放蕩する

新ヒラリ ズム
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放蕩する
陽羅
義光
もしか する とラン ボー以 上に 、後世 に 影響を与 えた 詩人ボ ードレ ール
は、『 悪の華 』で 、
【「放 蕩」と 「死 」、
可憐な 二少 女、】
と詠じ てい る。
放蕩と 死が 可憐な どとい える のは、 ボ ードレー ルく らいの もんで あろ
うが、ボ ード レール にとっ てはそ うだ っ たのであ ろう 。
死の話 は長 くなる ので、 今後か 他人 に 譲るとし て、 今章は 放蕩の 話。
昔の江 戸っ 子は、
「宵越し の銭 はもた ねえ」
と粋が った が、江戸っ 子は放 蕩し て、無 一文にな っ て も何と かなっ た。
隣近所 が助 けてく れたし 、年を 越せ ば 借金もチ ャラ になっ た。
不幸に も、 現代は そうは いかな い。
東京っ 子は 放蕩し て(まあ 放蕩し なく ともなる とき はなる んであ るが )
無一文に なっ たらホ ームレ スにな る。
借金は 何年 経って も追い かけて くる 。
現代は 放蕩 しにく い時代 になっ た。
放蕩と いえ ば、女 よりは 遙か に男で あ ろうから 、現 代は男 が男ら しく
なる機会 を摘 み取る 時代な んであ ろう 。
それで も大 資産家 のボン ボン なんか は 、さかん に放 蕩をや って、 親の
資産を食 いつ ぶして いるか もしれ ない 。
実にけ っこ うな こ とであ る。
なぜな ら放 蕩する 者がい るな ら、放 蕩 される者 もい るわけ で、親 の資
産なんか 、後 生大事 に抱え てい るより も 、放蕩さ れる 者にく れてや るほ
うが、世 のた め人の ためで あるか らだ 。
けれど も貧 乏人が トチ狂 って 、放蕩 し たりする と、 家族は たまっ たも
のではな い。
だがそ れは 、放蕩 という より も、
「小蕩 」とい ったほ うがよ く、みみっ
ちいもん であ る。
今晩の 飯代 で酒を 飲み、子 供の貯 金箱 からいく ばく かの金 を失敬 して 、
女に貢ぐ 。
年金や 生活 保護の 金が入 ると 、すぐ に パチンコ 屋や 競馬場 にすっ 飛ん
でいく輩 がい るが 、「小 蕩」は 情けな く すらある 。
だがだ が、 それが 男ぞ。
男とい うも のは本 質的に 「小 蕩」で あ って、そ れが 厭なら 男なん か作
らないが いい 。
蓄財が 三度 の飯よ り好き な、 女々し い 男とか、 掃除 ・炊事 ・育児 が得
意な、ほ とん ど精神 的オカ マで ある「 三 じのあな た」 と結婚 するし かあ
るまい。
ちなみ に、 女々し い男と か精 神的オ カ マを莫迦 にし ている わけで はな
い。
結婚す るな ら、そ ういう 男を 選んだ ほ うが、よ ろし いんじ ゃない か、
と推奨し てい るほど である 。