年齢と妊娠について - 八重垣レディースクリニック

yaetama 新聞
第2号
平成 26 年5月
4 月に創刊した yaetama 新聞ですが、皆様に大変ご好評いただいております。
今回も皆様の疑問にどんどんお答えしていきたいと思います!今回はとくに女性が気になる
「年齢と妊娠」について特集してみました。ぜひ、ご覧下さい!
Q4. 女性は何歳まで妊娠できるの?
A.一般的に女性は 20 代~30 代前半までが妊娠適齢期だと言われています。女性の年齢が 35 歳を過ぎたあ
たりから徐々に自然妊娠は難しくなっていき、38 歳以降になると急激に妊娠率は下がってしまいます。
近年は体外受精などの高度生殖医療技術が発達し、年齢の高い女性でも妊娠が可能になってきました。当院
では、体外受精により最高で 43 歳の妊娠・出産例が出ています。
Q5.なぜ、年齢と共に妊娠しづらくなるの?
A.女性が年齢と共に妊娠しづらくなる最大の理由・・・それは、加齢による卵子の質的変化です。
女性は加齢に伴い、受精率の低下や胚(受精卵)の質の低下、異常胚発生の増加、胚発育障害、着床障害・・・
など、妊娠の過程に様々な問題が生じてくることが体外受精の結果から明らかになっています。
最近はメディアでも「卵子の老化」として取り上げられる機会が増え、皆様の関心を集めている話題ではないでし
ょうか。ただ、残念ながらこの問題の解決法はほとんどなく、予防策としては少しでも年齢の若いうちに妊娠に対する
意識を高めていただくほかないのです。
Q6. 体外受精をすれば、年齢が高くても妊娠できますよね?
A. 体外受精をしても、年齢が高くなると妊娠は難しくなります。
体外受精=高い妊娠率とお考えの女性がいかに多いかと言うこ
とを、日頃診療に携わっていると感じます。体外受精の妊娠率は約
35%と前号で述べていますが、実はそれも自然妊娠と同様に女性
の年齢が上がるにつれて下がっていきます。実際のデータを右のグ
ラフにお示ししますが、やはり 35 歳を境に妊娠率は低下し、逆に流
産率は上昇しているのがお分かりいただけると思います。
そもそも体外受精とは、卵管に障害があって体内では受精が望め
ない女性のために研究開発された医療技術で、卵管障害のほかに
抗精子抗体陽性(体の中に精子を攻撃する抗体がある)や軽度の
男性不妊(精子の数がやや少なくなっている)の場合には明らかな効
果が期待できます。残念ながら年齢による卵子の質の低下をカバ
ーする技術ではないため、やはり妊娠率は女性の年齢に依存的に
なってしまうのです。
しかし、女性の年齢が 42 歳以下であれば、タイミング法や人工授
精といった一般不妊治療に比べて体外受精の方が妊娠率が高いと
いう事実もあります。
疑問を募集しています!!
yaetama 新聞では、皆様からの疑問
を募集しています。診察では聞けなかっ
たこと、ネットでこんなこと書いてあった
けど本当かな…と思ったことなどなんで
もありです!!
女性が妊娠を考える場合には、35 歳あたりが 1 つの節目になりそうです。近年は晩婚化・晩産化といわれる時代で高齢
出産も珍しくなくなりましたが、その一方でなかなか妊娠しないと悩む女性が増えています。そしてその最大の原因は「女
性の年齢」です。私達はこの新聞を通して正しい情報を提供し、妊娠を望んでおられる女性の力になれれば…と願ってい
ます。
発行:八重垣レディースクリニック
胚培養士