Failure is Cool あらすじ: 日本人のエツコ(14才)とオランダ人らしい日本人のミウ(12才)は人里はなれた日本の町の映画撮影セット で出会い、姉妹役を共演する。この映画で演じる役はまるで自分たちの人生を露出しているようであると 気づくと、二人はそれぞれ個人的な問題に直面することになる。 概要: 「Failure is Cool 」は初めて映画の役を演じる12才と14才の日本人のティーンエイジャーの話である。二 人は北海道の人里はなれた真冬の夕張で出会い、そこには二人が姉妹役を共演する「Into the Mountains」 の映画撮影セットがある。 ミウ(12才)はオランダ生まれでオランダ育ちの日本人。ミウは親に言われ、一人で東京に来ている。 両親は後から訪れる予定である。ミウは奇抜な考えを持つ祖父の家にしばらく住んでいる。祖父はミウが 「Into the Mountains」の映画で純日本少女の役を演じ、日本人の同年代の少女と一緒に仕事をすれば、日 本の文化により深く馴染めるだろうと思っている。ミウはオーディオションを受け、その役を獲得する。 エツコは東京生まれである。野心家の両親は仕事に忙しく、家族が顔をあわせることは殆どない。家 族は手紙を使って連絡を取り合っている。エツコは一人でいることが多く、友達は少なく、かなり自己中 心的である。家庭の環境により、子供らしさというものを習うことがなかった。エツコはこれを何か不足 しているものと考えたことはなく、それよりも自分の大人らしい振る舞いを長所であると見ている。エツ コは野心的で、ぜひ女優になりたいと思っている。 二人が演じる映画では、姉妹は祖父母と共に夕張に住んでいる。両親は二人の娘たちに数年会ってい ない。二人の性格は大いに異なり、感情的な繋がりはまったくない。ある日突然、母親が現れる。彼女は 娘たちと一緒に山にある別荘に行きたいという。そして山に着くと、母親は奇妙なことに姿を消してしま う。姉妹は自分たちで何とか対処するが、最終的には二人だけで戻らなければならない。 エツコとミウは映画のキャストとクルーと共に夕張の近代的なホテルに宿泊する。エツコにとっては ミウとの共演は単なる仕事であるが、ミウはエツコと友達になりたいと思っている。エツコはミウを寄せ 付けず、距離を置いている。それでもミウにとっては映画の世界は気の休まる場所である。ミウのオラン ダ人らしい態度を不愉快に思う人はなく、彼女の正直で心を動かす演技は高く評価されている。 エツコも説得力をもって役を演じる。しかし姉妹が母親と旅に出かけ、この母親が失踪してしまうと いうシーンを演技しなければならない時に問題が起こる。ミウは行方不明の母親に対する深い思いを感動 的に表現する。ミウは自分の母親を恋しく思うので、その気持ちが良く分かる。それに反してエツコは精 神的に崩れてしまう。エツコは生まれて初めて自分の人生における母親の不在というものに気がつくと、 貝のように押し黙ってしまう。そして誰もが唖然となる。 ところが状態は更に悪化する。母親の失踪後、姉妹関係が入れ替わる。(エツコが演じる)姉は(ミ ウに演じられる)妹が感情的な面においても実際的な面においても年上の役割を果たしていることを認め なければならない。エツコは偏った育ち方のためにこの感情的な転換を演技することができない。架空の 世界がエツコの現実の世界へと接近してくる。その時、エツコは良い女優になれるためには、自分が一度 も経験できなかったこの「子供らしさを持つこと」に欠けているのだと気がつくと、もうこれ以上この役 を演じ続けることができなくなる。監督の息子はエツコを救い出そうと務める。ミウはエツコと互いに信 頼のまなざしを交わしながら、遠くからそっと見守る。それでもエツコはミウを遠ざけている。 ミウは「Into The Mountains 」での役を演じることで今までよりずっと落ち着きが出てくる。エツコ との触れ合いはミウにとって良い点と悪い点、そして魅力を感じる面と拒絶感を受ける面があった。撮影 の終わる頃にも、ミウの日本社会への溶け込み問題は解決されていなかったが、ミウの自分に対する自信 は増していた。 撮影終了後、エツコとミウは別れを告げる。二人は互いの将来を信じている。しかし二人が今まで以 上に近づきあうことは(当分)ないであろう。そうして二人は繋がりを持ったが、やはり離れ離れになって 自分たちの道を歩んでいく。
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