2 雇用契約の使用について 先月の記事では被雇用者の賃金と残業時

カリフォルニア州雇用法 – 2
雇用契約の使用について
先月の記事では被雇用者の賃金と残業時間に関する諸問題について説明しました。第
二部の今月は、雇用契約の使用について紹介したいと思います。
アメリカでは従業員は流動的で雇用者や職業を一生の内に何度も変えることは
一般的です。多くの人々の目的はいかによりよい報酬と手当を得られる働き口を見つけ
るか、ということです。アメリカ連邦法とカリフォルニア州法は雇用者より従業員が守られ
るように作られています。そのため、両者への保護を平等にする目的で、多くの会社は書
面での社員契約を使用します。これは特にマネージャー職から始まり、部長職などの高
い地位にあるもの、また専門職(例えば弁護士、公認会計士、医者など)、そして会社役
員、取締役、共同経営者等にもよく用いられます。
雇用契約について、雇用契約書を明確にいつ要求するかを示す法律もなければ、
明確なルールもありません。確実に言えることは、社員契約というのはすべての人やす
べての状況へのものではないということです。そのため、それぞれの雇用者や従業員に
なる可能性のある者は明確な雇用状態に注意深く目を向け、また長所、短所も十分に考
えた上で、雇用契約書の使用を決定する時を決めるべきです。
以下は雇用契約の使用が必要となりうる状況を示します。
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雇用期間
雇用期間は従業員の雇用される期間の長さを示します。
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明確な期間
従業員の業務成績によるもの
会社の業務成績によるもの
会社のプロジェクトによるもの
具体的な従業員責任
企業は従業員に対して、明確な最低限の業務責任、そして事務要求を述べること
が出来ます。以下はその例です。
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一人またはそれ以上の従業員の管理
一部門またはそれ以上の部門の管理
一社またはそれ以上の支社の管理
地理的な販売責任
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明確な社員手当
企業は社員契約において特に手当、そして、その手当の制限を明確にすることが
出来ます。これらの手当は従業員の業務へのやる気を掻き立てる為に役立ちま
す。
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健康保険
休暇
身体障害による休暇
ビザサポート
経費口座など
明確な解雇の根拠
雇用契約の中で解雇についてその理由と時期を明確にすることが出来ます。従
業員が退職を希望する場合はその通知義務、そして解雇時の従業員の義務や
権利などです。
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原因のある解雇
o 犯罪行為、不従順、故意の職権乱用、または企業方針の妨害等です。
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原因のない解雇
o 基本的に従業員は明確な理由なしに解雇される場合があります。
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従業員による希望退職
o 退職通知の必要性
- 早期の退職通知により企業はその従業員の後任を他の社員に委任す
る、または他の人間を雇用することができます。
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退職後の義務と権利
o 従業員は退職後、企業の所有物を返還しなければいけません。退職後の
権利としては退職金があります。
企業競争
雇用契約により、競争相手となる退職後の従業員の能力について制限すること
ができます。
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所有する情報の使用
従業員により作られる製品への所有権
o 多くの従業員は彼らの業務を進める過程で製品を発明したり、出版物を書
いたりすることでしょう。雇用契約書なしでは、このような知的所有物のいく
つかは企業ではなくその従業員に所有権があります。それは企業にとって
貴重な財産であるものを奪われる事にもなり得ます。
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企業の保護
雇用契約により法的に企業秘密が利用されるのを守ることができます。
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紛争解決
裁判所で扱われている従業員との紛争の訴訟は大変費用がかかり、また沢山の
時間を消費します。また公にその申し立てを知らしめる結果にもつながります。
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商業秘密
顧客リスト
顧客情報
企業製品の所有権
o 特許
o 著作権
o 商標
調停や仲裁による裁判制度の制限的な使用
o 費用削減
o 弁護士費用削減
o 訴訟が公に知られる危険性の縮小
仮採用期間
仮採用期間により企業は従業員の能力確認やその企業にふさわしい人材かどう
かを見極める事が出来ます。
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90 日の仮採用期間
o アメリカの企業では 90 日間の仮採用期間は大変一般的です。
社員手当
o ある企業では従業員は仮採用期間を終了するまで、社員手当の対象には
なりません。
評価
o 仮採用期間の終了時に、従業員の評価は完了されますが、労働能力評
価はその従業員の雇用期間中ずっと継続されることもあります。
原因のない解雇
o 仮採用期間中の従業員が企業の満足できる仕事を出来なかった場合、そ
の従業員は解雇されうるでしょう。
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他の支社への移転
雇用契約により従業員の他の支社への移転の必要性を明確に出来ます。
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従業員の報酬
雇用契約は従業員の報酬の根拠を明確に示すことが出来ます。
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Salary
時間給
昇給とボーナス
委託事務手数料
Stock Option
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雇用契約の短所
雇用契約の中で明確な必要性を処理しなければ、時に、その契約は企業にとっ
て不利に働きます。従業員との雇用契約を考える企業は、企業の権利を守る為
にも契約書が下書きの段階で弁護士に相談し、内容を確認してもらうべきでしょう。
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従業員の手引きと人事方針
企業は従業員の手引きと人事方針を用意すべきです。それは準契約の働きをし、
またそれにより企業は従業員への期待とルールを伝えることが出来ます。従業員
の手引きは、特に、雇用契約書のない従業員に対して、契約と同じような物にな
ります。
雇用契約はそれが当てはまる従業員にとって必要です。そして、それは個々のケ
ースにより大変異なります。雇用契約はアメリカでとても一般的ですが、日本ではさほど
ではないでしょう。それはこの二つの国々の法律や文化の違いによるものです。カリフォ
ルニア州法は雇用者から被雇用者を守るよう、作られています。そして、ある状況下では、
雇用契約書の使用が最善の策のようです。
(この記事は参考として一般的な概要を皆様にお伝えすることを目的としたものであり、
個々のケースに対する法律上のアドバイスではありません。)