Bodega Marañones ボデガ・マラニョネス

Bodegas Maranones
(Fernande Garcia)
弊社が自信を持ってご紹介させて頂く、スペインのニューフェイス。
Vini Japon 2008 年に来日したオリヴィエ・リヴィエールに続く第二段です。
彼がリオハのパイオニアなら、フェルマンドは 1990 年に認定された DO の Vinos de
Madrid(ビノス・デ・マドリッド)のナチュラルワインのパイオニアと言っても過言
ではありません。マドリッドはご存知ヨーロッパで一番の高地にある首都。そのマドリ
ッドから 70 ㎞の所で高度は 600~800m におよび、凍りつくような冬と焼けつくよう
な夏を兼ね備えております。そういう厳しい地に、こういう若い情熱ある醸造家が、今、
スペインではどんどん生まれております。
1978 年マドリッド、生まれ 32 歳。お父様は図書士と全くワイン作りとは無縁の仕事を
しております。しかし毎週家族でマドリッド周辺の田舎にピクニックに出かけるのが、
ガルチア家の週間で、フェルナンドは小さい頃から自然の中で遊ぶのが大好きで、田舎
にいる方が大都会マドリッドよりも落ち着くようになったのです。
それが影響してか、大学は農学部を選び、農業全般を研究しました。
そして最終的に興味を持ったのがワイン。それもごく自然に足をふみ入れていったので
す。マドリッドにラ・ビーニャというパリにもお店がある、有名な酒屋さんで勤め、ス
ペインの色んな生産者の所で働き、その間色んな生産者を訪問しました。
彼が個人的に好きなワインはスペインのワインより、フランスワイン。ロワールやブル
ゴーニュが大好きで、ワインに一番重要なのは酸味とミネラル、これをどうやってスペ
インワインに取り入れるのか???
いつもそればかり考えておりました。
結果彼が興味を覚えたのがバイオダイナミックです。スペインにはあまり情報がありま
せん。ですからフランスのサロンに出かけては自ら情報を探すのでした。
そんな中、先述のオリヴィエ・リヴィエール氏と出会います。二人でいつも美味しいワ
イン作りについて討論し合う内に、一歩出遅れているスペインにも新風を、と自らワイ
ンを作る事を決意したフェルナンド。そんな彼に1つのチャンスが訪れました。弁護士
の Fernand
CORNEJO 氏との出会いです。彼は 15ha の畑を持っておりますが、そ
れは自然が好きで、あまりワイン作りに興味があった訳ではありませんでした。彼は貴
族の出身で沢山の資産を持っているのです。そんなコルネホ氏と同じ名前をもつフェル
ナンドは意気投合。もともとフェルナンドは農業学者というタイプでとてもインテリな
理論もしっかりしている常識派。生産者と紹介されなければワイン作りをしている感じ
には見えません。
そういうフェルナンド・ガルチアを信用して、今まで葡萄を農協に販売していたのを辞
めて 2008 年から新しく投資をして、飛びっきり美味しいワイン作りを始めたのです。
スペインは土着の品種より今流行りのカベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランの
ようなインターナショナルな品種を好まれております。スペインワイン会ではタンニン
の強さが重要みたいな意見がありますが、この2人は土着の品種を尊敬し、その土地の
品種で美味しいワインを作りたい!という意味でも意見があったのです。
Chai を見学して貰ったら全て新しい機械や道具が!!! プレス機・解放桶・ポンプ・樽
等々、近代設備を備えた理想的な醸造所です。こんな所でワイン作りが出来るなんて、
かなり羨ましいですが、これは彼がつかんだチャンスです。
15ha ある畑は全てが古い樹齢で平均 60 年位です。どれも素晴らしい畑です。
何故かというとこの地も例外なくフィロキセラに悩まされ、その後葡萄を植えかえた世
代の畑なので全てが 60~80 年という古い畑が今も財産のように存在しているのです。
白はアルビーニョ(ARBILLO)という土着の品種のみ。赤はグルナッシュが一番多く、
カリニャン・テンプラ二―ニョ・シラーと植わっております。15ha 畑があっても1ha
あたり 1000~1500 本しか葡萄が植わっていないので、生産量はとても少ないです。
何故なら畑の周りはオリーブやブラックベリー・プラム等々色んな植物が植わっており
ます。特に珍しいのが栗の木です。普通北スペインにしか生息しないのですが、ここは
標高 800m と高くその為栗が育つのです。年間雨量も 600~800 ㎜とワインには理想的
です。葡萄畑はいくつかに点在しており、1つ1つが個性的。特にグルナッシュが色ん
な畑があって、砂地にシリカの畑や粘土石灰質等々、畑を見学するだけで 2 時間もかか
りました。6 月のスペインは焼けるような暑さ、35 度の中、帽子もかぶらず全ての畑
を見学するだけでも大変です。でもそんな体力的苦労も感じない程、1つ1つの畑が本
当に個性があるのです。あ~いつか、皆にこの畑を見て貰いたい!素直にそう思える畑
達なのです。特に側の近くのある畑は一番素晴らしい状況で、彼が勝手に名前を付けま
した。Pedro
Rey、ペドロは生産者の名前、Rey はフランス語の Roy、英語の King
ペドロ王様という意味です。
スペインは太陽が豊富で他の産地では太陽をいかに葡萄に取り入れるかが課題ですが、
ここではいかに太陽を当てないようにするかが重要になります。北向きの畑の方が良か
ったり、葡萄の枝を手で包んで太陽を葡萄に当てないような努力がなされます。
この辺の人は畑に手をあまり入れません。スペインは変に恵まれている為に生産者はド
イツやフランスに比べて働きません。ですから畑の違いがはっきり解ります。
そういう悲惨な畑を見ると、フェルマンドは「畑が泣いています」と言いました。
まさにその通りです。とてもロマンチィックな彼にはそういう畑を見ると心が痛むので
しょう。1つの畑はとても面白い所にあって、町で牛や馬を飼っている公園があるので
す。そこを通りぬけていくので、動物達の飲む天然水でヴィオディナミゼを行います。
そこの畑は標高 1000m、大きな岩のような石が沢山合って、そこに葡萄が植わってい
るので自然と根が下に下にと伸び、結果ミネラルが沢山取り入れられるのです。
敷地の中に空き地があって、将来グルナッシュを植樹するそうです。何故この品種か?
との問いに、テンプラニーニョだとここでは渋みが強すぎて固いワインになってしまい、
シラーもフローラルなのが生まれにくい、との事。スペインも広いのです。
我々のイメージはどうしてもテンプラ二―ニョですが、そんなおおざっぱではないので
す。彼のワインを飲んで下さい。全てが主張があり、素晴らしいアロマとミネラルでま
るでフランスワインです。こんなスペインワインも愛情があれば誕生するのです。
これからどんどん素晴らしいワインを作って貰いたい、まさにスペインの将来を背負っ
て立つ超期待の新人です。
(2010.6.6 第2回
訪問)
[Vini japon 延期のお知らせ!]
この度の大震災で第三回目 Vini Japon は残念ながら来年に延期になりました。
本来ならこの Fernande に来日して頂き、素敵な彼のお人柄を皆様にお目にかかって頂
きたかったのですが…。コスモジュンとしては是非共来日を再度お願いしたい醸造家で
あります。
それだけ素敵な醸造家、楽しみは後伸ばしの方が良いのかもしれません。
もう終わった話ですが、Vini Japon 用のワインの入港が 3 月末になるので、試飲の足
りない分のワインを、今年の 2 月 7 日(月)にマドリッド空港までワインをわざわざ運
んでくれました。そこで日本来日の打ち合わせをしたのが懐かしいです。
VINI JAPON は延期になりましたが、ワインは予定通り到着しました。
是非いらっしゃれなかった分、ワインだけでも召し上がって下さいませ。
PICARANA 2009(ピサラナ)
★品種:ALBILLO(アルビーリョ)種 100%
★樹齢:30~70 年
★名前の由来:葡萄畑がある San Martin de Valdeglesias の丘の一番高いところに
生息している鳥の名前が由来。
下記の4つの異なる畑(どの畑も標高 650~850m)から収穫してブレンド。異なった個性
の畑がワインの素敵なハーモニーを生み出します。
1.Pena Cruzada
0.7ha 750m
2.Maranoone Terrace 1.5ha
花崗岩質で石が多い。
810m 石の多い花崗岩質土壌。次第に変化する鉱物
片岩を含む。畑は北向きの丘陵。
3. Maranoone Top
1.0ha
850m
4.Dehesa
2.0ha 650m
花崗岩の土壌。丘の上の畑。
非常に風化した花崗岩土壌。有機質を多量
に含むフレッシュで深い土壌。
★収穫:酸味を保つため 8/20 に収穫。手積み。
★年間生産量: 3526 本(そのうち 502 本を日本へ輸入)
★アルビーニョという品種について:
白ブドウ。この地域では、アルビーリョという
品種は最初に収穫され、最初にワインとして仕上がるので『early(早い)』と呼ばれる。
グルナッシュよりも 1 カ月も早くに芽をだす。開花も早く、寒さに敏感です。生産性が
低く、房も小さい。
12~20 時間、冷蔵庫で葡萄を冷やした後、プレスします。同じ
低い温度で Cuvee に戻し落ち着かせ、500L、600L、700L のフ
レンチオーク、新樽率はどちらも半分、焼きは中程度で、10 ヶ
月熟成、その間バドナージュを行います。
オレンジの香りがトップにでる非常に華やかなワイン。ネットリ
感とミネラル感が豊富で上品な生まれの良さを感じます。酸は目
立たないのですが、しっかりと構成され、スペインの白ワインと
は思えません。抜栓後 30 分もしないで華やかな香りはミルキーな柔らかさへと変わり、
温度が戻る分、厚みやボリュームを認識できます。
年間生産量 3526 本のうち 502 本日本向けに頂きました。天然アルコール度数 14.56 度。
PIESDESCALZOS 2009(ピエスデスカルソス)
★品種:アルビーリョ 100%
★樹齢:50 年
★収穫:2009 年 8 月 21 日。手積み
★土壌: Pena Cruzada の畑の中で一番上部に位置する区画。花崗岩質で岩が多く、
一部ピンク花崗岩も含まれる。
★名前の由来:『裸足』の意。以前の畑の所有者がいつも裸足で働いていた事に由来。
スペインではあまり醸造されないスタイル、100%新樽の白ワイ
ン。岩場のような所に位置している為、非常にパワーのある葡萄が
出来ます。収穫後、丸丸1日冷蔵庫で冷やし、プレスして 22 ヘク
トリットルを抽出。其の後1日置いといてゆっくり落ち着かせ、薄
い澱と共に直に大きな 700L の新樽に入れ発酵、その後 10 カ月フ
ランス産の新樽で熟成。
フィルター処理等、一切手を加えず、重力のみでボトル詰め。非常にミネラル的な味わ
いを秘めたスーパー白ワイン。このアルコール度数には感じられないのは、見え隠れし
た理想的な酸の影響でしょうか? 去年は PICARANA に混ぜておりましたが、今年初
めてこの畑だけでボトリングをしてみました。
たった1樽(676 本)のうち 192 本だけ日本向けに頂きました。まるでブルゴーニュ・
ブランだと思うのは私だけでしょうか? かなりレベルの高い白ワインです
TREINTAMIL MARAVEDIES 2009(トレンタミル・マラべディエス)
★名前の由来:Maravedies は昔の通貨単位。Treintamil Marevedies は、3 万マラヴェ
ディエスという意。これは遠い昔、生産者が San Martin de
Valdeglesias の畑の使用権を得るため修道院に支払ってた額。
★品種:グルナッシュ 50%,シラー50% (実はほんの若干だけカリニャンが入ってます。)
★樹齢: 30~70 歳(房は小さい)
★収穫: 9/6~9/22 に何回かに分けて行いました。手積み。
★土壌:エコロジカルな畑。非常に風化した花崗岩土壌。有機物を豊富に含み非常に深
みがある。標高 650m。
★収量:35~40hl/ha
★年間生産量:7500 本
3000 リットルのフランスの開放桶で 8 日間温度コントロールしな
がら漬込み、その後自然酵母のみで発酵。その間1日に1回足踏み
を行いました。20 日後にプレス。新樽と古樽をまぜた 300L と 500L
のフランス樽で 10 カ月熟成。その後 45hl の樽でアッサンブラージ
ュして 2 カ月、澱の上で熟成させる。この時、樽の中で自然にマロ
ラクティック発酵が行われる。天然アルコール度数 14.32 度。
今迄のスペインワインとは思えない酸は標高の高さの表れか、土から来るミネラルさか
…。スペインらしくない酸味が最後 Finish として切れるが、アフターが長いという矛
盾を生じる不思議なワイン。スペインのカジュアルワイン路線なのに何故かブルゴーニ
ュ的味わいが見え隠れします。
LABROS 2009(ラブロス)
★品種:グルナッシュ 100%
★樹齢:70 年
★名前の由来: 畑を流れる小川の名前。Alberche river の支流。
★収穫:9 月 6 日。手積み。
★土壌: エコロジカルな 0.7ha の単一畑。西向きの小さい丘にある畑で、非常に風化し
た石の多い。
花崗岩土壌。標高 650m。
★年間生産量: 2028 本のうち日本向けは 480 本です。
100%茎やへたのついた状態の葡萄を低い温度で漬け込んでか
ら、500L の開放桶で自然酵母で発酵。足踏みも後半になって若
干行いました。500L のフランス樽(新樽・古樽まぜた)で 14 ヶ月
熟成(澱に接触させた状態)。樽内で自然にマロラクティック発酵
される。フィルターなし。天然アルコール度数 15.01 度。 こん
なにアルコール度数が高いのに重たさを感じません。
華やかな香りと奥行きの長いコク、風格、文句ないバランス感。これは今までのスペイ
ン赤ワインは全くなかったスタイルです。
南仏のグルナッシュも Pinot
BEAUNE ではなく Cotes
Noir を感じるが、フェルナルドのピノは Cotes de
de Nuits のようなエレガントなエレガントなワインです。
マドリッドの人が飲んでも近所で作られているとは気がつかないでしょう。
PENA CABALLERA 2009(ペーニャ・カバジェラ)
★品種:グルナッシュ 100%
★樹齢:50~70 年
★名前の由来: 畑のある場所の名前です。 ★収穫: 手積み
★土壌: 北向きで、持ち畑で一番高い標高 850m に位置する。鉱物片岩の混ざる花崗岩
質土壌。
★生産本数: 1211 本
これも低い温度で付け込み、500L の発酵桶で自然酵母にて発酵。500
リットルのフランス産樽で 14 ヶ月熟成。樽内で自然にマロラクティッ
ク発酵。澱に接触させたまま熟成。フィルター処理等一切しておりませ
ん。天然アルコール度数 14.71 度。鹿が沢山生息している畑です。
たった 180 本しか入荷しません。何故なら2樽しかないワインなのです
から…。ボトルをあけた瞬間カンゾウの香り、甘~い甘~い何とも言え
ない、
新しいワインなのにエキス分が十分に熟成した香りが飛
び込んできます。喉腰はまるで絹のよう。ロマネ・コン
ティがビロードのような喉腰と言われますが、そこまで
はオーバーでもかなり近い味わいといっても過言ではあ
りません。
これで 15 度近いなんて??? ワインがます
ます解らなくなる1本です。
↑フェルナンド・ガルシア(2 月/マドリッド空港にて)