技術セミナーテキスト ACモータートラブルシューティング編 目次 1 AC モーターの種類と特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 1-1 AC モーターの種類と位置付け 1-2 AC モーターの特徴 1-3 AC モーターの運転システム 2 AC モーターの基礎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 2-1 2-2 2-3 2-4 2-5 構造 動作原理 コンデンサの役割 モーターの温度上昇 ブレーキ機能の種類と特徴 3 AC モーターのトラブル事例とその調査方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 3-1 3-2 3-3 3-4 モーターの確認をする前に トラブルシューティングの基本 現象からのトラブルシューティング トラブル事例 4 速度制御モーターの動作原理と機種について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 4-1 AC スピードコントロールモーターの動作原理 4-2 AC スピードコントロールモーターの種類 5 速度制御モーターのトラブル事例とその調査方法・・・・・・・・・・・・・・・・40 5-1 5-2 5-3 5-4 代表的なトラブル トラブルシューティングの基本 現象からのトラブルシューティング トラブル事例 付録・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56 付録1 付録2 付録3 付録4 付録5 AC モーターの構造・動作原理 直流発電制動(電気式ブレーキ) 温度上昇の測定方法 過熱保護装置について モーター・ギヤヘッドの寿命 サービスのご案内 AC モータートラブルシューティング編 1-2 AC モーターの特徴 1)使い方が簡単 交流電源に接続するだけで簡単に運転できます。 単相電源で使用する AC モーターはすべてコンデンサを接続して使用するコンデン サランモーターです。 ただし、 三相電源を使用するモーターはコンデンサが不要で、 電源に接続するだけで運転できます。 図 1‐2 コンデンサの接続 2)低コスト AC モーターは他のモーターに比べて、動作させるためのシステムが簡単で低コス トです。 3)豊富なバリエーション モーター、ギヤヘッドともに豊富なバリエーションがありますので、用途に合わせ てモーターの種類や減速比を自由に選ぶことができます。 さらにブレーキパックやスピードコントローラを組み合わせることにより瞬時停止、 可変速が簡単に行えます。 1 AC モーターの種類と特徴 1-3 AC モーターの運転システム ● 単相インダクションモーターの場合 単相 100V、110/115V 単相 200V、220/230V ギヤヘッド モーター コンデンサ 交流電源 ● 三相インダクションモーターの場合 三相 200V、220/230V 三相 380V、400/415V ギヤヘッド モーター 交流電源 ● AC スピードコントロールモーターの場合 (可変速運転) ※単相 100V、110/115V 単相 200V、220/230V ギヤヘッド モーター コンデンサ スピードコントローラ 図 1‐3 運転システム ※電源の仕様はシリーズによって異なります。 交流電源 ACモータートラブルシューティング編 3 AC モーターのトラブル事例とその調査方法 インダクションモーターやレバーシブルモーターなど、一定速度で回転する モーターについて代表的なトラブルとその調査方法をご紹介します。 3-1 モーターの確認をする前に 1)機構側の確認 AC モーターにおけるトラブルでは、モーターそのものではなく機構側に原因が ある場合もあります。 モーターは正常に動いているのに、その動力が機構に伝わらなかったために、モ ーターの異常と判断してしまうケースなどです。 モーターの確認をする前に、動力を伝達する機構側に緩みなどがないか確認を してください。 <確認ポイント> ● カップリングの緩み、割れ ● キーの抜け ● モーター取付部の緩み ● ベルトの張力 図 3‐1 ACモーターの運転システム 3 ACモーターのトラブル事例とその調査方法 2)AC モーターが正常に回転するプロセス AC モーターが回転するためには、次の条件が必要です。 ● 2 つの巻線(三相モーターは 3 つの巻線)に、位相をずらした電圧を 印加している。 ● 巻線が磁力を発生している。 ● 巻線の磁力によりローター(シャフト)が回転する。 AC モーターが思い通りに回転しないときには、次のポイントを重点的に確認し ます。 <確認ポイント> ● 配線に異常はないか? ● モーター巻線の破損はないか? ● 正常に電圧が印加されているか? ● 過負荷での運転をしていないか? ● モーター軸がロックしていないか? ACモータートラブルシューティング編 3-2 トラブルシューティングの基本 モーターが回転しない、正常な動きをしない場合のトラブルシューティングを 説明します。 トラブルシューティング ①配線確認 正しい配線状態になっているか確認します。 ■調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 確認は目視、テスターなどで行います。 【注意】必ず電源を切ってから行ってください。 ヒューズ / リレー / 圧着端子 / コンデンサ配線 / コネクタ / ケーブル 図 3‐2 AC モーターの配線 ■判断 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 配線の異常が確認されたら、見直しをしてください。 ケーブルが可動している場合、ケーブルを何回か動かして確認を行ってくださ い。 運転停止を制御している部分(スイッチ類、センサ類)が原因である可能性もあ りますので必要に応じ確認してください。 3 ACモーターのトラブル事例とその調査方法 <補足> 電磁ブレーキについて(電磁ブレーキ付モーターのみ) 電磁ブレーキ付モーターの場合、モーター運転時に電磁ブレーキが解放されて いるかを確認します。 ■測定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 電磁ブレーキ線 2 本間(橙-橙間)の電圧を測定し入力電圧を確認します。 電源仕様はモーター銘板、カタログなどで確認ください。 図 3‐3 電磁ブレーキ付モーター(単相モーター)の接続図 ■判断 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 電圧が入力されていなければ配線ミス、断線の可能性が考えられます。 配線を確認してください。 ACモータートラブルシューティング編 トラブル事例 モーターが異常に熱くなる 製品名 品名:3RK15AW-60J(レバーシブルモーターコンビタイプ) 出力 15W、単相 100V 入力 減速比 1:60 現 象 モーターが異常に熱くなる。 周囲温度は30℃程度で、負荷は非常に軽く、過負荷は考えにくい。 調 査 モーターが異常にあつくなる現象の調査方法を確認 結 果 コンデンサの容量違い 正しい容量の7.5μFに対し、16μFを接続しまった。 出力の異なる複数のACモーターを同時に配線する時、間違ったコンデンサ を接続してしまった。 配線/状況 容量違い
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