ブランド偽造品と消費者の反応 (サイズ 512KB)

Japan Marketing Academy
BOOK REVIEW
A テーマ書評シリーズ――粭
り出すためには,偽造という現象を理解する必
要があり,とりわけ消費者が偽造品を購買する
理由を理解しなければならない。言うまでもな
く,偽造品の価格が相対的に安いという事実は,
ブランド偽造品と
消費者の反応
消費者が偽造品を購買する重要な原因である。
しかしながら,価格は偽造品を選ぶ際の唯一の
原因ではなく,消費者の心理的要素や偽造品に
対する態度や文化・社会的背景や製品に関する
周凌帆
要素などの非価格要素が,消費者の偽造品購買
● 神戸大学大学院 経営学研究科 修士
に影響を及ぼすと主張する研究も少なからずあ
る(例えば,Cheok, et al., 1995; Cordell et al.,
1996; Garibaldi, et al., 1998; Ang et al., 2001;
Gentry et al., 2001; Chiou et al., 2005; Eisend
★ はじめに
and Schuchert-Gü ler, 2006; Chang and
偽造という問題は,“21 世紀の犯罪”だと言
Moores,2006; Cohen and Juggessur, 2009)
。
われている(International AntiCounterfeiting
偽造品は消費者のある需要・欲求を満たすた
Coalition,2006)。薬品,自動車部品,ファッシ
め,購買されているといえるが,その需要や欲
ョン関連製品,電気製品,化粧品,食品及び
求は様々である。偽造品によっては,機能的な
CD ・ DVD など,様々な製品カテゴリーにお
属性のため意図的に購買されるものがある。例
いて,偽造の問題が発生している。現在,市場
えば,CD や DVD などがその例として挙げら
における偽造品は多く,商標権者・ブランド管
れる。機能的製品の偽造品を取り扱った研究
理者にとってどのように偽造品に対応するのか
(例えば,Albers-Miller, 1999; Ang et al., 2001;
は重要な課題となっている。経済産業省の報告
Tan, 2002; Kwong et al., 2003; Chiou et al.,
書(2009)によると,調査対象となった企業
2005; Wang, 2005; Lau, 2006)は,偽造品に対
は,偽造に関連する被害の内容として,約 4 分
する購買意図に影響する要素として,消費者の
の 3 の企業が「ブランド・企業イメージの毀損」
偽造品に対する態度,道徳的配慮,倫理判断,
及び「模倣品・海賊版の増大」を,約 3 分の 2
社会的規範または入手容易性などの要素に注目
の企業が「真正品市場の混乱・縮小」を,約半
している。一方で,多くの偽造品はブランドが
数の企業が「売上高・シェア・利益の減少」及
もたらすステータスの魅力のため,購買される
び「消費者の安全に関わるリスクの増大」をそ
という主張がある(Cordell, et al., 1996)。非機
れぞれ挙げている。
能的な価値をもたらすブランド品やファッショ
偽造の問題は深刻さを増し,経済と社会にダ
ン関連製品の偽造品を取り扱った研究(例えば,
メージを及ぼしつつある。法律,商標管理,も
Bloch et al., 1993; Cheok, et al., 1995; Hoe et al.,
しくは製品の生産・デザインは,偽造に対応し
2003; Cohen and Juggessur, 2009; Dix, et al.,
ているのにかからわず,偽造自体は進行する一
2009; Kim, et al., 2009; Phau and Teah, 2009)
方である。そのような状況をふまえ,研究者も
は,道徳面の要素のほかに,ブランドに対する
偽造品対策の有効性に注目している(例えば,
態度,社会的地位・経済力を示すステータス消
Grossman and Shapiro,1988a, 1988b; Olsen
費,特定の集団への帰属,自己表現及び品質な
and Granzin, 1992,1993)
。より適切な対策を作
どの要素を検討してきた。なぜブランドの偽造
● JAPAN MARKETING JOURNAL 122
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)
112
http://www.j-mac.or.jp
Japan Marketing Academy
ブランド偽造品と消費者の反応
品はよく購買されているのか,その理由は,偽
用 い ら れ て き た 。 Grossman and Shapiro
造者にとって,ブランド品やファッション関連
(1988b)は,偽造とは,商標が登録された製
製品については,偽造しやすく,かつ低コスト
品とまったく同じ,あるいは類似の製品に,そ
で生産でき,なおかつ容易に販売できる。その
の登録された商標を不正使用したものと定義す
うえ,消費者のブランドの偽造品に対する需要
る。また,Fleisch, et al.(2009)では,製品の
は,ステータスの追求や流行に乗るといった欲
偽造とは,許可されていない状況において,本
望で高まっていく。
物製品の特徴をまねて製品を生産することであ
そこで,本稿ではブランドの偽造品に注目し,
ると定義されている。Cordell, et al.(1996)に
消費者はなぜ偽造品を購買するのかという問題
よると,知的財産権(商標,特許,著作権)で
をテーマとして検討し,偽造品を購買する消費
保護された特有の特徴のある財について,許可
者の特徴,消費者を引きつける偽造品の特徴,
されていない生産をすることが,偽造品生産と
消費者が偽造品に対する態度,及び偽造品がも
してみなされることになる。
たらす影響,消費者の対応についてこれまでど
偽造品という言葉は,一般に商標製品の場合
のように議論されてきたのかについて,様々な
において使われており,海賊版は著作権製品に
研究論文,書籍等の内容を整理する。
使われている(Bosworth, 2006)。模倣は,偽
造と海賊行為のような明白な商標権侵害と異な
っている。偽造と海賊行為とは,定義し,識別
★ 偽造品とは
するのが比較的容易である一方,模倣,あるい
日本では,警察庁が平成 23 年に最近 10 年間
はパッシング・オフ(passing off:自分で作っ
における知的財産権侵害品の押収状況を発表し
た商品を他人の名前やマークを付与しながら販
た。その発表によると,平成 16 年に押収され
売すること)は法律用語において,類似性とい
たブランド偽造品は 10 万点を越え,平成 20 年
う概念に基づいており,その類似性については,
には 50 万点に達したとされている。平成 21 年
知覚する人もいるし,知覚しない人もいること
から押収された点数が減ってきたが,まだ十数
になる(Wilke and Zaichkowsky, 1999)
。その
万点があった。この発表からもわかるように,
ために,ある人が不法の製品だと知覚したとし
現在,市場におけるブランド偽造品が多く,ブ
ても,他の人が同じように知覚し,必ずしも不
ランド管理者にとってどのように偽造品に対応
法の製品として定義されるものではない
するのかは重要な課題である。一方で,消費者
(Zaichkowsky, 1995)
。
にとっても,偽造品の存在は製品の選択購買に,
以上の定義はあくまでもブランドの生産者側
ある程度の影響をもたらすと考えられる。ブラ
からみたものである。消費者の視点から見ると,
ンドの偽造品が増加してくる原因として,ブラ
偽造は 2 つに分けられ,1 つは欺瞞的であり,
ンド・ネームは品質を保証するという機能を果
もう 1 つは非欺瞞的な性質を持つものである。
たすのみならず,消費者は自分がある特定のブ
欺瞞的偽造とは,消費者は購買している商品が
ランドの消費者であることを表すため,ブラン
偽造品であることに気がつかないようなことを
ド品を購買するという主張がある(Higgins
指す。逆に,非欺瞞的偽造とは,消費者が偽造
and Rubin, 1986)
。
品と認識していることが前提で購買している
ブランド偽造品に関する研究では,偽造品,
(Grossman and Shapiro, 1988a)。非欺瞞的偽
海賊版,及び模倣品という用語がよく使用され
造は,特にラグジュアリー・ブランド市場に普
ており,偽造品と模倣品とはしばしば混乱して,
及しており(Nia and Zaichkowsky 2000)
,そ
113
http://www.j-mac.or.jp
JAPAN MARKETING JOURNAL 122 ●
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)
Japan Marketing Academy
テーマ書評シリーズ
の市場において,消費者は,価格,流通チャネ
数などという非価格要素も消費者の偽造品の購
ル,及び劣った品質を手掛かりとして,偽造品
買傾向に影響を及ぼす。Bloch et al.(1993),
と本物を見分けることができる(Kim, et al.,
Albers-Miller(1999), Harvey and Walls
2009)。消費者が騙される可能性があると知覚
(2003),Lau(2006)たちが価格という要素に
する場合には,偽造品に対する購買意図の決定
焦点を当てた一方で,非価格要素に焦点をあて
要素と本物ブランド品に対する購買意図の決定
た研究も数多く存在する(例えば,Cheok, et
要素とは相当に異なる(Eisend, Schuchert-
al.,1995; Cordell et al., 1995; Ang et al, 2001;
Güler 2006)。
Chuen et al., 2002; Hoe et al.,2003; Wang et al.,
消費者の偽造品の購買の問題については,偽
2005; Eisend and Schuchert-Güler, 2006;
造品を購入する動機に関する研究群と,偽造品
Furnham and Valgeirsson, 2007; Cohen and
を購入する消費者の属性に注目する研究群との
Juggessur, 2009)。ここで消費者の偽造品購買
2 つの研究潮流がある。以下に,それらの研究
傾向・動機がどのような要素に影響を受けるの
の流れを詳細に述べていくことにする。
かに関係する諸研究を取り上げる。
Cheok, et al.,(1995)は,消費者はブラン
ド・メーカーの人目を引く経営手法と,ブラン
★ 偽造品についての購買動機
ド品のスノッブな外見に否定的な態度を持ち,
多くの商品は象徴的な特質を持っており,商
もしくは現在の社会的階層の位置や現在より高
品の消費は商品の機能的な実用性よりも社会的
い位置を示したいが本物を経済的に購入できな
な意味により行われることがこれまで消費社会
い場合,偽造品を購買する傾向があることを明
論的なアプローチで注目されてきた(例えば,
らかにした。そして,製品属性である外見,イ
Levy, 1959)。このアプローチでは,消費者は
メージ,目的,品質,及び知覚される流行も消
ブランド品に関して,その物質的なものを購買
費者の偽造品購買傾向に影響を与える。ステー
するだけでなく,そのブランドの使用者イメー
タス意識のある消費者は,富裕と社会的階層の
ジを通じて得られる自己表現欲求の満足や社会
イメージを伝えることができるブランド品を購
的地位の表現など,機能的便益以外に象徴的便
買する。偽造品は本物と同じような目的を満た
益を獲得するために,ブランド品を購買してい
すならば,あるいは製品サイクルが比較的短い
ることになる。
流行商品であれば,消費者は偽造品を購買する
Grossman and Shapiro(1988a)によると,
傾向があることが明らかにされた。さらに,流
消費者は,ブランド・ネームと結びつく名声を
行関連製品(財布,鞄,腕時計)において,消
より高く評価するため,同様の品質を持つノー
費者の教育水準も世帯収入も偽造品購買傾向に
ブランド品よりも偽造品に対してより多くの金
負の影響をもたらす一方で,機能的製品(海賊
額を支払うということが説明される。つまり,
版書籍,海賊版ソフト)においては,教育水準
消費者は安価なブランド偽造品を通じて,ステ
が正の影響をもたらすという結果になり,世帯
ータスや名声などブランドがもたらす便益を獲
収入が負の影響を与えることがわかった。この
得できるため,偽造品を購買するという主張で
ことは,高教育水準の消費者はより学問的興味
ある。
を持ち,パソコンソフトを利用することが多い
疑いなく,価格面での安さは消費者が偽造品
ため,書籍やソフトという機能的製品への需要
を購買するのに重要な要素であるが,心理的変
はより高く,偽造(海賊版)の機能的製品は本
数,製品属性変数,社会的背景及び人口統計変
物と同様な目的を満たすゆえ,教育水準が高い
● JAPAN MARKETING JOURNAL 122
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)
114
http://www.j-mac.or.jp
Japan Marketing Academy
ブランド偽造品と消費者の反応
ほど偽造品購買傾向が高くなるということによ
Eisend and Schuchert-Güler(2006)の研究
り説明される。
は,消費者の偽造品に対する購買意図における
Ang et al.(2001)は,消費者の偽造品や海
決定要素に関する先行研究を検討し,人,製品,
賊版に対する購買動機について研究し,シンガ
社会的・文化的背景という 3 つの要素にまとめ
ポールの消費者を対象として,個別面談形式の
た。さらに,休暇中などの状況も偽造品に対す
インタビューを行った。結果として,海賊版
る購買意図に影響を与えると指摘している。先
CD を購買しない消費者と比べて,購買する消
行研究において,調査された消費者の購買状況
費者は購買行為自体のリスクが相対的に低いと
が類似しているため,状況性が無視されるとい
考える。海賊版を購買する消費者は,歌手ある
う傾向があった。しかし,普段,偽造品と接触
いは音楽業界は社会から多くの利益を得ている
する機会があまり多くない消費者が休暇中に別
ため,海賊版は歌手あるいは音楽業界にとって
の場所に行くと,その休暇気分が偽造品に対す
あまり不公平ではないと考え,海賊版を購買す
る購買意図を促進することが指摘されている。
ること自体を非道徳的だと思わないことが判明
休暇のときに偽造品を購買することは,消費者
した。そこには,アジアの「共有哲学」から由
にとってプレゼント,記念品,休暇中のスポー
来することがあるという。共有哲学とは,知識
ツなどという目的が加わって,満足感を覚える
や技術は社会に利益を与えるように利用すべき
ことになる。そのほかに,本物の希少性は本物
であり,共有されるべきものであるという考え
に対する需要にのみならず,偽造品に対する需
方であり,本物を購買することは商標権者・著
要にも影響を与えることを明らかにした。すな
作権者のみが利益を獲得すると考え,偽造品を
わち,本物の希少性が失われると共に,消費者
通じて知識と技術が多くの人に共有されるため,
はその偽造品を購買する意欲が減少してしまう
非道徳的だと思わないのである。他方,価値意
ことが明らかになったのである。
(図− 1 参照)
識が高く,また規範に対する受容性が低く,そ
Cohen and Juggessur(2009)は,ファッシ
して誠実度が低いほど偽造品に対する態度が好
ョンとハイ・ファッション・ブランドの見栄え
意であるという結果が得られた。
がどのように偽造品の発展を促進するかについ
■図―― 1
消費者の偽造品に対する購買意図における決定要素(Eisend and Schuchert-Güler,2006)
人
製品
社会的・
(人口統計変数
・心理的変数)
(価格,製品
属性,希少性)
文化的背景
偽造品に対する態度
購買状況と気分
偽造品を購買する決定と意図
購買行動
115
http://www.j-mac.or.jp
JAPAN MARKETING JOURNAL 122 ●
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)
Japan Marketing Academy
テーマ書評シリーズ
て明らかにしている。ハイ・ファッション・ブラ
を購買する傾向を持っていたり,また購買しな
ンドは世界的に認められ,それらのハイ・ファ
い傾向を示すと主張してきた。偽造品消費者・
ッション・ブランドに対する欲望が偽造品の市
非偽造品消費者のプロフィールに焦点をあてた
場を広げている。Cohen and Juggessur(2009)
研究として,Garibaldi, et al.(1998); Tan
は,Johnson and Vigneron(1999)が提示し
(2002); Chuchinprakarn(2003); Kwong et
た名声を求める消費者の 5 つのカテゴリー(ヴ
al.(2003); Chiou, Huang and Lee(2005);
ェブレン,スノッブ,バンドワゴン,完璧主義,
Moores and Chang(2006); Cheung and
快楽主義)を用い,各カテゴリーのハイ・ファ
Prendergast(2006); Dix, et al.(2009); Kim,
ッション・ブランド消費者もしくはそのブラン
et al.(2009); Phau and Teah(2009)が挙げ
ドの偽造品消費者の購買動機付けを検討した。
ら れ る 。 そ の 中 で , Kwong et al.( 2003),
例えば,ヴェブレン効果に影響を受ける消費者
Cheung and Prendergast( 2006), 及 び
がハイ・ファッション・ブランドを購買する動機
Moores and Chang(2006)は,偽造品消費
付けは,物質的な富を見せびらかして顕示的消
者・非偽造品消費者の人口統計的変数について
費を行うということであり,一方で,スノッブ
分析してきた。また,Tan(2002), Dix, et al.
効果に影響を受ける消費者は,オピニオンリー
( 2009), Phau and Teah( 2009), 及 び
ダー・革新者になることを求め,商品の希少性
Moores and Chang(2006)は,誠実さや道徳
に引きつけられるため,ハイ・ファッション・ブ
的側面の要素について検討した。一方で,
ランド品あるいはその偽造品を購買することが
Chiou, Huang and Lee(2005),Kim, et al.
説明される。また,バンドワゴン効果によって
(2009), Phau and Teah(2009)は,文化的
影響を受ける消費者もあるとして,その背景に
背景や社会的背景が消費者の偽造品購買意図・
は,消費者は流行の仕掛人に追随し,前から存
行動へ影響を及ぼすことを論議した。ここでど
在するファッション概念と主流意見に従う傾向
のような消費者が偽造品を購買するのかに焦点
があることを述べている。一方,完璧主義者と
を当てた諸研究をとりあげる。
される消費者は高価格がブランド品質の表現で
Garibaldi, et al.(1998)は,本物志向の消費
あると考え,高品質・高価格がそのブランド消
者と偽造品志向の消費者の違いを分析し,彼ら
費者のステータスを示すので,ハイ・ファッシ
が重視する製品属性を明らかにした。また,偽
ョン・ブランド品を購買する。最後に快楽主義
造品の消費者を二種類に分け,それらの消費者
者とされる消費者は,ハイ・ファッション・ブラ
の偽造品に対する考え,及び購買動機・理由を
ンド品あるいはその偽造品は快楽,気持ちの満
検討した。本物志向の消費者は,ブランドと機
足のために購買すると説明される。
能と耐久性という製品属性がより重要であると
評価する一方で,偽造品志向の消費者は価格が
より重要な製品属性であると評価する傾向にあ
★ 偽造品を選択する消費者属性
る。さらに,機能性の要素が高く,流行性とい
前節において消費者は様々な動機付けで偽造
う要素において低い偽造品よりも,機能性要素
品を購買することに焦点をあてた研究群につい
が低く,流行性要素が高い偽造品がよく選択さ
て述べたが,しかしながら,消費者の属性に注
れることが明らかにされている。本物を購買す
目する研究潮流もある。少なからぬ研究者が,
る消費者よりも,偽造品を購買する消費者のほ
ある特質・人口統計的変数を持つ消費者,もし
うが偽造品に対して好意を持ち,偽造品に満足
くはある要素の影響を受ける消費者が,偽造品
していることが判明した。さらに,偽造品を購
● JAPAN MARKETING JOURNAL 122
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)
116
http://www.j-mac.or.jp
Japan Marketing Academy
ブランド偽造品と消費者の反応
買する消費者の類型を 2 つに分け,1 つは偽造
Dix, et al.(2009)は,消費者の個人的要因,
品と本物の類似性が高いと考え,偽造品は本物
消費者の偽造品に対する態度,及び知覚という
に匹敵するものと評価していることが指摘され
要因が,偽ラグジュアリー・ブランド品を購買
ている。この類型の消費者は自分が狡猾な消費
する意図に与える影響を明らかにした。個人的
者と思い,偽造品を購買すること自体が,制度
要因においては,誠実さが偽造品に対する態度
を破って抜け道を見つけるといった利口さを示
に影響を与える唯一の要因であるが,必ずしも
すと考え,偽造品を購買する。一方で,もう 1
これが購買意図を減少させるわけではない。ま
つの偽造品消費者類型は,偽造品と本物の類似
た,偽ラグジュアリー・ブランド品の耐用年数
性を低く知覚しており,偽造品は本物より劣っ
は消費者の購買意図に有意の影響を及ぼすこと
てはいるが,経済的に考えると,偽造品に対し
も明らかにしている。しかしながら,態度要因
て好むことになる。
と個人的要因は,消費者の偽ラグジュアリー・
Cheung and Prendergast(2006)は,中国
ブランド品に対する購買意図に影響を与えない
の消費者を対象として,VCD(video compact
ことが明らかになった。
disk),衣服,アクセサリーの偽造品の購入者
Kim, et al.(2009)は,消費者の偽ラグジュ
は人口統計的にみてどのように異なるのかを明
アリー・ブランドに対する欲望について,彼ら
らかにした。フォーカス・グループ・インタビ
のラグジュアリー・ブランド選好の根底に潜む
ューとアンケート調査の結果によると,海賊版
社会的動機付けが何であるかを明らかにした。
VCD の大口消費者の特徴は,教育水準がより
消費者のラグジュアリー・ブランド態度は,人
高く,ホワイト・カラーの男性である。なぜな
間関係の維持に役立つ社会的適応機能,あるい
らば,海賊版の VCD は英語版が多いため,一
は態度・価値・信念を人に伝えるのに用立つ価
定の教育水準に達していないと内容を理解しづ
値表現機能を果たすことが示された。消費者の
らいからである。そして,海賊版 VCD は発行
ラグジュアリー・ブランド態度が社会的適応機
が早く,供給量や種類が十分であると見られて
能を果たす場合には,偽造品に対する選好が強
いる。一方で,衣服,アクセサリーの偽造品は,
く,本物ブランドに対する選好にネガティブな
人口統計上に異なるグループの消費者であり,
変化が現れる。一方で,消費者のラグジュアリ
女性のみに顕著な変数となっている。衣服,ア
ー・ブランド態度が価値表現機能を果たす場合
クセサリーの偽造品の外見,幅広いバラエティ
のみ,消費者の偽造品消費に関する道徳的信念
ー,デザイン,生地・材料という側面でこのグ
は,彼らのブランド偽造品選好に影響するとい
ループの消費者はより高く評価している。とこ
うことが明らかにされている。
ろで,消費者の偽造品に対する認知と本物に対
Phau and Teah(2009)は,社会的要素と個
する期待とを比較すると,海賊版 VCD はすべ
人的要素は消費者の偽ラグジュアリー・ブラン
ての面で消費者の期待と認知が釣り合うことが
ド品に対する態度にどのように影響するかにつ
ないという結果を得ている。特にバラエティー
いて検討し,偽ラグジュアリー・ブランドの購
と品質と道徳と法律とアフターサービスの側面
入者と非購入者のプロフィールを明らかにした。
でこのアンバランスはもっとも顕著である。衣
中国上海の消費者を対象とするアンケート調査
服とアクセサリーの偽造品においては,耐久性
により,ステータス消費と誠実さが購買意図に
と品質とアフターサービスと道徳と法律の側面
強い影響を与える一方で,規範感受性,情報感
で期待と認知が釣り合うことがないという結果
受性,個人的満足,価値意識,ノベルティー・
となっている。
シーキングがより弱い影響を与えることが明ら
117
http://www.j-mac.or.jp
JAPAN MARKETING JOURNAL 122 ●
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)
Japan Marketing Academy
テーマ書評シリーズ
かにされた。さらに,偽ラグジュアリー・ブラ
to, 1996 ; Green and Smith, 2002),法律やマー
ンドに対する態度は購買意図に影響を及ぼすこ
ケティング戦略への影響(Zaichkowsky,1995),
とを発見している。さらに,上海がますます国
及び上述の偽造品購買の動機付けと偽造品消費
際化し,西欧文化の影響が強く見られるように
者の特徴について議論してきたが,偽造品が本
なったため,それが個人主義を助長した。この
物ブランドや本物消費者に与える影響について
ように個人主義が強くなったため,逆に,集団
の研究はまだわずかしかない。ここで偽造品が
主義が弱くなってしまったと考えられる。その
本物消費者にもたらす影響及びその対応に関す
ため,集団主義が偽ラグジュアリー・ブランド
る 2 つの研究をとりあげる。
に対する態度にも購買意図にも影響を与えない
Nia and Zaichkowsky(2000)は,偽造品の
という結果が出た。
激増が,ラグジュアリー・ブランドの特別のエ
以上,偽造品に関する研究を要約すると,消
クイティに与える影響を明らかにした。その結
費者は偽造品が本物より低価格であったり,本
果,偽造品を持たず,本物だけ所有する消費者
物と同様に機能的な便益,あるいは高社会地位
は,偽造品が劣った製品であり,本物のラグジ
を表すことや流行に乗るという象徴的な便益を
ュアリー・ブランド品を所有することが偽ラグ
もたらすため,偽造品を購買することが明らか
ジュアリー・ブランド品を所有することより名
にされた。また,共有哲学,集団主義という社
声があると考えていることがわかった。しかし,
会的要素,消費者の人口統計変数と価格意識,
より多くの偽造品を所有する消費者は,偽造品
規範受容,及び誠実度などという個人的要素が
は劣った製品ではないと考えていることも判明
偽造品に対する態度,もしくは購買意図に影響
した。さらに,7 割の回答者は,偽造品が広く
を与えることが分析されてきた。しかしながら,
手に入っても,本物ラグジュアリー・ブラン
偽造品に対する態度が偽造品に対する購買意図
ド・ネームがもたらす価値,満足,及びステー
に影響を及ぼすかどうかについては,研究によ
タスが弱まるわけではないと考える。すなわち,
って異なる結果となっており,議論の焦点とな
大多数の回答者は偽造品の入手可能性が,彼ら
るところである(例えば,Cheok, et al.,(1995)
の本物ラグジュアリー・ブランドに対する購買
Eisend and Schuchert-Güler(2006),Kim, et
意図にマイナスの影響を与えると思ってはいな
al.,(2009)と Phau and Teah(2009))。
いのである。また,本物かどうかにもかかわら
ず,すべての回答者はラグジュアリー・ブラン
★ 偽造品が本物ブランド及び
本物志向の消費者に与える影響
ド品が楽しみを与えてくれ,それに対して支払
う金額は価値があると思っていることが明らか
ブランド品の場合では,望ましくない人に模
になった。
倣されることで,ステータス・グループを見分
Commuri(2009)は,本物消費者が,偽造
ける象徴的な境界が壊されてしまうということ
品による排他性と名声の毀損に対してどのよう
が あ る ( Simmel 1907)。 さ ら に , Grossman
に対応するのかについて研究し,タイとインド
and Shapiro(1998a)は,偽造品は本物のステ
の本物志向の消費者を対象として,深層インタ
ータスを弱めて本物の消費者に負の影響を与え
ビューを行った。結果として,本物消費者が気
ると指摘した。しかしながら,偽造品に関する
に入るブランドが偽造された際に,採用する 3
研究では,偽造品が経済的側面に与える影響と
つの戦略が明らかになった。それは,移動,再
その対策(Givon, Mahajan and Muller, 1995 ;
生,アブランディング(abranding)の 3 つで
Chaudhury and Walsh,1996; Shultz and Sapori-
ある。移動戦略とは,そのブランドをあきらめ
● JAPAN MARKETING JOURNAL 122
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)
118
http://www.j-mac.or.jp
Japan Marketing Academy
ブランド偽造品と消費者の反応
るという戦略であり,この戦略を採用する消費
いると主張している。
者はより若い傾向があり,ブランドと上流階層
に結びつく装飾が彼らにとって重要であるため,
★ 残された研究課題
名声のあるブランドを購入する傾向にある。彼
最後に本テーマに関連する先行研究において,
らは偽造品消費者と間違えられるリスクを回避
するため,そのブランドをあきらめるようにな
また解明されていない研究課題について述べる
る。再生戦略とは,自分がそのブランドの最初
ことにする。
の常連客であることを詳しく他の人に伝えると
① 偽造品が本物や本物消費者に与える影響
いう戦略である。この戦略を採用する消費者は
今まで偽造品に関する消費者側の研究では,
相対的に上の年齢層であり,ブランドの排他性
消費者の偽造品を購買する要因(Grossman
を失ったことに不安を感じるが,そのブランド
and Shapiro, 1988a; Cheok, et al., 1995;
をあきらめる気がしない。彼らは偽造に対して,
Garibaldi, et al. 1998; Ang, et al., 2001; Eisend
偽造品を購買する人を軽視し,そしてかつて存
and Schuchert-Güler, 2006; Kim, et al., 2009;
在したそのブランドとの特権関係と排他性を展
Cohen and Juggessur, 2008),偽造品を購買す
示するように努力する傾向がある。最後のアブ
る消費者の人口統計的特徴,心理的特徴
ランディングとは,すべてのブランドを示す合
(Cheung and Prendergast, 2006; Dix, et al.,
図を隠す戦略である。この戦略を採用する消費
2009; Kim, et al,2009; Phau and Teah, 2009),
者は,偽造品を購買する人と金持ちの人を真似
偽造品がもたらす影響及びそれらの影響に対す
る人と同一視する。この戦略を採用する消費者
る消費者の対応と意識(Nia and Zaichkowsky,
は①ブランドを愛顧することを顕示しないこと
2000; Commuri, 2009; Gosline, 2009)について
が他者との主要な区別だと考え,②ブランドを
研究してきたが,偽造品が本物を志向する消費
愛顧することを公然と示さず,③そのブランド
者に影響を与えるのか,またどのような影響を
が他者に受け入れられないため,ブランド・ア
与えるのかについて先行研究ではまだ十分に解
フィリエーションというそのブランド使用者の
明されていないことが指摘される。
② 偽造品に対する態度が購買意図に与える
典型・イメージを隠す必要があると考えている
影響
のである。
Commuri(2009)はブランドの偽造品がブ
偽造品に対する態度と購買意図との関係につ
ランドの排他性・希少性及び名声にダメージを
いての先行研究において,多数の研究は偽造品
与えて,本物志向の消費者に影響を与えると考
に対する態度が購買意図に影響を与えると主張
え,深層インタビューにより,本物消費者が偽
している(Cheok, et al., 1995; Eisend and
造されたブランドを諦めたり,自分とブランド
Schuchert-Güler, 2006; Kim, et al., 2009; Phau
の関係を示したり,深くしたり,あるいはロゴ
and Teah, 2009)。つまり,偽造品に対する態
のない,よく知られていないブランド品にした
度が好意的であればあるほど,偽造品に対する
りすることで,ブランドの偽造品がもたらす影
購買意図が高くなると認識されている。しかし
響に対応するという結果を示した。一方で,
ながら,Dix, et al.(2009)がオーストラリア
Nia and Zaichkowsky(2000)の研究によると,
で調査した結果によると,必ずしも偽造品に対
ブランドの偽造品が存在しても,ブランドがも
する態度が購買意図に影響を与えないというこ
たらすステータスなどの価値が減少しないし,
とが明らかになっている。その理由は,消費者
本物と同様に偽造品も消費者に楽しみを与えて
は偽造品の販売と購買が違法であると認識する
119
http://www.j-mac.or.jp
JAPAN MARKETING JOURNAL 122 ●
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)
Japan Marketing Academy
テーマ書評シリーズ
かどうかにもかかわらず,他の違法行為と比較
するとたいした犯罪行為ではないと考え,その
ため,消費者の偽造品に対する態度は,偽造品
の購買を阻まないということが主張されている。
また,各研究の調査地域が異なるため,文化・
社会的背景も異なることが指摘される。文化・
社会的背景により,偽造品に対する態度が変わ
る(Eisend and Schuchert-Güler, 2006)ため,
文化・社会的背景の違いが調査結果に影響を及
ぼしたとも考えられる。そこで,偽造品に対す
る態度が偽造品に対する購買意図への影響につ
いて,あらためて検討する必要があろう。文
化・社会的背景がどのように偽造品に対する態
度に影響を与えるのかについて明らかにするこ
とも重要だと考えられる。当該分野はブランド
論と消費者行動研究において重要な研究領域で
あり,さらなる発展が望まれる。
参考文献
Albers-Miller, Nancy D. (1999), “Consumer Misbehavior:
Why People Buy Illicit Goods.”Journal of Consumer
Marketing, 16(3), 273-87
Ang, Swee Hoon; Cheng, Peng Sim; Lim, Elison
A.C.;Tambyah, Siok Kuan (2001), “ Spot the
Difference: consumer responses towards counterfeits,”
Journal of Consumer Marketing, 18(3), 219-235
Bloch, Peter H.; Ronald F. Bush; Leland Campbell (1993),
“Consumer 'Accomplices' in Product Counterfeiting”
Journal of Consumer Marketing, 10 (4), 27-36
Bosworth, Derek. (2006), “Counterfeiting and Piracy: The
State of the Art,” Working Paper, Oxford.
Chaudhury, Peggy E.; Michael G. Walsh (1996), “An
Assessment of the Impact of Counterfeiting in
International Markets: The Piracy Paradox Persists”
Columbia Journal of World Business, 31 (3), 34-48
Cheok, Kim-Hong; Tan, Soo-Jiuan; Wee, Chow-Hou (1995),
“Non-price Determinants of Intention to Purchase
Counterfeit Goods,”International Marketing Review,
12(6), 19-46.
Cheung, Wah-Leung; Prendergast, Gerard (2006) “Buyers'
Perceptions of Pirated Products in China,” Marketing
Intelligence & Planning, 24(5), 446-462 Chiou, Jyhshen; Huang, Chien-yi; Lee, Hsin-hui(2005) “The
● JAPAN MARKETING JOURNAL 122
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)
Antecedents of Music Piracy Attitudes and Intentions”
Journal of Business Ethics 57(2), 161-74
Chuchinprakarn, Supanat (2003) “ Consumption of
Counterfeit Goods in Thailand: Who Are the Patrons?”
European Advances in Consumer Research 6, 48-53
Chuen, Leung Hing; Phau, Ian; Prendergast, Gerard (2002),
“Understanding Consumer Demand for Non-Deceptive
Pirated Brands,” Marketing Intelligence & Planning,
20(7), 405-16
Cohen, Geraldine; Juggessur, Joshie(2009) “Is Fashion
Promoting Counterfeit Brands?,” Journal of Brands
Management, 16(5/6),.383-394
Commuri, Suraj (2009), “The Impact of Counterfeiting on
Genuine-Item Consumers' Brand Relationships,”
Journal of Marketing, 73(3), 86-98
Cordell, Victor V.; Kieschnick, Robert Jr.; Wongtada, Nittaya
(1996), “Counterfeit Purchase Intentions: Role of
Lawfulness Attitudes and Product Traits as
Determinants,” Journal of Business Research, 35(1),
41-53
Dix, Steve; Phau, Ian; Sequeira, Marishka (2009),
“Consumers' willingness to knowingly purchase
counterfeit products,” Direct Marketing, 3(4), 262-281
Eisend, Martin ;Schuchert-G 殕 er, Pakize (2006),
“Explaining Counterfeit Purchases: A Review and
Preview,” Academy of Marketing Science Review,
2006(12)
Fleisch, Elgar; Staake, Thorsten; Thiesse, Fre ´ de ´ ric
(2009), “The Emergence of Counterfeit Trade:a
Literature Review,” European Journal of Marketing,
43(3/4), 320-349
Furnham, A.;Valgeirsson, H. (2007), “The Effect of Life
Values and Materialism on Buying Counterfeit
Products,” Journal of Socio-Economics, 36(5), 677-85
Garibaldi, Barbara; Pilcher, Julie; Tom, Gail; Zeng, Yvette
(1998), “Consumer demand for counterfeit goods,”
Psychology and Marketing, 15(5), 405-421
Gentry, James W.; Putrevu, Sanjay; Shultz, Clifford J. II.;
Connuri, Siraj(2001), “How About Ralph Lauren? The
Separation of Brand and Product in Counterfeit Culture”
Advances in Consumer Research, Vol.28, 258-65
Givon, Moshe; Vijay Mahajan; Eitan Muller (1995),
“Software Piracy: Estimation of Lost Sales and the
Impact on Software Diffusion” Journal of Marketing,
59 (1), 29-37
Gosline, Renee Ann Richardson (2009),“The Real Value of
Fakes: Dynamic symbolic Boundaries in Socially
Embedded Consumption,” D.B.A., Harvard
120
http://www.j-mac.or.jp
Japan Marketing Academy
ブランド偽造品と消費者の反応
University,2009
Green, Robert T.; Smith, Tasman (2002), “Countering
Brand Counterfeits,” Journal of International
Marketing, 10 (4), 89-106
Grossman, Gene M.; Shapiro, Carl (1988a), “Foreign
Counterfeiting of Status Goods,” The Quarterly
Journal of Economics, 103(1), 79-100
――――(1988b), “Counterfeit-Product Trade,” The
American Economic Review, 78(1), 59-75
Harvey, P.J.; Walls, W.D. (2003), “Laboratory Markets in
Counterfeit Goods: Hong Kong versus Las Vegas,”
Applied Economic Letters, 10(14), 883-937
Higgins, Richard S.; Rubin, Paul H. (1986), “Counterfeit
Goods,” Journal of Law and Economics, 29(2), 211230
Hoe, Lee; Gillian Hogg; Susan Hart (2003) “Fakin' It:
Counterfeiting and Consumer Contradictions.”
European Advances in Consumer Research, Vol. 6, 6067
International AntiCounterfeiting Coalition (2006), Facts on Fakes,
http://4356049642aa3c99a6e91c99180a8219894d6198.g
ripelements.com/pdf/member- resources/facts_on_fakes.pdf
Johnson, Lester W.; Vigneron, Franck (1999), “A Review
and a Conceptual Framework of Prestige-Seeking
Consumer Behavior,”Academy of Marketing Science
Review, 1999(1)
Keller, Kevin Lane (1998), Strategic Brand Management,
(恩蔵直人, 亀井昭宏(訳)『戦略的ブランド・マネ
ジージェンシー出版部,2000 年)
Kim, Hyeong Min; Sen, Sankar; Wilcox, Keith (2009),”
Why Do Consumers Buy Counterfeit Luxury Brands? ,”
Journal of Marketing Research, 46(2), 247-259
Kwong, Kenneth K.; Oliver H. M. Yau; Jenny S. Y. Lee; Leo
Y. M. Sin; Alan C. B. Tse (2003) “The Effects of
Attitudinal and Demographic Factors on Intention to
Buy Pirated CDs:The Case of Chinese Consumers”
Journal of Business Ethics 47(3), 223-35
Lau, Eric Kin-wai (2006) “Factors Motivating People
Toward Pirated Software.” Qualitative Market
Research: An International Journal 9 (4), 404-19Levy,
Sidney J. (1959), “Symbols for Sale,” Harvard
Business Review, 37(4), 117-124
Moores, Trevor T.; Jerry Cha-Jan Chang (2006), “Ethical
Decision Making in Software Piracy:Initial Development
and Test of a Four-Component Model” MIS Quarterly
30 (1), 167-80
Nia, Arghavan; Zaichkowsky, Judith Lynne (2000), “Do
Counterfeits Devalue the Ownership of Luxury Brands,”
121
http://www.j-mac.or.jp
Journal of Product & Brand Management, 9(7), 485-497
Phau, Ian; Teah, Min (2009), “Devil wears (counterfeit)
Prada: a study of antecedents and outcomes of attitudes
towards counterfeits of luxury brands,”Journal of
Consumer Marketing, 26(1), 15-27
Simmel, Georg, Ed. (1907), On Individuality and Social
Forms. University of Chicago Press
Tan, Benjamin (2002) “Understanding Consumer Ethical
Decision Making With Respect to Purchase of Pirated
Software” Journal of Consumer Marketing, 19 (2), 96111
Wang, Chih-Chien (2005) “Factors that Influence the Piracy
of DVD/VCD Motion Pictures” Journal of American
Academy of Business, 6 (2), 231-37
Wang, F.; Zhang, H.; Zang, H.; Ouyang, M. (2005),
“Purchasing Pirated Software: an Initial Examination of
Chinese Consumers,” Journal of Consumer Marketing,
22(6), 340-51
Wilke, Ricky; Zaichkowsky, Judith Lynne (1999), “Brand
Imitation and Its Effects on Innovation, Competition,
and Brand Equity,” Business Horizons, 42(6), 9-18
Zaichkowsky, Judith Lynne (1995), Defending Your Brand
Against Imitation: Consumer Behavior, Marketing
Strategies and Legal Issues, Quorum Books
模倣品・海賊版対策の企業経営・社会に対する貢献の
分析に関する調査研究報告書,
http://www.meti.go.jp/policy/ipr/pdf/200904houkokusho/
keieikokendohokokusho.pdf, 日本経済産業省,2009
年4月
偽ブランド品・海賊版の根絶に向けて
http://www.npa.go.jp/safetylife/seikeikan/niseburando.pdf
日本警察庁,2011 年
周 凌 帆(しゅう りんほん)
台湾私立元智大学企業管理学部卒
神戸大学経営学研究科修士課程修了
JAPAN MARKETING JOURNAL 122 ●
マーケティングジャーナル Vol.31 No.2(2011)