道徳学習指導案(2年) 授業の仮説 「考える」過程において、新聞記事や写真をもとに、被災地の中学生や6年生がどんな気持ちでトイレ 掃除行っているのかを考えることができれば、自分にできることは何かを考え、みんなのために働こうと する心情を育てることができるであろう。 1 主題名 「みんなのために」内容項目 2 資料名 夕刊読売新聞 3 4-(2)勤労 4月 1日(金)「職人技 避難所に笑顔」写真 3月30日(水)「中1避難所でトイレ掃除」写真 主題設定の理由 本学級の児童は明るく活発である。進んで挙手したりや発言したりできる児童が多い。自分の主張をま げないために、些細なことでいさかいが起きることもある。自分のことが手一杯で、相手のことを思いや った行動までには至っていない。係や当番活動など、自分のやるべきことを最後までやらなければならな いことを理解しているものの、実際の活動では、いい加減になってしまったり、ふざけて最後まで取り組 めなかったりすることもある。 自分の取っている行動が、周りの迷惑になっていることに気付けない児童 もいる。自分が責任を持って働くことで、自分自身もよい気持ちになり、他の人の役に立つということを 気付かせることは大切なことであると考える。 そこで、東日本大震災で被災された方のために働く人々を取り上げ、働く人々やそれを受ける方々双方 の気持ちを考えることで、自分にできることは何かを考え、みんなのために働こうとする心情を育てたい と考え、本時を設定した。 4 指導上の留意点 ○新聞記事の中の写真を用いることで、写真に写っているそれぞれの人物の表情に着目させ、働いている 方の気持ちを考えさせたい。 ○見出しや記事の内容は、補足説明として用いたい。 ○自分が働くことで、まわりに感謝され、自分自身もよい気持ちになるということを新聞記事や写真をも とに理解させたい。 ○発問が一問一答とならぬよう、応答の仕方を工夫する。 5 本時の学習 (1)本時のねらい 自分にできることは何かを考え、みんなのために働こうという心情を育てる。 (2)準備 写真1「みそ汁を作っている写真」、写真2「ラーメンを作っている写真」 写真3「髪を切っている写真」、写真4「マッサージしている写真」 写真5「中学生がトイレ掃除をしている写真」 写真6「6年生がトイレ掃除をしている写真」 ポイントカード (3)展開 過程 学習活動と主な発問 つ か む 《学習への方向付け》 1 東日本大震災から 3ヶ月たった今、自 分や家族が被災地の 方のために実行して いることは何か振り 返る。 予想される児童の反応 ・節電。 ・福島県産の野菜を買う。 ・募金をする。 ・震災のニュースや新聞記事を気にし て見ている。 ・震災直後はいろいろ意識してやって いたけど、今は何もしていない。 時 5 分 指導上の留意点および支援 ・自分や家族の取り組みを想 起させる。 ・震災直後と現在では、意識 や取り組みに差があること に気付かせる。 〈発問〉被災地の方のために、みなさんやおうちの方はどんなことを行っていますか。行って いましたか。 《資料の提示》 2 働いている方の気 持ちと、その行為を 避難所の方は、どの ように思っているの かを考える。 〈写真1〉 ・男の人が二人、大きな鍋で何か作っ ているよ。 ・すごい量だね。 ・二人とも笑顔だ。 〈写真2〉 ・男の人が麺をほぐしているよ。 ・4枚の写真(写真1 ・うどんかな、ラーメンかな。 ~4)を提示し、何 ・テントの下だから、外かな。 をしている写真なの 〈写真3〉 ・ボランティアの方ではなく、 被災者の方が働いている写 真であることを知らせる。 ・みんなその道のプロである ことも知らせる。 ・作っている人の笑顔や、切 ってもらっている人の気持 ちよさそうな顔、手を合わ せている女の人の姿に気付 考 え か、写真から見えて ・女の人が、男の人の髪を切っている 15 かせる。 くることを考える。 写真かな。 分 ・どんな思いでやっているの ・切られている人が気持ちよさそう。 か、働いている方の気持ち ・この写真も、テントの下だね。 を考えさせる。 〈写真4〉 ・男の人が男の人の肩に手を置いてい る。 ・手前の女の人が、手を合わせている ね。 〈写真5〉 ・子どもたちの働いて ・掃除をしている写真だ。 ・被災した中学生がトイレ掃 いる写真(写真5) ・大人じゃなくて、子どもたちだね。 除をしている写真であるこ を提示し、何をして ・タイルの壁だから、トイレかな? とを知らせる。 いる写真なのか、写 ・みんな笑顔だね。 ・掃除をしている中学生がみ 真から見えてくるこ ・楽しそう。 んな笑顔であることに気付 とを考える。 かせる。 る 〈発問〉避難所の方は、写真のみなさんの行いをどう思っているのかな。 ・ありがとうって、思っている。 ・ごくろうさまって、感謝している。 3 中学生がトイレ掃 ・みんなが使うトイレだから、すぐ汚 除をし続けている理 れてしまう。 由を考える。 ・他にだれも掃除をしていないから。 ・自分たちにできることだから。 ・避難所の方に感謝されてうれしいか ら。 4 全校のトイレ掃除 をしている6年生の 気持ちを考える。 (写真6の提示) ・相互の思いを写真からつか ませる。 ・大勢の方が暮らす避難所に とって、トイレがいかに大 切なところかを考えさせる。 ・消防団の仕事中に犠牲にな った父を尊敬し、人の役に 立ちたいと頑張っている子 がいることを知らせる。 ・ 「ありがとう」の言葉が励み になっていることを、新聞 記事から知らせる。 15 ・自分たちが使用しているト 分 イレを掃除している6年生 の写真を掲示することで、 6年生の思いを想起しやす くする。 〈発問〉6年生は、どんなことを思ってトイレ掃除をしているのかな。 ・みんなのために、ピカピカにしよう。 ・きれいにして、よろこんで使っても らおう。 ・きれいにするって、気持ちがいい。 ・なんで自分たちが使っていないトイ レの掃除をしなくちゃいけないのだ ろう。 見 つ め る ・ 高 め る ・被災地の中学生と同じよう に、トイレ掃除をしている 6年生の思いを考えること で、みんなのために働くこ との大切さを考えさせる。 ・トイレ掃除をしてもらって いることに対して、みんな はどのように思っているの かを押さえる。 《価値の内面化》 5 毎日の生活の中で、〈被災した方々のため〉 ・相手意識を持たせることで、 自分ならみんなのた ・節電をこころがける。 誰に対して何ができるか考 め(被災した方々の ・給食を残さない。 えやすくさせる。 ため、家族のため、 ・勉強をがんばる。 ・小さなことでも続けていこ 友だちのため)に何 ・笑顔でいる。 10 うという心情を高める。 ができるか考えよう。〈家族のため〉 分 ・お手伝いを毎日続ける。 ・自分ができることは、自分でやる。 〈友だちのため〉 ・みんなとなかよくする。 ・トイレをきれいに使う。 ○評価 今までの自分を振り返り、自分にできることは何かを考え、みんなのために働こうとする心情を深める ことができたか。 (評価方法:発表・表情)
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