テクニカル分析徹底マスター講座(第7回)

テクニカル分析徹底マスター講座(第7回)
∼ ボラティリティを理解する ∼
インベストメントテクノロジーズ(株)
代表取締役 野川 徹
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トレードウィザード FOR フューチャーズ & フォレックス
運営会社:インベストメントテクノロジーズ 株式会社
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<テクニカル分析入門>
1.テクニカル分析とは何か
必ず全体像を理解してから細部を理解する(逆は全く駄目)
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ファンダメンタル(需給、業績)分析との違い
テクニカル分析とは計器飛行
見えない相場が見えてくる
テクニカル分析以前(かつて情報は全てだった)
開発者の考え方を理解する
2.テクニカル分析で使用する要素
①価格
9割以上がこれになる=損益は値動きで発生するから
OHLCを加工したもの
②出来高
③時間・日柄
④取組高
先物市場のみ
⑤信用残高
株式のみ
⑥手口情報
外人買い、カテゴリー別取組高、COT
⑦売買内訳
新規売、新規買、転売、買戻=国内商品先物のみ
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3.テクニカル分析の目的別・種類別分類
<トレンドフォロー系> トレンドを定義するための指標
移動平均
ボリンジャーバンド
エンベロープ
MACD(Moving Average Convergence Divergence)
HLバンド
スイングHL
カギ足
モメンタム
ORB(Opening Range Breakout)
*短期ブレイクアウト認識指標
<オシレータ系> 転換点を見出すための指標
乖離率
ROC(Rate of Change=変化率)
ストキャスティックス
RSI(Relative Strength Index=相対力指数)
<ボラティリティ> 変動幅、過熱状態を見出すための指標
ボラティリティ(標準偏差)
ボラティリティ(HLバンド、ATR、H-L、C-C、O-C、C-O)
VIX
プット/コール レシオ
<内部エネルギー系> 値動き以外を用いた指標(過熱状態を見出すための指標)
出来高移動平均
出来高%
<パターン系、その他> 値動きや指標のパターンにより転換点やブレイクアウトポイントを見出そうとするもの
各種チャートパターン
エリオットウェーブ(フィボナッチ=38.2%、50%、61.8%=5:8)
1、1、2、3、5、8、13、21、34、55、89、144、233
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4.テクニカル分析の歴史
<国産テクニカル分析>
ほとんどがトレンドフォロー系
①とめ足(星足)
②ローソク足
③パターン → 酒田五法(本間宗久=江戸時代後期の米相場で活躍)
④カギ足 → 柴田罫線(カギ足パターンの最適化)
⑤新値足
⑥練行足 → 日本版P&F
⑦コマ足 → 日本版移動平均
⑧一目均衡表
<外国産テクニカル分析>
テクニカル分析の西洋化
第一次 : 移動平均 → グランビルの法則
第二次 : RSI(相対力指数) ワイルダー
第三次 : ボリンジャーバンド
トレンドの概念
オシレータの概念
バンドの概念
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<ボラティリティのマスター>
■ ボラティリティとは何か
ブラウン運動の発見
分布の状態
正規分布(確率密度関数で計算される理論的分布)
確率解析(ロケット工学、金融工学への応用)
→
非正規分布(現実の世界)
■ ボラティリティの種類について
①ヒストリカル・ボラティリティ=HV (過去の分布状況)
標準偏差(次ページ参照)
<変動幅>
HLバンドの幅(期間最高値-期間最安値)
ATR(アベレージ・トゥルーレンジ)
H-Lレンジ(高値-安値)
O-Cレンジ(始値-終値)
C-Oレンジ(前日終値-本日始値)
C-Cレンジ(前日終値-本日終値)
②インプライド・ボラティリティ=IV (予想変動率=未来の分布予想)
オプション価格(プレミアム)から逆算して求めるボラティリティ
*市場参加者が考える将来の期待ボラティリティ
VIX(Volatility Index=インプライド・ボラティリティを指数化)
*CBOEに先物、オプションが上場されている
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標準偏差(正規分布)
分布の広がり幅を見るもの
図1
平均と分散(AもBも平均値は同じ)
<μ(平均値)とσ(シグマ)>
1σ(シグマ)の範囲=68.27%
2σ(シグマ)の範囲=95.45%
3σ(シグマ)の範囲=99.73%
Mean(平均値)、Median(中央値)、Mode(最頻値)
<使用例>
ボリンジャーバンド
ボラティリティ(1標準偏差を平均値で割ったもの)
*EdgeTraderでは1標準偏差を終値で割っている
オプションの理論式に用いられる
*現実には相場は正規分布しない(トレンドのバイアス)
モンテカルロ・シミュレーション(乱数を用いる)
*現実には相場はランダム・ウォークではない
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ボラティリティの使い方
■ 基本的な使い方■
①売買戦略に適した変動幅を測定し、適正枚数を計算する
例:寄り引け戦略では、(始値−終値)の絶対値の平均をボラティリティとして測定し、その変動幅から逆算して
適性枚数を計算する。
②ボラティリティ(LOW)フィルタ = 大きな値幅のブレイクアウト発生の可能性が高い局面を探し出す
例:HL-Volaフィルタ
③ボラティリティ(HIGH)フィルタ = 過熱感が高く危険な場所を探し出す
■ 応用編■
①オプション
オプションの概略を理解する
ある特定の価格で買う権利(コール・オプション)、売る権利(プット・オプション) を売買する
ブラック・ショールズ モデル
先物の売買と何が違うのか
②プット/コール レシオ
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1. ボラティリティ(標準偏差)=ヒストリカル・ボラティリティ
①開発者
不明
②定義
前述の解説参照
③使用目的
ブレイクアウトポイントの認識 : ボリンジャーバンド
変動リスク測定 : 変動幅によって枚数を変更する(タートル方式)
環境認識 : 複数時間枠のボラティリティを測定し、環境認識を行う
④何故機能するか
ボリンジャーバンド : 2標準偏差のバンドの範囲内には約95%の値動きが入っている。
⑤何本が妥当か
目的により異なる
⑥長所
方向性ではなく、変動幅にのみ着目することが可能
⑦短所
タイムラグ
⑧その他
HLバンドの幅とボリンジャーバンド(2σ)は、ほぼ同じになる
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ボリンジャーバンド(20日、2σ) と
HLバンド(20日)の比較
(注)ボリンジャーバンドはHLバンドに合わせて、1日前方にスライドさせてある
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ボラティリティ(標準偏差) と ボラティリティ%(標準偏差)
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2. ATR (アベレージ・トゥルーレンジ)
ヒストリカル・ボラティリティ
*別名:ワイルダーのボラティリティ
①開発者
ワイルダー(RSI等のテクニカル指標の開発者)
②定義(詳細は次ページの解説参照)
TR(トゥルーレンジ)=前日終値からみた、当日の最大変動レンジ
ATR(アベレージ・トゥルーレンジ)=TRの平均値(EMA)
③使用目的
短期ブレイクアウトポイントの認識 : ORB(オープニングレンジブレイクアウト)に使われる
変動リスク測定 : 変動幅によって枚数を変更する(タートルの枚数調整はATRを採用していた)
ATRバンド : 移動平均の上下にATRのn倍のバンドを描く
④何故機能するか
オーバーナイトポジションを持つ人の認識する変動幅だから(ギャップを含んだ変動幅)
⑤何本が妥当か
目的により異なる
⑥長所
方向性ではなく、変動幅にのみ着目することが可能
⑦短所
⑧その他
自分の戦略にマッチしているかどうか、目的をよく考えてから使用すること
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■ ATR(アベレージ・トゥルーレンジ)の計算式
(1)まずTR(トゥルーレンジ)を求める
①当日高値と当日安値の差
②当日高値と前日終値の差
③当日安値と前日終値の差
TR:上記①~③の間で最大幅をTRとする(前日終値からのギャップを考慮したHL値幅)。
(2)ATR(アベレージ・トゥルーレンジ)を求める
ATR=TRのn日平均(EMA=指数平滑平均)
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ATRの例
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3. その他のボラティリティ
ヒストリカル・ボラティリティ
H-Lレンジ(当日高値-当日安値)
O-Cレンジ(当日始値-当日終値)
C-Oレンジ(前日終値-当日始値)
C-C レンジ(前日終値-当日終値)
*これらの平均値を使うことが多い
①開発者
なし
②使用例
適正枚数測定 : 変動幅によって枚数を変更する
フィルタ : H-Lの変動幅が小さすぎる場合は売買を見送る(デイトレード)
環境認識 : 長大線=H-L(10日平均)の2倍以上のO-Cを長大線として定義
③何故機能するか
戦略にあった変動レンジだから
④何本が妥当か
目的により異なる
⑤その他
自分の戦略にマッチしているかどうか、目的をよく考えてから使用すること
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4. HLボラフィルタ
ヒストリカル・ボラティリティ
①開発者
野川
②定義
HLボラ=n日間の最高値と最安値の幅(nは短期が望ましい。デフォルトは10日)
HLボラフィルタ=HLボラが、ある一定水準(価格に対する%)以下に下落し、その状態がX日(1∼3日程度)以上経過するとフラグを立てる
③使用目的
ブレイクアウト発生の可能性が高い状態を認識する
④何故機能するか
ブレイクアウトが発生する前に、短期ボラティリティの低下が見られることが多い
ボラティリティの低下はエネルギーが狭いレンジに集中していることを示しているから
⑤何本が妥当か
短期でないと有効ではない(デフォルトは10日)
⑥長所
パラメータがマッチしている環境では、非常に的確にブレイクアウトのタイミングを認識する
⑦短所
ボラティリティのフィルタ水準を、そのときの環境に合わせて微調整してやる必要がある(過剰最適化のリスク)
⑧その他
オプション買い戦略を仕掛けるタイミング測定に有効
オプション売り戦略では、ボラフィルタがブレイクアウトの可能性を示しているときには、新規ポジションの仕掛けを見送る
保合いを認識する別の指標(HLトレンドIndex等)との併用で価値のあるブレイクアウトの発生をより把握しやすくなる
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HLボラフィルタの例(HLトレンドIndex併用)
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5. VIX(Volatility Index)
インプライド・ボラティリティ
CBOEでVIXの先物とオプションが取引されている
①開発者
Duke UniversityのRobert E. Whaley 教授
②定義
S&P500のオプションのIV(インプライド・ボラティリティ)を指数化
IV(インプライド・ボラティリティ)=オプションの価格から逆算で求められる期待変動率
③使用目的
株価指数オプションの売り戦略を仕掛ける環境認識に有効
売られ過ぎ局面の判定
株の下落に対するヘッジ
④何故機能するか
オプション価格から逆算したインプライド・ボラティリティだから
⑤長所
実際に売買されてついたオプション価格からの逆算なので、推測ではなく、恐怖水準の実数である
⑥短所
どこまで水準が高くなるか判断がつけ辛い
IVが低下している期間が長く続くことが多い
⑦その他
別名「恐怖指数」と呼ばれるように、市場の下落に対する恐怖レベルを見る
通常は値動きと逆の動きとなる
VIXチャートが見られるサイト
http://chartpark.com/vix.html
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VIX(Volatility Index)
月足
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VIX(Volatility Index)
週足
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VIX(Volatility Index)
日足
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VIX(Volatility Index) と S&P500 日足比較
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6. プット/コール レシオ
インプライド・ボラティリティ
①開発者
不明
②定義(ゴールドマン・サックス証券のWEBサイトより)
プット/コール・レシオ=(プットの売買金額÷コールの売買金額)の5日平均
*ゴールドマン・サックス証券のサイト
http://www.gs.com/japan/ewarrant/info/pcratio.html
③使用目的(ゴールドマン・サックス証券のWEBサイトより)
売られ過ぎ、買われ過ぎ局面の判定
④何故機能するか
実際に売買された金額から求めているので、市場エネルギーの偏りを捉えている
⑤長所
値動き以外のデータなので、他の指標を補完する
⑥短所
水準がはっきりしない
⑦その他
通常は値動きと逆の動きとなる
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出典: ゴールドマン・サックス証券 WEBサイト
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■その他(ボラティリティやオプションにまつわる話)
・先物とオプションの違い(なぜ先物ではなくオプションを売買するのか)
・コールとプットの違い(オプションを売買するなら知っておく必要がある)
・スマイル(スキュー)・カーブ
・リーマンショックの時の225オプション
オプションの基本を学びたい人は、増田 丞美さんの本を読むことを薦める。
WEBサイトでも勉強できる(検索を掛ければ沢山出てくる)。
http://www.traders-sns.com/
http://blog.goo.ne.jp/stock-master_1981
応用は実戦を通じて自分で勉強するしかない。
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7. 条件定義の仕方
□ が □ に対し(どのように)
(%、円)
上抜く
より上
以上
同じ
以下
より下
下抜く
<例>
■ 本日終値が移動平均に対し3%以上
■ 本日始値が本日終値より上
■ 終値が20日Hバンドを上抜く
上記のように複数の条件定義をANDとORで組み合わせていくことで、売買システムが完成する
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『先物市場のテクニカル分析』 ジョン J.マーフィー 著 (きんざい)
*テクニカル分析を理解するためのバイブルですので、購入して何度も熟読することを勧めます。
当セミナーは、基本的にこの書籍の内容に沿って進みます。
『マーケットの魔術師』 『新マーケットの魔術師』 ジャック・シュワッガー(パンローリング)
*相場の本質を理解するためのバイブルです。偉大なトレーダー達の思考が理解できます。必読!
『伝説のトレーダー集団 タートル流投資の魔術』 カーティス・フェイス(徳間書店)
*トレンドフォローを理解するには最適の書籍。
マネーマネジメント、ポートフォリオ管理は非常に参考になる。
『システムデイトレード』 マレー・ルジェーロ(パンローリング)
*ORB(Opening Range Breakout)を理解するには最適の書籍。
『ロジカルトレーダー』 マーク・B・フィッシャー(パンローリング)
*ORB (Opening Range Breakout)を理解するには最適の書籍。
その他お勧めの書籍は下記を参照下さい。
http://www.investechno.com/html/sp_c/menu_book.htm
*当セミナーで使用したチャートソフト(EdgeTrader)は、1ヶ月間無料で試用できます。
(月額利用料=2800円+消費税、 下記HPからダウンロードして下さい)。
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