 o シームマスター治具:構造関連車体部品の嵌まり具合と接合性に関するパイロ ット生産における品質認定。 o 移動式および固定式の測定装置を用いた総合車両解析。 o ボディ・イン・ブラック:シートメタル部品のパイロット生産における品質認 定。 o 総合車両検査 ツッフェンハウゼンとライプツィヒの生産現場で装着される全ての車両部品は、上記 の装置と手法を用いて品質認定と解析が行われます。 <本件に関する読者からのお問い合わせ先> ポルシェ カスタマーケアセンター 0120-846-911 ポルシェ ホームページ http://www.porsche.com/japan/ <本件に関する報道関係の方のお問い合わせ先> ポルシェ ジャパン株式会社 広報室/塚原 久 木内洋治 〒153-0064 東京都目黒区下目黒 1-8-1 アルコタワー16F TEL:03-5436-5936 FAX:03-5436-5919
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