㈱テレビ朝日 (9409) 平成 20 年3月期 中間決算短信 1.経営成績 (1) 経営成績に関する分析 当中間連結会計期間の日本経済は、アメリカ経済の減速懸念、原油価格の高騰などの不安要素は ありましたが、輸出の拡大により企業収益が高水準で推移していることを背景に、穏やかな景気拡 大を続けました。 放送業界におきましては、個人消費の回復の弱さなどにより、企業の業況感に一部慎重さがうか がわれたこと、また、前年同期には「2006FIFA ワールドカップ TM ドイツ大会」があったこともあ り、広告出稿の回復までは至りませんでした。 このような経済状況のなか、当社グループは、テレビ放送事業はもとより、音楽出版事業やその 他事業での収益確保に努めましたが、当中間連結会計期間の売上高は、1,246 億 3 千 2 百万円で、 前年同期比 9 千万円(△0.1%)の減収となり、営業費用は、前年同期比 31 億 4 千 3 百万円(+2.7%) 増の 1,205 億 3 千 1 百万円となりました結果、営業利益は 41 億 1 百万円で、前年同期比 32 億 3 千 3 百万円(△44.1%)の減益となりました。 経常利益は 52 億 7 千 1 百万円で、前年同期比 26 億 9 千 9 百万円(△33.9%)の減益、中間純利 益も 26 億 4 千万円で、前年同期比 16 億 6 千 8 百万円(△38.7%)の減益となりました。 事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりであります。 ①テレビ放送事業 当中間連結会計期間の視聴率は、プライムタイム(19 時~23 時)が 12.2%(前年同期比△0.2 ポイント)、全日帯(6 時~24 時)が 7.7%(同+0.2 ポイント)、ゴールデンタイム(19 時~22 時) が 11.2%(同△0.3 ポイント)をマークいたしました。とりわけプライムタイムは 3 期ぶりの 2 位 奪回、全日帯も 5 期ぶりの単独 3 位と、大きな躍進を遂げました。さらに、若者視聴者の多いプラ イム 2(23 時~25 時)は 8.3%(同△0.5 ポイント)で 5 期連続の 1 位を達成。若者から高い支持 を得るバラエティー番組を多く輩出するなど、幅広い視聴者層の獲得および次代のソフト開発は順 調な成果を見せております。 音楽・バラエティー系番組では、「ビートたけしの TV タックル」 (月曜 21 時)が平均 15%に迫る 高い視聴率を維持しているほか、 「いきなり!黄金伝説。」(木曜 19 時)、「クイズプレゼンバラエティ ーQ さま!!」(月曜 20 時)、「ミュージックステーション」(金曜 20 時)などが、若い層を中心に高 い支持を得ています。さらに単発番組でも「芸能人雑学王最強 No.1 決定戦」「痛快!ビッグダディ」 など、多くの高視聴率番組を放送いたしました。 映画・ドラマでは、「スペシャルドラマ 必殺仕事人 2007」が高視聴率を記録。さらに黒澤明ド ラマスペシャル「天国と地獄」「生きる」を 2 夜連続で放送し、どちらも高い評価をいただきました。 さらにレギュラー枠でも「日曜洋画劇場」が平均 14.4%、「土曜ワイド劇場」が平均 14.5%と高視 聴率を記録したほか、「警視庁捜査一課 9 係」「女帝」「帰ってきた時効警察」などが、安定した支持 を得ました。 報道情報番組では、「報道ステーション」が平均 14.4%と安定した高視聴率を獲得しているほか、 「スーパーJチャンネル」「スーパーモーニング」「ワイド!スクランブル」などのベルト番組も好調 な視聴率を記録いたしました。また、7 月に行われた参議院選挙当日には、 「選挙ステーション 2007」 を放送。視聴者のみなさまの求める情報を的確に捉えた報道で、引き続き厚い信頼を得ております。 スポーツでは、7 月に行われたサッカー「AFC アジアカップ 2007」を地上波独占放送。準決勝の 「日本×サウジアラビア」が 25.0%、3 位決定戦の「日本×韓国」が 24.2%を記録し、6 試合平均 で 20%を超える視聴率を獲得するなど、視聴者のみなさまから「スポーツのテレ朝」として高い支 -3- ㈱テレビ朝日 (9409) 平成 20 年3月期 中間決算短信 持をいただいております。 以上のような状況のなか、収益確保に向けて、積極的な営業活動を展開いたしました。 その結果、タイム収入は、レギュラー番組において、「オーラの泉」「クイズプレゼンバラエティ ーQ さま!!」「笑顔がごちそう ウチゴハン」などを中心にベースアップを図ることができ、単発番 組でも、サッカー「AFC アジアカップ 2007」やサッカー「北京オリンピックアジア地区最終予選」 などで売上目標を達成したことにより、465 億 2 千 6 百万円となりました。昨年度の「2006FIFA ワ ールドカップ TM ドイツ大会」や「FINA シンクロワールドカップ 2006」の目減り分が大きかったた め、前年同期比では 10 億 2 千 2 百万円(△2.2%)の減収となりましたが、概ね順調に推移いたし ました。 一方、スポット収入は、東京地区出稿量が 4 期連続の前年割れ(△1.0%)という厳しい市況でし たが、視聴率上昇を背景として積極的な営業活動を行ったことにより、492 億 5 千万円となり、前 年同期比 1 億 6 千 1 百万円(+0.3%)の増収となりました。この結果、シェアアップ目標を達成し、 個別で半期の売上高が初めて TBS を抜いて 3 位となりました。業種別では、引き続き「金融・保険」 が大幅減収となったほか、「輸送機器」「電気機器」は前年同期を下回りましたが、「サービス・娯楽」 「住宅・建材」や、政党、郵政公社が含まれる「その他」が好調でした。 また、番組販売収入は、前年同期比 1 億 9 千 7 百万円(+3.3%)増の 61 億 1 千 3 百万円、その 他収入は、株式会社放送技術社、株式会社トラストネットワークなどの放送関連収入の増収などに より、前年同期比 2 億 7 千 9 百万円(+3.9%)増の 74 億 7 千 2 百万円となりました。 以上の結果、テレビ放送事業の売上高は 1,093 億 6 千 2 百万円で、前年同期比 3 億 8 千 4 百万円 (△0.4%)の減収となり、営業費用は前年同期比 28 億 1 千 7 百万円(+2.7%)増の 1,071 億 1 千 6 百万円となりました結果、営業利益は 22 億 4 千 6 百万円で、前年同期比 32 億 1 百万円(△58.8%) の減益となりました。 ②音楽出版事業 音楽著作権・著作隣接権の管理事業は、楽曲の配信市場の拡大などにより、堅調に推移しており ます。 音楽コンテンツ事業では、“ケツメイシ”のアルバム「ケツノポリス 5」やシングル 2 作品、“湘 南乃風”のシングル「睡蓮花」などがリリースされ、いずれも大ヒット作品となりました。 アーティストマネジメント事業では、“ケツメイシ”“HY”“湘南乃風”などが全国各地で開催され た夏の大型コンサートにゲスト出演し、各会場でのアーティストグッズ販売も実績を上げておりま す。前年同期に“HY”のアルバムの大ヒットがあったことなどから減収とはなるものの、専属アー ティストの順調な活躍により、堅調に収益を上げております。また、新人アーティストのプロモー ション活動など、ヒットアーティストを継続して輩出すべく事業展開を実施しております。 以上の結果、音楽出版事業の売上高は 42 億 5 千 2 百万円で、前年同期比 9 億 2 千 1 百万円(△17.8%) の減収となり、営業費用は前年同期比 4 億 1 千万円(△10.7%)減の 34 億 3 千 7 百万円となりまし た結果、営業利益は 8 億 1 千 4 百万円で、前年同期比 5 億 1 千万円(△38.5%)の減益となりまし た。 ③その他事業 出資映画事業では、ゴールデンウィーク恒例「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆 弾!」が興行収入 15 億円を超える、シリーズ 15 作中歴代 3 位の大ヒットとなりました。夏休み恒例 の「仮面ライダー電王・獣拳戦隊ゲキレンジャー」も興行収入 13 億円を超え、シリーズ 7 作品中、 歴代 3 位の大ヒットとなりました。また、昨年 12 月公開の「武士の一分」や 2 月の「さくらん」な -4- ㈱テレビ朝日 (9409) 平成 20 年3月期 中間決算短信 どの二次利用収入も堅調に推移しております。 また、インターネットや携帯電話向け会員制有料情報サービス、番組連動データ放送など、幅広 くクロスメディア展開をしています。 イベント事業では、「RED HOT CHILI PEPPERS」「Ryu Siwon Concert 2007 “With You”」「ブロー ドウェイミュージカル ヘアスプレー」「SUMMER SONIC 07」をはじめ、数々のイベントを開催し、 多くの観客を動員いたしました。 そのほか、7 月末にブランドネームを「Ropping」に統一したテレショップ事業は、「セレクショ ン X」や「ちい散歩」内の通信販売が好調に推移いたしました。さらに、 「帰ってきた時効警察」 「相 棒」などの番組のビデオ・DVD 販売をはじめ、商品化、出版などのコンテンツビジネスにも精力的 に取り組みました。 また、昨年 4 月から自主運営の CS 放送「テレ朝チャンネル」も加入者数を着実に増やしておりま す。 以上の結果、イベント事業やビデオ・DVD 化事業の好調により、その他事業の売上高は 161 億 2 百万円で、前年同期比 20 億 5 百万円(+14.2%)の増収となり、営業費用は前年同期比 15 億 2 千 5 百万円(+11.3%)増の 150 億 5 百万円となりました結果、営業利益は 10 億 9 千 6 百万円で、前 年同期比 4 億 8 千万円(+77.8%)の増益となりました。 なお、通期の見通しにつきましては、日本経済は、企業収益の回復を背景として、引き続き堅調 に推移すると見られています。 このような経済状況のなか、当社グループ収入に大きな影響を及ぼすテレビ広告市場は、必ずし も楽観視できる状況ではありませんが、視聴率の上昇を背景としたテレビ広告収入拡大に向けた積 極的な営業活動を行うほか、音楽出版事業、その他事業についても、収入拡大に継続的に注力する ことにより、売上高は増収を見込んでおります。 一方、営業費用は「新中期経営計画」に基づき番組制作費を増額しており、営業利益、経常利益 および当期純利益はいずれも減益となる見込であります。 ①連 結 金 通 額 期 前 期 比 百万円 売 上 営 業 利 経 常 利 当 期 純 利 ②個 高 益 益 益 255,000 9,500 11,600 6,300 % △ △ △ 1.5 30.5 20.5 38.9 別 金 通 額 期 前 期 比 百万円 売 上 営 業 利 経 常 利 当 期 純 利 高 益 益 益 232,300 6,100 7,500 3,900 % △ △ △ -5- 2.0 37.2 30.9 35.7 ㈱テレビ朝日 (9409) 平成 20 年3月期 中間決算短信 (2) 財政状態に関する分析 〔資産、負債、純資産の状況〕 流動資産は 1,574 億 2 千 3 百万円で、前連結会計年度末に比べ 42 億 2 千 3 百万円の増加となり ました。これは、運用目的の有価証券が前連結会計年度末に比べ 64 億 8 千 1 百万円増加したこと などによります。 固定資産は 1,551 億 3 千 7 百万円で、前連結会計年度末に比べ 61 億 2 千 8 百万円の減少となり ました。有形固定資産と無形固定資産は、放送設備の HD 化などへの投資がありましたが、減価償 却が 44 億 3 千 3 百万円あり、あわせて 17 億 9 千 6 百万円の減少となりました。投資その他の資 産は、投資有価証券が評価差額の減少などにより 62 億 7 千 4 百万円減少したことなどから、前連 結会計年度末に比べ 43 億 3 千 2 百万円減の 914 億 8 千 7 百万円となりました。 以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ 19 億 4 百万円減少し、3,125 億 6 千 1 百万円 となりました。 流動負債は 491 億 5 千 9 百万円で、前連結会計年度末に比べ 20 億 5 千 7 百万円増加しました。 未払法人税等が前連結会計年度末に比べ、15 億 7 百万円増加していることなどによるものです。 固定負債は前連結会計年度末に比べ 4 億 7 百万円の減少となりました。 以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ 16 億 4 千 9 百万円増加し、666 億 7 千 2 百万 円となりました。 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ 35 億 5 千 4 百万円減少し、2,458 億 8 千 9 百 万円となりました。 〔キャッシュ・フローの状況〕 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末比 70 億 2 百万円増加し、544 億 8 千 1 百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、92 億 1 千 1 百万円の資金増で、前年同期に比べ 2 億 7 千 3 百万円増加いたしました。増加の主な要因は、税金等調整前中間純利益が 34 億 2 千 2 百万円 減の 45 億 3 千 4 百万円となったものの、法人税等の還付にともない、法人税等の支払額が前年同 期に比べて 42 億 2 千 9 百万円減少したことなどであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、9 億 1 千 7 百万円の資金の減少となり、前年同期に比 べ 22 億 9 千 6 百万円増加しました。増加の主な要因は、資金運用を目的とした有価証券の償還に よる収入の増加などであります。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が増加したことなどにより、資金の減 少額が前年同期に比べて 6 億 4 百万円多い 13 億 2 千万円の資金の減少となりました。 -6- ㈱テレビ朝日 (9409) 平成 20 年3月期 中間決算短信 〔キャッシュ・フロー関連指標の推移〕 区分 自己資本比率 平成 17 年3月期 平成 18 年3月期 平成 19 年3月期 76.2 83.8 8,987.3 76.8 96.4 19,795.0 78.6 75.8 ― (%) 時価ベースの自己資本比率(%) インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍) 平成 19 年9月 中間期 77.9 59.5 ― (注)自己資本比率:自己資本/総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産 インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い ・各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 ・株式時価総額は、発行済株式数をベースに計算しております。 ・キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。また、利払いについては、 連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。 (3) 利益配分に関する基本方針及び当期の配当 当社は株主のみなさまへの利益還元を経営の重要政策と位置づけております。具体的には、テレ ビ放送事業者として欠くことのできない長期的な企業基盤の充実に向けた内部留保とのバランスを 考慮しつつ、普通配当の継続的な成長を主眼においた安定的な配当に努めるとともに、創業・開局 などの記念すべき節目における記念配当や、各期の業績連動等を勘案した特別配当などにより、株 主各位への還元に努めることを基本方針としております。 内部留保につきましては、本格化するデジタル時代、コンテンツの多メディア利用に向けての積 極的な事業展開に備え、一層の財務体質の強化を目指してまいります。 なお、中間配当金につきましては、1 株当たり 1,000 円の普通配当を実施させていただきます。 期末配当金につきましては、1 株当たり 1,000 円の普通配当に加え、開局 50 周年期間のスタートを 記念して 1 株当たり 1,000 円の記念配当を実施する予定であり、中間配当金 1,000 円と合わせて、 年間配当金は 1 株当たり 3,000 円(配当性向 47.9%)となります。 2.企業集団の状況 最近の有価証券報告書(平成 19 年 6 月 27 日提出)における「事業の内容」および「関係会社の 状況」から重要な変更がないため開示を省略しております。なお、連結子会社の数、持分法適用の 関連会社数などについては 15 ページ「中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記 載しております。 3.経営方針 会社の経営の基本方針、目標とする経営指標、中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき 課題については、平成 19 年 3 月期決算短信(平成 19 年 5 月 15 日開示)により開示を行った内容か ら重要な変更がないため開示を省略しております。 当該決算短信は、次の URL からご覧いただくことができます。 (当社ホームページ) http://company.tv-asahi.co.jp/contents/setnote/0009/data/0401.pdf (東京証券取引所ホームページ(上場会社情報検索ページ)) http://www.tse.or.jp/listing/compsearch/index.html -7-
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