テキスト

第 4 章
債権・債務
I
売掛金・買掛金
1.意義
売掛金(資産)
商品を掛けで売り渡した時に発生する債権
意義
II
買掛金(負債)
商品を掛けで仕入れた時に発生する債務
前払金・前受金
1.意義・処理
前払金(資産)
意義
前受金(負債)
商品の仕入契約時に、その代金の一部を手
商品の販売契約時に、その代金の一部を手
付金として支払った場合に生ずる科目
付金として受取った場合に生ずる科目
前
前
処理
払
金
受
金
手付金を支払っ
商品を仕入れた
商品を売り上げ
手付金を受取っ
たとき
とき
たとき
たとき
2.仕訳
契約時
… A商店は商品 500 円をB商店から仕入れる契約に際して、手付金として現金 100
円を支払った。
受渡時
… A商店は上記商品を掛けにて仕入れた。
A 商
契約時
受渡時
前
仕
払
店
金
100 / 現
入
500
/
B
金
100
現
商
店
金
100 / 前
前
払
金
100
前
受
金
100
買
掛
金
400
売
掛
金
400
/
売
受
金
100
上
500
25
III
未収金・未払金
1.意義・処理
未収金(資産)
意義
未払金(負債)
主たる営業活動以外の取引によって生じる
主たる営業活動以外の取引によって生じる
債権(例えば土地や備品等を売却した場合の
債務(例えば土地や備品等を購入した場合の
代金未回収分)
代金未払分)
なお、主たる営業活動の取引によって生ず
る債権は売掛金である。
未
収
なお、主たる営業活動の取引によって生ず
る債務は買掛金である。
金
未
払
金
処理
未
回
収
額
回
収
額
支
払
額
未
支
払
額
2.仕訳
(1) ケース1
売買時
…
不用になった備品(帳簿価額 500 円)を 500 円で中古品取扱業者へ売却し、300
円は小切手で受け取り、残額は月末に受け取ることにした。
受取時
売買時
受取時
…
現
未
収
現
月末になって上記残額 200 円を現金で受取った。
売
り
手
金
300
金
200
/
金
200 / 未
備
品
収
金
500
200
仕
買
入
掛
金
買
い
500
/
手
当 座 預 金
300
買
金
200
金
200
掛
200 / 現
(2) ケース2
売買時
…
営業用自動車を 800 円で自動車販売会社から購入し、代金は全額月末支払とし
た。
支払時
…
月末になって上記代金を小切手を振り出して支払った。
売
売買時
売
支払時
現
26
掛
り
手
金
800 / 売
金
800 / 売
買
掛
い
手
上
800
車両運搬具
800 / 未
金
800
金
800
未
800 / 当 座 預 金
800
払
金
払
IV
貸付金・借入金
1.貸付金と借入金
(1) 意義
貸付金(資産)
意義
借入金(負債)
他人に金銭を貸し付けたときに発生する債
銀行などから金銭を借り入れたときに発生
権(将来、貸し付けた金銭を回収することが
する債務(将来、借り入れた金銭を返済しな
できる権利)
ければならない義務)
(2) ケース1(利息を返済時に授受する場合)
貸借時
… A商店は、B商店に対して現金 1,000 円を期間 6 ヶ月、年利率 2%で貸し付けた。
返済時
…
A商店は、満期日にB商店から貸付金 1,000 円を利息とともに現金で受取った。
貸 し 手(A商店)
貸借時
返済時
*1
※
貸
付
現
金
1,000 / 現
金
1,010
/
貸
付
借 り 手(B商店)
金
1,000
現
金
1,000
借
受 取 利 息 *1
利息の金額 = 1,000 円×年利率 2%×
10
金
1,000
現
金
1,010
金
1,000 / 現
金
1,000
支 払 利 息
10 / 現
金
10
入
金
1,000 / 借
金
1,000
支 払 利 息 *1
10
/
入
6 か月
12 か月
なお、返済時の仕訳は、以下の2つの仕訳を合わせたものである。
現
金
現
金
1,000 / 貸
付
金
1,000
10 / 受 取 利 息
10
借
入
(3) ケース2(利息を貸借時に授受する場合)
貸借時
… A商店は、B商店に対して現金 1,000 円を期間 6 ヶ月、年利率 2%で貸し付ける
とともに、利息を現金で受け取った。
返済時
… A商店は、満期日にB商店から貸付金 1,000 円を現金で受取った。
貸 し 手(A商店)
貸借時
返済時
※
貸
付
現
金
金
1,000
/
現
借 り 手(B商店)
金
990
受 取 利 息
10
1,000 / 貸
付
金
1,000
現
金
990
支 払 利 息
10
借
入
金
/
借
入
1,000 / 現
金
1,000
金
1,000
金
1,000
金
10
なお、貸借時の仕訳は、以下の2つの仕訳を合わせたものである。
貸
現
付
金
金
1,000 / 現
金
1,000
10 / 受 取 利 息
10
現
金
1,000 / 借
支 払 利 息
10 / 現
入
27
V
立替金・預り金
1.意義
立替金(資産)
意義
預り金(負債)
取引先や従業員のために、一時的に金銭を
立替払いした場合に発生する債権
一時的に金銭を預かった場合に発生する債
務
2.仕訳
(1) 従業員の給料の前貸し時
従業員に給料の前貸しとして現金 200 円を渡した。
(借)
*1
立
替
金
*1
200
(貸)
現
金
200
より厳密に「従業員立替金」勘定を使用する場合がある。
(2) 給料支払時(給料から前貸しの返済と税金などを預かる)
本月分の従業員給料 1,000 円を支給するに際して、前貸ししてあった 200 円と所得税の源泉
徴収額 100 円を差し引き、手取額を現金で支払った。
(借)
給
料
1,000
(貸)
立
替
金
*1
200
預
り
金
*2
100
現
*1
より厳密に「従業員立替金」勘定を使用する場合がある。
*2
より厳密に「所得税預り金」勘定を使用する場合がある。
金
700
金
100
なお、従業員の社会保険料も預かる場合がある。
(3) 納付時
従業員の所得税源泉徴収額 100 円を税務署に現金で納付した。
(借)
*1
28
預
り
金
*1
100
(貸)
現
より厳密に「所得税預り金」勘定を使用する場合がある。
VI
仮払金・仮受金
1.意義
仮払金(資産)
意義
仮受金(負債)
現金の支出はあったものの、その時点では
現金の収入はあったものの、その時点では
相手勘定(借方側)又は金額を確定すること
相手勘定(貸方側)又は金額を確定すること
ができない場合に設ける勘定
ができない場合に設ける勘定
2.仕訳
(1) 仮払金
①
仮払時
従業員の出張にあたり、旅費の概算額 100 円を現金で支払った。
(借)
②
仮
払
金
100
(貸)
現
金
100
金
100
精算時
旅費の精算をしたところ、残額 20 円あり、現金の返金を受けた。
(借)
旅
費
80
現
金
20
(貸)
仮
払
(2) 仮受金
①
仮受時
出張先の従業員から現金 200 円の送金を受けたが、その内容は不明である。
(借)
②
現
金
200
(貸)
仮
受
金
200
金
200
精算時
従業員が出張から帰り、上記送金は、売掛金の回収と判明した。
(借)
仮
受
金
200
(貸)
売
掛
29
VII
商品券・他店商品券
(1) 意義
他店商品券(資産)
商品券(負債)
商品券を他店と連盟して発行する場合、商
品の売上時に他店が発行した商品券を受取っ
百貨店など商品券を売ったとき、後日、こ
れと引き換えに商品を引き渡す義務
たときに発生する債権
意義
後日、他店と決済(自社保有の他店商品券
と他店保有の自社商品券とを交換し、差額を
現金等で精算する)するため、他店商品券
は、その商品券を発行した企業に対する債権
を意味する
(2) 仕訳
①
商品券
a.発行時
商品券 1,000 円を発行し、代金は現金を受け取った。
(借)
現
金
1,000
(貸)
商
品
券
1,000
上
600
上
700
b.販売時
商品 600 円を売り渡し、代金は当店発行の商品券で受け取った。
(借)
②
商
品
券
600
(貸)
売
他店商品券
a.販売時
商品 700 円を売り渡し、代金は他店発行の商品券を受け取った。
(借)
他
店
商
品
券
700
(貸)
売
b.精算時
商品券を精算し、当社保有の他店商品券 700 円と他店保有の当店商品券 850 円とを交換
して差額を現金で支払った。
(借)
商
品
券
850
(貸)
他
現
30
店
商
品
券
700
金
150