スウェーデンの住宅とイノベーション Vol. 住宅と階段 12 階段の平面図の例 第 12 号 のポ イント P 1. 階段はインテリアの一部で 住空間のオブジェでもある。 2. 階段は住空間を豊かにして くれる存在でもある。 3. 階段で最も危険なことは、 上り下りのリズムが変わること。 筆 者プロ フィ ール ? 金井田晃央(かないだあきお) 1975 年 群馬県生まれ 日本大学大学院(建築・構造)を 卒業後、スウェーデンへ渡る。 スウェーデンで住宅・建材の輸出 マネージャーを 10 年間務める。 河本工業の次世代型住宅である “Komoto Hus”(河本ヒュース)の 開発メンバーに携わる一人。 スウェーデン住宅・建材・家具等 の輸入手配を主に担当している。 筆者ホームページ: http://mala-gruppen.com 曲 線が 美しい スウェーデ ンの 木製 (パイン )階 段 Hejsan! 今回はスウェーデンの階段についてお話しします。スウェーデンでは、住宅に使われている 建材のほぼすべてが木製です。もちろん階段も木製で、主に使われている材はパイン材(松)です。 日本と最も違うところは、階段はインテリアの一部であるということです。インテリアに合わせて各部位の 造形や材質、仕上げを選び、まるで北欧家具のような仕上がりをした階段が一般的です。 階段の手すりやフレーム(ささら桁)は、直線でなく曲線的に仕上げることも多く、曲線が美しいその形状は まるで住空間のオブジェと言えるでしょう。そのため、リビングに階段が設置されることも多いのです。 スウェーデン階段の魅力は、このように、インテリアに合わせ階段を標準でカスタマイズできることです。 本来、階段とはこんなにも住空間を豊かにしてくれる存在なのだと改めて考えさせられます。 ところで階段といえば、上り下りが安全でなければいけませんね。その安全性で興味深いことが、 スウェーデンの階段は、踏板中心の奥行きが、すべての段において同じに設計されます。たとえ階段が 曲がっていても・・・です。そのため、階段の平面図を見ると、踏板の形状が一つひとつ違うのです。 すべての段の高さはもちろん同じわけですから、階段の主に通る場所の奥行きと高さが同じ、つまり、 どういうことかというと、階段を上がったり下りたりする時のリズムが同じ・・・ということです。 階段で最も危険なことは、階段のリズムが変わることである。これがスウェーデンの階段哲学なのです。 形状は機能に従う・・・のですね。次回は、踏板が浮遊している階段をご紹介します。お楽しみに! 文責 金井田晃央 ( 筆者へのお問い合わせ先: [email protected] ) Innovatio : イノ ベー ションとは、これまでのもの、仕組みなどに対して、 全く新しい考え方や技術を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起すこと。 © Måla 2013
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