有機薄膜太陽電池の動作機構の研究 (英訳)Working

島根大学研究見本市
研究テーマ名:有機薄膜太陽電池の動作機構の研究
(英訳)Working Mechanism of Organic Thin-Film Solar Cells
研究者紹介
概
特
要
色
研究成果
今後の展望
廣光 一郎(総合理工学研究科・教授)
Ichiro Hiromitsu (Professor, Interdisciplinary Graduate School of
Science and Engineering)
有機薄膜太陽電池の動作機構を内部電界の役割という観点から調べて
います。太陽電池では内部電界が電荷の移動を司ることはよく知られてい
ますが,有機薄膜太陽電池の場合,光による電荷の生成にも内部電界が必
要であるということを明らかにしました。現在は内部電界分布の最適化の
方法を探索しています。
My research group is studying the working mechanism of organic
thin-film solar cells by observing the role of the internal electric field. It
is well known that the internal field causes the drift motion of carriers
in solar cells. We have demonstrated that the field is also important
role in the carrier generation. We are now searching a method to
optimize the internal-field distribution.
有機薄膜太陽電池は有機物の薄膜を用いて作られた太陽電池のことで,
次世代太陽電池の有力候補として,最近 10 年くらいの間に世界中で活発
な開発競争が繰り広げられるようになってきました。私も 1996 年頃から
有機薄膜太陽電池の研究を行っています。私の研究の特色は,太陽電池の
内部電界の役割を重点的に調べている点です。
太陽電池は図のように光エネルギーを吸収して負電荷を持つ電子と正
電荷を持つホールを作り出し,それらをお互いに逆方向に移動させること
で電力を生み出します。この電子とホールの移動は電池内に存在する電界
によって引き起こされることはよく知られています。私はこの内部電界の
役割を詳しく調べるために,電場変調分光法という実験手法を用いて太陽
電池の内部電界分布を測定し,内部電界と起電力との間の相関を見てきま
した。その結果,内部電界は電子とホールの電池内での移動を司っている
だけでなく,電子とホールの生成にも寄与していることを明らかにしまし
た。今後は内部電界の働きをさらに詳しく調べると共に,そうして得られ
た知見を太陽電池の特性向上に役立てることを目指して研究を続けてい
ます。
図 1.島根大学の学生さんが
作製した有機薄膜太陽電池。
紫色の部分が有機物の薄膜
で,金色に見える部分は金電
極です。
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図 2.左図の太陽電池の構造。薄膜内部
に電界が存在し,ホールは電界の向き
に,電子は電界とは逆向きに力を受けて
移動します。
有機半導体デバイス,太陽電池,動作機構,電場変調分光法
http://www.phys.shimane-u.ac.jp/hiromitsu_lab/