除さい・カバー用フラックス

除さい・
さい・カバー用
カバー用フラックス
アルミニウムは酸素(O2)との結合が強いため、溶湯表面は常に酸化物の皮膜で覆われています。スクラップや切り粉屑などの
原料を溶解する場合、表面積が大きければ大きい程付着物の影響を受け、多量の酸化物が発生し、ドロスを形成します。
これら酸化物はそのままの形で製品中に巻き込まれると不良の原因なるので溶湯中より除去しなくていけません。
フラックスは、アルミニウム溶湯中の、非金属介在物・酸化物・溶湯表面のドロスを取り除く時(除さい処理)、または溶解中や
溶湯保持中の水素ガスの吸収や溶解酸化防止(カバー処理)の目的で使用します。
除さい・脱酸・カバー用フラックス製品一覧表
特 徴
環境
対応
タイプ
一般
低温
タイプ
一般
高温
タイプ
非Na
タイプ
使用温度
フィー
処理炉
範囲
ダー
N 115
660-750 ℃
△
◎
N 115S
700-800 ℃
×
N 118
630-690 ℃
N 200
合金
ドロス状態
使用量
ドライ→ウエット
/溶湯重量
製品名
反射炉
取鍋
タイプ
△
△
○
A
0.2-0.5%
△
◎
○
○
A
0.2-0.5%
○
◎
◎
○
◎
A
0.2-0.4%
700-740 ℃
×
◎
○
○
◎
A
0.2-0.4%
N 224
650-720 ℃
×
◎
○
○
◎
A
0.2-0.5%
N 284H
680-720 ℃
◎
◎
○
○
△
A
0.2-0.4%
N 330
720-750 ℃
×
◎
○
○
◎
A
0.2-0.4%
N 392
700-800 ℃
◎
◎
○
○
◎
A
0.2-0.5%
N 397
700-800 ℃
○
○
○
◎
△
A
0.2-0.5%
N 408H
700-800 ℃
◎
◎
◎
○
◎
A.B
0.1-0.4%
N 435
680-740 ℃
×
◎
◎
○
◎
A.B
0.2-0.4%
N 485F
720-800 ℃
◎
◎
◎
○
◎
A.B
0.2-0.4%
るつぼ炉 連続炉
合金タイプの説明
A:Si<11%・Mg<1%の鋳物用アルミニウム合金及びダイカスト用アルミニウム合金等
B:Si>11%・Mg>1%の鋳物用アルミニウム合金・展伸材・圧延材・純アルミニウム等
改良処理用フラックス
改良処理用フラックス
Al-Si系合金(シルミン合金)、Al-Si-Cu系合金などのアルミニウムにシリコン(珪素)が入っている合金では、機械的性質を
向上させる目的、及び引け巣を押さえる目的でナトリウムを添加します。
(改良処理)フラックスは粉末タイプ、錠剤タイプがあります。錠剤タイプは、溶湯表面に浮かべて使用するフロートタイプと溶湯中に
沈めて使用する沈降タイプがあります。沈降タイプは、サブマリンシステムと呼んでいます。 サブマリンシステムは、長時間・高
レベルのナトリウム安定維持に最適です。直接大気に触れないため、ドロスの発生も少なく、るつぼ・耐火材を
痛めることが少なく、他のナトリウム添加剤を使用する場合と比較すると設備の寿命が圧倒的に長くなります。
N a (pp m) →
サブマリンシステム
アルミニウム溶湯
Na
Na
安定剤の形状
Na
Na
30
20
再添加
10
再添加
従
来
再添加
品
添加
Na
60
Na
1 20
18 0
240
3 00
36 0
420
Time(min.) →
図1:サブマリンシステムによるNa添加概要
図2:従来品との比較Na値の推移
改良処理フラックス(フロートタイプ)製品一覧表
製 品 名
粉
末
錠
剤
Na管理値
使用温度
範 囲
30ppm以下
50ppm前後
100ppm前後
N764
670-730 ℃
使用量は
使用量は
使用量は
N764H
764H
710-770 ℃
溶湯重量の
溶湯重量の
溶湯重量の
N775
690-730 ℃
0.2%
0.3~
1.0~
N790
720-800 ℃
前 後
0.5%
1.5%
N780
700-740 ℃
前 後
前 後
サブマリンシステム(沈降タイプ)製品一覧表
製 品 名
Na管理値
使用温度
範 囲
30ppm以下
50ppm前後
100ppm前後
α
R 60
R 60
660-690 ℃
使用量は
使用量は
使用量は
タ
R 70
R 70
680-720 ℃
溶湯重量の
溶湯重量の
溶湯重量の
イ
R 80
R 80
710-750 ℃
0.1~0.2%
0.15~0.25%
0.3~0.5%
プ
R 90
R 90
740-790 ℃
前 後
前 後
前 後
合金タイプの説明
A:Si<11%・Mg<1%の鋳物用アルミニウム合金及びダイカスト用アルミニウム合金等
4 80
微細化処理用フラックス
微細化処理用フラックス
純アルミニウム及びアルミニウム合金(シリコン過共晶合金は除く)の引け巣の分散を目的として、改良処理と併用する処理に
微細化処理があります。微細化処理は、初晶アルミニウム組織を細かくします。このような効果がある元素はチタン(Ti)・ボロン(B)
・ジルコニウム(Zr)といったものです。
また、シリコンの過共晶合金においては、初晶シリコンを微細化する目的でリン(P)を添加します。
一般に微細化処理には下記の特徴があります。
1)耐圧性の向上:鋳込み後の鋳造組織が微細化されることにより、均一凝固するため、耐圧性の良い鋳造品ができます。
2)熱間割れの減少:結晶粒が微細なため、固溶体中の細かい収縮割れを防止します。
3)縮欠陥の減少:湯口や押し湯に起こる外引けは結晶粒寸法が原因する事が多いので微細化されると、押し湯が効き引け巣も
減少します。
4)機械的性質の改善:急冷を受けにくい肉厚部が、微細化されます。
5)熱処理後も、性質は変わりません。
6)鋳肌、陽極酸化皮膜の外観が改善(結晶粒が小さいため)されます。
微細化処理フラックス製品一覧表
添加元素
使用量
N820
Ti(チタン)
0.1~0.2%
N833M
Ti(チタン)・B(ボロン)
0.1~0.2%
Zr(ジルコニウム)
0.1~0.3%
P(リン)
0.2~0.3%
製 品 名
初
晶
ア
ル
ミ
ニ
ウ
ム
粉
末
製
品
使用温度
N870M
初晶シリコン
650℃以上
で、ご使用
下さい。
N887
N888
750℃以上
でご使用下
さい。
合金タイプの説明
A:Si<11%・Mg<1%の鋳物用アルミニウム合金及びダイカスト用アルミニウム合金等
B:Si>11%・Mg>1%の鋳物用アルミニウム合金・展伸材・圧延材・純アルミニウム等
合金タイプ
用 途
(A)(B)
エンジンパーツ
ホイール等
高ケイ素
合金(B)
ピストン等
不必要成分除去用フラックス
不必要成分除去用フラックス
アルミニウムの精錬では、酸化物除去と並んで重要な処理が、不必要成分の除去です。ここでいう不必要成分
とは、Mg(マグネシウム)とCa(カルシウム)をさします。
マグネシウム除去(脱Mg):
アルミニウム合金に含まれる不必要成分の中でマグネシウム二次合金製造の際、マグネシウム分がJIS規格を上回る事が
あります。これを規格内におさめるため、新材を入れ成分調整を行う場合が多々あります(特にADC12)。
この規格以上のマグネシウム分が微量の場合、マグネシウム除去用フラックスを添加し、規格内におさめます。
使用上の注意:
フラックスが溶湯全体に行き渡るように攪拌して下さい。
溶湯と十分に接触させないと、マグネシウム除去効率が下がります。
カルシウム除去(脱Ca):
カルシウムは特殊な場合規格値として管理することもありますが、湯流れを著しく悪くする作用があるため、一般的には除去
します。特に珪素の多い合金の場合、原料より不必要成分としてカルシウムが混入する可能性があります。
使用上の注意:
主にフィーダーを使用して処理を行います。かなりの発煙を伴いますので、必ず集塵を行って下さい。
不必要成分除去用フラックス製品一覧表
製 品 名
用 途
使用温度範囲
使用量目安
NX970
NX970
Mg除去
710~760℃
除去したいMg量の5~8倍
N960F
960F
Ca除去
700~800℃
アルミ溶湯重量の0.1~1.0%
*使用量は、マグネシウム・カルシウムの含有量により異なります。使用量目安の最少量を押し込みます。
または、吹き込み攪拌し、分析値が規格以下になるまで作業を繰り返して下さい。
フラックス添加による脱Ca効果
フラックス添加による脱Mg効果
0.60 %
140ppm
131
0.55 %
処理温度:750±20℃
120ppm
処理温度:780±20℃
0.50 %
100ppm
80ppm
0.52
0.45 %
95
0.44
0.47
0.38
0.40 %
62
60ppm
0.41
0.41
0.35 %
36
40ppm
25
21
22
20
16
0.4%
0.6%
45
20ppm
0.2%
0.31
0.35
0.30 %
0.32
0.28
0.25 %
0ppm
0%
0.35
0.39
0.8%
アルミニウム合金溶湯に対してのフラックス添加量(wt%)
0.20 %
0%
0.2%
0.4%
0.6%
0.8%
1%
アルミニウム合金溶湯に対してのフラックス添加量(wt%)