顧 客 テ ラ ネ ッ ツ ク リ エ イ タ コ ン テ ン ツ 群 料金 発注文 サービス

コンテンツビジネス・ビジネススキームあれこれ。
とりあえずもっとも身近なテラネッツをモデルケースに、インターネットを利用したコンテンツビジネスの現状と考えられそうなビジネススキ
ームをあれこれ論考してみる。
あとたまに横文字がでてきますけど書いてる本人は英語苦手です。ハッタリのためにカタカナにしてあるだけなので、間違ってるところを
見つけた人は心の中ででもツッコミを入れておいて下さい。感度がよければ受信して直しておきます。ピピッ。
1.現行テラネッツ型モデル
株式会社テラネッツさんが現状で採っているビジネススキーム。
テラネッツ
OP
発注文
クリエイタ
受注の意思表示
ツ
仕事完成義務
ン
発注文
テ
顧客
料金
コ ン
サービス案内
仕事完成義務
群
制作物供給契約
制作物供給契約
権利なし
客-テラ間契約
※この債権債務の本旨は著作
物の完成それ自体にあり、その
財産的帰属の如何にない点が
特徴
著作財産権
テラ-クリ間契約
※権利譲渡契約または著
作物の使用許諾契約。
著作者人格権
(1) 分析
上図のとおり、契約関係は『顧客-テラネッツ間』と『テラネッツ-クリエイタ間』の2つに分かれている。両方とも請負契約に近似した制作
物供給契約で、文字通りオーダーメイドの作品を作ることをキモとする内容の契約関係。テラネッツは顧客に対して、クリエイタはテラネッツ
に対して、それぞれ仕事の完成義務を負っている。
図の下部にある矢印が付いた四角は、テラネッツが意図していると思われる著作物の権利帰属関係。現状での契約書の不備は、この際
不問としておく。
顧客から見たテラネッツはそれ自体がコンテンツ制作者だが、現実にはほとんどの顧客がクリエイタに対して発注している感覚でいると予
想され、それがテラネッツの存在意義の不明確さに繋がっていると考えられる。
一方で、後述のとおりテラネッツによるコンテンツ管理の容易性や介入度は高い水準に保ちやすく、管理者業務の遂行には資するモデ
ルである。
以上の内容は、いわゆるOMCでもWTでも変わらない。
また現状におけるテラネッツの顧客(法人除く)は、基本的にオタク傾向を有し、現実の社会・コミュニティの代替として、またはそれと平行
するものとして、疑似世界での社会・コミュニティに参加できることを求める傾向にある。
そのため特にWTと呼ばれるゲームでは、自分(またはそのキャラクタ)が高い社会的評価を得ることや豊富な描写で描かれることを希求
する。
従って、テラネッツ商品群(コンテンツ)から社会性を省いて完全個別の孤立した作品群にすることは既存顧客への訴求力を失わせる結
果を招くと予測される。
上記推論が正しいとすると、既存顧客にある程度見切りを付けて新規顧客開拓に乗り出す決断でもしない限りは、現状のままテラネッツ
が多くの(そして多分無駄の多い)ワークロードを抱えたまま管理を続けていくというのが、結局のところもっとも現実的な答えだと考えられ
る。
(2) 問題点・利点
① このモデルの構造的問題点は、リテイクの発生が増加する傾向にある他は、特にはないと思われる。現にメールトークゲームという現
行のWTやOMCのはしりの時代からとられてきた形態であるらしい。テラネッツはじめインターネットを利用したデジタル/アナログゲ
ームコンテンツサービスの業界においてこのモデルを採用し、CS(顧客満足)が低い企業があれば、それは構造的な欠陥というよりは
運用面での問題に起因していると言えそうである。
但し、顧客とクリエイタの社会的な習熟度が低い場合には、両者と直接的な契約関係にあるテラネッツはその調整のために多大なロ
スを強いられる。例えば、無茶なクレームや限度を超えた品質要求、納期遅延・作業放棄に対する調整業務などである。この点は構造
的欠陥とも言える。
なお、リテイク(検収不合格によるやり直し要求)が問題となるのは、顧客からの注文を一旦テラネッツが受けてしまってから(もちろん
料金を徴収してから)、実際に作業にあたるクリエイタに発注するためである。検収がテラネッツによるものと顧客によるものの2回ある
上に、その基準は必ずしも一致しておらず、かつ顧客には「望み通りの作品を作って貰えるもの」との期待がすでにあり、しかも料金は
支払い済みであることから、リテイクによって納期が延びた場合の被害感情が倍加することとなるのである。現状ではこれに運営のずさ
んさによるものが付加されていると考えられるが、それは担当者に能力が欠けているだけで構造上の欠陥ではない。
顧客の側からこのモデルを見たときには、疑似社会であるコンテンツが管理者であるテラネッツによって準備運営され、適度な管理
状態におかれやすいことから、安心して遊べる環境であると言える。その管理がずさんであったり的外れであれば不満が生じるが、そ
れは構造上の問題ではなく純然たる運営管理の問題である。
③ クリエイタ側からこのモデルを見たときは、事実上責任を負わなければならない相手がテラネッツだけなので気が楽である。それがぬる
ま湯環境を生んでいるとも言えるし、安心して参入できる環境を準備しているとも言える。もっとも、その参入障壁の低さが必ずしも高品
質なクリエイタの確保に繋がっているのかどうかは定かでない。
④ 総体として、このモデルは、特にルールや判定ありきの「ゲーム」としての性質が濃いWT等に好適であると思われる。また、顧客・クリ
エイタともに社会的習熟度が低い段階にあっては、無用なトラブルが生じる可能性を極力抑えることができるという点でも優れている。
但し、管理コストは原理的にかさむ傾向にあり、かつ、管理すればするほど顧客およびクリエイタからのテラネッツに対するロイヤルティ
は低下していく傾向にある。大抵において、「遊び」に管理を持ち込む人間は好まれないからである。
②
☆いまのテラネッツにおける問題点は何か。
今のままのテラネッツでいいのでしょうか。という問いに対し、個人的には「よくない」と思っているわけですが、具体的にどこが良くな
いと考えているのか。それをちょっと書いてみたいと思います。
①クリエイタ間に競争がない。
仲良くやれればそれはそれでいいのでしょうが、クリエイタが仲良し小良しでいられればいいという状況はそろそろ変えていくべき
だと思います。何よりの問題は、クリエイタ間に競争がないと、クリエイタがスキルアップする動機付けがないということに繋がる点で
す。これは制作物のクオリティがいっこうに向上しないという結果として顧客に反映してきます。また、競争がないと周囲協調的であ
ることが歓迎され、革新的・挑戦的な試みが起きにくいという点も上げられます。これが、いまのテラネッツに漂う閉塞感、例えば「ど
のイベントも以前の何かの焼き直し」に終始している感覚などを生み出している一因ではないでしょうか。
②顧客・市場の縮小傾向
統計資料があるわけではないので純然たる感覚での話なのですが、メールトークなどが隆盛を誇っていた(らしい)10年前などと
比較すると、確実に市場は縮小していると思います。
特にいまのテラネッツは「ゲーム」を提供する会社ですから、それなりに遊び心を持った若年層がメインターゲットとなるはずです。
そのメインターゲット達が5年経ち10年経って、いい加減いい大人になり、仕事を持ち家庭を持ち…としたときに、確実にそのうち
の何割かはテラネッツのゲームから離れていくはずです(それでこそ健全な市場の世代交代がなされます)。問題だと思うのは、ど
うもその市場の世代交代がなされずに、いつまでも10代のつもりでいる20代や30代によって需要が支えられているように見える部
分です。そうした顧客は概して可処分所得が低く、従ってコアではあってもうまみのある顧客層ではありません。
③ブランド力・企業プレゼンスの無さ。
要するに、「テラネッツ」「OMC」という名前にほとんど誇りや価値が見いだせず、株式会社テラネッツに存在感が感じられないと
いうことです。その原因は様々あるでしょうが、一つにはPR・CRが拙劣であること、テラネッツ社員にモチベーションもスキルも感じ
られないこと、そしてテラネッツ自身に「自分は何をする会社で、なんのために存在しているのか」というアイデンティティが無いよう
に思えること等が挙げられます。
そんなもの無くてもいいじゃないか、とも思えますが、同人サークルで楽しく創作することが目的であるならまだしも、結果物に責
任を持つ企業であればいわゆる「社是」の類は必ず必要になります。
2.ステージプロバイダ型モデル(S/Pモデル)
なんとなくIT風に横文字で名前を付けてみました。ビジネスにはある程度のハッタリも必要です。
このモデルは現在のテラネッツでは採用していないので、以下で「テラネッツ」と言っていたりするのは、ただ単にイメージしやすいように
という便宜的理由に過ぎません。
S/Pモデルは、コンテンツビジネスにおけるテラネッツの役割を、「ステージプロバイダ」=「舞台を提供する存在」として明確化し、それ
をコアコンピタンスにしてスキームを再構築したものです。
テラ-クリ間契約
※料金回収代行契約を含む。
利用許諾契約・ロイヤルティ契約
実際の料金・納品
サイト・コンテンツ利用権利
テ
顧客
ン
発注文
群
制作物
料金
ツ
仕事完成義務
サイト・コンテンツ利用契約
ロイヤルティ契約
クリエイタ
コ ン
受注意思表示
テラネッツ
制作物供給契約
客-クリ間契約
※この債権債務の本旨は著作物の完成それ自体にあり、その財産的帰属
の如何にない点が特徴。権利帰属(その後の利用の可否等)は、原則として
クリエイタと顧客の間で自由に決めればよい。
(1) 分析
全体としての契約関係の数は現行テラネッツ型モデルと同じ2つだが、テラネッツが持たなければいけない契約関係はクリエイタとのもの
のみ。このモデルの狙いは、テラネッツの業務におけるコアコンピタンス(中核事業)を明確にし、そこに経営資源を集中できるスキームを
構築すること。
上図中央にある赤い点線で囲われた枠内が、テラネッツが提供する「舞台」であるコンテンツ群。しかし、テラネッツはその内容について
基本的に何ら責任を負わない。劇場がその舞台で行われる公演に責任を負わないのと同じ。テラネッツはあくまでも、「これは売れそうだ・
反響がありそうだ」という世界観をある程度形にしてコンテンツを作り、そこを舞台に作品を作りたいと思うクリエイタに有償で貸し出すだけ
である。
クリエイタは自分が作品を作りたい(いわゆる「窓を開けたい」)コンテンツを見つけた場合、テラネッツにコンテンツ利用料を支払う。楽天
市場に出店する際に、出店料を払うのと同じである。クリエイタは料金支払いと引き替えに当該コンテンツで受注をする権利を得、顧客と
直接契約を結ぶ。
なお、契約内容のひな形はテラネッツが用意するが、顧客・クリエイタ双方が合意の上でその内容を改変することは一切問題ない。
顧客はいままで通りテラネッツのサイトに来て、発注を受け付けているクリエイタを捜して発注するだけ。但し現状と違うのは、感覚的にも
法的にも顧客が契約を結んでいるのはクリエイタ本人であるという点。
料金回収についてはテラネッツがクリエイタを代行する。その場合、サイト・コンテンツ利用契約とともに料金回収代行契約をクリエイタと
テラネッツの間で結んでおく。
テラネッツは顧客に対して道義的責任以外の何らの責任も負わないこととなる。
(2) 問題点・利点
① テラネッツの管理業務が大幅に減る。
制作物の内容にテラネッツは責任を負わないので、いわゆる「納品物チェック」は原則として不要になるからである。もっとも、テラネッ
ツの管理するサイトに当該制作物を掲載するという限度においてはチェックが必要となるが、それはあくまでもクリエイタから顧客への
納品があった後で、ではそれをサイト掲載してもいいかどうかを事後チェックすればよいだけ。あらかじめサイト掲載レギュレーションを
明確化しておけば、「納品物につきとやかく言いませんが、弊社サイトには掲載できません」と断ればすむ。
② 納品と支払が同時なので、顧客のリスクは低い。
今までは、テラネッツが顧客から料金を徴収してから、クリエイタが作業に入っていた。これはテラネッツと顧客との間で別途の契約が
あったからである。S/Pモデルだと顧客と契約を結ぶのはあくまでクリエイタなので、簡単に料金徴収は納品と同時とすることが可能
である。
③ クリエイタは顧客に対して直接責任を負う。
これは問題点とも利点とも言える。一つには、トラブルになったときにはクリエイタ自身での対応が原則となる点で問題がある。逆に、ト
ラブルになりそうな顧客、当初から自分のスキルを上回るクオリティ要求をしていると思われる顧客に対しては、そもそも受注を断ること
④
⑤
⑥
⑦
ができるという点で利点である。また、全体的に低いと感じられるクリエイタの顧客と制作内容に対する責任感を向上させられるのも、長
期的に見れば利点だろう。
クリエイタの自由度も上がる。
制作物に対してテラネッツが法的責任を(原則的には)負わないということにより、ほとんどの制限事項は取っ払うことができる。コラボ
レーションやコンテンツ世界観そのものの自由企画などを行うことも可能である。但し勘違いしてはいけないのは、自由というのは責任
をとることを前提としての自由であって、顧客は自由にコンテンツに参加できるが、テラネッツによる管理がない分ハズレを掴まされる可
能性も高まり、クリエイタにとっては顧客の要望に直に応えていかなければならないという負担増がある。その点を全て納得した上での
自由である。
サイト・コンテンツ利用料を有料化すれば、「いるだけクリエイタ」は激減する。
それが吉と出るか凶と出るかは不明だが、どのみち現状で全く売り上げに貢献していないのだから、テラネッツにとって大した影響は
ないと思われる。また、登録クリエイタの絶対数を減らしたくない場合は、受注窓を開けるときだけ利用料を課金するなどのシステムも考
えられる。なんにせよ、顧客からの支払は基本的に一旦全てテラネッツを経由するのだから、少額の利用料金設定でも経理管理コスト
(例えば、利用料を振り込ませたら振り込み手数料の方が高かったというような事態)はほとんどかからない。
クリエイタ間に競争原理が導入される。
登録または窓開けの有料化、直接契約、コンテンツ企画・作成の自由化によって、クリエイタ間に競争が導入されると考えられる。もっ
とも、競争といっても全てのクリエイタが他のクリエイタ全てと競争をするという事態は少し考えにくい。そうではなく、同じコンテンツの中
でも自分の得意とする分野はなんなのか、同じ分野でライバルとなるクリエイタは誰なのか、得意分野と不得意分野を補完しあえるクリ
エイタは誰なのか――といったように各種要素を総合的に勘案して、誰と競争していくのかということが自ずから決まって来るであろう。
但し、いくら競争原理が生じようとも総体としての需要を供給が下回っていれば結果として淘汰は生じないし、有料化を嫌って脱退や
活動停止をするクリエイタが多数生じることも充分考えられるから、これだけでいきなり活動クリエイタのスキルが全体的に底上げされた
り制作物のクオリティが向上したりということは期待しにくい。
総体として、自由放任的なOMC向きのモデルだと思われる。
☆これからテラネッツが進むべきだと思う方向性。
今のままのテラネッツで、どこまで行けるものなのかは分かりません。が、早晩こういう方向性がきっと必要になる、と思うことを書いていき
ます。
①「オタク」を知る一般企業へ。
オタクを知ることとオタクでいることとは全く別のレベルの話です。いわゆるオタク層、即ちある分野に非常なこだわりを持ち、その分野
で業務を続ける限り継続的顧客となってくれる人々の文化と心情を深く理解する存在であると同時に、市場経済のルールを知る本当
の意味での企業でもある。そういう存在への脱皮が必要であるように思います。
②社員とクリエイタを正当に評価する企業へ。
有能な者を重用し、無能な者は進歩を求めるか切り捨てる。そういう決断は、企業である限り必須であるはずです。「かわいそう」だの
「冷たい」だの言っていては、けっきょく企業全体がつぶれてしまいます。大切なのは、正当な競争環境を導入すること。足の引っ張り
合いやいがみ合いではなく、テラネッツの中でライバルとして競い合っていける環境を作れなければ、企業としての進歩はないように
思います。企業は、結局のところ、それを構成する人間のクオリティを超えることはできないのです。
③儲けられる企業へ。
儲けられない事業は公益法人にでも任せておけばいいのです。企業には収益を上げるという大目標があります。収益を上げる、つま
りテラネッツの食い扶持はテラネッツ自身でまかなえてこそ、顧客にゲームを提供し続け、新しい事業にも挑戦し、クリエイタに活躍の
場を提供し続けられます。人間は、食事と空気があればとりあえず存続できます。企業にとっての食事と空気は、「儲け」以外にないの
です。
④常に「新しいものを作る」存在へ。
前からあるものを「作り直す」だけの企業ではジリ貧になります。常に新しいものを作る。それがクリエイションを業とする存在の使命で
す。
⑤ブランド力の確立を。
Yahoo!やMSNやエキサイトと「テラネッツ」を並べても違和感がないような、ワーナーやフォックスやWディズニーと「OMC」を並べ
ても違和感がないような、そういうブランドプレゼンスを確立すべきです。そうしたブランドと顧客を奪い合えということではなく、同じ業
種に属し同じ種類の業務をしている、同じぐらい確固とした社会的実体だと認識されるようになるべきだということです。そんなことがで
きるか、と一笑に付すぐらいなら、傷の浅いうちにコンテンツ業界から撤退した方がよいのではないでしょうか。
⑥「集める」だけの企業から「育てる」企業へ。
この国のクリエイション業界はまだ様々な面で発展途上であり、改革の端緒についたばかりだと思います。クリエイタもスタッフもこれ
から育っていくし、育てていかなければいけないはず。そうやってテラネッツで育った人材の存在が、テラネッツへのロイヤルティにも繋
がっていくのです。
3.コンテンツプロデューサモデル(C/Pモデル)
横文字第2弾。「プロバイダ」はありものを提供する者、というような意味ですが、「プロデューサ」は今はまだ無い何かを作り出し、そして提
供する者、という意味合いです。
従来のような「客待ち」モデルではなく、こちらから積極的に発信していく業態を目指すモデルです。なお、これまた今のテラネッツは採
用していないので、以降の「テラネッツ」の文字列も、ただイメージしやすいようにするためだけに使っています。
S/Pモデルはどちらかと言えば管理コスト低減・コアコンピタンスへの資源集中といった「後の先」的モデルですが、このC/Pモデルは、
経営資源たるクリエイタの能力を最大限引き出してテラネッツとその管理サイトのプレゼンスを上げる、「先の先」的積極攻撃型モデルで
す。
旧態依然とした料金先払い型モデルではもはや新規顧客は見込めません。また、インターネットが前提であれば情報発信の幅は飛躍的
に増加します。
そこで、テラネッツのサイトのページビュー増加による広告料収入と有料コンテンツ多様化による事業拡張を狙うのがC/Pモデルです。
World Wide
クリエイタ
テラネッツ
受発注・契約等
顧客
上記「テラネッツ」の
内部構造は
プロダクトプロバイドサイド
(外部・顧客向け)
プロジェクト
ブログ
(プロジェクト日記)
・制作宣言
・進捗報告
・スタッフの動き
等
プロジェクト
ビルド
サイト
(コンテンツの卵作り)
カウンタ
無料
・制作リクエスト
・応援メッセージ
等
有料
有料コンテンツ
・BBS
・チャット
・クリの意見表明
・テラの企画発表
↓
プロジェクトユニット形成
↓
プロジェクト目標策定
期待度評価
カストマ
リアクション・
リクエスト
サイト
(反応・リクエスト)
無料コンテンツ
プロダクトビルドサイド
(クリエイタ専用)
プロダクト
プロバイド
(制作物公開)
プロジェクト
オペレーション
サイト
(コンテンツの実作成)
・BBS
・ML/アップローダ
・チャット
・スケジュール管理
・グループウェア
・制作作業
・テラのツール提供
・中間レビュー/デバッグ
(1) 分析
何よりもまず言えることは、クリエイタの質と自主性が全てを決めるモデルであるということ。また、従来テラネッツが採ってきたモデルとは
異なり、顧客は基本的に完成品として提供されたものを購入することとなる。従来のテラネッツ型モデルがテーラーメイドのスーツだとすれ
ば、こちらはプレタポルテである。
上図の赤点線枠2つが、それぞれテラネッツの管理するサイトとなる。サイトを提供するメディアは理屈の上ではなんでもよいのだが、現
実的にはインターネット上のいわゆるサイトとなる。右側の赤点線枠はクリエイタとテラネッツのみ利用でき、左側は顧客や一見含めあらゆ
る人間が利用できる。赤点線枠の中にある黒枠は、それぞれサービスを表す。
青い太矢印は、クリエイションの流れを表す。黒い細矢印は、情報の流れを表す。
まとめると、テラネッツはクリエイタに対しては個々のクリエイタが考案した企画、およびテラネッツが提案する企画の双方を発表し、賛同
者を募り、プロジェクトとしてまとめ上げる為の場を提供する(プロジェクトビルドサイト)。機能としては、BBS等の掲示板機能、リアルタイム
の打ち合わせが可能となるチャット機能、およびテラネッツのスーパバイザ的アドバイスなどが期待される。
プロジェクトビルドサイトでは、クリエイタが「これってきっと面白いことになる」と思うアイディアをどんどん出すことから全てが始まる。その
中から賛同者が集まったものが「プロジェクト」となり、プロジェクトは賛同者の集合体である「ユニット」を基本単位として作成に入っていく。
なお、プロジェクトは基本的に複数クリエイタによるユニットで作成されることを前提とする。一人で作れるコンテンツなら自分のホームペ
ージででもやっていればよい。
複数人がプロジェクトとして役割と責任を分担して行うことによる制作物のクオリティの飛躍的向上がこのモデルの狙いの一つである。
プロジェクトがかたまりユニットが構成され、具体的なプロジェクトの制作目標が決まると、段階は実際の作業へと移る。
ここからは過酷かつ単調な実作成作業に入る。各クリエイタはユニットで決定した自己の役割に従い、粛々と作業を進める。このときテラ
ネッツが準備するものは実作業をサポートするための場で、その機能としてはプロジェクトビルドサイトで提供されていたものに準じるものの
他、イラストやデータなどをアップロードして共有するためのアップローダ、ユニットメンバーへの同報のためのメーリングリスト、スケジュー
ル管理を主とするグループウェア機能などが期待される(プロジェクトオペレーションサイト)。もちろん、テラネッツオフィシャルによる進捗
監視、言ってみれば「尻叩き」も大切であるし、何よりテラネッツオフィシャルが持つツール、例えばゲーム用のベースプログラムなどを提供
することも肝要である。その際には、売り上げロイヤルティのような利用契約を結ぶ。
ところで、プロジェクトビルドサイトとプロジェクトオペレーションサイトを機能的に捉えた場合、特に分ける実益はないようにも考えられる。
しかし、ユニット構成メンバーに対し、「プロジェクトビルドサイト」から「プロジェクトオペレーションサイト」へ移ったらもう後戻りはできないと
いうある種の覚悟、区切りをつけてもらうことが絶対に必要なのである。そのために、ビルドサイトとオペレーションサイトは、観念的ではなく
システム上もはっきり区別されていることが望ましい。
ビルドサイトにいるうちは、「これって楽しいだろうな」「こんなのもいいよね」と大いに自由な雰囲気でいてもらった方がいい。その方がアイ
ディアも出やすいと考えられるからである。しかし、どこかでそれらを区切って一つの形あるコンテンツにまとめなければならない。それには
思いのほか大きな勇気が必要となる。また、アイディアを練っているうちは楽しくても、それを現実の表現物に落とし込んでいく作業は、か
なりの苦痛を伴うものである。
従って、ビルドサイトとオペレーションサイトの区分けが曖昧だと、ほとんどのユニットがその境界線上を行ったり来たりするだけで、結局の
ところコンテンツが完成しないこととなりかねない。
言ってみれば一種のけじめのため、三日坊主脱却のため、「自分たちはチームとして、このコンテンツを完成させるんだ」という決意表明
が外部からもはっきり見えるようにするために、ビルドサイトとオペレーションサイトは明確に分けるべきなのである。
そのこととも関連して、外部サイトにはプロジェクトが日々生まれていく様子やその内部的反響の具合から始まって、実際にオペレーショ
ンに移ったユニットのクリエイタの日々のぼやきなどを綴ったブログを用意する(プロジェクトブログ)。プロジェクトブログは、テラネッツオフィ
シャルかユニットかのいずれかのみが書き込める状態が望ましいと思われる。
ユニット構成前では単なるクリエイタの自己宣伝にしかならないし、何より主題が散漫になりすぎる。従って、「今こんなプロジェクトが持ち
上がっていますよ」「オフィシャルとしては、この企画なんて注目しているところです」といった全体報告はオフィシャルからすることが望まし
いと考えられる。
一方で、オペレーションに入ったクリエイタにとって、ぼやく場所があることや将来の顧客からの反応を感じられる場所があることは非常に
救いになる。そのため、ユニット構成後は、ユニットを構成するクリエイタがユニットの名前でブログに書き込めるようにするとよいだろう。
またブログにはカウンタを付け、「Web拍手」に類するような簡便な期待度評価システムを実装することが望まれる。それによって、クリエイ
タは自分たちがいま泣きそうになりながら作り込んでいるコンテンツを、確かに誰かが心待ちにしてくれているのだと知ることができる。
プロジェクトブログとは別に、カストマリアクション・リクエストを受け付けるためのサイトも必要である。言ってみればこの部分が、従来のテラ
ネッツ型コンテンツである「発注文ありき」の名残をとどめる部分である。機能としては、BBSやメールフォームがよいであろう。
クリエイタもユニットも、特にそのリクエストに縛られる必要はないだろうが、市場が求めている方向性を知るための窓となる。
プロジェクトのオペレーションが終了し、コンテンツが完成すれば、結果物は公開のためのサイトに移ることとなる(プロダクトプロバイドサ
イト)。このサイトで公開されるコンテンツには有料のものと無料のものがあり、有料のものについては、そのクオリティ、制作コスト、販売戦
略などに鑑みて、ユニットが価格を設定する。テラネッツはS/Pモデルのような売り上げ連動制のロイヤルティ契約で収入を得ることが望
ましい。テラネッツの取り分を1販売単位あたりいくらと固定であらかじめ上乗せするやり方では、価格が硬直的になるからである。
なおこのC/Pモデルでも、テラネッツは原則として制作物の内容に責任を負わない。但し、S/Pモデルとは異なり、顧客とクリエイタ間
にあるのは制作物供給契約ではなく純然たる売買契約であるから、テラネッツとして「このコンテンツについては著作権等の権利を保持し
ておきたい」と考えた場合、コンテンツ完成後プロダクトプロバイドサイトに移す前にユニットから権利を買い上げておいて、爾後、テラネッ
ツが価格設定してプロダクトプロバイドサイトに公開する手法が考えられる。なお、制作に入る段階からあらかじめ「全ての権利はテラネッツ
に帰属する」的な契約を結んでおくのは、徒にテラネッツ自身を制作結果物に基づく法的責任に結びつけることから、百害あって一利無し
と言わざるを得ない。
プロダクトプロバイドサイトで公開される無料コンテンツには、例えばメールマガジン、ネットラジオ、コラム、4コママンガ、ゲームやムービ
ーの予告等のようなものが考えられる。
有料コンテンツでは、ゲームやムービーの本編、コミックス、イラストレーション、小説などが考えられる。その他にも、プロジェクトが発足し
てユニットが結成できさえすれば、有用なビジネスアプリケーションでもジョークソフトの類でも、コンテンツの可能性は無限に広がる。
これらのサイトは全てテラネッツが自前で設置し、顧客のアクセスを惹起してサイトのページビューを上げることに傾注するべきである。ペ
ージビューが上がればそのサイト上のバナー広告等の広告料が上がり、たとえ有料コンテンツが販売不振になっても収益の道があるから
である。
その意味では、有料コンテンツがハイクオリティであることもさることながら、気軽にチェックできる無料コンテンツで常に斬新かつ妥協の
ない制作物が公開され、しかも頻回に入れ替わっていることこそがもっとも重要なポイントと言える。
なお、上述したとおりC/Pモデルはクリエイタの質と自主性が他のモデルにも増して問われる。とりわけ、質の方はユニットによる相互補
完で一定水準が保たれることも期待できるにせよ、自主性が見られなければそもそもアイディアが供出されず、従ってユニットも構成されず、
コンテンツも創作されない。つまり、C/Pモデルが利益を生むか否か以前に、参画クリエイタが高い自主性を発揮しなければC/Pモデル
は機能さえしないのである。クリエイタのモチベーションがC/Pモデルというエンジンのガソリンであると言える。
しかしながら、C/Pモデルは顧客からの具体的需要がないうちからコンテンツを作り、発信していくところに特徴がある。また、後述する
ように、モデルが利益を生まない限りクリエイタにも還元しないという形態を採ることが現実的であると考えられる。してみると、クリエイタのモ
チベーションを維持するのは原理的に困難であると言わざるを得ない。一切の見返りを約束できないギャンブル状態で、一意専心素晴ら
しいコンテンツを作ってみろと言われても、まともな人間だったら普通は尻込みする。
そのため、C/Pモデルの、特に初期段階においては、例えばクリエイタ紹介を充実させるなど参画クリエイタが何かとテラネッツの他コン
テンツにて取り上げられるようにしたり、C/Pモデルに参加できるクリエイタを厳正な選抜で選び出し、かつ選抜に勝ち残ったクリエイタで
あることをC/Pモデル採用コンテンツか否かにかかわらずテラネッツの全コンテンツにおいて明示的に表示する(例えば、選抜クリエイタ
のクリエイタ名には必ず「☆」マークを付ける)等、C/Pモデルに参加できるということそれ自体が一種のステータスでありPR価値を持つと
いう事実状態を作ることが必須となる。
また、そうしたシステム的な部分と合わせて、テラネッツオフィシャルがモチベーションが低下していると思われるクリエイタを励起したり、
あるいはモチベーション維持のためにきめ細かなフォローをしたりという運用も必須である。クリエイタは工場設備と違い生身の人間である
から、そうしたソフト的対応で生産性が大きく変わることが充分考えられる。
(2) 問題点・利点
① 旧態依然とした「前払いモデル」からの脱却
100円200円ならともかく、最小価格帯でさえ1000円台にあるようなコンテンツに、今どき前払いで参加しようというような新規顧客は
まずいない。
郵便為替や銀行振り込み以外料金回収の手段がなかったメールトークの昔ならいざ知らず、オンライン決済がこれほど充実した現状
で前払いモデルに固執する理由はない。確かにキャッシュフローを考えればうまみはあるのだろが、そのようなバースト的キャッシュフ
ローよりも息の長いリメイニングなキャッシュフローを目指すべきである。ましてや、C/Pモデルは大規模設備投資がそうそう頻回に必
要になる形態ではないのだから。
② 顧客の目に触れる機会が増える=知名度・ロイヤルティ向上の機会が増える。
ここで言う「ロイヤルティ」は、ロイヤルティ契約の意味ではなく、「ブランド忠誠心」と呼ばれる概念。要は、「テラネッツって、イイよね」
と言ってくれる人を増やすということである。そのためには、まず「テラネッツ」を知ってもらわなければ始まらない。そしてサイトに来た人
に、「分かる」コンテンツを見せられなければ意味がない。
オーダーメイドのスーツばかり展示していても、オーダーした本人以外の人にとっては、なんだか窮屈で袖が短かったり丈が長すぎた
りする。オーダーメイドコンテンツは、オーダーした人以外のロイヤルティは上げられない。オーダーした人(キャラクタ)の背景を知って
いる顧客を前提に作成されるので、知らない人には「分からない」からである。
C/Pモデルでは、テレビやラジオと同じく、個性を把握できない新規市場に向けて立て続けに発信を行う。その発信のクオリティさえ
高ければ、必ず何らかの反応はあり、それを継続的ページビューにつなげていくことで、馴れ合いや惰性を超えた確固たる「ブランド
力」としてのロイヤルティが形作られていくと考えられる。
③ 極論すれば、有料コンテンツは売れなくて構わない。
前述のとおり、C/Pモデルが機能するか否かは、クリエイタの質に負うところが大きい。もちろんテラネッツの宣伝活動も必須であり欠
くべからざる営業要素だが、中身のない物は売れない。しかるに、いかにテラネッツの営業がビューアを誘導してこようが、そのサイトに
公開されているコンテンツが拙劣なものばかりであれば、あっという間に去ってしまう。
してみると、C/Pモデルで構築されたサイトが売り上げを生まないのは、その多くがクリエイタの責に帰するところである。
従って、テラネッツはクリエイタに一切の固定給を約束しない。クリエイタに支払われるのは、サイトのページビューがもたらした広告
収入、有料コンテンツの販売益からの利潤還元だけである。
だが、「クリエイタは有料コンテンツ作って自分で儲ければいいでしょ」というのは論外である。クリエイタはテラネッツを大きくし、テラネ
ッツはクリエイタを大きくする。この共生関係が作れない限り、テラネッツのサイトに優良なコンテンツが供給されることはあり得ない。ま
た、先も述べたとおり、エスプリの効いた無料コンテンツが早い回転数で供給され続けることがC/Pモデルの成否を分ける分水嶺にな
る。
そのため、テラネッツがC/Pモデルで利益を得れば、それは必ず一定の割合で貢献したクリエイタ達に分配されなければならない。
しかし儲からなかったら、分配しなければいいのである。
このとき、テラネッツはC/Pモデルスキームを採用するサイトの収支報告を、完全に公正かつ透明性を確保した形で報告しなければ
ならない。その信頼が失われれば、クリエイタは誰もC/Pモデルのサイトに参加しなくなる。
さてC/Pモデルのサイトをやってみたもののページビューも増えず有料コンテンツへの反響もなかったらどうなるか。どうもならない。
テラネッツの損失は、せいぜい各種サイトを作り込むのにかかった人件費ぐらいのもので、まったく無視して構わないとはいわないもの
の、ある程度の資本力があれば受容できる損失である。
一方で「やってみたら驚くほど反響があった」という嬉しい誤算の場合は、早急に設備増強をする必要がある。インターネットの世界で
は、サーバトラブルや回線混雑によるレスポンス低下は、即ビジネスロスであると認識しなければならない。
④ クリエイタ稼働率が向上する。
登録クリエイタは最良の経営資源である。何しろ正社員と違って保険料がかからないし、雇用しているだけで発生する人件費もない。
PCやサーバ類と違って電気代も食わないし、固定資産税もかからない。しかるに、いくら抱えていようが管理コストが微増する他は全く
と言っていいほど経営を圧迫しない。
そのため返って、クリエイタ稼働率をないがしろにしがちである。クリエイタ稼働率とは、登録クリエイタ総数に稼働可能日数をかけた
ものと、テラネッツにおけるクリエイタの実稼働日数との比率である。分かりやすくいえば、コンテンツを生んだクリエイタと生まなかった
クリエイタの比率である。これが低いと、クリエイタは「テラネッツでクリエイションしている」という感覚を失い、対顧客プレゼンスとは別の
指標としてのテラネッツの対クリエイタプレゼンスが低下する。早い話が、テラネッツで活動するモチベーションが低下する。
するとつまりは、同業他社とのかけ持ちや類似異業種・同人活動への移転が起きやすくなる。稼働率が低いままの時はそれでも大し
た影響はないが、いざ稼働率を上げようとしたときに、そうした「副業」が足かせになってクリエイタのキャパシティは上がらないこととな
る。
C/Pモデルの利点は、顧客が結果物を見て購入するか否かを決定できるという顧客側の低リスク性と、極論すれば有料コンテンツ
はなくてもいいという顧客間口の広さにある。これは、「うーん、この人に1000円で発注か」と躊躇されていたようなライン上にいるクリエ
イタにも、コンテンツ発表の機会を多く与えることができるということである。
従ってC/Pモデルではクリエイタ稼働率を上げやすく、そのために遊休経営資源を有効活用でき、それがそのままテラネッツのプレ
ゼンス維持に繋がるのである。
☆たとえばテラネッツにこれらのモデルを導入するとすれば。
これらのモデル(以下に出てくるものも含めて)は、現存する特定の会社を意識したものではなく、「インターネットを前提にコンテンツ提
供を業務として行う」企業であれば取り得るであろうと思える一般論として見てきました。
これらのモデルは、何もどれか一つに統合しなければならないというものではありません。ある事業ではこのモデル、別の事業ではまた別
のモデルという柔軟性を持つ余地は充分にあります。
ここでは、モデルケースとして利用してきたテラネッツにこれらのスキームを現実に導入するとすればどのようになるのか。
個人的にベストだと思える導入形式を考えてみたいと思います。
そのためにはまず、現行でテラネッツがどのような事業を行っているのか大まかに把握しておく必要があります。
①現在におけるテラネッツの事業。
ⅰ.WT…郵便媒体を介さずに行われるMT。ルールが厳格で「判定」の要素が強い。
ⅱ.OMC…イラスト、小説をOne to Oneで受発注するシステム。本来的自由度が高い。
ⅲ.BtoB…テラネッツが他法人から請け負うイラスト・文章の発注。
ⅳ.TCG…テラネッツが企画または作画・文章作成、販売を請け負うトレーディングカードゲーム事業。
ⅴ.TRPG…テラネッツが企画または作画・文章作成を請け負うテーブルトークRPGのルールブック出版事業。
ⅵ.タイアップ…テラネッツが他媒体・他社と共同して行うゲームまたはイベントの企画・運営事業。但し、その内容はⅲ.とⅳ.や
ⅰ.などの抱き合わせに過ぎない。
把握している範囲ではこのような形です。正式に資料提供を受けたわけではありませんから、抜け落ちや誤謬があった場合はご容赦
下さい。
②事業分類ごとの特色。
細かいことを言っていてはきりがありませんが、おおよそ以下のような特性があると考えられます。
基本的にはルールが厳格に適用されることが尊重される。自由度よりも管理容易性が重要。また、顧客とクリエイタ
ⅰ.WT
のインタラクティブなやりとりが一定サイクルで行われることが前提。
管理容易性より自由度が高いことが尊重される。ある程度の方向付けを与えたあとは規制をしない方が望ましい。顧
ⅱ.OMC
客とクリエイタの意思疎通は、必ずしもインタラクティブでなくとも、かつ必ずしも定期的でなくともよい。また、問題発生
時のトラブル範囲はもっとも広範。
ⅲ.BtoB
自由度の高さと企業間の信頼関係が重要な要因となる。1件あたりの単価は最も高い。
どの段階から関わるかによるが、いずれにせよ在庫を抱えざるを得ない事業であり、販売予測・生産計画管理の正
ⅳ.TCG
確性が求められる。販売単位数としてはもっとも期待できる。
企画・デザイン等に時間と人件費がかかる上、販売単位数もあまり期待できない。TRPG事業においてはルールブ
ⅴ.TRPG
ックそれ自体の出版ではなくルール・世界観・キャラクターに基づいた二次製品での利益確保が必要となる。
ⅵ.タイアップ
上記各事業に、他媒体のネームバリュー・企画力・顧客層などの付加が見込める。
③以上の分析に基づいて、適用してみるとすれば以下のようなプランを推します。
事業分類
推奨モデル
理由
現行のスキームに好適のゲームスタイルであり、変更の必要性はない。現在発生して
ⅰ.WT
現行テラネッツ型モデル
いる各種問題点は、スキームの構造的問題ではなく運用上の問題である。
管理コストを下げることによって経営資源をⅰ.に分配しやすくし、かつ自由度を上げ
ることで需要を掘り起こす。問題発生時のトラブル対応については、そもそも現状でテ
ⅱ.OMC
S/Pモデル
ラネッツによる対応がどれほど奏効しているかが不明確なので、対比としてはなんとも
言えない。但し、クリエイタの自己判断と自己責任において未然に回避することをもとめ
るべきと考えられる。
直接このモデルを利用するのではなく、C/Pモデルによって得られたネームバリュ
ⅲ.BtoB
C/Pモデル
ー・クリエイタの品質をバックボーンに事業を展開する。
ⅳ.TCG
現行テラネッツ型モデル
撤退しないのであれば現行のモデルを変える必要はない。
ⅴ.TRPG
現行テラネッツ型モデル
撤退しないのであれば現行のモデルを変える必要はない。
特に現行のモデルを変える必要はない。但し、タイアップできる他媒体や他社が倒
ⅵ.タイアップ
現行テラネッツ型モデル
産・解散・業務停止などによって減少傾向にあることが懸念材料。
ⅶ.新規事業
C/Pモデル
C/Pモデルを導入して、クリエイタ稼働率の向上、テラネッツブランドの確立を図る。
4.その他のモデル・サービス
個別に章立てするほどではないスキームやビジネスモデルを思いつくままに。
きっとこのうちのどれか(大半?)は挑戦したか検討したかしたことがあるのでしょうけれど、まあせっかくですから。
(1) 店舗
これはテラネッツ特有の問題かも知れないが、現実世界にハードとしての店舗を持っている。
となれば、借家であれば家賃が、自社社屋であれば固定資産税がかかっているはずである。真っ暗闇で営業するわけにも行かないし
無人にしておくわけにもいかないから、光熱費や人件費もかかる。概して、ハードとしての店舗はインターネットを前提としたビジネススキ
ームにおいてお荷物以外の何ものでもない。
もっとも、各種スキームを通じてテラネッツの知名度やロイヤルティが向上すれば、直営店として一定のプレゼンスを獲得する可能性は
ある。
(2) カストマインクルージョンモデル(C/Iモデル)
これ自体は、上記の他のモデルとは違って、他のモデルの上で動かすモデルとなる。C/Pモデルとは正反対に、コンテンツに対する
カストマのコミットをもっと増大させる。極論すれば、カストマがクリエイタを指揮しているような感覚を味わえるほどにコミットメントの余地を
認める。そしてそれを公開する。
当然にそのコンテンツの利用料金は非常に高いものとなるだろうが、可処分所得が相当にある顧客もごく一部いるようであるから、ある
意味では最大需要と供給可能量が釣り合っていていいのかも知れない。
また、株主総会式に投資量の多寡でプレイングの採否を決めるといった手法も考えられる。
但し、いずれにせよコンテンツそれ自体に大きな魅力があることが大前提。
(3) ゲームのソティスティケーション
オンラインで行われるゲームには、他にいわゆる「オンラインゲーム」がある。本来コンシューマーゲームといわれるジャンルは、プレイ
ヤーが一人で、せいぜい友人数人と楽しむものだったが、オンラインゲームの登場で「ゲーム」はそれ自体で「コミュニケーションツール」
としての役割を持つに至った。
その新たな側面が持つ効用は非常に大きいものがある。
しかし、そうしたオンラインゲームの多くは、世界が広大無辺であるがゆえにレアアイテムの収拾やキャラクターのレベルアップなど、ゲ
ームそれ自体の本来的楽しみには直接関連しない部分で時間を費やすことを求めることが多い。また、自由度の高さゆえにルールの間
隙をついてモラル違反ギリギリの行為をするものも多く、それが良識的ユーザを飽きさせ、白けさせる一因になっているように思われる。
時間がふんだんにあるユーザ、例えば学生やフリーター、在宅勤務者等にとってはオンラインゲームのその自由度は魅力だろうが、そ
うした顧客層は概して時間があって可処分所得がない。そして前述の大抵のコンテンツプロバイダにとって、利用時間の長短は売上額
には関係がない。また、現在の顧客は「利用時間ごとの課金」を好まない。ブロードバンドの登場で、インターネットは基本的に定額、最
低でも「単位回数」あたりの利用料で使えることがスタンダードとなっているからである。
従って、これからのコンテンツプロバイダが取りこむべき顧客は、言ってしまえば、時間をもてあました「放っておいても寄ってくる」顧客
ではなく、所得は多いが時間のない顧客層である。卑俗な言い方をすれば、「大人のためのゲーム」をラインナップに加えることが求めら
れるといえる。
しかしそれはアダルトゲームを揃えろということではない。インターネットを利用できるということは、非常に手軽にポルノグラフィティなど
のアダルトコンテンツにアクセスできるということであり、今さらアダルトコンテンツをサービスの戦列に加えたところでさしたる需要があると
は思えない。
ここでいう「大人のためのゲーム」とは、知的で洗練された、成熟した社会人がたしなむためのインテリジェントなゲームである。ソフィス
ティケーションという語は、「知性とウィットのある」という意味で複雑な、それが深みを生むゲームを、という意味で用いている。
もちろんそうしたゲームは、ビジネススキームをどうこうして生まれるようなものではない。ゲームを複雑にするだけならシステムとルール
でできるが、それに深みを与えるのはクリエイタの知性と感性だからである。
しかしながら、そうした本当の意味で顧客を満足させうる実力を持ったクリエイタは、受け入れる企業側として明確に「ソフィスティケート
されたゲーム」というフィールドを用意し、方針として「大人のためのじっくり楽しめるゲームを」というブランド戦略を打ち出さない限り集め
られないし、育てられないし、保持できない。
(4) プライズファウンデーション
顕彰を積極的に実施して、質が高くて他社がまだ発掘していないクリエイタを早期に囲い込んでおく。
(5) ASP
自社製TRPGやTCGをオンラインで遊ぶためのサービスを提供する。
ブランド知名度の向上やファン層の維持に有効と思われる。
(6) BtoB事業
イラストレーションや企業PRマガジン、個人のメールマガジンなどの制作やコンサルティング業務を行う。
(7) 内製調達
何か作るときは、まず登録クリエイタの手を借りられないか考える。いちいちそのための社員を雇用したり外注でまかなおうとしたりしな
い。無駄が多すぎる。
☆そしてテラネッツは変われるのか。
テラネッツに限った話ではなく、デジタルコンテンツに関わるビジネスとしてのありようの一般的なモデルとしていくつかのビジネススキー
ムを見てきたわけなのですが、これらのモデルは何もどれか一つに統合しなければならないというものではありません。ある事業ではこの
モデル、別の事業ではまた別のモデルという柔軟性を持つ余地は充分にあります。
それでは、これらのモデルを現実のテラネッツが導入としたとして、何か変わるでしょうか。
何も変わらないと、少なくともすぐに何かが変わったりはしないと、個人的には思います。その理由を挙げてみましょう。
①クリエイタがプロフェッショナルではない。
ほぼ全てのクリエイタがテラネッツでの創作活動を「腰掛け」や「趣味」以上のものとしてみていません。理由は簡単で、テラネッツで
仕事をしていても食えないからです。また、テラネッツの事業にほとんど発展性が感じられないことも一因でしょう。つまり、「いまはテラ
ネッツのこのコンテンツでしか創作ができないけど、いつかはあのコンテンツで活躍するのだ」というような進歩的パスが見えないので
す。
唯一に近い例外としてマスターとライターといったような区分けはありますが、あれは担当分野が明確に異なるから分かれているだけ
であって、進歩的パスではありません。
言ってみれば、誰もが平社員の会社。上昇志向を抱く動機付けが一切ないのがテラネッツにおけるクリエイタの立場なのです。
但し、企業発注やオフィシャル発注といったような特殊事案については、それなりに能力を評価されたクリエイタが担当しますから、そ
の意味では「昇進」的な実感を抱くチャンスがないわけではありません。しかしそれは継続的地位ではありませんし、それでは食えない
という実態に関しては全く変わりありません。
S/PモデルにしてもC/Pモデルにしても、あるいは他のいかなるモデルにしても、クリエイタの質は最終結果物であるコンテンツの
クオリティに直接影響してきます。そのクリエイタがプロフェッショナルではない以上、求めることができるクオリティには自ずから限界が
生じます。市場はそのようなコンテンツを受け入れたりはしないでしょう。
なお、テラネッツの仕事で食べていることと、いま現在テラネッツの仕事しかしていないこととは全く別のことであることは、言うまでもな
いと思います。
②オフィシャルとしての判断が曖昧。
担当者たる社員の個人的能力のゆえなのか、あるいは社内基準がはっきりしていないのかは不明ですが、とかくオフィシャルからの
判断・指令が曖昧で、時に自己矛盾的です。その顕著な例がリテイク指示で、特に文字数などに関しては担当が気分で判断している
と考えられなくもないケースが多発しています。また、一度リテイクされたノベルを誤ってそのまま再納品してしまったところ、今度は受
理されたというようなケースもあります。イラストに関しては、担当社員のモニターで確認したときには指示色と微妙に異なるように見え
る、といったような理由でリテイクがかかることがあります。そうしたリテイクは本来、顧客がかければよいものです。最終的には顧客のモ
ニターで確認するのですから。
③顧客・クリエイタへの情報伝達が遅い。
イベントや企画商品などの連絡が、時には準備期間2週間前後で伝えられてくることがあります。確かにハード的な何かを構築する
必要があることは稀ですから、クリエイタ側も顧客側も、対応が間に合わないわけではありません。
しかし、企業として何かの企画を行うときに準備期間が2週間だの1週間だのといった状態まで追いつめられないと決定が出せないと
いうのであれば、それは看過できない問題点です。
④保守的な社風。
社風と呼んでいいのかどうかはやや微妙ですが、テラネッツには変革をおそれ、規制を増やそうとする傾向があります。保守的方針
自体は悪いことではありませんが、それはあくまで企業としてのパフォーマンスに悪影響を与えないのなら、という前提での話です。も
ちろんこのことは、行きすぎた革新主義にも言えます。
テラネッツは社員数18人という、非常に小回りが利くはずの企業規模です。対して登録クリエイタは1000人以上、資本金は2億円以
上もあります。つまりは、どう多くても18人の意思さえまとめられれば、時価2億円分の資産と1000人の創作力を最低でも駆使できる
わけです。これだけのキャパシティを持ちながら事業革新をしないのは、少々もったいなさ過ぎるのではないでしょうか。
株主の意向なのかなんなのか知りませんが、もう少しアグレッシブであってよいと思えてなりません。保守方針はまだいいとしても、自
ら不必要な規制を増やして管理項目を増加させ、必然的にワークロードが捌ききれずに肝心の業務が滞るという流れだけは何とかす
るべきではないでしょうか。
⑤結論として、本当に変えるべきはビジネススキームそれ自体ではなく、退縮的な悪循環。
ビジネススキームを変えるのは、あくまでも利益の源泉を確保するための手段に過ぎず、スキーム変更それ自体が目的ではありませ
ん。
儲からないからクリエイタにも収入が発生せず、収入が発生しないからクリエイタはどんどん腰掛け化し、腰掛け化するからコンテンツ
の品質は上がらず、品質が上がらないから顧客はいずれ飽き、飽きるから離れていき、離れていくからますます儲からなくなる。
収支報告を読んだわけでも統計を取ったわけでもありませんから定かには言えませんが、個人的な感触として、テラネッツ含めインタ
ーネットでのイラスト・ノベルゲームコンテンツ業界はこういう悪循環に陥っているように思えます。
もしこの推測が正しければ、テラネッツに最終的に残るのは、「テラネッツ以外に行き場がない顧客」と「テラネッツ以外に行き場がな
いクリエイタ」だけです。そうした人々の個人的性向云々はさておくとして、テラネッツ以外に行き場がないということは概してテラネッツ
以外に社会的窓口が乏しいということであり、必然的に収入窓口も乏しいでしょうから、可処分所得はきわめて低いこととなります。
最悪のケースとしては、その「他に行き場のない顧客とクリエイタ」が、社会的実体として同一人物であるような場合でしょう。テラネッ
ツで稼いで、テラネッツで使う。他に外部から資金流入があることはごく稀。こんな状況に陥れば、あっという間にキャッシュの流れは枯
渇します。
こうしたシナリオを回避するには、悪循環を好循環に切り替えていかなければなりません。そのためには、テラネッツは積極的に儲け
に行くべきです。テラネッツが儲かればクリエイタの収入も増え、増えればプロフェッショナルでいられるクリエイタも増えます。
但しその際、既存顧客からもっと搾り取ることなど考えて、あざとい商法に手を出しても意味はありません。既存顧客の可処分所得の
範囲内では、すでに飽和状態に近いと予想されるからです。また、他社・他団体のゲームやコンテンツが終了したり停止したことによる
テラネッツコンテンツへの顧客流入は、実はさほど多くないか、人数としては多くても単位人数あたりの投資金額としては既存顧客を下
回るのではないかとも考えられます。
ゲームコンテンツは実用財ではありませんから、他社の拙劣な終了処理などで顧客が白けてしまえばそれで終わりですし、他メディ
アに比較してインタラクションを誘因要素とする部分が強いだけに、「このゲームがなくなったからじゃあ他のゲームで」とはなりにくい要
素を包含していると考えられるからです。また、現行の他社ゲームにすぐに飛び込んで旧来からのユーザーと同等の水準に立てるとは
想定しがたいという現実があります。先日のように、テラネッツの主要顧客となる層はゲームという社会の中でのステータスを重視する
傾向にありますから、最初からハンディを背負った状態でテラネッツにおけるリスタートを切ることを、必ずしも拒みはしなくとも歓迎はし
ないでしょう。他社ゲームでそれなりのステータスを手に入れていた(即ちそれなりの投資をしていた)顧客ほど、ゼロからのリスタートに
は難色を示すと思われます。前職で部長まで務めた人が、当社ではそれを全て忘れて平社員からやり直してくださいと言われてもな
かなか受け入れがたいのと同じです。
このことは、他社ゲームの顧客はむしろ、そうした他社ゲーム経験を持たない一般の潜在顧客よりも、テラネッツの顧客とはなりにくい
素地を持つという傾向を暗示します。
以上のことは単なる推論の域を出ていませんが、それを差し引いても、テラネッツは少しでも幅広く品質の高いコンテンツを、一つで
も多く提供し続けることで積極的に顧客層を広げるべきなのです。そうして常に新しい顧客を取り込み続けることでこそ、好循環は維持
され、結果として新しいビジネススキームを導入した目的も達されるはずです。
即ち、新しいビジネススキームを導入したから何か変わる、ということではなく、「こういう風に変えて行かなくてはならない」という確固
たる目的意識があった上で、その手段として新しいスキームを導入していくのでなければなんの意味もないのです。
そして現在のテラネッツにその変革の素地があるか? と聞かれれば、個人的には「ないでしょう」と答えます。変革をしないことが即
悪だとはいいません。が、その保守傾向が冷静な経営判断に基づくものであるのかというと、疑問を感じざるを得ないというのが正直な
ところです。