特殊報第1号 メロンCMVlag

平成24年度病害虫発生予察情報
特 殊 報 第 1 号
平成24年4月13日
青森県病害虫防除所
キュウリモザイクウイルス-ラゲナリア系(CMV-Lag)
によるメロンモザイク病の発生について
1
作
物
名:メロン
2
病 害 虫 名:キュウリモザイクウイルス-ラゲナリア系によるメロンモザイク病
(Cucumber Mosaic Virus-Lagenaria Strain:CMV-Lag)
3
発 生 地 域:青森県津軽地域
4
発生確認の経過
(1)平成23年7月、露地栽培のメロン品種「タカミ」「レノン」において、上位葉に退緑、萎縮、
モザイク症状を呈し、中~下位葉に黄化、葉脈間のえそ、葉枯れ症状を呈するウイルス症状が認
められた。既発生のキュウリモザイクウイルス(以下「CMV」という)によるメロンモザイク病
の病徴と異なるため、(地独)青森県産業技術センター農林総合研究所において、生物検定及びRT
-PCR法などによる遺伝子診断を実施した。
(2)診断の結果、メロンから分離されたウイルスは、本県では未確認のキュウリモザイクウイル
ス-ラゲナリア系(以下「CMV-Lag」という)であることが確認された。CMVは、植物に対する
寄生性の相違から6系統群に分類されており、CMV-Lagはその系統群の一つで、メロンに対し
接触伝染性が強い特徴がある。
5
CMV-Lagによるメロンモザイク病の被害特徴について
(1)メロンの病徴
葉に退緑、萎縮を伴うモザイク症状(写真1)、葉脈間のえそ(写真2)及び葉枯れ症状(写真3)
が、茎及び葉柄にえそ症状(写真4)が表れる。果実ではネット不良(写真5)及び果肉の褐色えそ
が認められる場合もあるほか、果実の糖度が低下し商品価値がなくなる。
(2)伝染経路
ワタアブラムシ等のアブラムシ類による虫媒伝染により感染が広がる。管理作業等でも容易に
汁液伝染する。土壌伝染、種子伝染はしない。
(3)感染植物
CMVは多数の作物や雑草に感染することから、CMV-Lagについてもこれらに感染する可能
性がある。
(4)診断方法
葉に特徴的なえそ症状を示した株で簡易診断キットによりCMV陽性と判断された場合には、
CMV-Lagである可能性が高い。
なお、既発生のメロンえそ斑点ウイルス(MNSV)による"えそ斑点病"に酷似するが、CMV
-Lagの感染株は「①若い葉にモザイク症状が現れる(写真1)、②中~下位葉に白~褐色のえそが
葉脈を縁取るように生じる(写真2)」点で、えそ斑点病と区別される。
6
防除対策
(1)媒介虫であるアブラムシ類の防除を徹底する。
(2)雑草は本ウイルスの重要な伝染源となるため、ほ場及びその周辺部の除草を徹底する。
(3)罹病株は早急に抜き取り、適正に処分する。
(4)管理作業等による接触伝染に注意し、罹病株に触れた手指や器具は充分洗浄する。
《キュウリモザイクウイルス-ラゲナリア系感染株の被害症状:平成23年7月29日撮影》
写真1:若い葉のモザイク症状
写真3:葉枯れ症状
写真2:葉脈間のえそ症状
写真4:茎えそ症状
写真5:果実のネット不良
《類似症状:えそ斑点病(MNSV)》
写真6:展開葉のえそ小斑点
写真7:大型のえそ斑点症状
写真8:樹枝状の葉脈えそ症状*
(*:茨城県平成20年度特殊報第1号より引用)
表1 分離ウイルスの生物検定結果
接 種 植 物(品種)
病 徴(接種葉/上葉)
Chenopodium quinoa
CS,NS/ -
Nicotiana glutinosa
- / M
N.
occidentalis
- / M
ソラマメ(打越一寸)
NS / -
(青森産技セ 農林総研 平成23年度試験成績)
接 種 植 物(品種)
病 徴(接種葉/上葉)
メ ロ ン(アムス)
- / M
キュウリ(夏のめぐみ)
(CS) / M
ス イ カ(縞王)
CS / -
ヒョウタン(大ひょうたん)
CS / M
注)CS:退緑斑、NS:えそ斑、M:モザイク、( ):ときに現れる、-:無病徴
CMV-Lagは、ヒョウタンに全身感染する特徴がある。
<問い合わせ先>
青森県病害虫防除所
〒030-0113 青森県青森市第二問屋町4-11-6
Fax:017-729-1900
電話:017-729-1717