★『あなたの国の平和教育について』 クリス エリオットさん(アメリカ合衆国) 私はアメリカ教育制度で行われる、模擬国連授業や現代世界活動の教育、「自由」と「平 等」を強調する教育などについて話したいと思います。 それに加えて、日本の教育制度の制服と生徒の体裁(外見)に対する方針について話し 合いたいと思います。僕としては、日本における制服制度は厳しすぎて、一般的な日本国 民に様々な文化や外見を受け入れさせないようにしていると感じます。 トーマス・ミッチェルさん(アメリカ合衆国) アメリカにおける平和教育は、日本での平和教育と随分違います。 例えば、日本の小学校では、「平和教育プログラムの担当者」という平和活動のまとめ役 を果たしている人がいます。アメリカでは、そういったプログラムはありません。 その上、私のアメリカでの経験から言うと、多くのアメリカ国民は第二次世界大戦が終 った後の平和は、その戦争を通して勝ち取ったものだと思っています。 アメリカでは、第一次世界大戦の終戦後、アメリカの孤立主義的な国策や国際連盟の弱 さ、極右的国家主義に立ち向かえなかったことなどを要因として、それらのことによって 第二次世界大戦が勃発したと一般的に教えられています。 多くのアメリカ人が、平和をもたらすために、国としてつねに戦いに行ける態勢になけれ ばならないと思っています。従って、「自由と平和」のために、実際に戦争を起こしにいく 場合もあります。 これは、アメリカと日本の平和教育における最も重要な相違ではないでしょうか。 フランク・ゴードンさん(アメリカ合衆国) アメリカで平和教育カリキュラムが導入された場合に、次のようなことを推進すべきだ と思います。 (ア)第二ヶ国語を覚えること (イ)海外への修学旅行、又は留学 (ウ)他民族や文化について学ぶこと (エ)歴史を勉強すること 上記のことを通して得た知識は、他文化・他民族に対する寛容性の向上につながると思 います。世界平和を推進するために、それはかけがえのない知識となるでしょう。 ヨシコ・ゴードンさん(アメリカ合衆国) この質問には、アメリカが私の母国でないこと、若い成長期に良くも悪くも独立心を持 たせてくれた国と言っておきます。 私はアメリカの平和教育については、外国人としての立場で受け止め理解してきました。 正直言って、人種が寄り集まって生きているアメリカでは、人々が人種、週間、文化の違 いを超えて統一をとりながら生活する訳ですから、現実はまず平和な住みやすい国であっ −1− てほしいと望むことからです。つまり、アメリカの平和教育とは、バックグランドの違う 人達を尊敬し、思いやりの心を持ちながら、仲良く自由の地で共存する意識を植え付ける ことだと思います。 私の知る限りでは、イラクその前のアフガニスタンとの戦いについて、教育の場で深く 子ども達に知識を与えたか、与えているかは非常に疑問です。現地が戦火でないため、ア メリカ人の生活はごく普通にされているからでしょう。 ジュリー・内間さん(フィリピン) 私はフィリピンから来ました。フィリピンでは「平和教育」を受けていません。基本的 には、フィリピン人は平和を愛する国民でもあると思います。我々フィリピン人は、平和 教育を受けていると言うより、平和を体験していると言えるでしょう。平和は私たちの日 常生活の一部になっています。私の知っている限りでは、フィリピンは国として戦争を起 こしたことがありません。国内の紛争が起こる時に、虐殺などがありますが、暴力は、平 和的な手段を全部つくしてから、最後的な手段だけとしてふるわれます。 私はけっこう長い間沖縄県に住んでいますが、毎年の短期旅行以外、フィリピンに帰っ ていませんので、自国に起こっている大きな変化などを経験、目撃する機会があまりない のです。私や私の世代のフィリピン人は、戦争を経験したことがないため、平和は当たり 前のように思ってきたのではないかと私は心配しております。 ニコラス・アキンバデさん(イギリス) 僕が学校に通っていた時代は、「平和」という科目はありませんでした。しかし、世界大 戦などの大きな戦争が終結したあとの、平和の役割の大切さなどは、歴史のカリキュラム の一部として教えられていました。当時は、戦争はとても悲惨なものとしてみなされてい ました。(そうみなされるべきでしょう)戦没者や戦争後の社会における問題や苦労などが 強調されました。思い出してみると、その授業の中では、戦争のことが非常に一方的に教 えられたと思います。要するに、戦争に反対する立場から教えられていました。 しかし、世界大戦の対戦国は何故戦争を起こしたか、何を目標として戦争に行ったか、 その理由をもっと教えるべきではないかと思います。 一方、その授業の良い点と言えば、授業の内容が戦争に反対していたことによって、生 徒達がみな戦争に反対し、平和に賛成するようになりました。(その授業を受ける前にもす でにそうなっていたのかな?) 学校では、平和を推進する組織(国連など)については、あまり教えられていませんで した。そのようなことは、自分でニュースなどを見て勉強するしかなかったです。 ラー・メイソンさん(イギリス) イギリスの学校では「平和教育」という必修科目はありません。なので、平和学習に対 するイギリス人の一般的な考え方や意識は、比較的浅いものと思われます。 一方、中学校や高校または大学では、世界史の授業の一部として、平和学習が含まれま す。特に、第一次・第二次世界大戦について、中学校の頃から徹底的に教わります。その ような戦争の歴史の学習は、大体ヨーロッパを中心とするものです。 −2− 例えば、ヒトラー総統による大量虐殺などの方が、太平洋戦争のことより細かく分析さ れて、勉強をさせられます。それに、毎年の 11 月 11 日に「レメムベランス・デイー」が 開催されます。それは沖縄の「慰霊の日」に相当する行事だと思われます。 イギリスのある地方では、人種差別や宗教差別による紛争やトラブルなどがしょっちゅ う勃発しています。その問題地方の2箇所には、「平和学習」という専攻がとれる大学があ ります。それぞれのコースで、世界平和や国内平和などについて、集中的に学べます。 イボンヌ・フェアグリブさん(スコットランド) スコットランドでは、多様な文化がありますので、平和は各家庭における仲の良さから、 始まらなければならないと思います。他の文化を受け入れながら、自分の生活感を大事に しなければなりません。それを出発点にすれば、身近にいる人々への理解と尊重が高まる でしょう。 学校や地域社会においては、各世代で「生涯学習」を通して平和や国際文化関係と言う 議題に積極的に取り組んでいます。生涯学習には、次のようなことが含まれます。 直接体験:プロの実践研修会、国際交流プログラム、国際的な NPO・NGO 組織の活動 参加、国際関係 学習活動:芝居などを通した「世界の民」としての実践活動、ロールプレー、多文化や 人種差別についての教育、貿易や経済、戦争問題と終戦の直後 IT体験:インターネットを通しての外国についての調べ、電子メールの文通友達、オ ンラインでの政府・団体のボランティア活動、国際的なプロジェクト協力 学校では、現代学という科目があって、その中で、世界の安全や国連、NATO、飢餓問 題、戦争に対する防衛対策などなどが教えられます。 それに、宗教的な戦争を防ぐために宗教教育があります。そこで、各宗教への理解を深 めるための学習や貧富の格差、先入観と差別、命の貴さなどについての学習があります。 スコットランドでは、平和教育の重要性が認められています。上記のことを読んで分か るように、平和を推進するために、様々な面で積極的に取り組んでいます。というのは、 皆が同じ地球を共有したり、お互いに支えあったりと、一人の活動が他の人に影響を及ぼ すからです。 ●このほかにもこのような話がありました (ニコラス) アメリカでは理由があれば、戦争をしてもいいと教育を受ける。アメリカがイラクなど と戦争をする場合、その国の文化、民族、宗教、など理解しているか疑問である。例えば、 アメリカとイギリスが戦争をするのは考えられない。暴力はいけないということを教えな ければならない。 (トーマス) 小学校の 4 年生のクラスにどの国が好きですかとの質問に、中国が大嫌いだ、冷戦の核 兵器競争も必要だったと教育を受けた。反日デモをしているとのニュースを見て単純に判 −3− 断してしまう。このようなニュースがあれば、学校や家庭でも、なぜ、そのようなことが 起きたのかを、ちゃんと教えなければならないと思う。 アメリカの教育では、国連の模擬ディスカッションがあり、小学校でも導入できないか。 (ジュリー) 歴史を勉強しなければいけない。 (イボンヌ) アフリカ、東ヨーロッパなど戦争体験者が学校現場に来て、話しをしてもらったりすれ ばその国の文化などが直接的に理解できるのではないか。その方がインパクトはある。 (ヨシコ) 沖縄のこども達は、他のところよりも平和教育受けている。その子どもたちが他の国に 行き、平和教育をしたらと思う。問題やテロが起きた場合にそれについてみんなで話し合 わなければならないと思う。沈黙してはいけない。 (クリス) 13 才未満の子どもたちは「平和は何なんだろう」と思っている。大人、親たちは平和の 尊さを教える必要がある。広島に住んだことがあるが、毎週のようにイベントが行なわれ ている。広島では平和教育に力を入れている。 −4−
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