「同窓生の軌跡」・「四季の野鳥」 第3回 機械工学科 第1期生 崖 登司之 前回は、 「夏の野鳥」と題して留鳥や夏鳥の繁殖期の様子を紹介しましたが、今回は、 「秋の野鳥」と 題して、9 月~11 月頃の野鳥の大移動の様子を紹介します。 1 換羽 繁殖期の子育てが済むとほとんどの野鳥が囀 らなくなります。囀る野鳥の中では遅くまで囀 ウグイス 初鳴き るウグイスも盆過ぎにはピタッと囀りが止みま 囀り納め す。 「チャチャ」という地鳴きも一時しなくなり ます。 (図 1 に 2007 年の霜降山調査地のウグイスの 囀りを赤の棒グラフ、地鳴きを青の棒グラフで 表す。2/10 に囀り初鳴き、8/16 に囀り納め。 ) 一番暑い時期に森の中は、今年生まれの若鳥の声はしますが静かになります。 囀らないのは子育てに必要な縄張りのアピールがいらなくなったこともありますが、幼鳥が「親離れ」 すると親鳥たちは年に一度の衣替え(換羽)に入ります。換羽中は飛翔能力が低下するので外敵に襲 われないように静かにしているのだと言われています。 かくして装い(羽毛)も新たになった野鳥たちは、特にツバメなどの夏鳥は秋の大移動に備えます。 2 大移動する夏鳥たち 前回、日本に生息する時期の違いで、 「留鳥」 ・「夏鳥」・「冬鳥」・「旅鳥(前回、渡り鳥と紹介しまし たが旅鳥が正当です。 )」と区分けしていますと紹介しましたが、その内の「夏鳥」は日本で繁殖が済 むと東南アジア方面に向かって旅立ちます。 早い種では 8 月の上旬には動き始めています。先日(8 月 2 日)霜降山に行ったところ、聞きなしが 「焼酎一杯グイーッ」と鳴くセンダイムシクイが姿を見せました。霜降山では繁殖が確認されていな いので霜降山以東で繁殖した個体が日本列島を西へ下り始めて来たようです。このように気の早い個 体もいますが、夏鳥の多くの種が 9 月に旅立ちをします。遅いものでは 10 月下旬や 11 月に入ってか らも西方面に飛んでいるツバメなどを見かけます。 後程、夏鳥の渡りの代表として「ハチクマの渡り」を紹介し ます。 3 旅鳥(シギ・チドリ類)の大移動 「旅鳥」のシギ・チドリ類はシベリア・アラスカ方面から日 本の海岸線を通過してさらに遠くの南半球まで南下します。そ の距離は約 2 万 km 近くにもなると言われていますが、体の大 きさはスズメやハトと同じ位の大きさにもかかわらずその飛 洲で採餌するダイシャクシギ 1 行能力に驚嘆します。海岸で渡り途中のシギ・チドリを見かけると「頑張って行けよ」と声をかけた くなります シギ・チドリの多くは太平洋側の海岸を渡って行くと言われています。その理由は日本海側が 2500 万年前までは大陸と地続きだった(その後、日本列島は大陸と引きはなされ、約 1300 万年前、日本海は ほぼ現在の形に)ので太平洋側が渡りルートとして組み込まれているという説があります。 シギ・チドリは海岸の洲で餌を採りながら渡るのですが、工場立地や都市化などで特に太平洋側の洲 や海岸が埋め立てられて洲が激減し、シギ・チドリにとって渡り途中での餌の補給が困難な時代にな ってきています。 近年、そうした洲に住む生物が洲に流れ込む生活排水などを浄化する能力があることが分かり、自然 豊かな洲の価値が景観上からも見直され保護活動の取組みが増えています。 4 留鳥の中の漂鳥 1年中日本国内で過ごす留鳥も外国までは渡らないものの、比較的暖 かい九州地区などまで南下して越冬する野鳥もいます。これらを漂鳥 といいますが代表的な種はヒヨドリやメジロです。 特にヒヨドリは 10 月中旬ごろに九州方面に大移動しますが、大きな 川や関門海峡を渡るときに大群となり時には数百~1,000 羽を超える ことがあります。 下関彦島の海岸近くで見ていると、近くの小山から飛び出してはまた 小山に引き返すことを何度か繰り返しますが、その内、意を決したよ ヒヨドリ うに門司を目指して飛び出すと急に海面すれすれ近くまで急降下し、 対岸に向かって低空飛行します。その様は 竜 が空 から 海面 に舞 い降 りる よう な迫 力・躍動感があります。また、海面すれす れを飛ぶのはタカ類の襲撃を避けるため です。時に、ハヤブサが群れに突っ込むと ヒヨドリは右往左往と逃げまどい、自然界 の厳しさを目のあたりにしてハラハラド キドキさせられます。近場では周防大橋で 水面すれすれを飛ぶヒヨドリの群れ 周防大橋近くにて も観察できます。 メジロも移動します。小高い山頂で見ていると、メジロは 20~30 羽程度の群れで西方面へ飛び去るのを見かけますが、 体も小さくまた群れの数も小さいのでヒヨドリほど観察の 対象になっていません。 山口県の本州最西北端となる川尻岬でメジロの群れが次 から次へと北西に向かって海原に飛び出していくのを見た ことがあります。飛び出した方向の先は朝鮮半島まで ヒヨドリを捕獲したハヤブサ 200km、やや西寄りに対馬が 150km にあります。メジロも留鳥とはいえ朝鮮半島まで行っているの ではと推測するのですが詳しいことは分かっていません。 2 ウグイスも北海道では冬季は本州へ南下し姿を見かけない鳥に なっています。ミソサザイなど高い山で繁殖する野鳥も冬場には 霜降山などの低地に移動します。ヒヨドリの移動も一部のヒヨド リだけが漂鳥となるのかそれともすべてのヒヨドリが玉突きのよ うに移動しているのかどうか分かっていません。いずれにしても 日本は南北に約 2000km と長く、高山も含めると野鳥にとって日 本は生息環境の幅が広い国になっているようです。 このように、夏鳥・旅鳥そして留鳥の一部の野鳥たちが来たる激 ミソサザイ 日本では最も小さな鳥の一つ 寒の冬に備え、秋の内に大移動を始めます。不思議なのは今年生まれの若鳥が冬の厳しさを知らない のに、また、親鳥から教わるわけでもないのに未知の土地に大移動をします。始祖鳥から 1 億 5 千万 年、大移動の智恵もしっかり遺伝子に組み込まれているようです。 5 タカの渡り 古来から「漂泊の思いやまず」と未知の土地にはロマンを抱かせるものがあります。漂泊する旅人を 見てもロマンを感じます。バードウォッチャーは旅をする鳥にもロマンを感じます。 「片雲の風にさそはれて」旅をしたのは芭蕉ですが、ここで秋風に乗って大移動するタカの渡りの様 子を紹介します。 次の「ハチクマの渡り」は宇部野鳥保護の会に在籍していた時、平成 20 年に発行された「30 周年記 念誌」に私が投稿した文章に、その後の観察データを入れ替え、一部文章を書きかえたものです。 ・・・ 「ハチクマの渡り」 男山でのタカの渡りの調査・・・ ワシ・タカの類は猛禽類といわれ「性質が荒々しく、他の鳥や小さな獣を捕らえて食う鳥の総称」とあり ます。山野や海岸近くに生息し、食形態から食物連鎖上鳥類の頂点に位置しており、小動物や鳥が少なく なると棲息できないことから自然環境のバロメーターとして自然保護の指標鳥ともされています。 あまり身近な鳥でもない、孤高なイメージのあるワシ・タカですが、その中で渡りをするタカがいます。 北海道から信州などの深山に棲息するタカがフィリピン・ミンダナオ島などの南方まで約 12,000km の長旅 をしますが、その途中、多くのタカが宇部市の山の上を通っていきます。 例えれば、オリンピックのマラソン選手が私の住むすぐ近くの道を走るのです。道に出て、一生懸命走る 選手に小旗を振って応援したくなるでしょう。そんな気持 図2 観察場所の概略図 の鳥仲間と霜降山(男山)の山頂に通い、初秋とはいえま だまだ厳しい陽射しの下で季節遅れの日焼けをし、渡るタ カに感動を受けながら応援した記録を紹介します。 (1) 観察場所(図2) ① 場所 宇部市男山 山頂展望台(標高 228m) (2006 年は男山山頂への道路が崩壊のため通行でき ず、山口市河原谷公園サブ広場(標高 90m)にて観 察) 観察範囲 3 ② 期間 2002 年~2013 年(12 年間) 毎年 9 月 16 日~9 月 30 日 ③ 観察範囲 8:30~15:00 観察地点より半径約 3km 以内 視界は天候やスコープの性能(約 30 倍)等による。 (2) タカの渡り 出現数(図3) 観察は、2002 年に S さんの呼びかけに有志が集まり、メ 図3 ンバーが交代しながら 9 月中旬~9 月下旬の間を毎日観察 する体制となり、この期間のほぼ全容が確認できるように なりました。 タカの出現数は、 観察の 15 日間で多い年で約 2,400 羽、 少ない年で約 300 羽、12 年間の平均では約 1,400 羽出現し ています。年により出現数の多い少ないの理由は、後程紹 介しますが、北からの風が加わるとタカの飛行コースが南 下し、男山に近いコースとなり多く確認できることが観察 で分かってきました。 (3) 出現したタカの種 (図4) 12 年間で出現したタカは 10 種ですが、種別の割合は、ハ チクマが 95%と最も多く、次いでサシバ 1%強、ハイタカ 図4 1%弱です、その他の種はごくわずかの出現です。渡りをす るタカとしてハチクマ、サシバ、ノスリ、ハイタカ、アカ ハラダカが知られていますが男山ではこの時期、ハチクマ の渡りが最も多く観察されます。 ハチクマはトビよりやや小さめで北海道・信州などの山 地の林で繁殖し、地中のジバチの巣などを食べることから ハチクマの和名がついています。渡りの途中に霜降山に降 りて休憩しているハチクマをスコープで見た時、巣を掘るための足が大きくガッシリと見えました。 トビもタカの仲間ですが渡り 尾羽がバチの ように凹形 をせず、観測場所でもあちこち で旋回して出現するのでカウ ントの対象にしていません。 近くに現れたタカの形を見て 一瞬ときめき双眼鏡を向ける のですが、尾羽の形状を見て 「なんだトビか」と見るのを止 めます。しかし、他のタカがし ばし飛ばないときに現れたト 他のタカは 全て凸形 ハチクマ ♂ トビ ビには糊口を潤す水を求めるように双眼鏡を向けます。わがまま亭主にとって女房のような存在でしょう 4 か。 (4) タカの出現の日別変化 (図5) 図5 観察は 9 月 16 日~9 月 30 日までの 15 日 間連続で行います。最初の数日は出現が 0 羽~数羽と少ない日が多く残暑を痛く感 じますが、秋分の日前後の 21 日~25 日は 北向きの風が吹き始めると急激に出現数 が増えるとともに残暑も姿を消します。 図 5 は、12 年間の年ごとの日別出現数を 示していますが、ほぼ秋分の日前後にピー クがみられます。 図 6 は 12 年間の出現数を日別に累積したグラ 図6 フです。21 日~25 日が山となっており、ハチク マの渡りは秋分の日前後がピークになることが 分かります。 12 年間の観察で最も多く出現した日は、2004 年 9 月 25 日の 1,865 羽です。時間帯では、12 時 30 分からの 2 時間に 1,300 羽が集中して飛び、 頭上の雲から次々とタカが湧いて出るようでし た。 (図7) 午前中の上昇気流の弱い時間帯はタカが山の 端近くの低い高度で飛び、上昇気流の強くなった 10 時過ぎの時間帯になると高い高度で飛ぶ傾向 8:00~ が見られるので、高度が高くなったときは発見し にくいのかもしれません。 なお、男山では前日の夕方に隣の霜降山に塒入 14:30~ 15:00~ いずれも午前中に多く出現しています。 11:30~ 12:00~ 12:30~ 出現数 450 400 350 300 250 200 150 100 50 0 年の男山と 2006 年の河原谷公園で見てみますと、 宇部市男山 河原谷公園 13:00~ 13:30~ 14:00~ 図 4 時間帯別出現数 図7 調査期間中の時間別(30 分毎)の出現数を 2005 10:00~ 10:30~ 11:00~ 時間帯別出現数 8:30~ 9:00~ 9:30~ (5) 時間 りしたハチクマが翌朝 8 時~9 時過ぎの時間帯に 霜降山の山頂付近を羽ばたいて上昇する飛び立ちが確認されます。ハチクマの飛立ちを目のあたりにし て「おらが町の山にもタカが寄る豊かな自然があるんだ」と霜降山を誇らしく思うとともにハチクマの 長旅の無事を願うのであります。 (6) 調査期間中の飛行コースの変化 「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、昔の人の自然観察力にはタカを見ていても感心させられ 5 ます。 図 8-1 北海道の大雪山に初冠雪のニュースが流れる秋分の日ごろになると 南側 上空 北側 前城 60 50 羽数 男山展望広場にも北風や北東・北西など北からの風が入る日が多くなり 爽やかな秋風になります。 飛行コース 2005.9.21 70 40 30 20 10 観察初期は観察地の北側を飛ぶコースが多いのですが、北風が吹き始 8:00 8:30 9:00 9:30 10:00 10:30 11:00 11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 0 めると男山山頂近く(上空コース)にも 10~20 羽程度のタカの群れが 時間帯 現れるようになります。多い時には数十羽超えの群れがやってきます。 さらに観察場所の南側、宇部市の市街地方面のかなり高い上空にも西へ 図 8-2 飛行コース 2005.9.23 70 と滑空する群れを見かけるようになります。 南側 上空 北側 前城 60 図 8-1~図 8-3 は男山 2005 年の 9/21(東の風) 、9/23(西の風)、9/25 羽数 50 (北北西の風)の飛行コースを色別棒グラフで示していますが、北西の 40 30 20 10 成分の風が吹き始めると北側コース(紫色)から上空コース(空色)や 8:00 8:30 9:00 9:30 10:00 10:30 11:00 11:30 12:00 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 0 南側コース(桃色)が増えて来ています。このように飛行コースが南下 時間帯 することが分かってきました。 理由としては、山や平地の上昇気流を利用して帆翔するタカが、北西 図 8-3 飛行コース 2005.9.25 40 南側 上空 北側 前城 35 成分の風を受けてルートが南側へずれると考えられます。 30 られます(図 3) 。ここ 2 年は最大出現日も 10 月 1 日と今までより 1 週 25 羽数 しかし、ここ数年、他地区の観察数に比べ出現数の減少が年により見 20 15 10 5 間ばかり遅くなり様子が変わってきていますが理由は不明です。 15:00 14:30 14:00 13:30 13:00 12:30 12:00 11:30 11:00 10:30 9:30 10:00 9:00 8:30 8:00 0 時間帯 (7) ハチクマの飛行コース (表 1) 表1 北風が吹き始めるとタカの飛行コースが南下する傾向があ りますが、観察期間中に出現したタカの飛行コースを、観察 している場所の上空、北側及び南側別の割合を示したのが表 1 です。 男山でも河原谷公園でも観察地の北側コースを通る割合が 4 割~6 割とほぼ半数です。観察地の上空付近を飛ぶタカの 数は約 3 割となっています。そして観察地の南側を飛ぶ割 合は約 1~2 割程度となっています。なお、飛立ちの1割 は霜降山より飛立ったタカです。 図 9 は、男山と河原谷公園で観察時の飛行コースを記入 した図です。北側、上空、南側の 3 コースのコース別に出 現数の割合に応じて線の太さを変えて線引きしたもので す。宇部市は山口県の南にやや張り出したような地形なの で、男山はタカの渡りの本体コースからやや南に位置して いるようです。 6 飛行コース (観察地の) 出現数のコース別割合 2005年 男 山 2006年 河原谷公園 北 側 4割 6割 上 空 3割 3割 南 側 2割 1割 飛立ち 1割 図 9 ハチクマの飛行コース (8) 最大観察日の天気図 1 日の最大数が観察された 2004 年 9 月 25 日の天気図を 図9 図 9 に示しますが、前線が通過した後で朝鮮半島に高気圧 がかかっています。調査した毎年の最大出現日の天気図を 見ると同様に朝鮮半島に高気圧がかかっています。このよ うな気圧配置の時に渡りに適した向きの風が吹いている ようです。 前線が通過して 2 日目頃の秋晴れの日がタカの渡り観察 の絶好日となるので、前夜天気図を見て翌朝、勇んで観察 場所に行くのですが空振りになることがあります。いつも 期待どおりに多くのタカが現れるとは限りません。そこが 不思議なところですが、まだまだ不明な点が多いのも観察の魅力です。 7 タカの渡りの追跡 タカの渡りは、比較的短期間に、ある程度の群れで、ほぼ決まったコースを通過していることが分か ってきています。 全国各地でタカの渡りを観察しているホークウォッチャーが 2000 年秋、信州白樺峠に集まり、第一回 タカの全国集会を開催し、そこで全国ネットワークが提案され運用が始まっています。インターネット のホームページで各地の観察ポイントにおけるタカの渡り状況がリアルタイムで確認できます。 また、2003 年秋にハチクマ 3 固体に発信機を取り付け、衛星追跡で秋の移動ルートと春の移動ルート が 2 年間にわたり調査されています。それによると、秋に長野県→長崎県福江島→中国→ベトナム→タ イ→マレーシアそしてインドネシアに渡り越冬。春にはインドネシア→マレーシア→中国→韓国→対馬 →福岡→長野県と渡っています。その往路・復路の途中で男山の上空付近を通過しているような軌跡の 固体もあります。 ハチクマの渡りの総数は日本から中国に向けて飛び立つ長崎県福江島の調査では毎年 1 万数千羽~2 万羽程度ですが、男山の観察期間の 9/16~ 9/30 の間では約 8 千羽~1 万羽なので、その 内の約 2 割が男山展望台付近を通過している ことになります。 越冬地までの約 12,000kmのマラソンの途 中、宇部市の上空を通るタカが上昇気流で旋 回しながら、時には大きな群れのタカ柱とな って上昇し、ほどけては風と滑空を繰り返し ながら飛び行く様に感動し、見飽きることが ありません。宇部から先の長旅を思うと頑張 れと声援を送りたくなります。 ・・・ 霜降山上空にできたタカ柱 ・・・ 渡る夏鳥の代表選手として「ハチクマの渡り」を紹介しました。 7 時間にすればたまにしか飛ばないタカ を求めて、大の大人が一日中空を眺める様 は、野鳥に興味のない第三者から見れば不 思議に思われるでしょう。 休日はもちろん、転職した 10 年前から は仕事をやりくりし、年次有給休暇を半日 単位で取るなどして仲間と観察を続けて いますがタカにはさほどの魅力があるよ うです。 しっかり 彼岸焼け 今年(H26)も 9 月 16 日~9 月 30 日ま での間は霜降山(男山山頂展望広場)でタ カの渡りの観察を行います。タカの帆翔は見る人を惹きつけるものがあります。初秋の山の景色を見がて ら覗かれてはいかがでしょう。 8 冬鳥の大移動 夏鳥が東南アジア方面に旅立つと代わりにシベリアなどの北国で繁 殖を終えたジョウビタキやカモなどの「冬鳥」が越冬のため 10 月下 旬~12 月上旬にかけて日本にやって来ます。 ジョウビタキは 10 月 20 日前後にやって来ると、屋根の上や電線に とまり「ヒッヒッ」と鳴き縄張り宣言をします。 「ヒッヒッ」と鳴くと きにピョコと頭を下げ、尾を上げるので私には到着のご挨拶をしてい るように見えます。 鳴き声が火打石を打つように聞こえることから「ヒウチドリ」とか 羽に白い紋のような模様がるので「モンツキドリ」とも地方によって 様々な呼び名があるほど身近で愛嬌のある小鳥です。この「ヒッヒッ」 の鳴声を聞くと家の周りも「秋になったなー」と感じる時です。 ジョウビタキ ♀ カモの仲間では、10 月になると比較的早くやって来るのがコ ガモです。そして 11 月~12 月にかけて厚東川や市内の池にマ ガモなど他のカモたちも揃ってきます。霜降山もシロハラやル リビタキなどの「冬鳥」が到着します。 秋は野鳥にとって大移動の時ですが、近くの山や川は夏鳥か ら冬鳥への移り変わりの時でもあります。 次回は 12 月に「冬の野鳥」として、年間で最も野鳥の種類 や鳥数が多くなる冬の野鳥達について近隣の山や川での様子 コガモ ♂ を紹介します。(写真:塩見和彦氏) 8
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