ズームアップ カシュー株式会社— ————— 調査 購入地域からみた

3
月
Mar.2012
No.99
彩論 埼玉労働局長 安藤 よし子 氏— —————
ズームアップ カシュー株式会社— —————
調査 購入地域からみた県内家計の消費行動— —————
アンケート調査 埼玉県内設備投資動向調査— —————
1
2
5
9
県内企業の設備投資は 3年連続で改善
最近の環境問題を考える9 今後の脱炭素社会を思う— ————— 13
県内経済の動き— ————— 17
月次経済指標— ————— 19
タウンスケープ— 春日部市 —————— 21
人・自然・産業が調和した快適創造都市 春日部
国指定特別天然記念物「牛島のフジ」
(春日部市)
市町村経済データ— ——
企画
編集
公益財団法人
裏表紙
埼玉りそな産業経済振興財団
論
「 全 国 最 下 位 」の シ ョッ ク
埼玉労働局長
「え?最下位?」
安藤 よし子 氏
は、前回調査のときの約6倍の 6万人余りとな
昨年の11月の終わりのことである。暗い顔
り、雇用率を大きく引き下げる要因となった。
をした担当者が節電で暗い局長室に入ってき
しかし、制度改正のせいにばかりしていられ
て切り出したのは、平成23年6月時点の埼玉
ない事情もある。障害者雇用率は企業単位で
県内の民間企業における障害者雇用率が全
計算するので、埼玉にある事業場でも、本社が
国最下位になる、という暗い事実であった。
他県にある場合は、そこの障害者はすべて本
この事実を耳にした私の最初の反応は、
「何
社に参入される。埼玉県内本社企業の法定雇
故…?」というものであった。埼玉労働局では、
用率達成企業割合は、39 .0%と、全国平均の
かねてより県その他関係団体との連携の下、
45 .3%よりかなり低く、新規雇用分の障害者数
障害者雇用の促進に取り組んでおり、平成22
は今回調査も前回調査もほぼ 800人程度と変
年度に県内ハローワークを通じて就職した障
化がない。結局、2 ,060人と増加した就職者の
害者は 2 ,060人と、平成21年度の1 ,641人を大
相当数は県外本社の企業に流れたことになる。
きく上回り、この 419人という増加幅は全国第
本社がどこであれ、障害者が働く場が県内
2位という好成績を挙げていたからである。
「障害者の雇用の促進等に関する法律」は、
に確保されることには大きな意義がある。し
かし、障害者にとって、
「 地域で暮らし、地域
56人以上規模の企業に1 .8%以上
(特殊法人
で働く」ことを実現するのは、とても大事なこ
等は2 .1%以上)
の障害者を雇用しなければな
とである。地域の、地場の企業の皆さんに、改
らないこととしている。平成22年6月の埼玉県
めて障害者の雇用をご検討いただきたい、と
の障害者雇用率は1 .59%、全国42位で、これ
いうのは、決して雇用率のためだけではない。
をさらに上げなければ、
と力を入れていたところ
障害者雇用の裾野を広げたいのである。また、
であったが、平成23年6月は1 .51%、三重県と
障害者雇用に当たっては、一人ひとりの特性
並んで全国最下位、
となってしまったのである。
をよく見て、仕事の工夫をすることで能力発揮
これには、理由があるといえなくもない。平
につながることが多い。これは、障害者だけ
成22年7月、障害者雇用率の算定方法の改正
でなく、多様性を増す社員の雇用管理にも役
があり、従来は雇用率にカウントされていなか
立つことであろう。障害者雇用をきっかけに、
った短時間で働く障害者もカウントできるよう
女性も、高齢者も、若者も、さまざまな事情を
になったが、同時に、分母になる労働者数に
抱えた人たちがともに働き、能力を発揮し、支
も短時間労働者が算入されることになった。
えあう社会を埼玉でつくることにつなげたい。
埼玉県はもともとパートタイム比率が高い。こ
「全国最下位」のショックをてこに、さらに
の制度改正により、分母の労働者数の増加幅
—— 埼玉りそな経済情報2012.3
努力しなければと思う日々である。
カシュー株式会社
「 受け身」を脱して、顧 客 へのデザイン 提 案 力を 強 化 。
塗 料 製 品で 世界 を相 手にグローバ ル事 業に 取り組む
カシュー 株 式 会 社 は 、戦 後すぐ、カシュー ナ ッツから 植 物 性 フェ ノー ル 化 合 物 を 抽 出し 、従 来 に は
な い 漆 系 塗 料カ シュー を 開 発した 塗 料メ ー カ ーで あ る 。そ の 後 の めまぐるし い 時 代 の 変 化 に 対 応
し な がら 、デ ジタル 機 器 や 家 電 機 器 、自 動 車 、住 宅 など 幅 広 い 分 野 に 適 合 する 塗 料 を 開 発して い る
同 社 が 、近 年 営 業 戦 略として 重 視して い る の が 、世 界 市 場 をとらえ たグロ ーバ ル 事 業 の 展 開 だ 。
代表取締役社長
代表者
代表取締役社長 清水 龍
設立
昭和23年11月
資本金
1億4,500万円
従業員数
288名
事業内容
塗料および合成樹脂の製造・販売
所在地
〒331-8633 さいたま市北区吉野町1-407-1
TEL 048 -653 -1115 FAX 048 -653 -2770
URL http://www.cashew.co.jp
清水 龍 氏
私たちは普段あまり意識していないが、あらゆ
る分野のさまざまな工業製品に欠かせないものに、
塗料がある。
「塗料には
『美観』のほかに、錆や傷などを防ぐ
に展開している海外企業とも取引をし、世界市場
のシェア約20%を得ている。
カシューナッツから作った 塗 料
『保護』
、そして遮熱をはじめとする
『機能』という
カシュー株式会社は昭和23
(1948)年、日本漆
3つの大きな役割があります。しかし、消費者に直
塗料株式会社として創設された。戦後の経済復
接認識されるものではないので、このメーカーの
興の中、漆に代わる、ほとんど同じ成分の塗料と
塗料を使っている製品を買おうというようなことに
して同社が開発したのがカシュー。カシューナッ
はなりませんね」
(清水龍社長)
ツを主原料とする塗料である。
顧客である各メーカーから要望を受け、それに
「アメリカの文献を読んでカシューナッツに注
合わせるだけの
「受け身」状態だった塗料業界の
目した創業者の清水谷一郎が、昭和14年に渡米
中で、さいたま市に本社を
置くカシュー株式会社は、
さいたま市にある本社工場(左 )
と工場
内にある原料タンク
能動的に顧客にプレゼン
テーションを行うことで評
価を得て、
業績を上げた。中
でも、
携帯電話やスマートフ
ォンの塗料では、グローバ
ル・プレーヤーとして国際的
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
して油を入手し、研究に研究を重ねて塗料化し
いことをやろうと。こちらから新しい色をどんど
たものです。昭和25年から製造を開始して、お客
ん作って、それをお客さまに提案していこうと考
さまからも画期的な塗料として評価していただき
えたのです」
ました。また、耐熱性や耐摩耗性が非常に強い
顧客へ提案するための開発を担っているのが、
ことも分かり、粉末状にしてブレーキの摩擦材に
同社のソフトデザインセンター。同センターの設
もなっています」
立は平成5
(1993)年で、当初は、顧客に塗料だけ
塗料に使われるカシ ュー原 油の製
造過程
(左)
とカシュー塗料の見本
でなく
「塗り方」というソフトも付加価値として提
供するのが目的だった。
「いろいろな塗装器具を用意し、こういう塗り
方をするとベストに塗れるといったことを提案し
ていたのです。携帯電話用の塗料を扱うように
なってからは、
『 ソフト』よりも
『デザイン』のほう
にウエイトを置くようになりました。お客さまの要
望する色イメージの分析からはじまり、塗装工程
や使用材料を考えてさまざまな色を開発し、提
昭和28年には、現在のカシュー株式会社に社
案しています。そのまま採用される色もあれば、
名を変更。その後、顧客が製造する製品の素材
少しだけ変えることで採用される色もあり、それ
が木から金属、そしてプラスチックへと変わって
が社員のモチベーションにつながっています」
いくのに応じて、同社の製造する塗料も合成樹
脂系に変化していく。だが創業者が開発したカ
必 然 だったグローバ ル 化
シュー塗料は、
「 新しい発見」の精神を大切にす
「当社の社員は、生産部門が当然いちばん多
る同社の原点として、いまも大切にされている。
いのですが、間接部門の中ではソフトデザインセ
「近年、カシュー系塗料は売り上げの3%ぐらい
で、鎌倉彫など木工を趣味でやっておられる方に
ンターに代表される技術部が圧倒的に多く、全
社員約300人のうち60人近くが技術部です」
お使いいただいています。供給責任もありますし、
その技術開発力が、国内メーカーのみならず
3%だからといって製造をやめることはありません」
海外メーカーにも高い評価を得た。同社の売り
新 色を 開 発して 提 案
上げは現在、国内が約40%、海外が 60%の割合
だという。
合成樹脂塗料が本格的に同社の主力製品と
「お客さまである国内のメーカーが海外進出を
なったのは昭和60年代になってから。テレビの
どんどん図っている中で、その動きに対応するた
外枠などの家電、それに自動車の内装などの用
めには、当社も海外に目を向ける必要がありまし
途に向けた塗料が主だったが、近年は国内およ
た。国内の市場だけではどうしても縮小していき
び海外メーカーの携帯電話・スマートフォン用の
ますから、グローバル化は必然だったのです」
塗料によって業績を大きく伸ばしている。
同社の海外拠点は、合弁事業を行っている中
「携帯電話を始めたときの当社は、後発メーカ
国や韓国、タイ、マレーシア、インドネシアなどの
ーでした。そこで、先発のメーカーがやっていな
ほか、技術提携を行っているベトナムやヨーロッ
—— 埼玉りそな経済情報2012.3
携帯電話機
用 塗 料 のプ
レゼン 用 サ
ンプル。塗料
メーカ ー の
視 点 から 新
たな 色 を 開
発し、提案し
て いく 独 創
力が同社の
持ち味
パ、アメリカなど世界各国に広がっている。
「これからもインドやブラジルなどいろいろ出
てくるでしょう。世界で信頼を得るには、技術開
発力もそうですが、第一に品質力が重要だとい
うことを、徹底して社員に言い続けています」
コストもばかになりません」
同社の水系塗料への取り組みは早く、昭和40
年代から開発してきた。
「ただ、日本国内では水系塗料化はあまり進ん
でいないのが現状です。コストや塗りにくさとい
った問題があるからです。なかなか難しいですが、
それでも、水系化を進めている大手自動車メー
カーさんもいらっしゃいますし、当社も、地球環
境の改善に努力を払うことが企業の責任だと考
え、積極的に取り組んでいます」
若 い 社 員の育 成 が 課 題
清水氏が社長に就任したのは 6年前。昨年か
同社では、顧客が満足する品質を維持するた
らは関東塗料工業組合の理事長も務めている。
めの「カシュー品質保証システム」を構築。安全
「 55社が参加しています。東日本大震災の影
性や適応性のチェックはもちろん、塗装テストに
響、それに円高、原料の高騰、さらにタイの洪水
よる分析・改善を繰り返すなど、品質管理を常に
によるメーカーへの大打撃と、われわれの業界
厳しく行っている。
にも厳しい状況が続いていますが、ここが我慢
「品質力と技術開発力、そしてマーケティング
力が大切で、それを三位一体として、さらに進化
させようと取り組んでいます」
地 球 環 境 改 善 へ の 取り組 み
塗料業界において近年、大きな課題となって
いるのが環境問題だ。塗料の粘度を調整する有
機溶剤はほとんどが大気中に揮散し、環境に負
荷を与える。その対策としては、水を溶剤として
使用する水系塗料や溶剤を一切使わない塗料
などの開発が行われている。
「ヨーロッパやアメリカでは、塗料の水系化を
すでに法制化しています。当社で近年、最も人員
が増えたのは品質保証部なのですが、ヨーロッ
パの規制、アメリカの規制、それにアジアの規制
がどうなっているか、またそれぞれに適合する塗
料は何かという調査、そして品質を証明する書類
を作成するとい った業務がたいへんなのです。
のしどころではないでしょうか」
同社では、昭和49年のオイルショックの影響
が甚だしく、昭和50年代の約10年間は定期採用
ができなかった経験がある。そのため、社員の
年代にブランクがあるという。
「10年間のギャップを埋める意味で、40代前半
や30代を取締役にして、責任を持たせ、いろい
ろ教えているところです。以降はずっと定期的な
採用を行ってきたので、会社は若返りました。私
も入社以来、長いこと若手と呼ばれていたので
すけれどね
(笑)。若い人たちに、培ってきたこと
をどう継承していくか。その一方で、世の中が進
めば会社も当然変化して、常に新しい発見をして
いかなければいけない。それが課題です」
そのためにも大切なのが、品質力・技術開発力・
マーケティング力であると繰り返す清水社長。そ
の3つを武器に、同社の事業活動が全世界を市
場に広がっていくことが期待される。
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
調 査 ◦
購入地域からみた県内家計の消費行動
ている場所と
「同じ市町村」での購入割合は66 .7
はじめに
%、
「 県内の他の市町村」が 19 .9%、
「 県外」が
全国消費実態調査は 5年に1回実施され、全
13 .4%となっている。当然のことではあるが、居
国および地域別に、家計の収支、貯蓄・負債、資
住地の近くである
「同じ市町村」で買い物をする
産の状況などを明らかにすることを目的に行わ
割合が最も高い。ただし、全国や近隣都県と比
れている。消費に関する調査には、毎月実施され
べると、埼玉県は同じ市町村での購入割合が低
ている家計調査があるが、これは全国168 都市
く、県外での購入割合が高いという特徴がある。
の2人以上の世帯約8 ,000世帯を調査対象とし
県外での購入割合を都道府県別にみると
(次頁
ている。これに対し、全国消費実態調査では、
表)
、奈良県が 15 .9%と全国で最も高く、埼玉県は
全国1 ,003市町村の2人以上の世帯52 ,404世帯
13 .4%と全国で 2番目に高い。以下、神奈川県、茨
を調査対象とし、より詳細なデータを把握するこ
城県、滋賀県、京都府が上位にあり、東京や大阪
とができる。このうち埼玉県の調査世帯数は 50
といった商業施設が集積している大都市に近い
市町村で 2,700世帯
(2人以上の世帯)
となってい
府県で、県外での購入割合が高いことが分かる。
る。調査は調査世帯が収入・支出等について、家
計簿を毎日記入する方法で行われる。
必 需 品の県 外 購入割 合 が全 国で 最も高い
平成21年調査では、新たに購入地域について
費目別にみると、同じ市町村での購入割合が
の調査が追加され、消費者が商品をどこで購入
高いのは、食料69%、保健医療71%である。食
しているか、すなわち
「同じ市町村」か「県内の
料や保健医療は基礎的支出
(必需品)に分類さ
他の市町村」か「県外」かが分かるようになった。
れ、必需品の買い物は近場で済ます傾向にある
本稿では調査結果をもとに、県内における家計
ことが分かる。一方、選択的支出
(贅沢品)に分
の消費行動について概観する。
類される家具・家事用品
(60%)、被服及び履物
(53%)、教養娯楽
(56%)は、同じ市町村での購
埼玉 県は県 外で の購入割 合 が 高い
入割合が低い。家具・家事用品と被服及び履物
2人以上世帯の1カ月平均の消費支出について、
は、県内の他の市町村での購入割合が高いが、
購入地域別の割合をみると、埼玉県では居住し
教養娯楽は県外での購入割合が高いという特
消費支出に占める購入地域の割合(2人以上の世帯)
(2人以上の世帯)
費目別にみた購入地域の割合
(埼玉)
0
10
20
30
40
同じ市町村
全国
埼玉
神奈川
千葉
60
80
66.7
73.6
69.8
18.9
19.9
13.4
19.9
13.4
13.0
10.3
71
69
67
60
13
19
12
56
53
31
20
県外
30
26
17
9
13
18
教養娯楽
資料:総務省「平成21年全国消費実態調査」
16
保健医療
10.0
県内の他の市町村
同じ市町村
被服及び
履物
24.3
8.3
%
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
家具・
家事用品
資料:総務省「平成21年全国消費実態調査」
100%
食料
65.6
90
県外
県内の他の市町村
72.8
—— 埼玉りそな経済情報2012.3
70
消費支出
全体
東京
50
都道府県別の県外での購入割合(2人以上の世帯)
順位
消費支出
全体
(%)
食料
(%)
家具・家事 被服及び 保健医療
用品
(%) 履物
(%) (%)
教養娯楽
(%)
も高い。とくに上位3市は 20%を超えている。これ
らの市はいずれも東京都に隣接しており、近場で
の買い物も
「県外での購入」になっていると考えら
1
奈良 15.9 埼玉 11.9 奈良 12.1 奈良 23.5 埼玉 13.0 奈良 27.9
2
埼玉 13.4 奈良 11.5 佐賀 12.0 佐賀 22.4 岐阜 10.7 埼玉 26.2
れる。こうした東京隣接市の支出行動が埼玉県
3
神奈川 13.0 岐阜
9.8 山梨 11.0 滋賀 21.6 奈良 10.5 栃木 22.5
4
茨城 11.2 滋賀
9.7 東京 10.5 和歌山 18.2 千葉 10.0 神奈川 22.0
の県外購入割合を引き上げていると言えるだろう。
5
滋賀 11.2 神奈川
9.5 島根 10.3 埼玉 16.7 佐賀
9.9 滋賀 20.5
6
京都 10.8 千葉
9.0 神奈川 10.0 茨城 16.6 鹿児島
8.4 和歌山 18.8
入割合は 6 .7%と非常に低く、35㎞圏にある上尾
7
千葉 10.3 東京
8.9 千葉
9.5 岐阜 16.2 福井
6.8 千葉 18.2
8
岐阜 10.3 茨城
8.3 埼玉
8.9 山口 15.8 茨城
6.8 京都 18.1
市
(7.6%)
や春日部市
(8.1%)
も低い。
9
東京 10.0 群馬
8.3 茨城
8.4 京都 15.2 神奈川
6.7 茨城 17.9
県内市町村別の県外での購入割合(2人以上の世帯)
%
35
10 栃木
9.5 山梨
8.1 福岡
7.4 神奈川 15.1 山梨
5.0 香川 17.4
全国
8.3 全国
7.1 全国
6.1 全国 10.0 全国
4.6 全国 16.0
資料:総務省「平成21年全国消費実態調査」
徴がある。
このように費目別に比較すると、必需品の買物
は近く
(同一市町村内)で済ます人が多いが、贅
29.1
25
20.9
20
20.3
14.4
15
13.4
11.1
9.5
8.1
7.6
6.7
熊谷市
上尾市
春日部市
狭山市
越谷市
さいたま市
最も高い。必需品である食料
(11.9%)
と保健医療
川越市
埼玉県全体
川口市
0
所沢市
玉県では、必需品の県外での購入割合が全国で
11.3
5
費目別の県外での購入割合を、他の都道府県
と比較すると別の特徴がみえてくる。すなわち埼
11.4
10
草加市
にあることがわかる。
30
新座市
沢品は県内の他の市町村や県外で購入する傾向
逆に、都心から50㎞圏にある熊谷市の県外購
資料:総務省「平成21年全国消費実態調査」
ディスカウント店 で の購入割 合 が増 加
(13.0%)
の県外購入割合は、全国で最も高くなっ
これまでは買物の際の購入地域についてみて
ている。一方、贅沢品である教養娯楽
(26.2%)
は
きたが、次にスーパーや百貨店、小売店等の購入
奈良県に次いで 2番目に、被服及び履物
(16.7%)
先の動向をみる。
は 5番目に高い。
このように贅沢品だけでなく、必需品の県外
での購入割合が全国の中で高いのは、後に触れ
埼玉県の購入先別の支出割合をみると、スー
2人以上の世帯)
消費支出に占める購入先別割合(埼玉、
0
るように、埼玉県は県外とくに東京への通勤・通
学者が多いためと考えられる。
10
20
一般小売店
2009年
25.2
40
50
市
(29 .1%)
、草加市
(20 .9%)
、所沢市
(20 .3%)
、川
口市
(14 .4%)
の県外購入割合が埼玉県全体より
70
80
2.1 8.7 4.2
1999年
33.5
37.9
14.5
9.0
1.9
1994年
37.1
30.5
100%
3.3 5.2
その他
7.0
2.2
11.7
1.4
90
通信販売
コンビニエンスストア 生協・購買
が高いのだろうか。調査では人口の多い上位11市
のデータが公表されている。これによると、新座
60
ディスカウントストア・量販専門店
スーパー
百貨店
36.8
東 京 隣 接 市の県 外 購入割 合 が 高い
では、埼玉県のどの地域で県外での購入割合
30
6.7
1.8
5.4
5.0
7.3
1.6
資料:総務省「全国消費実態調査」
(平成6年、11年、21年)
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
パーでの購入が 36 .8%と最も高い。次いで一般
方、一般小売店での支出割合は低く全国で43番
小売店
(25 .2%)
、ディスカウントストア・量販専門
目である。
店
(14 .5%)
、百貨店
(8 .7%)
となっている。過去15
年間の推移をみると、一般小売店が大きく低下
県 外で の購入割 合 は小 売 店と百 貨 店が 高い
しているほか百貨店も低下している。スーパーの
埼玉は県外での購入割合が高いが、購入先別
割合は15年前に比べると上昇しているが、10年
にみるとどうだろうか。県外購入に占める購入先
前に比べやや低下した。
別の割合をみると、小売店が 31 .3%と最も高く、
割合が高まっているのはディスカウントストア
・
百貨店、ディスカウントストア・量販専門店、スー
量販専門店で、2009年には14 .5%と1999年に比
パーと続いている。消費支出全体の割合と比較
べ倍増している。デフレが長く続いているため、低
すると、一般小売店と百貨店の割合が上昇し、ス
価格の業態での購入が増えていると考えられる。
ーパーの割合が大きく低下している。都道府県
全国と比較すると、埼玉県ではディスカウント
別では、百貨店が全国で3番目に高く、百貨店に
ストア・量販専門店と百貨店、スーパーでの支出
おける購入が県外での購入比率を押し上げてい
割合が高く、一般小売店での支出割合は低い。
ることが分かる。
都道府県別にみても、埼玉のディスウントストア
・
量販専門店での支出割合は全国で5番目に高く、
百貨店での支出割合も全国で4番目に高い。一
(2人以上の世帯)
消費支出に占める購入先別割合(全国と埼玉)
%
40
30
全国
埼玉
28.8
25
25.2
全国
1位の都道府県
一般小売店
31.3% 36位
34.5% 富山県 68.2%
スーパー
11.5% 26位
13.0% 高知県 31.4%
コンビニエンスストア
生協・購買
ディスカウントストア・量販専門店
2.6% 13位
24.1%
3位
1.3% 18位
13.7% 14位
2.2% 沖縄県
5.5%
16.6% 滋賀県 30.3%
1.5% 石川県
2.7%
12.1% 群馬県 19.7%
資料:総務省「平成21年全国消費実態調査」
20
14.5
12.5
15
10
6.7
5
8.7
4.6 4.2
2.0 2.1
3.3 3.3
6.2 5.2
その他
通信販売
ディスカウント
ストア・
量販専門店
生協・購買
百貨店
コンビニエン
スストア
スーパー
一般小売店
0
埼玉
百貨店
36.0 36.8
35
2人以上の世帯)
県外購入に占める購入先別割合と全国順位(埼玉、
埼玉 県は県 外へ の 通 勤・通学 者 が 多い
埼玉県の県外での購入割合が高い要因とし
て、県外への通勤・通学者が多いことがあげら
れる。資料はやや古いが 2005年の国勢調査に
よると、県外への通勤・通学者の割合が最も高
資料:総務省「平成21年全国消費実態調査」
2人以上の世帯)
消費支出に占める購入先別割合と全国順位(埼玉、
埼玉
1位の都道府県
いのは、奈良県で30.1%、次いで、埼玉県28.8%、
千葉県26.9%、神奈川県23.6%、兵庫県14.1%と
なっている。東京や大阪といった大都市周辺県
一般小売店
25.2%
43位
徳島県
41.2%
スーパー
36.8%
20位
沖縄県
51.3%
コンビニエンスストア
2.1%
14位
北海道
3.3%
県外への通勤・通学者の割合が高い府県に
百貨店
8.7%
4位
東京都
10.4%
生協・購買
4.2%
19位
北海道
9.4%
ついてみると、県外への通勤・通学者の割合が
14.5%
5位
福井県
16.6%
ディスカウントストア・量販専門店
資料:総務省「平成21年全国消費実態調査」
—— 埼玉りそな経済情報2012.3
で高くなっている。
高いほど、県外での購入割合が高いという関係
にある。ただし兵庫県については他県への通勤・
通学者の割合は全国で 5番目に高いが、県外で
同調査によると埼玉県民の県内購買率
(県民
の購入割合は 8%と全国平均並みにとどまって
が県内で買い物をする割合)
は上昇傾向にある。
いる。兵庫県は大阪府に隣接しているものの、県
この調査では、①食料品・日用雑貨等、②洋服・
内に神戸市という集客力の高い商業集積地があ
衣料品等、③靴・かばん等、④家具・家電等、⑤
るためと考えられる。
文具・化粧品・スポーツ用品等に分けて県内購買
これに対し、埼玉は東京のベッドタウンと言わ
率を算出しているが、いずれの品目でも上昇して
れ、通勤・通学時や帰宅途中に買い物をする人
いる。とくに②洋服・衣料品等と③靴・かばん等
が多いため、県外での購入割合が高いと考えら
といった選択的支出項目で、県内での購買率が
れる。市町村別にみても、県外への通勤・通学者
顕著に増加していることがわかる。
の割合が高い新座市
(45.7%)、草加市
(42.8%)、
所沢市
(42 .3%)
では、県外での購入割合が高く、
逆に県外への通勤・通学者の割合が低い熊谷市
(13 .2%)や上尾市
(23 .9%)では、県外での購入
割合が低くなっている。
98.8
98.0
H7年
85
11
10
30
29
10
27
24
11
10
8
14
12
11
10
8
12
12
11
10
8
9
全国
茨城
岐阜
京都
滋賀
兵庫
神奈川
千葉
埼玉
奈良
6
資料:総務省「平成21年全国消費実態調査」、総務省「平成17年国勢調査」
県 外で の購入割 合 は 徐々に低 下
文具、化粧品、
スポーツ用品、
時計・メガネ、
書籍、医薬、
園芸等
20
家具、家電等
14
13
95.7
93.4 93.4
83.4
靴、かばん等
13
80
H22年
87.7
87.1
洋服、衣料品、
寝具等
他県への通勤・通学者の割合(左目盛) 16
県外での購入割合
(右目盛)
H17年
92.4
91.9
食料品、
日用雑貨等
16
H12年
95
%
30
0
%
100
90
他県への通勤・通学者の割合と県外での購入割合
%
40
買物品目別の県内購買率
資料:埼玉県「平成22年度広域消費動向調査報告書」
(注)
県内購買率=主に買物をする場所が県内とした回答数÷全回答数
お わりに
県内経済の成長という観点からみると、東京
をはじめ県外での購入が少ない方が県内の経
済成長率は高まる。県民の購買力が県外へ流出
せず、県内にとどまるためである。これまでみた
では、県外購入割合は時系列でみてどのように
ように埼玉県は県外への通勤者が多く、商業施
変化しているのだろうか。全国消費実態調査で
設が集積した東京に隣接しているため、県民の
は購入地域に関する調査は今回が初めてなので、
購買力が県外に流出する
(県外での購入割合が
県外購入割合のこれまでの変化を把握できない
高まる)傾向が強い。しかし埼玉県の調査にあ
が、埼玉県では 5年ごとに独自に消費動向調査
るように県外への流出割合は徐々に低下してい
を実施している。この調査は、総務省の全国消費
る。これは近年、大規模なショピングモール等が
実態調査と異なり、県民の消費を支出金額で捉
多く新設されているためとみられる。購買力の県
えるのではなく、品目ごとに主に買物をする場所
外への流出を止めるだけでなく、県外からの購
(市町村)
を1つだけ回答する形式で調査している。
入が高まることが期待される。 (樋口広治)
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
アンケート調査
・・・・・・・・・
・ 埼玉県内設備投資動向調査
県内企業の設備投資は 3年連続で改善
概況
1. 設備 投 資計画の有無
埼玉県経済は、東日本大震災の影響により厳
2012年度に設備投資「計画有り」としたのは
しさがある中で、持ち直しが続いているものの、
回答企業227社のうち123社、54 .2%。前年度調
そのテンポは緩やかになっている。
査(2011年1月実施)の 49 .6%を4 .6ポイント上回
こうした中、1月中旬に設備投資動向について
のアンケートを実施した。
り、3年連続の増加で、設備投資意欲に改善がみ
られる。また 2008年度調査(55 .4%)以来4年ぶ
2012年度に設備投資「計画有り」としたのは
りに 50%を超える結果となった。
回答企業227社のうち123社、54 .2%。前年度調
これまで設備投資計画
「有り」とする企業割合
査(2011年1月実施)の 49 .6%を4 .6ポイント上回
は、リーマンショック後の2009年1月調査に 39 .1
り、3年連続の増加で、設備投資意欲に改善がみ
%まで落ち込んだが、2010年度調査以降は改善
られる。
傾向で推移している。2011年3月11日の東日本大
2012年度の設備投資計画額は179億円、当該
震災では、サプライチェーンの寸断などから県内
企業の2011年度実績見込み208億円に対して
の生産も一時大きく落ち込んだが、その後回復
▲13 .9%となった。設備投資計画の有無では「計
してきていることなどから、県内企業の設備投
画有り」とする企業が増加し、設備投資意欲の
資意欲は総じて回復基調を持続している。また、
回復がみられるが、計画額においては減少とな
県内でも被災した設備や構築物の修復、耐震化
った。
への投資等もあるようだ。
業種別にみると、
「 計画あり」とした企業は製
県内企業941社を対象にしたアンケート調査。
回答企業は、製造業が 94 社、非製造業が133 社の計
227社
(回答率24.1%)
。2012年1月中旬実施。
投資計画有りの企業割合(2012年度)
全産業
製造業
非製造業
大企業
中小企業
飲食料品
繊維
化学
窯業・土石
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
一般機械
電気機械
輸送機械
精密機械
木材・木製品
紙・紙加工品
印刷
その他製造
卸売
小売
建設
不動産
運輸・倉庫
電気・ガス
情報通信
飲食店・宿泊
サービス・その他
54.2
(49.6)
59.6
(58.4)
50.4
(43.6)
50.5
(47.4)
( )内は前年度調査
83.3
75.0
70.0
25.0
53.8
25.0
20.0
製造業ともに前回調査から増加した。
%
60
56.1
55
51.9
100.0
100.0
61.5
20.0
業は 50.4%
(同+6.8ポイント)
となり、製造業、非
過去10年間の設備投資「計画有り」の企業割合の推移
%
87.0
(72.7)
造業が 59 .6%
(前年度比+1 .2ポイント)、非製造
50
53.1
55.4
54.2
53.0
50.0
49.6
45
80.0
80.0
100.0
40
39.1
33.3
54.5
52.6
60.7
47.7
66.7
57.1
50.0
36.4
—— 埼玉りそな経済情報2012.3
57.1
40.3
35
30
2003 04
※毎年1月調査の計数
05
06
07
08
09
10
11
12 年
2 . 設備投資計画額
3 . 設 備 投 資 理 由( 複 数 回 答 )
2012年度の設備投資計画額は179億円、当該
設備投資を行う理由は「設備更新」
(74 .0%)
企業の2011年度実績見込み208億円に対して
が最も多く、以下「コストダウン・合理化に対応」
▲13.9%となった。
(注:2011、2012年度の両年度
(39 .8%)、
「 技術革新・品質向上に対応」
(28 .5
とも設備投資額
(金額0を含む)を記入いただい
%)、
「 新製品開発に対応」
(13 .8%)
と続く。前年
た企業について集計。)
度調査と比べ順位に変化は無かった。
設備投資計画の有無では「計画有り」とする
企業が増加し、設備投資意欲の回復がみられる
が、計画額においては減少となった。
前年度調査と比べ増加したのは、
「 設備更新」
(前年比+4 .6ポイント)
などで、減少したのは「新
製品開発に対応」
(同▲7.2ポイント)、
「 コストダ
業種別では製造業が前年度比+17.1%、非製
造業は同▲33.1%となった。
ウン・合理化に対応」
(同▲7.0ポイント)
などであ
った。
規模別では大企業が同+80 .1%、中小企業は
同▲34.5%となった。
設備投資意欲は回復基調で推移しているもの
の、円高や、欧州の政府債務危機などから景気
なお、今 年度の調 査では大企業を中心に
の先行き不透明感が増すなかで、必要な設備の
2012年度計画額を未定、または計画中とすると
更新はおこなうが、新製品を開発して需要を起
ころが多くみられた。海外経済や円高など経済
こすといった積極的な投資には慎重な企業が多
環境の先行きが不透明なことが影響していると
いようだ。
みられる。こうしたことから、2012年度の設備投
資額は今後大きく変化する可能性がある。
業種別では、製造業は「設備更新」が 73 .2%
で最も多く、非製造業においても同様に「設備更
新」が 74.6%で最も多かった。
設備投資計画額
(社、百万円、%)
投資理由(複数回答)
%
80
2011年度
実績見込み
2012年度
計画
157
20,823
17,925
▲13.9
製造業
73
7,963
9,326
17.1
50
非製造業
84
12,860
8,599
▲33.1
40
大企業
12
3,745
6,745
80.1
回答企業数
全産業
145
17,078
11,180
70
▲34.5
69.4
74.0
60
30
20
10
39.8
29.0 28.5
21.0
13.8 14.5 13.0
11.3
8.9
3.2
5.7
9.7
7.3
その他
親企業からの要請
公害・環境問題に対処
売上・受注見通しの
好転
新製品開発に対応
技術革新・品質向上に
対応
コストダウン・合理化に
対応
設備更新
0
46.8
2012年度
2011年度
中小企業
前年度比
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
10
アンケート調査
・・・・・・・・・
・ 4 . 設 備 投 資 の 対 象 物 件( 複 数 回 答 )
5 . 設 備 投 資を計 画していない理 由( 複 数 回 答 )
設備投資の対象物件は、
「 建物・構築物」が
2012年度に設備投資を
「計画していない」とす
49.6%で最も多く、以下
「生産機械」
(47.2%)、
「情
る企業において、その理由として最も多かったの
報関連・事務用機器」
(41 .5%)、
「 車輌運搬具」
は「売上・受注見通し難」の39.4%で、以下「投資
(35 .0%)の順となった。前回調査で投資対象物
件として最も多かった
「生産機械」は 2位となり、
採算にのらない」
(26.0%)
、
「生産能力に余裕あり」
(24.0%)
となった。
前回調査で3位だった
「建物・構築物」が 1位とな
った。
前年度調査と比べ増加したのは「投資採算に
のらない」
(前年度比+7.7ポイント)
などで、減少
前年度調査と比べ増加したのは「建物・構築
物」
(前年度比+14 .9ポイント)などで、減少した
したのは「生産能力に余裕あり」
(同▲2 .2ポイン
ト)
などとなった。
のは
「生産機械」
(同▲6.8ポイント)
などであった。
前年度同様「売上・受注見通し難」を理由に
東日本大震災後、県内でも建物の補修、耐震
設備投資を見送った企業が最も多いものの、
「投
化の動きなどがみられ、
「 建物・構築物」への投
資採算にのらない」が前年度より増加しているの
資が増えた要因になっていると考えられる。一方、
が目立つ。先行きの収益見通しが難しいなか、コ
円高や、不安定な欧州経済の状況などにより輸
ストに見合う投資かどうか厳しく判断している企
出や生産面に明るい材料は乏しく、今後の受注
業が増えているようだ。
環境の改善の見通しが立ちにくいなか、
「 生産機
械」への投資は抑制ぎみとなっている。
業種別では、製造業は「売上・受注見通し難」
(47.4%)が最も多く、次いで「生産能力に余裕あ
業種別にみると、製造業では
「生産機械」
(76.8
%)が最も多く、非製造業では「建物・構築物」が
り」
(31.6%)、非製造業は「売上・受注見通し難」
(34 .8%)が最も多く、次いで「投資採算にのらな
61.2%で最も多かった。
い」
(27.3%)
となった。
設備投資対象物件(複数回答)
設備投資を行わない理由(複数回答)
%
80
%
45
70
40
60
49.6
50
20
10
35.5
34.7
26.0
25
41.5
31.5
35.0
20
15
12.1
10
8.1
8.9 7.3
6.5 4.9
5
26.2
24.0
18.3
11.9 12.5
11.1 11.5
その他
資金繰りの悪化
生産能力に余裕あり
投資採算にのらない
0
売上受注見通し難
その他
販売機器
土地
11 —— 埼玉りそな経済情報2012.3
車輛運搬具
情報関連事務用機器
生産機械
建物 構・築物
0
30
47.2
2012年度
2011年度
30
39.4
35
54.0
2012年度
2011年度
40
40.5
6 . 資金調達方法
7. リースによる設 備 投 資 計 画
設備投資の資金調達方法
(比率)
をみると、
「内
2012年度に「リースによる設備の導入計画が
部留保」が最も多く61 .9%、次いで「借入金」が
有る」とした企業は、全体のうち35 .4%で、前年
31.4%、以下「長期延払手形」
(1.8%)、
「 増資・社
度調査と比べ+4.6ポイント増加した。
債」
(0.5%)
の順となった。
業種別でみると、
「 リースによる設備の導入計
前年度調査と比べ、
「 内部留保」が前年比+
画が有る」のは製造業で 29 .2%、非製造業は
0 .4ポイントとわずかだが増加し、
「 借入金」は同
40 .0%、規模別では大企業が 59 .1%、中小企業
▲1 .2ポイントとわずかだが減少した。設備投資
で32.6%となった。
の資金調達は「内部留保」の割合が 5年連続で
2012年度のリース計画総額
(有効回答企業87
増加となる一方、
「 借入金」の割合はここ数年、
社)
は 32億円、当該企業の2011年度の実績見込
減少傾向で推移している。景気の先行き見通し
額の34億円に対して▲5.7%と減少。
の不透明感が強まるなか、設備投資は「借入金」
業種別にみると、製造業は前年度比▲16.5%、
に頼る企業は減少し、
「 内部留保」の範囲内とす
非製造業では、同+6 .5%と、製造業では減少し
る慎重な態度が強まっている。
たが、非製造業では増加となっている。
業種別にみると、製造業では「内部留保」が
63 .7.%
(前年度比▲0 .6ポイント)、
「 借入金」が
規模別にみると、大企業は同▲14 .6%と減少
し、中小企業は同+6.8%と増加した。
28 .3%
(同+0 .8ポイント)、非製造業は「内部留
リース対象物件をみると、
「 情報関連・事務用
保」が 60 .3%
(同+1 .2ポイント)、
「 借入金」が
機器」が 68 .9%で最も多く、以下「車両・運搬具」
34.1%
(同▲2 .7ポイント)
となり、製造、非製造業
(49.4%)、
「生産機械」
(20 .3%)、
「 建物・構築物」
ともに
「内部留保」の率が高い。
(10.8%)
の順となった。
資金調達方法
リースによる設備投資計画額
増資・社債 0.5
その他 4.4
回答企業数
長期延払手形 1.8
全産業
借入金
31.4
全産業
%
2011年度
実績見込み
(社、百万円、%)
2012年度
計画
前年度比
87
3,395
3,200
▲5.7
製造業
33
1,804
1,506
▲16.5
非製造業
54
1,591
1,694
6.5
大企業
10
1,990
1,700
▲14.6
中小企業
77
1,405
1,500
6.8
内部留保
61.9
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
12
最 近 の 環 境 問 題を考える 8
今 後 の 脱 炭 素 社 会 に 思う
主席研究員
はじ め に
守屋 有
発電の比率が高まることは必至である。そしてこの
流れは海外にも大きな影響を与えている。
昨年3.11の震災とそれに引き続いての原発事故
また、最近は発展途上国の成長も著しく、中国や
以降、この冬に至るまで徹底した
『節電』が実施さ
インドなどはもはや
「途上国」とは言えない成長を
れており、省エネに対する私たちの意識もずいぶん
とげているにもかかわらず、それらの国々での地球
変化をしてきた。
温暖化対策&脱炭素の取組は、お世辞にも前向き
しかし、節電も大事であるが、今世紀の最大の課
題の一つと言われる地球温暖化対策はどうなので
あろうか。
今回は、改めてわが国の、そして世界の
(地球の)
温暖化や資源について考えてみたい。
地 球 温 暖 化 対 策 の 動 向と C O P 17
とは言えない状況である。
COP17と日本の主張
そうした中で開催された COP17。各国の利権や
思惑が絡み合う中、会議は紛糾し、結果京都議定
書の延長が決まった。日本の主張は通らず、わが国
は誤解も受けて苦しい立場に立つことになった。
地 球 温暖 化 対 策&脱炭素は現代の急務であ
る。発展途上国が急成長をとげ、経済的にも先進
国との差が縮まる中、今後の社会の行く末に大き
な意味を持つ COP17がドーハで開催された。
COP17の最大の論点は
「ポスト京都」であり、そ
れに向けて各国がどのように協調していけるかが
最大の焦点であった。まずはこのあたりの経緯を
振り返り、整理してみよう。
最近の温暖化等と各国の状況
温室効果ガスによって、今のところ気温の上昇は
続いており、オゾン層の破壊も進んでいる。
気温の上昇については、特に1990年代半ば以降
は高温となる年が多くなっている。
深夜まで続いた第17回締約国会議 (ロイター)
日本の主張は
「米国や中国等の大きな排出国が
入らない現状の議定書では不平等であり、環境対
策上好ましくない」という、内容としては
『妥当』と
思われるものであった。
これは、
京都会議の主催国として本来の趣旨に基
オゾン層の破壊については、一時期代替フロン
づく正論を貫いたとも取れるし、
国内企業・団体に気
の投入などによって小康状態に持ち込めたかと思
を遣ったとも取れるのだが、ドーハで苦労・苦戦して
われたが、一部の温室効果ガスがオゾン層の破壊
いたことの報道はあったものの、国民に対して国と
に密接に関わっているようで、昨年の春には北極圏
しての方針の表明やメッセージなどはほとんど見ら
でも南極並のオゾンホールが観測されるなど、予断
れず、“蚊帳の外”の奮戦に終始した感じは否めない。
を許さない状況となっている。
そして、外交的にはほとんど失敗ではなかったか。
それらの対策はというと、欧米や日本などの先
表向き正論であったかもしれないが、またそれを通
進国でも温暖化対策は芳しくない状況であり、特に
そうと奮戦もしたと思うが、正論がいつも通れば誰も
わが国は原発事故の影響で化石燃料に頼る火力
苦労しないのであり、
世界を相手にしての戦略も戦術
13 —— 埼玉りそな経済情報2012.3
も感じられない主義・主張の繰り返しだったと映る。
ここ10年ほどの状況を県内の行政に確認したと
それに対し、近年したたかに急成長をとげている
ころでは、概ね1℃ほど上昇しているという回答が
自称 “途上国”の狡猾さはすさまじいものだった。
多かった。中には市街地で4℃近くも上昇している
京都議定書は 5年間延長、日本は「不参加」
という自治体もあったが、これはヒートアイランドで
結果として、議定書は 5年間延長となり、最後ま
あろう。諸説の中には気温は上昇していないという
で反対した日本は
「延長には参加しない方針を維
説もあるようだが、“現時点では” 気温が上昇傾向で
持する」という立場となった。今後は削減義務は課
あることは間違いないと言ってよいと思われる。
せられない
(報告の義務はあり、政府は省エネや再
世界の気温偏差推移
生可能エネルギーの推進で自主的な排出削減に努
め、
「気候変動分野での国際協力に積極的に貢献す
る」としている)ということであり、各国には
「日本は
環境問題に不熱心」という印象さえ与えてしまった。
わが国の政策対応は「ガラパゴス状態」
これに対し、国内の産業・経済界からは
「延長受
け入れは生産の大幅な制限を強いられるに等しい。
℃
0.4
0.2
0
-0.2
-0.4
-0.6
-0.8
-1.0
1891 1900 10
20
30
40
50
60
70
80
90 2000 10 年
何とか踏みとどまった。
」という感想が聞かれた。本
資料:気象庁「1981〜2010年平均基準における偏差
(℃)」
音であり、また事実だとも思うが、国の政策としては
様々な要因がからむ気候変動
そうしたことを表に出さない戦術が必要であると思
―もしかすると寒冷化の予想も
われる。戦後、幾多の困難を乗り切りながら、
ひたす
しかし、今後ずっと気温の上昇が続くかについて
ら経済的な成長に猛進してきたわが国であるが、し
は疑問もある。気温
(気候)
というものは、様々な要
かし実は自国のことしか考えておらず「ガラパゴス
素によって変化するものである。その要素は概ね以
状態」であったことが、携帯電話だけでなく、あちこ
下の 4つだ。
ちで顔を覗かせてしまうことに落胆を感じてしまう。
①地球自体の様々な変動
最 近 の 気 候 変 動と地 球 環 境
さて、ここで改めて地球温暖化や気候変動につ
地球は、地殻や海流、気流の変動が複雑に絡み
合い胎動している。また、
大型の火山が爆発すれば、
大量に放出される火山灰によって気候は大きな影
いて考察してみたい。
響を受ける。これらの自然現象による気候変動が
大きく波打つ気候、気温は確かに上昇している
過去の氷河期や恐竜の絶滅の原因の一つではな
以前も述べたが、近年、気候の変動が大きい。平
均気温が上昇している中、寒暖の差が大きく、雨の
降り方も以前とは大きく変わってきている。
平均気温は、
気象庁の年平均気温偏差によると、
いかとも言われているのだ。
しかし、このあたりのメカニズムは十分には解明
されていない。過去の生物種の繁栄・衰退や気候
変動のメカニズムは、はっきり言ってよくわかってい
ここ100年間で0.5℃ほど上昇しているとされており、
なのが実状なのだ。
データで見ても、体感的にも、確かに気温が上昇し
②太陽の活動の変化
ていることは間違いがない。
私たちは母なる太陽からのエネルギーで活動し
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
14
ている。
地球に何度も氷河期があったことはご存じと思う
そして、その太陽活動は近年変化が大きく、2035
が、これらは地球自体の胎動や外宇宙からの影響に
年くらいにかけて太陽の活動は低下傾向と予想す
よってもたらされたと考えられる。ただ、どのような要
る科学者もいる。
因で氷河期が訪れたのかはよくわかっていないのだ。
なんだか日常を超えた途方もないことのように
感じられるかもしれないが、太陽に黒点が現れるこ
とはご存じだろう。黒点がたくさん現れる場合は、
太陽の活動が活発であることを示しているのだ。
この活動は、11年という周期が知られているが、
④そして人為的な変化
ここまでは
「自然現象」だが、最後に登場するの
は、私たちが地球に及ぼしている影響だ。
私たち一人ひとりは小さな生き物だが、実は大き
な力も持っているのであり、これだけ大量の化石燃
近年、太陽活動はこの周期に当てはまらない衰減
料を短期間の内に燃やせば、影響がないはずはな
気味の状態が続き、知られている周期以外にも大
い-オゾン層の破壊でもわかるとおり。今後も化石
きな波があるのではと言われている。
燃料等を調達しようとする過程で海底や地中を掘
こうした太陽活動の変化が電波・通信に影響を
及ぼすことがあるのは知られているが、実は気候に
も大きな影響があるのだ。
削したりすれば、何が起こるかわからない。
このように地球環境は様々な要因の影響を受け
ているわけで、今話題の CO²もその要因であるこ
まず当然ではあるが、太陽の活動が弱まれば地
とは間違いないが、もちろんそれだけで気候変動が
球に届く熱エネルギーが減少する。ストーブの火力
決定されるわけではない。従って、地球温暖化の予
を絞ったのと同じだ。そして、それ以外にも太陽風と
測も、インプットされているデータの限りでは相当
呼ばれる素粒子の風
(流れ)
が弱まり、これが宇宙か
に正確だと思うが、そのデータがすべてを網羅して
ら地球に降り注ぐ様々な放射線等に影響し、結果
いるとは考えにくい。
として地球の気候に大きな影響があるようなのだ。
例えば IPCC等の予測は、前述に係わる事柄を一
しかし、地球が受ける熱エネルギーが減少するこ
通り織り込んでの予測と説明されているが、
上記の通
とは確実だが、それ以外の影響については詳しくは
解析されていないのが実状だ。
③太陽系を取りまく宇宙空間の変化
これまた大きな話であるが、事実である。
り、実はよく分かっていないことの方が多いのである。
そうしたことを考えると、今は気温が上昇してい
ても、太陽活動の状況などによっては、比較的近い
将来「寒冷化」してくる可能性も否定はできない。
宇宙空間には様々な放射線が飛び交い、微細な
ともあれ、地球規模の気候は、前述のとおり様々
星間物質-星間ガスが流れている。これらが地球
な要因が絡むので、正確な予測は大変難しい。今
が太陽から受けるエネルギーに少なからぬ影響を
後とも詳細にデータを収束しながら、変化をよく見
与えるのだ。例えば、星間ガスが太陽系を覆うと、
定めていく必要があるだろう。
単純に言うと、宇宙空間が「薄曇り」の状態になる
ただし、上記の要素による気候変動如何に関わ
場合があるのだ。現在、この薄曇り状態になりつつ
らず、
「 これ以上化石燃料を消費してはならない」こ
あるのではという説を唱える科学者もいる。現在の
とに変わりはない。というか、できなくなるのだ。そ
ところ、こうした放射線や星間ガスについての詳細
れは、使おうにも化石燃料が尽きてしまえば、使え
な解析はまだ十分にできてはいない。
なくなるからである。
15 —— 埼玉りそな経済情報2012.3
まとめ
―いずれにしても
『脱炭素』に変更はない
私たちの地球は様々な要因から影響を受ける。そ
れは人の感知、
予想では及ばないところも多いと思う。
枯渇こそが最大の問題・課題である。
従って、気温が高くなるかどうかに係わらず、
『脱
炭素の方向に変更はない』ということだ。つまり、
「地球温暖化」も含めた
『脱炭素』をもっと強く意
識すべきである。
しかし、“人類の繁栄”の中で格差はますます拡大
わが国は、原発事故で当面は化石燃料に頼るこ
しているし、エネルギー・資源の枯渇は避けられな
とになる。しかし、原発を止めて、化石燃料に頼り
い事実だ。
続けるということは不可能である。化石燃料自体、
人口はついに 70億人を突破
諸説があるが、あと100年とはもたないだろう。私た
―もたない化石燃料、食料、水等の資源
ちの子ども~孫の世代では化石燃料は使えなくな
皆さんもニュースでご覧になったと思うが、昨年
る可能性が極めて高いのだ。
11月、
ついに世界人口が 70億人を突破した。世界人
そういう意味ではIPCC の予測は、結果として完
口は、産業革命以降急速に増加しており、概ね従前
全に正しいと言える。世界的な人口の爆発を考える
からの予想通りの伸びである。
と、エネルギーの転換に残されている余裕は極めて
近年は、年間1億人程度増加しており、2050年に
短い時間しかない。日本が大丈夫でも、事は世界的
は 90億人を突破すると見られている。
(このまま年
な問題なのだ。この件に関しては、引きこもってい
間1億人程度増えたら、100億を超えるだろう)
て凌げるものではない。
そこで、極めて心配されているのが、資源の枯渇
ここらで本腰を据えて
『新エネルギー政策を早急
だ。2050年時点で、この 90億人が今の欧米並みの
に実践に移す時』だろう。くどいようだが、時間的
生活をしようとすると
『地球が何個も必要になる』
。
な余裕はあまりないと思う。震災や原発事故で今
このことは、様々な計算・予測で立証されており、は
も大変な苦労をされている方々には大変失礼な言
っきり言って現在でも地球への負荷は地球の許容
い回しとなって恐縮だが、これだけ大きなインパク
量を大きく超過していると言われている。
トがあってなお、このようなゆるいスピードでしか政
これが今後の最大の問題だ。わが国の人口は近
年初めて減少に転じていることもあり、世界人口の
増大を実感しにくいが、グローバル化が進んでいる
今の世界では、この人口増加とそれに伴う資源の
世界人口予測(環境省)
100万人
10,000
開発途上国
9,000
8,000
先進国
7,000
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
1,000
0
1950 60 70 80 90 96 98 2000 02 04 06 10 20 30 40 50 年
策展開できないのでは、本当に将来に大きな禍根
を残すことになるだろう。
また、本質的な話になるが『経済発展と社会発
展に係わる価値観の再構築』も必要と思う。
これは、人口がこのように増加してくればなおさ
らであるが、グローバリズムに基づく経済発展とい
う今までの発展メカニズムでは、多くの人々の安心・
安全、幸福は得られないと思われるからだ。その根
拠は、極めて物質的な話で言うと、地球の資源が
追いつかないからでもある。
今年は、こうした事柄に対してどのような流れが
あるのであろうか。
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
16
県内経済の動き
概要 ● 埼玉県経済は、
東日本大震災の影響により厳しさがある中で、
持ち直しが続いているものの、
そのテンポは緩やかになっている。
個人消費
新車販売4ヵ月連続で増加
12月の大型小売店販売額は1 ,100億円、前年比
+0 .1%
(既存店)と5カ月ぶりに増加した。寒い日が
多かったため冬物衣料品が伸びた。業態別では、
百貨店
(同+1.1%)
は増加したが、スーパー
(同▲0.2
%)は減少した。新設店を含む全店ベースの販売額
は同+0.6%と2カ月ぶりに増加した。
1月の新車販売台数
(乗用車)
は14,434台、前年比
+49 .1%と4カ月連続で大幅増となった。車種別で
は普通乗用車が 6,732台
(同+57.3%)、小型乗用車
が 7,702台
(同+42.7%)
だった。
個人消費の推移
%
60
新車販売台数
(乗用車)
・前年比
大型小売店販売額
(全店)
・前年比
(右目盛)
50
40
30
%
10
8
6
4
20
2
10
0
0
-10
-2
-20
-4
-30
-6
-40
大型小売店販売額
(既存店)
・
前年比
(右目盛)
-50
-60
2010/12 11/1 2
3
4
5
6
7
8
9
-8
-10
10 11 12 12/1 年月
資料:関東経済産業局・日本自動車販売協会連合会
住宅
3カ月ぶりに前年を下回る
12月の新設住宅着工戸数は 5 ,161戸、前年比▲
2 .3%と3カ月ぶりに前年を下回ったものの、10~12
月期では同+10.8%となった。
利用関係別では、分譲住宅が 1 ,948戸
(前年比+
5.5%)
と増加したもの、持家が1,528戸
(同▲10.6%)
、
貸家が 1,681戸
(同▲2.4%)
と減少した。
分譲住宅は、戸建が 1 ,293戸
(同+2 .1%)、マンシ
ョンが 655戸
(同+12.7%)
であった。
今後、復興支援・住宅エコポイントなどから、持
ち直しの動きが期待される。
新設住宅着工戸数の推移
戸
7,000
6,000
%
40
前年比
(右目盛)
30
給与
5,000
4,000
3,000
20
貸家
10
分譲
0
2,000
1,000
0
-10
持家
2010/12 11/1
2
3
4
5
6
7
8
9
-20
10 11 12 年月
資料:国土交通省
公共工事
低調な動き
1月の公共工事の前払保証に対する請 負額は
202億円
(前年比+41 .7%)と、前年が低水準だった
こともあり、大幅な増加となった。また、11年10月~
12年1月期でも同+1 .5%と、ほぼ横ばいで推移して
いる。
発注者別では、国
(前年比+85.6%)、独立行政法
人等
(同+88.5%)、埼玉県
(同+53.2%)、市町村
(同
+6.6%)
が増加した。
公共工事は、平成23年度補正予算の効果が一
部でみられるものの、総じて低調に推移するとみら
れる。
17 —— 埼玉りそな経済情報2012.3
前払保証に対する請負額の推移
億円
500
%
120
埼玉県前年比
(右目盛)
100
関東前年比
80
(右目盛)
400
60
300
40
200
20
0
100
-20
0
2011/1 2
3
4
5
6
7
8
9
-40
10 11 12 12/1 年月
資料:東日本建設業保証 関東:埼玉、東京、神奈川、千葉、茨城、栃木、群馬
生産
弱含みの動き
11月の鉱工業生産指数
(季節調整値:2005年=
100)をみると、生産指数は 81 .2
( 前月比▲3 .6%)と
3カ月連続して、前月を下回り、弱含みの動きが続い
ている。
業種別では、金属製品、プラスチック製品などが増
加したものの、輸送機械、窯業土石などが減少した。
在庫指数は前月比▲8 .1%の 65 .5と、電気機械、
輸送機械などを中心に減少した。
今後は、当面、弱含みないしは横ばい圏で推移す
ると見込まれるものの、海外景気の下振れや円高
の影響などから、下押し圧力が懸念される。
雇用
有効求人倍率は0.51倍
100
2005年=100
(季節調整値)
90
(予測)
80
70
60
生産指数
(埼玉)
在庫指数
(埼玉)
生産指数
(全国)
2010/1112 11/1 2
3
4
5
6
7
8
9 10 11 12 12/1 2 年月
資料:経済産業省・埼玉県 (注)予測は、鉱工業生産指数(全国)を製造工業生産予測指数で換算したもの。
有効求人倍率の推移
万人
15
埼玉県
(右目盛)
倍
0.8
全国
(右目盛)
0.7
0.6
10
0.5
0.4
5
有効求職者数
有効求人数
12月の有効求人倍率
(季節調整値)は、前月から
0 .01ポイント下降して、0 .51倍となった。有効求職
者数は106 ,294人
(前年比▲2 .1%)と、19カ月連続
で前年を下回ったが、有効求人数は 60 ,916人
(同+
10 .6%)
と、20カ月連続で前年を上回っている。新規
求人倍率
(季節調整値)
は、前月から0.11ポイント下
降して、0.83倍となっている。
有効求人倍率は、東日本大震災以降、0 .50倍近
辺での推移を続けており、県内の雇用情勢は依然
として厳しい。
鉱工業指数の推移
0
2010/12 11/1
0.3
2
3
4
5
6
7
8
9
0.2
10 11 12 年月
資料:埼玉労働局
現金給与総額
弱含んでいる
11月の
「1人あたり現金給与総額
(規模5人以上)
」
は、250 ,287円
(前年比▲1 .7%)となった。
「 現金給
与総額」からボーナス・残業手当等の「特別に支払
われた給与」を除いた「きまって支給する給与
(定
期給与)
」は、243 ,050円と前年実績を0 .1%上回っ
ている。
1人あたり現金給与総額は、所定外労働時間が
前年を12 .2%下回ったことなどから、4カ月連続で
前年を下回った。定期給与は 5カ月ぶりに前年を上
回ったものの、雇用者所得は足元で弱含んでいる。
現金給与総額の推移
万円
50
特別に支払われた給与
きまって支給する給与
前年比
(右目盛)
45
40
%
10
8
6
35
4
30
2
25
0
20
-2
15
-4
10
-6
5
-8
0
2010/11 12 11/1
2
3
4
5
6
7
8
9
-10
10 11年月
資料:埼玉県 現金給与総額=特別に支払われた給与+きまって支給する給与
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
18
月
次
経
済
指
標
鉱工業生産指数
(季調値)
鉱工業在庫指数
(季調値)
埼玉県
埼玉県
全国
建築着工非居住用
全国
埼玉県
2005年=100 前月比(%)2005年=100 前月比(%)2005年=100 前月比(%)2005年=100 前月比(%) 1,000㎡
全国
前年比(%) 1,000㎡
前年比(%)
2008年
101.2
▲5.2
103.8
▲3.4
110.0
6.6
109.0
4.8
3,431
▲7.8
60,963
▲6.4
2009年
78.6
▲22.3
81.1
▲21.9
66.8
▲39.3
93.1
▲14.6
1,722
▲49.8
42,947
▲29.6
2010年
91.5
16.4
94.4
16.4
88.1
31.9
96.6
3.8
2,042
18.6
44,521
3.7
91.1
▲3.5
99.9
3.4
2,165
6.0
47,253
6.1
2011年
10年11月
91.7
2.1
93.9
1.6
73.5
2.8
95.2
▲1.7
159
▲15.5
3,481
1.1
12月
91.8
0.1
96.2
2.4
80.2
9.1
96.7
1.6
210
48.9
3,267
0.2
11年 1月
93.7
2.1
96.2
0.0
86.9
8.4
100.5
3.9
89
▲51.9
3,586
11.1
2月
91.1
▲2.8
97.9
1.8
80.5
▲7.4
102.0
1.5
158
63.1
3,146
▲8.7
3月
80.5
▲11.6
82.7
▲15.5
77.2
▲4.1
97.7
▲4.2
202
5.4
4,068
▲2.2
4月
84.2
4.6
84.0
1.6
76.8
▲0.5
98.2
0.5
173
▲11.6
4,361
28.1
5月
92.4
9.7
89.2
6.2
76.6
▲0.3
103.7
5.6
223
101.8
3,842
11.9
6月
90.4
▲2.2
92.6
3.8
72.2
▲5.7
100.8
▲2.8
216
▲8.7
4,411
13.5
7月
85.0
▲6.0
93.0
0.4
73.5
1.8
100.7
▲0.1
291
50.2
4,338
2.3
8月
87.9
3.4
93.6
0.6
71.2
▲3.1
102.8
2.1
160
▲14.5
4,475
16.7
9月
84.7
▲3.6
90.5
▲3.3
72.2
1.4
102.7
▲0.1
137
10.5
3,518
▲18.2
10月
84.2
▲0.6
92.5
2.2
71.3
▲1.2
103.6
0.8
154
2.6
3,951
3.0
11月
81.2
▲3.6
90.0
▲2.7
65.5
▲8.1
103.0
▲0.6
161
1.4
3,826
9.9
12月
93.4
4.0
100.0
▲2.9
201
▲4.4
3,731
▲14.2
12年 1月
資料出所
埼玉県
経済産業省
埼玉県
経済産業省
国土交通省
●鉱工業在庫指数の年の数値は年末値
新設住宅着工戸数
埼玉県
戸
所定外労働時間
(製造業)
全国
前年比
(%)
戸
埼玉県
前年比
(%)
時間
常用雇用指数
全国
前年比
(%)
時間
前年比
(%)
埼玉県
全国
2005年=100
2005年=100
2008年
71,325
10.3
1,093,519
3.1
15.9
▲5.6
17.3
▲6.3
101.5
104.1
2009年
54,198
▲24.0
788,410
▲27.9
11.0
▲35.5
11.7
▲32.6
100.3
103.7
2010年
55,368
2.2
813,126
3.1
14.1
27.4
15.4
31.7
99.2
103.3
2011年
57,772
4.3
834,117
2.6
15.4
▲0.5
10年11月
4,773
▲4.5
72,838
6.8
14.6
15.1
16.3
10.9
100.2
103.4
12月
5,281
9.7
74,517
7.5
14.6
5.8
16.3
8.0
100.5
103.3
11年 1月
4,139
▲4.5
66,709
2.7
12.8
▲2.3
14.6
2月
4,788
13.4
62,252
10.1
13.7
3.8
16.0
3月
3,888
▲13.9
63,419
▲2.4
13.3
▲2.2
15.2
▲2.0
4月
4,610
9.9
66,757
0.3
12.0
▲16.1
13.8
▲10.4
5月
4,051
▲3.9
63,726
6.4
11.6
▲12.8
13.4
6月
4,969
8.1
72,687
5.8
12.3
▲16.3
15.0
7月
6,202
33.4
83,398
21.2
13.0
▲9.7
8月
5,147
7.5
81,986
14.0
13.2
▲8.3
9月
4,380
▲16.3
64,206
▲10.8
12.9
10月
5,209
29.4
67,273
▲5.8
11月
5,228
9.5
72,635
▲0.3
12月
5,161
▲2.3
69,069
▲7.3
7.3
※
103.1 (100.7)
103.1
6.6
100.5 (98.1)※
102.8
※
100.0 (97.6)
102.2
100.9 (98.4)※
103.6
▲6.9
※
101.6 (99.2)
103.5
▲1.3
102.2 (99.7)※
103.5
15.8
▲1.2
※
102.5 (100.0)
103.7
15.3
▲1.8
101.7 (99.2)※
103.4
▲10.3
16.1
0.6
101.7 (99.1)
103.4
14.1
▲0.6
16.5
3.1
※
101.5 (99.0)
103.1
14.4
▲1.5
16.3
0.0
101.0 (98.6)※
103.3
16.6
1.9
※
12年 1月
資料出所
国土交通省
埼玉県
厚生労働省
埼玉県
厚生労働省
●所定外労働時間、常用雇用指数はいずれも規模30人以上 ※11年1月より算出方法が変更されたため、
データに連続性がない。
( )
内は従来基準による参考データ
19 —— 埼玉りそな経済情報2012.3
月
次
有効求人倍率
(季調値)
埼玉県
全国
倍
倍
経
済
指
標
新規求人数
大型小売店販売額
埼玉県
人
全国
前年比
(%)
千人
埼玉県
前年比
(%)
億円
全国
前年比
(%)
億円
前年比
(%)
2008年
0.87
0.88
25,310
▲13.3
679
▲15.8
10,917
▲1.6
209,511
▲2.5
2009年
0.40
0.47
18,563
▲26.8
523
▲23.0
10,416
▲6.1
197,758
▲7.0
2010年
0.41
0.52
19,633
5.9
571
9.3
10,440
▲2.3
195,791
▲2.6
2011年
0.51
0.65
22,517
14.7
655
14.7
10,459
▲1.8
195,929
▲1.8
10年11月
0.46
0.57
21,380
27.6
600
22.6
887
0.3
16,325
0.1
12月
0.46
0.58
18,957
26.1
522
15.8
1,092
▲1.5
20,435
▲1.7
11年 1月
0.49
0.61
24,302
27.1
662
18.8
905
▲0.1
17,080
▲0.7
2月
0.51
0.62
23,278
29.3
664
22.9
767
0.2
14,469
0.5
3月
0.52
0.63
20,927
7.8
664
10.5
826
▲7.0
10,115
▲7.5
4月
0.53
0.61
23,200
27.4
620
12.2
847
▲0.6
15,658
▲1.9
5月
0.50
0.61
20,239
20.9
584
1.1
856
▲3.2
15,774
▲2.5
6月
0.49
0.63
20,602
7.9
640
12.6
870
▲0.4
16,033
▲0.5
7月
0.49
0.64
22,551
11.9
649
12.2
938
1.6
17,843
0.8
8月
0.50
0.66
22,971
13.1
680
18.4
824
▲3.5
15,575
▲2.6
9月
0.51
0.67
23,398
8.5
702
12.5
794
▲4.7
14,728
▲3.6
10月
0.51
0.67
25,338
11.9
719
11.8
859
▲1.8
16,057
▲1.4
11月
0.52
0.69
23,399
9.4
685
14.2
875
▲3.0
16,370
▲2.5
12月
0.51
0.71
20,004
5.5
597
14.4
1,100
▲0.3
20,910
▲0.3
12年 1月
資料出所
埼玉労働局 厚生労働省
埼玉労働局
厚生労働省
関東経済産業局
経済産業省
●大型小売店販売額は全店ベース、前年比は既存店ベース
新車販売台数
(乗用車)
埼玉県
台
企業倒産
全国
前年比(%)
台
消費者物価指数
埼玉県
全国
埼玉県
全国
前年比(%) 件数
(件) 負債額(百万円) 件数
(件) 負債額(百万円) 2010年=100 前年比(%)2010年=100 前年比(%)
2008年
159,299
▲5.8
2,800,664
▲5.2
586
144,150
15,646 12,291,953
102.1
1.2
102.1
1.4
2009年
146,611
▲8.0
2,640,312
▲5.7
636
153,345
15,480
6,930,074
101.0
▲1.1
100.7
▲1.4
2010年
161,858
10.4
2,927,602
10.9
573
111,207
13,321
7,160,773
100.0
▲1.0
100.0
▲0.7
2011年
129,169
▲20.2
2,386,036
▲18.5
563
70,551
12,734
3,592,920
99.9
▲0.1
99.7
▲0.3
10年11月
10,050
▲36.0
178,463
▲33.5
51
8,496
1,061
273,830
100.0
0.0
99.9
0.1
8,884
▲31.2
157,443
▲31.6
42
6,520
1,102
246,480
99.7
▲0.2
99.6
0.0
12月
9,679
▲22.1
167,574
▲23.8
31
2,721
1,041
236,397
99.4
▲0.5
99.5
▲0.6
2月
12,797
▲15.5
226,691
▲16.2
32
3,104
987
410,188
99.5
▲0.4
99.5
▲0.5
3月
12,232
▲40.3
243,783
▲39.5
49
12,102
1,183
270,244
99.7
▲0.8
99.8
▲0.5
4月
4,937
▲55.1
97,128
▲51.5
53
6,469
1,076
279,567
99.9
▲0.5
99.9
▲0.4
5月
7,523
▲34.0
128,544
▲38.0
51
6,868
1,071
252,674
99.8
▲0.2
99.9
▲0.4
6月
10,429
▲28.6
202,345
▲28.9
60
7,072
1,165
216,353
99.8
▲0.1
99.7
▲0.4
7月
10,668
▲37.2
215,265
▲30.0
50
5,823
1,081
220,912
100.1
0.6
99.7
0.2
8月
10,022
▲35.1
188,656
▲29.5
53
4,350
1,026
794,045
100.4
0.6
99.9
0.2
9月
15,454
▲2.6
280,379
0.8
48
3,954
1,001
212,312
100.2
0.3
99.9
0.0
10月
12,046
25.6
220,271
28.3
43
5,238
976
155,883
100.5
0.1
100.0
▲0.2
11月
12,549
24.9
221,048
23.9
46
3,808
1,095
187,675
99.6
▲0.4
99.4
▲0.5
12月
10,833
21.9
194,352
23.4
47
9,042
1,032
356,670
99.8
0.1
99.4
▲0.2
12年 1月
14,434
49.1
239,107
42.7
45
11,240
985
349,355
11年 1月
資料出所
日本自動車販売協会連合会
東京商工リサーチ
埼玉県
総務省
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
20
● タウンスケープ
春日部市
人・自然・産 業 が 調 和した 快 適 創 造 都 市 春日部
市 長 のメッ セ ー ジ
春日部市は、
「 人・自然・産業が調和した快適創造都
市」を将来像として、住んでいる人や訪れる人が快適な
時間を過ごすことができ、住み続けたい、訪れたいと
実感できる都市の実現に取り組んでいます。
これからの季節、市内各所にあるお花見スポット
や春日部藤まつり、大凧あげ祭り、春日部大凧マラソ
ン大会など、春の「かすかべ」はイベントが目白押し
です。楽しさいっぱいの
「かすかべ」にぜひお越しくだ
春日部市長
石川 良三 氏
はじ めに
さい。
きり たん
す
桐 箪 笥 ・桐 箱・押 絵 羽 子 板・麦わら帽 子
平成17年10月1日に、旧春日部市と旧庄和町
江戸時代、日光東照宮造営のため、全国から
が合併して誕生した春日部市は、都心から35㎞
集められた腕利きの工匠達の一部が、帰路の途
圏内、県の東部に位置し、北を宮代町・杉戸町、
中、日光街道沿いで、江戸からも遠くない春日部
西をさいたま市と白岡町、南を越谷市と松伏町、
周辺に住み着いた。彼らが目をつけたのが、近郊
東を千葉県野田市に接している。市内には東武
に豊富にあった桐の木である。桐は高さ10 mほ
伊勢崎線・野田線の春日部駅を中心に計8駅が
どの落葉高木で、大変成長が早く、柔らかく比重
あり、国道4号・4号バイパスと国道16号バイパス
が軽い、虫がつきにくく、発火点が高く燃えにく
が市内を縦横に結ぶなど、首都圏の交通の要衝
いといった特徴を持つ。こうした特徴を生かし、
として賑わっている。かつて日光街道粕壁宿とし
指物や小箱などを作り始めたのが、今日、特産品
て栄えた歴史を誇る春日部市は、人気漫画・アニ
となった桐箪笥や桐箱の起源とされる。
メ
「クレヨンしんちゃん」の舞台としても知られて
また、全国的に有名な押絵羽子板は、桐で出
おり、豊かな自然と快適な都市空間が融合する
来た羽子板に立体的な絵姿を飾り付けたもの
形で、さらなる発展を目指している。
で、歌舞伎役者や日本画風の美人などが美しく
描かれる。こちらも、第二次大戦後、羽子板生産
の多かった浅草一帯の職人が、良質の桐材の手
に入る春日部周辺に移住したのが始まりとされ
ており、やはり桐が結んだ縁といえよう。
土地が肥沃な春日部は、麦の生産地としても
栄えてきた。明治13年ごろ、収穫した麦を五本編
みこんで組紐状にした
「麦わら真田」を利用し、
手縫いで帽子を作るようになったのが、もう一つ
の特産品である麦わら帽子の始まりといわれる。
現在では、優れた技術を生かし、よりファッショ
春日部が誇る特産品
21 —— 埼玉りそな経済情報2012.3
ン性の高い帽子や小物なども生産されている。
ほう しゅ ばな
日本一「 百畳 敷 春日部( 宝 珠 花 )の 大 凧 」
藤 のまち・春日部
春日部の風物詩の一つに大凧がある。江戸時
春日部は藤のまちとして有名である。なかでも
代後期、江戸川近くの宝珠花の地で、養蚕の豊
「牛島のフジ」は、樹齢1200年ともいわれる古木
作占いとして始められたと伝わるが、いつの頃か
で、根まわり約10㎡、藤棚の面積約700㎡、最も
らか、端午の節句に、男子出生を祝って揚げられ
長い花房が 2 mに達する見事なものである。昭
るようになった。その後、次第に凧が大型化し、
和30年8月に国の特別天然記念物に指定され、
明治中期には百畳敷といわれる大きさとなった。
平成元年には新日本名木百選にも選ばれた。
今も毎年5月の3日と5日には、江戸川河川敷
昭和55年には、春日部郵便局から春日部地方
で大凧あげ祭りが開催される。この時に揚げら
庁舎までの車道をはさんだ左右の歩道に、約1 .1
れる大凧は、地元の保存会により3カ月にわた
㎞にわたる藤棚が整備された。以来、
「 春日部藤
って製作されたもので、縦15 m、横11 m、重さ
まつり」の頃には、紫や白、ピンクなど、色とりど
800kgに及ぶ巨大なもの。百数十人の引き手によ
りの藤の花が咲き誇る様を楽しみに、市の内外
って大空へ舞い上がる姿は勇壮そのもので、大
から多くの人々が集まってくる。 (井上博夫)
凧が揚がる瞬間には、合図の鐘の音とともに、河
川敷を埋め尽くした約10万人の観客から歓声と
拍手がわき起こる。
市内道の駅「庄和」の本館特産物販売所には、
巨大な大凧が飾られており、その威容をうかが
い知ることができる。
この道の駅「庄和」
には、
食
彩館という食堂施設が別棟で設置されており、
豊富なメニューの中から、ゆったりと食事を楽し
むことができるため、地元住民のみならず、多く
のドライバーやトラック運転手などに大変好評
である。
勇猛壮大な大凧
春日部市概要
春日部市
人口 (平成24年1月1日現在)
240,649人
世帯数 (平成24年1月1日現在)
100,180世帯
平均年齢
(平成23年4月1日現在)
面積
杉戸町
事業所数
(工業統計)
276所
製造品出荷額等
さいたま市 越谷市
1,422.0億円
商店数 (商業統計)
1,777店
商品販売額
3,361.8億円
公共下水道普及率
82.7%
舗装率
83.4%
*資料「春日部市統計書
(平成23年度)」他
主な交通機関
●東武伊勢崎線 春日部駅・北春日部駅・一ノ割駅・
武里駅
●東武野田線
44.1歳
65.98㎢
●東北自動車道 岩槻ICから市役所まで約10㎞
春日部駅・豊春駅・八木崎駅・
藤の牛島駅・南桜井駅
埼玉りそな経済情報2012.3 ——
22
市町村別一人当たり市町村民所得
市町村名
平成20年度 平成21年度
増加率
(千円)
(%)
さいたま市
3,474
3,377
▲2.8
川 越 市
2,946
2,855
熊 谷 市
2,753
川 口 市
市町村名
平成20年度 平成21年度
増加率
(千円)
(千円)
(%)
和 光 市
3,583
3,495
▲2.5
▲3.1
新 座 市
2,926
2,820
2,685
▲2.5
桶 川 市
2,832
3,056
2,994
▲2.0
久 喜 市
行 田 市
2,534
2,451
▲3.3
秩 父 市
2,127
2,082
所 沢 市
3,231
飯 能 市
市町村名
平成20年度 平成21年度
増加率
(千円)
(%)
吉 見 町
2,428
2,374
▲2.3
▲3.6
鳩 山 町
2,815
2,735
▲2.9
2,739
▲3.3
ときがわ町
2,275
2,252
▲1.0
2,788
2,761
▲1.0
横 瀬 町
2,210
2,148
▲2.8
北 本 市
2,724
2,638
▲3.1
皆 野 町
2,101
2,029
▲3.4
▲2.1
八 潮 市
2,805
2,768
▲1.3
長 瀞 町
2,214
2,187
▲1.2
3,101
▲4.0
富士見市
2,870
2,794
▲2.7
小鹿野町
1,823
1,745
▲4.3
2,723
2,664
▲2.1
三 郷 市
2,741
2,664
▲2.8
東秩父村
1,792
1,639
▲8.5
加 須 市
2,570
2,544
▲1.0
蓮 田 市
2,918
2,828
▲3.1
美 里 町
2,313
2,322
0.4
本 庄 市
2,428
2,405
▲1.0
坂 戸 市
2,635
2,596
▲1.5
神 川 町
2,103
2,041
▲2.9
東松山市
2,675
2,606
▲2.6
幸 手 市
2,558
2,495
▲2.4
上 里 町
2,312
2,310
▲0.1
春日部 市
2,563
2,490
▲2.8
鶴 ヶ島 市
2,864
2,823
▲1.4
寄 居 町
2,290
2,282
▲0.4
狭 山 市
2,949
2,821
▲4.4
日 高 市
2,752
2,697
▲2.0
宮 代 町
2,421
2,358
▲2.6
羽 生 市
2,440
2,417
▲0.9
吉 川 市
2,718
2,680
▲1.4
白 岡 町
2,878
2,799
▲2.8
鴻 巣 市
2,682
2,631
▲1.9
ふじみ野市
2,919
2,847
▲2.5
杉 戸 町
2,583
2,514
▲2.7
深 谷 市
2,540
2,482
▲2.3
市
2,981
2,904
▲2.6
松 伏 町
2,336
2,284
▲2.2
上 尾 市
2,824
2,725
▲3.5
町 村 計
2,512
2,451
▲2.4
草 加 市
2,864
2,784
▲2.8
伊 奈 町
2,677
2,612
▲2.4
越 谷 市
2,847
2,780
▲2.4
三 芳 町
3,185
3,076
▲3.4
蕨
市
3,096
3,031
▲2.1
毛呂山町
2,190
2,159
▲1.4
戸 田 市
3,546
3,451
▲2.7
越 生 町
2,327
2,300
▲1.2
入 間 市
2,872
2,777
▲3.3
滑 川 町
2,813
2,700
▲4.0
鳩ヶ谷市
2,808
2,714
▲3.3
嵐 山 町
2,627
2,538
▲3.4
朝 霞 市
3,290
3,228
▲1.9
小 川 町
2,515
2,499
▲0.6
志 木 市
3,260
3,196
▲2.0
川 島 町
2,842
2,596
▲8.7
計
3
発行・株式会社埼玉りそな銀行
●平成
(千円)
月号
(千円)
埼玉りそな 経 済 情 報
市町村経済データ
年
24
月
3
2,943
2,867
▲2.6
資料:埼玉県「平成21年度 埼玉の市町村民経済計算」
(注)
市町村名は調査時点
1
日発行(毎月
市町村計
回
1
埼玉りそな経済情報 3月号 No.99
2012年3月1日発行
株式会社 埼玉りそな銀行
公益財団法人 埼玉りそな産業経済振興財団
〒330-0063 さいたま市浦和区高砂 2-9-15
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ホームページアドレス http://www.sarfic.or.jp/
この冊子はエコマーク認定の
再生紙および環境調和型の植
物性インキを使用しています。
99
号)
発 行
企 画・ 編 集 日発行・通巻
1