米欧豪の SOFC 開発の開発動向 SOFC 技術開発のブレークスルーは、1980 年代にウェスティングハウス・エレ クトリック(以降、ウェスティングハウス)によってなされました。ウェステ ィングハウスは、基本的な材料を選定しただけでなく、製膜方法(電気化学的 蒸着法:多孔体に緻密な薄膜を形成)を開発して、円筒縦縞型シールレス構造 を考案し、SOFC スタックを製造することに成功し、その性能が良好であること を実証しました。 とはいっても、真空容器中で製膜するため製造コストが高く、1 セルの長さが 円筒の半周部分に当たるため出力密度を高くできない(0.2W/cm3)ことが実用化 の技術課題でした。 図1 ウェスティングハウスの提案した SOFC 円筒縦縞構造と構成材料 現在、米国では「SECA(Solid State Energy Conversion Alliance)プロジ ェクトのフェーズ 2」が進行していますが、SOFC は石炭&電力システム技術と 位置づけられています。つまり、産業用発電規模の SOFC を目指していると推測 されます。 *SECA 1999 年に設立された産学官連携での SOFC 開発プロジェクト。詳細は Web サイト参照。 **SECA プログラムの内容はリンクを参照(PDF)。 ところが、システム事業者として参加していた General Electric(GE)が抜 け、Fuel Cell Energy(FCE)と Siemens の 2 社に絞られ、残された FCE と Siemens の両社が石炭をガス化させたものに対応する SOFC システムに取り組んでいまし た。しかしながら、2010 年には不採算を理由に、Siemens の燃料電池事業売却 が伝えられており、現在では、Siemens は SECA プロジェクトからも脱退してい るようです。 SECA プロジェクトでは、SOFC 実用化を目指して、耐久性や务化防止の技術開 発が進められていますが、米国のことですから、軍事利用を想定した分散電源 車なども開発テーマに加えられています。 従って、家庭用定置型 SOFC で技術開発競争を進めている日本の現状とは大き く異なっています*。 図2 SECA におけるシステム担当企業の動向 海外企業で、中小型定置用 SOFC に取り組み、商品化している企業は Ceramic Fuel Cells(オーストラリア)と NexTech Materials(米国)くらいでしょう。
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