三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年 齢別静態

【論 説】
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年
齢別静態人口データの相違に関する考察
山 田 茂
目 次
1 はじめに
1)データ間の相違をもたらした要因
2)考察対象の中小都市と入手したデータ
2 大都市圏外所在所在中小都市における国勢調査結果と登録人口の比
較
むすびにかえて
1 はじめに
国勢調査結果と住民基本台帳に登録された人口(および外国人登録原票に登
録された人口)は,地域別に区分された静態人口データという共通の性格を
持っている。国勢調査の実地調査は,近年世帯側の非協力などにより都市部ほ
ど困難になっており,その結果にも少なからぬ影響が生じている。他方,原則
として住民による届出に基づいて更新される住民登録を集計した住民基本台帳
人口(および外国人登録原票を集計した外国人登録人口1))にも実際の居住地
との相違などの問題点が以前から指摘されている2)。
筆者は,山田(2010a)・山田(2011a)において東京都区部・政令指定都市
および三大都市圏に所在する中小都市について2005年10月1日を基準日として
実施された国勢調査3)の結果を同時点の年齢別登録人口と比較することによっ
て,両データの精度を検討し,若年層に関するデータに問題が多いことを指摘
した。2005年国勢調査によって把握された人口のうち三大都市圏内の都府県に
─ 587 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
居住する人口は約半数(51.3%)を占めていたが,それ以外の地域に居住する
残りの人口に関する両データについても同様の考察を行う必要がある。
三大都市圏以外の地域における2005年国勢調査の実地調査は世帯側の非協力
などにより大都市圏ほどではないにしてもかなり困難になり,その結果にも一
定の影響が生じているのではないかと考えられる。
本稿の目的は,三大都市圏外に所在する中小都市(一部の町村を含む)・政
令指定都市における2005年10月現在の国勢調査結果と住民基本台帳人口(およ
び外国人登録人口)の間の相違の状況を,最高齢層と並んで両データの相違が
大きいと考えられる若年層4)を中心に考察することである。本稿では中小都市
を,2011年2月時点において政令指定都市ではない都市と定義し,三大都市圏
の範囲は都府県を単位として東京圏(東京都と周囲の三県),名古屋圏(愛知
(大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県
県と周囲の三県)および大阪圏5)
市部)とした。町村部の登録人口のデータはごく一部の地域のものだけしか入
手できなかったので簡単に触れることにしたい。なお,以下では住民基本台帳
人口および外国人登録人口を合わせて登録人口とよぶ。
1)データ間の相違をもたらした要因
大都市地域における両データの間の相違は,主に国勢調査の実地調査におけ
る対象世帯の把握漏れ・非協力,外国籍住民の「国籍」の申告内容6)および「住
民基本台帳人口」(および「外国人登録人口」)の原データである転居届の提出
遅れ7)などによって生じているのではないかと考えられる。
まず国勢調査における実地調査の地域別の状況を,調査票の未回収率を手掛
かりに概観してみよう。公表されている未回収率は「調査員が把握した世帯総
数」に対する「調査票を所定期間内に提出しなかった世帯」の比率であるので,
調査員が把握できなかった世帯の数は直接反映されていないが,各地域におけ
る実地調査の状況をある程度反映したものと考えられる。
表1−1は,三大都市圏外に所在する県市町村のうち2005年国勢調査におけ
る地域別未回収率が3%以上と判明した地域についてその未回収率と「年齢不
─ 588 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
表1−1 2005年国勢調査地域別未回収率など
1)
未回収率
地域
*福岡県福岡市
(単位 %)
年齢不詳率
11.6
1.17
*石川県野々市町
9.6
0.03
*栃木県宇都宮市
9.4
0.65
(宮城県全域)
6.8
0.25
(沖縄県全域)
6.6
0.03
(福岡県全域)
6.1
0.48
6.0
0.09
5.4
0.11
5.0
0.19
(全国)
4.4
0.48
(愛媛県全域)
4.2
0.06
(広島県全域)
4.0
0.49
*栃木県小山市
4.1
0.08
*秋田県秋田市
3.8
0.11
*富山県富山市
3.8
0.13
(栃木県全域)
3.9
0.20
(石川県全域)
3.6
0.07
(福島県全域)
3.6
0.07
福岡県北九州市
*石川県金沢市
*栃木県国分寺町
2)
1)全国および未回収率のデータが入手できた3大都市圏以外の地域のうち3%
以上の地域だけを掲げた。
*は,未回収率が所在県全域についての水準よりも高い地域を指す。
2)2006年1月10日に他の2町と合併し,下野市となった。
(出所)未回収率の個別市町分は読売新聞社(2006a)〜読売新聞社(2006d)
・
下野新聞社(2006)・未回収率の都道府県分は総務省統計局(2006)。年齢不
詳率は総務省統計局(2006)。
詳率」を示したものである。全国および都道府県別の未回収率は総務省統計局
が公表したものであるが,市区町別の未回収率は個別自治体が新聞社に明かし
たものであり,網羅的なものではない。地域別未回収率は三大都市圏外の地域
─ 589 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
でも大都市とその近郊に所在する都市および大都市が所在する道県において高
率となっている。これらの地域では,実地調査の困難度が高い集合住宅居住世
帯,単身世帯,特に若年男性単身世帯の比率が一般に高い。なお,都道府県単
位でみた未回収率も東京都および政令指定都市が所在する道府県全体では
5.6%であったのに対して,それ以外の県では2.3%とかなり低い8)。
また,1975年〜2005年実施分の国勢調査の実地調査では記入された調査票が
世帯から回収できない場合には,その世帯の性別の人員数だけを調査員が近隣
から聞き取ることで調査票の回収に代替することが認められていた。このよう
な方式によってデータが収集された世帯は集計表では「世帯の種類不詳」に分
類され,その人員数は「年齢不詳」と表示されている。表1−1の「年齢不詳」
率 は, 実 地 調 査 に お け る こ の よ う な ケ ー ス に 対 応 す る も の で あ る。 山 田
(2011a)においてみたように三大都市圏内の中小都市においても都心の地域ほ
どではないものの高率の地域が存在している。
このような国勢調査の実地調査の困難化に作用している世帯側の非協力意識
の状況を,2005年国勢調査の約4年後に実施された「統計調査の協力に関する
特別世論調査」によってみてみよう。
表1−2は,住民基本台帳に登録されていた全国の20歳以上の個人を対象に
2009年に実施された「統計調査の協力に関する特別世論調査」(面接法)の属
性別回答状況を示したものである。「(統計調査に)回答したい」という回答の
抽出標本総数に対する属性別比率を掲げた。この世論調査において調査員の訪
問時の不在などのために「調査不能」であった場合は,国勢調査の実地調査に
おいても「調査不能」となった可能性が高いので,ここでは通常の回答者総数
に対する比率ではなく「調査不能」分を含む抽出総数に対する比率を掲げた。
表1−2から,人口規模小さく農村色が薄い地域ほど,また高年齢層ほど,統
計調査に協力的な意向が相対的に強い傾向が読み取れる9)。本稿の考察対象で
ある三大都市圏外の地域では大都市圏の地域と比べて協力的な意向が強く,国
勢調査の実地調査も比較的円滑に進行したと考えられる。したがって,実地調
査による対象世帯の把握も大都市圏内の地域と比べれば問題が少なかったと考
─ 590 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
表1−2 「統計調査に回答したい」の属性別比率
都市規模
(対抽出標本総数:%)
地域ブロック
年齢層
男性
女性
全国
45
北海道
58
近畿
42
20〜29歳
28
33
東京都区部
33
東北
43
中国
46
30〜39歳
36
46
政令指定都市
43
関東
42
四国
52
40〜49歳
43
54
九州
45
1)
中都市
45
北陸
51
50〜59歳
45
51
小都市
49
東山2)
60
60〜69歳
54
46
町村
49
東海
48
70歳以上
58
42
1)人口10万人以上の非政令指定都市。
2)山梨県・長野県・岐阜県。
(出所) 内閣府政府広報室「統計調査の協力に関する特別世論調査」(2009年11月実
施)(住民基本台帳から20歳以上3000人を抽出。面接法。回収率61.8%)内
閣府政府広報室(2010)
えられる。
つぎに住民基本台帳に基づく居住地データと国勢調査の把握対象である実際
の居住地との相違についてその要因を検討してみよう。両者の間の相違は,主
に転居者による市区町村への届出が遅れることによって生じていると考えられ
る。そこで最近の人口移動および出生・死亡などの状況をみてみよう。
表1−3は,1995年以降の国勢調査が実施された年度における全国の住民基
本台帳上の異動状況および2005年度における東京都区部・三大都市圏外所在の
政令指定都市・中小都市などについての異動状況を示したものである。性別年
齢別に区分した集計は公表されていない。「転入者」「転出者」は国外からの移
動・国外への移動を含む市区町村境を越える移動者を指し,市区町村内の転居
者は含まれていない。ここでの比率は年度末現在の各市区町村の住民基本台帳
に登録されていた総人口に対するものである。「住民票記載」では各年次とも
「転入者」が大半を占めているが,「転入者」とそれに次ぐ「出生者」はともに
減少傾向にある。「住民票消除」では各年次とも「転出者」が大半を占めてい
るが,「転出者」とそれに次ぐ「死亡者」10)はともに減少傾向にある。ただし大
都市における転出入の水準は全国と比べて各年度とも高率である。2005年度の
─ 591 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
表1−3 「住民基本台帳人口」の異動状況(対年度末総人口比率)
(単位 %)
住民票記載数
住民票消除数
転入者 出生者 その他 計 転出者 死亡者 その他 計
1995年度全国
2000年度全国
2005年度全国
東京都特別区部
三大都市圏外所在都市
2004年以前の政令指定都市5市1)
2005年以降の政令指定都市4市2)
中小都市3)
北海道所在
東北地方所在
北関東所在
北陸地方所在
甲信・静岡県地方所在
中国地方所在
和歌山県・四国地方所在
北部九州地方所在
南部九州・沖縄県所在
奈良県所在町村
5.3
4.9
4.5
7.5
0.9
0.9
0.8
0.8
0.1
0.1
0.1
0.2
6.3
5.9
5.5
8.5
5.3
4.9
4.5
6.7
0.7
0.7
0.8
0.8
0.1
0.1
0.1
0.2
6.1
5.8
5.5
7.6
6.9
3.2
0.9
0.9
0.1
0.0
7.9
4.1
6.8
3.2
0.7
0.8
0.1
0.0
7.5
4.0
4.3
3.1
3.6
2.6
3.7
3.2
0.7
0.8
0.9
0.8
0.9
0.8
0.1
0.0
0.0
0.0
0.1
0.0
5.1
3.9
4.5
3.5
4.6
4.1
4.8
3.4
3.6
2.8
3.8
3.4
0.9
1.0
0.9
1.0
0.9
1.0
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
5.7
4.5
4.5
3.8
4.7
4.5
3.1
4.0
4.1
3.5
0.8
0.8
0.9
0.7
0.0
0.1
0.1
0.1
3.9
4.9
5.1
4.2
3.4
4.3
4.3
3.9
1.0
0.9
0.9
0.9
0.0
0.0
0.0
0.0
4.4
5.3
5.3
4.9
1)札幌市・仙台市・広島市・北九州市・福岡市。
2)静岡市・新潟市・浜松市・岡山市。
3)中小都市は,上記の9政令指定都市以外の都市。町村を除く。
(出所)国土地理協会(2006)
転入率の場合,全国の水準は4.5%であったが,東京都特別区部では7.5%と非
常に高くなっている11)。これに対して大都市圏以外の地域の中小都市での転入
率は大都市の郊外地域が含まれている北海道・九州地方を除いて2.6%〜3.7%
と全国の水準よりも全般にかなり低く,2004年以前からの政令指定都市の転入
率だけが6.9%と東京都区部に近い水準にある12)。地域別転出率も転入率とほ
ぼ同様の傾向を示している。
「転入」・
「転出」・
「出生」・「死亡」以外の「その
他」は「住民票記載」
「住民票消除」のいずれにおいても職権による実態調査・
国籍変更に基づく処理であるが,各年度ともごく少数である。
つぎに性別年齢別に区分された人口移動の状況をみてみよう。表1−4は,
─ 592 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
表1−4 「1年前の常住地が同一市区町村以外」の比率
15歳以上総数
10代後半
20代前半
地域
男性
女性
男性
女性
男性
女性
全 国
5.1
3.8
9.0
7.1
14.0
12.1
全国市部
5.3
3.9
9.5
7.6
14.0
12.1
政令指定都市以外の市部1)
北 海 道
4.3
2.4
14.4
9.9
9.4
7.5
青 森
4.1
2.4
6.0
5.1
11.8
10.5
岩 手
4.3
3.3
9.4
13.5
14.7
12.5
宮 城
3.5
2.1
3.8
1.0
12.0
13.0
秋 田
3.6
2.1
7.1
5.3
14.0
12.6
山 形
4.2
3.2
8.6
10.9
16.5
17.7
福 島
3.9
3.0
7.7
6.5
10.8
12.1
茨 城
4.4
3.3
5.9
4.1
15.3
12.8
栃 木
4.1
3.1
7.1
3.1
10.6
14.9
群 馬
4.5
3.1
9.1
7.1
15.1
11.9
新 潟
4.0
2.5
5.1
3.8
19.0
12.3
富 山
3.4
2.2
5.1
6.3
14.3
12.1
石 川
4.4
3.0
11.3
5.6
12.4
11.0
福 井
4.2
2.5
7.1
2.8
14.5
14.8
山 梨
4.4
3.9
8.8
12.6
15.3
14.6
長 野
4.7
3.9
10.4
8.1
13.5
21.5
静 岡
5.2
2.9
7.8
1.7
18.9
14.8
和 歌 山
3.0
2.2
5.2
3.9
10.1
9.3
鳥 取
4.3
3.2
8.7
7.1
10.2
16.5
島 根
4.5
3.6
11.8
10.5
15.1
16.3
岡 山
4.4
3.2
11.4
9.2
13.9
11.4
広 島
4.0
2.1
11.4
3.1
12.3
7.0
山 口
3.9
2.8
7.2
8.3
11.2
13.2
徳 島
3.9
2.7
6.4
8.8
15.5
10.1
香 川
4.4
3.5
7.2
4.8
14.9
14.4
愛 媛
4.5
2.6
10.9
6.1
18.1
11.6
高 知
4.7
3.2
17.5
7.1
11.5
11.1
福 岡
3.5
2.9
6.3
3.4
7.9
4.5
佐 賀
4.5
3.2
3.6
6.1
16.6
14.0
長 崎
4.5
2.7
10.1
7.7
15.8
8.8
熊 本
4.7
3.4
9.5
7.1
12.6
10.8
大 分
4.9
3.4
10.9
9.2
16.3
16.3
宮 崎
4.2
3.1
6.9
8.1
18.6
15.0
鹿 児 島
4.5
3.5
10.5
7.9
14.8
11.8
沖 縄
5.9
5.2
5.7
5.6
11.7
16.5
─ 593 ─
(単位 %)
20代後半
男性
女性
12.2
11.4
12.4
11.4
9.5
8.8
7.1
8.6
7.2
9.1
10.2
10.1
12.5
11.5
8.5
7.9
7.6
12.8
11.3
11.4
14.7
7.6
9.4
8.9
11.0
8.8
11.4
13.8
9.4
9.5
11.2
11.4
10.2
11.3
10.6
11.0
10.7
8.5
9.6
8.9
7.1
11.6
5.3
5.4
8.7
11.3
11.0
12.8
9.4
9.6
8.4
7.3
8.3
9.5
11.2
9.2
6.0
10.3
13.0
8.2
8.7
9.2
8.9
11.9
7.5
8.8
12.1
9.3
9.9
7.2
11.0
11.0
10.2
11.4
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
2005年国勢調査の2年後の2007年就業構造基本調査から得られた「1年前の常
住地が現住所の市区町村以外である比率(過去1年間の転入率)」(15歳以上限
定)を示したものである13)。三大都市圏外所在の35県の2007年当時の政令指定
都市以外の市部の10代後半〜20代後半の若年層に限定して性別年齢層別に掲げ
た。このデータは,単に本人の回答をカウントしたものであるで,転入届の提
出の有無とは直接の関係はない。
15歳以上全体と比べて10代後半〜20代後半の若年層の「転入率」はかなり高
い。10代後半の男性では「転入率」が35県のうち17県で8%を超えており(10%
以上は11県),10代後半の女性でも同じく11県で8%を超えている(10%以上
は4県)
。これは,転居が少ない15歳〜18歳の高校生を含む年齢層の結果であ
るので,高校卒業後の19歳・20歳だけの「転入率」はかなり高い水準にあるの
ではないかと推測される。20代前半での「転入率」は10%以上が男性では33県,
女性でも30県に達している。他方,20代後半での「転入率」は10%以上が男性
では18県,女性では13県に減っている。
表1−5は,表1−4と同様の「転入率」を三大都市圏外所在の2007年当時
の政令指定都市8市について性別年齢層別に示したものである。10代後半の男
性では「転入率」が6市で8%を超えており,10代後半の女性でも5市で8%
を超えている。これも転居が少ない15歳〜18歳の高校生を含む年齢層の結果で
あるので高校卒業後の19歳・20歳だけの「転入率」はかなり高いのではないか
と推測される。20代前半での「転入率」は10%以上が男性では8市,女性でも
6市に達している。他方,20代後半での「転入率」は10%以上が男性では4市,
女性では2市に減っている。
またほとんどの道県・政令指定都市において各年齢層とも男性の方が女性よ
りも高い14)。
したがって,18歳・19歳の「年間転入率」は,各県の中小都市において男性
では10%前後かそれ以上の水準,女性でも8%前後かそれ以上の水準にある場
合が多いとみてよいだろう。
若年層の人口移動のうち大学・短期大学入学時の移動は大学所在地周辺の地
─ 594 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
表1−5 「1年前の常住地が同一市区町村以外」の比率(政令指定都市)
(単位 %)
15歳以上総数
10代後半
20代前半
20代後半
男性
女性
男性
女性
男性
女性
男性
女性
札 幌
6.2
4.5
9.3
11.8
12.1
10.1
9.6
8.7
仙 台
7.6
5.0
20.6
23.5
13.3
14.4
13.6
9.8
新 潟
5.5
3.2
15.5
16.4
14.2
7.3
13.1
6.2
静 岡
3.4
2.1
7.4
3.6
12.6
7.7
9.1
8.1
浜 松
5.1
2.8
4.4
4.7
15.0
13.7
14.5
13.6
広 島
5.0
4.0
10.4
11.7
11.7
12.9
8.4
8.1
北 九 州
4.5
3.5
11.0
4.5
13.2
10.9
11.0
13.8
福 岡
8.4
5.3
26.6
11.0
16.6
10.3
9.1
9.6
域に向うものであるが,当人と家族には在学期間だけの一時的な居住という意
識が強く,住民登録を移す手続きの必要性を感じる機会も少ない。
表1−6は,2005年国勢調査時点から4年前以降の学校基本調査から得られ
た「他都道府県出身大学入学者数」(出身県は出身高校所在地による)を三大
都市圏外の地域について示したものである。三大都市圏外の道県所在の大学へ
の県外出身の入学者総数は,東京圏をはじめとする三大都市圏の都府県ほどの
数ではないが,毎年10万人近い数に上っている。各道県とも男性が総数の3分
の2前後を占めている。入学前からの居住地から県境を越えて通学する者も含
まれているものの,大学が所在する都市の周辺に県外からの転居者が集中して
いると考えられる。最も少ない県でも毎年19歳前後の年齢に1000人強の転居者
が(大学周辺の特定の都市に)発生していることになる。このほか県内からの
転居者も発生している。また,短期大学に入学した他県出身者についても類似
の傾向が認められるが,実数は大学入学者よりも少なく,大半が女性である。
さらに,交通が不便な地域では自宅からの通学が困難な生徒が高校所在地周辺
に高校入学時に転居する場合も考えられる。大学・短期大学・高校入学に伴う
これらの転居者の一部は転入届を提出していない可能性がある。
─ 595 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
表1−6 他都道府県出身の大学入学者数1)
2005年度
2004年度 2003年度
入学した学部の
所在都道府県
他県出身
男
北 海 道
5,106
3,693
5,399
5,461
青 森
1,625
1,032
1,579
1,616
岩 手
1,365
872
1,368
1,359
宮 城
6,061
3,775
5,962
5,898
秋 田
1,081
756
1,098
962
山 形
1,828
1,161
1,805
1,797
福 島
2,152
1,521
2,110
2,226
茨 城
4,349
2,832
4,435
4,346
栃 木
3,137
2,040
3,074
3,011
群 馬
3,490
2,133
3,493
3,408
新 潟
2,237
1,394
2,185
2,407
富 山
1,425
1,016
1,435
1,459
石 川
3,999
2,900
3,836
3,681
福 井
1,155
945
1,075
1,188
三大都市圏 山 梨
3,254
1,975
3,088
3,139
以外の地域 長 野
1,966
1,370
1,964
2,129
静 岡
3,910
2,656
4,081
4,025
和 歌 山
1,186
872
1,196
1,230
鳥 取
1,109
751
1,161
1,095
島 根
1,033
639
1,080
1,078
岡 山
5,237
3,004
5,265
5,468
広 島
5,841
3,604
5,840
6,036
山 口
2,893
1,864
2,919
2,921
徳 島
1,864
1,074
1,769
1,797
香 川
1,542
983
1,651
1,578
愛 媛
1,586
1,040
1,601
1,482
高 知
1,302
743
1,295
1,352
福 岡
12,126
7,995
12,339
12,951
佐 賀
1,192
757
1,245
1,224
長 崎
1,993
1,142
2,149
2,240
熊 本
3,097
1,992
2,960
3,038
大 分
2,234
1,408
2,298
2,104
宮 崎
1,492
910
1,479
1,613
鹿 児 島
1,760
1,198
1,584
1,626
沖 縄
1,021
677
839
793
(小 計)
96,648
62,724
96,657
97,738
東京圏
166,436
99,342
165,312
170,334
名古屋圏
20,435
12,423
20,310
20,148
大阪圏
78,224
45,396
78,255
77,876
1)出身県は出身高校の所在地による。
(出所)文部科学省「学校基本調査」文部科学省(2003〜2006)
─ 596 ─
2002年度
5,561
1,686
1,349
5,624
901
1,776
2,218
4,235
3,254
3,258
2,462
1,500
3,895
1,262
3,060
2,088
4,040
1,226
1,135
1,103
5,578
6,206
3,082
1,817
1,496
1,504
1,269
13,377
1,229
2,131
2,892
2,179
1,479
1,656
833
98,361
172,127
20,956
78,718
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
なお,住民登録をしている住所へ郵便物が配達可能であったか否かに反映さ
れた住民登録と実際の居住状況の相違については山田(2010a)山田(2010b)
山田(2011b)においてみたので,ここでは住民登録をしている住所宛の郵便
物の「戻り」の比率が大都市圏外の地域では一般に低いことだけを指摘してお
きたい。
2)考察対象の中小都市と入手したデータ
ここで次節以降の考察の対象である三大都市圏外に所在する中小都市(町村
を含む)の数とそれらの地域に関する2005年国勢調査実施時の年齢別登録人口
のデータの入手状況をみておこう。
表1−7に三大都市圏外に所在する中小都市数を,表1−8に2005年国勢調
査時点の年齢別登録人口データが入手できた市町村数(年齢区分方式別)を示
した。奈良県の町村も府県単位では大阪圏に属するが,大都市圏外の地域と共
通性が高いので考察対象に加えた。三大都市圏内の市区町村と比べて年齢別登
録人口データを公表している市町村数は少ない。すべての市区町村が総務省自
治行政局へ毎年3月末時点のデータを報告しているが,このほかに2005年10月
1日または9月末時点のデータを公表している市町村は限られており,人口規
模が比較的大きい市・町の場合が多い15)。
入手した中小都市の登録人口データは,年齢各歳別に区分されたものが大半
(67市)であり,年齢が5歳階級別ないし10歳階級別にしか区分されていない
場合は比較的少ない(26市)
。このうち年齢別データを性別に区分したデータ
が入手できなかった3市16)は考察対象に加えた。さらに年齢別登録人口データ
が入手できた25町20村17)も考察に加えた。この合計138市町村を本稿の主な考
察対象とし,三大都市圏外に所在する9政令指定都市の状況にも触れる。他方,
年齢層が15歳と65歳の3つに区分された登録人口データしか入手できなかった
8市18)については,若年層についての両データの比較が行えないので,次節以
降の考察では除外した。
次節では,若年層の範囲を転居が生じる場合が多い高校卒業時を含む15歳〜
─ 597 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
表1−7 本稿の考察対象地域1)
3大都市圏内の地域2)
所在地域
該当都市総数
データ入手
3大都市圏以外の地域
該当都市総数
データ入手
東京都の特別区
23区
15区
—
—
東京都の中小都市3)
26市
8市
—
—
政令指定都市
8市
8市
9市
9市
13市
10市
—
—
12市
—
—
4)
準大都市
奈良県所在の中小都市
12市
3)
上記以外の中小都市
町村7)
5)
前稿 の考察対象
本稿の考察対象(100市)6)
一部(25町20村)だけが本稿の考察対象
1)太線枠内は,山田(2010a)において分析対象とした。
2)東京圏は埼玉県・千葉県・神奈川県所在の都市。
大阪圏は滋賀県・京都府・大阪府・兵庫県・奈良県所在の都市。
名古屋圏は愛知県・岐阜県・三重県所在の都市。
3)2005年国勢調査人口が概ね40万人未満の都市。
4)2005年国勢調査人口が概ね40万人〜65万人の都市。
三大都市圏外には該当する都市はない。
5)山田(2011b)。
6)このうち年齢が3区分の集計しか入手できなかった8市は,次節の考察からは除外
した。
7)群馬県渋川市と合併した(2005年国勢調査当時の)旧1町4村・石川県野々市町・
合併後の長野県安曇野市を構成する(同)旧2町3村・奈良県郡部(18町13村)・和
歌山県みやべ町・高松市と合併した香川県旧塩江町および福岡県水巻町。
29歳に限定して三大都市圏外所在中小都市を中心に両データの比較を行う。
また,比較に用いる国勢調査が把握した人口の範囲は次のような基準によっ
て決定した。すなわち,国勢調査の実施時点について住民基本台帳人口と外国
人登録者数を合算したデータが入手できた場合は国勢調査人口のうち「(年齢
不詳者および外国人を含む)総数」を,(外国人を除外した)住民基本台帳人
口だけしか入手できなかった場合は国勢調査人口のうち「(年齢不詳者を除く)
日本人」人口を利用した19)。前者は長野県・静岡県などにおいて比較的多く,
他の道県では後者が多い20)。
両データの比較を次節で行う前に,年齢別登録人口データが入手できた都市
─ 598 ─
─ 599 ─
福岡・佐賀・長崎
北部九州
456
62
43
41
52
−
51
100
11
10
10
15
−
9
9
7
10
10
9
65
7
7
8
9
7
4
4
7
6
6
26
1
2
2
5
1
5
3
1
3
3
1
1
8
3
1
1
2
1
各歳 5歳階級 10歳階級4) 3区分など5)
45
0
1
2
0
31
5
1
5
0
0
39
1
1
31
1
5
6
1
5
各歳 5歳階級
データ入手町村数3)
1)2005年9月30日現在のデータを含む。
2)2005年10月1日現在の市・区数。ただし,2005年10月以降に政令指定都市となった3市(新潟市・浜松市・岡山市)は「政令指定
都市」に含めた。
3)群馬県渋川市・長野県安曇野市・香川県高松市については市町村合併前の旧市町村のデータを入手した。3市は,それぞれ市とし
てもカウント。
4)山口県光市(10歳階級のほか5歳階級などを併用)。
5)0歳〜14歳,15歳〜64歳,65歳以上に区分する方式および高齢層だけを細分する方式。次節での考察では除外した。
6)山田(2010a)において考察した。
総数
和歌山・徳島・香川・
愛媛・高知
和歌山・四国
南部九州・沖縄 熊本・鹿児島・大分・
宮崎・沖縄
鳥取・島根・岡山・広島・
山口
中国
(奈良県郡部) (奈良県郡部)
山梨・長野・静岡
甲信・静岡
48
54
茨城・栃木・群馬
市町村 北関東
新潟・富山・石川・福井
72
北陸
33
青森・岩手・宮城・秋田・
山形・福島
9
北海道
所属道県名
政令指 北海道
定都市 東北
以外の
政令指定都市
6)
所在地域
総数2) データ入手都市数(年齢区分の方式)
表1−8 2005年国勢調査時の年齢別住民基本台帳人口データ1)を入手した市町村数(三大都市圏外の道県および奈良県郡部)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
─ 600 ─
政令指定都市7)
政令都市以外
の都市
政令指定都市5)
都市の属性
54
48
51
31
52
41
43
62
北関東
北陸
甲信・静岡県
奈良県郡部6)
中国
和歌山県・四国
北部九州
南部九州・沖縄県
137
68
94
東京圏8)
名古屋圏
大阪圏
9
72
東北
9
33
北海道
所在地方・道県
12,002,084
7,460,375
25,697,305
15,682,315
5,427,245
3,515,072
3,766,797
4,972,382
342,409
4,249,123
3,901,265
5,417,235
6,223,435
2,529,737
9,419,954
該当市区町村 の
合計人口
3)
52
20
54
9
8
9
10
15
31
9
9
7
8
9
9
市区町村4)
8,200,600
2,759,525
13,872,962
14,156,922
2,253,881
972,740
1,319,662
2,701,894
342,409
1,458,220
1,566,559
802,472
787,974
1,407,943
9,419,954
合計人口
68.3%
37.0%
54.0%
90.3%
41.5%
27.7%
35.0%
54.3%
100.0%
34.3%
40.2%
14.8%
12.7%
55.7%
100.0%
比率
左記のうち年齢別登録人口データ2)を入手した
1)2005年国勢調査が把握した人口(外国人を含む)。
2)各歳・5歳階級・10歳階級に区分されたデータ限定し,3区分データの場合をを除く。
3)市,奈良県の町村および東京都の特別区に限定し,奈良県以外の町村および政令指定都市の行政区を除く。
4)2005年10月1日に合併した渋川市・安曇野市はそれぞれ1市としてカウント。
5)2005年10月時点の政令指定都市6市とそれ以降に指定された3市(新潟市・浜松市・岡山市)を含む。
6)奈良県郡部31町村(342409人)は,大阪圏にもカウントした。
7)東京都の特別区を除き,堺市(2006年4月指定)を含む。
8)東京都の特別区を含む。
三大都市圏内
政令都市以外
の地域
の市区町村
三大都市圏外
の地域
大都市圏
該当市区町村
表1−9 年齢別登録人口データを入手した市区町村の人口比率1)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
の人口が各地域ブロックの中小都市人口総数に占める比率をみておこう(表1
−9)。データを入手できた中小都市の人口は,「東北地方」(所在中小都市の
人口合計の12.7%)
・
「北関東地方」(同14.8%)
・
「北部九州地方」(同27.7%)
・
「和
歌山県・四国地方」(同35.0%)を除く5ブロックでは中小都市全体の人口に
おいて40%以上を占めている。比較的人口規模の大きい都市にやや偏っている
ものの,三大都市圏外に所在する中小都市の若年層については両データ間の相
違の傾向の把握は十分可能ではないかと考えられる。
注
1)
国勢調査による外国人の把握数は外国人登録者数を全般に下回っているが,実
数の差は大きくない。登録人口総数に占める外国人登録人口の比率が都道府県
の中で最も高い東京都でも3%未満(2005年10月 1 日時点)である。東京都
(2006)
2)
3)
このような相違は,地方自治体の統計関係者の間では以前から広く知られてい
たと思われる。加茂(2007)
2010年10月 1 日を基準日として実施された国勢調査では,郵送回収方式が初め
て導入された。
4)
2000年国勢調査人口に住民登録の移動数を加減して算出される県別年齢別推計
5)
6)
7)
住民基本台帳法第22条は届出の期限を転入後14日以内としている。国勢調査の
8)
国勢調査の実施に関する有識者懇談会(2006)
9)
有坂(2010)も,2009年に実施された世論調査における「調査不能」の発生状
人口と2005年国勢調査人口との相違からもこのように推測できる。山田(2010b)
総務省「住民基本台帳人口移動報告」において設定されている大阪圏に人口流
入が最近顕著な滋賀県を加えた。総務省統計局(2011)
山田(2007)山田(2008)
調査対象者に関する規定は,3ヶ月以上の居住(予定)者である。
況から中高年層および大都市以外の住民を対象とする実地調査の困難度が相対
的に低いと指摘をしている。
10)
1995年〜2005年についての人口動態統計によって把握された住所地不詳の死亡
者は毎年全国において2000人前後であり,前年以前に発生した出生(外国人を
含む)は年間1000人〜1500人,同じく死亡(同)は年間1000人前後である。
11)
2006年4月から「転出者」として扱う時点が届出日から転出予定日へ変更され
た。この変更に伴う「転出者」数の相違は,2005年度の場合全国人口の0.15%(約
18.5万人)にすぎない。国土地理協会(2009)
─ 601 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
12)
ほぼ同様の傾向は,「住民基本台帳人口移動報告」の毎年の集計結果にも認めら
13)
この項目の全国について調査結果の「不詳」率は,0.74%であった。
14)
このような傾向とほぼ同様の状況は同調査の1992年・1997年・2002年実施分の
れる。総務省統計局(2011)
結果にもみられる。
15)
奈良県所在の町村以外は,対象地域の市町村が公表しているデータを利用した。
奈良県所在の町村の登録人口は,奈良県統計課がサイト上で公表しているデー
タを利用した。
16)
群馬県桐生市・長野県千曲市・愛媛県西条市。
17)
大半が2005年〜2006年に合併した旧町村である。
18)
北海道美唄市・宮城県石巻市・秋田県にかほ市・山梨県大月市・福岡県行橋市・
熊本県人吉市・大分県中津市・沖縄県那覇市。
19)
国勢調査の市区町村別集計において「総数」のほかに「日本人」に限定したも
のが2011年2月現在公表されている年次は,1995年分・2000年分・2005年分だ
けである。
20)
東京圏の中小都市では後者の場合が大部分であり,大阪圏・名古屋圏の中小都
市では前者の場合が大部分であった。
2 大都市圏外所在中小都市における国勢調査結果と登録人口の比
較
本節では,三大都市圏外所在の中小都市若年層に関する両データの状況を考
察する。
表2−1は,北海道所在中小都市のうち9市の国勢調査結果と登録人口デー
タの状況を示したものである。比較のために札幌市のデータも合わせて示し
た。
「年齢計人口」についての両データの関係をみると,江別市の男女・札幌市
の女性・恵庭市の女性・苫小牧市の女性において国勢調査人口の登録人口に対
する上回りがみられるほかは,国勢調査人口が登録人口を下回っている。
若年層についての両データをみると,江別市の男性(上回り率が最大の20代
─ 602 ─
─ 603 ─
170,580
26,826
172,758
125,601
53,135
67,614
帯広市
留萌市
苫小牧市
江別市
登別市
恵庭市
−1.0
−2.3
1.7
−1.2
−2.5
−1.1
−3.5
−2.1
−2.0
−0.4
男性
0.6
−1.1
0.5
0.0
−1.6
−0.7
−1.5
−0.4
−0.6
0.8
女性
「年齢計人口」
における
国勢調査人口の
上回り率(%)
15−24
15−19
15−24
15
15−24
15−17,
24,26,27
15−17,
27
15−24
17,28,29
15−17
16,17
15−19
15−17
15−22
女性
16
15−17
15−17
15−19
15−18
15−22
男性
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層(歳)
1)小樽市・江別市・恵庭市は5歳階級別。他は各歳別。
2)全市とも外国人を除外。
142,161
355,004
294,264
旭川市
1,880,863
札幌市
函館市
小樽市
国勢調査
都市
外国人
を含む
総数
(人)
16
19
女性
16
17
16
16
15
15−19 15−19
18
20−24 20−24
16
16
16
16
15−19 15−19
17
19
男性
国勢調査結果の
上回り率が
最大の
年齢(歳)
10.7
15.1
34.0
11.7
0.8
12.6
3.8
1.4
3.3
19.9
男性
9.6
0.4
16.0
4.4
0.8
7.6
2.8
2.1
2.6
20.5
女性
同・
左記の
年齢の
上回り率(%)
表2−1 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:北海道所在都市2005年
25−29
20−29
25−29
16−29
25−29
18−23,
25,29
18−26,
28,29
−7.5
−3.7
男性
19
19
19
19
−18.5
−39.4
−26.9
−16.1
19
−19.8
25−29 25−29 −6.1
21
25−29 25−29 −4.9
19
19
18−24,
26−29
19
15,17−29
25−29
23
27
女性
−5.1
−22.2
−4.3
−15.0
−41.3
−19.9
−9.2
−2.6
−5.5
−1.5
女性
同・
左記の
年齢の
下回り率
(%)
25−29 25−29 −6.9
24
29
男性
19
18−29
20−29
18−29
23−29
女性
国勢調査結果の
下回り率が
最大の
年齢
(歳)
18−29
18−29
18−29
20−29
19−29
23−29
男性
国勢調査結果が
下回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
前半で34.0%)
・札幌市の女性(同19歳で20.5%)において非常に大きな差が,
札幌市の男性・江別市の女性では大学生に相当する年齢に,登別市・帯広市・
恵庭市・苫小牧市の男性でも高校生に相当する年齢に10%以上のかなり大きな
差がみられる。
他方,各市の幅広い年齢層において国勢調査人口は登録人口を下回ってお
り,下回り率は19歳が最も大きい場合が多い。表2−1では下回り率をマイナ
スで表記した(以下表2−11まで同じ)。両データの差は,留萌市の男女の19
歳(39.4%,41.3%),帯広市の19歳男性(26.9%),登別市の19歳女性(22.2%)
において特に大きい。
表2−2は,東北地方県所在の中小都市のうち8市の両データの状況を示し
たものである。比較のために仙台市のデータも合わせて示した。「年齢計人口」
についての両データの関係をみると,仙台市の男女・盛岡市の男女・宮城県名
取市の男女・青森県つがる市の女性において国勢調査人口が登録人口を上回っ
ている。
若年層についての両データをみると,仙台市の男女(上回り率が最大の19歳
で38.9%,36.7%),つがる市の女性(同25歳で17.0%)
・同県十和田市の男性(同
21歳で12.1%)
・つがる市の男性(同19歳で11.6%)においてかなり大きな差が
みられる。
他方,盛岡市・仙台市を除く各市の幅広い年齢層において国勢調査人口は登
録人口に対してかなり大きく下回っている。両データの差は,秋田県湯沢市の
19歳男女(48.7%,55.6%)・福島県白河市の男女19歳(31.6%,32.0%)・十和
田市の19歳女性(30.9%)・山形県酒田市の19歳女性(30.7%)・十和田市の19
歳男性において20%を超えている。
表2−3は,北関東3県所在の中小都市のうち12市町村の両データの状況を
示したものである。「年齢計人口」についての両データの関係をみると,群馬
県旧渋川市の男女と旧渋川市と合併した旧北橘村において国勢調査人口が登録
人口に対して上回っているほかは国勢調査人口が下回っている。若年層につい
ての両データをみると,旧小野上村の男性(同28歳で50.0%)
・同村の女性(同
─ 604 ─
─ 605 ─
40,091
287,192
68,662
55,290
98,278
122,248
47,854
つがる市
盛岡市
名取市
湯沢市
酒田市
会津若松市
白河市
−0.2
−1.1
−0.7
−3.6
0.1
0.6
−1.3
−1.8
1.2
男性
−1.4
−0.1
−0.8
−2.5
0.3
0.7
0.7
−0.4
0.9
女性
「年齢計人口」
における
国勢調査人口の
上回り率(%)
1)盛岡市は5歳階級別。他は各歳別。
2)全市とも外国人を除外。
68,359
1,025,098
国勢調査
十和田市
仙台市
都市
外国人
を含む
総数
(人)
16,27−29
16
16,17,25
25
15−17,27
15,27
15,16
15,16
15−17,
23−26,
27,29
15
15−24
16,19−29
17−26,
28,29
15−24
21
15−17,
21−23
25
16
19
女性
27
16
16
15
29
25
16
27
16
16
15−19 15−19
19
19
15,16,
21−24,
26,28
男性
16−24
女性
8.1
2.7
5.6
0.3
5.7
8.1
11.6
12.1
38.9
男性
1.4
5.0
2.9
1.4
3.6
9.8
17.0
8.8
36.7
女性
国勢調査結果の
同・
上回り率が
左記の
最大の
年齢の
年齢(歳)
上回り率(%)
16−24
男性
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層(歳)
表2−2 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:東北地方所在都市2005年
女性
17−29
17−23,
25−29
25−29
15,17,18
17−20,
25,27,29
15,18−26
15,17−29
18
19
26
女性
女性
−2.2 −6.0
−27.8 −30.9
−3.6 −2.6
男性
20
19
15−24,
26−29
19
19
19
19
22
19
19
23
−31.6 −32.0
−12.7 −12.0
−13.6 −30.7
−48.7 −55.6
−8.2 −5.9
25−29 25−29 −1.3 −1.3
27
19
28
男性
国勢調査結果の
同・
下回り率が
左記の
最大の
年齢の
年齢
(歳)
下回り率
(%)
18−26,
28,29
15,18−24,
16−26,28
26,29
16−27,29
18−22,26
25−29
15,16,27
18−20,
24−29
15,25−29 15,25−29
男性
国勢調査結果が
下回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
都市
77,223
−1.2
−2.7
─ 606 ─
−4.2
−7.0
旧 子 持 村3) 11,722
1,994
3,762
旧小野上村3)
旧伊香保町3)
1.5
−6.4
−3.6
−2.0
0.3
0.3
−1.8
−2.8
−0.4
−1.8
−2.0
−1.9
─
16
─
17
17,29
16,17,29
─
16,25
16
─
─
15,16,
18,24,
22,24,26,
26−28
29
28
─
─
15,16,
17,29
29
15−19
15−18
─
16,17
18−21
17
─
16
20
25
16
─
─
26
28
─
─
29
16
16
16
─
17
17
16
15−19
─
─
1)龍ヶ崎市・足利市・桐生市は5歳階級別。他は各歳別。
2)足利市・桐生市は外国人を合算。他は外国人を除外。
3)2006年2月に旧渋川市および旧5町村が合併した。
−1.1
−3.4
11,981
旧赤城村
−1.5
10,049
3)
旧北橘村
3)
0.5
利
生
足
桐
市
市 199,218
旧 渋 川 市3) 47,961
久
牛
−3.3
−1.1
−2.1
−3.4
立
日
市 111,327
78,950
市 159,756
市 128,037
手
取
龍 ケ 崎 市
外国人 「年齢計人口」 国勢調査結果が 国勢調査結果の
を含む
における
上回っている
上回り率が
総数
国勢調査人口の
15〜29歳の
最大の
(人)
上回り率(%)
年齢層(歳)
年齢(歳)
国勢調査 男性
女性
男性
女性
男性
女性
28.6
50.0
─
─
5.4
7.2
0.7
7.2
─
1.3
31.7
─
27.3
40.0
─
1.4
1.9
6.3
─
1.5
0.9
─
─
同・
左記の
年齢の
上回り率(%)
男性
女性
表2−3 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:北関東地方所在都市2005年
国勢調査結果が
国勢調査結果の
同・
下回っている
下回り率が
左記の
15〜29歳の
最大の
年齢の
年齢層
(歳)
年齢
(歳)
下回り率
(%)
男性
女性
男性
女性
男性
女性
15−17,
15−29
26
25
−10.3 −9.3
22−29
15,16,
15,18−29
23
27
−12.9 −8.6
18−29
15−29 15,17−29
19
20
−22.0 −16.9
15,17−24,
19−29
21
19
−12.0 −11.1
26−29
20−29
15−29 20−24 20−24 −6.2 −13.3
15−29
25−29
−9.0
18−25, 15,18−26,
20
21
−27.4 −22.6
27,28
28
15−28 16,18−29
19
20
−36.7 −22.6
16,18−27,
15−29
20
21
−23.0 −19.0
29
15,16,
15−29
20
19
−31.4 −28.4
18−28
16,18−27,
18−27,29
19
19
−45.0 −32.3
29
15−17,
17,19−21,
19−21,
20
19
−25.0 −53.6
27,28
23,25,29
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
16歳で40.0%)
・茨城県龍ヶ崎市の男性(同20歳で31.7%)・旧伊香保町の男性
(同26歳で28.6%)
・同町の女性(同26歳で27.3%)においてかなり大きな差が
みられる。
他方,各市の幅広い年齢層において国勢調査人口は登録人口に対してかなり
大幅に下回っている。合併後の渋川市を構成する6市町村のほとんどで20歳前
後の下回り率は20% ~50%に達している。日立市の19歳男性でも下回り率が
20%を超えている。
表2−4は,北陸地方所在中小都市のうち13市の両データの状況を示したも
のである。比較のために新潟市のデータも合わせて示した。「年齢計人口」に
ついての両データの関係をみると,石川県野々市町の男女・金沢市の男女・富
山県小矢部市の男女・新潟市の女性において国勢調査人口が登録人口を上回っ
ているほかは国勢調査人口が下回っている。
若年層についての両データをみると,野々市町の男性(国勢調査人口の上回
り率が最大の20歳で188.3%)
・金沢市の男性(同19歳で39.6%)
・同市の女性(同
19歳で26.9%)において非常に大きな差がみられる。野々市町の女性(同19歳
で13.6%)
・小矢部市の男性(同19歳で11.6%)・同市の女性(同19歳で11.3%)
においてもかなり大きな上回りがみられる。
他方,新潟市・金沢市・野々市町を除く各市の幅広い年齢層において国勢調
査人口の登録人口に対してかなり大きく下回っている。石川県加賀市の男性
(国勢調査人口の下回り率が最大の15歳で37.6%)・同市の女性(同15歳で
36.0 %)
, 福 井 県 鯖 江 市 の 男 性( 同21歳 で30.5 %)・ 同 市 の 女 性( 同19歳 で
26.2%)では30%を超える大きな差がみられる。鯖江市の19歳女性・砺波市の
20代前半の男女・小矢部市の20代前半でも差が20%を超えている。
表2−5は,甲信地方および静岡県所在中小都市のうち14市町村の両データ
の状況を示したものである。比較のために静岡市・浜松市のデータも合わせて
示した。
「年齢計人口」についての両データの関係をみると,すべての市町村
において国勢調査人口が登録人口を下回っている。
若年層についての両データをみると,長野県松本市の男性(上回り率が最大
─ 607 ─
421,239
49,429
富山市
砺波市
─ 608 ─
109,084
74,982
252,220
66,831
47,977
小松市
加賀市
福井市
鯖江市
野々市町
16.3
−2.4
−1.7
−4.2
−2.1
2.5
0.1
−1.7
−0.3
−2.3
4.6
−1.1
−3.0
−1.6
−1.4
1.7
1.1
−1.5
−0.4
−0.8
0.5
16−29
16
15−19
─
16−29
15,27
─
─
─
16−25,
27,29
─
16,
18−29
25−29
─
15,16,24
15−19,
25−29
─
15,16
─
15−24
─
女性
男性
15−21,
23
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層(歳)
─
15
─
19
女性
20
16
15−19
─
─
20
1.0
188.3
18
2.1
─
─
39.6
11.6
─
1.1
─
13.0
男性
13.6
0.6
─
─
─
26.9
11.3
─
1.2
─
16.5
女性
同・
左記の
年齢の
上回り率(%)
15
─
─
─
20
25−29 15−19
─
16
─
19
男性
国勢調査結果の
上回り率が
最大の
年齢(歳)
1)新発田市・砺波市・小矢部市・小松市・福井市は5歳階級別。他は各歳別。
2)鯖江市は外国人を合算。他は外国人を除外。
454,607
金沢市
33,533
104,634
新発田市
小矢部市
785,134
新潟市
−0.1
男性
国勢調査
都市
女性
「年齢計人口」
における
国勢調査人口の
上回り率(%)
外国人
を含む
総数
(人)
表2−4 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:北陸地方所在都市2005年
15
16−26,
28,29
15,
17−29
15
15−29
15−29
15−29
15,17
20−24
15−29
17−23,
25−28
15−29
25−29
女性
20−29
15−29
15−29
15,26,28
15−24
15−29
17−29
15−29
22,
24−29
男性
国勢調査結果が
下回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
28
女性
−3.9
男性
−1.7
女性
19
−5.4 −12.9
17
−0.7 −1.0
15
−37.6 −36.0
15
21
15
19
−3.0 −1.0
−30.5 −26.2
25−29 20−24 −6.1 −17.6
15
20−24 20−24 −19.4 −17.3
26
20−24 20−24 −21.1 −11.5
20−24 20−24 −20.3 −22.3
22
20−24 20−24 −15.7 −12.5
26
男性
国勢調査結果の
同・
下回り率が
左記の
最大の
年齢の
年齢
(歳)
下回り率
(%)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
─ 609 ─
227,627
64,022
96,266
27815
32075
17857
8972
9547
208,005
236,474
170,899
千曲市
安曇野市3)
旧豊科町3)
3)
旧掘金村3)
3)
松本市
−0.8
−0.9
−3.2
−2.2
−3.8
−3.4
−3.2
−6.9
−2.7
−4.2
−3.6
−0.8
−0.8
−3.2
−2.4
−2.5
−6.1
−2.5
−3.6
−2.4
−0.6
−3.2
−3.0
−2.4
−0.2
−1.6
−4.8
15,16
─
─
─
─
24,25
15,17
─
─
15
15−17,
29
15,16,
18−20,
23−25
─
─
16
─
─
─
─
24
15
─
─
15
19
15−18,
24
15
16,24−26,
28
─
15
15,24,
25
17
─
─
─
15
16
─
15
─
17
─
─
─
25
─
15
25
15
18
16
18
国勢調査結果の
上回り率が
最大の
年齢(歳)
男性
女性
16
16
16
─
15,16
18
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層(歳)
男性
女性
15−17
16
16
─
3.1
─
─
─
─
2.2
3.6
─
─
0.2
15.6
3.0
0.1
─
2.8
─
─
─
7.1
─
5.5
5.5
1.1
2.9
0.5
19−23,
25−29
17−29
22
19
19
21
19
20
17−29
16−29
19
19
−8.4
−31.0
−14.3
−28.6
−30.4
−24.6 −35.3
−33.9
−14.2
−27.8
−31.5
−48.9 −46.5
−32.5 −40.4
−44.0 −40.4
−29.9 −37.6
−34.7
−31.2 −26.4
−3.6
−26.8 −21.1
−30.3 −20.6
国勢調査結果の
同・
下回り率が
左記の
最大の
年齢の
年齢(歳)
下回り率
(%)
男性
女性
男性
女性
21
22
−9.0
−5.6
19
19
−12.3 −16.7
16−29
19
16−29
16−29
20
19
18−23,
15−29
20
20
27,29
16,18−29 15−29
19
19
15,17−29 16−29
20
19
15−23,
16−23,
20
19
26,27,29
26,28
16,18−29 16,18−29
20
20
15−29
15−29 20−24 20−24
15−29
15−29
21
19
15−29
15−29
21
21
17,21,22,
26−29
18−28
同・
国勢調査結果が
左記の
下回っている
年齢の
15〜29歳の
上回り率
(%)
年齢層
(歳)
男性
女性
男性
女性
3.3
0.6
18−29
17−29
0.1
─
15,17−29 15−29
15−17,
─
4.2
17−29
19−29
1)沼津市は5歳階級別。他は各歳別。
2)長野市・松本市・千曲市・安曇野市・富士市・磐田市・焼津市は外国人を合算。他は外国人を除外。
3)2005年10月に旧5町村が合併して安曇野市となる。上記の安曇野市のデータは旧5町村の合計。
焼津市
旧明科村
沼津市
富士市
磐田市
120,109
378,512
長野市
旧穂高町
旧三郷村3)
52,572
富士吉田市
都市
静岡市
浜松市
外国人 「年齢計人口」
を含む
における
総数
国勢調査人口の
(人)
上回り率(%)
国勢調査 男性
女性
700,886 −1.4
−0.7
804,032 −1.1
−0.9
表2−5 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:甲信・静岡県地方所在都市2005年
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
の19歳で15.6%)において大きな差が,合併後の長野県安曇野市を構成してい
る 旧 堀 金 村 の 女 性( 同 じ く25歳 で7.1 %)
・ 旧 豊 科 町 の 女 性( 同 じ く25歳 で
5.5%)
・旧三郷町の女性(同じく15歳で5.5%)でもやや大きな差がみられる。
他方,松本市を除く各市の幅広い年齢層において国勢調査人口の登録人口に
対してかなり大きく下回っている。30%を超える差が安曇野市を構成している
町村の20歳前後の男女,静岡県焼津市の19歳女性,静岡県磐田市の21歳男女,
山梨県富士吉田市の男性19歳においてみられる。富士市の20歳前後の男女・焼
津市の19歳男性・富士吉田市の20歳男性において20%を超えている。
表2−6・表2−7には,奈良県郡部31町村の両データの関係を示した。山
田(2010a)では,奈良県全体を大阪圏に含めてその郡部のデータを一括して
示したが,北部の大阪市寄りの地域と中南部では状況がかなり異なるので,こ
こでは個別町村ごとの状況を立ち入って検討する。
表2−6には大阪市に近い県北部(山辺郡・生駒郡・磯城郡・高市郡・北葛
城郡)所在の町村の状況を,表2−7には県中南部(宇陀郡・吉野郡)所在町
村の状況を示した。北部では人口規模が比較的大きい町村が多いのに対して,
中南部では規模が小さく,急速な人口流出が生じている町村が多い。北部では
14町村のうち8町の総人口が1万人以上であるのに対して中南部では17町村の
うち2町の総人口だけが1万人以上である。「年齢計人口」についての両デー
タの関係をみると,野迫川村の男女において国勢調査人口が登録人口を上回っ
ているほかは各町村において国勢調査人口が下回っている。国勢調査人口が下
回っている状況を詳しくみると,5%以上の大きな差は北部では明日香村の男
性(5.5%)だけであるのに対して,中南部では9町村の男性と7町村の女性
にみられる。
若年層についての両データをみると,国勢調査人口が登録人口に対する上回
りは,高校生の年齢に相当する15歳 ~18歳および20代後半の年齢層に発生して
いる場合が少数みられる。
他方,国勢調査人口の登録人口に対する下回りは野迫川村を除く町村の幅広
い年齢層において大幅なものがみられる。このうち最大下回り率が20%以上の
─ 610 ─
─ 611 ─
9,174
7,764
川西町
三宅町
22,751
32,810
王寺町
広陵町
−4.5
−3.1
−3.2
−5.5
−3.9
−1.6
−2.8
−1.7
−3.5
−4.2
−1.7
−2.3
−3.3
−1.0
−0.9
−1.9
−1.2
−1.3
−1.9
−2.9
−0.4
−2.3
−3.5
16
─
─
15,16,
18,20
18
15
16
16,23
16,22,29
15
19−22
15,17
28
17
18
20,29
16−20
15−17
─
17
16
18
─
─
18
15
16
17,19,
26,29
25
23
22
15
19
17
28
18
20
19
17
─
17
25
29
24
23
15
17
16
15
国勢調査結果の
上回り率が
最大の
年齢
(歳)
男性
女性
─
─
23,24
23,24,26
15,17
15,17
16
15,27
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
男性
女性
─
─
河合町
19,446
−4.0
−2.3
15,16,17
1)各町村とも各歳別。2)各町村とも外国人を合算。
6,343
24,953
7,914
明日香村
上牧町
高取町
33,029
8,257
田原本町
27,816
斑鳩町
安堵町
−2.1
−4.5
20,286
23,062
平群町
−4.0
「年齢計人口」
における
国勢調査人口の
上回り率
(%)
男性
女性
−3.9
−2.5
4,595
三郷町
山添村
都市
奈良県郡部
外国人
を含む
総数
(人)
国勢調査
342,409
9.6
0.9
8.7
─
─
4.3
3.7
4.9
5.8
3.2
0.7
10.7
3.0
9.1
0.9
1.8
13.0
3.7
─
5.7
3.7
11.4
3.8
3.3
1.6
2.8
1.1
7.1
同・
左記の
年齢の
上回り率
(%)
男性
女性
─
─
表2−6 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:奈良県北部所在町村2005年
18−29
15,17−29
17,21−29
19−29
17−29
15−29
15−17,
16−29
15,18−28
24,26−29
19−22,
23−28
15,17−19,
21−29
15,17,19−29
21−29
24,26−29
18−29
15−29
20,21,28,29
16,18,
20−22,
25,27−29
15,18,
20−28
15,17−24,
26−29
16,18−22,
国勢調査結果が
下回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
男性
女性
15,17−29
15−29
15,16,
18−26,
18−25,
28,29
27,29
16,18−29
15,17−29
15−18,
16,18−29
23−29
16−29
16,18−29
15,17−21,
15−18,
24
23
24
26
25
20
22
20
21
23
21
26
22
22
24
27
23
22
29
27
21
22
20
28
22
25
21
19
国勢調査結果の
下回り率が
最大の
年齢
(歳)
男性
女性
22
21
−19.8
−12.5
−13.6
−22.5
−16.0
−22.2
−13.4
−22.4
−23.7
−14.5
−16.5
−18.8
−21.0
−44.8
−8.7
−8.6
−9.1
−15.2
−9.6
−25.0
−7.5
−12.9
−8.7
−9.5
−9.0
−12.8
−14.2
−52.2
同・
左記の
年齢の
下回り率
(%)
男性
女性
−14.1 −11.2
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
─ 612 ─
1,800
743
4,390
1,212
802
天川村
野迫川村
十津川村
下北山村
上北山村
−12.8
−0.8
−8.2
−1.1
25.9
−12.2
−4.6
−3.0
−5.7
−5.3
−3.6
−1.4
−5.7
−9.8
−0.2
−8.9
−8.7
11.1
−11.7
−5.6
−2.3
−5.4
−3.2
−0.9
−0.2
−3.9
18
─
25,26
19
16,27
─
─
16,21,
24,25
16,18,21,
23,25,29
15−18
─
23
─
17
15
26,28
16,26,28
─
26
16
16
16,17
─
21,29
29
15,26
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
男性
女性
18
17,28
16
─
─
16,18,19
18
─
26
16
18
26
16
16
17
─
29
29
26
19
27
─
─
21,25
─
23
─
17
15
26,28
26
─
国勢調査結果の
上回り率が
最大の
年齢
(歳)
男性
女性
18
17
16
─
─
16
33.3
─
40.0
169.0
200.0
50.0
18.2
2.0
10.2
─
14.3
25.0
14.3
25.0
50.0
─
─
100.0
─
66.7
─
2.0
2.0
12.5
60.0
─
同・
左記の
年齢の
上回り率
(%)
男性
女性
3.4
4.1
7.7
─
─
3.0
15,18−21,23,
24,27−29
15,17−22,
24,27,29
15,19−25,
27,29
15,17−22,
24,27−29
15,18,
21,24,26
15,17,
19−29
16−29
15,21,22,
24,25,28
18,19,21,
23,24,26
15−18,20−25,
27,28
16−29
15−29
22
16,18−20,
22,24,27,28
17−19,21−23,
25,27,29
─
15−23,
25−27,29
国勢調査結果が
下回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
男性
女性
16,17,19−29 15,18−27,29
15,17−29
15−29
17−29
15,20−29
17−25,
15,17−29
27−29
16−25,
17−20,22,24,
27,28
25,27,29
16,19,20,
18,19,21,24
22−24,26,28
15,18−29
15,16,18−29
15−29
16−29
15,17−29
東吉野村
2,608
−11.7 −8.8
15
─
15
─
12.5
─
1)各町村とも各歳別。2)各町村とも外国人を合算。3)2006年1月に合併して宇陀市として発足。
2,045
1,076
黒滝村
川上村
7,737
下市町
2,366
御杖村
9,984
20,070
2,193
曽爾村
吉野町
大淀町
5,786
室生村3)
都市
大宇陀町3)
菟田野町3)
榛原町3)
外国人 「年齢計人口」
を含む
における
総数
国勢調査人口の
(人)
上回り率
(%)
国勢調査 男性
女性
8,225
−6.7 −4.2
4,623
−6.0 −3.8
18,549
−4.6 −2.6
表2−7 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:奈良県中南部所在町村2005年
21
16
27,28
23,28
20
19
18
20
21
19
17,26
18
19
23
21
20
─
17
27
22
24
26
25
19,21
24
23
25
22,25
国勢調査結果の
下回り率が
最大の
年齢
(歳)
男性
女性
19
23
20
20
19
21
−50.0
−66.7
−50.0
−88.9
−55.6
─
−81.3
−40.0
−28.9
−29.6
−18.4
−60.0
−40.0
−18.2
−50.0
−77.8
−50.0
−75.0
−81.8
−25.0
−90.9
−33.3
−25.6
−34.4
−13.4
−23.5
−38.5
−25.9
同・
左記の
年齢の
下回り率
(%)
男性
女性
−21.6 −20.9
−34.5 −22.2
−16.2 −14.4
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
非常に大きい差は,北部では6町村の男性と2町村の女性に限られているが,
中南部では13町村の男性と15町村の女性の幅広い年齢層に発生している。
表2−8は,中国地方所在中小都市のうち17市の両データの関係を示したも
のである。比較のために岡山市・広島市のデータも合わせて示した。「年齢計
人口」についての両データの関係をみると,東広島市の男女・山口市の男女・
岡山市の男女・鳥取市の男性・松江市の男性において国勢調査人口が登録人口
を上回っているほかは国勢調査人口が下回っている。
若年層についての両データをみると,東広島市の男性(上回り率が最大の20
歳で72.3%)
・岡山市の男性(同じく19歳で21.3%)・東広島市の女性(同じく
19歳で20.9%)において非常に大きな差がみられ,岡山市の19歳女性・岡山県
倉敷市の19歳女性でも10%以上のかなり大きな差がみられる。
他方,各市の幅広い年齢層において国勢調査人口の登録人口に対してかなり
大きく下回っている。岡山県備前市(20歳で男性32.0%,女性25.5%)・倉吉市
の20歳前後の男女・米子市の19歳の男女・尾道市の20代前半の男性では20%を
超える差となっている。
表2−9は,和歌山県・四国地方所在の10市2町の両データの状況を示した
ものである。
「年齢計人口」についての両データの関係をみると,香川県善通
寺市の男女・徳島市の男女において国勢調査人口が登録人口を上回っているほ
かは国勢調査人口が下回っている。
若年層についての両データをみると,善通寺市の女性(上回り率が最大の20
歳で33.7%)
・同市の男性(同じく16歳で30.9%)
・徳島市の女性(同じく19歳
で27.2%)・同市の男性(同じく20歳で20.4%)において非常に大きな差がみら
れる。両市以外では,国勢調査人口は登録人口に対してまったく上回っていな
いか,限られた年齢においてわずかに上回っている。
他方,徳島市・善通寺市を除く各市の幅広い年齢層において国勢調査人口は
登録人口に対してかなり大きく下回っている。両データの差は,四万十市の男
性(同じく下回り率が最大の19歳で53.3%)・和歌山県みやべ町の女性・宇和
島市の男性では50%を超えており,新居浜市の19歳女性・みやべ町の19歳男
─ 613 ─
─ 614 ─
1.4
−3.9
−2.4
−2.9
−3.3
−2.5
−2.6
5.0
−1.1
−4.9
−2.5
−2.7
0.7
0.4
−1.9
1.3
−2.8
−1.3
−2.1
−2.6
−1.7
−2.4
2.0
−0.4
−3.4
−0.9
−2.0
0.9
−0.2
−0.3
16
15−24
─
18
16,17
─
─
─
15−25,29
16−20
─
─
15−22
15−24
─
─
15
─
─
─
15−24
16,18−20
─
18−21
15−18,
21,22
─
─
15,16,18−23 16−23,26
15−17,27
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
男性
女性
15−24
─
16,17
15,16,24
15−19
─
18
17
─
─
─
20
19
─
─
─
19
16
28
20−24
─
─
15
─
─
─
19
19
─
19
─
19
21
23
国勢調査結果の
上回り率が
最大の
年齢
(歳)
男性
女性
20−24
─
17
15
9.2
─
2.1
0.7
─
─
─
72.3
7.9
─
─
─
21.3
7.7
1.7
8.9
─
─
0.1
─
─
─
20.9
6.2
─
12.7
─
18.1
3.2
3.5
同・
左記の
年齢の
上回り率
(%)
男性
女性
8.9
─
0.8
1.9
国勢調査結果が
下回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
男性
女性
25−29
15−29
15,18−29 17−23,25−29
18−26,
17−29
28,29
19,20,23−26,
23−29
28,29
15−29
15−29
17,24−29 15,24,27−29
15−17,
15−29
22−29
15−29
15,17−29
15,17,
15,21−29
21−29
15,18−29
16−29
15−29
15−29
15−29
15−29
15−29
15−29
26−28
25−29
15−17,
15−29
19−29
25−29
25−29
15−29
15−29
1)鳥取市・安来市・尾道市・庄原市・山口市は5歳階級別。光市は5歳階級と10歳階級の併用。他は各歳別。
2)倉吉市・庄原市・下関市・光市は外国人を合算。他は外国人を除外。
191,677
53,971
広島市
290,693
40,241
1,154,391
備前市
山口市
光市
469,377
倉敷市
下関市
43,839
674,746
安来市
岡山市
251,003
114,486
418,509
43,149
184,430
196,603
松江市
呉市
尾道市
福山市
庄原市
東広島市
52,592
倉吉市
都市
鳥取市
米子市
外国人 「年齢計人口」
を含む
における
総数
国勢調査人口の
(人)
上回り率
(%)
国勢調査 男性
女性
201,740
1.2
−0.8
149,584 −1.6
−1.1
表2−8 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:中国地方所在都市2005年
25−29
20−29
25
20
20−24
19
15−19
27
24
20
20
20−24
29
25
19
25−29
15−19
22
22
20−24
19
20−24
28
25
20
23
20−24
29
25
21
国勢調査結果の
下回り率が
最大の
年齢
(歳)
男性
女性
25−29 20−24
19
19
−1.0
−18.4
−12.0
−15.2
−20.8
−15.0
−14.3
−2.5
−8.0
−32.0
−11.0
−19.9
−4.0
−8.0
−29.5
−0.6
−15.2
−11.4
−12.0
−14.9
−19.4
−16.6
−5.1
−4.6
−25.5
−5.6
−16.4
−1.3
−4.0
−28.9
同・
左記の
年齢の
下回り率
(%)
男性
女性
−0.9
−7.4
−26.6 −29.3
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
─ 615 ─
37,917
四万十市
−1.9
−3.6
−3.5
−4.7
−3.8
0.6
−4.0
−5.5
−1.1
1.6
−0.8
−3.1
−2.8
−2.6
−2.3
0.8
−2.6
−0.3
−2.0
1.9
−4.3
−3.7
女性
15,17
16
─
15,16
─
15,16,
26,28
─
─
─
15−21
15−22,
24,28
─
─
16
─
─
16−28
17−25,
27−29
17,18
17
─
女性
─
─
男性
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
17
16
─
16
16
16
─
18
21
─
─
男性
─
16
─
─
─
20
─
─
─
19
17
─
女性
国勢調査結果の
上回り率が
最大の
年齢
(歳)
3.0
0.6
─
3.4
30.9
0.4
─
1.1
20.4
─
─
男性
─
3.3
─
─
─
33.7
─
─
─
27.2
2.7
─
女性
同・
左記の
年齢の
上回り率
(%)
1)田辺市・西条市・旧塩江町(2005年9月に高松市に編入合併)は5歳階級別。他は各歳別。
2)高松市・旧塩江町は,外国人を合算。他は外国人を除外。
123,952
113,371
新居浜市
89,444
宇和島市
西条市
173,983
今治市
35,495
善通寺市
3,445
旧塩江町
57,266
337,902
高松市
坂出市
267,833
徳島市
−4.6
82,499
14,200
田辺市
みなべ町
−4.7
男性
「年齢計人口」
における
国勢調査人口の
上回り率
(%)
国勢調査
都市
外国人
を含む
総数
(人)
表2−9 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:和歌山県・四国地方所在都市2005年
16,18−29
17−25,
27,29
19
20
19
15−29
19
15−29
25
20
19
19
19
19
25
20
20−24
20
15
19
20−24
女性
20−24
20−24
21
15
19
20−24
男性
国勢調査結果の
下回り率が
最大の
年齢
(歳)
15−26,
28,29
22−29
15−29
15−29
15,17−29
15,17−29
17−29
23,25,
26,27,29
15,17−29
15−29
15−29
15,16,
19−29
15−29
15−29
16,18−29
15−29
女性
15,16,26
15−27,29
15−29
男性
国勢調査結果が
下回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
−48.0
−36.8
−44.0
−53.3
−5.6
−31.8
−18.7
−15.3
−2.1
−54.0
−25.8
女性
−39.6
−26.3
−34.5
−51.6
−42.6
−8.8
−35.4
−25.6
−11.0
−1.3
−45.5
−31.8
男性
同・
左記の
年齢の
下回り率
(%)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
性・今治市の19歳男女でも40%を,四万十市の19歳女性・宇和島市の19歳女
性・新居浜市の20歳男性・坂出市の20歳男女・田辺市の20代前半の男性でも
30%を,西条市の20代前半の総数・田辺市の20代前半の女性・旧塩江町の20代
前半の男性では20%を超えている。
表2−10は,北部九州地方所在の9市・1町の両データの状況を示したもの
である。比較のために北九州市・福岡市のデータも合わせて示した。「年齢計
人口」についての両データの関係をみると,福岡市の男女・佐賀県鳥栖市の男
女において国勢調査人口が登録人口を上回っているほかは国勢調査人口が下
回っている。
若年層についての両データをみると,福岡市の男性(上回り率が最大の19歳
で55.2%)・同市の女性(同じく19歳で43.3%)において非常に大きな差がみら
れ,福岡県久留米市の男性(同じく19歳で15.6%),同市の女性(同じく19歳
で10.4%)でもかなり大きな差がみられる。佐賀県伊万里市の男性(同じく16
歳で7.0%)・長崎県諫早市の男性(同じく16歳で6.7%)においてもやや大きな
差がみられる。
他方,福岡市を除く各市の幅広い年齢層において国勢調査人口は登録人口に
対してかなり大きく下回っている。両データの差は,長崎県西海市の女性(同
じく下回り率が最大の19歳で49.4%)・佐賀県伊万里市の男性(同じく19歳で
44.7%)では40%を,西海市の19歳男性・伊万里市の19歳男性・諫早市の19歳
男性では30%を,諫早市の19歳女性・水巻町の21歳男性・武雄市の20代前半男
性・大牟田市の21歳男性では20%を超えている。
表2−11は,南部九州地方・沖縄県所在中小都市のうち8市の両データの状
況を示したものである。「年齢計人口」における両データの関係をみると,熊
本市の男女・大分県別府市の女性・鹿児島市の女性において国勢調査人口が登
録人口を上回っているほかは国勢調査人口が下回っている。
若年層についての両データをみると,熊本市の男性(上回り率が最大の19歳
で27.8%)において非常に大きな差がみられ,大分県別府市の女性(同じく20
代前半で18.7%)
・鹿児島市の女性(同じく19歳で13.2%)・熊本市の女性(同
─ 616 ─
─ 617 ─
30,679
水巻町
−4.7
−2.9
−1.2
−2.8
−3.0
0.4
−1.3
−2.0
−1.7
−3.8
1.8
−1.8
男性
−1.9
−2.9
−1.0
−1.9
−2.0
1.6
−0.2
−0.9
−0.7
−1.7
1.3
−0.2
女性
「年齢計人口」
における
国勢調査人口の
上回り率
(%)
─
─
15−17
15−17
─
15−19
23
28
─
15−17
15,16
─
─
16
16
─
15−19
15−19,
25−29
─
23
─
19
16
19
18
男性
28
─
16
16
─
15−19
16
15−19
19
16
19
19
女性
国勢調査結果の
上回り率が
最大の
年齢
(歳)
16
15−19
15,
18−20
16,
18−22
─
15−17
15−23
18,19
女性
15−17
15−24
18,19
男性
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
1)春日市・鳥栖市・水巻町は5歳階級別。他は各歳別。
2)春日市・水巻町は外国人を合算。他は外国人を除外。
33,422
西海市
58,190
伊万里市
144,034
33,697
武雄市
諫早市
64,723
鳥栖市
108,402
春日市
92,748
306,434
久留米市
大野城市
131,090
大牟田市
1,401,279
993,525
北九州市
福岡市
国勢調査
都市
外国人
を含む
総数
(人)
─
─
6.7
7.0
─
0.2
0.5
─
15.6
1.8
55.2
3.2
男性
0.5
─
2.0
1.9
─
2.8
1.4
3.0
10.4
2.5
43.3
2.4
女性
同・
左記の
年齢の
上回り率
(%)
表2−10 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:北部九州所在都市2005年
15−29
15−29
18−29
18−29
15−29
20−29
24−29
15−22,
15−29
15,17,
23−29
18−29
15−29
15−29
18−29
17−29
15−29
20−24
15,17−29
20−29
16,17,
21−29
18−29
24−29
15−17,
20−29
15−17,
20−29
25−29
女性
男性
国勢調査結果が
下回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
21
19
19
19
20−24
20−24
20
25−29
23
21
29
25
男性
21
19
19
19
20−24
20−24
21
25−29
24
20
26
21
女性
国勢調査結果の
下回り率が
最大の
年齢
(歳)
−23.0
−38.3
−31.3
−36.8
−22.1
−3.2
−9.9
−11.9
−9.2
−21.2
−3.8
−6.8
男性
−13.7
−49.4
−23.1
−44.7
−14.8
−1.0
−13.3
−9.0
−5.4
−18.2
−2.8
−5.4
女性
同・
左記の
年齢の
下回り率
(%)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
─ 618 ─
126,959
604,367
102,370
106,049
55,816
126,400
別府市
鹿児島市
薩摩川内市
浦添市
糸満市
沖縄市
−4.8
−4.0
−2.1
−2.8
−0.5
0.0
−0.9
−4.0
−2.2
−1.4
−1.5
0.4
1.7
−0.4
女性
16
16,17
15−17
─
15
16,17
29
16−25
─
15−24
15−24
15−17
15−24
15−22,
24
16,17
15−23
1)別府市は5歳階級別。他は各歳別。
2)大分市は,外国人を合算。他は外国人を除外。
462,317
大分市
0.4
女性
男性
0.2
男性
国勢調査
669,603
都市
熊本市
国勢調査結果が
上回っている
15〜29歳の
年齢層(歳)
外国人 「年齢計人口」
における
を含む
総数 国勢調査人口の
(人) 上回り率(%)
17
20
女性
16
17
17
─
19
─
15
16
29
19
20−24 20−24
17
19
男性
1.5
1.8
2.5
─
10.3
9.5
2.9
27.8
男性
─
2.8
3.4
0.2
13.2
18.7
1.3
12.6
女性
国勢調査結果の
同・
上回り率が
左記の
最大の
年齢の
年齢(歳)
上回り率(%)
表2−11 国勢調査人口と登録人口1)2)の比較:南部九州地方所在都市2005年
20
16,
18−29
15−29
18−29
15,
17−29
21
19
28
15,
18−29
18−29
21
28
女性
20
20
19
19
28
25−29 25−29
19
15,
26−29
25−29
21
28
男性
−2.4
女性
−0.8
−1.4
−13.2 −12.4
−20.8 −17.9
−15.3 −12.7
−22.5 −16.4
−2.7
−4.4
−10.8 −10.1
−5.1
男性
国勢調査結果の
同・
下回り率が
左記の
最大の
年齢の
年齢
(歳)
下回り率
(%)
15−28
15−29
23,
25−29
25−29
18−29
15,
18−29
女性
25−29
24−29
男性
国勢調査結果が
下回っている
15〜29歳の
年齢層
(歳)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
じく20歳で12.6%)・鹿児島市の男性(同じく19歳で10.3%)にもかなり大きな
差がみられる。
他方,鹿児島市・熊本市を除く各市の幅広い年齢層において国勢調査人口は
登録人口に対してかなり大きく下回っている。両データの差は,薩摩川内市の
19歳男性・糸満市の20歳男性では20%を超えている。
むすびにかえて
最後に本稿の考察を要約しよう。
三大都市圏外に所在する中小都市(町村を含む)の年齢計総数について国勢
調査人口と入手できた登録人口を比較すると,大きな差が生じている場合は少
ないものの,国勢調査人口が上回っている市町村は男性では全体の約8分の
1,女性では約6分の1を占めるにすぎず,残りの市町村では国勢調査人口が
下回っている(表3−1)。これは,国勢調査人口が登録人口を上回っている
場合が多かった三大都市圏内に所在する中小都市とは対照的な傾向である。ま
た,三大都市圏外に所在する政令指定都市では,福岡市・仙台市・岡山市では
国勢調査人口が登録人口を男女とも上回っており,札幌市・新潟市では女性だ
けが上回っており,北九州市・静岡市・浜松市・広島市では男女とも下回って
いる。
しかし,若年層に限定して各歳別または5歳階級別に細分して比較すると,
特定の年齢の国勢調査人口と登録人口の差が大きい市町村は,三大都市圏外の
地域において広範囲にみられる。表3−2は,125市町村における年齢別にみ
た最大下回り率および最大上回り率を示したものである。
全体の約3分の2の市町村では国勢調査人口が上回っている年齢層がないか
最大上回り率が5%未満であり,最大上回り率が10%以上の市町村は男性では
32,女性では23にすぎない。国勢調査人口の上回りの発生は学生数が多い大学
が所在する少数の市町村1)において顕著であった。このほかに政令指定都市の
19歳前後の年齢層でも浜松市の女性を除いて国勢調査人口が登録人口に対して
─ 619 ─
(該当市町村数)
国勢調査人口が多い市町村
国勢調査人口が少ない市町村
地域ブロック
性
総数
2%〜
1%〜
1%〜
2%〜
5%以上
1%未満
1%未満
5%以上
5%未満
2%未満
2%未満
5%未満
男性
9
0
0
1
0
0
3
5
0
北 海 道
女性
9
0
0
0
3
3
3
0
0
男性
8
0
0
0
2
2
3
1
0
東
北
女性
8
0
0
0
3
3
1
1
0
男性
12
0
0
0
1
0
4
6
1
北 関 東
女性
12
0
0
1
2
1
3
4
1
男性
10
1
1
0
1
1
2
4
0
北
陸
女性
10
0
1
2
0
2
4
1
0
男性
12
0
0
0
0
2
1
8
1
甲 信・ 静 岡
女性
12
0
0
0
0
4
0
7
1
男性
31
1
0
0
0
1
4
15
10
奈 良 郡 部
女性
31
1
0
0
0
5
6
12
7
男性
15
1
0
2
1
0
2
9
0
中
国
女性
15
0
1
1
0
4
3
6
0
男性
12
0
0
1
1
0
2
7
1
和歌山四国
女性
12
0
0
1
1
2
0
8
0
男性
10
0
0
0
1
0
3
6
0
北 部 九 州
女性
10
0
0
1
0
3
6
0
0
8
0
0
1
0
3
0
4
0
南 部 九 州・ 男性
沖
縄 女性
8
0
0
1
2
1
2
2
0
男性
127
3
1
5
7
9
24
65
13
( 合 計 )
女性
127
1
2
7
11
28
28
41
9
1)町村を含み,政令指定都市9市・合併後の長野県安曇野市(構成する旧5町村をそれぞれ参入)および年齢計総数の性別集計が入手できな
かった長野県千曲市(総数において国勢調査が3.2%少ない)を除く。
表3−1 国勢調査人口と登録人口の全年齢・性別比較1)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
─ 620 ─
(該当市町村数)
国勢調査人口の最大上回り率
国勢調査人口の最大下回り率
地域ブロック
性
総数
上回っている 0%〜
5%〜
10%〜
下回っている 0%〜
5%〜
10%〜
20%〜
20%〜
年齢層なし 5%未満 10%未満 20%未満
年齢層なし 5%未満 10%未満 20%未満
男性
9
0
4
0
4
1
0
1
3
3
2
北 海 道
女性
9
0
6
2
1
0
0
2
3
2
2
男性
8
0
2
4
2
0
0
2
1
2
3
東
北
女性
8
0
4
3
1
0
0
1
2
1
4
男性
11
4
2
2
0
3
0
0
1
3
7
北 関 東
女性
11
4
4
1
0
2
0
0
2
4
5
男性
10
4
3
0
1
2
0
2
2
2
4
北
陸
女性
10
5
2
0
2
1
0
2
0
5
3
男性
12
7
4
0
1
0
0
0
1
1
11
甲 信・ 静 岡
女性
12
5
4
3
0
0
0
0
1
1
11
男性
31
5
9
5
6
6
1
0
0
10
20
奈 良 郡 部
女性
31
8
13
2
3
5
0
0
8
6
17
男性
15
7
4
3
0
1
0
3
1
7
4
中
国
女性
15
8
4
1
1
1
0
2
3
7
3
11
3
5
0
0
2
0
1
1
1
8
和 歌 山・ 男性
四
国 女性
11
6
2
0
0
2
0
1
1
1
8
男性
10
4
3
2
1
0
0
1
2
1
6
北 部 九 州
女性
10
2
7
0
1
0
0
1
2
4
3
8
1
4
1
1
1
0
2
1
3
2
南 部 九 州・ 男性
沖
縄 女性
8
1
4
0
3
0
0
3
0
5
0
男性
125
35
40
17
16
16
1
12
13
33
67
( 合 計 )
女性
125
39
50
12
12
11
0
12
22
36
56
1)政令指定都市9市・合併後の長野県安曇野市(構成する旧5町村はそれぞれ算入)および性別集計が入手できなかった群馬県桐生市,長野県
千曲市,愛媛県西条市を除く。
表3−2 国勢調査人口と登録人口の若年層についての年齢別・性別比較1)
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
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三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
大幅に上回っている。これは,これらの市町村に立地する大学には県外など遠
隔地出身者が多数入学しており(表1−5),その学生たちのうち住民登録を
移していないものの大学周辺の地域に居住するものが国勢調査によって把握さ
れた場合が多いことを反映しているためではないかと考えられる。このような
国勢調査人口の登録人口に対する上回りは,人口規模が比較的大きい都市でも
学生数が多い大学が立地していない場合には発生していない。若年単独世帯は
国勢調査の実地調査において把握漏れとなる可能性が一般に高いにもかかわら
ず,これらの地域では国勢調査人口の登録人口に対する上回り率は大学入学時
に相当する19歳前後において最大となっている場合が多い。19歳前後の単独世
帯比率も付近の都市よりも大学所在都市において高い。このことも住民登録を
旧居住地に残して大学周辺に単独で転居している学生が多いことを反映してい
るのであろう。また,大学所在都市において女性の国勢調査人口の上回り率が
男性よりも全般に低いのは,親元からの通学率が高いためであろう。
他方,大半の市町村では国勢調査人口の最大下回り率は10%以上であった
(男性では125市町村のうち100市町村,女性でも同じく92市町村)。国勢調査人
口が下回っている年齢層がないか最大下回り率が5%未満の市町村は全体の約
1割しかなかった。国勢調査人口が下回っている場合,国勢調査人口の下回り
率が最大の年齢は19歳前後が多い。これらの地域の高校卒業後の年齢層の旧居
住者が住民登録は旧居住地に残したまま三大都市圏内をはじめとする遠隔地に
就職・進学のために転居しており,旧居住地での国勢調査の実地調査では(当
然のことながら)居住者としてはカウントされていないことを反映しているた
めであろう。また,男性における国勢調査人口の下回り率が女性よりも大きい
ことは,国勢調査人口の上回り率が高い地域と同じ事情が作用したためと考え
られる。このほか政令指定都市のうち浜松市の男女・静岡市の男女・北九州市
の女性では国勢調査人口の上回り率が20歳前後の年齢層において最大となって
おり,それ以外の都市では20代後半の年齢層において最大となっている。
各地域とも両データの差は20代後半に向うにつれて縮小している。これは,
就職すれば,勤務先などへ住民票を提出する機会が増えるので,実際の居住地
─ 622 ─
三大都市圏外所在中小都市若年層の性別年齢別静態人口データの相違に関する考察(山田)
へ住民登録を移す場合が多くなるためではないかと考えられる。
さらに,奈良県の町村や合併した旧市町村に関する両データの検討から,狭
い地域を対象とする両データの間に相違が存在していても,それを包含する地
域を対象とする両データの間では相違が読み取りにくくなっている可能性があ
るといえる。
なお,本稿では15歳未満の年齢層・30歳以上の中高年齢層についての両デー
タの対比および登録人口の2000年国勢調査結果および1995年国勢調査結果との
対比には触れられなかった。また,国勢調査人口と登録人口の差は,最高齢層
において若年層と同様に特に大きいと考えられる2)。これらのデータの対比と
分析は,稿を改めて次の機会に取り上げたい。
注
1)
人口規模が比較的小さい市町村に学生数が多い大学が立地している例としては,
香川県善通寺市(国勢調査による総人口35495人),石川県野々市町(同47977
人),茨城県龍ヶ崎市(同78950人),北海道江別市(同125601人),広島県東広
島市(同184430人)などがある。
2)
大学生に相当する年齢層以外において国勢調査人口が登録人口を大幅に上回っ
ている市町村については,所属世帯人員が多い施設世帯の所在や急速な離村過
程にあることが国勢調査結果へ作用しているのではないかと考えられる。例え
ば,2005年国勢調査による総人口が40091人の青森県つがる市には世帯人員399
人の施設世帯が所在していた。奈良県野迫川村の総人口は2005年国勢調査では
743人であったが,2010年国勢調査では約3割減少し522人となり,同時点の登
録人口(外国人を含む)を16人下回っている。奈良県統計課(2011)
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