よねしろ・立志会の小野立でございます。 質問に先立ちまして、去る6月8日に薨去あらせられました桂宮殿下の御霊 に対し、茲に謹んで哀悼の誠を捧げたいと存じます。 では、通告に従って質問を致します。ご答弁宜しくお願い申し上げます。 初めに、齊藤市長の、ご自身の2期8年の市政に対する自己評価をお伺い致 します。 申すまでもなく、民主主義を標榜する体制の政治は、有権者の自由意思に基 づく投票行為によって数年に一度選び直されることを、その正当性の唯一最大 の基盤としております。 この意味で、当初無風が言われていたこの4月の改選期に市長選が執り行わ れましたことは、我々能代市民、また能代市政はもとより、齊藤市長ご自身の ためにも慶賀に堪えざる次第でありました。 そこで市長には今回の選挙結果、即ち市民の評価を勘案した上での、過去2 期8年に対する論評を、改めてご披瀝頂きたいのであります。 これに関して、二つお伺いいたします。 一つ目は、この選挙期間中、市長は「1期目に撒いた種が、2期目には芽を 出した、次なる3期目で、いよいよそれらが花をつけ実を結ぶのだ」という意 味のご発言をされていたかと思うのでありますが、そこでいう“実”とは具体 的に何を指しておっしゃっていたのか、という点であります。 今一つは、能代市総合計画に於きまして最優先課題と位置づけられている、 “若者の定住に結び付く産業創出と雇用確保”の現状を、どう認識しておかれ るかという点であります。 次に、エネルギーのまちづくりに関連してお尋ね致します。 ご案内の通り、3.11に伴う原発事故以降、我が国のエネルギー供給を巡 る環境は一変し、国家として再生可能エネルギーへのシフトが急がれる状況を 見るに至っております。 これは当局への質問を離れて申し上げるのでありますが、原発事故以降、私 はこのレベル7の過酷事故、シビアアクシデントに関する報道を、テレビ、ラ ジオや文字媒体ばかりでなく、ネットメディアでのみ配信されるニュース番組 も含めて非常な関心を持って見て参りました。ネットニュースと申しますと、 何か確度の低いもののようにも聞こえがちですけれども、電力会社は、リーマ ンショックで自動車産業が大打撃を蒙って以降、テレビにとって最大の広告主 となっておりました。その関係上、テレビよりもネットの情報に、より多くの 1 真実が含まれるという状況が、事故発生当初から、しばらくの間つづいたので あります。 兎も角、そうして日を追うごとに事故の本当の深刻さを知るにつけ、日本は 将来世代のため、国家生存のため、原発を放棄し、原発以外のエネルギーによ って国を営んで行くよりほかに道はない、と私は考えるに至りました。 こうした観点からも、市長の掲げるエネルギーのまちづくりを、私は高く評 価するものであります。 さて、能代火力の当初計画では、石膏ボード製造の最大手であり、直近の平 成25年度で1,105億円の売上高を持つ吉野石膏株式会社を火力隣接地に 誘致する計画がございましたところ、火力3号機の建設が棚上げされたことで、 吉野石膏側が進出を見合わせたと伺っておりますが、ここに来て3号機の建設 が実施段階に近づき、同社の進出見合わせの条件が除去されるに至りました。 そこで二点、お尋ね致します。 一つは、吉野石膏誘致の現状についてであります。当局として現在も、先方 と何らかのコンタクトをとっておられますでしょうか。とっているとすれば、 先方から能代進出に関し、何らかの感触を得ておられますでしょうか。何れに せよ、同社の能代進出を促すことは、若者の雇用確保の観点からも、大いに意 義あるところと、私は考えますが、いかがでございましょうか。 今一つは、これは仮に先方で能代への進出をする意思のないことが明らかな 場合の話でありますが、吉野石膏の進出予定地を、風力発電所関連の工場誘致 の用地、或いはバイオマス発電所関連の用地として転用するお考えはございま すか。あの広い地面を塩漬けにしておくのは如何にも惜しいと考えますが、い かがでございますか。 以上、二点お伺い致します。 次は、(仮称)イオン新能代ショッピングセンターについてであります。 五点ございます。 まず一点目でございますが、各種報道を見ますと、イオン新能代 SC の開業は 平成27年中となっております。但しこれはまだ、市民にとっては、噂レベル の話でしかありません。市はイオングループ側からイオン新能代 SC の着工、竣 工、開業の時期について、どのような説明を受けておられますか。 二点目は、イオン新能代 SC 開業と中心市街地活性化が両立し得るかについて であります。 市長は昨年12月の市議会に於ける一般質問に対し「中心市街地活性化は、 イオン出店にかかわらず、地域社会全体で人々の生活圏が変わっていくなかに あっても、地域として取り組むべき課題であると考えます。」と答弁しておられ 2 ます。 しかし、ご存じのように、郊外型大型小売店舗の進出により、中心市街地の 商店街が壊滅的打撃を受けている例は、全国津々浦々、枚挙にいとまがなく、 このため国は、まちづくり3法を施行し、3法のうちの取り分け、改正・中心 市街地活性化法は、市町村が中心市街地を活性化させるための基本計画を策定 し、国から認定された場合、各種の支援策が講じられる仕組みを用意して、中 心市街地再生のため、国を挙げた取り組みをしているところであります。 まちづくり3法が、イオンを狙い撃ちする法律であることは、これはイオン 自身もその不当を訴えているほどで、周知の事実であります。 その狙い撃ちたる所以は、新規に郊外型大型小売店舗の進出を認めない都市 計画を策定した場合にのみ国の支援が受けられることになっている点にあり、 しかもその郊外型大型小売店舗の展開は、国内小売最大手であるイオングルー プが、ほとんど専売特許にしている成長戦略である点にあるのであります。 早く申せば、イオン SC の進出を認めることで、市は国の支援を、いわば謝絶 した形となっております。国が用意した支援を拒みつつ、なお中心市街地活性 化を模索することは、自ら進んで荊棘の道を選択することとも言え、ただでさ え容易ではない中活の難易度を、一層引き上げる結果になっているのではない かと考えられますが、こうしたなか、イオンの出店と中心市街地活性化の両立 をどのように進めて行かれるのか、又どのようにすればそれが可能になるのか、 お伺い致します。 三点目は、先日、能代市柳町商店街振興組合に於きまして、イオン能代店の 営業継続を求める決議がなされました。この決議の趣旨を、市としてもイオン 側との各種折衝の中で後押しして行かれる用意はございますのでしょうか。 そもそもこうした決議がなされるのも、イオン能代店が、今や柳町商店街の 核店舗となっており、仮に同店が撤退すれば、直ちに商店街の死活問題となる ことが明らかだからであります。 それに関連して、四点目でありますが、市長は先の記者会見で、イオン能代 店の閉店はないとの観測を示されました。 しかし例えば大館市では、平成18年にイオンスーパーセンター大館店が開 業した約5か月後に、中心市街地にあったジャスコ大館店が撤退し、商店街は 一気に寂れたと聞きます。郊外型店舗の出店と中心地市街地型店舗の閉鎖をセ ットで行うことは、イオングループがとる店舗展開の典型かと思われますが、 能代がその典型の例外となるとお考えになる根拠をお伺い致します。イオン側 との折衝のなかで、イオン柳町店は閉鎖しない旨の、示唆なり確約なりを得て おられるのでございますか。併せてお伺い致します。 さらにそれに関連して五点目であります。 3 能代市中心部、とりわけ米代河畔近在の上町、万町、日吉町等の地域では、 地元スーパーの撤退によって、車を持たない高齢者が、日々の買い物にも困る 状況が広がっております。 イオン能代店が撤退すれば、いわゆる交通弱者は、さらに苦しい状況に置か れることになりますが、その場合のフォローをどのようにお考えでしょうか。 又、空き店舗等を活用した代替の買い物施設を、行政としてあの地域に設置 したり誘致したりすることが研究できないか、お尋ね致します。 次に、自治会の集会所についてであります。 三点お尋ね致します。一点目としてまず、市内各自治会の集会所保有率をお 尋ね致します。 二点目は、集会所の用途についてであります。集会所は、自治会の総会等、 公式の行事のみならず、地域の高齢者の憩いの場として、或いはサロンやたま り場として、日常的に開放され、自由に使える環境にしておくことで、初めて コミュニティ内の共助を促し、例えば一人暮らしの高齢者を不慮の事故から守 るためのツールともなり得るのかと私は考えるのですが、自治会によっては、 そうした運用が必ずしもなされていないようです。市として自治会集会所のそ うした高齢者サロン的な使途での利用を奨励することは、市長の掲げておられ る「わ」のまちづくりの理念にも適った行き方かと思われますが、これについ てご所見を伺います。 三点目は、このように集会所の所有は、自治会活動にとりまして非常に重要 な意味を持つものでありますが、中にはこれをまだ持っていない自治会もござ います。 自治会員の高齢化と会員数の減少で、どこの自治会にとりましても、新たに 土地を取得して集会所を建設することは、非常に困難な状況にあると思われま す。もし、町内の空き家を改装してこれを集会所に転用できれば、一方では自 治会活動の振興ともなり、他方、空き家対策ともなって防災に資するところ、 また大であって、一挙両得であります。市として、空き家の集会所への転用を 促し、これを助成すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。 次に大型七夕について二点、お伺い致します。 まず、運行2年目を迎えるに当たっての、市長の抱負をお聴かせ下さい。 二点目は、伝統七夕との不公平感についてであります。市長もお聞き及びの ことと存じますが、伝統七夕を運行する五町組の内部には、天空の不夜城に対 する強烈な不満が一部に存在しております。その理由は人によって様々ではあ りますが、不満の代表例として、天空の不夜城と役七夕を比較したときの、財 4 政上の不公平感が挙げられます。 具体的に申しますと、現在五町組の各若は、程度の差こそあれ、非常に厳し い財政運営を強いられており、5年に1度めぐって来る当番の度に、七夕を出 すことが可能かどうかの話から始めなければならない状況が、各若に広がって いると伺っております。 そうしたなか、天空の不夜城には3,000万からの予算がつき、資金は取 り敢えず潤沢で、製作スタッフには公費から時給が支払われております。市か らの限られた助成金以外は、すべて町内の自弁で行い、灯籠製作もボランティ アで行う役七夕との格差は、実に歴然としております。これでは役七夕に携わ る人々の目に不公平に映るのは、誠にむべなるかなであります。 勿論、一方の役七夕は地域の住民が任意に行う伝統行事であり、今一方の大 型七夕は行政が政策的に計画した観光行事という違いから、比較の対象にする こと自体そもそも不適当であるという言い方も出来ましょうし、他方、町衆の 自弁で行うことこそ、役七夕の誇りの根源とも言えるのでありますが、問題な のは、天空の不夜城が基本的には役七夕を模倣したものである点であります。 鯱の基本的形状しかり音頭上げしかり、すべて役七夕をベースにしております。 役七夕をベースにしながら、苦しい状況のなか七夕行事を意地だけで支えて来 た五町組の人たちを、ともすれば等閑に附するが如き大型七夕側の、よりはっ きり言えば行政側の姿勢が、そっぽを向いている人々をして、愈々以てそっぽ を向かしめているのだと私は考えます。 ひと頃「おもてなし」という言葉が持て囃されましたが、七夕行事に最も深 い愛情を抱き、その伝統を守って来た当の担い手たちの、少なくない一部分が、 完全にそっぽを向いていて、どうして「おもてなし」が成り立つか、と私は憂 慮するのであります。と申しますのも、秋田の竿灯でも、青森のねぶたでも、 それから例えば東京の三社祭や神田祭でも、一番楽しんでいるのは地元の人た ちであります。その楽しんでいる地元の人たちを見て見物人の心も楽しむとい う順序になっていると、これはあくまで私の観察に過ぎませんが、あながち見 当外れではあるまいと考えられるのです。 現在の状況を変えていくため、役七夕との不公平感を少しでも解消しようと する努力を当局に求めたいところですが、ご所見をお伺い致します。 次に、赤沼公園のトイレ老朽化による夏場の使用難についてお伺い致します。 赤沼公園は、スポーツにいそしむ学童生徒が多く利用する公園でありますが、 夏場になると、その汲み取り式のトイレは、衛生上の理由から、特に女性の親 御さんや女子生徒にとって、非常に使いづらいものとなっております。この為 に、赤沼公園の利用が、夏場に忌避される傾向さえあると聞きます。スポーツ 5 振興の観点から、早急な改善が求められますが、いかがでございましょうか。 最後に、能代市史編纂事業の今後についてであります。二点お尋ねいたしま す。 一点目でありますが、能代市史編纂事業は、『通史編 近世』の刊行を以て、 中断されることが決まりました。江戸時代までを叙述して終了というわけであ ります。 しかし、これでは能代の歴史に、井坂直幹も嶋田五空も、また先般、本因坊 戦の会場となりました金勇の初代金谷勇助も登場しないことになってしまいま す。現在の能代の祖型は、明らかに近代以降の所産によって成ったところが大 きく、近代を抜きにして能代の歴史が語れないことは、論を待ちません。市史 編纂事業は、今後とも継続されて行く必要があると強く感じておりますが、ご 所見を伺います。 これに関連して、2000年代以降、全国各地に、文書館というものが設置 されるようになってきました。簡単に申せば、古文書、公文書を収蔵し、整理 して住民による歴史その他の二次的研究に利用可能な状態を作り出すための機 関であります。 全国的には都道府県立の施設が、やはり数からいえば多いのでありますが、 市が文書館を持つ例もまた、珍しくはなくなって参りました。そして、これら 文書館は、その大多数が、市史編纂事業の後継事業として計画されたものなの であります。 我が能代市に於きましても、市史編纂で収集された資料を、市民の閲覧に供 する施設が将来的に望まれるところですが、市長のご所見をお伺い致します。 通告した質問は以上であります。ご答弁、よろしくお願い致します。 6
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